測距装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は投光スポットが被写体に半可に当たり、スポット欠けが起きた場合にも誤差なく測距できる測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被写体に光を投光し、その反射光を受光し、その受光位置を検出することで被写体距離を測定する、いわゆる、図22(a)に示されるアクティブ型三角測距装置は、通常発光素子である赤外発光ダイオ−ド(以下、IREDと呼ぶ)の発光点は一定の大きさを有するので、投光レンズによって被写体上に拡大投影されることになる。
【0003】図22(a)の被写体の様に投光スポット像が欠ける場合は、図22(b)のような受光スポット像の光量の重心移動が発生する。
【0004】この為に測距結果が遠距離側にずれたり((B)の位置)、近距離側にずれたり((A)の位置)して正確な距離測定ができなくなる。この様なことは被写体にスポット光全体が当たっていても被写体に甚しい反射率差がある場合において起きる。すなわち、スポット欠けは、欠けた所の被写体側の反射率が0%になったと考えれば良い。
【0005】このような視点から以後、上記測距誤差をコントラスト誤差と呼ぶことにする。上記コントラスト誤差は、概して、実際の写真場面では被写体が遠距離にいる場合や、草花のように被写体が非常に小さい場合によく起きる。
【0006】これに対処すべく、特開昭63−131020号公報は、スポット光を走査し、反射光量のピークを検出し、その時の測距結果を選択する方法を開示している。
【0007】しかしながら、この方法では投光スポットを精度よく被写体を挟んでその左右に走査する為の機械的可動部が必要なので、装置の構成が複雑となり、信頼性に乏しいという問題点があった。
【0008】又、特願平2−153566号公報は、発光部を少なくとも3つ設け、中央の発光に対して光量測定と光量比測定を行ない、その差からスポットはずれを判断する方法を開示している。
【0009】しかしながら、この方法では高価な発光素子が少くとも3つ必要であり、また、上記判定は被写体の反射率に大きく影響され実効をなさない可能性が高い。例えば反射率の低い近距離被写体、逆に反射率の高い遠距離被写体等をコントラスト誤差が発生したと誤認する可能性がある為、適切な判定レベルを決定することが困難であるという問題があった。
【0010】さらに、上記コントラスト誤差の問題を解決すべく、特開昭55−119006号公報、特開平1−217425号公報は3眼式の測距装置を開示している。これは、位置検出器を照射光ビームに対し対称に2つ設置し、上記2つの位置検出器の出力の平均値を出力するものである。このような光学的配置をすることによって、照射ビームが欠けるようなことがあっても2つの位置検出器は互いに逆方向に変化するので、コントラスト誤差が打ち消し合い正確な測距ができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成では測距光学系の配置が一律に決定されてしまい、ファインダー、ストロボ等の他のユニット配置によるスペース制約上、小型カメラに搭載することができないことが多かった。
【0012】本発明はこのような問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、光学系配置に大きな自由度を有し、かつ、小型カメラに搭載可能な測距装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、第1の発明に係る測距装置は、測距対象物に向けて投光する投光手段と、この投光手段から基線長L1離れて配置され、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第1信号を出力する第1の受光手段と、上記投光手段を挟んで上記第1の受光手段と反対側に、基線長L2離れて配置され、かつ、上記第1の受光手段とは異なる光学配置条件を有しており、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第2信号を出力する第2の受光手段と、上記第1の受光手段と第2の受光手段の光学配置条件の差に基づいて、上記第1信号と第2信号の関係を電気的に処理した後、上記2つの信号を用いて上記測距対象物までの距離を演算する演算手段とを具備する。また、第2の発明に係る測距装置は、第1の発明において、上記演算手段は、上記測距対象物の距離変化に対応する上記第1の受光手段の出力変化率と、上記第2の受光手段の出力変化率の比が、上記基線長L1とL2の比と等しくなるように電気的に処理した後、上記2つの信号の合成和演算を行って上記測距対象物までの距離を演算する。
【0014】
【作用】すなわち、第1の発明においては、測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第1信号を出力する第1の受光手段を、投光手段から基線長L1離して配置し、上記第1の受光手段とは異なる光学配置条件を有し、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第2信号を出力する第2の受光手段を、上記投光手段を挟んで上記第1の受光手段と反対側に、基線長L2離して配置し、上記第1の受光手段と第2の受光手段の光学配置条件の差に基づいて、上記第1信号と第2信号の関係を電気的に処理した後、上記2つの信号を用いて上記測距対象物までの距離を演算するようにする。また、第2の発明は、第1の発明において、上記測距対象物の距離変化に対応する上記第1の受光手段の出力変化率と、上記第2の受光手段の出力変化率の比が、上記基線長L1とL2の比と等しくなるように電気的に処理した後、上記2つの信号の合成和演算を行って上記測距対象物までの距離を演算するようにする。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の測距装置の一実施例を説明する。
【0016】図1は本発明の一実施例の基本的な構成を説明するブロック図である。
【0017】図1において、投光レンズの焦点距離fr だけ離れた位置に配設された、チップサイズがt0 の発光素子は、同素子で発光された光束が、投光レンズで集光されて、測距対象物に向け投射される。同測距対象物で反射された光は、投光レンズから基線長L1 :L2 離れて配置された受光レンズで集光されて、同レンズからその焦点距離fJ1,fJ2だけ離れた位置に配設された第1、第2の半導体位置検出素子(以下、PSD1,PSD2と呼ぶ)に入射する。すると、各PSDには、それぞれ光電流I1 ,I2 ,I3 ,I4が発生し、これが各演算手段100,101に供給され、同手段で測距演算されるようになっている。
【0018】以下に、図1を参照して本発明を理論的に説明する。
【0019】まず、各演算手段100,101からなる距離演算回路は、例えば、図19(a),図20(a),図21(a)に示すような構成が考えられるが、ここでは図19(a)の距離演算回路を使用することとする。なお、演算回路の詳細は本願人が先に出願した特開平1−224617号に開示されている。
【0020】 まず、第1の距離演算出力は、A1=(t1/2+x1−xSHF1)/t1=1/2+(x1−xSHF1)
/t1 … (1)
同様に第2距離演算出力はA2=(t2/2+x2−xSHF2)/t2=1/2+(x2−xSHF2)
/t2 … (2)
ここで、コントラスト誤差が生じ、PSD1上で△x1だけの重心移動が発生したとすると、A1=1/2+(x1−xSHF1)/t1+△x1/t1 … (3)
PSD2上の重心移動は、(fJ2/FJ1)・△x1で逆方向におこるのでA2=1/2+(x2−xSHF1)/t2+△x1/t2(fJ2/fJ1)
… (4)
一方、x1=L1・fJ1・(1/1) … (5)
x2=L2・fJ2・(1/1) (1は被写体距離) … (6)
であるから(3)(4)式は(5)(6)式に代入してまとめるとA1=(1/2−xSHF1/t1)+(L1・fJ1/t1)(1/1)+△x1/t1 … (7)
ここで、(1/2−xSHF1/t1)は固定値であるので、K1とおいてA1=K1+(L1・fJ1/t1)(1/1)+△x1/t1 … (8)
同様にK2=(1/2−xSHF2)/t2)とおいて、A2=K2+(L2・FJ2/t2)(1/1)−(△x1/t2)(fJ2/fJ1) … (9)
(8),(9)式より、A1では被写体距離1の逆数に対する変化率は(L1・fJ1/t1)、A2では、(L2・fJ2/t2)であることがわかる。
【0021】ここで上記変化率の比をL1 /L2 となるようにA1 ,A2 にある係数をかけると、例えばA1 に(fJ2/t2 )、A2 に(fJ1/t1 )をかけると、 (fJ2/t2 )A1 =(fJ2/t2 )K1 +(L1 ・fJ1・fJ2/t1 ・t2 )(1/l)+Δx1 (fJ2/t1 ・t2 ) …(10)
(fJ1/t1 )A2 =(fJ1/t1 )K2 +(L2 ・fJ1・fJ2/t1 ・t2 )
(l/1)−Δx1 (fJ2/t1 ・t2 ) …(11)
(10),(11)式の和をとると (fJ2/t2 )A1 +(fJ1/t1 )A2 =K3 +{fJ1・fJ2・(L1 +L2 )/t1 ・t2 }(1/l) …(12)
(ここで、K3 =(fJ2/t2 )K1 +(fJ1/t1 )K2 となり、変化率fJ1・fJ2・(L1 +L2 )/t1 ・t2 のコントラスト誤差のない距離演算出力が得られる。
【0022】A1 に1、A2 にfJ1・t2/fJ2・t1 をかけると、(9)式は A2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )=K2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )+ (fJ1・L2 /t1 )(1/l)−Δx/t1 …(13)よって、 A1 +A2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )=K4 +{fJ1・(L1 +L2 )/t1 }(1/l) …(14) (ここで、K4 =K1 +K2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )
となり、変化率fJ1・(L1 +L2 )/t1 となり変化率のコントラスト誤差のない距離演算出力が得られる。
【0023】このように電気的処理をかけると光学配置条件にわずらわせられることなくコントラスト誤差をキャンセルすることができる。
【0024】図2,3,4は、本実施例の測距装置の電気回路図であり、図13は、図4中の制御回路部25から供給される信号のタイミングチャートである。
【0025】この電気回路は、図に示す様に測距対象物に光パルスを投射する投光回路部21と、測距対象物からの反射光を受光して信号パルス光電流成分を検出し、増幅する光電流検出回路部22,22A,22B,22Cと、前記検出された光電流から被写体の距離情報を求める演算出力回路部23,23Aと、この演算出力回路部23,23Aの出力をA/D変換するカウント回路部24と、上記各回路部に制御信号を送出する制御回路部25とから構成されている。
【0026】上記光電流検出回路部22,22A,22B,22Cは、それぞれ同一構成部材を用い、且つ同様の構成をとっているので、回路部22についてのみ説明し、22A,22B,22Cの回路の構成部材には同一部材にA〜Cを付すに止め、重ねての説明は省略する。
【0027】図3において、投光回路部21のIRED68は、トランジスタ67、抵抗66,69およびオペアンプ65で構成されている定電流駆動回路により定電流ドライブされる。この定電流駆動回路のオン・オフを制御するトランジスタ70のベースが抵抗71を介して制御回路部25の端子T1 に接続されており、このIRED68から第3図に示されるパルス波形で投射される赤外光のオン・オフ制御は制御回路部25の端子T1 の出力信号(図13参照)により行なわれる。
【0028】図2の光電流検出回路部22は、オペアンプ3、トランジスタ2からなるプリアンプ回路部とオペアンプ5、トランジスタ4とその周辺回路からなる背景光除去回路部と、トランジスタ8,9からなるカレントミラー回路とで構成されている。
【0029】PSD1の片チャンネルから得られる信号パルス光電流I1 は、プリアンプ回路部を構成するオペアンプ3に供給される。このオペアンプ3は、トランジスタ2によって帰還がかけられるように、その出力端をトランジスタ2のエミッタに、反転入力端をベースに、非反転入力端を基準電源Vref に、それぞれ接続されているので、トランジスタ2のベース入力抵抗は等価的に数10KΩ程度に下げられている。
【0030】背景光除去回路部を構成するオペアンプ5は、非投光時に制御回路部25の端子T1 の出力信号の“H”レベルが抵抗73を通じてトランジスタ6のベースに与えられることにより、このトランジスタがオンするとアクティブとなり、その出力端に接続されたコンデンサ7に、この背景光の明るさに応じた電荷を蓄積すると共に、同コンデンサ7とトランジスタ4とで構成されたフィードバックループによって背景光による光電流成分と、オペアンプ3のバイアス電流成分をトランジスタ4のコレクタ電流としてグランドラインに排出する。その結果として、トランジスタ2のコレクタ電流は、背景光の大きさによらず、略パルス信号光電流に応じた値となる。投光時には、トランジスタ6がオフするからオペアンプ5がノンアクティブとなるが、コンデンサ7に蓄積された電荷によりトランジスタ4が背景光による光電流をグランドラインに排出し続けるので、PSD1の片チャンネルから得られる光電流から背景光による光電流を除いたパルス光成分はトランジスタ2でβN 倍されてカレントミラー回路8,9によって折り返され、図3の演算出力回路部23の圧縮ダイオード47に信号パスル光電流βN I1 として注入される。
【0031】また、他のチャンネルから得られた光電流I2 も上記回路部22と同様の動作をする光電流検出回路部22Aでそれぞれ処理されて信号パルス光電流βN I2 として演算出力回路部23の圧縮ダイオード46に供給される。
【0032】演算出力回路部23は、トランジスタ41,42,44,45と圧縮ダイオード46,47と定電流源43と、バッファー回路BUF1 、BUF2 とからなり、測距演算出力を得るための対数伸張回路を構成している。差動増幅器を形成しているトランジスタ41,42の各ベースは、上記圧縮ダイオード46と47の各アノードに緩衝増幅器BUF1 、BUF2 を介して接続され、各エミッタは定電流源43に共通に接続されている。トランジスタ42のコレクタは、カレントミラー回路を形成しているトランジスタ44,45の各ベースとトランジスタ44のコレクタとに接続されている。
【0033】ところで、上記ダイオード46,47にそれぞれ流れる電流I1b、I2bは、光電流検出回路部22から出力された信号パルス光電流βN I1 、βN I2 が流れるように回路接続されている。従って、演算出力回路部23では上記した電流I1bは光電流検出回路部22からの信号パルス光電流βN I1 、電流I2bは光電流検出回路部22Aからの信号パルス光電流βN I2 となるから、 I1b=βN I1 …(15) I2b=βN I2 …(15)′である。
【0034】従って、トランジスタ42のコレクタ電流Icは、定電流源43の定電流をIE1とすると、 Ic=IE1・I2b/(I1b+I2b) (16)となる。よって、演算出力回路部23の出力であるトランジスタ45のコレクタ電流Iout1は上記15,15′式を(16)式に代入して、 Iout1=IE1・I2 /(I1 +I2 ) (17)となる。
【0035】同様にIout2は、Iout2=IE2・I4 /(I3 +I4 )となる。さて、A1=I2 /(I1 +I2 )、A2 =I4 /(I3 +I4 )であるから、IE1、IE2の比を、 IE1:IE2=fJ2/t2 :fJ1/t2 =1:fJ1・t2 /fJ2・t1 とすると、 Iout1+Iout2={A1 +A2 ・(fJ1・t2 /fJ2・t1 )・IE1となって、(14)式と同じとなりコントラスト誤差がキャンセルされる。
【0036】IE1とIE2の比の設定は図3のR1 とR2 によって決定される。すなわちIE1:IE2=1/R1 :1/R2 である。
【0037】一方、図4の上記カウント回路部24は、上記演算出力回路部23,23Aのトランジスタ45,45Aのコレクタ電流の積分値を計測して制御回路部25に内蔵されているカウンタ機構(図示せず)でディジタル計測するものである。
【0038】なお、上記演算出力回路部23,23Aの出力電流は次のようにして求められる。すなわち、投光に同期して定電流源43,43Aがアクティブになりコンデンサ52には、投光ごとに演算出力回路部の出力電流が流れて電荷が蓄積されていくことになる。オペアンプ53は上記コンデンサ52のリセットをするためのもので、その制御用のトランジスタ54のベースは抵抗76を介して制御回路部25の端子T3 に接続されている。従って、この端子T3 の出力信号(図13参照)により、トランジスタ54がオンしてコンデンサ52の電位を基準電圧Vref にセットし、投光開始の直前にオフしてオペアンプ53を動作不能とする。その後はコンデンサ52の電位は、同コンデンサ52への注入電流によって増加していく。
【0039】所定回数の投光が終ると、図13のタイミングチャートに示すように、その端子T4 がH→Lとなるので抵抗77を介してトランジスタ63がオフし、トランジスタ55でコンデンサ52を放電していく。同時に制御回路部25に内蔵されたカウンタが働き、コンパレータ62の出力がHになるまでカウントを続ける。コンパレータ62は、コンデンサ52の両端電圧が基準電圧Vref より小さくなると、LからHに変化する。コンデンサ52の放電速度は、定電流源61とこれに直列に接続されたトランジスタ56,55からなるカレントミラー回路によって決定される。このようにして被写体距離に応じた出力を制御回路25内のカウンタのカウント値として得ることができる。
【0040】以下、図5乃至図12を参照して他の実施例を説明するが、光電流検出回路部の構成は図2の構成と同様であるので省略する。
【0041】図5,図6は上記距離演算回路を図20(a)の構成に変更した実施例であり、この場合の演算式は、I0 =IE ・(I2 −I1 )/(I1 +I2 )となる。なお、図20(b)はこの場合におけるI0 の被写体距離に対する特性線図である。
【0042】図7,図8図は電流値の代わりに積分時間比を制御した実施例であり、R1 =R2 と設定される。この場合、第1、第2の距離演算出力の積分時間をT1 ′,T2 ′とすると、 T1 ′:T2 ′=fJ2/T2 :fJ1/t1 =1:fJ1・t2 /fJ2・t1 となり、コントラスト誤差が同様にキャンセルされる。この時の制御回路部のタイミングチャートを図14に示す。さらに、この実施例においては投光回数を制御しても良い。すなわち、第1、第2の距離演算出力の積算回数をN1 ,N2 とすると、 N1 :N2 =fJ2/t2 :fJ1/t1 =1:fJ1・t2 /fJ2・t1 となるように積算回数を制御しても良い。この時の制御回路部のタイミングチャートを図15に示す。ここでは積算をコンデンサにておこなっているが、図9,図10のように構成し、第1、第2の距離演算値を1回ごとにA/D変換し、それを、N1 ,N2 回分ディジタルメモリ内で加算して積算しても良い。このタイミングチャートを図16,17に示す。
【0043】図11,12は第1の演算手段と第2の演算手段の出力を時系列で積分し、A/D変換はそれぞれ、第1、第2の定電流源によって行ない、その結果得られたディジタル出力の和から被写体距離を求める実施例であり、この場合、Ic1:Ic2=fJ1/t1 :fJ2/t2 と設定される。このタイミングチャートは図18である。
【0044】さらに、距離演算回路として、図21(a)に示すような回路を用いることも可能であり、この場合の演算式は、V0 =VT ・ln(I2 /I1 )となる。なお、半導体位置検出素子としてはPSDを用いて説明したが、これは説明が平易になる為であってPSDに限ったことではなく、分割SPD(シリコンフォトダイオ−ド)でも良い。この場合は有効長さt1 ,t2 が投光チップt0 に変換されるだけで基本的考え方は変わらない。
【0045】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、簡単な回路構成にて光学系配置に大きな自由度を有し、かつ小型カメラに搭載可能な測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る測距装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例の電気回路図の一部。
【図3】本発明の一実施例の電気回路図の一部。
【図4】本発明の一実施例の電気回路図の一部。
【図5】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図6】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図7】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図8】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図9】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図10】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図11】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図12】本発明の測距装置の他の電気回路図の一部。
【図13】図4の制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図14】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図15】電気回路図の制御部回路から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図16】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図17】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図18】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図19】図19(a)は距離演算回路の一回路構成例を示す図であり、図19(b)はその特性線図。
【図20】図20(a)は距離演算回路の他の回路構成例を示す図であり、図20(b)はその特性線図。
【図21】図21(a)は距離演算回路の他の回路構成例を示す図であり、図21(b)はその特性線図。
【図22】図22(a)は従来の測距装置の構成を示すブロック図であり、図22(b)は受光スポット像の光量の重心移動を説明するための図。
【符号の説明】
21…投光回路部、22,22A,22B,22C…光電流検出回路部、23,23A…演算出力回路部、24…カウント回路部、43,43A…定電流源、100…第1の距離演算手段、101…第2の距離演算手段、102…合成手段。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は投光スポットが被写体に半可に当たり、スポット欠けが起きた場合にも誤差なく測距できる測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被写体に光を投光し、その反射光を受光し、その受光位置を検出することで被写体距離を測定する、いわゆる、図22(a)に示されるアクティブ型三角測距装置は、通常発光素子である赤外発光ダイオ−ド(以下、IREDと呼ぶ)の発光点は一定の大きさを有するので、投光レンズによって被写体上に拡大投影されることになる。
【0003】図22(a)の被写体の様に投光スポット像が欠ける場合は、図22(b)のような受光スポット像の光量の重心移動が発生する。
【0004】この為に測距結果が遠距離側にずれたり((B)の位置)、近距離側にずれたり((A)の位置)して正確な距離測定ができなくなる。この様なことは被写体にスポット光全体が当たっていても被写体に甚しい反射率差がある場合において起きる。すなわち、スポット欠けは、欠けた所の被写体側の反射率が0%になったと考えれば良い。
【0005】このような視点から以後、上記測距誤差をコントラスト誤差と呼ぶことにする。上記コントラスト誤差は、概して、実際の写真場面では被写体が遠距離にいる場合や、草花のように被写体が非常に小さい場合によく起きる。
【0006】これに対処すべく、特開昭63−131020号公報は、スポット光を走査し、反射光量のピークを検出し、その時の測距結果を選択する方法を開示している。
【0007】しかしながら、この方法では投光スポットを精度よく被写体を挟んでその左右に走査する為の機械的可動部が必要なので、装置の構成が複雑となり、信頼性に乏しいという問題点があった。
【0008】又、特願平2−153566号公報は、発光部を少なくとも3つ設け、中央の発光に対して光量測定と光量比測定を行ない、その差からスポットはずれを判断する方法を開示している。
【0009】しかしながら、この方法では高価な発光素子が少くとも3つ必要であり、また、上記判定は被写体の反射率に大きく影響され実効をなさない可能性が高い。例えば反射率の低い近距離被写体、逆に反射率の高い遠距離被写体等をコントラスト誤差が発生したと誤認する可能性がある為、適切な判定レベルを決定することが困難であるという問題があった。
【0010】さらに、上記コントラスト誤差の問題を解決すべく、特開昭55−119006号公報、特開平1−217425号公報は3眼式の測距装置を開示している。これは、位置検出器を照射光ビームに対し対称に2つ設置し、上記2つの位置検出器の出力の平均値を出力するものである。このような光学的配置をすることによって、照射ビームが欠けるようなことがあっても2つの位置検出器は互いに逆方向に変化するので、コントラスト誤差が打ち消し合い正確な測距ができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成では測距光学系の配置が一律に決定されてしまい、ファインダー、ストロボ等の他のユニット配置によるスペース制約上、小型カメラに搭載することができないことが多かった。
【0012】本発明はこのような問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、光学系配置に大きな自由度を有し、かつ、小型カメラに搭載可能な測距装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、第1の発明に係る測距装置は、測距対象物に向けて投光する投光手段と、この投光手段から基線長L1離れて配置され、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第1信号を出力する第1の受光手段と、上記投光手段を挟んで上記第1の受光手段と反対側に、基線長L2離れて配置され、かつ、上記第1の受光手段とは異なる光学配置条件を有しており、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第2信号を出力する第2の受光手段と、上記第1の受光手段と第2の受光手段の光学配置条件の差に基づいて、上記第1信号と第2信号の関係を電気的に処理した後、上記2つの信号を用いて上記測距対象物までの距離を演算する演算手段とを具備する。また、第2の発明に係る測距装置は、第1の発明において、上記演算手段は、上記測距対象物の距離変化に対応する上記第1の受光手段の出力変化率と、上記第2の受光手段の出力変化率の比が、上記基線長L1とL2の比と等しくなるように電気的に処理した後、上記2つの信号の合成和演算を行って上記測距対象物までの距離を演算する。
【0014】
【作用】すなわち、第1の発明においては、測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第1信号を出力する第1の受光手段を、投光手段から基線長L1離して配置し、上記第1の受光手段とは異なる光学配置条件を有し、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第2信号を出力する第2の受光手段を、上記投光手段を挟んで上記第1の受光手段と反対側に、基線長L2離して配置し、上記第1の受光手段と第2の受光手段の光学配置条件の差に基づいて、上記第1信号と第2信号の関係を電気的に処理した後、上記2つの信号を用いて上記測距対象物までの距離を演算するようにする。また、第2の発明は、第1の発明において、上記測距対象物の距離変化に対応する上記第1の受光手段の出力変化率と、上記第2の受光手段の出力変化率の比が、上記基線長L1とL2の比と等しくなるように電気的に処理した後、上記2つの信号の合成和演算を行って上記測距対象物までの距離を演算するようにする。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の測距装置の一実施例を説明する。
【0016】図1は本発明の一実施例の基本的な構成を説明するブロック図である。
【0017】図1において、投光レンズの焦点距離fr だけ離れた位置に配設された、チップサイズがt0 の発光素子は、同素子で発光された光束が、投光レンズで集光されて、測距対象物に向け投射される。同測距対象物で反射された光は、投光レンズから基線長L1 :L2 離れて配置された受光レンズで集光されて、同レンズからその焦点距離fJ1,fJ2だけ離れた位置に配設された第1、第2の半導体位置検出素子(以下、PSD1,PSD2と呼ぶ)に入射する。すると、各PSDには、それぞれ光電流I1 ,I2 ,I3 ,I4が発生し、これが各演算手段100,101に供給され、同手段で測距演算されるようになっている。
【0018】以下に、図1を参照して本発明を理論的に説明する。
【0019】まず、各演算手段100,101からなる距離演算回路は、例えば、図19(a),図20(a),図21(a)に示すような構成が考えられるが、ここでは図19(a)の距離演算回路を使用することとする。なお、演算回路の詳細は本願人が先に出願した特開平1−224617号に開示されている。
【0020】 まず、第1の距離演算出力は、A1=(t1/2+x1−xSHF1)/t1=1/2+(x1−xSHF1)
/t1 … (1)
同様に第2距離演算出力はA2=(t2/2+x2−xSHF2)/t2=1/2+(x2−xSHF2)
/t2 … (2)
ここで、コントラスト誤差が生じ、PSD1上で△x1だけの重心移動が発生したとすると、A1=1/2+(x1−xSHF1)/t1+△x1/t1 … (3)
PSD2上の重心移動は、(fJ2/FJ1)・△x1で逆方向におこるのでA2=1/2+(x2−xSHF1)/t2+△x1/t2(fJ2/fJ1)
… (4)
一方、x1=L1・fJ1・(1/1) … (5)
x2=L2・fJ2・(1/1) (1は被写体距離) … (6)
であるから(3)(4)式は(5)(6)式に代入してまとめるとA1=(1/2−xSHF1/t1)+(L1・fJ1/t1)(1/1)+△x1/t1 … (7)
ここで、(1/2−xSHF1/t1)は固定値であるので、K1とおいてA1=K1+(L1・fJ1/t1)(1/1)+△x1/t1 … (8)
同様にK2=(1/2−xSHF2)/t2)とおいて、A2=K2+(L2・FJ2/t2)(1/1)−(△x1/t2)(fJ2/fJ1) … (9)
(8),(9)式より、A1では被写体距離1の逆数に対する変化率は(L1・fJ1/t1)、A2では、(L2・fJ2/t2)であることがわかる。
【0021】ここで上記変化率の比をL1 /L2 となるようにA1 ,A2 にある係数をかけると、例えばA1 に(fJ2/t2 )、A2 に(fJ1/t1 )をかけると、 (fJ2/t2 )A1 =(fJ2/t2 )K1 +(L1 ・fJ1・fJ2/t1 ・t2 )(1/l)+Δx1 (fJ2/t1 ・t2 ) …(10)
(fJ1/t1 )A2 =(fJ1/t1 )K2 +(L2 ・fJ1・fJ2/t1 ・t2 )
(l/1)−Δx1 (fJ2/t1 ・t2 ) …(11)
(10),(11)式の和をとると (fJ2/t2 )A1 +(fJ1/t1 )A2 =K3 +{fJ1・fJ2・(L1 +L2 )/t1 ・t2 }(1/l) …(12)
(ここで、K3 =(fJ2/t2 )K1 +(fJ1/t1 )K2 となり、変化率fJ1・fJ2・(L1 +L2 )/t1 ・t2 のコントラスト誤差のない距離演算出力が得られる。
【0022】A1 に1、A2 にfJ1・t2/fJ2・t1 をかけると、(9)式は A2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )=K2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )+ (fJ1・L2 /t1 )(1/l)−Δx/t1 …(13)よって、 A1 +A2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )=K4 +{fJ1・(L1 +L2 )/t1 }(1/l) …(14) (ここで、K4 =K1 +K2 (fJ1・t2 /fJ2・t1 )
となり、変化率fJ1・(L1 +L2 )/t1 となり変化率のコントラスト誤差のない距離演算出力が得られる。
【0023】このように電気的処理をかけると光学配置条件にわずらわせられることなくコントラスト誤差をキャンセルすることができる。
【0024】図2,3,4は、本実施例の測距装置の電気回路図であり、図13は、図4中の制御回路部25から供給される信号のタイミングチャートである。
【0025】この電気回路は、図に示す様に測距対象物に光パルスを投射する投光回路部21と、測距対象物からの反射光を受光して信号パルス光電流成分を検出し、増幅する光電流検出回路部22,22A,22B,22Cと、前記検出された光電流から被写体の距離情報を求める演算出力回路部23,23Aと、この演算出力回路部23,23Aの出力をA/D変換するカウント回路部24と、上記各回路部に制御信号を送出する制御回路部25とから構成されている。
【0026】上記光電流検出回路部22,22A,22B,22Cは、それぞれ同一構成部材を用い、且つ同様の構成をとっているので、回路部22についてのみ説明し、22A,22B,22Cの回路の構成部材には同一部材にA〜Cを付すに止め、重ねての説明は省略する。
【0027】図3において、投光回路部21のIRED68は、トランジスタ67、抵抗66,69およびオペアンプ65で構成されている定電流駆動回路により定電流ドライブされる。この定電流駆動回路のオン・オフを制御するトランジスタ70のベースが抵抗71を介して制御回路部25の端子T1 に接続されており、このIRED68から第3図に示されるパルス波形で投射される赤外光のオン・オフ制御は制御回路部25の端子T1 の出力信号(図13参照)により行なわれる。
【0028】図2の光電流検出回路部22は、オペアンプ3、トランジスタ2からなるプリアンプ回路部とオペアンプ5、トランジスタ4とその周辺回路からなる背景光除去回路部と、トランジスタ8,9からなるカレントミラー回路とで構成されている。
【0029】PSD1の片チャンネルから得られる信号パルス光電流I1 は、プリアンプ回路部を構成するオペアンプ3に供給される。このオペアンプ3は、トランジスタ2によって帰還がかけられるように、その出力端をトランジスタ2のエミッタに、反転入力端をベースに、非反転入力端を基準電源Vref に、それぞれ接続されているので、トランジスタ2のベース入力抵抗は等価的に数10KΩ程度に下げられている。
【0030】背景光除去回路部を構成するオペアンプ5は、非投光時に制御回路部25の端子T1 の出力信号の“H”レベルが抵抗73を通じてトランジスタ6のベースに与えられることにより、このトランジスタがオンするとアクティブとなり、その出力端に接続されたコンデンサ7に、この背景光の明るさに応じた電荷を蓄積すると共に、同コンデンサ7とトランジスタ4とで構成されたフィードバックループによって背景光による光電流成分と、オペアンプ3のバイアス電流成分をトランジスタ4のコレクタ電流としてグランドラインに排出する。その結果として、トランジスタ2のコレクタ電流は、背景光の大きさによらず、略パルス信号光電流に応じた値となる。投光時には、トランジスタ6がオフするからオペアンプ5がノンアクティブとなるが、コンデンサ7に蓄積された電荷によりトランジスタ4が背景光による光電流をグランドラインに排出し続けるので、PSD1の片チャンネルから得られる光電流から背景光による光電流を除いたパルス光成分はトランジスタ2でβN 倍されてカレントミラー回路8,9によって折り返され、図3の演算出力回路部23の圧縮ダイオード47に信号パスル光電流βN I1 として注入される。
【0031】また、他のチャンネルから得られた光電流I2 も上記回路部22と同様の動作をする光電流検出回路部22Aでそれぞれ処理されて信号パルス光電流βN I2 として演算出力回路部23の圧縮ダイオード46に供給される。
【0032】演算出力回路部23は、トランジスタ41,42,44,45と圧縮ダイオード46,47と定電流源43と、バッファー回路BUF1 、BUF2 とからなり、測距演算出力を得るための対数伸張回路を構成している。差動増幅器を形成しているトランジスタ41,42の各ベースは、上記圧縮ダイオード46と47の各アノードに緩衝増幅器BUF1 、BUF2 を介して接続され、各エミッタは定電流源43に共通に接続されている。トランジスタ42のコレクタは、カレントミラー回路を形成しているトランジスタ44,45の各ベースとトランジスタ44のコレクタとに接続されている。
【0033】ところで、上記ダイオード46,47にそれぞれ流れる電流I1b、I2bは、光電流検出回路部22から出力された信号パルス光電流βN I1 、βN I2 が流れるように回路接続されている。従って、演算出力回路部23では上記した電流I1bは光電流検出回路部22からの信号パルス光電流βN I1 、電流I2bは光電流検出回路部22Aからの信号パルス光電流βN I2 となるから、 I1b=βN I1 …(15) I2b=βN I2 …(15)′である。
【0034】従って、トランジスタ42のコレクタ電流Icは、定電流源43の定電流をIE1とすると、 Ic=IE1・I2b/(I1b+I2b) (16)となる。よって、演算出力回路部23の出力であるトランジスタ45のコレクタ電流Iout1は上記15,15′式を(16)式に代入して、 Iout1=IE1・I2 /(I1 +I2 ) (17)となる。
【0035】同様にIout2は、Iout2=IE2・I4 /(I3 +I4 )となる。さて、A1=I2 /(I1 +I2 )、A2 =I4 /(I3 +I4 )であるから、IE1、IE2の比を、 IE1:IE2=fJ2/t2 :fJ1/t2 =1:fJ1・t2 /fJ2・t1 とすると、 Iout1+Iout2={A1 +A2 ・(fJ1・t2 /fJ2・t1 )・IE1となって、(14)式と同じとなりコントラスト誤差がキャンセルされる。
【0036】IE1とIE2の比の設定は図3のR1 とR2 によって決定される。すなわちIE1:IE2=1/R1 :1/R2 である。
【0037】一方、図4の上記カウント回路部24は、上記演算出力回路部23,23Aのトランジスタ45,45Aのコレクタ電流の積分値を計測して制御回路部25に内蔵されているカウンタ機構(図示せず)でディジタル計測するものである。
【0038】なお、上記演算出力回路部23,23Aの出力電流は次のようにして求められる。すなわち、投光に同期して定電流源43,43Aがアクティブになりコンデンサ52には、投光ごとに演算出力回路部の出力電流が流れて電荷が蓄積されていくことになる。オペアンプ53は上記コンデンサ52のリセットをするためのもので、その制御用のトランジスタ54のベースは抵抗76を介して制御回路部25の端子T3 に接続されている。従って、この端子T3 の出力信号(図13参照)により、トランジスタ54がオンしてコンデンサ52の電位を基準電圧Vref にセットし、投光開始の直前にオフしてオペアンプ53を動作不能とする。その後はコンデンサ52の電位は、同コンデンサ52への注入電流によって増加していく。
【0039】所定回数の投光が終ると、図13のタイミングチャートに示すように、その端子T4 がH→Lとなるので抵抗77を介してトランジスタ63がオフし、トランジスタ55でコンデンサ52を放電していく。同時に制御回路部25に内蔵されたカウンタが働き、コンパレータ62の出力がHになるまでカウントを続ける。コンパレータ62は、コンデンサ52の両端電圧が基準電圧Vref より小さくなると、LからHに変化する。コンデンサ52の放電速度は、定電流源61とこれに直列に接続されたトランジスタ56,55からなるカレントミラー回路によって決定される。このようにして被写体距離に応じた出力を制御回路25内のカウンタのカウント値として得ることができる。
【0040】以下、図5乃至図12を参照して他の実施例を説明するが、光電流検出回路部の構成は図2の構成と同様であるので省略する。
【0041】図5,図6は上記距離演算回路を図20(a)の構成に変更した実施例であり、この場合の演算式は、I0 =IE ・(I2 −I1 )/(I1 +I2 )となる。なお、図20(b)はこの場合におけるI0 の被写体距離に対する特性線図である。
【0042】図7,図8図は電流値の代わりに積分時間比を制御した実施例であり、R1 =R2 と設定される。この場合、第1、第2の距離演算出力の積分時間をT1 ′,T2 ′とすると、 T1 ′:T2 ′=fJ2/T2 :fJ1/t1 =1:fJ1・t2 /fJ2・t1 となり、コントラスト誤差が同様にキャンセルされる。この時の制御回路部のタイミングチャートを図14に示す。さらに、この実施例においては投光回数を制御しても良い。すなわち、第1、第2の距離演算出力の積算回数をN1 ,N2 とすると、 N1 :N2 =fJ2/t2 :fJ1/t1 =1:fJ1・t2 /fJ2・t1 となるように積算回数を制御しても良い。この時の制御回路部のタイミングチャートを図15に示す。ここでは積算をコンデンサにておこなっているが、図9,図10のように構成し、第1、第2の距離演算値を1回ごとにA/D変換し、それを、N1 ,N2 回分ディジタルメモリ内で加算して積算しても良い。このタイミングチャートを図16,17に示す。
【0043】図11,12は第1の演算手段と第2の演算手段の出力を時系列で積分し、A/D変換はそれぞれ、第1、第2の定電流源によって行ない、その結果得られたディジタル出力の和から被写体距離を求める実施例であり、この場合、Ic1:Ic2=fJ1/t1 :fJ2/t2 と設定される。このタイミングチャートは図18である。
【0044】さらに、距離演算回路として、図21(a)に示すような回路を用いることも可能であり、この場合の演算式は、V0 =VT ・ln(I2 /I1 )となる。なお、半導体位置検出素子としてはPSDを用いて説明したが、これは説明が平易になる為であってPSDに限ったことではなく、分割SPD(シリコンフォトダイオ−ド)でも良い。この場合は有効長さt1 ,t2 が投光チップt0 に変換されるだけで基本的考え方は変わらない。
【0045】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、簡単な回路構成にて光学系配置に大きな自由度を有し、かつ小型カメラに搭載可能な測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る測距装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例の電気回路図の一部。
【図3】本発明の一実施例の電気回路図の一部。
【図4】本発明の一実施例の電気回路図の一部。
【図5】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図6】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図7】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図8】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図9】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図10】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図11】本発明の他の実施例に係る電気回路図の一部。
【図12】本発明の測距装置の他の電気回路図の一部。
【図13】図4の制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図14】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図15】電気回路図の制御部回路から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図16】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図17】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図18】他の実施例において制御回路部から供給される信号のタイミングチャ−ト。
【図19】図19(a)は距離演算回路の一回路構成例を示す図であり、図19(b)はその特性線図。
【図20】図20(a)は距離演算回路の他の回路構成例を示す図であり、図20(b)はその特性線図。
【図21】図21(a)は距離演算回路の他の回路構成例を示す図であり、図21(b)はその特性線図。
【図22】図22(a)は従来の測距装置の構成を示すブロック図であり、図22(b)は受光スポット像の光量の重心移動を説明するための図。
【符号の説明】
21…投光回路部、22,22A,22B,22C…光電流検出回路部、23,23A…演算出力回路部、24…カウント回路部、43,43A…定電流源、100…第1の距離演算手段、101…第2の距離演算手段、102…合成手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測距対象物に向けて投光する投光手段と、この投光手段から基線長L1離れて配置され、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第1信号を出力する第1の受光手段と、上記投光手段を挟んで上記第1の受光手段と反対側に、基線長L2離れて配置され、かつ、上記第1の受光手段とは異なる光学配置条件を有しており、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第2信号を出力する第2の受光手段と、上記第1の受光手段と第2の受光手段の光学配置条件の差に基づいて、上記第1信号と第2信号の関係を電気的に処理した後、上記2つの信号を用いて上記測距対象物までの距離を演算する演算手段と、を具備したことを特徴とする測距装置。
【請求項2】 上記演算手段は、上記測距対象物の距離変化に対応する上記第1の受光手段の出力変化率と、上記第2の受光手段の出力変化率の比が、上記基線長L1とL2の比と等しくなるように電気的に処理した後、上記2つの信号の合成和演算を行って上記測距対象物までの距離を演算することを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
【請求項1】 測距対象物に向けて投光する投光手段と、この投光手段から基線長L1離れて配置され、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第1信号を出力する第1の受光手段と、上記投光手段を挟んで上記第1の受光手段と反対側に、基線長L2離れて配置され、かつ、上記第1の受光手段とは異なる光学配置条件を有しており、上記測距対象物からの反射光を受光して受光位置に応じた第2信号を出力する第2の受光手段と、上記第1の受光手段と第2の受光手段の光学配置条件の差に基づいて、上記第1信号と第2信号の関係を電気的に処理した後、上記2つの信号を用いて上記測距対象物までの距離を演算する演算手段と、を具備したことを特徴とする測距装置。
【請求項2】 上記演算手段は、上記測距対象物の距離変化に対応する上記第1の受光手段の出力変化率と、上記第2の受光手段の出力変化率の比が、上記基線長L1とL2の比と等しくなるように電気的に処理した後、上記2つの信号の合成和演算を行って上記測距対象物までの距離を演算することを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
【図17】
【図13】
【図12】
【図22】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図20】
【図21】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図13】
【図12】
【図22】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図20】
【図21】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【特許番号】特許第3117232号(P3117232)
【登録日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【発行日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−45378
【出願日】平成3年2月19日(1991.2.19)
【公開番号】特開平5−126567
【公開日】平成5年5月21日(1993.5.21)
【審査請求日】平成10年1月8日(1998.1.8)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】特開 平2−181604(JP,A)
【登録日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【発行日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成3年2月19日(1991.2.19)
【公開番号】特開平5−126567
【公開日】平成5年5月21日(1993.5.21)
【審査請求日】平成10年1月8日(1998.1.8)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】特開 平2−181604(JP,A)
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