説明

溶接ロボット

【目的】 操作性に優れ、教示精度がよく、かつ溶接作業に先立って高精度にワークの位置検出を行うことができ、これにより、教示装置で教示された点で結ぶ溶接作業線に沿って正確に溶接を行うことができるようにする。
【構成】 所定の自由度を有するアーム部材の先端に指示具を装着し、この指示具でワーク上の溶接線を指示することによりロボットアームの動作を教示するようにした教示装置と、溶接線を検出する検出装着とを溶接ロボットのロボットアームの先端部に装着し、前記検出装置からの検出からの検出信号を受けて、教示装置からの信号による教示動作を補正する制御手段を設けた構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるティーチング・プレイバック方式の溶接ロボットで、特にワーク上の各作業点を教示装置にて教示すると共に、この各作業点を結ぶ溶接線を検出してこの溶接線に沿って自動的に溶接加工を行うようにした溶接ロボットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ロボットの動作を教示する場合、ティーチング・プレイバック方式が使用される。この教示方式では、ティーチングペンダント(ロボット操作盤)を手動操作してロボット各軸を動作させ、ロボットのアーム先端に装着された効果器をワーク上の各作業点に沿って移動させ、各作業点の座標位置を教示し、溶接ロボットを動作させるためのプログラムを作成し、これをロボットの制御装置に記憶させることで、教示がなされる。そして、再生時には、ロボット制御装置に記憶されたプログラムを逐次読みだし、このプログラムを実行することによってロボットに所定の加工作業を行わせるというものである。
【0003】しかし、かかるティーチング・プレイバック方式では、ロボットをワーク上の各作業点に沿って実際に動かす必要があるため、ロボットを所望の駆動位置、姿勢に移動させるための操作に手間がかかり、莫大な教示時間が必要となる。
【0004】そこで、短時間で教示作業を行うべく、ロボット自体を実際に動かすことなく、教示専用のアームを使用して教示を行う方法が提案されている。
【0005】たとえば、特開昭54−53462号公報では、ロボットのアームと相似形のティーチングアームを用意し、これをロボットの旋回台に装着し、この装着したティーチングアームを動かすことで教示を行うようにしている。
【0006】また、特開昭60−221806号公報、特開昭60−108908号公報、特開昭60−124707号公報、特開昭60−164813号公報、実開昭61−184683号公報には、実際に加工作業を行うロボットのアームと同一の構造、寸法のティーチングアームを有した疑似ロボットを動作させて教示を行う方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ティーチング・プレイバック方式における、従来のロボットの教示装置では、いずれも加工作業を行うロボットのアームとほぼ等しい大きさのティーチングアームを使用するというものであり、その大きさゆえに操作性が悪くなり、教示精度も低下する。
【0008】ここで、教示精度とは、ティーチングアームによって教示された位置と、この教示位置に位置されるようロボットを制御したときの実際の移動位置との誤差のことをいう。この誤差は、主にティーチングアームの計測器としての精度やティーチングアームと加工作業が行われる実際のロボットのアームとは剛性が異なる等、機構上の問題に起因するものであり、ティーチングアームが大きくなるほど誤差が大きくなる。
【0009】また、特開昭54−53462号公報記載のものでは、旋回台から大型の多関節のアームを取り外し、これを同じく大型の多関節のティーチングアームに交換するという作業を行なわなくてはならないため、着脱作業に時間を要するという問題も発生する。
【0010】本発明は上記のことにかんがみなされたもので、操作性に優れ、教示精度が良く、かつ溶接作業に先立って高精度にワークの位置検出を行うことができ、これにより、教示装置で教示された点を結ぶ溶接線に沿って正確に溶接を行うことができるようにした溶接ロボットを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る溶接ロボットは、多関節型のロボットアームの先端部に溶接トーチを装着し、この溶接トーチがワーク上の溶接線に沿って移動されるように教示装置にて教示するようにした溶接ロボットにおいて、所定の自由度を有するアーム部材の先端に指示具を装着し、この指示具でワーク上の溶接線を指示することにより前記ロボットアームの動作を教示するようにした教示装置と、溶接線を検出する検出装置とを前記ロボットアームの先端部に装着し、前記検出装置からの検出信号を受けて、教示装置からの信号による教示動作を補正する制御手段を設けた構成になっている。
【0012】また上記溶接ロボットは、移動車等の移動手段にて移動可能にしたベース上に搭載した構成になっている。
【0013】
【作 用】教示装置と検出装置は、溶接ロボットのロボットアームの動作を教示する際に、ロボットアームの先端部に対して適宜着脱される。教示装置による教示データは、これの制御手段において、検出装置の検出データにより補正され、溶接ロボットのロボットアーム先端に装着された溶接トーチはこの補正されたデータに基づいて溶接を実行する。
【0014】
【実 施 例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、本発明に係る溶接ロボットに用いる教示装置の一例について説明する。図1は実施例装置の外観を概略的に示す図であり、図2は実施例装置の構成を示すブロック図であり、図3はロボットの先端アームの先端の様子をより詳細に示す図である。
【0015】これら図に示すように、所定の加工作業を行う溶接ロボット1は、多関節のたとえば6軸のロボットであり、これのロボットアーム1aの先端の手首13には、溶接ロボット1と同じ6軸の教示装置(教示用アーム)が着脱自在に配設されている。ここで、手首13は、ロボット第5軸によって、図3の矢印A′に示すように先端アーム1aに対して回動され、またロボット第6軸によって矢印B′に示すように手首長手方向中心軸を回転中心として回動される。手首13の先端には、溶接作業を行う溶接トーチ12が装着されており、この溶接トーチ12は、その先端部に軸12aを有し、その先端12bがワーク6の溶接線Lに沿って移動されることにより、溶接作業が行われる。
【0016】そしてこの溶接トーチ12の先端軸部に上記ワーク6の溶接線Lの位置、形状を溶接前に予め検出する変位センサ50が着脱自在に装着されている。この変位センサ50は後述する図5に示すセンサユニット51の一部を構成している。溶接ロボット1の旋回ベース1cには、センサユニット51を載置して係止する後述する着脱ベース55が配設されている。この着脱ベース55は溶接ロボット1の動作範囲内にある。
【0017】教示装置4は、当該装置の各軸42〜47の位置を検出する位置検出器40を有しており、保持部材41により、手首13に固定される。たとえば、図4に示すように、リング状の保持部材41を手首13に環装し、この保持部材41と教示装置4の取付部41aとをボルト41bによって締結する固定方法が考えられる。なお、保持部材41は、ロボットアーム1aの手首側に常時固定しておき、この保持部材41に教示装置4の取付部41aを着脱可能に装着するようにすれば、教示装置4を溶接ロボット1に配設する際の位置ずれ等の誤差をより少なくすることができる。教示装置4のアーム先端には、指示具48が装着されている。この指示具48は、溶接作業を行う溶接ロボット1の溶接トーチ12に相当するものである。なお、この実施例では、溶接ロボット1と同じ6軸の教示装置を用いたが、後述する溶接トーチ12の座標位置および姿勢rR を求めることができる構造であれば、軸数に制限はなく、また溶接ロボットと異構造であってもよい。
【0018】さて、教示装置4の位置検出器40からは各軸42〜47の位置θT を示す位置検出信号がデータ変換装置5に出力される。一方、溶接ロボット1にもこれのロボットアーム1aの各軸の位置を検出する位置検出器11が付設されており、この位置検出器11から各軸の位置θR を示す位置検出信号が、ロボット制御装置2のモニタ部23を介してデータ変換装置5に出力される。
【0019】データ変換装置5では、上記各検出信号θT ,θR を取り込んで、後述するように、これら位置θT ,θR を溶接ロボット1のロボットアーム1aの先端の溶接トーチ12の座標位置および姿勢rR に変換する演算が行われ、これがロボット制御装置2に出力される。ロボット制御装置2では、変換座標位置・姿勢rRが記憶部21に記憶される。
【0020】一方変位センサ50の検出信号S1はセンサアンプ52に加えられ、データ変換装置(A/Dコンバータ)53を介してセンサコントローラ54に入力される。センサコントローラ54は、後述するように、入力された検出信号S1に基づいて溶接線Lの位置、形状を示すデータを生成し、これを溶接ロボット1のロボット制御装置2に加える。
【0021】ロボット制御装置2は、上記センサコントローラ54から入力された位置、形状データに基づいて、記憶部21に記憶されている教示装置4からのティーチングデータを補正する。
【0022】また、ロボット制御装置2は、後述するように、着脱ベース55上のセンサ着脱装置のエアシリンダ59(図5)を駆動制御するための駆動制御信号S3 を出力する。
【0023】図5はセンサユニット51を溶接トーチ12に装着させるとともに溶接トーチ12から脱着させる着脱装置の構成を示す平面図である。図6は図5のC−C断面図である。
【0024】これら図に示すようにセンサユニット51は、上記変位センサ50とグリッパ56とが一体的になるよう螺合されており、着脱装置は、上記着脱ベース55と、着脱ベース55の上面に配設され、上記センサユニット51を係止するストッパ57,58と、着脱ベース55の上面に配設されたエアシリンダ59とから構成されている。
【0025】センサユニット51の変位センサ50には、検出信号S1 の信号線50aが接続されており、この信号線50aの他端は上記センサアンプ52に接続されている。
【0026】センサユニット51のグリッパ56は、一対の部材60,61をピン62によって回動自在にした構造となっており(図6参照)、アーム部56aと把持部56bとからなっている。
【0027】把持部56bは、溶接トーチ12の軸12aをクランプする部分であり、軸12aが挿通され得る開口部56cが形成されている。開口部56cの内周には、軸12aとの緩衝のために弾性体(たとえばゴム)が貼着されている。
【0028】一方、アーム部56aは、作用する力に応じてグリッパ56の開閉を行い、上記開口部56cの大きさを変化させる部分である。
【0029】いま、エアシリンダ59のロッド59aが縮退された状態であって外部からアーム部56aに対して力が作用していない場合には、両部材60,61間に介装されたバネ63による弾性力によってアーム部56aの先端がストッパ57,58に当接されることとなり、センサユニット51全体がストッパ57,58によって係止された状態となっている。
【0030】しかし、エアシリンダ59のロッド59aが伸張され、アーム56aに当接されて、エアシリンダ59の駆動力がアーム部56aに作用した場合には、当該駆動力がバネ63の弾性力に打ち勝ち、グリッパ56が開かれ、開口部56cが最大の大きさにされる。したがって、かかる状態において、上記溶接トーチ12の軸12aを開口部56c内に遊挿させることができる。
【0031】上記溶接ロボット1は図7に示すように、ロボット制御装置2と共にベース66上に搭載されている。そしてこのベース66は移動車68にて移動可能になっており、この移動車68にてワークの近くまで移動されて床上に降ろされた状態で上下方向に伸縮する足69にて安定して固定されるようになっている。上記移動車68の走行装置は車輪あるいは無限軌道装置を用いる。
【0032】次に本発明の作用を図8以下のフロー図で説明する。まずベース66を移動車68にてワーク6の近くまで移動し(ステップa)、ベース66を床面に固定する(ステップb)。ついで、教示装置4を取付けて溶接線を教示する(ステップc)。次にこの教示装置4で教示された概略位置に対して正確な位置および形状を認識するためのサーチジョブをロボット制御装置2で自動作成する(ステップd)と共に、教示装置4を取りはずす。
【0033】次にセンサユニット51を溶接ロボット1の溶接トーチ12の軸12aに装着してから溶接ロボット1を上記教示装置4で教示された軌跡に従って走査させて、変位センサ50の形状認識機能により溶接線Lの正確な位置、溶接形状を認識し(ステップe)、このセンサユニット51を取りはずす。
【0034】ついで、変位センサ50で得られたサーチデータをもとに、記憶部21に記憶されている教示装置4からの教示データを補正し、溶接ロボット1が溶接を行うための移動命令および溶接速度、溶接電流等の条件を設定し、溶接ロボット1が実行可能なジョブをロボット制御装置2で自動作成する(ステップf)。その後溶接を実行する(ステップg)。
【0035】このとき、ワーク6が大きくて溶接ロボット1のアーム1aがとどかず、溶接ロボット1を移動する必要があるかを判断し(ステップh)、必要がある場合には再び上記各ステップ(a〜g)を行う。移動する必要がない場合には溶接作業を終了させる。
【0036】上記教示装置4の教示時の処理内容の一例を図9のフロー図にて説明する。まず、オペレータは、ティーチングペンダント3を操作して溶接ロボット1を動作させる。そして、教示装置4の動作範囲内でワーク6上の各作業点を教示し得るような位置まで溶接ロボット1が移動された時点で、溶接ロボット1をサーボオフ、ブレーキオンの状態にする。このようにサーボオフ、ブレーキオンの状態とするのは、オペレータの安全を考慮した措置であり、技術的にはサーボオンの状態のままでも以下の処理を行うことができる(ステップ101)。
【0037】つぎに、ロボット1の先端アーム1aの先端に教示装置4を、例えば上述した図4に示す固定方法によって取り付ける(ステップ102)。そして、オペレータは、教示装置4を手で持ち(図1参照)、先端の指示具48によってワーク6上の作業点Pを指示させつつ、ポイントPを記憶させるためのスイッチ(図示せず)をオン操作する(ステップ103)。このスイッチ操作によりデータ変換装置5は、位置検出器40から、上記作業点Pに対応する位置θT のデータを取り込むとともに、ロボット制御装置2のモニタ部23を介して溶接ロボット1の現在位置θR を取り込む(ステップ104,105)。
【0038】そして、取り込まれたデータが合成され、溶接ロボット1の溶接トーチ12の位置、姿勢を表す座標位置・姿勢データrR に変換される。ここで、変換された座標位置・姿勢データrR が動作可能か否か、つまり溶接ロボット1の動作範囲内であるか否かが判断される(ステップ106)。これにより動作可能であると判断されると、データ変換装置5は、ロボット制御装置2の記憶部21に、座標位置・姿勢データrR を書き込む処理を行う(ステップ107)。
【0039】以上の処理が、ワーク6上の各作業点P…について繰り返し行われ、教示作業が終了する(ステップ108)。さて、上記座標位置・姿勢データrR は、下記(1)式で表される。
【0040】
rR =(X,Y,Z,A,B,C)…(1)
ここで、X,Y,Zは溶接トーチ12の先端の3次元座標位置を示し、A,B,Cは溶接トーチ12の姿勢を表す角度(例えばオイラ角が用いられる)である。上記座標位置・姿勢データrR への変換は、下記(2)式によって行われる。
rR =fTR (θT ,θR )…(2)
ここで、fTR は、教示装置4および溶接ロボット1の各軸の位置データθT ,θr から、溶接トーチ12の座標位置・姿勢データrR に変換する関数を表す。この関数は、溶接ロボット1、教示装置4の構造および教示装置4の取付け方法によって異なるものである。
【0041】また、大きなワークを教示する場合には、作業範囲が広範囲にわたることから、教示装置4の動作範囲を越えたり、動作範囲のエンド付近で教示装置4を操作したりする必要がある。そこで、教示装置4の動作範囲が所定範囲内に入っているか否かを判断し(ステップ110)、この所定範囲内に入っていない場合には、教示装置4が動作不可能であると判断し(ステップ110の判断NO)、ティーチングペンダント3でロボット1を移動させて、教示装置4の動作範囲の中央部で教示作業を行うようにする(ステップ111)。
【0042】ここに、従来技術にあっては、溶接ロボットのアームと同型、同寸法の教示用アームを使用していたため、動作範囲のエンド付近や構造上の特異点付近では操作性制が悪くなってしまうが、本発明の実施例によれば、常に操作性のよい状態での教示が可能となる。また、ロボットアームの先端に教示装置4を配設するようにしたので、設置誤差が極端に小さく、小型、軽量化できるので、教示装置の精度も向上し、その結果操作性に優れ、短時間で精度のよい教示が可能となる。
【0043】教示作業が終了したならば、オペレータは溶接ロボット1から教示装置4を前述した図4に示す方法で取り外し、溶接ロボット1をサーボオンの状態に戻す(ステップ109)。
【0044】次に図8におけるステップ(e)における変位センサ51の作用を図10のフロー図にて説明する。まず、制御部22から駆動制御信号S2 が溶接ロボット各軸の駆動源に対して出力され、溶接トーチ12が図1の矢印Aに示すように移動され、トーチ先端12bが着脱ベース55上に係止されているセンサユニット51のグリッパ56の把持部56bの上方に位置決めされる(ステップ201)。
【0045】上記位置決めがなされた後、溶接ロボット1の制御部22は、駆動制御信号S3 をエアシリンダ59に対して出力し、ロッド59aを伸張させてグリッパ56を開かせ、開口部56cを最大の大きさにする。つぎに、駆動制御信号S2 をロボット各軸に対して出力し、開口部56c内に溶接トーチ12の軸12aを所定の位置まで挿通させる。つぎに、エアシリンダ59に対して駆動制御信号S3 が出力され、ロッド59aが縮退される。これによりアーム部56aがバネ力により押し戻され、グリッパ56が閉じられ、開口部56cに挿通された溶接トーチ12の軸12aがバネ力により把持される。こうしてセンサユニット51が溶接トーチ12の軸12aに装着される(ステップ202)。溶接ロボット制御装置2で自動作成されたサーチジョブにもとづいて制御部22は駆動制御信号S2 を出力し、図1の矢印Bに示すように溶接トーチ12をワーク6上に移動させ、さらにトーチ先端を溶接線Lに沿って移動させることにより、当該トーチ12に装着されたセンサユニット51を溶接線L上に沿って走査させる(ステップ203)。この走査中、変位センサ50の検出信号S1 がセンサアンプ52、A/Dコンバータ53を介してセンサコントローラ54に順次入力され、記憶される(ステップ204)。そして、制御部22は、記憶された走査データに基いて溶接線Lの形状、位置を示すデータを生成する(ステップ205)。
【0046】つぎに、制御部は駆動制御信号S2 を出力して図1の矢印Aに示すように再び着脱ベース55上まで溶接トーチ12を移動させ、溶接トーチ12の軸12aに装着されたセンサユニット51を着脱ベース55上のストッパ57,58間に位置決めする(ステップ206)。駆動制御信号S3 を出力しエアシリンダ59を駆動し、ロッド59aを伸張させ、グリッパ56を開かせる。これによってトーチ12の軸12aの開口部56cによる把持状態が解除される。つぎに、駆動制御信号S2 を出力し、溶接トーチ12を上方に移動させ開口部56cから軸12aを所定位置まで移動させる。駆動制御信号S3 がエアシリンダ59に出力されロッド59aが縮退される。この結果、バネ力によってアーム部56aがストッパ57,58に当接され、センサユニット51全体が当該ストッパ57,58により再び係止された状態となる(ステップ207)。なお、この実施例では、教示装置4のデータ処理をデータ変換装置5で行ない、変位センサ50のデータ処理をセンサコントローラ54にて行なうようにしたが、これの処理をすべてロボット制御装置2で行なうようにしてもよい。またロボット制御装置2で行なっているサーチジョブが溶接ジョブの自動作成や、データ変換装置5、センサコントローラ54で行なっている処理を一括して外部コンピュータで行なわせるようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、アーム部材からなる教示装置をロボットアームの先端部に装着することにより、操作性に優れ、短時間で溶接線の概略位置の教示が可能となり、かつ溶接線検出装置により、溶接作業に先立って、前記教示装置で教示された溶接線の概略位置に対し、正確な位置および形状検出を行なうことができる。この結果、短時間で溶接ロボットの溶接作業の教示が行え、かつ正確な溶接を行なうことができ、従来できなかった多品種少量ワークへの溶接ロボットの適用が可能となる。また移動手段をもうけることにより、移動が困難で形状が複雑な大型、重量物ワークへのロボットの適用も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶接ロボットの一例を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す実施例装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すロボット先端の様子を詳細に示した図である。
【図4】実施例の教示装置をロボットアームに固定させるための方法を例示した図である。
【図5】図1で示す変位センサの着脱ベースを上面から見た図である。
【図6】図5のC−C線に沿う断面図である。
【図7】本発明に係る溶接ロボットの教示作業状態を示す図である。
【図8】本発明に係る溶接ロボットの作業手順を示すフロー図である。
【図9】教示装置で行われる処理手順を示すフロー図である。
【図10】変位センサで行われる処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
1…溶接ロボット
1a…アーム
2…ロボット制御装置
4…教示装置
6…ワーク
12…溶接トーチ
13…手首
50…変位センサ
51…センサユニット
54…センサコントローラ
55…着脱ベース
66…ベース
68…移動車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 多関節型のロボットアームの先端部に溶接トーチを装着し、この溶接トーチがワーク上の溶接線に沿って移動されるように教示装置にて教示するようにした溶接ロボットにおいて、所定の自由度を有するアーム部材の先端に指示具を装着し、この指示具でワーク上の溶接線を指示することにより前記ロボットアームの動作を教示するようにした教示装置と、溶接線を検出する検出装置とを前記ロボットアームの先端部に装着し、前記検出装置からの検出信号を受けて、教示装置からの信号による教示動作を補正する制御手段を設けたことを特徴とする溶接ロボット。
【請求項2】 移動車等の移動手段にて移動可能にしたベース上に搭載したことを特徴とする請求項1記載の溶接ロボット。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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