測量支援装置
【課題】測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図るとともに、測量結果の高精度化を図ること。
【解決手段】地図上の任意の線に沿って回転可能な携帯型の筐体201の先端に測輪202を設けるとともに、測量区間の開始/終了ボタン205および地点情報の入力を宣言する入力ポイントボタン206を設けたデジタルキルビメーター101と、デジタルキルビメーター101とは別体であって地点情報の入力を受け付けるテンキー102と、を備え、測定期間中における測輪202の回転数に基づいて、任意の線の長さを算出し、算出された任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、測定期間中に入力ポイントボタン206によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後にテンキー102によって入力を受け付けた地点情報を任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶するようにした。
【解決手段】地図上の任意の線に沿って回転可能な携帯型の筐体201の先端に測輪202を設けるとともに、測量区間の開始/終了ボタン205および地点情報の入力を宣言する入力ポイントボタン206を設けたデジタルキルビメーター101と、デジタルキルビメーター101とは別体であって地点情報の入力を受け付けるテンキー102と、を備え、測定期間中における測輪202の回転数に基づいて、任意の線の長さを算出し、算出された任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、測定期間中に入力ポイントボタン206によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後にテンキー102によって入力を受け付けた地点情報を任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙面上の地図に基づいた2次元断面図の作成を支援する測量支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、架空送電線路を新設する業務において、最下電力線と線下工作物などの離隔距離を検討する際には、紙面などに記された平面図における等高線を目視によって読み取りながら、水平距離と高低差とを図面化した2次元の断面図を作成していた。このような2次元の断面図は、架空送電線路の新設業務に加えて、たとえば、主に地山掘削などのように架空送電線路の支持物周辺における開発行為に際しても作成していた。また、このような2次元の断面図は、たとえば、工事にともなう資機材運搬に際しての運搬距離や高低差を把握する際にも作成していた。
【0003】
このような2次元の断面図の作成に際して、従来は、まず、キルビメーターや三角スケールを用いて、紙面に記載された平面図における水平距離を測定するとともに、水平距離の測定にかかる2つのポイントの高低差や当該2つのポイントにおけるそれぞれの標高をメモに取るなどすることによって、2次元の断面図の作成に要するデータを取得するようにしていた。そしてその後、取得されたデータを用いて、方眼紙などの紙面に2次元の断面図を作成したり、CADを用いて2次元の断面図を作成したりしていた。
【0004】
このように、従来の技術を用いて2次元の断面図を作成する場合、データを取得する工程と、取得されたデータを用いて2次元の断面図を作成する工程と、の2つの作業工程を段階的におこなっていた。このため、従来の技術を用いた2次元の断面図の作成に際しては、手間と時間とがかかるという不具合があった。
【0005】
このような不具合を解決するため、従来、具体的には、たとえば、図面上の曲線の長さを測るキルビメーターの機能に、測定によって得られた図面上の曲線の長さをデジタル化することによって、縮尺率・単位の設定、測定の一時停止、測定方向の設定を可能にするとともに、累積値や平均値などの各種の値の計算を可能にした技術があった(たとえば、下記特許文献1、非特許文献1を参照。)。
【0006】
また、従来、具体的には、たとえば、専用のデバイスドライバがインストールされたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置に接続することによって、当該コンピュータ装置において図面上の曲線の長さの測定を可能にするとともに、当該コンピュータ装置に専用の受信ソフトをインストールすることによって、測定した図面上の曲線の長さに関する情報を所定の表計算ソフトウエアにおいて管理し、積算などの各種の処理に供することを可能にした技術があった(たとえば、下記非特許文献2を参照。)。
【0007】
また、従来、具体的には、たとえば、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するとともに、当該電子化された図面(電子図面)に対応付けて標高などの地図情報を別途入力することによって、電子図面に関する情報および地図情報に基づいて断面図の作成を可能にした技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−149801号公報
【0009】
【非特許文献1】http://www.fymetrix.co.jp/products/cv58_j.htm (2010年1月29日検索)
【非特許文献2】http://www.fymetrix.co.jp/products/cv98_j.htm (2010年1月29日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術では、測定ポイントにおいて高低差や標高などの高さについてのメモを取る作業が必要であった。このため、たとえば、キルビメーターを操作して水平距離を測るために右手などの利き手を使った場合、メモを取るために利き手に持ったキルビメーターを筆記用具に持ち替えなくてはならず煩わしいという問題があった。また、このような従来の技術では、測定ポイントが多い場合は、キルビメーターと筆記用具とを持ち替える回数が多くなり、一層煩わしいという問題があった。
【0011】
また、このような従来の技術では、測定ポイントごとにキルビメーターと筆記用具とを持ち替えることにより、測定点がズレたり筆記ミスを生じたりする可能性が高くなり、測定結果に誤差が生じやすくなるという問題があった。また、このような従来の技術では、測定ポイントごとにキルビメーターと筆記用具とを持ち替えるための時間を要するために、測定ポイントが多いほど測定に時間がかかってしまい、作業性が低くなってしまうという問題があった。
【0012】
また、上述した特許文献1、非特許文献1、2に記載された従来の技術では、「図面上の曲線の長さを測る」というキルビメーターの元々の機能を実現することはできるが、依然、測定ポイントにおいて高低差や標高などの高さについてのメモを取る必要があるため煩わしいという問題があった。また、上述した特許文献1、非特許文献1、2に記載された従来の技術では、2次元の断面図を作成するためには、高さ(高低差・標高等)をポイントごとにメモを取りながらそのデータを基に図面を作成しなければならず、手間がかかるという問題があった。
【0013】
また、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するようにした従来の技術では、紙図面をスキャニングするためのスキャナなどの機器が必要となるため、測定作業をおこなう環境に制限を生じるという問題があった。さらに、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するようにした従来の技術では、スキャニングすることによって電子図面化したデータに地図情報を入力するため、手間がかかり煩わしいという問題があった。
【0014】
また、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するようにした従来の技術では、電子図面化されたデータを利用するためのソフトウエアをコンピュータ装置に事前にインストールしなくてはならず煩わしいという問題があった。
【0015】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図るとともに、測量結果の高精度化を図ることができる測量支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる測量支援装置は、携帯可能であって地図上の任意の線に沿って回転可能な測輪が先端部に設けられるとともに、測量区間の指定操作を受け付ける区間指定操作部および前記地図上の任意の地点の高さに関する地点情報の入力を宣言する宣言操作を受け付ける宣言操作部が設けられた把持部と、前記把持部とは別体であって前記地点情報の入力を受け付ける入力受付部と、前記区間指定操作部によって指定操作を受け付けてから当該指定操作をつぎに受け付けるまでの測定期間中における前記測輪の回転数に基づいて、前記任意の線の長さに関する情報を取得する長さ情報取得手段と、前記長さ情報取得手段によって取得された前記長さに関する情報に基づいて、前記任意の線の長さを算出する長さ算出手段と、前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、前記測定期間中に前記宣言操作部によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後に前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を前記宣言操作を受け付けた時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶する記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記入力受付部が、前記地図の縮尺に関する情報の入力を受け付け、前記長さ算出手段が、入力された前記地図の縮尺に関する情報に基づいて前記任意の線の長さを算出することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さ、前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報および縮尺に関する情報に基づいて2次元断面図を作成する断面図作成手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記把持部に設けられ、前記測輪と前記地図との設置位置における前記地図上の等高線を検出する検出手段と、前記地図上の等高線が示す高さの変動方向に関する変動方向情報の入力を受け付ける変動方向入力手段と、前記変動方向入力手段によって変動方向情報の入力を受け付けた場合、前記検出手段によって前記地図上の等高線を検出するごとに、検出された等高線の高さに関する地点情報を生成する地点情報生成手段と、を備え、前記記憶手段が、前記地点情報生成手段によって地点情報を生成するごとに、生成された地点情報を、前記地図上の等高線を検出した時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記地点情報生成手段によって生成された地点情報を記憶するオートモードおよび前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を記憶するマニュアルモードのいずれか一方を選択的に設定するモード設定手段を備え、前記地点情報生成手段が、前記モード設定手段によってオートモードが設定されている場合に前記地点情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明にかかる測量支援装置によれば、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図るとともに、測量結果の高精度化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置におけるデジタルキルビメーターを示す説明図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置におけるテンキーを示す説明図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置におけるコンピュータ装置のハードウエア構成を示す説明図である。
【図5】「ユーザー縮尺」設定画面の一例を示す説明図である。
【図6】測量支援装置を用いた測量作業姿勢の一例を示す説明図である。
【図7】測量対象例を示す説明図である。
【図8】ディスプレイにおける表示画面の一例を示す説明図である。
【図9】測量の結果を例示する説明図(その1)である。
【図10】測量の結果を例示する説明図(その2)である。
【図11】測量の結果を例示する説明図(その3)である。
【図12】測量の結果を例示する説明図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる測量支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
まず、この発明にかかる実施の形態の長さ測定装置を実現する測量支援装置の構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、デジタルキルビメーター101と、テンキー102と、コンピュータ装置103と、を備えている。
【0025】
(デジタルキルビメーター101の構成)
図2は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるデジタルキルビメーター101を示す説明図である。図2において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるデジタルキルビメーター101は、略筆記具状の細長い外観をなし、デジタルキルビメーター101の作業者が片手で把持できる程度のサイズの筐体201を備えている。
【0026】
筐体201における長手方向の一端(先端部)には、測輪202が設けられている。測輪202は、筐体201の先端部において回転可能に設けられている。筐体201において、長手方向の他端(根本部)には、デジタルキルビメーター101とコンピュータ装置103とを接続するケーブル203が設けられている。ケーブル203の一端側には、USBコネクタ204が設けられている。デジタルキルビメーター101は、USBコネクタ204を介してコンピュータ装置103に接続される。デジタルキルビメーター101は、コンピュータ装置103に対して、取り外し可能に接続される。
【0027】
ケーブル203は、たとえば、使用環境に応じて任意の長さとすることができる。また、筐体201とUSBコネクタ204との間に、ケーブル203の巻き取りおよび引き出しが可能なコードリール(図示を省略する)を設けてもよい。これによって、適宜、作業者が必要とする長さのケーブル203を引き出して使用することができる。
【0028】
筐体201には、開始/終了ボタン205および入力ポイントボタン206が設けられている。開始/終了ボタン205および入力ポイントボタン206は、筐体201を作業者が把持した状態において、作業者の親指の可動範囲内となる位置に設けられている。これにより、作業者は、デジタルキルビメーター101を把持した状態で、開始/終了ボタン205や入力ポイントボタン206を操作することができる。この実施の形態においては、デジタルキルビメーター101によって把持部としての機能を実現することができる。
【0029】
デジタルキルビメーター101は、開始/終了ボタン205が操作されるごとに、当該開始/終了ボタン205が操作されたことを示す信号を、コンピュータ装置103に対して出力する。また、デジタルキルビメーター101は、入力ポイントボタン206が操作されるごとに、当該入力ポイントボタン206が操作されたことを示す信号を、コンピュータ装置103に対して出力する。この実施の形態においては、開始/終了ボタン205によって区間指定操作部としての機能を実現し、入力ポイントボタン206によって宣言操作部としての機能を実現することができる。また、この実施の形態においては、入力ポイントボタン206によって変動方向入力手段としての機能を実現することができる。
【0030】
測輪202の近傍には、センサ207が設けられている。このセンサ207は、発光素子および受光素子によって構成されており、受光素子における受光量の変化に応じて出力が変化する。発光素子は、測輪202の近傍に向けて光を照射する。デジタルキルビメーター101の使用に際しては、測輪202が地図が印刷された紙面に接触した状態とされるため、測輪202の近傍に向けて照射された光は紙面によって反射されて受光素子に入射する。
【0031】
受光素子における受光量は、たとえば、地図上の任意の線に沿って測輪202を回転させながら筐体201を移動させる際に、測輪202が等高線上を通過した場合に変動する。センサ207は、受光素子における受光量に応じた出力信号を、コンピュータ装置103に出力する。この実施の形態においては、センサ207によって検出手段を実現することができる。
【0032】
デジタルキルビメーター101は、制御部と、コンピュータ装置103との間で通信をおこなうI/Fとを備えている。図示を省略するが、デジタルキルビメーター101が備える制御部は、たとえば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、によって構成されるマイクロコンピュータによって実現することができる。I/Fは、たとえばUSB規格に準じた、上記のUSBコネクタ204によって実現することができる。コンピュータ装置103に対する各種の信号の出力は、I/Fを含むデジタルキルビメーター101が備える各部を、制御部によって駆動制御することによっておこなわれる。
【0033】
(テンキー102の構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるテンキー102の構成について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるテンキー102を示す説明図である。図3において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるテンキー102は、デジタルキルビメーター101やコンピュータ装置103とは別体とされている。この実施の形態においては、テンキー102によって入力受付部を実現することができる。
【0034】
なお、この発明にかかる実施の形態の入力受付部は、テンキー102に限るものではない。具体的には、たとえば、テンキー102に代えて、あるいは、テンキー102に加えて、キーボード408aによって入力受付部を実現するようにしてもよい。
【0035】
テンキー102は、「0」〜「9」および「00」を示す数字キー、「+」、「−」、「*」、「/」、「・」などの記号キー、「TAB」キー、「BS(BackSpace)」キーおよび「Enter」キーなどの各種の操作キー301を備えている。テンキー102が備える各種の操作キー301の一部は、操作された場合にカーソルキーとして機能する。また、テンキー102は、ホイール302を備えている。測量支援装置100におけるテンキー102は、図3に示した構成のテンキー102に限るものではない。測量支援装置100におけるテンキー102は、市販されている各種のテンキー102を用いることができる。
【0036】
テンキー102は制御部と、コンピュータ装置103との間で通信をおこなうI/Fとを備えている。図示を省略するが、テンキー102が備える制御部は、たとえば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、によって構成されるマイクロコンピュータによって実現することができる。
【0037】
I/Fは、たとえばUSB規格に準じたUSBコネクタ303によって実現することができる。テンキー102は、USBコネクタ303を介してコンピュータ装置103に接続される。テンキー102は、コンピュータ装置103に対して、取り外し可能に接続される。コンピュータ装置103に対する各種の信号の出力は、I/Fを含むテンキー102が備える各部を、制御部により駆動制御することによっておこなわれる。
【0038】
(コンピュータ装置103のハードウエア構成)
図4は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるコンピュータ装置103のハードウエア構成を示す説明図である。図4において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるコンピュータ装置103は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置103によって実現することが可能であり、CPU401と、ROM402と、RAM403と、HDD(ハードディスクドライブ)404と、HD(ハードディスク)405と、I/F406と、ディスプレイ407と、入力操作部408と、を備えて構成されている。コンピュータ装置103が備える各部は、バス410によってそれぞれ接続されている。
【0039】
CPU401は、コンピュータ装置103全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラムや測量プログラムなどの各種の制御プログラムを記憶している。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。CPU401、ROM402およびRAM403は、マイクロコンピュータを構成している。HDD404は、CPU401の制御にしたがってHD405に対するデータのリード/ライトを制御する。HD405は、HDD404の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0040】
I/F406は、1つまたは複数設けられており、デジタルキルビメーター101やテンキー102などとそれぞれ接続される。I/F406は、デジタルキルビメーター101やテンキー102との通信にかかるインターフェースを司り、デジタルキルビメーター101やテンキー102から出力された各種の情報を受信し、受信された各種の情報をCPU401に対して出力する。
【0041】
I/Fは、具体的には、たとえば、USB規格に則した通信をおこなうUSBコネクタによって実現することができる。この実施の形態において、テンキー102と同等の機能を実現可能な入力操作部408を備えている場合は、コンピュータ装置103に対してテンキー102を接続せず、入力操作部408によって代用してもよい。
【0042】
I/F406には、たとえば半導体メモリなどのように、データの書き込みが可能な記録媒体が接続されてもよい。また、I/F406には、データの書き込みに加えて、書き込まれたデータの消去が可能な記録媒体が接続されてもよい。I/F406には、フラッシュメモリなどのようにコンピュータ装置103の電源を切った状態においても記憶した情報を消去することなく記憶する記録媒体を接続することができる。CPU401は、I/F406を介して記録媒体が接続されている場合、当該記録媒体に対するデータの書き込みなどを制御する。
【0043】
HD405やI/F406を介して接続された記録媒体などが、コンピュータ装置103の電源を切った状態においても記憶した情報を消去することなく記憶する記録媒体である場合、測量をおこなうごとに測量結果(測量対象線の長さ、高さデータなど)に関する情報を記憶しておくことができるので、作業を中断することによってそれまでの測量データが無駄になることがなく、作業効率の向上を図ることができる。測量結果に関する情報は、メモリ用I/Fに接続される記録媒体に記録するものに限らず、ROM402などに記憶してもよい。
【0044】
ディスプレイ407は、コンピュータ装置103が備えるCPU(図1を参照)によって駆動制御され、表示画面において所定の文字や図形画像、カーソル、アイコン、ツールボックスなどを表示する。ディスプレイ407は、たとえば液晶パネルなどを用いて実現することができる。
【0045】
入力操作部408は、キーボード408aやポインティングデバイス408bを備えている。キーボード408aは、コンピュータ装置103に対する文字情報や数値情報の入力操作を受け付ける複数の操作キーを備えている。キーボード408aは、操作された操作キーの組み合わせによって、所定のコマンドの入力を受け付けることができる。キーボード408aは、所定のコマンドの入力を受け付けるファンクションキーを備えていてもよい。キーボード408aは、操作されたキーに応じた信号をCPU401に対して出力する。
【0046】
ポインティングデバイス408bは、画面上での入力位置や座標を指定する入力機器であって、たとえばタッチパッドによって実現することができる。測量支援装置100を実現するコンピュータ装置103においては、タッチパッドに代えて、あるいは、タッチパッドに加えて、マウスなどのタッチパッド以外のポインティングデバイス408bを備えていてもよい。
【0047】
(測量支援装置100の使用例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100の使用例について説明する。測量支援装置100を実現するコンピュータ装置103において、ROM402あるいはHD205には、デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバや、デジタルキルビメーター101から出力された各種の情報を受信する受信ソフトウエアなどの各種のプログラムが格納されている。
【0048】
ドライバは、CPU401が、コンピュータ装置103に対してデジタルキルビメーター101が接続されたことを検出した場合に起動される。受信ソフトウエアは、CPU401が、コンピュータ装置103に対してデジタルキルビメーター101が接続されたことを検出した場合に起動されるものであってもよいし、コンピュータ装置103に対して所定の入力操作がおこなわれた場合に起動されるものであってもよい。
【0049】
デジタルキルビメーター101は、当該デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103に接続された場合に、当該コンピュータ装置103に対して各種のデータを出力する。デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101が接続されると、まず、ディスプレイに「ユーザー縮尺」設定画面を表示する(図5を参照)。
【0050】
図5は、「ユーザー縮尺」設定画面の一例を示す説明図である。図5において、「ユーザー縮尺」設定画面500は、ディスプレイ407においてポップアップ表示される。作業者が任意に縮尺を設定して測量をおこなう場合は、「ユーザー縮尺」設定画面500における入力領域に任意の縮尺情報を入力する。
【0051】
縮尺は、デジタルキルビメーター101を用いて実際に測定した線分の長さに基づいて、コンピュータ装置103において算出することによって求めてもよい。具体的には、たとえば、実際の長さが既知である地図上の線をデジタルキルビメーター101を用いて実際に測定するとともに、当該線の実際の長さを示す数値情報をテンキー102あるいはキーボードを介して入力する。
【0052】
コンピュータ装置103は、測定結果および入力された数値情報に基づいて縮尺を算出することができる。デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103においては、縮尺の他、単位などの設定が可能であってもよい。単位の設定方法については、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
【0053】
図6は、測量支援装置100を用いた測量作業姿勢の一例を示す説明図である。図6において、測量支援装置100を用いた測量作業に際して、作業者600は、まず、デジタルキルビメーター101およびテンキー102をコンピュータ装置103に接続する。そして、デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103における縮尺や単位の設定をおこなう。
【0054】
上記の設定が完了した場合は、一方の手(図6においては作業者600の右手)にデジタルキルビメーター101を把持し、他方の手(図6においては作業者600の左手)の近傍にテンキー102を設置する。この状態において、作業者600は、開始/終了ボタン205を操作する。デジタルキルビメーター101は、開始/終了ボタン205が操作された場合は、開始/終了ボタン205が操作された時点において測定期間中であるか否かを判断する。
【0055】
測定期間中であるか否かの判断は、たとえば、デジタルキルビメーター101が備える制御部によっておこなうことができる。デジタルキルビメーター101は、判断の結果、測定期間中ではないと判断した場合、コンピュータ装置103に対して測量開始信号を出力し、測輪202の回転を待機する。作業者は、測量対象とする地図上の任意の線に沿って測輪202が回転するように、デジタルキルビメーター101を移動させる。
【0056】
図7は、測量対象例を示す説明図である。図7においては、A点からB点に向かって直線状にデジタルキルビメーター101を移動させる場合の測輪202の経路701と、C点からB点に向かって曲線状にデジタルキルビメーター101を移動させる場合の測輪202の経路702と、を示している。
【0057】
測輪202は、作業者600が地図紙面に測輪202を押し当てた状態で、地図上の任意の線に沿ってデジタルキルビメーター101を移動させた場合に、地図紙面と測輪202との摩擦によって回転する。測輪202は、任意の線の長さに応じた数だけ回転する。デジタルキルビメーター101は、測定期間中に測輪202の回転を検出した場合、随時、コンピュータ装置103に対して回転数を示す情報を出力する。
【0058】
コンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101およびテンキー102が接続されている状態においては、デジタルキルビメーター101あるいはテンキー102から出力される情報を受信するまで待機している。コンピュータ装置103は、たとえば、デジタルキルビメーター101から出力された回転数を示す情報を受信した場合、当該情報を長さに関する情報として取得し、取得された情報に基づいて任意の線の長さを算出する。また、コンピュータ装置103は、算出された任意の線の長さに関する情報をHD405などのメモリに記憶する。
【0059】
作業者600は、任意の線に沿ってデジタルキルビメーター101を移動させている途中で、測輪202が、標高などの高さに関する地点情報を入力するポイントに到達した場合、入力ポイントボタン206を操作する。このとき、筐体201のサイズが作業者600が片手で把持できる程度とされ、当該筐体201を把持した状態において作業者600の親指の可動範囲内となる位置に開始/終了ボタン205および入力ポイントボタン206が設けられているため、作業者600は、測量を開始してから地点情報の入力を宣言するまでの間の一連の作業を、片手でおこなうことができる。
【0060】
そして、作業者600は、入力ポイントボタン206の操作後に、テンキー102を用いて地点情報を入力する。地点情報の入力に際しては、たとえば、コンピュータ装置103のディスプレイ407に、地点情報を入力するための画面をポップアップ表示する。作業者600は、ディスプレイ407に表示された地点情報を入力するための画面にしたがって地点情報を入力することができる。
【0061】
デジタルキルビメーター101は、入力ポイントボタン206が操作されると、入力ポイントボタン206が操作された時点において測定期間中であるか否かを判断する。測定期間中であるか否かの判断は、たとえば、開始/終了ボタン205の操作の判断と同様に、デジタルキルビメーター101が備える制御部によっておこなうことができる。
【0062】
デジタルキルビメーター101は、判断の結果、測定期間中であると判断した場合、地点情報入力宣言信号をコンピュータ装置103に対して出力する。テンキー102は、操作キーが操作されると、操作されたキーに応じた信号をコンピュータ装置103に対して出力する。
【0063】
また、コンピュータ装置103は、たとえば、デジタルキルビメーター101から出力された地点情報入力宣言信号を受信した場合、当該地点情報入力宣言信号の受信後にテンキー102から出力された情報を受信するまで待機する。そして、コンピュータ装置103は、地点情報入力宣言信号の受信後にテンキー102から出力された情報に基づいて地点情報を生成し、生成された地点情報を地点情報入力宣言信号を受信した時点における地点情報として記憶する。
【0064】
なお、コンピュータ装置103は、地点情報入力宣言信号の受信後に、テンキー102から出力された情報を受信していないまま、ふたたびデジタルキルビメーター101から回転数を示す情報が出力された場合は地点情報の入力がおこなわれなかったものとし、デジタルキルビメーター101から出力された回転数を示す情報に基づいて長さの算出を継続する。
【0065】
また、デジタルキルビメーター101は、判断の結果、測定期間中である場合は、測定期間を終了する。測定期間を終了したデジタルキルビメーター101は、測輪202の回転の有無にかかわらず、つぎに測定期間が開始されるまでの間回転数を示す情報は出力しない。
【0066】
測定期間中であるか否かの判断は、デジタルキルビメーター101から出力された信号に基づいてコンピュータ装置103が備えるCPUによっておこなってもよい。測定期間中であるか否かの判断をコンピュータ装置103においておこなう場合においては、上記の判断の結果、測定期間中であれば、CPUは、デジタルキルビメーター101から信号が出力された場合にもコンピュータ装置103がデジタルキルビメーター101からの出力信号に基づいた動作をおこなわない。
【0067】
デジタルキルビメーター101から出力された情報は、たとえば、所定の表計算ソフトウエアに取り込むことが可能とされていてもよい。図8は、ディスプレイ407における表示画面の一例を示す説明図である。図8に示した表示画面800は、たとえば、デジタルキルビメーター101において入力ポイントボタン206が操作されることによって地点情報の入力が宣言された場合に、ディスプレイ407に表示される。
【0068】
表示画面800においては、所定の表計算ソフトウエアが起動された状態を示している。所定の表計算ソフトウエアは、受信ソフトウエアと連動しており、たとえば地点情報の入力に際して、デジタルキルビメーター101において入力ポイントボタン206が操作された場合に自動的に起動される。受信ソフトウエアと所定の表計算ソフトウエアとが連動していることにより、受信ソフトウエアの表示画面および表計算ソフトにおける所定のセルに、測定によって得られた長さに設定された縮尺にしたがって変換した長さ情報を表示させることができる。このような受信ソフトウエアについては、公知の技術であるため説明を省略する。
【0069】
図9、図10、図11および図12は、測量の結果を例示する説明図である。図9においては、測輪202を経路701に沿って移動させた場合における、A点〜B点間の各地点情報を示している。図10においては、測輪202を経路701に沿って移動させた場合における、A点〜B点間の断面形状を示している。図11においては、測輪202を経路702に沿って移動させた場合における、C点〜B点間の各地点情報を示している。図12においては、測輪202を経路702に沿って移動させた場合における、C点〜B点間の断面形状を示している。
【0070】
図9、図10、図11および図12に示したように、この実施の形態の測量支援装置100によれば、地図上の任意の線に沿って測輪202が回転するようにデジタルキルビメーター101を移動させ、地点情報の入力ポイントを宣言した後にテンキー102の操作によって地点情報を入力することによって、測量をおこなうことができる。これによって、測量作業の容易化を図ることができる。
【0071】
この実施の形態においては、デジタルキルビメーター101の使用に際して、マニュアルモードおよびオートモードのいずれか一方を選択的に設定することができる。マニュアルモードにおいては、上述したように、地点の標高や比較対象地点との高低差など、地点の高さに関する情報を作業者600が手動で入力することができる。オートモードにおいては、地点の高さに関する情報を、センサ207による検出結果に基づいて受信ソフトウエアの処理によって自動で入力することができる。
【0072】
つぎに、オートモードにおける測量方法について説明する。オートモードにおける測量作業に際しては、まず、デジタルキルビメーター101およびテンキー102をコンピュータ装置103に接続する。そして、上述と同様にして、測量を開始する前に、コンピュータ装置103において受信ソフトウエアを起動して縮尺や単位の設定をおこなうとともに、オートモードで測量をおこなう旨の設定操作をおこなう。オートモードで測量をおこなう旨の設定は、たとえば、ディスプレイ407に所定のオートモード設定画面を表示し、表示画面における表示内容にしたがって入力操作部408での入力操作をおこなわせることによって実現することができる。
【0073】
オートモードにおける測量作業に際して、作業者600は、つぎに、開始/終了ボタン205を操作する。デジタルキルビメーター101は、開始/終了ボタン205が操作された場合、測量期間中であるかどうかを判断し、測量期間中ではない場合はコンピュータ装置103に対して測量開始信号を出力する。また、オートモードにおける測量作業に際して、開始/終了ボタン205が操作された場合、センサ207を起動して発光素子を点灯させる。
【0074】
また、オートモードにおける測量作業に際して、作業者600は、開始/終了ボタン205の操作の後、入力ポイントボタン206を操作して、等高線を越えることによる標高の変動方向を切り替える。等高線は、山や谷などの地表の起伏を示しているため、等高線に交差する地図上の任意の線に沿って測輪202を回転させる場合、デジタルキルビメーター101によって測量される各地点の標高は等高線を越えるごとに変動する。
【0075】
地図上の任意の線が山あるいは谷となる地形を示す複数の等高線を横断する線である場合、当該任意の線に沿った移動に際して複数の等高線を越えたデジタルキルビメーター101が測量する地点の標高は、連続して高くあるいは低くなる。すなわち、一定区間の間は、等高線を越えるごとに高くなる方向あるいは低くなる方向に変動するものであり、たとえば、等高線を越えるごとに標高の変動方向が上下に反転するものではない。
【0076】
このため、オートモードにおける測量作業に際しては、作業者600が等高線の変動方向をあらかじめ指定しておくことにより、任意の線に沿ってデジタルキルビメーター101が移動する際に等高線を越えると、任意の線と等高線とが交差する地点の標高を自動的に記録することができる。オートモードにおける測量作業に際して、地点情報は、標高を直接的に示す情報に限るものではなく、等高線を越える前の地点情報が示す標高(高さ基準位置)に対する高度差を示す情報であってもよい。
【0077】
オートモードにおける測量作業に際して、デジタルキルビメーター101は、測輪202の回転に応じて回転数を示す情報をコンピュータ装置103に対して出力するとともに、センサ207からの出力信号に基づいて測輪202が等高線を越えたことを示す信号をコンピュータ装置103に対して出力する。
【0078】
コンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101からの出力信号に基づいて、任意の線の長さを算出する。また、コンピュータ装置103は、算出された任意の線の長さに関する情報をHD405などのメモリに記憶する。また、コンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101からの出力信号および入力ポイントボタン206の操作によって設定された標高の変動方向に基づいて、測輪202が等高線を越えたことを示す信号を受信するごとに、地点情報を生成する。そして、生成された地点情報を測輪202が等高線を越える時点における地点情報として記憶する。
【0079】
オートモードにおける測量作業に際して、作業者600は、等高線の変動方向が変わるごとに入力ポイントボタン206を操作して、等高線の変動方向を切り替える。入力ポイントボタン206の操作によって指定される等高線の変動方向は、入力ポイントボタン206を操作するごとに「標高が高くなる方向」と「標高が低くなる方向」とに交互に切り替わる。
【0080】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、携帯可能であって地図上の任意の線に沿って回転可能な測輪202が先端部に設けられるとともに、測量区間の指定操作を受け付ける開始/終了ボタン205および地図上の任意の地点にの高さに関する地点情報の入力を宣言する宣言操作を受け付ける入力ポイントボタン206が設けられたデジタルキルビメーター101と、デジタルキルビメーター101とは別体であって地点情報の入力を受け付けるテンキー102と、を備えている。
【0081】
そして、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、開始/終了ボタン205によって指定操作を受け付けてから当該指定操作をつぎに受け付けるまでの測定期間中における測輪202の回転数に基づいて、任意の線の長さに関する情報を取得し、取得された長さに関する情報に基づいて、任意の線の長さを算出し、算出された任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、測定期間中に入力ポイントボタン206によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後にテンキー102によって入力を受け付けた地点情報を宣言操作を受け付けた時点における任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴としている。
【0082】
この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、開始/終了ボタン205と入力ポイントボタン206とがともにデジタルキルビメーター101の筐体201に設けられているため、測量作業をおこなう作業者600に対して、測量区間の指定操作および地点情報の入力を宣言する宣言操作を片手でおこなわせることができる。これによって、測量作業をおこなう作業者600に対して、地点情報を入力するために地図上の任意の線の長さの測定を中断して、デジタルキルビメーター101を把持した手を当該デジタルキルビメーター101から離させることなく、地図上の任意の線の長さの測定および地点情報の入力をおこなわせることができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、テンキー102はデジタルキルビメーター101とは別体とされているため、測量作業をおこなう作業者600に対して、任意の線に沿って移動するデジタルキルビメーター101の位置にかかわらず、当該作業者600が入力作業をおこないやすい状態(姿勢)で地点情報を入力させることができる。これによって、測量作業をおこなう作業者600に対して、地点情報を入力するために地図上の任意の線の長さの測定を中断させずに、地点情報の入力をおこなわせることができる。
【0084】
このように、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、測定の開始から終了までの間、デジタルキルビメーター101から手を離すことなく、高さや高低差などの地点情報を関連づけながら、地図上の任意の線の長さを測定することができる。これによって、地図上の任意の線の長さの測定中に地点情報を記録するための筆記具への持ち替えをおこなうことなどによって測定誤差が生じることを抑制することができる。また、これによって、測量作業(地図上の任意の線の長さの測定や地点情報の入力など)にかかる時間短縮を図ることができる。
【0085】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、地点情報の入力に先立って宣言操作をおこなわせるだけで、宣言操作後に入力された地点情報と宣言操作を受け付けた時点における任意の線の長さに関する情報とを関連づけて記憶することができる。これによって、容易に、任意の線の長さに関する情報と地点情報とを関連づけて記憶することができる。
【0086】
このように、この発明によれば、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図るとともに、測量結果の高精度化を図ることができる。これによって、この発明にかかる測量支援装置100を用いて取得された測量情報(任意の線の長さに関する情報や地点の高さに関する情報)に基づいて作成された2次元図面に対する信頼性の向上を図ることができる。
【0087】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、テンキー102において、地図の縮尺に関する情報の入力を受け付け、入力された地図の縮尺に関する情報に基づいて任意の線の長さを算出することを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、測量対象とする地図の縮尺に応じて、任意の線の長さを実際の距離に即して算出することができる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、算出された任意の線の長さ、テンキー102の操作によって入力を受け付けた地点情報および縮尺に関する情報に基づいて2次元断面図を作成することを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、高精度な2次元断面図を容易かつ短時間で作成することができる。
【0089】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、デジタルキルビメーター101に設けられ、測輪202と地図との設置位置における地図上の等高線を検出するセンサ207と、地図上の等高線が示す高さの変動方向に関する変動方向情報の入力を受け付ける入力ポイントボタン206と、入力ポイントボタン206によって変動方向情報の入力を受け付けた場合はセンサ207によって地図上の等高線を検出するごとに、検出された等高線の高さに関する地点情報を生成する。
【0090】
そして、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、コンピュータ装置103によって地点情報を生成するごとに、生成された地点情報を、地図上の等高線を検出した時点における任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴としている。
【0091】
この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、入力ポイントボタン206によって入力を受け付けた変動方向にしたがって、等高線を検出するごとに地点情報を算出し、記憶することができるので、地点情報の入力作業にかかる負担軽減を図ることができる。これによって、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図ることができる。
【0092】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、任意の線から視線をずらすことなく任意の線に沿って測輪202を回転させるようにデジタルキルビメーター101を移動させるだけで、等高線を検出するごとに地点情報を算出し、記憶することができる。これによって、デジタルキルビメーター101を任意の線に沿って高精度に移動させることができ、測量結果の高精度化を図ることができる。
【0093】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、入力ポイントボタン206およびテンキー102の操作に応じて生成された地点情報を記憶するオートモードおよび入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を記憶するマニュアルモードのいずれか一方を選択的に設定し、オートモードが設定されている場合に地点情報を生成することを特徴としている。
【0094】
この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、地図上において測量対象とする地形に応じて適した測量モードを設定することにより、高い測量精度を確保したまま、測量にかかる作業負担の軽減を図ることができる。
【0095】
このように、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、紙図面からデータ取得から断面図作図までを一度におこなうことができる。そして、デジタルキルビメーター100と地点情報を記録するためのペンとの持ち替えによる測定誤差をなくすことができる。
【0096】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、測定誤差をなくした水平距離および高さの情報に基づいて地形の断面図を作成することにより図面作成の精度の向上を図ることができる。
【0097】
さらに、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、マニュアルモードとオートモードとの2つモードのいずれかを適宜選択的に設定することが可能であるため、測定対象とする図面における地形に応じてマニュアルモードあるいはオートモード適宜選択することができる。
【0098】
加えて、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、2次元図面の作成に用いる各種データの取得から2次元図面の作成までを、すべて電子化することができるので、専門技術や専門知識を有する作業者600に限定することなく、幅広い作業者600が測量作業を担うことができる。これによって、測量作業を汎用化することができるので、2次元図面の作成にかかるコスト低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、この発明にかかる測量支援装置は、図面上の曲線の長さなどの情報を取得する測量支援装置に有用であり、特に、紙面上の地図に基づいた2次元断面図の作成を支援する測量支援装置に適している。
【符号の説明】
【0100】
100 測量支援装置
101 デジタルキルビメーター
102 テンキー
103 コンピュータ装置
201 筐体
202 測輪
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙面上の地図に基づいた2次元断面図の作成を支援する測量支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、架空送電線路を新設する業務において、最下電力線と線下工作物などの離隔距離を検討する際には、紙面などに記された平面図における等高線を目視によって読み取りながら、水平距離と高低差とを図面化した2次元の断面図を作成していた。このような2次元の断面図は、架空送電線路の新設業務に加えて、たとえば、主に地山掘削などのように架空送電線路の支持物周辺における開発行為に際しても作成していた。また、このような2次元の断面図は、たとえば、工事にともなう資機材運搬に際しての運搬距離や高低差を把握する際にも作成していた。
【0003】
このような2次元の断面図の作成に際して、従来は、まず、キルビメーターや三角スケールを用いて、紙面に記載された平面図における水平距離を測定するとともに、水平距離の測定にかかる2つのポイントの高低差や当該2つのポイントにおけるそれぞれの標高をメモに取るなどすることによって、2次元の断面図の作成に要するデータを取得するようにしていた。そしてその後、取得されたデータを用いて、方眼紙などの紙面に2次元の断面図を作成したり、CADを用いて2次元の断面図を作成したりしていた。
【0004】
このように、従来の技術を用いて2次元の断面図を作成する場合、データを取得する工程と、取得されたデータを用いて2次元の断面図を作成する工程と、の2つの作業工程を段階的におこなっていた。このため、従来の技術を用いた2次元の断面図の作成に際しては、手間と時間とがかかるという不具合があった。
【0005】
このような不具合を解決するため、従来、具体的には、たとえば、図面上の曲線の長さを測るキルビメーターの機能に、測定によって得られた図面上の曲線の長さをデジタル化することによって、縮尺率・単位の設定、測定の一時停止、測定方向の設定を可能にするとともに、累積値や平均値などの各種の値の計算を可能にした技術があった(たとえば、下記特許文献1、非特許文献1を参照。)。
【0006】
また、従来、具体的には、たとえば、専用のデバイスドライバがインストールされたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置に接続することによって、当該コンピュータ装置において図面上の曲線の長さの測定を可能にするとともに、当該コンピュータ装置に専用の受信ソフトをインストールすることによって、測定した図面上の曲線の長さに関する情報を所定の表計算ソフトウエアにおいて管理し、積算などの各種の処理に供することを可能にした技術があった(たとえば、下記非特許文献2を参照。)。
【0007】
また、従来、具体的には、たとえば、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するとともに、当該電子化された図面(電子図面)に対応付けて標高などの地図情報を別途入力することによって、電子図面に関する情報および地図情報に基づいて断面図の作成を可能にした技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−149801号公報
【0009】
【非特許文献1】http://www.fymetrix.co.jp/products/cv58_j.htm (2010年1月29日検索)
【非特許文献2】http://www.fymetrix.co.jp/products/cv98_j.htm (2010年1月29日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術では、測定ポイントにおいて高低差や標高などの高さについてのメモを取る作業が必要であった。このため、たとえば、キルビメーターを操作して水平距離を測るために右手などの利き手を使った場合、メモを取るために利き手に持ったキルビメーターを筆記用具に持ち替えなくてはならず煩わしいという問題があった。また、このような従来の技術では、測定ポイントが多い場合は、キルビメーターと筆記用具とを持ち替える回数が多くなり、一層煩わしいという問題があった。
【0011】
また、このような従来の技術では、測定ポイントごとにキルビメーターと筆記用具とを持ち替えることにより、測定点がズレたり筆記ミスを生じたりする可能性が高くなり、測定結果に誤差が生じやすくなるという問題があった。また、このような従来の技術では、測定ポイントごとにキルビメーターと筆記用具とを持ち替えるための時間を要するために、測定ポイントが多いほど測定に時間がかかってしまい、作業性が低くなってしまうという問題があった。
【0012】
また、上述した特許文献1、非特許文献1、2に記載された従来の技術では、「図面上の曲線の長さを測る」というキルビメーターの元々の機能を実現することはできるが、依然、測定ポイントにおいて高低差や標高などの高さについてのメモを取る必要があるため煩わしいという問題があった。また、上述した特許文献1、非特許文献1、2に記載された従来の技術では、2次元の断面図を作成するためには、高さ(高低差・標高等)をポイントごとにメモを取りながらそのデータを基に図面を作成しなければならず、手間がかかるという問題があった。
【0013】
また、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するようにした従来の技術では、紙図面をスキャニングするためのスキャナなどの機器が必要となるため、測定作業をおこなう環境に制限を生じるという問題があった。さらに、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するようにした従来の技術では、スキャニングすることによって電子図面化したデータに地図情報を入力するため、手間がかかり煩わしいという問題があった。
【0014】
また、紙面に記された図面をスキャニングすることによって電子図面化するようにした従来の技術では、電子図面化されたデータを利用するためのソフトウエアをコンピュータ装置に事前にインストールしなくてはならず煩わしいという問題があった。
【0015】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図るとともに、測量結果の高精度化を図ることができる測量支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる測量支援装置は、携帯可能であって地図上の任意の線に沿って回転可能な測輪が先端部に設けられるとともに、測量区間の指定操作を受け付ける区間指定操作部および前記地図上の任意の地点の高さに関する地点情報の入力を宣言する宣言操作を受け付ける宣言操作部が設けられた把持部と、前記把持部とは別体であって前記地点情報の入力を受け付ける入力受付部と、前記区間指定操作部によって指定操作を受け付けてから当該指定操作をつぎに受け付けるまでの測定期間中における前記測輪の回転数に基づいて、前記任意の線の長さに関する情報を取得する長さ情報取得手段と、前記長さ情報取得手段によって取得された前記長さに関する情報に基づいて、前記任意の線の長さを算出する長さ算出手段と、前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、前記測定期間中に前記宣言操作部によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後に前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を前記宣言操作を受け付けた時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶する記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記入力受付部が、前記地図の縮尺に関する情報の入力を受け付け、前記長さ算出手段が、入力された前記地図の縮尺に関する情報に基づいて前記任意の線の長さを算出することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さ、前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報および縮尺に関する情報に基づいて2次元断面図を作成する断面図作成手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記把持部に設けられ、前記測輪と前記地図との設置位置における前記地図上の等高線を検出する検出手段と、前記地図上の等高線が示す高さの変動方向に関する変動方向情報の入力を受け付ける変動方向入力手段と、前記変動方向入力手段によって変動方向情報の入力を受け付けた場合、前記検出手段によって前記地図上の等高線を検出するごとに、検出された等高線の高さに関する地点情報を生成する地点情報生成手段と、を備え、前記記憶手段が、前記地点情報生成手段によって地点情報を生成するごとに、生成された地点情報を、前記地図上の等高線を検出した時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる測量支援装置は、上記の発明において、前記地点情報生成手段によって生成された地点情報を記憶するオートモードおよび前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を記憶するマニュアルモードのいずれか一方を選択的に設定するモード設定手段を備え、前記地点情報生成手段が、前記モード設定手段によってオートモードが設定されている場合に前記地点情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明にかかる測量支援装置によれば、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図るとともに、測量結果の高精度化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置におけるデジタルキルビメーターを示す説明図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置におけるテンキーを示す説明図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態の測量支援装置におけるコンピュータ装置のハードウエア構成を示す説明図である。
【図5】「ユーザー縮尺」設定画面の一例を示す説明図である。
【図6】測量支援装置を用いた測量作業姿勢の一例を示す説明図である。
【図7】測量対象例を示す説明図である。
【図8】ディスプレイにおける表示画面の一例を示す説明図である。
【図9】測量の結果を例示する説明図(その1)である。
【図10】測量の結果を例示する説明図(その2)である。
【図11】測量の結果を例示する説明図(その3)である。
【図12】測量の結果を例示する説明図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる測量支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
まず、この発明にかかる実施の形態の長さ測定装置を実現する測量支援装置の構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、デジタルキルビメーター101と、テンキー102と、コンピュータ装置103と、を備えている。
【0025】
(デジタルキルビメーター101の構成)
図2は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるデジタルキルビメーター101を示す説明図である。図2において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるデジタルキルビメーター101は、略筆記具状の細長い外観をなし、デジタルキルビメーター101の作業者が片手で把持できる程度のサイズの筐体201を備えている。
【0026】
筐体201における長手方向の一端(先端部)には、測輪202が設けられている。測輪202は、筐体201の先端部において回転可能に設けられている。筐体201において、長手方向の他端(根本部)には、デジタルキルビメーター101とコンピュータ装置103とを接続するケーブル203が設けられている。ケーブル203の一端側には、USBコネクタ204が設けられている。デジタルキルビメーター101は、USBコネクタ204を介してコンピュータ装置103に接続される。デジタルキルビメーター101は、コンピュータ装置103に対して、取り外し可能に接続される。
【0027】
ケーブル203は、たとえば、使用環境に応じて任意の長さとすることができる。また、筐体201とUSBコネクタ204との間に、ケーブル203の巻き取りおよび引き出しが可能なコードリール(図示を省略する)を設けてもよい。これによって、適宜、作業者が必要とする長さのケーブル203を引き出して使用することができる。
【0028】
筐体201には、開始/終了ボタン205および入力ポイントボタン206が設けられている。開始/終了ボタン205および入力ポイントボタン206は、筐体201を作業者が把持した状態において、作業者の親指の可動範囲内となる位置に設けられている。これにより、作業者は、デジタルキルビメーター101を把持した状態で、開始/終了ボタン205や入力ポイントボタン206を操作することができる。この実施の形態においては、デジタルキルビメーター101によって把持部としての機能を実現することができる。
【0029】
デジタルキルビメーター101は、開始/終了ボタン205が操作されるごとに、当該開始/終了ボタン205が操作されたことを示す信号を、コンピュータ装置103に対して出力する。また、デジタルキルビメーター101は、入力ポイントボタン206が操作されるごとに、当該入力ポイントボタン206が操作されたことを示す信号を、コンピュータ装置103に対して出力する。この実施の形態においては、開始/終了ボタン205によって区間指定操作部としての機能を実現し、入力ポイントボタン206によって宣言操作部としての機能を実現することができる。また、この実施の形態においては、入力ポイントボタン206によって変動方向入力手段としての機能を実現することができる。
【0030】
測輪202の近傍には、センサ207が設けられている。このセンサ207は、発光素子および受光素子によって構成されており、受光素子における受光量の変化に応じて出力が変化する。発光素子は、測輪202の近傍に向けて光を照射する。デジタルキルビメーター101の使用に際しては、測輪202が地図が印刷された紙面に接触した状態とされるため、測輪202の近傍に向けて照射された光は紙面によって反射されて受光素子に入射する。
【0031】
受光素子における受光量は、たとえば、地図上の任意の線に沿って測輪202を回転させながら筐体201を移動させる際に、測輪202が等高線上を通過した場合に変動する。センサ207は、受光素子における受光量に応じた出力信号を、コンピュータ装置103に出力する。この実施の形態においては、センサ207によって検出手段を実現することができる。
【0032】
デジタルキルビメーター101は、制御部と、コンピュータ装置103との間で通信をおこなうI/Fとを備えている。図示を省略するが、デジタルキルビメーター101が備える制御部は、たとえば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、によって構成されるマイクロコンピュータによって実現することができる。I/Fは、たとえばUSB規格に準じた、上記のUSBコネクタ204によって実現することができる。コンピュータ装置103に対する各種の信号の出力は、I/Fを含むデジタルキルビメーター101が備える各部を、制御部によって駆動制御することによっておこなわれる。
【0033】
(テンキー102の構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるテンキー102の構成について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるテンキー102を示す説明図である。図3において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるテンキー102は、デジタルキルビメーター101やコンピュータ装置103とは別体とされている。この実施の形態においては、テンキー102によって入力受付部を実現することができる。
【0034】
なお、この発明にかかる実施の形態の入力受付部は、テンキー102に限るものではない。具体的には、たとえば、テンキー102に代えて、あるいは、テンキー102に加えて、キーボード408aによって入力受付部を実現するようにしてもよい。
【0035】
テンキー102は、「0」〜「9」および「00」を示す数字キー、「+」、「−」、「*」、「/」、「・」などの記号キー、「TAB」キー、「BS(BackSpace)」キーおよび「Enter」キーなどの各種の操作キー301を備えている。テンキー102が備える各種の操作キー301の一部は、操作された場合にカーソルキーとして機能する。また、テンキー102は、ホイール302を備えている。測量支援装置100におけるテンキー102は、図3に示した構成のテンキー102に限るものではない。測量支援装置100におけるテンキー102は、市販されている各種のテンキー102を用いることができる。
【0036】
テンキー102は制御部と、コンピュータ装置103との間で通信をおこなうI/Fとを備えている。図示を省略するが、テンキー102が備える制御部は、たとえば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、によって構成されるマイクロコンピュータによって実現することができる。
【0037】
I/Fは、たとえばUSB規格に準じたUSBコネクタ303によって実現することができる。テンキー102は、USBコネクタ303を介してコンピュータ装置103に接続される。テンキー102は、コンピュータ装置103に対して、取り外し可能に接続される。コンピュータ装置103に対する各種の信号の出力は、I/Fを含むテンキー102が備える各部を、制御部により駆動制御することによっておこなわれる。
【0038】
(コンピュータ装置103のハードウエア構成)
図4は、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるコンピュータ装置103のハードウエア構成を示す説明図である。図4において、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100におけるコンピュータ装置103は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置103によって実現することが可能であり、CPU401と、ROM402と、RAM403と、HDD(ハードディスクドライブ)404と、HD(ハードディスク)405と、I/F406と、ディスプレイ407と、入力操作部408と、を備えて構成されている。コンピュータ装置103が備える各部は、バス410によってそれぞれ接続されている。
【0039】
CPU401は、コンピュータ装置103全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラムや測量プログラムなどの各種の制御プログラムを記憶している。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。CPU401、ROM402およびRAM403は、マイクロコンピュータを構成している。HDD404は、CPU401の制御にしたがってHD405に対するデータのリード/ライトを制御する。HD405は、HDD404の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0040】
I/F406は、1つまたは複数設けられており、デジタルキルビメーター101やテンキー102などとそれぞれ接続される。I/F406は、デジタルキルビメーター101やテンキー102との通信にかかるインターフェースを司り、デジタルキルビメーター101やテンキー102から出力された各種の情報を受信し、受信された各種の情報をCPU401に対して出力する。
【0041】
I/Fは、具体的には、たとえば、USB規格に則した通信をおこなうUSBコネクタによって実現することができる。この実施の形態において、テンキー102と同等の機能を実現可能な入力操作部408を備えている場合は、コンピュータ装置103に対してテンキー102を接続せず、入力操作部408によって代用してもよい。
【0042】
I/F406には、たとえば半導体メモリなどのように、データの書き込みが可能な記録媒体が接続されてもよい。また、I/F406には、データの書き込みに加えて、書き込まれたデータの消去が可能な記録媒体が接続されてもよい。I/F406には、フラッシュメモリなどのようにコンピュータ装置103の電源を切った状態においても記憶した情報を消去することなく記憶する記録媒体を接続することができる。CPU401は、I/F406を介して記録媒体が接続されている場合、当該記録媒体に対するデータの書き込みなどを制御する。
【0043】
HD405やI/F406を介して接続された記録媒体などが、コンピュータ装置103の電源を切った状態においても記憶した情報を消去することなく記憶する記録媒体である場合、測量をおこなうごとに測量結果(測量対象線の長さ、高さデータなど)に関する情報を記憶しておくことができるので、作業を中断することによってそれまでの測量データが無駄になることがなく、作業効率の向上を図ることができる。測量結果に関する情報は、メモリ用I/Fに接続される記録媒体に記録するものに限らず、ROM402などに記憶してもよい。
【0044】
ディスプレイ407は、コンピュータ装置103が備えるCPU(図1を参照)によって駆動制御され、表示画面において所定の文字や図形画像、カーソル、アイコン、ツールボックスなどを表示する。ディスプレイ407は、たとえば液晶パネルなどを用いて実現することができる。
【0045】
入力操作部408は、キーボード408aやポインティングデバイス408bを備えている。キーボード408aは、コンピュータ装置103に対する文字情報や数値情報の入力操作を受け付ける複数の操作キーを備えている。キーボード408aは、操作された操作キーの組み合わせによって、所定のコマンドの入力を受け付けることができる。キーボード408aは、所定のコマンドの入力を受け付けるファンクションキーを備えていてもよい。キーボード408aは、操作されたキーに応じた信号をCPU401に対して出力する。
【0046】
ポインティングデバイス408bは、画面上での入力位置や座標を指定する入力機器であって、たとえばタッチパッドによって実現することができる。測量支援装置100を実現するコンピュータ装置103においては、タッチパッドに代えて、あるいは、タッチパッドに加えて、マウスなどのタッチパッド以外のポインティングデバイス408bを備えていてもよい。
【0047】
(測量支援装置100の使用例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100の使用例について説明する。測量支援装置100を実現するコンピュータ装置103において、ROM402あるいはHD205には、デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバや、デジタルキルビメーター101から出力された各種の情報を受信する受信ソフトウエアなどの各種のプログラムが格納されている。
【0048】
ドライバは、CPU401が、コンピュータ装置103に対してデジタルキルビメーター101が接続されたことを検出した場合に起動される。受信ソフトウエアは、CPU401が、コンピュータ装置103に対してデジタルキルビメーター101が接続されたことを検出した場合に起動されるものであってもよいし、コンピュータ装置103に対して所定の入力操作がおこなわれた場合に起動されるものであってもよい。
【0049】
デジタルキルビメーター101は、当該デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103に接続された場合に、当該コンピュータ装置103に対して各種のデータを出力する。デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101が接続されると、まず、ディスプレイに「ユーザー縮尺」設定画面を表示する(図5を参照)。
【0050】
図5は、「ユーザー縮尺」設定画面の一例を示す説明図である。図5において、「ユーザー縮尺」設定画面500は、ディスプレイ407においてポップアップ表示される。作業者が任意に縮尺を設定して測量をおこなう場合は、「ユーザー縮尺」設定画面500における入力領域に任意の縮尺情報を入力する。
【0051】
縮尺は、デジタルキルビメーター101を用いて実際に測定した線分の長さに基づいて、コンピュータ装置103において算出することによって求めてもよい。具体的には、たとえば、実際の長さが既知である地図上の線をデジタルキルビメーター101を用いて実際に測定するとともに、当該線の実際の長さを示す数値情報をテンキー102あるいはキーボードを介して入力する。
【0052】
コンピュータ装置103は、測定結果および入力された数値情報に基づいて縮尺を算出することができる。デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103においては、縮尺の他、単位などの設定が可能であってもよい。単位の設定方法については、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
【0053】
図6は、測量支援装置100を用いた測量作業姿勢の一例を示す説明図である。図6において、測量支援装置100を用いた測量作業に際して、作業者600は、まず、デジタルキルビメーター101およびテンキー102をコンピュータ装置103に接続する。そして、デジタルキルビメーター101を動作させるためのドライバがインストールされたコンピュータ装置103における縮尺や単位の設定をおこなう。
【0054】
上記の設定が完了した場合は、一方の手(図6においては作業者600の右手)にデジタルキルビメーター101を把持し、他方の手(図6においては作業者600の左手)の近傍にテンキー102を設置する。この状態において、作業者600は、開始/終了ボタン205を操作する。デジタルキルビメーター101は、開始/終了ボタン205が操作された場合は、開始/終了ボタン205が操作された時点において測定期間中であるか否かを判断する。
【0055】
測定期間中であるか否かの判断は、たとえば、デジタルキルビメーター101が備える制御部によっておこなうことができる。デジタルキルビメーター101は、判断の結果、測定期間中ではないと判断した場合、コンピュータ装置103に対して測量開始信号を出力し、測輪202の回転を待機する。作業者は、測量対象とする地図上の任意の線に沿って測輪202が回転するように、デジタルキルビメーター101を移動させる。
【0056】
図7は、測量対象例を示す説明図である。図7においては、A点からB点に向かって直線状にデジタルキルビメーター101を移動させる場合の測輪202の経路701と、C点からB点に向かって曲線状にデジタルキルビメーター101を移動させる場合の測輪202の経路702と、を示している。
【0057】
測輪202は、作業者600が地図紙面に測輪202を押し当てた状態で、地図上の任意の線に沿ってデジタルキルビメーター101を移動させた場合に、地図紙面と測輪202との摩擦によって回転する。測輪202は、任意の線の長さに応じた数だけ回転する。デジタルキルビメーター101は、測定期間中に測輪202の回転を検出した場合、随時、コンピュータ装置103に対して回転数を示す情報を出力する。
【0058】
コンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101およびテンキー102が接続されている状態においては、デジタルキルビメーター101あるいはテンキー102から出力される情報を受信するまで待機している。コンピュータ装置103は、たとえば、デジタルキルビメーター101から出力された回転数を示す情報を受信した場合、当該情報を長さに関する情報として取得し、取得された情報に基づいて任意の線の長さを算出する。また、コンピュータ装置103は、算出された任意の線の長さに関する情報をHD405などのメモリに記憶する。
【0059】
作業者600は、任意の線に沿ってデジタルキルビメーター101を移動させている途中で、測輪202が、標高などの高さに関する地点情報を入力するポイントに到達した場合、入力ポイントボタン206を操作する。このとき、筐体201のサイズが作業者600が片手で把持できる程度とされ、当該筐体201を把持した状態において作業者600の親指の可動範囲内となる位置に開始/終了ボタン205および入力ポイントボタン206が設けられているため、作業者600は、測量を開始してから地点情報の入力を宣言するまでの間の一連の作業を、片手でおこなうことができる。
【0060】
そして、作業者600は、入力ポイントボタン206の操作後に、テンキー102を用いて地点情報を入力する。地点情報の入力に際しては、たとえば、コンピュータ装置103のディスプレイ407に、地点情報を入力するための画面をポップアップ表示する。作業者600は、ディスプレイ407に表示された地点情報を入力するための画面にしたがって地点情報を入力することができる。
【0061】
デジタルキルビメーター101は、入力ポイントボタン206が操作されると、入力ポイントボタン206が操作された時点において測定期間中であるか否かを判断する。測定期間中であるか否かの判断は、たとえば、開始/終了ボタン205の操作の判断と同様に、デジタルキルビメーター101が備える制御部によっておこなうことができる。
【0062】
デジタルキルビメーター101は、判断の結果、測定期間中であると判断した場合、地点情報入力宣言信号をコンピュータ装置103に対して出力する。テンキー102は、操作キーが操作されると、操作されたキーに応じた信号をコンピュータ装置103に対して出力する。
【0063】
また、コンピュータ装置103は、たとえば、デジタルキルビメーター101から出力された地点情報入力宣言信号を受信した場合、当該地点情報入力宣言信号の受信後にテンキー102から出力された情報を受信するまで待機する。そして、コンピュータ装置103は、地点情報入力宣言信号の受信後にテンキー102から出力された情報に基づいて地点情報を生成し、生成された地点情報を地点情報入力宣言信号を受信した時点における地点情報として記憶する。
【0064】
なお、コンピュータ装置103は、地点情報入力宣言信号の受信後に、テンキー102から出力された情報を受信していないまま、ふたたびデジタルキルビメーター101から回転数を示す情報が出力された場合は地点情報の入力がおこなわれなかったものとし、デジタルキルビメーター101から出力された回転数を示す情報に基づいて長さの算出を継続する。
【0065】
また、デジタルキルビメーター101は、判断の結果、測定期間中である場合は、測定期間を終了する。測定期間を終了したデジタルキルビメーター101は、測輪202の回転の有無にかかわらず、つぎに測定期間が開始されるまでの間回転数を示す情報は出力しない。
【0066】
測定期間中であるか否かの判断は、デジタルキルビメーター101から出力された信号に基づいてコンピュータ装置103が備えるCPUによっておこなってもよい。測定期間中であるか否かの判断をコンピュータ装置103においておこなう場合においては、上記の判断の結果、測定期間中であれば、CPUは、デジタルキルビメーター101から信号が出力された場合にもコンピュータ装置103がデジタルキルビメーター101からの出力信号に基づいた動作をおこなわない。
【0067】
デジタルキルビメーター101から出力された情報は、たとえば、所定の表計算ソフトウエアに取り込むことが可能とされていてもよい。図8は、ディスプレイ407における表示画面の一例を示す説明図である。図8に示した表示画面800は、たとえば、デジタルキルビメーター101において入力ポイントボタン206が操作されることによって地点情報の入力が宣言された場合に、ディスプレイ407に表示される。
【0068】
表示画面800においては、所定の表計算ソフトウエアが起動された状態を示している。所定の表計算ソフトウエアは、受信ソフトウエアと連動しており、たとえば地点情報の入力に際して、デジタルキルビメーター101において入力ポイントボタン206が操作された場合に自動的に起動される。受信ソフトウエアと所定の表計算ソフトウエアとが連動していることにより、受信ソフトウエアの表示画面および表計算ソフトにおける所定のセルに、測定によって得られた長さに設定された縮尺にしたがって変換した長さ情報を表示させることができる。このような受信ソフトウエアについては、公知の技術であるため説明を省略する。
【0069】
図9、図10、図11および図12は、測量の結果を例示する説明図である。図9においては、測輪202を経路701に沿って移動させた場合における、A点〜B点間の各地点情報を示している。図10においては、測輪202を経路701に沿って移動させた場合における、A点〜B点間の断面形状を示している。図11においては、測輪202を経路702に沿って移動させた場合における、C点〜B点間の各地点情報を示している。図12においては、測輪202を経路702に沿って移動させた場合における、C点〜B点間の断面形状を示している。
【0070】
図9、図10、図11および図12に示したように、この実施の形態の測量支援装置100によれば、地図上の任意の線に沿って測輪202が回転するようにデジタルキルビメーター101を移動させ、地点情報の入力ポイントを宣言した後にテンキー102の操作によって地点情報を入力することによって、測量をおこなうことができる。これによって、測量作業の容易化を図ることができる。
【0071】
この実施の形態においては、デジタルキルビメーター101の使用に際して、マニュアルモードおよびオートモードのいずれか一方を選択的に設定することができる。マニュアルモードにおいては、上述したように、地点の標高や比較対象地点との高低差など、地点の高さに関する情報を作業者600が手動で入力することができる。オートモードにおいては、地点の高さに関する情報を、センサ207による検出結果に基づいて受信ソフトウエアの処理によって自動で入力することができる。
【0072】
つぎに、オートモードにおける測量方法について説明する。オートモードにおける測量作業に際しては、まず、デジタルキルビメーター101およびテンキー102をコンピュータ装置103に接続する。そして、上述と同様にして、測量を開始する前に、コンピュータ装置103において受信ソフトウエアを起動して縮尺や単位の設定をおこなうとともに、オートモードで測量をおこなう旨の設定操作をおこなう。オートモードで測量をおこなう旨の設定は、たとえば、ディスプレイ407に所定のオートモード設定画面を表示し、表示画面における表示内容にしたがって入力操作部408での入力操作をおこなわせることによって実現することができる。
【0073】
オートモードにおける測量作業に際して、作業者600は、つぎに、開始/終了ボタン205を操作する。デジタルキルビメーター101は、開始/終了ボタン205が操作された場合、測量期間中であるかどうかを判断し、測量期間中ではない場合はコンピュータ装置103に対して測量開始信号を出力する。また、オートモードにおける測量作業に際して、開始/終了ボタン205が操作された場合、センサ207を起動して発光素子を点灯させる。
【0074】
また、オートモードにおける測量作業に際して、作業者600は、開始/終了ボタン205の操作の後、入力ポイントボタン206を操作して、等高線を越えることによる標高の変動方向を切り替える。等高線は、山や谷などの地表の起伏を示しているため、等高線に交差する地図上の任意の線に沿って測輪202を回転させる場合、デジタルキルビメーター101によって測量される各地点の標高は等高線を越えるごとに変動する。
【0075】
地図上の任意の線が山あるいは谷となる地形を示す複数の等高線を横断する線である場合、当該任意の線に沿った移動に際して複数の等高線を越えたデジタルキルビメーター101が測量する地点の標高は、連続して高くあるいは低くなる。すなわち、一定区間の間は、等高線を越えるごとに高くなる方向あるいは低くなる方向に変動するものであり、たとえば、等高線を越えるごとに標高の変動方向が上下に反転するものではない。
【0076】
このため、オートモードにおける測量作業に際しては、作業者600が等高線の変動方向をあらかじめ指定しておくことにより、任意の線に沿ってデジタルキルビメーター101が移動する際に等高線を越えると、任意の線と等高線とが交差する地点の標高を自動的に記録することができる。オートモードにおける測量作業に際して、地点情報は、標高を直接的に示す情報に限るものではなく、等高線を越える前の地点情報が示す標高(高さ基準位置)に対する高度差を示す情報であってもよい。
【0077】
オートモードにおける測量作業に際して、デジタルキルビメーター101は、測輪202の回転に応じて回転数を示す情報をコンピュータ装置103に対して出力するとともに、センサ207からの出力信号に基づいて測輪202が等高線を越えたことを示す信号をコンピュータ装置103に対して出力する。
【0078】
コンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101からの出力信号に基づいて、任意の線の長さを算出する。また、コンピュータ装置103は、算出された任意の線の長さに関する情報をHD405などのメモリに記憶する。また、コンピュータ装置103は、デジタルキルビメーター101からの出力信号および入力ポイントボタン206の操作によって設定された標高の変動方向に基づいて、測輪202が等高線を越えたことを示す信号を受信するごとに、地点情報を生成する。そして、生成された地点情報を測輪202が等高線を越える時点における地点情報として記憶する。
【0079】
オートモードにおける測量作業に際して、作業者600は、等高線の変動方向が変わるごとに入力ポイントボタン206を操作して、等高線の変動方向を切り替える。入力ポイントボタン206の操作によって指定される等高線の変動方向は、入力ポイントボタン206を操作するごとに「標高が高くなる方向」と「標高が低くなる方向」とに交互に切り替わる。
【0080】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、携帯可能であって地図上の任意の線に沿って回転可能な測輪202が先端部に設けられるとともに、測量区間の指定操作を受け付ける開始/終了ボタン205および地図上の任意の地点にの高さに関する地点情報の入力を宣言する宣言操作を受け付ける入力ポイントボタン206が設けられたデジタルキルビメーター101と、デジタルキルビメーター101とは別体であって地点情報の入力を受け付けるテンキー102と、を備えている。
【0081】
そして、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、開始/終了ボタン205によって指定操作を受け付けてから当該指定操作をつぎに受け付けるまでの測定期間中における測輪202の回転数に基づいて、任意の線の長さに関する情報を取得し、取得された長さに関する情報に基づいて、任意の線の長さを算出し、算出された任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、測定期間中に入力ポイントボタン206によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後にテンキー102によって入力を受け付けた地点情報を宣言操作を受け付けた時点における任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴としている。
【0082】
この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、開始/終了ボタン205と入力ポイントボタン206とがともにデジタルキルビメーター101の筐体201に設けられているため、測量作業をおこなう作業者600に対して、測量区間の指定操作および地点情報の入力を宣言する宣言操作を片手でおこなわせることができる。これによって、測量作業をおこなう作業者600に対して、地点情報を入力するために地図上の任意の線の長さの測定を中断して、デジタルキルビメーター101を把持した手を当該デジタルキルビメーター101から離させることなく、地図上の任意の線の長さの測定および地点情報の入力をおこなわせることができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、テンキー102はデジタルキルビメーター101とは別体とされているため、測量作業をおこなう作業者600に対して、任意の線に沿って移動するデジタルキルビメーター101の位置にかかわらず、当該作業者600が入力作業をおこないやすい状態(姿勢)で地点情報を入力させることができる。これによって、測量作業をおこなう作業者600に対して、地点情報を入力するために地図上の任意の線の長さの測定を中断させずに、地点情報の入力をおこなわせることができる。
【0084】
このように、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、測定の開始から終了までの間、デジタルキルビメーター101から手を離すことなく、高さや高低差などの地点情報を関連づけながら、地図上の任意の線の長さを測定することができる。これによって、地図上の任意の線の長さの測定中に地点情報を記録するための筆記具への持ち替えをおこなうことなどによって測定誤差が生じることを抑制することができる。また、これによって、測量作業(地図上の任意の線の長さの測定や地点情報の入力など)にかかる時間短縮を図ることができる。
【0085】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、地点情報の入力に先立って宣言操作をおこなわせるだけで、宣言操作後に入力された地点情報と宣言操作を受け付けた時点における任意の線の長さに関する情報とを関連づけて記憶することができる。これによって、容易に、任意の線の長さに関する情報と地点情報とを関連づけて記憶することができる。
【0086】
このように、この発明によれば、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図るとともに、測量結果の高精度化を図ることができる。これによって、この発明にかかる測量支援装置100を用いて取得された測量情報(任意の線の長さに関する情報や地点の高さに関する情報)に基づいて作成された2次元図面に対する信頼性の向上を図ることができる。
【0087】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、テンキー102において、地図の縮尺に関する情報の入力を受け付け、入力された地図の縮尺に関する情報に基づいて任意の線の長さを算出することを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、測量対象とする地図の縮尺に応じて、任意の線の長さを実際の距離に即して算出することができる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、算出された任意の線の長さ、テンキー102の操作によって入力を受け付けた地点情報および縮尺に関する情報に基づいて2次元断面図を作成することを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、高精度な2次元断面図を容易かつ短時間で作成することができる。
【0089】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、デジタルキルビメーター101に設けられ、測輪202と地図との設置位置における地図上の等高線を検出するセンサ207と、地図上の等高線が示す高さの変動方向に関する変動方向情報の入力を受け付ける入力ポイントボタン206と、入力ポイントボタン206によって変動方向情報の入力を受け付けた場合はセンサ207によって地図上の等高線を検出するごとに、検出された等高線の高さに関する地点情報を生成する。
【0090】
そして、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、コンピュータ装置103によって地点情報を生成するごとに、生成された地点情報を、地図上の等高線を検出した時点における任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴としている。
【0091】
この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、入力ポイントボタン206によって入力を受け付けた変動方向にしたがって、等高線を検出するごとに地点情報を算出し、記憶することができるので、地点情報の入力作業にかかる負担軽減を図ることができる。これによって、測量作業の容易化および測量作業にかかる時間短縮を図ることができる。
【0092】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、任意の線から視線をずらすことなく任意の線に沿って測輪202を回転させるようにデジタルキルビメーター101を移動させるだけで、等高線を検出するごとに地点情報を算出し、記憶することができる。これによって、デジタルキルビメーター101を任意の線に沿って高精度に移動させることができ、測量結果の高精度化を図ることができる。
【0093】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100は、入力ポイントボタン206およびテンキー102の操作に応じて生成された地点情報を記憶するオートモードおよび入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を記憶するマニュアルモードのいずれか一方を選択的に設定し、オートモードが設定されている場合に地点情報を生成することを特徴としている。
【0094】
この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、地図上において測量対象とする地形に応じて適した測量モードを設定することにより、高い測量精度を確保したまま、測量にかかる作業負担の軽減を図ることができる。
【0095】
このように、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、紙図面からデータ取得から断面図作図までを一度におこなうことができる。そして、デジタルキルビメーター100と地点情報を記録するためのペンとの持ち替えによる測定誤差をなくすことができる。
【0096】
また、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、測定誤差をなくした水平距離および高さの情報に基づいて地形の断面図を作成することにより図面作成の精度の向上を図ることができる。
【0097】
さらに、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、マニュアルモードとオートモードとの2つモードのいずれかを適宜選択的に設定することが可能であるため、測定対象とする図面における地形に応じてマニュアルモードあるいはオートモード適宜選択することができる。
【0098】
加えて、この発明にかかる実施の形態の測量支援装置100によれば、2次元図面の作成に用いる各種データの取得から2次元図面の作成までを、すべて電子化することができるので、専門技術や専門知識を有する作業者600に限定することなく、幅広い作業者600が測量作業を担うことができる。これによって、測量作業を汎用化することができるので、2次元図面の作成にかかるコスト低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、この発明にかかる測量支援装置は、図面上の曲線の長さなどの情報を取得する測量支援装置に有用であり、特に、紙面上の地図に基づいた2次元断面図の作成を支援する測量支援装置に適している。
【符号の説明】
【0100】
100 測量支援装置
101 デジタルキルビメーター
102 テンキー
103 コンピュータ装置
201 筐体
202 測輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能であって地図上の任意の線に沿って回転可能な測輪が先端部に設けられるとともに、測量区間の指定操作を受け付ける区間指定操作部および前記地図上の任意の地点にの高さに関する地点情報の入力を宣言する宣言操作を受け付ける宣言操作部が設けられた把持部と、
前記把持部とは別体であって前記地点情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記区間指定操作部によって指定操作を受け付けてから当該指定操作をつぎに受け付けるまでの測定期間中における前記測輪の回転数に基づいて、前記任意の線の長さに関する情報を取得する長さ情報取得手段と、
前記長さ情報取得手段によって取得された前記長さに関する情報に基づいて、前記任意の線の長さを算出する長さ算出手段と、
前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、前記測定期間中に前記宣言操作部によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後に前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を前記宣言操作を受け付けた時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とする測量支援装置。
【請求項2】
前記入力受付部は、前記地図の縮尺に関する情報の入力を受け付け、
前記長さ算出手段は、入力された前記地図の縮尺に関する情報に基づいて前記任意の線の長さを算出することを特徴とする請求項1に記載の測量支援装置。
【請求項3】
前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さ、前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報および縮尺に関する情報に基づいて2次元断面図を作成する断面図作成手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の測量支援装置。
【請求項4】
前記把持部に設けられ、前記測輪と前記地図との設置位置における前記地図上の等高線を検出する検出手段と、
前記地図上の等高線が示す高さの変動方向に関する変動方向情報の入力を受け付ける変動方向入力手段と、
前記変動方向入力手段によって変動方向情報の入力を受け付けた場合、前記検出手段によって前記地図上の等高線を検出するごとに、検出された等高線の高さに関する地点情報を生成する地点情報生成手段と、
を備え、
前記記憶手段は、前記地点情報生成手段によって地点情報を生成するごとに、生成された地点情報を、前記地図上の等高線を検出した時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の測量支援装置。
【請求項5】
前記地点情報生成手段によって生成された地点情報を記憶するオートモードおよび前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を記憶するマニュアルモードのいずれか一方を選択的に設定するモード設定手段を備え、
前記地点情報生成手段は、前記モード設定手段によってオートモードが設定されている場合に前記地点情報を生成することを特徴とする請求項4に記載の測量支援装置。
【請求項1】
携帯可能であって地図上の任意の線に沿って回転可能な測輪が先端部に設けられるとともに、測量区間の指定操作を受け付ける区間指定操作部および前記地図上の任意の地点にの高さに関する地点情報の入力を宣言する宣言操作を受け付ける宣言操作部が設けられた把持部と、
前記把持部とは別体であって前記地点情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記区間指定操作部によって指定操作を受け付けてから当該指定操作をつぎに受け付けるまでの測定期間中における前記測輪の回転数に基づいて、前記任意の線の長さに関する情報を取得する長さ情報取得手段と、
前記長さ情報取得手段によって取得された前記長さに関する情報に基づいて、前記任意の線の長さを算出する長さ算出手段と、
前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さに関する情報を記憶するとともに、前記測定期間中に前記宣言操作部によって宣言操作を受け付けた場合は当該宣言操作の受け付け後に前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を前記宣言操作を受け付けた時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とする測量支援装置。
【請求項2】
前記入力受付部は、前記地図の縮尺に関する情報の入力を受け付け、
前記長さ算出手段は、入力された前記地図の縮尺に関する情報に基づいて前記任意の線の長さを算出することを特徴とする請求項1に記載の測量支援装置。
【請求項3】
前記長さ算出手段によって算出された前記任意の線の長さ、前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報および縮尺に関する情報に基づいて2次元断面図を作成する断面図作成手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の測量支援装置。
【請求項4】
前記把持部に設けられ、前記測輪と前記地図との設置位置における前記地図上の等高線を検出する検出手段と、
前記地図上の等高線が示す高さの変動方向に関する変動方向情報の入力を受け付ける変動方向入力手段と、
前記変動方向入力手段によって変動方向情報の入力を受け付けた場合、前記検出手段によって前記地図上の等高線を検出するごとに、検出された等高線の高さに関する地点情報を生成する地点情報生成手段と、
を備え、
前記記憶手段は、前記地点情報生成手段によって地点情報を生成するごとに、生成された地点情報を、前記地図上の等高線を検出した時点における前記任意の線の長さに関する情報に関連づけて記憶することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の測量支援装置。
【請求項5】
前記地点情報生成手段によって生成された地点情報を記憶するオートモードおよび前記入力受付部によって入力を受け付けた地点情報を記憶するマニュアルモードのいずれか一方を選択的に設定するモード設定手段を備え、
前記地点情報生成手段は、前記モード設定手段によってオートモードが設定されている場合に前記地点情報を生成することを特徴とする請求項4に記載の測量支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−191197(P2011−191197A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58105(P2010−58105)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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