溶接条件選択制御方法
【課題】溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件から所望の溶接条件を、トーチスイッチ操作によって選択することができるようにすること。
【解決手段】本発明は、溶接電源に複数の溶接条件を予め記憶させ、スイッチ等による溶接条件選択操作によって前記複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、溶接トーチに設けられたトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接条件選択モードに移行させ、この溶接条件選択モード中はトーチスイッチの操作によって複数の溶接条件の中から1つを選択し、前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接モードに移行させ、トーチスイッチの操作によって前記選択された溶接条件で溶接を行う溶接条件選択制御方法である。
【解決手段】本発明は、溶接電源に複数の溶接条件を予め記憶させ、スイッチ等による溶接条件選択操作によって前記複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、溶接トーチに設けられたトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接条件選択モードに移行させ、この溶接条件選択モード中はトーチスイッチの操作によって複数の溶接条件の中から1つを選択し、前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接モードに移行させ、トーチスイッチの操作によって前記選択された溶接条件で溶接を行う溶接条件選択制御方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接電源に複数の溶接条件を予め記憶させ、スイッチ等による溶接条件選択操作によって上記複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行うための溶接条件選択制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接を行う際に、種々のワークに適した溶接条件に設定して溶接を行う必要がある。溶接条件には数多くのパラメータがあるが、その中で溶接電源によって設定されるパラメータも多い。例えば,炭酸ガスアーク溶接では溶接電圧及び溶接電流(ワイヤ送給速度)を、パルスマグ溶接ではそれに加えてパルス幅、パルス電流及びベース電流を設定する必要がある。また、パルスティグ溶接では、パルス電流、ベース電流、周波数及びデューティを設定する必要がある。溶接ロボット等を使用する自動溶接装置においては、数多くのパラメータからなる溶接条件を記憶させておき、ワークに応じて記憶された複数の溶接条件から1つを自動選択して溶接が行われる。他方、溶接作業者が手動で行う溶接においても、溶接電源に予め複数の溶接条件を記憶させておき、ワークに応じて適正な溶接条件を選択することができる溶接電源が販売されている。以下、溶接条件を記憶/選択することができる溶接電源について説明する。
【0003】
図11は、溶接電源に予め記憶させておく複数の溶接条件を例示する図である。同図は消耗電極アーク溶接の場合であり、パラメータとしては溶接電流設定値Ir及び溶接電圧設定値Vrの組合せの場合である。同図では、溶接条件1〜5の5組が記憶されている。
【0004】
図12は、溶接電源のパネルに設けられた溶接条件記憶/選択部の一例を示す外観図である。液晶等の表示器10には、溶接条件番号11、溶接電流設定値12及び溶接電圧設定値13が表示される。選択ボタン20によって記憶されている複数の溶接条件から1つを選択する。この選択された溶接条件で溶接を行う。溶接電流設定値Ir及び/又は溶接電圧設定値Vrを微調整したときは、記憶ボタン30によって新たに溶接条件6以降を追加記憶させることができる。
【0005】
しかし、手動溶接の場合、溶接電源のパネルで溶接条件を切り換えることは面倒であり、作業効率が悪い。これを改善するために、溶接トーチに溶接条件選択部を設けふ従来技術が多く提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭57―165178号公報
【特許文献2】特開昭58−44970号公報
【特許文献3】特開2004−223555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的な溶接トーチは、電力、溶接ワイヤ及びシールドガスを溶接個所に供給するパワー部と、溶接開始/停止を溶接電源に指令するトーチスイッチと、からなる。トーチスイッチは開接点の単純な構造の押ボタン又はレバースイッチである。溶接トーチは消耗品であるために、定期的に新品に交換される。このために、コストが安価であることが求められる。さらに、溶接トーチは、高温でかつスパッタ等が飛散する悪環境下で使用されるために、この悪環境下でも故障しにくいことが求められる。
【0008】
上述したように、溶接トーチに溶接条件選択部、溶接条件調整器等を設けると
、溶接作業者は手元で溶接条件を選択することができるので作業効率は向上する。しかし、溶接トーチに溶接条件選択部を設けると、特殊な溶接トーチとなりコストが高くなる。さらに、溶接条件選択部は電子部品から構成されるために、上述した悪環境下では故障が発生しやすい。さらに、溶接条件選択部を設けた溶接トーチは、通常の溶接トーチとの互換性がないために、溶接条件記憶式溶接電源専用の溶接トーチになってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決することができる溶接条件選択制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接トーチに設けられたトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接条件選択モードに移行させ、この溶接条件選択モード中はトーチスイッチの操作によって前記複数の溶接条件の中から1つを選択し、
前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接モードに移行させ、トーチスイッチの操作によって前記選択された溶接条件で溶接を行う、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法である。
【0011】
また、第2の発明は、前記溶接条件選択モード中はトーチスイッチがクリック操作されるごとに前記複数の溶接条件の中から順番に1つが選択される、ことを特徴とする第1の発明記載の溶接条件選択制御方法である。
【0012】
また、第3の発明は、前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチが所定時間以上オンされているときは前記複数の溶接条件が順番に所定間隔で切り換わり、トーチスイッチがオフされたときの溶接条件が選択される、ことを特徴とする第1の発明記載の溶接条件選択制御方法である。
【0013】
また、第4の発明は、溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記複数の溶接条件の中から1つを選択する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法である。
【0014】
また、第5の発明は、溶接条件を形成するパラメータの値を設定して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記パラメータの設定値を増減させて微調整する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接条件の選択又は調整をトーチスイッチ操作又は溶接トーチ先端導電部の接触操作によって行うことができる。また、使用する溶接トーチ及びトーチスイッチは従来と同一の一般的なものである。したがって、溶接トーチは安価であり、かつ、一般的な溶接トーチとの互換性の問題もない。さらに、溶接トーチに電子部品等を取り付けていないので、悪環境下でも故障が発生しやすくなることもない。溶接作業者は手元でのトーチスイッチ操作又は接触操作によって溶接条件の選択又は調整を行うことができるので、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。溶接電源に電源が入力されると、同図のフローチャートの処理が開始され、電源が遮断されるまで処理を継続する。同図において、溶接電源には、溶接モードと溶接条件選択モードとの2つのモードがある。溶接モードは溶接を行うモードであり、溶接条件選択モードは記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択するモードである。記憶されている複数の溶接条件が、上述した図11である場合とする。以下、同図を参照して説明する。
【0018】
ステップST1において、トーチスイッチのオン操作によって選択条件又は初期条件で溶接を行う。溶接電源に電源を入力した初期状態では、溶接電源は溶接モードにある。この初期状態ではまだ溶接条件は選択されていないので、初期条件(例えば溶接条件1)で溶接が行われる。一般的な場合と同様に、トーチスイッチのオンにより溶接が開始し、オフにより溶接は停止する。ステップST2において、トーチスイッチがダブルクリック操作されたかを判別して、NOならば溶接モードのままでステップST1に戻り、YESならば溶接条件選択モードに移行してステップST3に進む。ダブルクリック操作とは、所定時間(例えば1秒)以内にトーチスイッチをオン/オフ/オン/オフする操作である。
【0019】
ステップST3において、クリック操作によって複数の溶接条件から1つを選択する。トーチスイッチを1回クリック操作すると溶接条件1→2へと切り換わり、さらにクリック操作すると溶接条件2→3へと切り換わる。すなわち、クリック操作によって、溶接条件1→2→3→4→5→1→2…と順番に切り換わる。この選択された溶接条件は、図12で上述した表示器10に表示される。ステップST4において、トーチスイッチがダブルクリック操作されたかを判別して、NOならば溶接条件選択モードのままでステップST3に戻り、YESならば溶接モードに移行してステップST1に戻る。
【0020】
図2は、上述した溶接条件選択制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。同図は、消耗電極アーク溶接電源の場合である。電源主回路PMは、3相200V等の商用電源を入力として、後述する起動信号OnがHighレベルになると、後述する誤差増幅信号Eaに従ってインバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行い、溶接に適した溶接電流Iw及び溶接電圧Vwを出力する。溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給モータMによって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。
【0021】
電圧検出回路VDは、溶接電圧Vwを検出して電圧検出信号を出力する。トーチスイッチTSは、溶接トーチ4に設けられている。トーチスイッチTSをオンすると、Highレベルのトーチスイッチ信号Tsが出力される。制御回路SCは、複数の溶接条件を記憶する記憶部MMを有し、トーチスイッチ信号Tsの入力に応じて図1で上述した処理を行い、起動信号On、溶接電圧設定信号Vr及び溶接電流設定信号Irを出力する。これら出力信号については図3で詳述する。誤差増幅回路EAは、上記の溶接電圧設定信号Vrと電圧検出信号Vdとの誤差を増幅して誤差増幅信号Eaを出力する。これにより溶接電源PSは定電圧特性となる。送給制御回路FCは、上記の起動信号OnがHighレベルになると、上記の溶接電流設定信号Irに応じた送給速度になるようにワイヤ送給モータMを制御するための送給制御信号Fcを出力する。
【0022】
図3は、図2で上述した溶接電源の各信号のタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は溶接電流設定信号Irの、同図(D)は溶接電圧設定信号Vrの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0023】
(1)時刻t2〜t8の溶接条件選択モード期間
時刻t1においてトーチスイッチTSがダブルクリック操作されたことを、、同図(A)に示すように、トーチスイッチ信号Tsが所定時間T内に2回Highレベルになったことで判別すると、時刻t2において溶接電源は溶接条件選択モードに移行する。ここで、時刻t2以前は溶接モードにあったものとする。この状態では、溶接条件として図11で上述した溶接条件1が初期条件として選択されている。このために、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号Ir=I1となり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号Vr=V1となる。
【0024】
時刻t3においてトーチスイッチTSがクリック操作されると、同図(A)に示すように、トーチスイッチ信号Tsが1回Highレベルになる。時刻t4において、このトーチスイッチ操作がダブルクリック操作でないことが判別されると、溶接条件は1→2へと切り換わる。このために、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号IrはI1→I2になり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV1→V2になる。同様に、時刻t5においてトーチスイッチTSをクリック操作すると、時刻t6において溶接条件は2→3に切り換わる。このために、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号IrはI2→I3になり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV2→V3になる。ここでは、クリック操作は所定時間T以内の場合を例示したが、所定時間Tを越えていても良い。この場合には、所定時間Tを超えてクリック操作が終了した時点(オフした時点)で溶接条件が切り換わる。このようにして、所望の溶接条件番号を選択する。
【0025】
(2)時刻t8以降の溶接モード期間
時刻t7において、同図(A)に示すように、トーチスイッチTSがダブルクリック操作されると、時刻t8において溶接電源は溶接モードに移行する。時刻t9〜t10の間、同図(A)に示すように、トーチスイッチTSがオンされてトーチスイッチ信号TsがHighレベルになると、同図(B)に示すように、起動信号OnがHighレベルになり、溶接が行われる。このときの溶接条件は、溶接条件選択モード中に選択された溶接条件3となる。同図(C)に示すように、溶接電流設定信号IrはI3のままであり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV3のままである。溶接モード中のトーチスイッチ操作による溶接電源の動作は、ダブルクリック操作を除き一般的な溶接電源の動作と同様である。
【0026】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る溶接電源のブロック図は、上述した図2と同一である。ただし、制御回路SCの動作が下記図4のフローチャートの処理に変わる。図4は、実施の形態2に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。同図は上述した図1と対応しており、図1のステップST3を同図のステップST31に置換したもおであり、他のステップは同一である。以下、この点線で示すステップST31について説明する。
【0027】
ステップST31において、トーチスイッチが所定時間T2以上オンされているときは複数の溶接条件が順番に所定間隔T2で切り換わり、トーチスイッチがオフされたときの溶接条件が選択される。
【0028】
図5は、ステップST31の動作を説明するための上述した図3に対応するタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は溶接電流設定信号Irの、同図(D)は溶接電圧設定信号Vrの時間変化を示す。時刻t7以降の動作は、図3と同一である。
【0029】
(1)時刻t2〜t8の溶接条件選択モード期間
時刻t1において、同図(A)に示すように、トーチスイッチがダリダブルクリック操作されると、時刻t2においてダブルクリック操作を判別して溶接電源は溶接条件選択モードに移行する。時刻t3〜t6の間、同図(A)に示すように、トーチスイッチをオンし続けると、所定間隔T2ごとに溶接条件が順番に切り換わる。すなわち、溶接条件は、時刻t4において1→2に切り換わり、時刻t5において2→3に切り換わる。この結果、同図(A)に示すように、時刻t6においてトーチスイッチがオフされたときには、溶接条件3が選択されることになる。
【0030】
上記の動作によって、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号Irは、I1→I2→I3と切り換わる。同様に、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号Vrは、V1→V2→V3と切り換わる。ダブルクリック操作を判別するための所定時間Tと上記の所定間隔T2は、0.3〜2秒程度の範囲で同一値でも違う値でも良い。
【0031】
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3に係る溶接条件選択制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。同図において上述した図2と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図2とは異なる点線で示すブロックについて説明する。
【0032】
接触判別回路SDは、溶接停止中に、溶接トーチ4の先端導電部が母材2と接触したかを判別し、接触したときはHighレベルになり非接触のときはLowレベルになる接触判別信号Sdを出力する。この接触判別回路SDの詳細は図7で後述する。上記の溶接トーチ先端導電部とは、溶接ワイヤ、タングステン等の消耗/非消耗電極又は電極への給電部材(給電チップ/コレットボディ)を指している。溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材2に接触させる操作(以下、接触操作という)を行ったことを上記の接触判別信号Sdによって判別する。
【0033】
第2制御回路SC2は、図11で上述した複数の溶接条件を予め記憶した記憶部MMを有し、溶接停止中の接触判別信号Sdに基づいて溶接条件を選択し、選択された溶接条件に対応した溶接電流設定信号Ir及び溶接電圧設定信号Vrを出力する。さらに、この第2制御回路SC2は、溶接作業者のトーチスイッチTSの操作によるトーチスイッチ信号Tsを入力として起動信号Onを出力する。これにより、溶接電源PSからの出力が開始されて、溶接が行われる。上記の接触判別信号Sdに基づく溶接条件選択処理の詳細については、図8で後述する。
【0034】
図7は、上述した接触判別回路SDの詳細ブロック図の一例である。a端子は溶接電源の+端子(溶接トーチ先端導電部側)に接続され、b端子は溶接電源の−端子(母材)に接続される。判別電源Eは15V程度の電圧を出力する。抵抗器Rの値は1kΩ程度である。ダイオードDは、溶接中にa端子に印加される溶接電圧を阻止するための数百V耐圧のダイオードである。電圧比較回路CPは、抵抗器R上部の電圧値が0Vに近いときはHighレベルになり、15Vに近いときはLowレベルになる接触判別信号Sdを出力する。溶接トーチ先端導電部が母時に接触すると、a端子とb端子とが短絡状態になり、抵抗器R上部の電圧値は略0Vになる。他方、溶接トーチ先端導電部と母材とが非接触状態(開放状態)にあるときは、a端子とb端子とは開放状態にあり、抵抗器R上部の電圧値は略15Vになる。
【0035】
上記では判別電源Eを使用する場合を例示したが、以下のような接触判別手段でも良い。上述した図6において、溶接停止中に電源主回路PMから15V程度の電圧を出力し、溶接トーチ先端導電部と母材とが接触すると通電する電流値を1A程度以下に制限する。これにより、溶接電源の出力端子間電圧が接触時は略0Vになり、開放時は略15Vになる。したがって、この出力端子間電圧の値によって接触判別を行うことができる。接触時の通電電流を1A以下にしているのは、接触/開放時にアークが発生するのを防止するためである。
【0036】
図8は、図6で上述した溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は接触判別信号Sdの、同図(D)は溶接電流設定信号Irの、同図(E)は溶接電圧設定信号Vrの時間変化を示す。同図において、時刻t5以前の期間は溶接停止期間であり、時刻t5〜t6の期間は溶接期間であり溶接が行われる。以下、同図を参照して説明する。
【0037】
溶接停止中の時刻t1〜t2の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdがHighレベルになる。これに応動して、図11で上述した溶接条件が1番から2番に切り換わり、同図(D)に示すように、溶接電流設定信号IrはI1→I2に切り換わり、同図(E)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV1→V2に切り換わる。時刻t3〜t4の期間中、溶接作業者が再び溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。これに応動して、溶接条件は2番から3番に切り換わり、同図(D)に示すように、溶接電流設定信号IrはI2→I3に切り換わり、同図(E)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV2→V3に切り換わる。このようにして、溶接トーチ先端導電部が母材に接触す毎に、溶接条件が1→2→3→4→1→2と順番に切り換わり、所望の溶接条件を選択することができる。
【0038】
時刻t5〜t6の期間中、接作業者によってトーチスイッチがオンされると、同図(A)に示すように、溶トーチスイッチ信号TsはHighレベルになり、同図(B)に示すように、起動信号OnはHighレベルになる。これに応動して、溶接電源から溶接電圧及び溶接電流が出力されて溶接が行われる。
【0039】
上記において、溶接トーチ先端導電部と母材との接触時間によって、溶接条件を昇順又は降順に切り換えるようにしても良い。すなわち、接触時間が所定時間未満のときは溶接条件を昇順(1→2→3)に切り換え、所定時間以上のときは溶接条件を降順(3→2→1)に切り換える。また、接触状態を長く維持すると、溶接条件が所定時間間隔に自動的に切り換わるようにしても良い。さらに、溶接停止中にトーチスイッチをダブルクリック操作したときに溶接条件選択モードに移行し、接触操作による溶接条件の切り換えを可能にし、再びダブルクリック操作によって溶接条件選択モードから出て接触操作による溶接条件の選択を禁止するようにしても良い。このダブルクリック操作をシングルクリック操作に代えても良い。
【0040】
[実施の形態4]
図9は、本発明の実施の形態4に係る溶接条件選択制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。同図において上述した図6と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図6とは異なる点線で示すブロックについて説明する。
【0041】
第3制御回路SC3は、図11で上述した複数の溶接条件を予め記憶した記憶部MMを有し、選択された溶接条件に対応した溶接電流設定信号Ir及び溶接電圧設定信号Vrを出力すると共に、トーチスイッチTSの操作によるトーチスイッチ信号Tsに基づいて起動信号Onを出力する。増減回路UDは、上記の溶接電圧設定信号Vrの値を接触判別信号Sdに基づいて増減して微調整し、溶接電圧制御設定信号Vcrを出力する。すなわち、溶接停止中に溶接トーチ先端導電部と母材との接触時間(接触判別信号SdのHighレベル期間の長さ)が所定時間未満のときは、予め定めた増加値だけ溶接電圧設定信号Vrの値を増加させ、接触時間が所定時間以上のときは予め定めた減少値だけ溶接電圧設定信号Vrの値を減少させる。上記において、溶接電流設定信号Irを増減させても良い。また、これら以外のパラメータを増減させても良い。
【0042】
図10は、図9で上述した溶接電源の溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は接触判別信号Sdの、同図(D)は溶接電流設定信号Irの、同図(E)は溶接電圧制御設定信号Vrの時間変化を示す。同図において、時刻t7以前の期間は溶接停止期間であり、時刻t7〜t8の期間は溶接期間であり溶接が行われる。以下、同図を参照して説明する。
【0043】
溶接停止中の時刻t1以前の期間において、図11で上述した溶接条件の1番が選択されているとすると、同図(D)に示すように、溶接電流設定信号Ir=I1となり、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1となる。時刻t1〜t2の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。この接触時間が所定時間未満であるので、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δuになる。ここで、Δuは予め定めた増加値である。同様に、時刻t3〜t4の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。この接触時間が所定時間未満であるので、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δu+Δuになる。
【0044】
さらに、時刻t5〜t6の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。この接触時間が所定時間以上であるので、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δu+Δu−Δdになる。ここで、Δdは予め定めた減少値である。上述した接触操作によって、溶接電圧制御設定信号Vcrの値を増減させて微調整することができる。
【0045】
時刻t7〜t8の期間中、溶接作業者によるトーチスイッチ操作によって、同図(A)に示すように、トーチスイッチ信号TsはHighレベルになり、同図(B)に示すように、起動信号OnはHighレベルになる。これに応動して、溶接電源は溶接電流設定信号Ir=I1及び溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δu+Δu−Δdによって設定された溶接電流及び溶接電圧を出力し、溶接が行われる。
【0046】
上述した実施の形態では、消耗電極アーク溶接の場合を例示したが、非消耗電極アーク溶接の場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。
【図2】実施の形態2に係る溶接電源のブロック図である。
【図3】図2の溶接電源の各信号のタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2に係る溶接電源の各信号のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3に係る溶接電源のブロック図である・
【図7】図6の接触判別回路SDの詳細ブロック図である・
【図8】実施の形態3に係る溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである・
【図9】本発明の実施の形態4に係る溶接電源のブロック図である・
【図10】実施の形態4に係る溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである・
【図11】従来技術において溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件を例示する図である。
【図12】従来技術において溶接電源のパネルに設けられた溶接条件選択/記憶部を示す外観図である。
【符号の説明】
【0048】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
10 表示器
11 溶接条件番号
12 溶接電流設定値
13 溶接電圧設定値
20 選択ボタン
30 記憶ボタン
CP 電圧比較回路
D ダイオード
E 判別電源
EA 誤差増幅回路
Ea 誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
Ir 溶接電源設定信号
Iw 溶接電流
M ワイヤ送給モータ
MM 記憶部
On 起動信号
PM 電源主回路
PS 溶接電源
R 抵抗器
SC 制御回路
SC2 第2制御回路
SC3 第3制御回路
SD 接触判別回路
Sd 接触判別信号
T 所定時間
T2 所定間隔
TS トーチスイッチ
Ts トーチスイッチ信号
UD 増減回路
Vcr 溶接電圧制御設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
Vr 溶接電圧設定信号
Vw 溶接電圧
Δd 減少値
Δu 増加値
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接電源に複数の溶接条件を予め記憶させ、スイッチ等による溶接条件選択操作によって上記複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行うための溶接条件選択制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接を行う際に、種々のワークに適した溶接条件に設定して溶接を行う必要がある。溶接条件には数多くのパラメータがあるが、その中で溶接電源によって設定されるパラメータも多い。例えば,炭酸ガスアーク溶接では溶接電圧及び溶接電流(ワイヤ送給速度)を、パルスマグ溶接ではそれに加えてパルス幅、パルス電流及びベース電流を設定する必要がある。また、パルスティグ溶接では、パルス電流、ベース電流、周波数及びデューティを設定する必要がある。溶接ロボット等を使用する自動溶接装置においては、数多くのパラメータからなる溶接条件を記憶させておき、ワークに応じて記憶された複数の溶接条件から1つを自動選択して溶接が行われる。他方、溶接作業者が手動で行う溶接においても、溶接電源に予め複数の溶接条件を記憶させておき、ワークに応じて適正な溶接条件を選択することができる溶接電源が販売されている。以下、溶接条件を記憶/選択することができる溶接電源について説明する。
【0003】
図11は、溶接電源に予め記憶させておく複数の溶接条件を例示する図である。同図は消耗電極アーク溶接の場合であり、パラメータとしては溶接電流設定値Ir及び溶接電圧設定値Vrの組合せの場合である。同図では、溶接条件1〜5の5組が記憶されている。
【0004】
図12は、溶接電源のパネルに設けられた溶接条件記憶/選択部の一例を示す外観図である。液晶等の表示器10には、溶接条件番号11、溶接電流設定値12及び溶接電圧設定値13が表示される。選択ボタン20によって記憶されている複数の溶接条件から1つを選択する。この選択された溶接条件で溶接を行う。溶接電流設定値Ir及び/又は溶接電圧設定値Vrを微調整したときは、記憶ボタン30によって新たに溶接条件6以降を追加記憶させることができる。
【0005】
しかし、手動溶接の場合、溶接電源のパネルで溶接条件を切り換えることは面倒であり、作業効率が悪い。これを改善するために、溶接トーチに溶接条件選択部を設けふ従来技術が多く提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭57―165178号公報
【特許文献2】特開昭58−44970号公報
【特許文献3】特開2004−223555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的な溶接トーチは、電力、溶接ワイヤ及びシールドガスを溶接個所に供給するパワー部と、溶接開始/停止を溶接電源に指令するトーチスイッチと、からなる。トーチスイッチは開接点の単純な構造の押ボタン又はレバースイッチである。溶接トーチは消耗品であるために、定期的に新品に交換される。このために、コストが安価であることが求められる。さらに、溶接トーチは、高温でかつスパッタ等が飛散する悪環境下で使用されるために、この悪環境下でも故障しにくいことが求められる。
【0008】
上述したように、溶接トーチに溶接条件選択部、溶接条件調整器等を設けると
、溶接作業者は手元で溶接条件を選択することができるので作業効率は向上する。しかし、溶接トーチに溶接条件選択部を設けると、特殊な溶接トーチとなりコストが高くなる。さらに、溶接条件選択部は電子部品から構成されるために、上述した悪環境下では故障が発生しやすい。さらに、溶接条件選択部を設けた溶接トーチは、通常の溶接トーチとの互換性がないために、溶接条件記憶式溶接電源専用の溶接トーチになってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決することができる溶接条件選択制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接トーチに設けられたトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接条件選択モードに移行させ、この溶接条件選択モード中はトーチスイッチの操作によって前記複数の溶接条件の中から1つを選択し、
前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接モードに移行させ、トーチスイッチの操作によって前記選択された溶接条件で溶接を行う、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法である。
【0011】
また、第2の発明は、前記溶接条件選択モード中はトーチスイッチがクリック操作されるごとに前記複数の溶接条件の中から順番に1つが選択される、ことを特徴とする第1の発明記載の溶接条件選択制御方法である。
【0012】
また、第3の発明は、前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチが所定時間以上オンされているときは前記複数の溶接条件が順番に所定間隔で切り換わり、トーチスイッチがオフされたときの溶接条件が選択される、ことを特徴とする第1の発明記載の溶接条件選択制御方法である。
【0013】
また、第4の発明は、溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記複数の溶接条件の中から1つを選択する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法である。
【0014】
また、第5の発明は、溶接条件を形成するパラメータの値を設定して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記パラメータの設定値を増減させて微調整する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接条件の選択又は調整をトーチスイッチ操作又は溶接トーチ先端導電部の接触操作によって行うことができる。また、使用する溶接トーチ及びトーチスイッチは従来と同一の一般的なものである。したがって、溶接トーチは安価であり、かつ、一般的な溶接トーチとの互換性の問題もない。さらに、溶接トーチに電子部品等を取り付けていないので、悪環境下でも故障が発生しやすくなることもない。溶接作業者は手元でのトーチスイッチ操作又は接触操作によって溶接条件の選択又は調整を行うことができるので、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。溶接電源に電源が入力されると、同図のフローチャートの処理が開始され、電源が遮断されるまで処理を継続する。同図において、溶接電源には、溶接モードと溶接条件選択モードとの2つのモードがある。溶接モードは溶接を行うモードであり、溶接条件選択モードは記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択するモードである。記憶されている複数の溶接条件が、上述した図11である場合とする。以下、同図を参照して説明する。
【0018】
ステップST1において、トーチスイッチのオン操作によって選択条件又は初期条件で溶接を行う。溶接電源に電源を入力した初期状態では、溶接電源は溶接モードにある。この初期状態ではまだ溶接条件は選択されていないので、初期条件(例えば溶接条件1)で溶接が行われる。一般的な場合と同様に、トーチスイッチのオンにより溶接が開始し、オフにより溶接は停止する。ステップST2において、トーチスイッチがダブルクリック操作されたかを判別して、NOならば溶接モードのままでステップST1に戻り、YESならば溶接条件選択モードに移行してステップST3に進む。ダブルクリック操作とは、所定時間(例えば1秒)以内にトーチスイッチをオン/オフ/オン/オフする操作である。
【0019】
ステップST3において、クリック操作によって複数の溶接条件から1つを選択する。トーチスイッチを1回クリック操作すると溶接条件1→2へと切り換わり、さらにクリック操作すると溶接条件2→3へと切り換わる。すなわち、クリック操作によって、溶接条件1→2→3→4→5→1→2…と順番に切り換わる。この選択された溶接条件は、図12で上述した表示器10に表示される。ステップST4において、トーチスイッチがダブルクリック操作されたかを判別して、NOならば溶接条件選択モードのままでステップST3に戻り、YESならば溶接モードに移行してステップST1に戻る。
【0020】
図2は、上述した溶接条件選択制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。同図は、消耗電極アーク溶接電源の場合である。電源主回路PMは、3相200V等の商用電源を入力として、後述する起動信号OnがHighレベルになると、後述する誤差増幅信号Eaに従ってインバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行い、溶接に適した溶接電流Iw及び溶接電圧Vwを出力する。溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給モータMによって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。
【0021】
電圧検出回路VDは、溶接電圧Vwを検出して電圧検出信号を出力する。トーチスイッチTSは、溶接トーチ4に設けられている。トーチスイッチTSをオンすると、Highレベルのトーチスイッチ信号Tsが出力される。制御回路SCは、複数の溶接条件を記憶する記憶部MMを有し、トーチスイッチ信号Tsの入力に応じて図1で上述した処理を行い、起動信号On、溶接電圧設定信号Vr及び溶接電流設定信号Irを出力する。これら出力信号については図3で詳述する。誤差増幅回路EAは、上記の溶接電圧設定信号Vrと電圧検出信号Vdとの誤差を増幅して誤差増幅信号Eaを出力する。これにより溶接電源PSは定電圧特性となる。送給制御回路FCは、上記の起動信号OnがHighレベルになると、上記の溶接電流設定信号Irに応じた送給速度になるようにワイヤ送給モータMを制御するための送給制御信号Fcを出力する。
【0022】
図3は、図2で上述した溶接電源の各信号のタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は溶接電流設定信号Irの、同図(D)は溶接電圧設定信号Vrの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0023】
(1)時刻t2〜t8の溶接条件選択モード期間
時刻t1においてトーチスイッチTSがダブルクリック操作されたことを、、同図(A)に示すように、トーチスイッチ信号Tsが所定時間T内に2回Highレベルになったことで判別すると、時刻t2において溶接電源は溶接条件選択モードに移行する。ここで、時刻t2以前は溶接モードにあったものとする。この状態では、溶接条件として図11で上述した溶接条件1が初期条件として選択されている。このために、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号Ir=I1となり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号Vr=V1となる。
【0024】
時刻t3においてトーチスイッチTSがクリック操作されると、同図(A)に示すように、トーチスイッチ信号Tsが1回Highレベルになる。時刻t4において、このトーチスイッチ操作がダブルクリック操作でないことが判別されると、溶接条件は1→2へと切り換わる。このために、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号IrはI1→I2になり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV1→V2になる。同様に、時刻t5においてトーチスイッチTSをクリック操作すると、時刻t6において溶接条件は2→3に切り換わる。このために、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号IrはI2→I3になり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV2→V3になる。ここでは、クリック操作は所定時間T以内の場合を例示したが、所定時間Tを越えていても良い。この場合には、所定時間Tを超えてクリック操作が終了した時点(オフした時点)で溶接条件が切り換わる。このようにして、所望の溶接条件番号を選択する。
【0025】
(2)時刻t8以降の溶接モード期間
時刻t7において、同図(A)に示すように、トーチスイッチTSがダブルクリック操作されると、時刻t8において溶接電源は溶接モードに移行する。時刻t9〜t10の間、同図(A)に示すように、トーチスイッチTSがオンされてトーチスイッチ信号TsがHighレベルになると、同図(B)に示すように、起動信号OnがHighレベルになり、溶接が行われる。このときの溶接条件は、溶接条件選択モード中に選択された溶接条件3となる。同図(C)に示すように、溶接電流設定信号IrはI3のままであり、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV3のままである。溶接モード中のトーチスイッチ操作による溶接電源の動作は、ダブルクリック操作を除き一般的な溶接電源の動作と同様である。
【0026】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る溶接電源のブロック図は、上述した図2と同一である。ただし、制御回路SCの動作が下記図4のフローチャートの処理に変わる。図4は、実施の形態2に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。同図は上述した図1と対応しており、図1のステップST3を同図のステップST31に置換したもおであり、他のステップは同一である。以下、この点線で示すステップST31について説明する。
【0027】
ステップST31において、トーチスイッチが所定時間T2以上オンされているときは複数の溶接条件が順番に所定間隔T2で切り換わり、トーチスイッチがオフされたときの溶接条件が選択される。
【0028】
図5は、ステップST31の動作を説明するための上述した図3に対応するタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は溶接電流設定信号Irの、同図(D)は溶接電圧設定信号Vrの時間変化を示す。時刻t7以降の動作は、図3と同一である。
【0029】
(1)時刻t2〜t8の溶接条件選択モード期間
時刻t1において、同図(A)に示すように、トーチスイッチがダリダブルクリック操作されると、時刻t2においてダブルクリック操作を判別して溶接電源は溶接条件選択モードに移行する。時刻t3〜t6の間、同図(A)に示すように、トーチスイッチをオンし続けると、所定間隔T2ごとに溶接条件が順番に切り換わる。すなわち、溶接条件は、時刻t4において1→2に切り換わり、時刻t5において2→3に切り換わる。この結果、同図(A)に示すように、時刻t6においてトーチスイッチがオフされたときには、溶接条件3が選択されることになる。
【0030】
上記の動作によって、同図(C)に示すように、溶接電流設定信号Irは、I1→I2→I3と切り換わる。同様に、同図(D)に示すように、溶接電圧設定信号Vrは、V1→V2→V3と切り換わる。ダブルクリック操作を判別するための所定時間Tと上記の所定間隔T2は、0.3〜2秒程度の範囲で同一値でも違う値でも良い。
【0031】
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3に係る溶接条件選択制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。同図において上述した図2と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図2とは異なる点線で示すブロックについて説明する。
【0032】
接触判別回路SDは、溶接停止中に、溶接トーチ4の先端導電部が母材2と接触したかを判別し、接触したときはHighレベルになり非接触のときはLowレベルになる接触判別信号Sdを出力する。この接触判別回路SDの詳細は図7で後述する。上記の溶接トーチ先端導電部とは、溶接ワイヤ、タングステン等の消耗/非消耗電極又は電極への給電部材(給電チップ/コレットボディ)を指している。溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材2に接触させる操作(以下、接触操作という)を行ったことを上記の接触判別信号Sdによって判別する。
【0033】
第2制御回路SC2は、図11で上述した複数の溶接条件を予め記憶した記憶部MMを有し、溶接停止中の接触判別信号Sdに基づいて溶接条件を選択し、選択された溶接条件に対応した溶接電流設定信号Ir及び溶接電圧設定信号Vrを出力する。さらに、この第2制御回路SC2は、溶接作業者のトーチスイッチTSの操作によるトーチスイッチ信号Tsを入力として起動信号Onを出力する。これにより、溶接電源PSからの出力が開始されて、溶接が行われる。上記の接触判別信号Sdに基づく溶接条件選択処理の詳細については、図8で後述する。
【0034】
図7は、上述した接触判別回路SDの詳細ブロック図の一例である。a端子は溶接電源の+端子(溶接トーチ先端導電部側)に接続され、b端子は溶接電源の−端子(母材)に接続される。判別電源Eは15V程度の電圧を出力する。抵抗器Rの値は1kΩ程度である。ダイオードDは、溶接中にa端子に印加される溶接電圧を阻止するための数百V耐圧のダイオードである。電圧比較回路CPは、抵抗器R上部の電圧値が0Vに近いときはHighレベルになり、15Vに近いときはLowレベルになる接触判別信号Sdを出力する。溶接トーチ先端導電部が母時に接触すると、a端子とb端子とが短絡状態になり、抵抗器R上部の電圧値は略0Vになる。他方、溶接トーチ先端導電部と母材とが非接触状態(開放状態)にあるときは、a端子とb端子とは開放状態にあり、抵抗器R上部の電圧値は略15Vになる。
【0035】
上記では判別電源Eを使用する場合を例示したが、以下のような接触判別手段でも良い。上述した図6において、溶接停止中に電源主回路PMから15V程度の電圧を出力し、溶接トーチ先端導電部と母材とが接触すると通電する電流値を1A程度以下に制限する。これにより、溶接電源の出力端子間電圧が接触時は略0Vになり、開放時は略15Vになる。したがって、この出力端子間電圧の値によって接触判別を行うことができる。接触時の通電電流を1A以下にしているのは、接触/開放時にアークが発生するのを防止するためである。
【0036】
図8は、図6で上述した溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は接触判別信号Sdの、同図(D)は溶接電流設定信号Irの、同図(E)は溶接電圧設定信号Vrの時間変化を示す。同図において、時刻t5以前の期間は溶接停止期間であり、時刻t5〜t6の期間は溶接期間であり溶接が行われる。以下、同図を参照して説明する。
【0037】
溶接停止中の時刻t1〜t2の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdがHighレベルになる。これに応動して、図11で上述した溶接条件が1番から2番に切り換わり、同図(D)に示すように、溶接電流設定信号IrはI1→I2に切り換わり、同図(E)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV1→V2に切り換わる。時刻t3〜t4の期間中、溶接作業者が再び溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。これに応動して、溶接条件は2番から3番に切り換わり、同図(D)に示すように、溶接電流設定信号IrはI2→I3に切り換わり、同図(E)に示すように、溶接電圧設定信号VrはV2→V3に切り換わる。このようにして、溶接トーチ先端導電部が母材に接触す毎に、溶接条件が1→2→3→4→1→2と順番に切り換わり、所望の溶接条件を選択することができる。
【0038】
時刻t5〜t6の期間中、接作業者によってトーチスイッチがオンされると、同図(A)に示すように、溶トーチスイッチ信号TsはHighレベルになり、同図(B)に示すように、起動信号OnはHighレベルになる。これに応動して、溶接電源から溶接電圧及び溶接電流が出力されて溶接が行われる。
【0039】
上記において、溶接トーチ先端導電部と母材との接触時間によって、溶接条件を昇順又は降順に切り換えるようにしても良い。すなわち、接触時間が所定時間未満のときは溶接条件を昇順(1→2→3)に切り換え、所定時間以上のときは溶接条件を降順(3→2→1)に切り換える。また、接触状態を長く維持すると、溶接条件が所定時間間隔に自動的に切り換わるようにしても良い。さらに、溶接停止中にトーチスイッチをダブルクリック操作したときに溶接条件選択モードに移行し、接触操作による溶接条件の切り換えを可能にし、再びダブルクリック操作によって溶接条件選択モードから出て接触操作による溶接条件の選択を禁止するようにしても良い。このダブルクリック操作をシングルクリック操作に代えても良い。
【0040】
[実施の形態4]
図9は、本発明の実施の形態4に係る溶接条件選択制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。同図において上述した図6と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図6とは異なる点線で示すブロックについて説明する。
【0041】
第3制御回路SC3は、図11で上述した複数の溶接条件を予め記憶した記憶部MMを有し、選択された溶接条件に対応した溶接電流設定信号Ir及び溶接電圧設定信号Vrを出力すると共に、トーチスイッチTSの操作によるトーチスイッチ信号Tsに基づいて起動信号Onを出力する。増減回路UDは、上記の溶接電圧設定信号Vrの値を接触判別信号Sdに基づいて増減して微調整し、溶接電圧制御設定信号Vcrを出力する。すなわち、溶接停止中に溶接トーチ先端導電部と母材との接触時間(接触判別信号SdのHighレベル期間の長さ)が所定時間未満のときは、予め定めた増加値だけ溶接電圧設定信号Vrの値を増加させ、接触時間が所定時間以上のときは予め定めた減少値だけ溶接電圧設定信号Vrの値を減少させる。上記において、溶接電流設定信号Irを増減させても良い。また、これら以外のパラメータを増減させても良い。
【0042】
図10は、図9で上述した溶接電源の溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである。同図(A)はトーチスイッチ信号Tsの、同図(B)は起動信号Onの、同図(C)は接触判別信号Sdの、同図(D)は溶接電流設定信号Irの、同図(E)は溶接電圧制御設定信号Vrの時間変化を示す。同図において、時刻t7以前の期間は溶接停止期間であり、時刻t7〜t8の期間は溶接期間であり溶接が行われる。以下、同図を参照して説明する。
【0043】
溶接停止中の時刻t1以前の期間において、図11で上述した溶接条件の1番が選択されているとすると、同図(D)に示すように、溶接電流設定信号Ir=I1となり、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1となる。時刻t1〜t2の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。この接触時間が所定時間未満であるので、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δuになる。ここで、Δuは予め定めた増加値である。同様に、時刻t3〜t4の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。この接触時間が所定時間未満であるので、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δu+Δuになる。
【0044】
さらに、時刻t5〜t6の期間中、溶接作業者が溶接トーチ先端導電部を母材に接触させると、同図(C)に示すように、接触判別信号SdはHighレベルになる。この接触時間が所定時間以上であるので、同図(E)に示すように、溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δu+Δu−Δdになる。ここで、Δdは予め定めた減少値である。上述した接触操作によって、溶接電圧制御設定信号Vcrの値を増減させて微調整することができる。
【0045】
時刻t7〜t8の期間中、溶接作業者によるトーチスイッチ操作によって、同図(A)に示すように、トーチスイッチ信号TsはHighレベルになり、同図(B)に示すように、起動信号OnはHighレベルになる。これに応動して、溶接電源は溶接電流設定信号Ir=I1及び溶接電圧制御設定信号Vcr=V1+Δu+Δu−Δdによって設定された溶接電流及び溶接電圧を出力し、溶接が行われる。
【0046】
上述した実施の形態では、消耗電極アーク溶接の場合を例示したが、非消耗電極アーク溶接の場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。
【図2】実施の形態2に係る溶接電源のブロック図である。
【図3】図2の溶接電源の各信号のタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る溶接条件選択制御方法を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2に係る溶接電源の各信号のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3に係る溶接電源のブロック図である・
【図7】図6の接触判別回路SDの詳細ブロック図である・
【図8】実施の形態3に係る溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである・
【図9】本発明の実施の形態4に係る溶接電源のブロック図である・
【図10】実施の形態4に係る溶接条件選択制御方法を示すタイミングチャートである・
【図11】従来技術において溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件を例示する図である。
【図12】従来技術において溶接電源のパネルに設けられた溶接条件選択/記憶部を示す外観図である。
【符号の説明】
【0048】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
10 表示器
11 溶接条件番号
12 溶接電流設定値
13 溶接電圧設定値
20 選択ボタン
30 記憶ボタン
CP 電圧比較回路
D ダイオード
E 判別電源
EA 誤差増幅回路
Ea 誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
Ir 溶接電源設定信号
Iw 溶接電流
M ワイヤ送給モータ
MM 記憶部
On 起動信号
PM 電源主回路
PS 溶接電源
R 抵抗器
SC 制御回路
SC2 第2制御回路
SC3 第3制御回路
SD 接触判別回路
Sd 接触判別信号
T 所定時間
T2 所定間隔
TS トーチスイッチ
Ts トーチスイッチ信号
UD 増減回路
Vcr 溶接電圧制御設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
Vr 溶接電圧設定信号
Vw 溶接電圧
Δd 減少値
Δu 増加値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接トーチに設けられたトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接条件選択モードに移行させ、この溶接条件選択モード中はトーチスイッチの操作によって前記複数の溶接条件の中から1つを選択し、
前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接モードに移行させ、トーチスイッチの操作によって前記選択された溶接条件で溶接を行う、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法。
【請求項2】
前記溶接条件選択モード中はトーチスイッチがクリック操作されるごとに前記複数の溶接条件の中から順番に1つが選択される、ことを特徴とする請求項1記載の溶接条件選択制御方法。
【請求項3】
前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチが所定時間以上オンされているときは前記複数の溶接条件が順番に所定間隔で切り換わり、トーチスイッチがオフされたときの溶接条件が選択される、ことを特徴とする請求項1記載の溶接条件選択制御方法。
【請求項4】
溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記複数の溶接条件の中から1つを選択する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法。
【請求項5】
溶接条件を形成するパラメータの値を設定して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記パラメータの設定値を増減させて微調整する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法。
【請求項1】
溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接トーチに設けられたトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接条件選択モードに移行させ、この溶接条件選択モード中はトーチスイッチの操作によって前記複数の溶接条件の中から1つを選択し、
前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチがダブルクリック操作されると溶接電源を溶接モードに移行させ、トーチスイッチの操作によって前記選択された溶接条件で溶接を行う、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法。
【請求項2】
前記溶接条件選択モード中はトーチスイッチがクリック操作されるごとに前記複数の溶接条件の中から順番に1つが選択される、ことを特徴とする請求項1記載の溶接条件選択制御方法。
【請求項3】
前記溶接条件選択モード中にトーチスイッチが所定時間以上オンされているときは前記複数の溶接条件が順番に所定間隔で切り換わり、トーチスイッチがオフされたときの溶接条件が選択される、ことを特徴とする請求項1記載の溶接条件選択制御方法。
【請求項4】
溶接電源に予め記憶された複数の溶接条件の中から1つを選択して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記複数の溶接条件の中から1つを選択する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法。
【請求項5】
溶接条件を形成するパラメータの値を設定して溶接を行う溶接条件選択制御方法において、
溶接停止中は、溶接トーチ先端導電部の接触操作によって溶接トーチ先端導電部と母材とが接触したことを接触判別手段によって判別して接触判別信号を出力し、この接触判別信号に基づいて前記パラメータの設定値を増減させて微調整する、ことを特徴とする溶接条件選択制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−38290(P2007−38290A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344908(P2005−344908)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
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