説明

湿気硬化型組成物の充填包装方法

【課題】
湿気硬化型組成物の容器保管中、その内部硬化を防止し、防止原理から生じる僅かな硬化物の除去も容易な湿気硬化型組成物包装物を提供すること。
【解決手段】
容器本体と上蓋部からなる密閉容器内に湿気硬化型組成物を充填する方法において、密閉容器に空隙を設けて湿気硬化型組成物を充填し、湿気硬化型組成物の上面に粘度が0.1〜100,000mPa・sの加水分解性シリル基を有する化合物を塗布することを特徴とする湿気硬化型組成物の充填方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿気硬化型組成物の充填包装方法に関する。さらに詳しくは、長期間の貯蔵後においても、製品安定性、施工性に優れる湿気硬化型組成物の充填包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿気硬化型組成物は空気中の水分と反応し、高分子化、三次元化し硬化することで、所望の各種物性を発揮し、様々な用途に適用される。そのため、その包装容器は、硬化を抑制するために、完全に外気と遮断する必要がある。一般に使用される湿気硬化型組成物の包装形態としては、カートリッジ、フィルムパック、缶蓋を密閉構造とした金属やプラスチックの缶などが用いられている。
【0003】
大容量の包装形態では、缶にアルミラミネートシートの内袋を施したもの(特許文献1)、被覆フィルムと缶壁の間に防湿材料を充填したもの(特許文献2〜3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−72059号公報
【特許文献2】特開2004−299777号公報
【特許文献3】特開2007−284091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、大容量の包装単位に対応可能な包装には、金属缶、プラスチック缶が使用される。しかし、缶を用いた包装では、カートリッジ、フィルムパック等の包装に比べ、完全密閉することが困難であり、湿気硬化型組成物が一部硬化してしまうということが起りやすい。その硬化を防止するために、缶蓋のサイズを小さくしたり、特殊な密封処理を施す等、密閉性を上げることが行われているが、その場合、使用時の作業性や、使用後の缶の処理、充填の手間などの問題点が発生する。
【0006】
一方、缶内の湿気硬化型組成物の表面に防湿フィルムを被覆する方法、缶内空隙部に吸湿材を入れる方法、空隙部に不活性ガスを封入する方法等種々試みられているが、現時点で完全なものはない。
【0007】
特に、施工時の作業性を確保するため、缶開口部の面積を大きくした場合、完全な密閉構造を確保するのは極めて困難であると考えられている。特許文献1では、容器内にアルミラミネートシートの内袋を入れ密封する方法が提案されているが、この方法でも湿気硬化型組成物の一部が硬化することは避けられず、また内袋が廃棄物になること、湿気硬化型組成物を残らず掻き出す事が困難である等の問題がある。上記防湿フィルムで湿気硬化型組成物の表面を被覆した場合、内部は問題なく使用できても、防湿フィルムの隙間で硬化が進み、作業上の支障になる。缶内空隙部に吸湿材を入れる方法、空隙部に不活性ガスを封入する方法では、ある程度硬化は防げるが、使用までの保管期間中の温度差による缶内圧力の変動により、外気中の僅かな水分が侵入するため、長期にわたって硬化を防ぐことはできない。特に、シール剤に使用される湿気硬化型組成物は、チキソトロピック性が高い設計になっているため、内部から材料を取り出すにはヘラ等で掻き取らねばならない。その場合、缶壁等に硬化物が生じた場合、著しく作業性が損なわれるという問題がある。また、特許文献2〜3において被覆フィルムと缶壁との隙間に特定の材料を充填し硬化させ密閉する方法が提案されているが、この方法は、缶壁への硬化物付着は避けられるが、充填作業が煩雑になってしまう点、湿気硬化型組成物を使用する際に被覆フィルムを剥がす工程、および廃棄する必要があるという課題が挙げられる。
【0008】
本発明は、湿気硬化型組成物の容器保管中、その内部硬化を防止できるとともに、湿気硬化型組成物を容器に充填する作業が容易であり、さらに保管後開封しすぐに使用できる湿気硬化型組成物の充填包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、容器本体と蓋部からなる密閉容器内に湿気硬化型組成物を充填する方法において、容器本体に空隙を設けて湿気硬化型組成物を充填し、湿気硬化型組成物の上面に粘度が0.1〜100,000mPa・sの加水分解性シリル基を有する化合物を塗布することにより上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、次の(1)〜(3)である。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)容器本体と上蓋部からなる密閉容器内に湿気硬化型組成物を充填する方法において、密閉容器に空隙を設けて湿気硬化型組成物を充填し、湿気硬化型組成物の上面に粘度が0.1〜100,000mPa・sの加水分解性シリル基を有する化合物を塗布することを特徴とする湿気硬化型組成物の充填包装方法。
(2)前記加水分解性シリル基を有する化合物は、前記湿気硬化型組成物内に同じ成分が含まれていることを特徴とする(1)に記載の湿気硬化型組成物の充填包装方法。
(3)前記加水分解性シリル基化合物の塗布量は湿気硬化性組成物充填後の密閉容器の空隙容積1L当たり0.01〜10ccであることを特徴とする(1)〜(2)に記載の湿気硬化型組成物の充填包装方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の湿気硬化型組成物の充填包装方法では、湿気硬化型組成物をペール缶・ドラム缶等の空隙を有する容器本体への充填する際にフィルム等を使用しないので作成時の充填工数を低減化できる上に、保管中の硬化異物の生成を抑制できるので貯蔵安定性があり、さらに保存後開封し、直ちに使用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態示す容器の断面図であり、実施形態を示す容器の断面図である。
【0013】
以下図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態を示す容器の断面図である。本発明では容器本体1と上蓋部5からなる密閉容器内に湿気硬化型組成物2を充填する方法において、密閉容器に空隙3を設けて湿気硬化型組成物2を充填し、湿気硬化型組成物2の上面に粘度が0.1〜100,000mPa・sの加水分解性シリル基を有する化合物4を塗布する。このようにすることでフィルム等を使用せず硬化異物の生成を抑制できる。
【0014】
このようにすると、実質的に湿気硬化型組成物2に含まれている加水分解性シリル基を有する化合物と同じ成分である加水分解性シリル基を有する化合物4が、湿気硬化型組成物表面で密閉容器内の水分と反応し、その硬化部分が防湿層として機能し内部硬化の進行を抑える。
【0015】
本発明における湿気硬化型組成物とは、湿気硬化型組成物であればどのようなものでもよいが、特にシリコーン系湿気硬化型組成物、変成シリコーン系湿気硬化型組成物が好ましい。
湿気硬化型組成物の粘度は、1000mPa・s以上が好ましい。特に好ましくは10,000mP・s以上である。
【0016】
シリコーン系湿気硬化型組成物や変成シリコーン系湿気硬化型組成物は、シラノール基又は加水分解性シリル基を持った重合体を主成分とし、必要に応じて可塑剤、充填剤、溶剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止材、シラノール縮合触媒、硬化促進剤、硬化遅延剤、接着付与剤、脱水剤、その他添加剤等を使用できる。
【0017】
主成分であるシラノール基又は加水分解性シリル基を持つ重合体とは、シラノール縮合反応により架橋しうる重合体で、縮合によりシロキサン結合を生成して、樹脂状、又はゴム状に変わる重合体を指す。
【0018】
重合体の例としては、シラノール基又は加水分解性シリル基を有するオルガノシロキサン、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキシド、加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体、加水分解性シリル基を有するポリイソブチレン系重合体などが挙げられる。加水分解性シリル基を有する上記重合体は、室温で空気中の湿度により硬化し、硬化物は優れた柔軟性、伸び特性、透明性、水密性を有するため、シール剤、接着剤に最適であるが、これに限定されるものではない。加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキシドの市販品としては、S943S、S911S、MA440、MA447、MA903M(株式会社カネカ製)等が挙げられる。加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体の市販品としては、SA100S、SA310S、OR100S(株式会社カネカ製)等が挙げられる。加水分解性シリル基を有するポリイソブチレン系重合体の市販品としては、エピオン303S、エピオン505S、エピオン103S(株式会社カネカ製)等が挙げられる。
【0019】
本発明に用いられる密閉容器とは、容器本体1と上蓋部5を組み合わされたものを示す。容器本体1としては、特に限定されるものではないが、容器本体の容量が100ミリリットル〜200リットル程度の丸缶、角缶、一斗缶、ペール缶、ドラム缶等の従来公知の各種容器本体が好適に用いられる。各種上蓋部5は、キャップ蓋、ダブル蓋、オープン蓋等の従来公知の各種上蓋部5が好適に用いられる。
【0020】
容器本体1は、保管時や輸送時等の変形や破損等を防ぐために、容器本体の壁面の厚みが、特に限定されるものではないが、0.2mm程度以上であることが好ましい。又、上記密閉容器の上蓋の内側には、気密性や緩衝性等を高めるために、ゴム製やプラスチック製等のパッキング部が設けられていても良い。
【0021】
容器本体1は、一般的に使用されている金属タイプやプラスチックタイプなどが挙げられる。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の材料が挙げられる。容器本体は湿分の透過がないか、非常に少ないプラスチックタイプや金属タイプの容器本体が好ましい。
【0022】
本発明における湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物における加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、シクロペンタノキシム基、シクロヘキサノキシム基等のケトオキシム基;N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基;N,N−ジメチルアミノオキシ基、N,N−ジエチルアミノオキシ基等のアミノオキシ基等を挙げることができる。
【0023】
湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物の具体例としてエチルシリケート、プロピルシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビルトリエトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリプロペノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメチルエチルケトオキシムシラン、メチルトリメチルエチルケトオキシムシラン、メチルトリ(ブタノキシム)シラン、ビニルトリ(ブタノキシム)シラン、フェニルトリ(ブタノキシム)シラン、プロピルトリ(ブタノキシム)シラン、テトラ(ブタノキシム)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピル(ブタノキシム)シラン、3−クロロプロピル(ブタノキシム)シラン、メチルトリ(プロパノキシム)シラン、メチルトリ(ベンタノキシム)シラン、メチルトリ(イソペンタノキシム)シラン、ビニル(シクロペンタノキシム)シラン、メチルトリ(シクロヘキサノキシム)シラン等およびこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0024】
本発明における湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物の選択は、容器に充填する湿気硬化型組成物内に添加される加水分解性シリル基を有する化合物と同じ化合物であることが好ましい。例えば容器に充填する湿気硬化型組成物内に配合される加水分解性シリル基を有する化合物としてアルコキシ基を有する化合物とした場合は、本発明における湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物も同様にアルコキシ基を有する化合物が好適に用いられる。さらに同様に容器に充填する湿気硬化型組成物内に配合される加水分解性シリル基を有する化合物としてケトオキシム基を有する化合物とした場合は、本発明における湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物も同様にケトオキシム基を有する化合物が好適に用いられる。容器に充填する湿気硬化型組成物内に添加される加水分解性シリル基を有する化合物と本発明における湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物が異なる化合物である場合、保存後の湿気硬化型組成物の硬化物の特性を変化させてしまう恐れがある。
【0025】
本発明における湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物の20℃における粘度は、0.1〜100,000mPa・sが好ましい。特に好ましくは500〜50,000mP・sである。粘度が0.1mPa・s以下であると加水分解性シリル基を有する化合物が流れやすいので、樹脂表面にムラが生じやすくなってしまうことから部分的に硬化し、被膜してしまう。粘度が100,000mPa・s以上であると、塗布作業が困難になってしまう。本発明における湿気硬化型組成物の上面に塗布される加水分解性シリル基を有する化合物の塗布量は、湿気硬化性組成物充填後の密閉容器の空隙容積1L当たり0.01〜10ccの量が望ましい。加水分解性シリル基を有する化合物の塗布量が湿気硬化性組成物充填後の密閉容器の空隙容積1L当たり0.01cc以下であると容器本体内の水分を十分に除去できないことからシール剤の保存安定性の低下が生じてしまう。加水分解性シリル基を有する化合物の塗布量が湿気硬化性組成物充填後の密閉容器の空隙容積1L当たり10cc以上であると、湿気硬化性組成物の特性に影響が生じてしまう。
【0026】
本発明における加水分解性シリル基を有する化合物の塗布方法はスプレー、ミスト、インクジェット等が挙げられるが、これらに限定されない
【0027】
本発明において湿気硬化型組成物を容器本体に充填した後、容器本体中の空気を不活性ガスで置換する工程を経た後、上蓋部を閉じて保管されてもよい。不活性ガスの種類としては、特に限定されるものではないが、窒素ガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0028】
次に実施例に基づき、具体的に説明する。
(シリコーン系湿気硬化型組成物の作製)
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された粘度が20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン100重量部、ビニルトリメチルエチルケトオキシムシラン20重量部、炭酸カルシウム粉末150重量部、ジブチルスズジオクトエート 0.3重量部を無水の条件で混合し組成物Aを得た。
【0029】
(実施例1)
20Lプラスチックペール缶(ポリプロピレン製 容量20リットル、内径286mm、内高 外高342mm 前田製作所社製)に、上記で作製した組成物Aを約20kg充填し、缶中の空気を窒素ガスで置換した後、加水分解性シリル基を有する化合物としてビニルトリメチルエチルケトオキシムシラン(粘度300mPa・s、分子量317.5)を充填した樹脂面全体に被覆するように3ccスプレー塗布し、直ちに上蓋部(ポリエチレン製)で封缶し評価用試料を作成した。尚湿気硬化性組成物充填後の密閉容器の空隙容積は、5Lであった。
【0030】
(実施例2)
実施例1で充填した樹脂面全体に被覆するビニルトリメチルエチルケトオキシムシランの代わりにn−オクチルトリエトキシシラン(粘度2mPa・s)に変更した以外は実施例1と同様にして評価用試料を作成した。
【0031】
(実施例3)
実施例1で充填した樹脂面全体に被覆するビニルトリメチルエチルケトオキシムシランの量を0.05ccに変更した以外は実施例1と同様にして評価用試料を作成した。
【0032】
(実施例4)
実施例1で充填した樹脂面全体に被覆するビニルトリメチルエチルケトオキシムシランの量を0.01ccに変更した以外は実施例1と同様にして評価用試料を作成した。
【0033】
(実施例5)
実施例1で充填した樹脂面全体に被覆するビニルトリメチルエチルケトオキシムシランの量を50ccに変更した以外は実施例1と同様にして評価用試料を作成した。
【0034】
(実施例6)
実施例1で充填した樹脂面全体に被覆するビニルトリメチルエチルケトオキシムシランの量を100ccに変更した以外は実施例1と同様にして評価用試料を作成した。
【0035】
(比較例1)
実施例1のビニルトリメチルエチルケトオキシムシランを樹脂表面に塗布する代わりに、アルミラミネートシートを樹脂表面に被せ、さらに乾燥剤をセットしたこと以外は実施例1と同様にして評価用試料を作成した。この時、容器中の湿気硬化型組成物の表面全体に余すことなくアルミラミネートシートを被覆する作業は、困難性があった。
【0036】
(比較例2)
実施例1で充填した樹脂面全体に被覆するビニルトリメチルエチルケトオキシムシランの代わりに加水分解性シリル基を有する飽和炭化水素系重合体(エピオンEP505S;鐘淵化学工業(株)製、粘度120,000mPa・s、分子量約5,000〜20,000)に変更した以外は実施例1と同様にして評価用試料を作成した。
この時、加水分解性シリル基を有するポリイソブチレンを容器中の湿気硬化型組成物の表面全体に被覆するように塗布することが高粘度である為、スプレー塗布は困難であった為、滴下しヘラでのばして評価用試料を作成した。
25℃−55%RHの雰囲気下に6ケ月間保管後の評価用試料の物性を測定しようとしたところ、表面に硬化被膜があり測定不能であった。
【0037】
[試験]
上記実施例1〜6及び比較例1〜2で得られた評価用試料を以下の方法で評価した結果は表1に示すとおりであった。
[試料作成時の作業性]
評価用試料作成時の作業の難易性を評価した。
[貯蔵安定性]
各評価用試料を25℃−55%RHの雰囲気下に3ヶ月及び6ケ月間保管した後、開封して湿気硬化性樹脂組成物表面の硬化皮膜の発生状態を目視で観察し、下記評価基準で貯蔵安定性を判定した。
〈評価基準〉
○‥‥硬化皮膜無し
△‥‥湿気硬化性樹脂組成物の表面から深さ方向に10mm以下の硬化皮膜有り
×‥‥湿気硬化性樹脂組成物の表面から深さ方向に10mm以上の硬化皮膜有り
[保存後試料の開封作業性]
各評価用試料を25℃−55%RHの雰囲気下に6ケ月間保管した後、試料開封時の作業性に関して下記評価基準で判定した。
〈評価基準〉
○‥‥開封後、直ちに使用可能。
△‥‥開封後、表面の硬化被膜やシートを除く必要がある。
×‥‥開封後、表面の硬化被膜がペール缶に固着し、使用は困難。
[物性の測定]
評価用試料の初期物性と、25℃−55%RHの雰囲気下に6ケ月間保管後の評価用試料の物性を下記評価方法にて測定し、表1に示した。
粘度はASTM D−1092に規定されたみかけ粘度測定装置に準拠した押出型粘度計によって20℃にて測定した。
ゴム物性については厚さ2mmのシート状に成型し、23±2℃、50±5%RHの雰囲気下で7日養生しゴム弾性体を得た。それをJIS−K−6249に従い物性を測定した。
【0038】
【表1】








【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の湿気硬化型組成物の充填包装方法では、湿気硬化型組成物をペール缶・ドラム缶等の空隙を有する密閉容器への充填する際、フィルム等を使用せずに保管中の硬化異物の生成を抑制し、貯蔵安定性があることから、充填工数の低減や付着物の無駄削減に効果がある。以上より広い分野に適用可能なことから産業上有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 容器本体
2 湿気硬化型樹脂組成物
3 空隙
4 加水分解性シリル基を有する化合物
5 上蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と上蓋部からなる密閉容器内に湿気硬化型組成物を充填する方法において、密閉容器に空隙を設けて湿気硬化型組成物を充填し、湿気硬化型組成物の上面に粘度が0.1〜100,000mPa・sの加水分解性シリル基を有する化合物を塗布することを特徴とする湿気硬化型組成物の充填方法。
【請求項2】
前記加水分解性シリル基を有する化合物は、前記湿気硬化型組成物内に同じ成分が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の湿気硬化型組成物の充填包装方法。
【請求項3】
前記加水分解性シリル基を有する化合物の塗布量は湿気硬化性組成物充填後の密閉容器の空隙容積1L当たり0.01〜10ccであることを特徴とする請求項1〜2に記載の湿気硬化型組成物の充填包装方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−101857(P2012−101857A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178759(P2011−178759)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000132404)株式会社スリーボンド (140)
【Fターム(参考)】