説明

溶接機用アース工具

【課題】アースを取るための設置時間を短くし、またアースを取る箇所の塗膜の剥離をワッシャーを溶植する箇所近傍の限られた部位だけの剥離ですむようにし、修正作業終了後に塗膜を施して修復を図る面積が少なくてすむ溶接機用アース工具を提供する。
【解決手段】電気導体により形成されたアース本体20Aの後端部に電極用コードを接続するためのコード接続部22Aが形成されている。アース本体の先端部に、板金修正面に溶植される偏平なリング状ワッシャー8を差し込む差込口2Aを形成するとともに、差込口にワッシャーを掛止する掛止部3Aを形成し、さらにアース本体の先端前面部に、掛止部をワッシャーの貫通孔9に掛着した状態で板金面に当接し通電を導く通電案内部を形成する。板金面に溶植するワッシャーと通電案内部とでアースを取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スタッド溶接機を用いて溶接作業を行なう際に、アースを取るために用いる溶接機用アース工具に関するものであり、塗料を剥がした板金修正面に溶植したリング状ワッシャーに引掛けてアースを取るのに好適な溶接機用アース工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の自動車は重量を軽くするため、自動車のボディ、枠体等には厚さの薄い金属板(鉄板)を使用する傾向にあり、自動車板金作業時に鉄板に熱を加えると歪みが生じやすい。
【0003】
自動車板金作業時に、板金修正面95(図7,図8,図9、図11,図21〜図26参照)全体の平滑な引出しを容易にしかも迅速に行なうために板金用プーラ(修理用工具)80が使用されている(図8,図25、図26)。
【0004】
板金用プーラを使用する場合には、プーラの引出し力を引出し箇所に有効に伝えるため、スタッド溶接機を用いてあらかじめリング状ワッシャー(板金用溶着金具)を溶植(溶着)することにより行なわれることがある(特許文献1)。
【0005】
従来、クリップ式の溶接機用アース工具として、図27に示すような、一対のレバーの途中がピンを介して回動自在に連絡され、先端部にクランプ手段を備え、一方のレバーの後端部に負側の電極用コードが接続されたアース工具100が提案されている。
【0006】
また、特許文献2によれば、マグネットを備えた固着部にアース棒を可動自在に支承し、アース棒後部に電極用コードを設け、アース棒先端には塗膜を剥離した金属面に溶着固定する尖状の突起を形成し、この突起を塗膜剥離部分の金属面に溶着固定自在とした溶接用アース装置が提案されている。
【先行技術文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−206833公報(段落0003、図2)
【特許文献2】特許第3333715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図27に示す従来のこの種のアース工具100にあっては、
(1)自動車板金作業時に、スタッド溶接機70により前述のリング状ワッシャー8を溶 着する場合、車枠外縁等の部位(通例は無傷な部分)110の塗膜をあらかじめサン ダーを用いて取除き、クランプ手段を挟着してアースをとりながら溶接機70の溶接 機ヘッド(ワッシャー溶植具)71にワッシャー8を挟み込み溶接機ヘッド71に電 流を供給することによって、塗膜を取除いた当該部分にワッシャー8を溶着し、かく した上で板金用プーラを用いて板金作業を行ない作業終了後に塗膜を施して修復を図 るといった一連の作業を必要とするため作業効率が極めて悪い、
(2)アースを取るための方法がクランプ手段だけのため、例えば図27において、板金 を必要とする箇所とアース工具取付け箇所との距離Rが一般に遠くなり距離Rを選定 する自由度がなく(電気抵抗は距離Rに比例して大となるため)溶接機のパワーを十 分に発揮させることができない、
という問題点を有していた。
【0009】
また、特許文献2に示される溶接用アース装置にあっては、
(1)アースの面積が狭く板金作業中はアース棒先端の尖状の突起に集中して常に電流が 流れることになるため、この突起が当る当該板金面が焼けて鉄板(板金面)が伸びた り孔があいたりするおそれがある、
(2)ハンマリング作業中の衝撃で突起が板金面から離脱したり、さらにマグネットによ り形成される固着部の位置が衝撃でずれたりすることがある、
という問題点を有していた。
【0010】
したがって、本発明の目的は、板金修正を必要とする板金面近くに溶植したリング状ワッシャーに引掛けてアースを取るようにし、アースを取るための設置時間を短くし、またアースを取る箇所の塗膜の剥離をワッシャーを溶植する箇所近傍の限られた部位だけの剥離ですむようにし、修正作業終了後に塗膜を施して修復を図る面積が少なくてすむ溶接機用アース工具を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、アースを取る際に複数のポイントにてアースを取れるようにし、板金面修正時に電流が多く流れるようなことがあっても電流を分散させ板金修正部のアース箇所の金属板が溶けたり焼けたりすることがない溶接機用アース工具を提供することにある。
【0012】
本発明のもう一つ他の目的は、アース工具を板金修正面の近傍に溶植するリング状ワッシャーに掛止して使用し、板金面を修正するため当該板金面をハンマーで叩いたり、スライドハンマーで引いたりして衝撃を与えてもアース工具の位置がずれたり板金面から脱落することがない溶接機用アース工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る溶接機用アース工具は、電気導体により形成されたアース本体の後端部に電極用コードを接続するためのコード接続部が形成されている。前記アース本体の先端部に、板金修正面に溶植される偏平なリング状ワッシャーを差し込む差込口を形成するとともに、該差込口にワッシャーを掛止する掛止部を形成し、さらに前記アース本体の先端前面部に、前記掛止部をワッシャーの貫通孔に掛着した状態で板金面に当接し通電を導く通電案内部を形成し、板金面に溶植するワッシャーと前記通電案内部とでアースを取ることを特徴としている。
【0014】
前記差込口は、前記アース本体の長手方向に形成されるとともに、ワッシャーを差し込める幅を有する縦溝として形成され、該縦溝の側面より前記掛止部を露出させて前記縦溝に臨ませ、ワッシャーの貫通孔に前記掛止部が掛着した状態で、ワッシャー表面と前記差込口の側面とは当接するようにするとよい。
【0015】
前記差込口は前記アース本体の先端部中央に形成され、前記縦溝の形成方向と直交する方向に前記縦溝に一端が露出する突片を形成し、該突片が前記掛止部を形成することが好ましい。
【0016】
前記掛止部は、前記差込口より露出した前記突片の途中を前記突片の先端部より短径部とした部位により形成され、該短径部に前記ワッシャーの貫通孔を掛着することができる。
【0017】
また、溶接機用アース工具は、電気導体により形成された、アース本体とアースレバーを備え、前記アースレバーの途中がシャフトを介して前記アース本体に枢支され、先端部にはクランプ手段を形成し、また後端部には電極用コードを接続するためのコード接続部が形成される構成とし、前記クランプ手段に、板金修正面に溶植される偏平なリング状ワッシャーを差し込む差込口を形成するとともに、該差込口にワッシャーを掛止する掛止部を形成し、さらに前記クランプ手段の先端前面部に、前記掛止部をワッシャーの貫通孔に掛着した状態で板金面に当接し通電を導く通電案内部を形成し、板金面に溶植するワッシャーの貫通孔に前記掛止部が掛着した状態で、ワッシャーと前記通電案内部でアースを取る構成としてもよい。
【0018】
前記アース本体とアースレバーのそれぞれの先端部には挟着体が形成され、この挟着体により前記クランプ手段を構成し、前記差込口は前記クランプ手段の中央に形成されるとともに前記アースレバーとアース本体の長手方向にワッシャーを差し込める幅を有する縦溝として形成され、前記縦溝の側面より前記掛止部を露出させて前記縦溝に臨ませ、ワッシャーの貫通孔に前記掛止部が掛着した状態で、ワッシャー表面と前記差込口の側面とは当接するようにするとよい。
【0019】
前記縦溝の形成方向と直交する方向に前記縦溝に一端が露出するピンを配設し、該ピンの露出部が前記掛止部を形成するとよい。
【0020】
前記アース本体の先端部に、前記ピンが挿通するピン挿通孔を形成し、該ピン挿通孔に前記ピンは挿通している。
【0021】
前記掛止部は、前記差込口より露出した前記ピンの途中を前記ピン先端部より短径部とした部位により形成され、該短径部に前記ワッシャーの貫通孔を掛着するとよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上の如く構成され、次に記載する効果を奏する。
(1)板金修正を必要とする板金面近くに溶植したリング状ワッシャーに引掛けるだけで アースが取れるため、アースを取るための設置時間が短くてすみ、またアースを取る 箇所の塗膜の剥離がワッシャーを溶植する箇所近傍の限られた部位だけの剥離ですむ ため修正作業終了後に塗膜を施して修復を図る面積が少なくてすむ。
(2)自動車のボディは重量を軽くするため厚さの薄い金属板(鉄板)を使用する傾向に あるが、アースを取る際に複数のポイントにてアースを取れるため、たとえ板金面修 正時に電流が多く流れても電流が分散するため、板金修正部のアース箇所の金属板が 溶けたり焼けたりすることがない。
(3)アース工具を板金修正面の近傍に溶植するリング状ワッシャーに引掛け掛止して使 用するので、板金面を修正するために当該板金面をハンマーで叩いたり、スライドハ ンマーで引いたりして衝撃を与えてもアース工具の位置がずれたり板金面から脱落す ることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る溶接機用アース工具の斜視図である。
【図2】溶接機用アース工具の斜視図である。
【図3】溶接機用アース工具の掛止部をワッシャーの貫通孔に係入した状態を示す平面図である。
【図4】溶接機用アース工具の掛止部をワッシャーの貫通孔に係入した状態を示す正面図である。
【図5】溶接機用アース工具の掛止部をワッシャーの貫通孔に係入した左側面図である。
【図6】図3におけるX−X断面略図である。
【図7】板金修正面に溶植したワッシャーに溶接機用アース工具を引掛けアース工具の自重でアース工具の通電案内部が板金修正面に押付けられていることを示す断面略図である。
【図8】使用状態を示し、電流の流れを矢印にて付した図である。
【図9】板金修正面に溶植するワッシャーの正面図である。
【図10】ワッシャーの側面図である。
【図11】ワッシャーをスタッド溶接機を用いて板金修正面に溶植することを示す斜視図である。
【図12】溶接機用アース工具の他の例の斜視図である。
【図13】図12に示す溶接機用アース工具の斜視図である。
【図14】図12に示す溶接機用アース工具の構成部品を示す分解斜視図である。
【図15】図12に示す溶接機用アース工具の平面図である。
【図16】同正面図である。
【図17】同左側面図である。
【図18】図12に示す溶接機用アース工具の掛止部をワッシャーの貫通孔に係入した状態を示す平面図である。
【図19】同正面図である。
【図20】同左側面図である。
【図21】図12に示す溶接機用アース工具を板金修正面に溶植したワッシャーに掛着するまでの途中の状態を示す平面図である。
【図22】図21の状態から溶接機用アース工具をワッシャーに掛着する状態をさらに進めた状態を示す平面図である。
【図23】溶接機用アース工具が板金修正面に溶植したワッシャーに掛着した状態を示す平面図である。
【図24】図12に示す溶接機用アース工具を板金修正面に溶植したワッシャーに引掛けアース工具の自重でアース工具の通電案内部が板金修正面に押付けられていることを示す一部切欠正面略図である。
【図25】図12に示す溶接機用アース工具の使用状態を示す斜視図である。
【図26】図12に示す溶接機用アース工具の使用状態を示し、電流の流れを矢印にて付した図である。
【図27】従来技術の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
以下、本発明に係る溶接機用アース工具の実施例について図面を参照して説明する。溶接機用アース工具は、塗膜を取除いた板金修正面95に溶着した偏平なリング状ワッシャー8(図8、図9参照)に引掛けて使用する。ワッシャ−8は、溶接機70の溶接機ヘッド(ワッシャー溶植具)71にワッシャー8を挟み込み溶接機ヘッド71に電流を供給して板金修正面95に溶植する(図11参照)。
【実施例1】
【0025】
図1乃至図8に、第1の実施例に係る溶接機用アース工具を示す。
溶接機用アース工具1Aは、上記のとおり、板金修正面95の近傍に溶植されるワッシャー8に引掛けてアースを取る。このアース工具1Aは、電気導体により形成されたアース本体20Aを備え、該アース本体の後端部には負側の電極用コード50を接続するためのコード接続部22Aが形成されている。
【0026】
前記アース本体の先端部20Aには、板金修正面に溶植されるワッシャー8を差し込む差込口2Aが形成されるとともに、この差込口2Aにワッシャー8を掛止する掛止部3Aが形成される.
【0027】
さらに、前記アース本体20Aの先端前面部には、前記掛止部3Aをワッシャー8の貫通孔9に掛着した状態で、板金面に当接し通電を導く通電案内部4A,5Aが突出して形成され、図7に示すセット状態において、板金面に溶植するワッシャー8と前記通電案内部4A,5Aとでアースを取る。図8に、使用状態における電流の流れを矢印を付して示す。
【0028】
前記差込口2Aは、前記アース本体20Aの長手方向に形成され、ワッシャーを差し込める幅W1を有する縦溝として形成される。この縦溝の側面より前記掛止部3Aは露出して前記差込口(縦溝)2Aに臨んでいる。ワッシャー8の貫通孔9に前記掛止部3Aが掛着した状態で、ワッシャー8の表面8Aと前記差込口2Aの側面とは当接する(図3,図5参照)。
【0029】
前記差込口2Aは前記アース本体20Aの先端部の中央に形成され、前記縦溝の形成方向と直交する方向に前記縦溝より一端が露出する突片を形成し、該突片が前記掛止部3Aを形成している。前記掛止部3Aは、前記差込口2Aより露出した前記突片の途中を先端部より短径部とすることにより形成される。
【0030】
符号23Aはアース用通電部、56はコード50をコード接続部22Aにて固定するためのねじである。
【実施例2】
【0031】
図12乃至図26に、第2の実施例に係る溶接機用アース工具を示す。
溶接機用アース工具1Bは、実施例1と同様に、板金修正面の近傍に溶植されるワッシャー8に引掛けてアースを取ることが可能である。このアース工具1Bは、電気導体により形成された、アース本体20Bとアースレバー30を備え、前記アースレバー30の途中はシャフト37を介して前記アース本体20Bに枢支さる。前記アース本体20Bの後端部には負側の電極用コード50を接続するためのコード接続部22Bが形成されている。
【0032】
前記アース本体20Bとアースレバー30の各先端部には挟着体21,31がそれぞれ形成されており、この挟着体21,31によりククランプ手段10を構成する。
【0033】
前記クランプ手段10の先端には、ワッシャー8を差し込む差込口2Bを形成するとともに、この差込口2Bにワッシャー8を掛止する掛止部3Bを形成する。さらに前記クランプ手段10の先端前面部に、前記掛止部3Bをワッシャー8の貫通孔9に掛着した状態で板金面に当接し通電を導く通電案内部4B,5Bを突出して形成し、板金面に溶植するワッシャー8の貫通孔9に前記掛止部3Bを掛着した状態で(図24参照)、ワッシャー8と前記通電案内部4B,5Bでアースを取る。図26に、使用状態における電流の流れを矢印を付して示す。
【0034】
前記差込口2Bは、前記アース本体20Bとアースレバー30の長手方向にワッシャー8を差し込める幅W2を有する縦溝として形成され、この縦溝の側面より前記掛止部3Bが露出して前記縦溝に臨んでいる。ワッシャー8の貫通孔9に前記掛止部3Bが掛着した状態で、ワッシャー表面8Aと前記差込口2Aの側面とは当接する(図18,図20,図23参照)。
【0035】
前記縦溝の形成方向と直交する方向に前記縦溝に一端が露出するピン6が配設され、このピン6の露出部が前記掛止部3Bを形成している。
【0036】
このため、前記アース本体20Bの先端部には前記ピン6が挿通するピン挿通孔7が形成され、このピン挿通孔7に前記ピン6が挿通している。
【0037】
前記アースレバー30の途中には垂下片32が形成され、この垂下片32には貫通したシャフト挿通孔33が穿設されている。また前記垂下片32の近傍にはコイルばね40の上部を支承する第1の支承部が形成されている。一方、前記アース本体20Bのアースレバー30側の中央には左右一対の立上り部24,25が形成され、これらの立上り部24−25間は、前記アースレバー30の垂下片32を案内するための案内溝26を形成している。また前記立上り部24,25に隣接した部位には、前記コイルばね40の下部を収納する第2の支承部27が凹所として形成されている。符号28,29は前記立上り部24,25に形成されたシャフト挿通孔、38,39はシャフト37を止めるEリングである。
【0038】
前記アースレバー10、アース本体30間に介在させたコイルばね40によって前記アースレバー30のグリップ部は上方に付勢され、コイルばね40に抗しながら前記アースレバー30は前記シャフト37を中心に回動し(図16参照)、取付面が偏平な場合には前記クランプ手段10を利用してアースを取ることも可能である。
【0039】
符号23Bはアース用通電部、58はコード50をコード接続部22Bに固定するためのねじである。
【符号の説明】
【0040】
1A 溶接機用アース工具
1B 溶接機用アース工具
2A 差込口
2B 差込口
3A 掛止部
3B 掛止部
4A 通電案内部
4B 通電案内部
5A 通電案内部
5B 通電案内部
6 ピン
7 ピン挿通孔
8 ワッシャー
9 貫通孔
10 クランプ手段
20A アース本体
20B アース本体
21 挟着体
22A コード接続部
22B コード接続部
23A アース用通電部
23B アース用通電部
24 立上り部
25 立上り部
26 案内溝
27 凹所
28 シャフト挿通孔
29 シャフト挿通孔
30 アースレバー
31 挟着体
32 垂下片
33 シャフト挿通孔
37 シャフト
38 Eリング
39 Eリング
40 コイルばね
50 コード
56 ねじ
58 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気導体により形成されたアース本体の後端部に電極用コードを接続するためのコード接続部が形成されている溶接機用アース工具であって、
前記アース本体の先端部に、板金修正面に溶植される偏平なリング状ワッシャーを差し込む差込口を形成するとともに、該差込口にワッシャーを掛止する掛止部を形成し、さらに前記アース本体の先端前面部に、前記掛止部をワッシャーの貫通孔に掛着した状態で板金面に当接し通電を導く通電案内部を形成し、板金面に溶植するワッシャーと前記通電案内部とでアースを取るようにしたことを特徴とする溶接機用アース工具。
【請求項2】
電気導体により形成された、アース本体とアースレバーを備え、前記アースレバーの途中がシャフトを介して前記アース本体に枢支され、先端部にはクランプ手段を形成し、また後端部には電極用コードを接続するためのコード接続部が形成される溶接機用アース工具であって、
前記クランプ手段に、板金修正面に溶植される偏平なリング状ワッシャーを差し込む差込口を形成するとともに、該差込口にワッシャーを掛止する掛止部を形成し、さらに前記クランプ手段の先端前面部に、前記掛止部をワッシャーの貫通孔に掛着した状態で板金面に当接し通電を導く通電案内部を形成し、板金面に溶植するワッシャーの貫通孔に前記掛止部が掛着した状態で、ワッシャーと前記通電案内部でアースを取るようにしたことを特徴とする溶接機用アース工具。
【請求項3】
前記差込口は、前記アース本体の長手方向に形成されるとともに、ワッシャーを差し込める幅を有する縦溝として形成され、該縦溝の側面より前記掛止部を露出させて前記縦溝に臨ませ、ワッシャーの貫通孔に前記掛止部が掛着した状態で、ワッシャー表面と前記差込口の側面とは当接することを特徴とする請求項1に記載の溶接機用アース工具。
【請求項4】
前記差込口は前記アース本体の先端部中央に形成され、前記縦溝の形成方向と直交する方向に前記縦溝に一端が露出する突片を形成し、該突片が前記掛止部を形成していることを特徴とする請求項1または3に記載の溶接機用アース工具。
【請求項5】
前記掛止部は、前記差込口より露出した前記突片の途中を前記突片の先端部より短径部とした部位により形成され、該短径部に前記ワッシャーの貫通孔を掛着することを特徴とする請求項4に記載の溶接機用アース工具。
【請求項6】
前記アース本体とアースレバーのそれぞれの先端部には挟着体が形成され、この挟着体により前記クランプ手段を構成し、前記差込口は前記クランプ手段の中央に形成されるとともに前記アースレバーとアース本体の長手方向にワッシャーを差し込める幅を有する縦溝として形成され、前記縦溝の側面より前記掛止部を露出させて前記縦溝に臨ませ、ワッシャーの貫通孔に前記掛止部が掛着した状態で、ワッシャー表面と前記差込口の側面とは当接することを特徴とする請求項2に記載の溶接機用アース工具。
【請求項7】
前記縦溝の形成方向と直交する方向に前記縦溝に一端が露出するピンを配設し、該ピンの露出部が前記掛止部を形成することを特徴とする請求項6に記載の溶接機用アース工具。
【請求項8】
前記アース本体の先端部に、前記ピンが挿通するピン挿通孔を形成し、該ピン挿通孔に前記ピンは挿通していることを特徴とする請求項7に記載の溶接機用アース工具。
【請求項9】
前記掛止部は、前記差込口より露出した前記ピンの途中を前記ピン先端部より短径部とした部位により形成され、該短径部に前記ワッシャーの貫通孔を掛着することを特徴とする請求項7または8に記載の溶接機用アース工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−81516(P2012−81516A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241443(P2010−241443)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(501045814)株式会社スター (3)
【Fターム(参考)】