溶接部整形のための方法および装置
第1、第2の被加工物の間の溶接接合部から溶接クラウンを除去するための方法は、接合部に関して切削アークを設定するために回転ミリング工具を接合部に近接して、あるオフセット角に位置決めするステップを含む。このミリング工具は切削アークが溶接接合部の各サイドで溶接クラウン、溶接止端および母材と交差するように位置決めされる。ミリング工具は、溶接クラウンを切り取るために接合部を横切りながら、溶接接合部に沿って被加工物間の位置合わせ不良を補正するようにサイドからサイドに傾き得る。溶接クラウン除去のための装置はミリング工具を、あるオフセット角に保持し、またミリング工具が被加工物間の位置合わせ不良を探知することを可能にして、切削アークを溶接接合部に沿って溶接止端および母材と交差した状態に保持するための追跡機構を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2005年10月31日に出願された米国仮出願第60/731,474号の優先権の恩恵を主張する。
【0002】
本発明は、溶接接合部からの溶接クラウンの除去に関し、また特に溶接部全体に亘って広がる輪郭形成されたプロファイル(外形)を残すために溶接接合部から溶接クラウンと溶接止端とを除去するための方法と装置とに関する。
【背景技術】
【0003】
溶接継目に沿って隣接する非加工物を互いに溶接することによって隣接する金属の被加工物を接合することは当分野ではよく知られている。例えばパイプラインまたはパイプシステムは、パイプの長さの端部同士を溶接することによって製造される。典型的にはパイプ長さの端部は斜めに切られるか、そうでなければ用意されて(準備されて)、互いに接触させられるか、接近させられて、準備された端部の周りに溶接ビードを放出することによって互いに溶接される。仕上げられた溶接ビードは一般に、パイプの端部の周辺表面から外方向に延びるクラウン部またはプロファイルを有する。溶接接合部が滑らかな外面に仕上げられるようにこの溶接クラウンを除去することは、しばしば望ましく、またある場合には必要である。
【0004】
溶接された被加工物または製品からの溶接クラウンの除去のために種々の工具が使用されてきた。溶接クラウンはしばしば、典型的には研削工具を使用して手動で実行される研削によって溶接継目から除去される。パイプ製造のプロセスにおいて、溶接部除去は携帯型旋盤といった専門の工具によって実行され得る。
【0005】
パイプ製造で典型的に使用される携帯型旋盤は、パイプの周りに嵌合するように適合した静止型「クラムシェル(二枚貝の殻)」電力ユニットを備えており、この携帯型旋盤は、回転可能な切削リングと、この切削リングに切削工具を取り付けるための工具保持具とを有する。携帯型旋盤は、溶接接合部に隣接するパイプの1つの周りに取り付けられ、切削工具は溶接クラウンを除去するためにパイプの周りを回転させられる。一般に切削工具は、パイプの周りの狭い円周経路において溶接クラウンを切削する単一点切削工具であって、この切削工具は溶接クラウンを除去するために軸方向に進みながらパイプ軸の周りを回る。
【0006】
携帯型旋盤は溶接クラウンを除去する際に有効であるが、この携帯型旋盤は切削工具の切削方向においてパイプの周りを円周方向に走る応力集中部を作り出す可能性がある。溶接クラウンの除去によって滑らかにされた溶接接合部の表面は、一般に元のまま残された溶接クラウンを有する溶接接合部より大きな強度あるいは疲労寿命の溶接接合部という結果をもたらすが、円周方向の応力集中部は溶接接合部の強度または疲労寿命を制限して、このような仕上げられた溶接接合部において最適の強度または疲労寿命が達成されることを制約すると考えられる。
【0007】
溶接ビードを除去するために、他の環境では他の技法が使用されてきた。例えば1994年2月15日に公開された特開平6−39431号公報は、らせん状鋼パイプ製造の途中で溶接ビードクラウンがミリング・カッタを使用して切り取られる、らせん状鋼パイプ製造する方法を記載している。
【0008】
パイプセクション間の溶接接合部の疲労寿命は、溶接クラウンが溶接接合部の各サイドに沿って少量の母材と共に除去された場合に著しく増加することが発見されている。
【0009】
32インチ直径、70〜90,000PSI引っ張り強度のパイプを使用した溶接試験クーポンの評価では、溶接接合部の各サイドに沿って少量の母材と共に溶接クラウンを除去するための溶接クラウンを研削することと、その後の溶接接合部の表面を研磨することとは、溶接クラウンが除去されなかった溶接試験クーポンと比較して溶接接合部の3倍から4倍の疲労寿命改善という結果をもたらした。
【0010】
したがって、単に溶接クラウンを除去することよりむしろ溶接接合部の各サイドに沿った少量の母材の除去を含む溶接接合部(溶接部プロファイル)に沿って輪郭形成され整形された表面の形成は、溶接接合部の品質の改善を達成するために、また特に溶接接合部の疲労寿命を改善するために望ましい。
【0011】
しかしながら溶接クラウンを研削する手動プロセスは、それに続く研磨プロセスと共に、退屈で時間がかかり、コスト高である。更にこのような手動プロセスは、精度不足であって、材料の不十分な、または過度の除去によって特徴付けられる完成された溶接部プロファイルの不均一性という結果を招く可能性がある。
【0012】
材料の不十分な除去は、溶接接合部と共に母材内に溶接部プロファイル輪郭を不適切に延長することによって所望の溶接接合部品質を作り出せなくする可能性がある。材料の過度の除去は、パイプ壁の厚さを臨界値または最小値より薄くすることによって被加工製品に損傷を与える結果になる可能性がある。また研削機によって生成される熱自体が、冶金的考慮事項に基づいて被加工製品の強度低下に寄与する可能性がある。
【0013】
異なる卵形または非真円のパイプセグメントによって引き起こされる位置合わせ不良を含む、隣接する非加工物間の如何なる位置合わせ不良によっても、仕上げられた溶接部プロファイルを作り出すという作業における更なる困難が導入される。
【特許文献1】特開平6−39431号公報
【発明の開示】
【発明の概要】
【0014】
本発明は、溶接接合部からの溶接クラウンの除去に関し、また特に溶接部全体に亘って広がる輪郭形成されたプロファイルを残して溶接接合部の疲労寿命を改善するために、溶接接合部からの溶接クラウンと溶接止端とを除去するための方法、装置およびそれらの変形版に関する。
【0015】
1つの好適な方法によれば、溶接クラウンの除去のための方法は、フライ・カッタといった円形のミリングヘッドを有するミリング工具を使用する。ミリング工具は、パイプの隣接セクションといった2つの隣接する非加工物間の溶接接合部に近接したミリングヘッドをもって配置される。ミリング工具は、ミリングヘッドが溶接クラウンを切り取るにつれて溶接接合部に沿って進行方向に動かされる。
【0016】
好適なミリング工具は、ミリングヘッドの周囲円形エッジが溶接クラウンと非加工物とに関して切削アークを画定するように、ミリングヘッドの進行方向と回転軸とによって確定される平面内で僅かに斜めにされる、あるいは傾けられる。ミリング工具の傾き量を増加させることは、切削アークの深さを増やして半径をへらす。
【0017】
ミリング工具は、ミリングヘッドの切削アークが溶接金属と溶接接合部の各サイドに沿った少量の母材を含む隣接溶接止端(または溶接面と母材との接合部)とに交差するような切削の深さに設定される。
【0018】
ミリングヘッドの切削要素は、溶接クラウンを切削して、溶接ビードまで概ね横に延びる経路に輪郭形成された溶接部外形を形成する。こうして、溶接ビードの除去によって作り出される如何なる応力集中部も、溶接ビードの長さ方向でも円周方向でもなく、横方向に伝わる。更に正の入口角の鋭利な超硬切削要素の使用は、横の応力集中部を低減または除去して、滑らかでよく研磨された仕上がりを残す。母材の溶接止端領域の除去による長さ方向または円周方向の応力集中部の除去と横方向応力集中部の低減は、溶接クラウン除去のための既知の従来技法と比較して仕上げ溶接部の強度の大幅な改善に寄与する。
【0019】
好適なミリング工具は溶接接合部に沿って動かされるので、ミリング工具は、切削アークが溶接クラウンと溶接接合部の各サイドに沿った少量の母材との両方を除去し続けるために、切削アークが第1、第2の被加工物止端領域と交差した状態に維持されるように、前記第1、第2の被加工物間の位置合わせのばらつきにしたがって進行方向に対して概ね横向きの平面内で傾斜または旋回させられ得る。
【0020】
溶接クラウンの除去のための装置の一実施形態によれば、第1、第2の被加工物間の溶接接合部から溶接クラウンを除去するための装置は、進行方向に被加工物に沿って工具を搬送するために適応した可動部材を有する工具キャリアであって被加工物に取り付けられるように用意された工具キャリアを使用する。可動部材には、回転軸の周りに回転可能なミリング・カッタを有するミリング工具が取り付けられる。ミリング工具は、上記の被加工物の近接面に垂直な線と概ね一致する回転軸によって位置決めされるが、ミリング・カッタの切削半径がミリング・カッタのオフセット角と直径とによって画定されるように、オフセット角だけ、回転軸と進行方向とによって画定される第1の平面内で傾けられる。
【0021】
追跡ホイールは、溶接接合部のいずれかのサイドで被加工物に係合し、切削深さが溶接部に隣接する被加工物表面に関して設定されることを可能にする。追跡ホイールはまた、ミリング・カッタを溶接クラウンとの切削係合状態に、また隣接被加工物溶接止端領域との交差状態に維持する。
【0022】
本発明のこれら、および他の特徴、態様および利点は、下記の説明と添付の請求項と付属の図面とに関連して、よりよく理解されるであろう。
【詳細な説明】
【0023】
図1を参照すると、ここに開示される方法による溶接部整形を実行するように構成された溶接部整形用の好適な装置が示されている。図示の溶接部整形装置の実施形態ではミリング工具102は、概ねパイプセクション間の溶接接合部5にしたがってパイプの周りの円周方向経路に沿って、回転駆動機構1によって搬送される。
【0024】
この方法によれば、ミリング工具102は、2つの隣接被加工物3間の溶接接合部5に隣接したミリング・カッタまたはミリングヘッド104(図には概略的に示されている)をもって位置決めされる。ミリングヘッド104は、回転軸200の周りに回転可能である。ミリング工具102は、回転軸200が被加工物3のうちの少なくとも1つの被加工物の表面に概ね垂直であるが、下記に詳細に論じられるように僅かに傾けられるように位置決めされる。ミリング工具102は、溶接接合部5からのビードまたは溶接クラウン7の除去のために溶接接合部5に沿って動くように位置決めされる。図1の説明図では被加工物3は、パイプラインまたはパイプ構造体におけるパイプセクションである。溶接部整形のためのこの方法が図示のパイプセクションといった丸い、または円筒形の被加工物3ばかりでなく平坦な、または不規則に湾曲した表面または被加工物にも適用可能であることは無論、認められ得る。
【0025】
ミリング工具102は、ミリングヘッド104が溶接クラウン7を切り取るにつれて、溶接接合部5に沿って進行方向に動かされる。ミリングヘッド104は、円形の切削経路を画定する少なくとも1つの切削部材を有するフライ・カッタまたはホッグ・ミルといった円形のミリング工具または切削工具である。正の入口角の鋭利な超硬切削部材の使用は、切削工具が高度に研磨された滑らかな仕上げ面を残すことを可能にし、溶接部整形を実行した後に溶接接合部の表面を更に研磨する必要を除去する。更にこのような切削部材は、例えば研削と比較して切削時の溶接ビード13および被加工物3の加熱を減らす。
【0026】
ミリングヘッドのサイズと構成(および特に円形の切削経路の直径)は、溶接接合部5の幅にかかるように、また溶接接合部5の各サイドに沿った母材11と溶接止端9とに交差するように選択され得るので、溶接部プロファイルは溶接接合部5に沿ったミリング工具102の一回の通過によって切削され得る。
【0027】
さて図2A、2Bを参照すると、ミリングヘッド104は、ミリングヘッド104の周辺円形エッジ202が溶接クラウン7と被加工物3とに関して切削アーク206またはプロファイルを画定するように、接合部に関してミリングヘッドの切削アークを設定するために、送り運動方向または進行方向と回転軸200とによって画定される平面内でカッタ送り方向に関して前方にミリング工具202の回転軸200を方向付ける、または傾けることによって僅かに(オフセット角または傾斜角θ0だけ)斜めにされる、または傾けられる。
【0028】
図2A、2Bに図示されたパイプアプリケーションを参照すると、切削アーク206は本質的に、ミリングヘッド104の前縁210においてパイプと交差する横軸平面208へのミリングヘッド104の円形のカッティングエッジ(切れ刃)の直角投影であることが理解され得る。その結果、ミリング工具102のオフセット角θ0の量を増加させることは、切削アーク206の半径を減らして深さを増やす。図2A、2Bの例では、21/2インチ(6.37センチメートル)の直径214を有するミリングヘッド104は、約5度のオフセット角θ0を有し、約24インチの半径を有する切削アーク206という結果をもたらす。
【0029】
図3A、3Bを参照すると、ミリングヘッド104は、より大きなオフセット角θ0で示されており、切削アーク206の深さと半径への影響を示している。21/2インチ(6.37センチメートル)の直径214を有するミリングヘッド104による約10度のオフセット角θ0は、約14インチの半径を有する切削アーク206という結果をもたらす。より大きなオフセット角θ0は、より小さな半径を有するより深い切削アーク206という結果をもたらすが、より小さなオフセット角θ0は、より大きな半径を有する、より浅い切削アーク206という結果をもたらすであろうことが認められ得る。
【0030】
溶接クラウン7の上に概ね中心があるミリングヘッド104によって、ミリングヘッド104の切削要素は溶接接合部5に対して概ね横方向に延びる経路に沿って溶接クラウン7を切削する。
【0031】
ミリング工具102は、ミリングヘッド104の切削アーク206が溶接ビード13の両側の母材11を含む溶接止端領域9と交差してこの領域を除去するような切削深さに設定される。
【0032】
所望の切削深さとプロファイルを与えるように位置決めされたミリング工具102によって溶接クラウン7を除去するように、ミリング工具102は溶接接合部5に沿って動かされる。
【0033】
ミリング工具102が溶接接合部5に沿って動かされるので、回転軸200は、切削アーク206が第1、第2の被加工物との交差状態に維持されるように第1、第2の被加工物間の位置合わせの変化または壁厚の変化にしたがって調整される。回転軸200は、概ね回転軸と溶接接合部に対して横方向の線とによって画定される平面内で溶接接合部5のサイドからサイドへミリング工具102を斜めにする、あるいは傾けることによって調整される。この調整は、切削アーク206が、被加工物3の外周間の僅かな軸位置合わせ不良にかかわりなく、溶接ビード13の各サイドに隣接する母材11を含む溶接止端9と交差するように方向付けられた状態に留まるようにする。
【0034】
この結果は、ミリングヘッド104のサイズ(直径)と、ミリング工具102(と、したがってミリングヘッド104)のオフセット角θ0と、被加工物3間のオフセット量とによって決定される輪郭形成された溶接部プロファイルである。各変数は、切削アーク206のサイズと直径に影響を与える。
【0035】
図2Cを参照すると、例示的溶接部プロファイル15が示されている(原寸に比例していない)。溶接部プロファイル15は、この溶接部プロファイル15が溶接ビード13の各サイドで溶接ビード13とオーバーラップする幅Wと、溶接ビード13内の最大深さDbと、溶接ビード13と母材11との接合部における深さDpと、によって特徴付けられる。
【0036】
これらの寸法がオフセット角θ0とミリングヘッド104の直径とミリング工具102の深さの調整または設定とによって決定されるような切削アーク206にしたがって変化するであろうことは、認められ得る。また溶接部プロファイル15は、被加工物間の如何なる位置合わせ不良も探知して補正するために、ミリング工具102が溶接接合部5のサイドからサイドへ旋回するにつれて変化し、その結果、非対称の溶接部プロファイルになる可能性がある。
【0037】
11/2インチ(3.81センチメートル)の壁厚を有する32インチ(81.28センチメートル)パイプにおける3/4インチ(1.91センチメートル)溶接ビード13に関する例示的溶接部プロファイル15によれば、溶接部プロファイル15は、溶接ビード13の各サイド上で1インチのほぼ4分の1から8分の3(1/4〜3/8)(0.64〜0.95センチメートル)だけ母材11内に延びて、溶接ビード13の中心で0.03”〜0.05”(0.08〜0.13センチメートル)の深さ、および母材11において0.02”〜0.04”(0.05〜0.10センチメートル)の深さを有する。これらの寸法は単に例示的なものであって、これらの寸法がパイプ寸法および種々の異なるパイプとアプリケーションとに関する最小または最大壁厚仕様にしたがって変化するであろうことは理解され得る。
【0038】
さて図1、4、5を参照すると、上記の方法による溶接部整形のための例示的装置が、より詳細に記載されている。図示の装置は、パイプセクション間の溶接接合部のために溶接部整形作業を実行するように構成されている。この装置が代替として平坦な、または不規則な被加工物間の溶接接合部も同様に整形するように構成され得ることは認められ得る。
【0039】
2つの隣接する被加工物3間の溶接接合部5に沿ってミリング工具アセンブリ100を搬送するために、追跡機構が使用される。図示の実施形態では、被加工物3はパイプセグメントであり、追跡機構は2つの隣接被加工物3間の溶接接合部5に隣接して一方の被加工物3の周囲の周りに配置された回転駆動機構1である。
【0040】
回転駆動機構1は、固定軌道部と、この固定軌道に沿って動き得る可動部とを備える。ミリング工具アセンブリ100は、回転駆動機構1の周りの円周上で、したがって回転駆動機構1が取り付けられた被加工物3の周りの円周上で、進行方向に回転駆動機構1の可動部によって搬送される。ミリング工具アセンブリ100は、ミリングヘッド104の進行方向と回転軸200とによって画定される平面内で工具の送り方向に僅かに(オフセット角θ0だけ)斜めにされた、あるいは傾けられたミリング工具102を含み、それによってミリングヘッド104は上記のように切削アーク206を画定する。
【0041】
オフセット角θ0は、予め決められた角度に固定されることが可能であり、あるいは調整ねじとヒンジ取付けまたは可動取付けとの用意によって、または同様の装置の用意によって調整可能にされることが可能であり、それによってオフセット角θ0は連続的に、あるいは現場でリアルタイムに、あるいは交換可能なシム(詰め物)などの用意によって調整されることが可能であり、それによってオフセット角θ0は、ミリング工具102またはミリング工具アセンブリ100の最小限の分解と再組立てによって調整されることが可能である。
【0042】
追跡機構が設けられ、それによってミリング工具102は、溶接接合部5のいずれかのサイドの被加工物3の隣接外壁領域間の位置合わせ不良を探知して補正することができるように、進行方向に対して横方向にサイドからサイドへ旋回可能である。
【0043】
図示の実施形態では追跡機構の一変形版は、ミリングヘッド104に近接してミリング工具102に連結された1対の追跡ホイール106を含む。動作時に追跡ホイール106は、溶接接合部5の相対するサイド上で被加工物に接触させられる。追跡ホイール106が被加工物3に沿って進むにつれて、追跡ホイール106は、表面に関してミリングヘッド104の切削深さを維持するために隣接被加工物3の表面に追従し、またミリングヘッド104が進行方向に対して横方向にサイドからサイドへ斜めになるように被加工物3間の如何なる位置合わせ不良にもしたがってミリング工具102を旋回させ、それによって切削アーク206は溶接接合部5に沿って溶接止端9との交差を維持するように連続的に調整される。
【0044】
追跡機構はまた、ミリング工具102が取り付けられたスプリング装備追跡モジュール124を含む。ミリング工具102自身は、スピンドルアセンブリ110が滑動可能に受けられるヘッドストック108を備える。スピンドルはスピンドルアセンブリ110内で回転可能である。ミリングヘッド104は、ヘッドストック108の下端部でスピンドル112に連結された工具保持具またはチャック114によって取外し可能に保持される。追跡ホイール106は、追跡ホイール106がミリングヘッド104に隣接して配置されるように、ヘッドストック108の下端部から延びる追跡ホイール保持具116に取り付けられる。
【0045】
スプリング装備追跡モジュール124は、ミリングヘッド104の切削アーク206が被加工物3間の如何なる位置合わせ不良も、あるいはいずれかの、または両方の被加工物3の如何なる偏心性または非真球性または他の不規則性をも補正するために動き得るように、ミリング工具102がサイドからサイドに旋回することを可能にする。
【0046】
さて図5〜8を参照するとスプリング装備追跡モジュール124の図示の実施形態は、回転可能な駆動機構1から延びる取付けプレート122に旋回可能に取り付けられ、車軸128の周りに旋回する第1のプレート部材126を備える。車軸128を収容するために第1のプレート部材126の貫通孔127と連携して適当な軸受機構が設けられる。
【0047】
第1のプレート部材126は、第1のプレート部材126が旋回するにつれてミリングヘッド104が進行方向に対して横方向に僅かにサイドからサイドに動かされるように概ね進行方向に向けられた軸の周りに旋回可能である。スプリングで片寄らされた(バイアスされた)滑動ブロック132の滑動可能な取付けのために、第1のプレート部材126の前に追跡レールあるいは柱130が設けられる。図示の実施形態では追跡柱130は、第1のプレート部材126の最上部の張り出しヘッドピース127から垂れ下がっているが、代替の構成も使用可能である。滑動ブロック132は追跡柱130に滑動可能に配置される。バイアススプリング136は、滑動ブロック132がスプリング136によって下方に片寄らされるように第1のプレート部材126と滑動ブロック132との間に配置される。
【0048】
ミリング工具102は、このミリング工具102がスプリング136によって被加工物3の方に滑動ブロック132と共に片寄らされるように滑動ブロック132に取り付けられる。図示の実施形態では、ミリング工具102は滑動ブロック132の前面138に画定された軌道127に滑動可能に係合させられる。ミリング工具102が滑動ブロック132に沿って適所に調整され得るように、ねじ山付きねじ部材140がミリング工具102と滑動ブロック132とを連結する。ねじ山付きねじ部材140は、追跡ホイール106を含むミリング工具102が被加工物3の近くに、または被加工物3から遠くに配置されることを可能にする。ミリング工具102が被加工物3に近くに配置されると、いったん追跡ホイール106が被加工物に接触した場合にスプリング136は被加工物に対するミリング工具102に大きなバイアスを与えるように、ますます大きく加重される。こうしてミリングヘッド104は被加工物3に押し付けられ、ミリング工具102は追跡ホイール106が被加工物表面に沿って動くにつれてサイドからサイドに旋回できるようにされる。
【0049】
ミリング工具102の切削深さが調整され得るように、調整機構が設けられる。図示の構成では調整機構の一変形版は、ヘッドストック108の上のスピンドルアセンブリ110に取り付けられたスピンドルアセンブリ保持具118を含んでおり、このスピンドルアセンブリ保持具118はスピンドルアセンブリ110がねじ山付き送りねじ120を回転させることによってヘッドストック108の下端部から可変に延ばされ得るように、ねじ山付き送りねじ120によってヘッドストック108に連結される。ねじ山付き送りねじ120の調整は、スピンドルアセンブリ110をヘッドストック108から延ばすか引っ込め、また追跡ホイール106に関してスピンドルアセンブリ110を延ばすか、引っ込める。こうしてミリング工具102の切削深さは、追跡ホイール106によって感知されたように被加工物3の表面に関してねじ山付き送りねじ120を用いて調整され得る。
【0050】
空気モータ、電気モータまたはスピンドル112を回転可能に駆動するための他の装置といった駆動手段111は、スピンドルアセンブリ保持具118に取り付けられ、スピンドル112に駆動可能に接続される。
【0051】
図9〜12を参照すると、ミリング工具102のオフセット角θ0の調整を可能にする調整可能取付けアセンブリが示されている。調整可能取付けアセンブリは、回転可能な駆動機構1に固定された固定プレート902を備える。固定プレート902には、アーチ形スロット906を貫通するファスナによってバックプレート904が固定される。図示の実施形態では、各々のアーチ形スロット906が異なる半径908a、908bを有するが共通の中心908cを持つように、1対の同心のアーチ形スロット906が設けられている。
【0052】
前述のようにミリング工具102を支持するために、バックプレート904から取付けプレート122が延びている。
【0053】
このようにして、ミリング工具102のオフセット角θ0は、アーチ形スロット906によってガイドされて共通中心908cの周りにミリング工具102を回転させるようにファスナを緩めることによって調整される。所望のオフセット角θ0が設定されると、ファスナはミリング工具102の動作のために堅く締め付けられる。
【0054】
アーチ形スロット906は好適には、共通中心908cがミリングヘッド104のカッティングエッジ(切れ歯)に、またはそれの近くに配置されるように画定される。ミリング工具アセンブリ100が種々の直径のパイプでの使用のために種々にサイズ決めされた駆動機構1上で最適のオフセット角θ0に位置決めされることを調整可能取付けアセンブリが可能にすることは図10〜12を参照することによって理解され得る。
【0055】
本発明の前述の例示的実施形態が実際には例示的なものであって、本技術に精通する人々にはこれらの実施形態の修正版が思い浮かび得ることは理解されるであろう。したがって本発明は、ここに開示された例示的実施形態に限定されると見なされるべきでなく、添付の請求項に記載されたようにだけ限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】溶接されたパイプ接合部を整形するように位置決めされて図示された溶接部整形のための装置の環境斜視図である。
【図2A】溶接されたパイプ接合部に関して切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされた溶接パイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされた図1の装置で使用可能なミリングヘッドの概略の側面図である。
【図2B】溶接されたパイプ接合部に関して切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされた溶接パイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされた図1の装置で使用可能なミリングヘッドの概略の正面図である。
【図2C】溶接パイプ接合部に形成された溶接プロファイル細部を示す接合されたパイプセグメントの部分断面図である。
【図3A】図2Aに示されたものより深い切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされたパイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされたミリングヘッドの概略の側面図である。
【図3B】図2Bに示されたものより深い切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされたパイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされたミリングヘッドの概略の正面図である。
【図4】溶接パイプ接合部を整形するように位置決めされて示された溶接部整形のための装置の正面図である。
【図5】図4に示された装置の断面側面図である。
【図6】溶接部整形用の装置のための旋回可能な追跡モジュールの旋回可能な第1のプレート部材の斜視図である。
【図7】本発明による溶接部整形用の装置のための回転可能な追跡モジュールの滑動ブロック部材の斜視図である。
【図8】図6の旋回可能な第1のプレート部材に取り付けられた図7の滑動ブロック部材を示す、本発明による溶接部整形用の装置のための旋回可能な追跡モジュールの斜視図である。
【図9】調整可能な取付けアセンブリを含み、それによってミリング工具オフセット角θ0が調整可能になる溶接部整形用の装置の斜視図である。
【図10】第1の直径のパイプにおける溶接部を整形するように構成された図9の溶接部整形用の装置の側面図である。
【図11】第2の直径のパイプにおける溶接部を整形するように構成された図9の溶接部整形用の装置の側面図である。
【図12】第3の直径のパイプにおける溶接部を整形するように構成された図9の溶接部整形用の装置の側面図である。
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2005年10月31日に出願された米国仮出願第60/731,474号の優先権の恩恵を主張する。
【0002】
本発明は、溶接接合部からの溶接クラウンの除去に関し、また特に溶接部全体に亘って広がる輪郭形成されたプロファイル(外形)を残すために溶接接合部から溶接クラウンと溶接止端とを除去するための方法と装置とに関する。
【背景技術】
【0003】
溶接継目に沿って隣接する非加工物を互いに溶接することによって隣接する金属の被加工物を接合することは当分野ではよく知られている。例えばパイプラインまたはパイプシステムは、パイプの長さの端部同士を溶接することによって製造される。典型的にはパイプ長さの端部は斜めに切られるか、そうでなければ用意されて(準備されて)、互いに接触させられるか、接近させられて、準備された端部の周りに溶接ビードを放出することによって互いに溶接される。仕上げられた溶接ビードは一般に、パイプの端部の周辺表面から外方向に延びるクラウン部またはプロファイルを有する。溶接接合部が滑らかな外面に仕上げられるようにこの溶接クラウンを除去することは、しばしば望ましく、またある場合には必要である。
【0004】
溶接された被加工物または製品からの溶接クラウンの除去のために種々の工具が使用されてきた。溶接クラウンはしばしば、典型的には研削工具を使用して手動で実行される研削によって溶接継目から除去される。パイプ製造のプロセスにおいて、溶接部除去は携帯型旋盤といった専門の工具によって実行され得る。
【0005】
パイプ製造で典型的に使用される携帯型旋盤は、パイプの周りに嵌合するように適合した静止型「クラムシェル(二枚貝の殻)」電力ユニットを備えており、この携帯型旋盤は、回転可能な切削リングと、この切削リングに切削工具を取り付けるための工具保持具とを有する。携帯型旋盤は、溶接接合部に隣接するパイプの1つの周りに取り付けられ、切削工具は溶接クラウンを除去するためにパイプの周りを回転させられる。一般に切削工具は、パイプの周りの狭い円周経路において溶接クラウンを切削する単一点切削工具であって、この切削工具は溶接クラウンを除去するために軸方向に進みながらパイプ軸の周りを回る。
【0006】
携帯型旋盤は溶接クラウンを除去する際に有効であるが、この携帯型旋盤は切削工具の切削方向においてパイプの周りを円周方向に走る応力集中部を作り出す可能性がある。溶接クラウンの除去によって滑らかにされた溶接接合部の表面は、一般に元のまま残された溶接クラウンを有する溶接接合部より大きな強度あるいは疲労寿命の溶接接合部という結果をもたらすが、円周方向の応力集中部は溶接接合部の強度または疲労寿命を制限して、このような仕上げられた溶接接合部において最適の強度または疲労寿命が達成されることを制約すると考えられる。
【0007】
溶接ビードを除去するために、他の環境では他の技法が使用されてきた。例えば1994年2月15日に公開された特開平6−39431号公報は、らせん状鋼パイプ製造の途中で溶接ビードクラウンがミリング・カッタを使用して切り取られる、らせん状鋼パイプ製造する方法を記載している。
【0008】
パイプセクション間の溶接接合部の疲労寿命は、溶接クラウンが溶接接合部の各サイドに沿って少量の母材と共に除去された場合に著しく増加することが発見されている。
【0009】
32インチ直径、70〜90,000PSI引っ張り強度のパイプを使用した溶接試験クーポンの評価では、溶接接合部の各サイドに沿って少量の母材と共に溶接クラウンを除去するための溶接クラウンを研削することと、その後の溶接接合部の表面を研磨することとは、溶接クラウンが除去されなかった溶接試験クーポンと比較して溶接接合部の3倍から4倍の疲労寿命改善という結果をもたらした。
【0010】
したがって、単に溶接クラウンを除去することよりむしろ溶接接合部の各サイドに沿った少量の母材の除去を含む溶接接合部(溶接部プロファイル)に沿って輪郭形成され整形された表面の形成は、溶接接合部の品質の改善を達成するために、また特に溶接接合部の疲労寿命を改善するために望ましい。
【0011】
しかしながら溶接クラウンを研削する手動プロセスは、それに続く研磨プロセスと共に、退屈で時間がかかり、コスト高である。更にこのような手動プロセスは、精度不足であって、材料の不十分な、または過度の除去によって特徴付けられる完成された溶接部プロファイルの不均一性という結果を招く可能性がある。
【0012】
材料の不十分な除去は、溶接接合部と共に母材内に溶接部プロファイル輪郭を不適切に延長することによって所望の溶接接合部品質を作り出せなくする可能性がある。材料の過度の除去は、パイプ壁の厚さを臨界値または最小値より薄くすることによって被加工製品に損傷を与える結果になる可能性がある。また研削機によって生成される熱自体が、冶金的考慮事項に基づいて被加工製品の強度低下に寄与する可能性がある。
【0013】
異なる卵形または非真円のパイプセグメントによって引き起こされる位置合わせ不良を含む、隣接する非加工物間の如何なる位置合わせ不良によっても、仕上げられた溶接部プロファイルを作り出すという作業における更なる困難が導入される。
【特許文献1】特開平6−39431号公報
【発明の開示】
【発明の概要】
【0014】
本発明は、溶接接合部からの溶接クラウンの除去に関し、また特に溶接部全体に亘って広がる輪郭形成されたプロファイルを残して溶接接合部の疲労寿命を改善するために、溶接接合部からの溶接クラウンと溶接止端とを除去するための方法、装置およびそれらの変形版に関する。
【0015】
1つの好適な方法によれば、溶接クラウンの除去のための方法は、フライ・カッタといった円形のミリングヘッドを有するミリング工具を使用する。ミリング工具は、パイプの隣接セクションといった2つの隣接する非加工物間の溶接接合部に近接したミリングヘッドをもって配置される。ミリング工具は、ミリングヘッドが溶接クラウンを切り取るにつれて溶接接合部に沿って進行方向に動かされる。
【0016】
好適なミリング工具は、ミリングヘッドの周囲円形エッジが溶接クラウンと非加工物とに関して切削アークを画定するように、ミリングヘッドの進行方向と回転軸とによって確定される平面内で僅かに斜めにされる、あるいは傾けられる。ミリング工具の傾き量を増加させることは、切削アークの深さを増やして半径をへらす。
【0017】
ミリング工具は、ミリングヘッドの切削アークが溶接金属と溶接接合部の各サイドに沿った少量の母材を含む隣接溶接止端(または溶接面と母材との接合部)とに交差するような切削の深さに設定される。
【0018】
ミリングヘッドの切削要素は、溶接クラウンを切削して、溶接ビードまで概ね横に延びる経路に輪郭形成された溶接部外形を形成する。こうして、溶接ビードの除去によって作り出される如何なる応力集中部も、溶接ビードの長さ方向でも円周方向でもなく、横方向に伝わる。更に正の入口角の鋭利な超硬切削要素の使用は、横の応力集中部を低減または除去して、滑らかでよく研磨された仕上がりを残す。母材の溶接止端領域の除去による長さ方向または円周方向の応力集中部の除去と横方向応力集中部の低減は、溶接クラウン除去のための既知の従来技法と比較して仕上げ溶接部の強度の大幅な改善に寄与する。
【0019】
好適なミリング工具は溶接接合部に沿って動かされるので、ミリング工具は、切削アークが溶接クラウンと溶接接合部の各サイドに沿った少量の母材との両方を除去し続けるために、切削アークが第1、第2の被加工物止端領域と交差した状態に維持されるように、前記第1、第2の被加工物間の位置合わせのばらつきにしたがって進行方向に対して概ね横向きの平面内で傾斜または旋回させられ得る。
【0020】
溶接クラウンの除去のための装置の一実施形態によれば、第1、第2の被加工物間の溶接接合部から溶接クラウンを除去するための装置は、進行方向に被加工物に沿って工具を搬送するために適応した可動部材を有する工具キャリアであって被加工物に取り付けられるように用意された工具キャリアを使用する。可動部材には、回転軸の周りに回転可能なミリング・カッタを有するミリング工具が取り付けられる。ミリング工具は、上記の被加工物の近接面に垂直な線と概ね一致する回転軸によって位置決めされるが、ミリング・カッタの切削半径がミリング・カッタのオフセット角と直径とによって画定されるように、オフセット角だけ、回転軸と進行方向とによって画定される第1の平面内で傾けられる。
【0021】
追跡ホイールは、溶接接合部のいずれかのサイドで被加工物に係合し、切削深さが溶接部に隣接する被加工物表面に関して設定されることを可能にする。追跡ホイールはまた、ミリング・カッタを溶接クラウンとの切削係合状態に、また隣接被加工物溶接止端領域との交差状態に維持する。
【0022】
本発明のこれら、および他の特徴、態様および利点は、下記の説明と添付の請求項と付属の図面とに関連して、よりよく理解されるであろう。
【詳細な説明】
【0023】
図1を参照すると、ここに開示される方法による溶接部整形を実行するように構成された溶接部整形用の好適な装置が示されている。図示の溶接部整形装置の実施形態ではミリング工具102は、概ねパイプセクション間の溶接接合部5にしたがってパイプの周りの円周方向経路に沿って、回転駆動機構1によって搬送される。
【0024】
この方法によれば、ミリング工具102は、2つの隣接被加工物3間の溶接接合部5に隣接したミリング・カッタまたはミリングヘッド104(図には概略的に示されている)をもって位置決めされる。ミリングヘッド104は、回転軸200の周りに回転可能である。ミリング工具102は、回転軸200が被加工物3のうちの少なくとも1つの被加工物の表面に概ね垂直であるが、下記に詳細に論じられるように僅かに傾けられるように位置決めされる。ミリング工具102は、溶接接合部5からのビードまたは溶接クラウン7の除去のために溶接接合部5に沿って動くように位置決めされる。図1の説明図では被加工物3は、パイプラインまたはパイプ構造体におけるパイプセクションである。溶接部整形のためのこの方法が図示のパイプセクションといった丸い、または円筒形の被加工物3ばかりでなく平坦な、または不規則に湾曲した表面または被加工物にも適用可能であることは無論、認められ得る。
【0025】
ミリング工具102は、ミリングヘッド104が溶接クラウン7を切り取るにつれて、溶接接合部5に沿って進行方向に動かされる。ミリングヘッド104は、円形の切削経路を画定する少なくとも1つの切削部材を有するフライ・カッタまたはホッグ・ミルといった円形のミリング工具または切削工具である。正の入口角の鋭利な超硬切削部材の使用は、切削工具が高度に研磨された滑らかな仕上げ面を残すことを可能にし、溶接部整形を実行した後に溶接接合部の表面を更に研磨する必要を除去する。更にこのような切削部材は、例えば研削と比較して切削時の溶接ビード13および被加工物3の加熱を減らす。
【0026】
ミリングヘッドのサイズと構成(および特に円形の切削経路の直径)は、溶接接合部5の幅にかかるように、また溶接接合部5の各サイドに沿った母材11と溶接止端9とに交差するように選択され得るので、溶接部プロファイルは溶接接合部5に沿ったミリング工具102の一回の通過によって切削され得る。
【0027】
さて図2A、2Bを参照すると、ミリングヘッド104は、ミリングヘッド104の周辺円形エッジ202が溶接クラウン7と被加工物3とに関して切削アーク206またはプロファイルを画定するように、接合部に関してミリングヘッドの切削アークを設定するために、送り運動方向または進行方向と回転軸200とによって画定される平面内でカッタ送り方向に関して前方にミリング工具202の回転軸200を方向付ける、または傾けることによって僅かに(オフセット角または傾斜角θ0だけ)斜めにされる、または傾けられる。
【0028】
図2A、2Bに図示されたパイプアプリケーションを参照すると、切削アーク206は本質的に、ミリングヘッド104の前縁210においてパイプと交差する横軸平面208へのミリングヘッド104の円形のカッティングエッジ(切れ刃)の直角投影であることが理解され得る。その結果、ミリング工具102のオフセット角θ0の量を増加させることは、切削アーク206の半径を減らして深さを増やす。図2A、2Bの例では、21/2インチ(6.37センチメートル)の直径214を有するミリングヘッド104は、約5度のオフセット角θ0を有し、約24インチの半径を有する切削アーク206という結果をもたらす。
【0029】
図3A、3Bを参照すると、ミリングヘッド104は、より大きなオフセット角θ0で示されており、切削アーク206の深さと半径への影響を示している。21/2インチ(6.37センチメートル)の直径214を有するミリングヘッド104による約10度のオフセット角θ0は、約14インチの半径を有する切削アーク206という結果をもたらす。より大きなオフセット角θ0は、より小さな半径を有するより深い切削アーク206という結果をもたらすが、より小さなオフセット角θ0は、より大きな半径を有する、より浅い切削アーク206という結果をもたらすであろうことが認められ得る。
【0030】
溶接クラウン7の上に概ね中心があるミリングヘッド104によって、ミリングヘッド104の切削要素は溶接接合部5に対して概ね横方向に延びる経路に沿って溶接クラウン7を切削する。
【0031】
ミリング工具102は、ミリングヘッド104の切削アーク206が溶接ビード13の両側の母材11を含む溶接止端領域9と交差してこの領域を除去するような切削深さに設定される。
【0032】
所望の切削深さとプロファイルを与えるように位置決めされたミリング工具102によって溶接クラウン7を除去するように、ミリング工具102は溶接接合部5に沿って動かされる。
【0033】
ミリング工具102が溶接接合部5に沿って動かされるので、回転軸200は、切削アーク206が第1、第2の被加工物との交差状態に維持されるように第1、第2の被加工物間の位置合わせの変化または壁厚の変化にしたがって調整される。回転軸200は、概ね回転軸と溶接接合部に対して横方向の線とによって画定される平面内で溶接接合部5のサイドからサイドへミリング工具102を斜めにする、あるいは傾けることによって調整される。この調整は、切削アーク206が、被加工物3の外周間の僅かな軸位置合わせ不良にかかわりなく、溶接ビード13の各サイドに隣接する母材11を含む溶接止端9と交差するように方向付けられた状態に留まるようにする。
【0034】
この結果は、ミリングヘッド104のサイズ(直径)と、ミリング工具102(と、したがってミリングヘッド104)のオフセット角θ0と、被加工物3間のオフセット量とによって決定される輪郭形成された溶接部プロファイルである。各変数は、切削アーク206のサイズと直径に影響を与える。
【0035】
図2Cを参照すると、例示的溶接部プロファイル15が示されている(原寸に比例していない)。溶接部プロファイル15は、この溶接部プロファイル15が溶接ビード13の各サイドで溶接ビード13とオーバーラップする幅Wと、溶接ビード13内の最大深さDbと、溶接ビード13と母材11との接合部における深さDpと、によって特徴付けられる。
【0036】
これらの寸法がオフセット角θ0とミリングヘッド104の直径とミリング工具102の深さの調整または設定とによって決定されるような切削アーク206にしたがって変化するであろうことは、認められ得る。また溶接部プロファイル15は、被加工物間の如何なる位置合わせ不良も探知して補正するために、ミリング工具102が溶接接合部5のサイドからサイドへ旋回するにつれて変化し、その結果、非対称の溶接部プロファイルになる可能性がある。
【0037】
11/2インチ(3.81センチメートル)の壁厚を有する32インチ(81.28センチメートル)パイプにおける3/4インチ(1.91センチメートル)溶接ビード13に関する例示的溶接部プロファイル15によれば、溶接部プロファイル15は、溶接ビード13の各サイド上で1インチのほぼ4分の1から8分の3(1/4〜3/8)(0.64〜0.95センチメートル)だけ母材11内に延びて、溶接ビード13の中心で0.03”〜0.05”(0.08〜0.13センチメートル)の深さ、および母材11において0.02”〜0.04”(0.05〜0.10センチメートル)の深さを有する。これらの寸法は単に例示的なものであって、これらの寸法がパイプ寸法および種々の異なるパイプとアプリケーションとに関する最小または最大壁厚仕様にしたがって変化するであろうことは理解され得る。
【0038】
さて図1、4、5を参照すると、上記の方法による溶接部整形のための例示的装置が、より詳細に記載されている。図示の装置は、パイプセクション間の溶接接合部のために溶接部整形作業を実行するように構成されている。この装置が代替として平坦な、または不規則な被加工物間の溶接接合部も同様に整形するように構成され得ることは認められ得る。
【0039】
2つの隣接する被加工物3間の溶接接合部5に沿ってミリング工具アセンブリ100を搬送するために、追跡機構が使用される。図示の実施形態では、被加工物3はパイプセグメントであり、追跡機構は2つの隣接被加工物3間の溶接接合部5に隣接して一方の被加工物3の周囲の周りに配置された回転駆動機構1である。
【0040】
回転駆動機構1は、固定軌道部と、この固定軌道に沿って動き得る可動部とを備える。ミリング工具アセンブリ100は、回転駆動機構1の周りの円周上で、したがって回転駆動機構1が取り付けられた被加工物3の周りの円周上で、進行方向に回転駆動機構1の可動部によって搬送される。ミリング工具アセンブリ100は、ミリングヘッド104の進行方向と回転軸200とによって画定される平面内で工具の送り方向に僅かに(オフセット角θ0だけ)斜めにされた、あるいは傾けられたミリング工具102を含み、それによってミリングヘッド104は上記のように切削アーク206を画定する。
【0041】
オフセット角θ0は、予め決められた角度に固定されることが可能であり、あるいは調整ねじとヒンジ取付けまたは可動取付けとの用意によって、または同様の装置の用意によって調整可能にされることが可能であり、それによってオフセット角θ0は連続的に、あるいは現場でリアルタイムに、あるいは交換可能なシム(詰め物)などの用意によって調整されることが可能であり、それによってオフセット角θ0は、ミリング工具102またはミリング工具アセンブリ100の最小限の分解と再組立てによって調整されることが可能である。
【0042】
追跡機構が設けられ、それによってミリング工具102は、溶接接合部5のいずれかのサイドの被加工物3の隣接外壁領域間の位置合わせ不良を探知して補正することができるように、進行方向に対して横方向にサイドからサイドへ旋回可能である。
【0043】
図示の実施形態では追跡機構の一変形版は、ミリングヘッド104に近接してミリング工具102に連結された1対の追跡ホイール106を含む。動作時に追跡ホイール106は、溶接接合部5の相対するサイド上で被加工物に接触させられる。追跡ホイール106が被加工物3に沿って進むにつれて、追跡ホイール106は、表面に関してミリングヘッド104の切削深さを維持するために隣接被加工物3の表面に追従し、またミリングヘッド104が進行方向に対して横方向にサイドからサイドへ斜めになるように被加工物3間の如何なる位置合わせ不良にもしたがってミリング工具102を旋回させ、それによって切削アーク206は溶接接合部5に沿って溶接止端9との交差を維持するように連続的に調整される。
【0044】
追跡機構はまた、ミリング工具102が取り付けられたスプリング装備追跡モジュール124を含む。ミリング工具102自身は、スピンドルアセンブリ110が滑動可能に受けられるヘッドストック108を備える。スピンドルはスピンドルアセンブリ110内で回転可能である。ミリングヘッド104は、ヘッドストック108の下端部でスピンドル112に連結された工具保持具またはチャック114によって取外し可能に保持される。追跡ホイール106は、追跡ホイール106がミリングヘッド104に隣接して配置されるように、ヘッドストック108の下端部から延びる追跡ホイール保持具116に取り付けられる。
【0045】
スプリング装備追跡モジュール124は、ミリングヘッド104の切削アーク206が被加工物3間の如何なる位置合わせ不良も、あるいはいずれかの、または両方の被加工物3の如何なる偏心性または非真球性または他の不規則性をも補正するために動き得るように、ミリング工具102がサイドからサイドに旋回することを可能にする。
【0046】
さて図5〜8を参照するとスプリング装備追跡モジュール124の図示の実施形態は、回転可能な駆動機構1から延びる取付けプレート122に旋回可能に取り付けられ、車軸128の周りに旋回する第1のプレート部材126を備える。車軸128を収容するために第1のプレート部材126の貫通孔127と連携して適当な軸受機構が設けられる。
【0047】
第1のプレート部材126は、第1のプレート部材126が旋回するにつれてミリングヘッド104が進行方向に対して横方向に僅かにサイドからサイドに動かされるように概ね進行方向に向けられた軸の周りに旋回可能である。スプリングで片寄らされた(バイアスされた)滑動ブロック132の滑動可能な取付けのために、第1のプレート部材126の前に追跡レールあるいは柱130が設けられる。図示の実施形態では追跡柱130は、第1のプレート部材126の最上部の張り出しヘッドピース127から垂れ下がっているが、代替の構成も使用可能である。滑動ブロック132は追跡柱130に滑動可能に配置される。バイアススプリング136は、滑動ブロック132がスプリング136によって下方に片寄らされるように第1のプレート部材126と滑動ブロック132との間に配置される。
【0048】
ミリング工具102は、このミリング工具102がスプリング136によって被加工物3の方に滑動ブロック132と共に片寄らされるように滑動ブロック132に取り付けられる。図示の実施形態では、ミリング工具102は滑動ブロック132の前面138に画定された軌道127に滑動可能に係合させられる。ミリング工具102が滑動ブロック132に沿って適所に調整され得るように、ねじ山付きねじ部材140がミリング工具102と滑動ブロック132とを連結する。ねじ山付きねじ部材140は、追跡ホイール106を含むミリング工具102が被加工物3の近くに、または被加工物3から遠くに配置されることを可能にする。ミリング工具102が被加工物3に近くに配置されると、いったん追跡ホイール106が被加工物に接触した場合にスプリング136は被加工物に対するミリング工具102に大きなバイアスを与えるように、ますます大きく加重される。こうしてミリングヘッド104は被加工物3に押し付けられ、ミリング工具102は追跡ホイール106が被加工物表面に沿って動くにつれてサイドからサイドに旋回できるようにされる。
【0049】
ミリング工具102の切削深さが調整され得るように、調整機構が設けられる。図示の構成では調整機構の一変形版は、ヘッドストック108の上のスピンドルアセンブリ110に取り付けられたスピンドルアセンブリ保持具118を含んでおり、このスピンドルアセンブリ保持具118はスピンドルアセンブリ110がねじ山付き送りねじ120を回転させることによってヘッドストック108の下端部から可変に延ばされ得るように、ねじ山付き送りねじ120によってヘッドストック108に連結される。ねじ山付き送りねじ120の調整は、スピンドルアセンブリ110をヘッドストック108から延ばすか引っ込め、また追跡ホイール106に関してスピンドルアセンブリ110を延ばすか、引っ込める。こうしてミリング工具102の切削深さは、追跡ホイール106によって感知されたように被加工物3の表面に関してねじ山付き送りねじ120を用いて調整され得る。
【0050】
空気モータ、電気モータまたはスピンドル112を回転可能に駆動するための他の装置といった駆動手段111は、スピンドルアセンブリ保持具118に取り付けられ、スピンドル112に駆動可能に接続される。
【0051】
図9〜12を参照すると、ミリング工具102のオフセット角θ0の調整を可能にする調整可能取付けアセンブリが示されている。調整可能取付けアセンブリは、回転可能な駆動機構1に固定された固定プレート902を備える。固定プレート902には、アーチ形スロット906を貫通するファスナによってバックプレート904が固定される。図示の実施形態では、各々のアーチ形スロット906が異なる半径908a、908bを有するが共通の中心908cを持つように、1対の同心のアーチ形スロット906が設けられている。
【0052】
前述のようにミリング工具102を支持するために、バックプレート904から取付けプレート122が延びている。
【0053】
このようにして、ミリング工具102のオフセット角θ0は、アーチ形スロット906によってガイドされて共通中心908cの周りにミリング工具102を回転させるようにファスナを緩めることによって調整される。所望のオフセット角θ0が設定されると、ファスナはミリング工具102の動作のために堅く締め付けられる。
【0054】
アーチ形スロット906は好適には、共通中心908cがミリングヘッド104のカッティングエッジ(切れ歯)に、またはそれの近くに配置されるように画定される。ミリング工具アセンブリ100が種々の直径のパイプでの使用のために種々にサイズ決めされた駆動機構1上で最適のオフセット角θ0に位置決めされることを調整可能取付けアセンブリが可能にすることは図10〜12を参照することによって理解され得る。
【0055】
本発明の前述の例示的実施形態が実際には例示的なものであって、本技術に精通する人々にはこれらの実施形態の修正版が思い浮かび得ることは理解されるであろう。したがって本発明は、ここに開示された例示的実施形態に限定されると見なされるべきでなく、添付の請求項に記載されたようにだけ限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】溶接されたパイプ接合部を整形するように位置決めされて図示された溶接部整形のための装置の環境斜視図である。
【図2A】溶接されたパイプ接合部に関して切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされた溶接パイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされた図1の装置で使用可能なミリングヘッドの概略の側面図である。
【図2B】溶接されたパイプ接合部に関して切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされた溶接パイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされた図1の装置で使用可能なミリングヘッドの概略の正面図である。
【図2C】溶接パイプ接合部に形成された溶接プロファイル細部を示す接合されたパイプセグメントの部分断面図である。
【図3A】図2Aに示されたものより深い切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされたパイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされたミリングヘッドの概略の側面図である。
【図3B】図2Bに示されたものより深い切削アークを画定するようにミリングヘッドが角度決めされたパイプ接合部溶接ビードを整形するために位置決めされたミリングヘッドの概略の正面図である。
【図4】溶接パイプ接合部を整形するように位置決めされて示された溶接部整形のための装置の正面図である。
【図5】図4に示された装置の断面側面図である。
【図6】溶接部整形用の装置のための旋回可能な追跡モジュールの旋回可能な第1のプレート部材の斜視図である。
【図7】本発明による溶接部整形用の装置のための回転可能な追跡モジュールの滑動ブロック部材の斜視図である。
【図8】図6の旋回可能な第1のプレート部材に取り付けられた図7の滑動ブロック部材を示す、本発明による溶接部整形用の装置のための旋回可能な追跡モジュールの斜視図である。
【図9】調整可能な取付けアセンブリを含み、それによってミリング工具オフセット角θ0が調整可能になる溶接部整形用の装置の斜視図である。
【図10】第1の直径のパイプにおける溶接部を整形するように構成された図9の溶接部整形用の装置の側面図である。
【図11】第2の直径のパイプにおける溶接部を整形するように構成された図9の溶接部整形用の装置の側面図である。
【図12】第3の直径のパイプにおける溶接部を整形するように構成された図9の溶接部整形用の装置の側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被加工物と第2の被加工物とに亘る固化した溶接金属によって画定された溶接接合部から溶接クラウンを除去するための方法であって、
第1、第2の被加工物の隣接表面に概ね垂直に延びる回転軸の周りに回転可能なミリングヘッドを有するミリング工具を、前記接合部に沿った進行方向に動くように前記接合部に近接して位置決めすることと、
前記ミリングヘッドの切削アークを前記接合部に関して設定するために、前記回転軸を含み、前記進行方向に添って延びる第1の平面内で前記回転軸を方向付けることと、
溶接金属の全長と前記第1、第2の被加工物とを所望の深さに交差させる前記切削アークにしたがって前記接合部に沿って溶接部プロファイルを切削するために前記ミリング工具を前記進行方向に動かすことと、の各ステップを備える方法。
【請求項2】
前記切削アークが前記第1、第2の被加工物と交差する関係に維持されるように前記第1、第2の被加工物の間の位置合わせの偏差にしたがって前記回転軸に調整を行うステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転軸は前記回転軸と前記溶接接合部に概ね垂直な線とに交差する第2の平面内で調整される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記回転軸は前記第2の平面内で傾けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記調整は前記ミリング工具が前記進行方向に沿って動くにつれて連続的に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ミリング工具を前記進行方向に動かす前に前記隣接表面に関して前記ミリングヘッドの切削深さを設定するように前記ミリング工具を位置決めするステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
被加工物間の溶接接合部から溶接クラウンを除去するための装置であって、
前記装置は、
溶接クラウン位置に関して進行方向に工具を搬送するように適応した可動部材を有する工具キャリアを備え、
前記工具は前記可動部材に取り付けられたミリング工具を備えており、前記ミリング工具は回転軸の周りに回転可能な円形のミリングヘッドを有して切削アークを画定し、
前記回転軸は前記切削アークの半径がオフセット角と前記ミリングヘッドの直径とによって確定されるように、前記回転軸を含み前記進行方向に延びる第1の平面内で前記オフセット角だけ傾斜可能であり、
それによって前記工具は溶接クラウンとの切削関係において前記切削アークによって、前記進行方向に沿った前記ミリングヘッドの進行時に前記溶接クラウンに沿って溶接部プロファイルを切削するように適応する、装置。
【請求項8】
前記オフセット角は調整可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ミリング工具は前記ミリングヘッドが前記進行方向に対して横方向に揺動することを可能にするように旋回可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記ミリングヘッドを被加工物の表面不規則性に追従するために旋回させるように配置され構成された1対の追跡ホイールを更に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項1】
第1の被加工物と第2の被加工物とに亘る固化した溶接金属によって画定された溶接接合部から溶接クラウンを除去するための方法であって、
第1、第2の被加工物の隣接表面に概ね垂直に延びる回転軸の周りに回転可能なミリングヘッドを有するミリング工具を、前記接合部に沿った進行方向に動くように前記接合部に近接して位置決めすることと、
前記ミリングヘッドの切削アークを前記接合部に関して設定するために、前記回転軸を含み、前記進行方向に添って延びる第1の平面内で前記回転軸を方向付けることと、
溶接金属の全長と前記第1、第2の被加工物とを所望の深さに交差させる前記切削アークにしたがって前記接合部に沿って溶接部プロファイルを切削するために前記ミリング工具を前記進行方向に動かすことと、の各ステップを備える方法。
【請求項2】
前記切削アークが前記第1、第2の被加工物と交差する関係に維持されるように前記第1、第2の被加工物の間の位置合わせの偏差にしたがって前記回転軸に調整を行うステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転軸は前記回転軸と前記溶接接合部に概ね垂直な線とに交差する第2の平面内で調整される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記回転軸は前記第2の平面内で傾けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記調整は前記ミリング工具が前記進行方向に沿って動くにつれて連続的に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ミリング工具を前記進行方向に動かす前に前記隣接表面に関して前記ミリングヘッドの切削深さを設定するように前記ミリング工具を位置決めするステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
被加工物間の溶接接合部から溶接クラウンを除去するための装置であって、
前記装置は、
溶接クラウン位置に関して進行方向に工具を搬送するように適応した可動部材を有する工具キャリアを備え、
前記工具は前記可動部材に取り付けられたミリング工具を備えており、前記ミリング工具は回転軸の周りに回転可能な円形のミリングヘッドを有して切削アークを画定し、
前記回転軸は前記切削アークの半径がオフセット角と前記ミリングヘッドの直径とによって確定されるように、前記回転軸を含み前記進行方向に延びる第1の平面内で前記オフセット角だけ傾斜可能であり、
それによって前記工具は溶接クラウンとの切削関係において前記切削アークによって、前記進行方向に沿った前記ミリングヘッドの進行時に前記溶接クラウンに沿って溶接部プロファイルを切削するように適応する、装置。
【請求項8】
前記オフセット角は調整可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ミリング工具は前記ミリングヘッドが前記進行方向に対して横方向に揺動することを可能にするように旋回可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記ミリングヘッドを被加工物の表面不規則性に追従するために旋回させるように配置され構成された1対の追跡ホイールを更に備える、請求項9に記載の装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−513375(P2009−513375A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539008(P2008−539008)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/042691
【国際公開番号】WO2007/053699
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(399020784)ティーアールアイ・トゥール・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/042691
【国際公開番号】WO2007/053699
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(399020784)ティーアールアイ・トゥール・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
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