説明

溶接監視装置及び溶接監視方法

【課題】アーク溶接中に溶滴の状態をインラインにおいてリアルタイムで確実に検出するようにする。
【解決手段】本発明の溶接監視装置は、アーク溶接中の溶滴7を監視するものであって、アーク溶接中に溶接ワイヤ4の直下の領域から当該領域外へ移動する溶滴7を検出する溶滴検出手段10を備えており、この溶滴検出手段10は、溶接ワイヤ4の先端部4a側に向けて検出光を照射すると共に、溶滴7による検出光の遮断状態を基に当該溶滴7が溶接ワイヤ4の直下の領域から領域外へと移動したと判定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶接の状態を監視する溶接監視装置及び溶接監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接では、溶接ワイヤと溶接対象材である母材との間でアーク放電が発生することに伴い、溶接ワイヤの先端部に溶滴が形成される。溶接ワイヤの先端部に形成された溶滴は、溶接ワイヤの先端部から離脱して母材の溶融池に移行(溶滴移行)することになる。
溶滴移行する際に、溶接ワイヤの先端部から溶け出た溶滴が母材の溶融池にスムーズに移行すればよいものの、例えば、アーク放電が途切れたり、溶滴が溶接ワイヤの直下領域以外へ飛び出たりすると溶接品質が低下する虞がある。
【0003】
そのため、溶接を行っているときに、その溶滴移行の状況を監視したり、溶滴移行を修正する技術が幾つか開発されている。
例えば、特許文献1には、炭酸ガス単体または炭酸ガスが主成分である混合ガスをシールドガスとするアーク溶接において溶接ワイヤ先端からの溶滴の離脱を検出する溶滴離脱検出部と、前記溶滴を離脱させる第1パルスと、前記溶滴を整形する第2パルスとを交互に生成して溶接電源に出力すると共に前記溶滴の離脱が検出された場合に直ちに前記第1パルスの電流値を検出時の電流値よりも低い所定値に切り替える波形生成器とを備える溶接制御装置において、前記波形生成器は、前記第1パルスのピーク期間、立下りスロープ期間またはベース期間において前記溶滴の離脱が検出されなかった場合に、前記第1パルスのベース期間終了後に、前記第2パルスとはパルスピーク電流またはパルス幅の異なるパルス形状を有する第3パルスを生成して前記溶接電源に出力することにより溶滴移行規則性のずれを修正する溶接制御装置が開示されている。即ち、特許文献1では、パルス波形を制御することによって、溶滴移行の規則性が崩れても即座に復帰できるようにしている。
【0004】
また、特許文献2には、消耗電極ワイヤと被溶接材との間に溶接電源を導通接続し、シールドガス雰囲気中でアーク溶接を行う消耗電極ガスシールドアーク溶接において、溶接状態を監視する溶接状態監視装置であって、消耗電極ワイヤの先端部から溶滴が溶融池へ移行する溶滴移行の間に生じる溶接電圧、溶接電流あるいは溶接電圧からなる溶接状態信号の波形変化に対応して波形変化信号を出力する溶滴移行検出部と、前記溶滴移行の間に出力された前記波形変化信号の信号数情報を含む溶滴移行状態信号を出力する溶滴移行状態検出部とを備えた溶接状態監視装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−233728号公報
【特許文献2】特開2001−321942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2の技術では、アーク溶接中での溶接電圧や溶接電流を検出することによって間接的に溶滴移行を検出することができるものの、アーク溶接中に溶滴が実際にどのような状態にあるかということを、直接的に且つリアルタイムに検出することは難しいのが実情であった。
また、アーク溶接中に溶滴の状況を直接的に検出する手法として、特許文献2の図6に示されているように、溶滴の様子を高速度カメラなどで撮像して観察することも考えられる。しかしながら、高速度カメラを用いた溶滴移行の監視技術をインライン(実際の溶接工程)に採用するのは非常に困難である。
【0007】
本発明は、問題点に鑑み、溶接中に溶滴の状態をインラインであっても容易且つ確実に検出することができる溶接監視装置及び溶接監視方法を提供するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、アーク溶接中の溶滴を監視する溶接監視装置において、アーク溶接中に溶接ワイヤの直下の領域から当該領域外へ移動する溶滴を検出する溶滴検出手段を備えており、前記溶滴検出手段は、前記溶接ワイヤの先端部側に向けて検出光を照射すると共に、溶滴による検出光の遮断状態を基に、当該溶滴が溶接ワイヤの直下の領域から領域外へと移動したと判定するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
前記溶滴検出手段は、前記検出光としてスポット光を照射する距離検出センサを備え、前記距離検出センサは、照射された検出光が溶滴により遮断されて検出距離が変化したときに溶滴の移動を検出することが好ましい。
前記距離検出センサは前記溶接ワイヤの側方であって当該溶接ワイヤの周りに複数配置されていることが好ましい。
【0010】
前記溶滴検出手段は、前記検出光としてライン光を照射する遮断検出センサを備え、前記遮断検出センサは、照射されたライン光の遮断状態を基に溶滴の移動を検出することが好ましい。
前記遮断検出センサは、前記検出光が溶接ワイヤの先端部と母材との間を通過するように、溶接ワイヤの幅方向両側に配置されていることが好ましい。
【0011】
本発明における課題解決のための他の技術的手段は、アーク溶接中の溶滴を監視する溶接監視方法において、アーク溶接中に溶接ワイヤの先端部側に向けて検出光を照射し、照射された検出光が溶滴により遮断された状態を基にして、当該溶滴が溶接ワイヤの直下の領域から領域外へと移動したと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶接中に溶滴の状態をインラインにおいてリアルタイムで確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】アーク溶接を行う溶接装置の全体図である。
【図2】アーク溶接中の溶滴の状態図である。
【図3】第1実施形態に係る溶接監視装置を示したものであり、(a)は溶接ワイヤの周辺を示す正面図であり、(b)は溶接ワイヤの周辺の平面図であり、(c)は溶接ワイヤの周辺の平面図(変形例)である。
【図4】第2実施形態に係る第1の溶接監視装置を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る第2の溶接監視装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る溶接監視装置を備えた溶接装置を示している。
この溶接装置1は、母材2(溶接対象材)を溶接する溶接トーチ3を有している。この溶接トーチ3は、アーク溶接を行うための溶接ワイヤ4(消耗電極)を母材2に向けて送り出すことができるようになっている。本実施形態の場合、溶接トーチ3は、垂直6軸多関節ロボット5の先端部に取り付けられており、ロボットコントローラからの制御信号によって各関節を回転や回動させ、溶接トーチ3の姿勢を自在に変えて母材2のアーク溶接を行うことができるようになっている。
【0015】
さて、アーク溶接を行うと、図2(a)に示すように、溶接ワイヤ4と母材2との間でアーク放電が発生することに伴い、溶接ワイヤ4の先端部4aに溶滴7が形成される。この溶滴7は次第に成長して根元がくびれ始め、溶接ワイヤ4の先端部4aから離脱し、溶接ワイヤ4の先端部4aの直下の領域A(直下領域)に形成された溶融池へ移動する。
ところが、図2(b)に示すように、肥大化した溶滴7が直下領域Aから離れて、直下領域Aではない外側の領域B(外側領域)に移動すると溶接の品質が低下してしまう虞がある(図中、粗大化)。言い換えれば、肥大化した溶滴7が溶融池ではなく、溶融池から離れた外側領域に移動してしまうと品質が低下してしまう。特に、図2(c)や図2(d
)に示すように、アーク溶接中に肥大化した溶滴7が溶接ワイヤ4の先端部4aからちぎれて外側領域Bへ飛んでしまう状況になると、溶接後の強度が低下したり、離脱した溶滴7が母材2上に残ることとなり好ましくない(図中、離脱アーク切れ、再点弧)。
【0016】
そこで、本発明では、溶接中に、図2(a)で示される溶接良好状態から、図2(a)〜図2(d)で示される溶接不良状態への移行が検知可能なように、言い換えれば、溶接ワイヤ4の先端部4aの直下領域Aから外側領域Bへと溶滴7が移動したことを素早く検知できるように、溶滴7を監視する溶接監視装置を溶接装置1に設けることとしている。
以下、溶接監視装置について詳しく説明する。
【0017】
図3(a)に示すように、溶接監視装置は、直下領域Aから外側領域Bに移動する溶滴7を検出光によって検出可能な溶滴検出手段10を備えている。この溶滴検出手段10は、溶滴7が直下領域Aに留まっていて検出光が遮断されていないときは溶接良好状態であるとし、溶滴7が直下領域Aから外側領域Bに移動して当該外側領域Bに照射した検出光が遮断されているときは溶接不良状態であると検知する。
【0018】
詳しくは、溶滴検出手段10は、スポット状の検出光を照射し、検出対象までの距離を検出する距離検出センサ11と、この距離検出センサ11から照射された検出光を反射して所定の検出対象に向ける反射ミラー12とを有している。本実施形態の場合、距離検出センサ11は、赤外線レーザスポット光を照射するレーザ距離計で構成されている。
図3(a),(b)に示すように、距離検出センサ11は、溶接ワイヤ4の側方であって当該溶接ワイヤ4の周りに均等間隔で複数配置されている。図3(a)の場合、距離検出センサ11同士の開き角度θが120°となるように、溶接ワイヤ4の周りに3台の距離検出センサ11が配置されている。この各距離検出センサ11は、その光軸が母材2側に向くよう下向きでケース13に格納され、このケース13は溶接トーチ3の外周面に取り付けられている。
【0019】
また、ケース13の下面には、溶接トーチ3から突出する溶接ワイヤ4に近接する位置に検出光が通過する窓14が形成されている。この窓14には防塵・防護のための保護ガラスが配備されていることが好ましい。
なお、距離検出センサ11の台数は、3台に限らず複数台であればよく、例えば、図3(c)に示すように、各開き角度θが90°となるように溶接ワイヤ4の周りに4台の距離検出センサ11を配置してもよい。
【0020】
反射ミラー12は、距離検出センサ11から照射された検出光を反射することによって検出対象へ案内するものである。本実施形態では、1つのケース13内に2つの反射ミラー12a、12bが設けられている。1つ目の反射ミラー12aは、距離検出センサ11の直前面に配備され、距離検出センサ11から照射された検出光を径内側(溶接トーチ3に近づく側)へ反射し、2つめの反射ミラー12bは、溶接トーチ3近傍に配備されて、検出光を溶接ワイヤ4に沿ってケース13外に進行させるようにしている。具体的には、距離検出センサ11から照射された検出光が、母材2上であって直下領域Aと外側領域Bとの境へ照射されるように、2つの反射ミラー12a、12bの配置角度が設定される。
【0021】
上記構成の溶滴検出手段10においては、距離検出センサ11から検出光を照射すると、検出光は反射ミラー12によって反射しながら窓14を通過し、溶接ワイヤ4の側方で当該溶接ワイヤ4に沿って下側に進み、外側領域B(直下領域Aと外側領域Bとの境)に照射されることになる。
この溶滴検出手段10においては、距離検出センサ11から照射された検出光により、距離検出センサ11から母材2までの光路距離が検出されているが、アーク溶接中、図2(b)〜図2(d)のように、溶滴7が直下領域Aから外側領域Bに離脱した際には、検出光が母材2に到達せずに溶滴7で遮断されることとなる。この状況下においては、光路距離が短くなり距離検出センサ11の出力が変化するため、溶滴7によって検出光が遮断されたことが分かる。このように検出光の遮断状態を基に、溶滴7が直下領域Aから移動して外側領域Bに入った状態、言い換えれば、溶接不良状態と判断する。
【0022】
溶滴検出手段10は、溶滴7が直下領域Aから外側領域Bに移動したことを検知すると、溶滴7が外側領域Bに移動したことを示す検知信号をロボットコントローラや別のコン
トローラに出力する。この検知信号を基に、ロボットによる溶接作業を停止したり、溶接条件(溶接電圧、溶接電流)を変更するようにしてもよい。溶接作業を停止しないまでも、後に行う溶接検査において、この検知信号を出力した溶接部分を重点的に検査するようにしてもよい。
【0023】
とはいえ、本発明では、溶接中に溶滴7が溶接ワイヤ4の先端部4aから当該溶接ワイヤ4の側方(外側領域B)に移動してしまったことを検出できればよく、溶滴7が外側領域Bに移動後における処理は特に限定されない。
以上述べた如く、本発明を用いることで、検出光を溶接ワイヤ4の先端部4a側であって溶接ワイヤ4の近傍に照射するだけで、従来のように溶接中の溶接電圧や溶接電流を測定したり、溶滴7を高速度カメラで撮像して複雑な画像処理を行わなくても、溶滴7の状態を簡単に且つ確実に検出することが可能となり、インラインへの適用も容易なものとなる。
[第2実施形態]
次ぎに、溶接監視装置の第2実施形態について述べる。
【0024】
前述した第1実施形態では、検出光はスポット光であり、母材2の上方から溶接ワイヤ4の側方に沿って下に進むように構成された溶滴検出手段10を採用していた。
それに対し、第2実施形態では、検出光をスポット光ではなくライン光とした上で、ライン光が母材2に略水平に照射されて溶接ワイヤ4の先端部4aを通るように溶滴検出手段10を構成している。
【0025】
図4(a)に示すように、第2実施形態の溶滴検出手段10は、赤外線レーザライン光Lを検出光として照射し、この検出光が遮られたか否かを検出する遮断検出センサ15を有している。
遮断検出センサ15は、ライン光Lを照射する複数の照射部16と、各照射部16に対面する側に配備されて照射部16からのライン光Lをそれぞれ受光する複数の受光部17とを備えている。詳しくは、各照射部16は上下2段に並べられ、上下の照射部16の対向側に各受光部17が上下2段に並べられている。各照射部16は、溶接ワイヤ4を挟んで母材2の幅方向一端側に配備され、各受光部17は母材2の幅方向他端側に配備される。なお、照射した検出光が溶接予定線に沿う状態となるように照射部16や受光部17の配置を設定することが好ましい。
【0026】
このような溶滴検出手段10によって溶滴の状態を検出するには、図4(b)に示すように、例えば、上下の照射部16から照射されるライン光L1、L2(検出光)の幅を直下領域Aの幅と略同じとし、上下の各検出光L1、L2が溶接ワイヤ4と母材2との間を通過するように上下の照射部16の配置を設定する。そうすることで、図4(b)に示すような通常の溶接状態であれば、上側の検出光L1と下側の検出光L2との両方とも遮られることとなり、遮断検出センサ15は遮断状態と判断する。ところが、図4(c)に示すように、溶滴7が直下領域Aから外側領域Bに移動した状態であれば、上側の検出光L1は遮断状態になるものの、下側の検出光L2は非遮断となり、遮断検出センサ15の出力が変化する。このように、上側(一方)の検出光L1が遮断となり、下側(他方)の検出光L2が非遮断となったとき、遮断検出センサ15は、溶滴7が外側領域Bに入った状態、溶接不良状態と判断している。
【0027】
さて、図4に示した遮断検出センサ15では上下の検出光L1、L2を用いて溶滴の状態を検出していたが、図5(a)に示すように、1つの検出光L3を用いて溶滴の状態を検出してもよい。詳しくは、遮断検出センサ15は、ライン光L3を照射する1つの照射部16と、照射部16に対面する側に配備されてライン光L3を受光する1つの受光部17とを有している。照射部16は、上述したもの同様に溶接ワイヤ4を挟んで母材2の幅方向一端側に配備され、受光部17は母材2の幅方向他端側に配備されている。
【0028】
このような溶滴検出手段10によって溶滴の状態を検出するには、図5(b)に示すように、例えば、照射部16から照射されるライン光L3の幅を直下領域Aの幅と略同じとし、照射した検出光L3が溶接ワイヤ4と母材2との間を通過するように照射部16の配置を設定する。そうすることで、図5(b)に示すような通常の溶接状態であれば、検出
光L3は遮られることとなり、遮断検出センサ15は遮断状態と判断する。ところが、図5(c)に示すように、溶滴7が直下領域Aから外側領域Bに移動した状態であれば、検出光L3は非遮断となり遮断検出センサ15の出力が変化するため、遮断検出センサ15は貫通状態と判断する。遮断検出センサ15が貫通状態であると検知した際には、溶滴7が外側領域Bに入った状態、溶接不良状態と判断することができる。
つまり、図5の溶滴検出手段10では、図4とは異なり、溶滴7が直下領域Aに留まっていて検出光L3が遮断されているときは溶接良好状態にあると検知し、溶滴7が直下領域Aから外側領域Bに移動して当該外側領域Bに照射した検出光L3が遮断してないときは溶接不良状態であると検知する。
【0029】
なお、検出光が遮られるときは、通常の溶接状態であると判断しているが、溶滴が遮断される時間間隔を遮断検出センサ15の出力信号を基に検出しておき、例えば、時間間隔が一定であるときは通常の溶接状態であると判断し、時間間隔が不規則に変化したときは溶接不良状態と判断してもよい。
以上ように第2実施形態の溶滴検出手段10であっても、検出光を溶接ワイヤ4の先端部4a側であって溶接ワイヤ4の近傍に照射するだけで、従来のように溶接中の溶接電圧や溶接電流を測定したり、溶滴7を高速度カメラで撮像して複雑な画像処理を行わなくても、溶滴7の状態を簡単に且つ確実に検出することが可能となり、インラインへの適用も容易なものとなる。
【0030】
なお、本実施形態において、上述したように直下領域Aにライン光を照射する代わりに、直下領域Aの縁に接する外側領域Bに対して検出光Lを通過させるようにすることも可能である。その場合、例えば、図5(b)に示すような通常の溶接状態であれば、検出光Lは遮断されず、遮断検出センサ15は貫通状態と判断する。ところが、図5(c)に示すように、溶滴7が直下領域Aから外側領域Bに移動した状態であれば、検出光は遮断となり遮断検出センサ15は遮断状態と判断する。この場合、遮断検出センサ15が遮断状態であると検知した際には、溶滴7が外側領域Bに入った、すなわち溶接不良状態であると判断することができる。
【0031】
第2実施形態の他の構成などは、第1実施形態と略同様である故、詳細な説明は省略する。
今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【符号の説明】
【0032】
1 溶接装置
2 母材
3 溶接トーチ
4 溶接ワイヤ
5 垂直6軸多関節ロボット
7 溶滴
10 溶滴検出手段
11 距離検出センサ
12 反射ミラー
13 ケース
14 窓
15 遮断検出センサ
16 照射部
17 受光部
A 直下領域
B 外側領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接中の溶滴を監視する溶接監視装置において、
アーク溶接中に溶接ワイヤの直下の領域から当該領域外へ移動する溶滴を検出する溶滴検出手段を備えており、
前記溶滴検出手段は、前記溶接ワイヤの先端部側に向けて検出光を照射すると共に、溶滴による検出光の遮断状態を基に、当該溶滴が溶接ワイヤの直下の領域から領域外へと移動したと判定するように構成されていることを特徴とする溶接監視装置。
【請求項2】
前記溶滴検出手段は、前記検出光としてスポット光を照射する距離検出センサを備え、
前記距離検出センサは、照射された検出光が溶滴により遮断されて検出距離が変化したときに溶滴の移動を検出することを特徴とする請求項1に記載の溶接監視装置。
【請求項3】
前記距離検出センサは前記溶接ワイヤの側方であって当該溶接ワイヤの周りに複数配置されていることを特徴とする請求項2に記載の溶接監視装置。
【請求項4】
前記溶滴検出手段は、前記検出光としてライン光を照射する遮断検出センサを備え、
前記遮断検出センサは、照射されたライン光の遮断状態を基に溶滴の移動を検出することを特徴とする請求項1に記載の溶接監視装置。
【請求項5】
前記遮断検出センサは、前記検出光が溶接ワイヤの先端部と母材との間を通過するように、溶接ワイヤの幅方向両側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の溶接監視装置。
【請求項6】
アーク溶接中の溶滴を監視する溶接監視方法において、
アーク溶接中に溶接ワイヤの先端部側に向けて検出光を照射し、
照射された検出光が溶滴により遮断された状態を基にして、当該溶滴が溶接ワイヤの直下の領域から領域外へと移動したと判定することを特徴とする溶接監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−245564(P2012−245564A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121769(P2011−121769)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)