測量用ターゲット支持具
【課題】様々な観測点で測定を行うことができる測量用ターゲット支持具を提供する。
【解決手段】測量用ターゲット支持具1は、ターゲット2と、ターゲット2が配設されるターゲット配設部3と、ターゲット2をターゲット配設部3に支持したターゲット支持部4と、使用者に把持される把持部5と、ターゲット配設部3と把持部5とを連結する連結部6とを備えている。ターゲット配設部3の上面には、水準器32が取り付けられている。ターゲット支持部4は、ターゲット2の配設面に平行な面内、及び、この配設面に直交する面内で回転自在にターゲット2を支持している。ターゲット配設部3の下面からは、ターゲット支持部4と反対側に脚部7が延びている。
【解決手段】測量用ターゲット支持具1は、ターゲット2と、ターゲット2が配設されるターゲット配設部3と、ターゲット2をターゲット配設部3に支持したターゲット支持部4と、使用者に把持される把持部5と、ターゲット配設部3と把持部5とを連結する連結部6とを備えている。ターゲット配設部3の上面には、水準器32が取り付けられている。ターゲット支持部4は、ターゲット2の配設面に平行な面内、及び、この配設面に直交する面内で回転自在にターゲット2を支持している。ターゲット配設部3の下面からは、ターゲット支持部4と反対側に脚部7が延びている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量用ターゲットの支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
測量は、下記の特許文献1に示すように、既知点に設置された測量機から測定点に立設されたターゲットに測距光を照射して行われる。ターゲットは入射光を反射する反射プリズムであり、ポールが支持具として用いられていた。ポールは、水準器の表示が水平に保たれるよう鉛直に保持され、反射プリズムでの反射光が測量機に入射する様に向きが調整される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−227166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のターゲット支持具では、壁面の交差箇所にある観測点やブロック塀等の障害物の下にある観測点に設置できなかった。このため、ターゲット支持具から反射プリズムを取り外して測針器を取り付け、測針器の先端を観測点に設置して反射プリズムを手で支持しなければならなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、様々な観測点で測定を行うことができる測量用ターゲット支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明の測量用ターゲット支持具は、ターゲットと、前記ターゲットが配設されるターゲット配設部と、前記ターゲット配設部に対して回転自在に前記ターゲットを支持したターゲット支持部と、前記ターゲット配設部から前記ターゲットの配設面に直交する方向に延びた脚部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記ターゲット支持部が、前記ターゲットの配設面に平行な面内、及び、前記配設面に直交する面内で回転自在に前記ターゲットを前記ターゲット配設部に支持していることを特徴とする。
また、本発明は、前記ターゲット配設部に設けられ、前記ターゲット配設部の水平面に対する角度を表示する水準器を備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記水準器が、前記ターゲットの配設面の延設方向に沿って移動自在に配置されていることを特徴とする。
また、本発明は、弾塑性体から形成され、使用者に把持される把持部と前記ターゲット配設部とを連結する連結部を備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記ターゲット配設部には、前記脚部の延出方向に前記ターゲット配設部を貫通した脚部確認孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ターゲットをターゲット配設部に対し様々な角度に向けられるので、ターゲットを取り外さずに様々な観測点で測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態の測量用ターゲット支持具を示す図である。
【図2】図1のターゲット配設部を拡大して示す図である。
【図3】図1のターゲット支持部を拡大して示す図である。
【図4】図1の回転軸及び脚部を拡大して示す図である。
【図5】回転軸に装着される脚部を示す図である。
【図6】ターゲット支持部の動作を示す第1の図である。
【図7】ターゲット支持部の動作を示す第2の図である。
【図8】測量用ターゲット支持具を用いた測定方法の例を示す図である。
【図9】ターゲット配設部の変形例を示す図である。
【図10】ターゲット支持部の変形例を示す図である。
【図11】ターゲット支持部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態の測量用ターゲット支持具1を示す図である。
【0010】
図1に示すように、測量用ターゲット支持具1は、ターゲット2と、ターゲット2が配設されるターゲット配設部3と、ターゲット2をターゲット配設部3に支持したターゲット支持部4と、使用者に把持される把持部5と、ターゲット配設部3と把持部5とを連結する連結部6と、観測点に立てられる脚部7とを備えている。
【0011】
ターゲット2は、入射光を反射する反射プリズムである。ターゲット配設部3は、図2に示すように、後述する回転軸44が挿通される取付孔31が長手方向の一端部を貫通しており、平板状を呈している。ターゲット配設部3の上面には、水平面に対するターゲット配設部3の角度を表示する水準器32が取り付けられている。水準器32は、気泡管で構成されている。ターゲット配設部3には、ターゲット配設部3を貫通した脚部確認孔33が形成されている。脚部確認孔33は、ターゲット配設部3の長手方向にスリット状に延びている。
【0012】
ターゲット支持部4は、図3に示すように、ターゲット2が固定される固定部41と、回転軸44に連結された回転部42とを備えている。固定部41は、平板体をコの字状に屈曲させた形状を有している。固定部41は、ターゲット配設部3の上面に直交する面内で回転自在に、支持軸43で回転部42に支持されている。支持軸43は、外周面に雄ネジ部を備えており、固定部41の両側に固定されている。支持軸43は、測量機でターゲット2を観測する際の基準位置となる。
【0013】
回転部42は、平板体をコの字状に屈曲させた形状を有している。回転部42は、ターゲット配設部3の上面に沿って回転自在に回転軸44でターゲット配設部3に連結されている。回転部42の両側には、支持軸43が挿通される貫通孔が形成されている。回転部42は、支持軸43の雄ネジ部に螺着されたナット431で固定部41に押し付けられ、固定部41に対して固定される。
【0014】
回転軸44は、取付孔31に挿通される縮径部と、回転部42の挿通孔421に挿通される縮径部とを備えた円筒体から構成されている。回転軸44の内面には、図4に示すように、雌ネジ部441が設けられている。回転軸44は、脚部7が装着される脚部装着部となっている。
【0015】
脚部7は、一端が縮径しており、他端には雄ネジ部71が形成されている。脚部7は、雄ネジ部71が回転軸44の雌ネジ部441に螺着されて、回転軸44に装着される。回転軸44に装着された脚部7は、ターゲット配設部3から下方に向けて延びている。
【0016】
なお、回転軸44には、図5に示す長さが異なる脚部7A,7B、先端が側方に屈曲した脚部7Cのような長さや形状が異なる複数種類の脚部の中から1つを選び、上述した脚部7に代えて装着することができる。これらの交換用の脚部7A〜7Cは、把持部5に設けられた収納部51(図1参照)に収納することができる。
【0017】
連結部6は、自由に曲げたり延ばしてその形状を維持させられるように、針金のような弾塑性体から形成されている。このため、連結部6が変形させられるのに伴い、把持部5に対するターゲット配設部3の向きも変化する。連結部6は、ターゲット配設部3及び把持部5の貫通孔に挿通された雄ネジ部材61の頭部と、雄ネジ部材61に螺合した雌ネジ部材62とで、ターゲット配設部3又は把持部5と共に挟み込まれ、ターゲット配設部3及び把持部5に固定されている。
【0018】
ターゲット2は、図6に矢印A及び矢印Bで示すように、回転部42が回転軸44を中心として回転するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に平行な面内で回転する。また、図7に矢印C及び矢印Dで示すように、固定部41が支持軸43を中心として回転するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に直交する面内で回転する。
【0019】
測量用ターゲット支持具1では、図7(b)に示すように、ターゲット配設部3の上面を水平にして観測点に脚部7を立て、測量機の方向にターゲット2を向けることができる。また、測量用ターゲット支持具1では、図8(a)に示すように、壁面に脚部7を水平に立て、ターゲット2を測量機に向けることができる。このため、ターゲット配設部3や把持部5を壁面やブロック塀等の障害物8と干渉させることなく測定を行える。なお、図8(a)に示すような姿勢での測量を行う際には、長さL1を定数として観測距離の補正が行われる。
【0020】
また、周囲の障害物8の位置に応じ、脚部7A,7B,7Cを脚部7に代えて用いることもできる。先端が側方に屈曲した脚部7Cを用いる場合には、図8(b)に示すように、ブロック塀等の障害物8の下にある僅かな隙間から観測点に脚部7Cの先端を配置して脚部7Cを水平にし、測定を行うことができる。なお、図8(b)に示すような姿勢での測量を行う際には、長さL2を定数として観測距離の補正が行われる。
【0021】
本実施形態によれば、ターゲット2の配設面に平行な面内とこの配設面に直交する面内とでターゲット2を水準器32と独立して回転させることで、ターゲット2をターゲット配設部3に対し様々な角度に向けることができ、ターゲット2を取り外さずに様々な観測点で測定を行うことができる。この結果、観測点間での対辺測定も、測量機でそのまま行える。
【0022】
また、本実施形態によれば、把持部5とターゲット配設部3とが弾塑性体で形成された連結部6で連結されており、連結部6を湾曲させて観測点の地面やブロック塀等の壁面に把持部5を当接させることで、脚部7及び把持部5の2点で測量用ターゲット支持具1を支持できることから、測量用ターゲット支持具1を一定の姿勢に容易に保持することができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、ターゲット配設部3の脚部確認孔33を通して脚部7の先端の位置を確認できるので、脚部7の正確な位置決めを容易に行うことができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、水準器32が気泡管で構成されている場合について説明したが、例えば角度を数値で表示する角度計等を用いても良い。また、ターゲット配設部3に対するターゲット支持部4の取付構造も任意である。また、ターゲット配設部3には脚部確認孔33が形成されている必要はない。
【0025】
また、図9に示すように、脚部確認孔33の延設方向に沿って水準器32が移動自在に配置されている構成としてもよい。水準器32は、脚部確認孔33の周縁部にスライド自在に嵌合又は磁石等で設置されている。この構成によれば、脚部7の先端が視認できるように、脚部確認孔33の延設方向に沿って水準器32を移動させることができる。
【0026】
また、ターゲット2の配設面に平行な面内とこの配設面に直交する面内とでターゲット2を回転自在に支持するのであれば、ターゲット支持部4の構成は任意である。例えば、固定部41及び回転部42は平板体をコの字状に屈曲させた形状でなくてもよい。また、図10に示すターゲット支持部4Aのように、ターゲット配設部3に対して回転自在にターゲット2を支持してもよい。
【0027】
図10(a)はターゲット配設部3の先端側からターゲット支持部4Aを見た図,図10(b)はターゲット配設部3の右側からターゲット支持部4Aを見た図である。また、図10(c)はターゲット配設部3の上側からターゲット支持部4Aを見た図,図10(d)はターゲット配設部3の右側からターゲット支持部4Aを見た図である。
【0028】
ターゲット支持部4Aは、回転部42A内に固定部41Aを収容して構成されている。回転部42Aには、ターゲット2が挿通されるスリット孔42A1がスリット状に設けられている。固定部41Aは、球状に形成されており、ターゲット2が嵌合する嵌合孔41A1が形成されている。回転軸44Aの上面には、固定部41Aが載置される凹部44A1が球面状に形成されている。
【0029】
ターゲット2は、図10に矢印Eで示すように、回転部42Aが回転軸44Aを中心として回転するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に平行な面内で回転する。また、図10に矢印Fで示すように、固定部41Aが凹部44A1上を回転して、ターゲット2がスリット孔42A1内を移動するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に直交する面内で回転する。このため、図10(a),(b)に示すようにターゲット2をターゲット配設部3の先端側を向いた状態や、図10(c),(d)に示すように上側を向いた状態に回転させることができる。
【0030】
ターゲット支持部4Aでは、固定部41Aを磁石で形成する等することで、回転軸44Aの上面の凹部44A1に固定部41Aを吸着させ、固定部41Aの位置を固定することができる。
【0031】
また、図11に示すターゲット支持部4Bのように、磁石製の球体又は円柱体で形成してもよい。ターゲット支持部4Bは、嵌合孔41B1にターゲット2が嵌合する。ターゲット2は、回転軸44Bの上面に球面状又は円柱面状に形成された凹部44B1上でターゲット支持部4Bが回転するのに伴い、回転する。
【0032】
ターゲット支持部4Bは、回転軸44Bの上面の凹部44B1に吸着しているため、回転軸44Bから落ちずに回転する。また、円柱状に形成されたターゲット支持部4Bの両端面には、支持軸43を吸着させる等して取り付けることができる。なお、上述した例では、ターゲット支持部4A,4Bが磁石で形成されている場合について説明したが、回転軸44A,44Bが磁石で形成されていてもよい。回転軸44A,44Bを磁石で形成することで、ターゲット支持部4A,4Bを吸着させる力を強めることが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 測量用ターゲット支持具
2 ターゲット
3 ターゲット配設部
31 取付孔
32 水準器
33 脚部確認孔
4,4A,4B ターゲット支持部
41,41A 固定部
41A1,41B1 嵌合孔
42,42A 回転部
42A1 スリット孔
421 挿通孔
441 雌ネジ部
43,43A 支持軸
431 ナット
44,44A,44B 回転軸
44A1,44B1 凹部
5 把持部
51 収納部
6 連結部
61 雄ネジ部材
62 雌ネジ部材
7,7A〜7C 脚部
71 雄ネジ部
8 障害物
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量用ターゲットの支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
測量は、下記の特許文献1に示すように、既知点に設置された測量機から測定点に立設されたターゲットに測距光を照射して行われる。ターゲットは入射光を反射する反射プリズムであり、ポールが支持具として用いられていた。ポールは、水準器の表示が水平に保たれるよう鉛直に保持され、反射プリズムでの反射光が測量機に入射する様に向きが調整される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−227166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のターゲット支持具では、壁面の交差箇所にある観測点やブロック塀等の障害物の下にある観測点に設置できなかった。このため、ターゲット支持具から反射プリズムを取り外して測針器を取り付け、測針器の先端を観測点に設置して反射プリズムを手で支持しなければならなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、様々な観測点で測定を行うことができる測量用ターゲット支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明の測量用ターゲット支持具は、ターゲットと、前記ターゲットが配設されるターゲット配設部と、前記ターゲット配設部に対して回転自在に前記ターゲットを支持したターゲット支持部と、前記ターゲット配設部から前記ターゲットの配設面に直交する方向に延びた脚部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記ターゲット支持部が、前記ターゲットの配設面に平行な面内、及び、前記配設面に直交する面内で回転自在に前記ターゲットを前記ターゲット配設部に支持していることを特徴とする。
また、本発明は、前記ターゲット配設部に設けられ、前記ターゲット配設部の水平面に対する角度を表示する水準器を備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記水準器が、前記ターゲットの配設面の延設方向に沿って移動自在に配置されていることを特徴とする。
また、本発明は、弾塑性体から形成され、使用者に把持される把持部と前記ターゲット配設部とを連結する連結部を備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記ターゲット配設部には、前記脚部の延出方向に前記ターゲット配設部を貫通した脚部確認孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ターゲットをターゲット配設部に対し様々な角度に向けられるので、ターゲットを取り外さずに様々な観測点で測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態の測量用ターゲット支持具を示す図である。
【図2】図1のターゲット配設部を拡大して示す図である。
【図3】図1のターゲット支持部を拡大して示す図である。
【図4】図1の回転軸及び脚部を拡大して示す図である。
【図5】回転軸に装着される脚部を示す図である。
【図6】ターゲット支持部の動作を示す第1の図である。
【図7】ターゲット支持部の動作を示す第2の図である。
【図8】測量用ターゲット支持具を用いた測定方法の例を示す図である。
【図9】ターゲット配設部の変形例を示す図である。
【図10】ターゲット支持部の変形例を示す図である。
【図11】ターゲット支持部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態の測量用ターゲット支持具1を示す図である。
【0010】
図1に示すように、測量用ターゲット支持具1は、ターゲット2と、ターゲット2が配設されるターゲット配設部3と、ターゲット2をターゲット配設部3に支持したターゲット支持部4と、使用者に把持される把持部5と、ターゲット配設部3と把持部5とを連結する連結部6と、観測点に立てられる脚部7とを備えている。
【0011】
ターゲット2は、入射光を反射する反射プリズムである。ターゲット配設部3は、図2に示すように、後述する回転軸44が挿通される取付孔31が長手方向の一端部を貫通しており、平板状を呈している。ターゲット配設部3の上面には、水平面に対するターゲット配設部3の角度を表示する水準器32が取り付けられている。水準器32は、気泡管で構成されている。ターゲット配設部3には、ターゲット配設部3を貫通した脚部確認孔33が形成されている。脚部確認孔33は、ターゲット配設部3の長手方向にスリット状に延びている。
【0012】
ターゲット支持部4は、図3に示すように、ターゲット2が固定される固定部41と、回転軸44に連結された回転部42とを備えている。固定部41は、平板体をコの字状に屈曲させた形状を有している。固定部41は、ターゲット配設部3の上面に直交する面内で回転自在に、支持軸43で回転部42に支持されている。支持軸43は、外周面に雄ネジ部を備えており、固定部41の両側に固定されている。支持軸43は、測量機でターゲット2を観測する際の基準位置となる。
【0013】
回転部42は、平板体をコの字状に屈曲させた形状を有している。回転部42は、ターゲット配設部3の上面に沿って回転自在に回転軸44でターゲット配設部3に連結されている。回転部42の両側には、支持軸43が挿通される貫通孔が形成されている。回転部42は、支持軸43の雄ネジ部に螺着されたナット431で固定部41に押し付けられ、固定部41に対して固定される。
【0014】
回転軸44は、取付孔31に挿通される縮径部と、回転部42の挿通孔421に挿通される縮径部とを備えた円筒体から構成されている。回転軸44の内面には、図4に示すように、雌ネジ部441が設けられている。回転軸44は、脚部7が装着される脚部装着部となっている。
【0015】
脚部7は、一端が縮径しており、他端には雄ネジ部71が形成されている。脚部7は、雄ネジ部71が回転軸44の雌ネジ部441に螺着されて、回転軸44に装着される。回転軸44に装着された脚部7は、ターゲット配設部3から下方に向けて延びている。
【0016】
なお、回転軸44には、図5に示す長さが異なる脚部7A,7B、先端が側方に屈曲した脚部7Cのような長さや形状が異なる複数種類の脚部の中から1つを選び、上述した脚部7に代えて装着することができる。これらの交換用の脚部7A〜7Cは、把持部5に設けられた収納部51(図1参照)に収納することができる。
【0017】
連結部6は、自由に曲げたり延ばしてその形状を維持させられるように、針金のような弾塑性体から形成されている。このため、連結部6が変形させられるのに伴い、把持部5に対するターゲット配設部3の向きも変化する。連結部6は、ターゲット配設部3及び把持部5の貫通孔に挿通された雄ネジ部材61の頭部と、雄ネジ部材61に螺合した雌ネジ部材62とで、ターゲット配設部3又は把持部5と共に挟み込まれ、ターゲット配設部3及び把持部5に固定されている。
【0018】
ターゲット2は、図6に矢印A及び矢印Bで示すように、回転部42が回転軸44を中心として回転するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に平行な面内で回転する。また、図7に矢印C及び矢印Dで示すように、固定部41が支持軸43を中心として回転するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に直交する面内で回転する。
【0019】
測量用ターゲット支持具1では、図7(b)に示すように、ターゲット配設部3の上面を水平にして観測点に脚部7を立て、測量機の方向にターゲット2を向けることができる。また、測量用ターゲット支持具1では、図8(a)に示すように、壁面に脚部7を水平に立て、ターゲット2を測量機に向けることができる。このため、ターゲット配設部3や把持部5を壁面やブロック塀等の障害物8と干渉させることなく測定を行える。なお、図8(a)に示すような姿勢での測量を行う際には、長さL1を定数として観測距離の補正が行われる。
【0020】
また、周囲の障害物8の位置に応じ、脚部7A,7B,7Cを脚部7に代えて用いることもできる。先端が側方に屈曲した脚部7Cを用いる場合には、図8(b)に示すように、ブロック塀等の障害物8の下にある僅かな隙間から観測点に脚部7Cの先端を配置して脚部7Cを水平にし、測定を行うことができる。なお、図8(b)に示すような姿勢での測量を行う際には、長さL2を定数として観測距離の補正が行われる。
【0021】
本実施形態によれば、ターゲット2の配設面に平行な面内とこの配設面に直交する面内とでターゲット2を水準器32と独立して回転させることで、ターゲット2をターゲット配設部3に対し様々な角度に向けることができ、ターゲット2を取り外さずに様々な観測点で測定を行うことができる。この結果、観測点間での対辺測定も、測量機でそのまま行える。
【0022】
また、本実施形態によれば、把持部5とターゲット配設部3とが弾塑性体で形成された連結部6で連結されており、連結部6を湾曲させて観測点の地面やブロック塀等の壁面に把持部5を当接させることで、脚部7及び把持部5の2点で測量用ターゲット支持具1を支持できることから、測量用ターゲット支持具1を一定の姿勢に容易に保持することができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、ターゲット配設部3の脚部確認孔33を通して脚部7の先端の位置を確認できるので、脚部7の正確な位置決めを容易に行うことができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、水準器32が気泡管で構成されている場合について説明したが、例えば角度を数値で表示する角度計等を用いても良い。また、ターゲット配設部3に対するターゲット支持部4の取付構造も任意である。また、ターゲット配設部3には脚部確認孔33が形成されている必要はない。
【0025】
また、図9に示すように、脚部確認孔33の延設方向に沿って水準器32が移動自在に配置されている構成としてもよい。水準器32は、脚部確認孔33の周縁部にスライド自在に嵌合又は磁石等で設置されている。この構成によれば、脚部7の先端が視認できるように、脚部確認孔33の延設方向に沿って水準器32を移動させることができる。
【0026】
また、ターゲット2の配設面に平行な面内とこの配設面に直交する面内とでターゲット2を回転自在に支持するのであれば、ターゲット支持部4の構成は任意である。例えば、固定部41及び回転部42は平板体をコの字状に屈曲させた形状でなくてもよい。また、図10に示すターゲット支持部4Aのように、ターゲット配設部3に対して回転自在にターゲット2を支持してもよい。
【0027】
図10(a)はターゲット配設部3の先端側からターゲット支持部4Aを見た図,図10(b)はターゲット配設部3の右側からターゲット支持部4Aを見た図である。また、図10(c)はターゲット配設部3の上側からターゲット支持部4Aを見た図,図10(d)はターゲット配設部3の右側からターゲット支持部4Aを見た図である。
【0028】
ターゲット支持部4Aは、回転部42A内に固定部41Aを収容して構成されている。回転部42Aには、ターゲット2が挿通されるスリット孔42A1がスリット状に設けられている。固定部41Aは、球状に形成されており、ターゲット2が嵌合する嵌合孔41A1が形成されている。回転軸44Aの上面には、固定部41Aが載置される凹部44A1が球面状に形成されている。
【0029】
ターゲット2は、図10に矢印Eで示すように、回転部42Aが回転軸44Aを中心として回転するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に平行な面内で回転する。また、図10に矢印Fで示すように、固定部41Aが凹部44A1上を回転して、ターゲット2がスリット孔42A1内を移動するのに伴い、ターゲット配設部3の上面に直交する面内で回転する。このため、図10(a),(b)に示すようにターゲット2をターゲット配設部3の先端側を向いた状態や、図10(c),(d)に示すように上側を向いた状態に回転させることができる。
【0030】
ターゲット支持部4Aでは、固定部41Aを磁石で形成する等することで、回転軸44Aの上面の凹部44A1に固定部41Aを吸着させ、固定部41Aの位置を固定することができる。
【0031】
また、図11に示すターゲット支持部4Bのように、磁石製の球体又は円柱体で形成してもよい。ターゲット支持部4Bは、嵌合孔41B1にターゲット2が嵌合する。ターゲット2は、回転軸44Bの上面に球面状又は円柱面状に形成された凹部44B1上でターゲット支持部4Bが回転するのに伴い、回転する。
【0032】
ターゲット支持部4Bは、回転軸44Bの上面の凹部44B1に吸着しているため、回転軸44Bから落ちずに回転する。また、円柱状に形成されたターゲット支持部4Bの両端面には、支持軸43を吸着させる等して取り付けることができる。なお、上述した例では、ターゲット支持部4A,4Bが磁石で形成されている場合について説明したが、回転軸44A,44Bが磁石で形成されていてもよい。回転軸44A,44Bを磁石で形成することで、ターゲット支持部4A,4Bを吸着させる力を強めることが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 測量用ターゲット支持具
2 ターゲット
3 ターゲット配設部
31 取付孔
32 水準器
33 脚部確認孔
4,4A,4B ターゲット支持部
41,41A 固定部
41A1,41B1 嵌合孔
42,42A 回転部
42A1 スリット孔
421 挿通孔
441 雌ネジ部
43,43A 支持軸
431 ナット
44,44A,44B 回転軸
44A1,44B1 凹部
5 把持部
51 収納部
6 連結部
61 雄ネジ部材
62 雌ネジ部材
7,7A〜7C 脚部
71 雄ネジ部
8 障害物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットと、
前記ターゲットが配設されるターゲット配設部と、
前記ターゲット配設部に対して回転自在に前記ターゲットを支持したターゲット支持部と、
前記ターゲット配設部から前記ターゲットの配設面に直交する方向に延びた脚部とを備えることを特徴とする測量用ターゲット支持具。
【請求項2】
前記ターゲット支持部は、前記ターゲットの配設面に平行な面内、及び、前記配設面に直交する面内で回転自在に前記ターゲットを前記ターゲット配設部に支持していることを特徴とする請求項1に記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項3】
前記ターゲット配設部に設けられ、前記ターゲット配設部の水平面に対する角度を表示する水準器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項4】
前記水準器は、前記ターゲットの配設面の延設方向に沿って移動自在に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項5】
弾塑性体から形成され、使用者に把持される把持部と前記ターゲット配設部とを連結する連結部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項6】
前記ターゲット配設部には、前記脚部の延出方向に前記ターゲット配設部を貫通した脚部確認孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項1】
ターゲットと、
前記ターゲットが配設されるターゲット配設部と、
前記ターゲット配設部に対して回転自在に前記ターゲットを支持したターゲット支持部と、
前記ターゲット配設部から前記ターゲットの配設面に直交する方向に延びた脚部とを備えることを特徴とする測量用ターゲット支持具。
【請求項2】
前記ターゲット支持部は、前記ターゲットの配設面に平行な面内、及び、前記配設面に直交する面内で回転自在に前記ターゲットを前記ターゲット配設部に支持していることを特徴とする請求項1に記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項3】
前記ターゲット配設部に設けられ、前記ターゲット配設部の水平面に対する角度を表示する水準器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項4】
前記水準器は、前記ターゲットの配設面の延設方向に沿って移動自在に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項5】
弾塑性体から形成され、使用者に把持される把持部と前記ターゲット配設部とを連結する連結部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の測量用ターゲット支持具。
【請求項6】
前記ターゲット配設部には、前記脚部の延出方向に前記ターゲット配設部を貫通した脚部確認孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の測量用ターゲット支持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−7609(P2013−7609A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139458(P2011−139458)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511154249)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511154249)
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