説明

溶液の濃縮装置

【課題】ノズルで溶液をミストに噴霧する簡単な構造で製造コストとランニングコストの両方を低減しながら、効率よく分離して、濃縮する。
【解決手段】溶液の濃縮装置は、溶液を微細な粒子のミストに噴霧する複数のノズル1と、ノズル1から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器2と、この気体供給器2で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機3とを備える。気体供給器2は、複数のノズル1に搬送気体を供給する複数の開口部9を有し、複数の開口部9から供給される搬送気体中に複数のノズル1がミストを噴霧している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール水溶液などを濃縮する装置に関し、とくに溶液をノズルからミストに噴霧して低沸点成分と高沸点成分とを分離して濃縮する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷の洗浄廃液を濃縮して再生する装置は開発されている(特許文献1参照)。この装置は、洗浄廃液をミストに噴霧し、噴霧されたミストをサイクロンで分離して、洗浄液に含まれるインキやインキに含まれる可溶性成分、さらに輪転機の機械油などを除去して洗浄液を濃縮する。
【特許文献1】特開2005−131543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の装置は、洗浄廃液から機械油などを分離して再使用できるように再生して洗浄液を濃縮する。オフセット印刷の洗浄液には揮発性の溶剤が使用される。印刷機を洗浄した洗浄液は、インキ、インキに含まれる可溶性成分、輪転機の機械油等の汚れ成分が混合される。これらの汚れ成分は、洗浄液に比較して蒸発し難いことから、蒸発法で分離できる。特許文献1の装置は、図1に示すように、洗浄液をサイクロン状の蒸発室92にミストとして噴霧する。噴霧されたミストは、蒸発しやすい溶剤が気化されてサイクロン状の蒸発室92の上方から排出され、インキや機械油などは下方から排出される。サイクロン状の蒸発室92の上方に排出される溶剤は、冷却熱交換器94で冷却されてサイクロン状の凝集器93で凝集して回収される。サイクロン状の凝集器93の上方から排出される気体は、加温熱交換器95で加温されて超音波霧化室91に循環される。
【0004】
さらに、特許文献1には、洗浄廃液を超音波振動してミストに霧化する構造と、図2に示すように、ノズル96から噴射してミストに霧化する構造を記載している。超音波振動で洗浄廃液をミストに霧化する装置は、溶剤が機械油などの汚れ成分に比較してミストに霧化されやすく、霧化する過程で溶剤を分離できる作用がある。ただ、超音波振動でミストに霧化する装置は、超音波振動子やこれを駆動する高周波電源を必要とすることから設備コストが高くなる欠点がある。また、寿命が限られている超音波振動子を定期的に交換することからランニングコストも高くなる欠点がある。洗浄廃液をノズルから噴射してミストに霧化する装置は、製造コストとランニングコストを低減できる。ただ、ノズルは、全ての洗浄廃液をサイクロン状の蒸発室に噴射することから、ノズルからミストに噴射する過程では、溶剤と機械油などの汚れ成分を分離できない。すなわち、噴射されたミストは、洗浄廃液と同じ濃度で機械油などの汚れ成分を含有する。このように、ノズルは、全ての洗浄廃液をサイクロン状の蒸発室に噴射してミストとすることから、蒸発室で溶剤と汚れ成分とを効率よく分離できない欠点があった。
【0005】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、ノズルで溶液をミストに噴霧する簡単な構造で製造コストとランニングコストの両方を低減しながら、効率よく分離して、濃縮できる溶液の濃縮装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の溶液の濃縮装置は、溶液を微細な粒子のミストに噴霧する複数のノズル1と、ノズル1から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器2と、この気体供給器2で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機3とを備える。気体供給器2は、複数のノズル1に搬送気体を供給する複数の開口部9を有し、複数の開口部9から供給される搬送気体中に複数のノズル1がミストを噴霧している。
【0007】
本発明の請求項2の溶液の濃縮装置は、各々のノズル1に搬送気体を供給するように複数の開口部9を設けている。
【0008】
本発明の請求項3の溶液の濃縮装置は、溶液を微細な粒子のミストに噴霧する複数のノズル1と、ノズル1から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器2と、この気体供給器2で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機3とを備える。気体供給器2は、各々のノズル1に搬送気体を供給するスリット状の開口部39を有し、スリット状の開口部39から供給される搬送気体中に複数のノズル1がミストを噴霧している。
【0009】
本発明の請求項4の溶液の濃縮装置は、隣接するノズル1の間に開口部9、39を設けている。
【0010】
本発明の請求項5の溶液の濃縮装置は、溶液を微細な粒子のミストに噴霧するノズル1と、ノズル1から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器2と、この気体供給器2で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機3とを備える。ノズル1は、溶液と搬送気体の両方を噴射する2流体ノズル41で、気体供給器2が2流体ノズル41に搬送気体を供給して、ノズル1がミスト混合気体を噴霧している。
【0011】
本発明の請求項6の溶液の濃縮装置は、分離機3がサイクロン30で、サイクロン30の上方排出口33から排出される搬送気体に含まれる低沸点成分を分離して濃縮している。
【0012】
本発明の請求項7の溶液の濃縮装置は、分離機3がデミスター40で、搬送気体に含まれる低沸点成分を分離して濃縮している。
【0013】
本発明の請求項8の溶液の濃縮装置は、ノズル1から噴霧する溶液を冷却してミストに噴霧している。
【0014】
本発明の請求項9の溶液の濃縮装置は、ノズル1から噴霧する溶液を冷却する熱エネルギでもって、搬送気体を加温している。
【0015】
本発明の請求項10の溶液の濃縮装置は、濃縮される溶液を、アルコール水溶液、不凍液、石油のいずれかとしている。
【0016】
本発明の請求項11の溶液の濃縮装置は、搬送気体を、水素、アルゴン、メタンのいずれかとしている。
【0017】
本発明の請求項12の溶液の濃縮装置は、濃縮される溶液を、水と氷点降下剤を含む不凍液としており、サイクロン30から上方に排出される第1の排気成分を水中にバブリングして氷点降下剤を水に溶解して分離して排気し、サイクロン30から下方に排出される第2の排気成分をノズル1から噴射する溶液に循環して不凍液を濃縮している。
【0018】
本発明の請求項13の溶液の濃縮装置は、溶液をアルコール水溶液として、サイクロン30から上方に排出される第1の排気成分を凝集、分離して濃縮されたアルコールを回収している。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、超音波振動によらず、ノズルで溶液をミストに噴霧することで、簡単な構造として製造コストとランニングコストの両方を低減しながら、分離機でもって効率よく分離、濃縮できる特徴がある。ノズルからミストに噴霧しながら効率よく分離、濃縮できるのは、複数のノズルから噴射されるミストに効率よく搬送気体を供給できるからである。請求項1の濃縮装置は、複数のノズルの各々に搬送気体を供給する複数の開口部を設け、複数の開口部から供給される搬送気体中に複数のノズルがミストを噴霧する。請求項3の濃縮装置は、各々のノズルに搬送気体を供給するスリット状の開口部を設けて、スリット状の開口部から供給される搬送気体中に複数のノズルがミストを噴霧する。さらに、請求項5の濃縮装置は、溶液と搬送気体の両方を噴射する2流体ノズルを使用して、気体供給器から2流体ノズルに搬送気体を供給して、ノズルがミスト混合気体を噴霧する。
【0020】
以上の構造の濃縮装置は、各々のノズルから噴霧されるミストに搬送気体を供給できる。したがって、ノズルから噴霧されたミストに含まれる低沸点成分は、供給される搬送気体に効率よく気化される。溶液をノズルからミストに噴霧して溶液を低沸点成分と高沸点成分とに分離して濃縮する装置は、低沸点成分と高沸点成分の気化率の相違によって分離される。たとえば、低沸点成分のアルコールが高沸点成分の水に溶解されたアルコール水溶液がミストに霧化されると、アルコール水溶液のミストに含まれる低沸点成分のアルコールが高沸点成分の水よりも多量に搬送気体に気化されて、高沸点成分の水がアルコールよりも気化されずにミストに残存しやすいことから、ミストと搬送気体とを分離して、搬送気体に気化された低沸点成分のアルコールを分離することで、アルコールを水から分離して濃縮できる。
【0021】
従来の装置は、図2に示すように、複数のノズル96から溶液をミストに噴霧してその通路に搬送気体を供給している。この構造は、供給された搬送気体に、効率よく低沸点成分を気化できない。それは、供給された搬送気体が上流側のノズルで噴霧されるミストの気化によって飽和状態となり、下流側で噴霧されるミストの低沸点成分を効率よく気化できなくなるからである。この構造に対して、本発明の濃縮装置は、複数のノズルの各々に、複数の開口部から均一に搬送気体を供給し、あるいはスリット状の開口部から均一に搬送気体を供給し、あるいは又2流体ノズルでもって、ミストに霧化される領域に搬送気体を均一に供給できる。このため、霧化されたミストにより均一に搬送気体を供給して、搬送気体が飽和状態となってミストの霧化が制限される状態を少なくできる。このため、霧化されたミストに含まれる低沸点成分をより効率よく搬送気体に気化させて、低沸点成分と高沸点成分とを効率よく分離できる。したがって、本発明は、搬送気体の供給構造を変更する極めて簡単な構造としながら、超音波振動させる装置に比較して設備コストを著しく低減しながら、低沸点成分と高沸点成分とを効率よく分離できる特徴がある。さらに、溶液をミストに霧化するノズルは、超音波振動子のような消耗部品でないことから定期的に交換する必要がなく、ランニングコストも著しく低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための溶液の濃縮装置を例示するものであって、本発明は濃縮装置を以下のものに特定しない。
【0023】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0024】
本発明の濃縮装置は、沸点が異なる複数の物質を含む溶液から一方を分離して濃縮する。溶液は、例えば以下のものである。以下の溶液は、溶媒を水とする水溶液、あるいは水以外の溶媒に溶質を溶解したもの、あるいは複数の液体が混合されたものである。
(1)バイオマスアルコール、清酒、ビール、ワイン、焼酎、ブランデー、ウイスキー、リキュール、みりん等のアルコール水溶液。
(2)エチレングリコール等の氷点降下剤を添加している不凍液。
(3)石油
(4)食酢、スピリッツ等の飲用物。
(5)ピネン、リナロール、リモネン、ポリフェノール類などの香料、芳香成分ないし香気成分を含む溶液。
(6)柑橘類などの天然物に含まれる香料、芳香成分ないし香気成分を含む溶液。
(7)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合した物質を含む溶液。
(8)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をハロゲンによって置き換えた物質を含む溶液。
(9)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基を水酸基によって置き換えた物質を含む溶液。
(10)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をアミノ基によって置き換えた物質を含む溶液。
(11)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボニル基によって置き換えた物質を含む溶液。
(12)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボキシル基によって置き換えた物質を含む溶液。
(13)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をニトロ基によって置き換えた物質を含む溶液。
(14)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をシアノ基によって置き換えた物質を含む溶液。
(15)飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をメルカプト基によって置き換えた物質を含む溶液。
(16)前述の(7)〜(15)の溶液に含まれるいずれか一つ以上の原子を金属イオンによって置換した物質を含む溶液。
(17)先述の(7)〜(15)の溶液に含まれる分子のうち任意の水素原子、炭素原子もしくは官能基を(7)〜(15)の分子のうち任意の分子で置き換えた物質を含む溶液。
【0025】
以上の溶液は、図3ないし図6に示す濃縮装置で濃縮される。これらの図の濃縮装置は、溶液を微細な粒子のミストに噴霧する複数のノズル1と、ノズル1から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器2と、この気体供給器2で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機3とを備える。さらに、図の濃縮装置は、ノズル1から噴霧する溶液を加圧状態でノズル1に供給するポンプ4を備えている。さらに、図3、図5及び図6の濃縮装置は、ノズル1から噴射する溶液を、冷却してノズル1に供給する冷却機構5も備える。溶液を冷却機構5で冷却してノズル1から噴霧する装置は、高濃度に低沸点成分を分離できる特徴がある。ただ、本発明の濃縮装置は、図4に示すように、冷却機構を設けることなく、溶液をノズル1に供給することもできる。さらに、図3、図4、及び図6の濃縮装置は、分離機3をサイクロン30とするが、分離機3には、図5に示すように、サイクロンに代わってデミスター40なども使用できる。
【0026】
ポンプ4は、溶液を加圧してノズル1に供給する。ポンプ4が加圧する圧力を高くして、ノズル1から噴射されるミストの平均粒径を小さくできる。ただ、ミストの平均粒径は、ポンプから供給される溶液の圧力のみでなく、ノズルの構造によっても変化する。このことから、ポンプが溶液を加圧してノズルに供給する圧力は、ノズルの構造や要求されるミストの粒径を考慮して最適値に設定されるが、好ましくは0.1MPa以上、好ましくは0.2MPa以上、さらに好ましくは0.3MPa以上とする。ポンプがノズルに供給する溶液の圧力が高いと、ポンプが高価になると共に、ポンプを運転するモータの消費電力が大きくなってランニングコストが高くなる。したがって、ポンプがノズルに供給する溶液の圧力は、たとえば1MPa以下、好ましくは0.8MPa以下、さらに好ましくは0.7MPa以下とする。アルコール水溶液や不凍液を濃縮する装置にあっては、ポンプが溶液を加圧してノズルに供給する圧力は、好ましくは0.3MPa〜0.6MPaとする。
【0027】
ノズル1は、加圧状態で供給される溶液を微粒子の状態でミストに霧化して噴射する。ノズル1は、搬送気体中に溶液をミストとして噴霧してミスト混合気体とする。このミスト混合気体は、分離機3のサイクロン30またはデミスタ40に供給されて分離される。
【0028】
図7は、複数のノズル1が搬送気体中に溶液をミストに噴霧する構造を示している。搬送気体は、気体供給器2でノズル1に供給される。図7の気体供給器2は、搬送気体を加圧して圧送する気体加圧機6を備える。気体加圧機6は、有圧ファン又はポンプである。この気体加圧機6から圧送される搬送気体は、各々のノズル1の近傍に配設している複数の開口部9から噴出される。図7と図8は、複数のノズル1に搬送気体を供給する複数の開口部9をノズル1の近傍に設けて、各々の開口部9から供給される搬送気体に複数のノズル1がミストを噴霧するミスト混合気体の生成ダクト7を示している。この生成ダクト7は、内部に閉塞プレート8を設けて、流入側と排出側とに区画している。閉塞プレート8には、複数のノズル1を縦横に並べて固定している。ノズル1は、排出側にミストを噴霧するように閉塞プレート8に固定している。さらに、閉塞プレート8は、各々のノズル1に搬送気体を供給するように、各々のノズル1の近傍に貫通孔からなる開口部9を設けている。この図に示すように、各々のノズル1にひとつの開口部9を設ける構造は、各々のノズル1からミストを新鮮な搬送気体中に噴霧できるので、低沸点成分を効率よく搬送気体に気化できる。
【0029】
さらに、図9に示すように、ひとつのノズル1の周囲に複数の開口部9を設ける構造は、ノズル1から噴霧されるミストの低沸点成分を、より効率よく搬送気体中に気化できる。図9の生成ダクト17は、閉塞プレート18に複数のノズル1を縦横に並べて固定すると共に、各ノズル1の周囲に4個の貫通孔である開口部9を等間隔に開口して設けている。開口部9は、ここから噴射する搬送気体でもって、各々のノズル1から噴霧されるミストを新鮮な、すなわち別のノズル1から噴霧されたミストで飽和状態とならない新鮮な搬送気体中に噴霧して、ミストの低沸点成分を効率よく気化させるものである。すなわち、複数のノズル1に、複数の開口部9から搬送気体を供給するのは、各々のノズル1から噴霧されるミストを新鮮な搬送気体中に噴霧してミストの低沸点成分を効率よく気化させるためである。したがって、複数の開口部9は、必ずしも全てのノズル1の近傍に設ける必要はなく、たとえば、図10に示すように、隣接するノズル1の間に設けて、各々のノズル1に新鮮な搬送気体を供給することもできる。図の生成ダクト27は、閉塞プレート28に複数のノズル1を縦横に並べて固定すると共に、縦横に隣接して配置されるノズル1の間に貫通孔である開口部9を開口して設けている。
【0030】
さらに、開口部は、必ずしも複数設ける必要はない。図11は、各々のノズル1に搬送気体を供給するスリット状の開口部39を設けて、スリット状の開口部39から供給される搬送気体中に複数のノズル1がミストを噴霧するようにしている。図11は、隣接するノズル1の間にスリット状の開口部39を開口している。この生成ダクト37は、複数のノズル1を固定している閉塞プレート38にスリット状の開口部39を設けている。スリットの開口部39は細長いので、ひとつで複数のノズル1に新鮮な搬送気体を供給できる。したがって、スリット状の開口部39は、ひとつで複数のノズル1に新鮮な搬送気体を供給できるが、ノズル1を縦横に並べて複数個設ける構造は、隣接するノズル1の間に、一列ないし複数列のスリット状の開口部39を設けて、各々のノズル1に新鮮な搬送気体を供給できる。
【0031】
さらに、図6は、ノズル1に、溶液と搬送気体の両方を噴射する2流体ノズル41を使用する。2流体ノズル41は、ポンプ4から供給される溶液を、気体加圧機6から供給される搬送気体でミストに霧化して噴霧する。2流体ノズル41は、溶液を必ずしも加圧して供給する必要はなく、搬送気体で溶液をミストに噴霧することができる。図12の断面図に示す2流体ノズル41は、供給される溶液を搬送気体でミストに噴霧する。2流体ノズル41は、搬送気体で溶液をミストに霧化して噴霧するので、ミストの低沸点成分を効果的に搬送気体に気化できる。ノズルを2流体ノズル41とする濃縮装置は、必ずしも複数のノズルを使用する必要はないが、複数の2流体ノズルからミストを噴霧して、処理能力を大きくできる。
【0032】
以上の図の濃縮装置は、搬送気体を循環して使用する。この構造の濃縮装置は、搬送気体に水素、ヘリウム、窒素等のガスを使用する。濃縮装置は、好ましくは、搬送気体として、水素又はヘリウムを使用する。ただ、搬送気体は、水素とヘリウムを混合したガス、水素と空気の混合ガス、ヘリウムと空気の混合ガス、あるいはまた、水素とヘリウムと空気の混合ガスとすることもできる。さらに、搬送気体として、不活性ガスを使用することもできる。
【0033】
搬送気体を循環して使用する濃縮装置は、搬送気体を外部に排気しないので、溶液が外部に漏れることがない。また、水素やヘリウムなどを使用してランニングコストを低減できる。ただし、本発明の濃縮装置は、搬送気体をこれらの気体に特定するものではなく、空気を使用することもできる。空気は循環する状態で使用し、あるいは循環させないで使用することもできる。循環させない濃縮装置は、新鮮空気を気体供給器で吸入して、開口部からノズルの近傍に供給する。
【0034】
図3、図5、及び図6の冷却機構5は、ノズル1に供給する溶液を冷却する。さらに、図の冷却機構5は、冷却する熱エネルギーでもって、搬送気体を加温している。図3、図5、及び図6の冷却機構5は、冷媒の気化熱と凝縮熱で熱交換器を冷却又は加温している。この冷却機構5は、気化された冷媒を加圧するコンプレッサ21と、このコンプレッサ21で加圧された気体状の冷媒の熱を放熱して液化させる加温熱交換器22と、加温熱交換器22で液化された冷媒を断熱膨張させる膨張弁23と、この膨張弁23から供給される冷媒を内部で気化して気化熱で溶液を冷却する冷却熱交換器24とを備える。
【0035】
図3と図6の濃縮装置は、溶液の移送配管26に冷却熱交換器24を熱結合して、冷却熱交換器24でもって移送配管26を介して溶液を冷却する。この構造は冷却熱交換器24で速やかに溶液を冷却できる。また、図5に示す濃縮装置は、冷却熱交換器24をポンプ4が吸入する溶液を貯溜する溶液タンク14に配設している。この冷却機構5は、溶液タンク14の溶液中に冷却熱交換器24を配設して溶液を冷却する。以上の冷却熱交換器24は、溶液を凝固しない温度、たとえば0℃ないし20℃に冷却する。溶液を冷却する温度を低くして、サイクロン30から上方に排出される第1の排気成分を高濃度にできる。したがって、たとえばアルコール水溶液を濃縮する装置にあっては、溶液を冷却する温度を低くして、サイクロン30から上方に排出されるアルコール濃度を高くできる。また、氷点降下剤を含む不凍液にあっては、サイクロン30から上方に排出される水に含まれる氷点降下剤の濃度を低く、いいかえると水の濃度を高くできる。
【0036】
さらに、図3、図5、及び図6の濃縮装置は、加温熱交換器22を搬送気体の移送ダクト24に熱結合して、加熱熱交換器22でもって、移送ダクト25を介して搬送気体を加温する。搬送気体は、温度を高くすることで、ノズルから噴霧されるミストの気化効率を高くできる。搬送気体の温度が高くなると、空気中に含むことができるガス量が増加するからである。加温熱交換器22は、搬送気体を25〜30℃に加温する。ただし、加温熱交換器22は、搬送気体を15〜40℃に加温することもできる。
【0037】
分離機3のサイクロン30は、供給されるミストを遠心分離する。したがって、サイクロン30は、ミストを含む搬送気体を接線方向に流入させる。図3、図4、及び図6のサイクロン30は、流入口31と、遠心力で外側に加速されて内面に沿って落下する第2の排気成分を排出する下方排出口32と、中心に集まる第1の排気成分を上方に排気する上方排出口33とを有する。サイクロン30は、流入口31から流入されるミストを内部で回転して遠心分離する。サイクロン30の内部で回転されるミストは、粒径によって遠心力が異なる。ミストが受ける遠心力は、ミストの質量に比例する。したがって、粒径が大きいミストは、大きな遠心力を受けてサイクロン30の内面に移動し、内面に沿って落下して下方排出口32から排出される。小さいミストやミストから気化された気体は質量が小さく、中心に集められて上方排出口33から排出される。
【0038】
また、図5に示す分離機3のデミスター40は、ミストを含む搬送気体を通過させる状態で、粒径が大きいミストを衝突させて、大きく凝集して溶液として落下させ、粒径の小さいミストやミストから気化された気体を通過させて、上方から排出して分離する。さらに、分離機には、サイクロンやデミスター以外にも、供給されるミスト混合気体を粒径や質量で分離できる他の全てのもの、たとえば、吸着剤等も使用できる。
【0039】
したがって、エチレングリコール等の氷点降下剤を含む不凍液をノズル1でミストに霧化して搬送気体でサイクロン30に供給すると、ミストに含まれる水は搬送気体中に気化されて上方排出口33から排出され、水よりも気化し難いエチレングリコールなどの氷点降下剤はミストの状態で状態で下方排出口32から排出される。水がエチレングリコールなどの氷点降下剤よりも気化しやすいからである。したがって、上方排出口33から排出される第1の排気成分は、氷点降下剤の濃度が低く、下方排出口32から排出される第2の排気成分は、氷点降下剤の濃度が高くなる。したがって、第1の排気成分を水中にバブリングすることで搬送気体を水と氷点降下剤から分離できる。水と氷点降下剤の分離された搬送気体は、サイクロン30に循環できる。下方排出口32から排出される第2の排気成分は氷点降下剤の濃度が高いので、これを溶液タンク16に循環して氷点降下剤の濃度を濃縮できる。図4の濃縮装置は、第1の排気成分をバブリングする水タンク15を備えており、この水タンク15に第1の排気成分をバブリングして、搬送気体から水と氷点降下剤を除去する。水タンク15で水と氷点降下剤の分離された搬送気体は、気体加圧機6であるコンプレッサや有圧ファンなどでノズル1からサイクロン30に循環される。図4の濃縮装置は、不凍液のように溶媒である水よりも気化し難い溶質である氷点降下剤を濃縮するのに適している。
【0040】
溶媒よりも気化しやすい溶質を濃縮する装置、たとえばアルコール水溶液からアルコールを濃縮する装置は、サイクロン30の上方排出口33から排出される搬送気体に含まれるアルコールを凝集、分離して濃縮できる。アルコール水溶液をミストに霧化してサイクロン30に供給すると、ミストに含まれるアルコールは搬送気体中に気化されて上方排出口33から排出される。気化されない水は、ミストの状態で下方排出口32から排出される。したがって、上方排出口33から排出される第1の排気成分からアルコールを回収して高濃度なアルコールが得られる。
【0041】
アルコール水溶液のように、溶媒の水よりも気化しやすいアルコールなどの溶質を濃縮する装置を図3、図5、及び図6に示す。これらの濃縮装置は、サイクロン30の上方排出口33、またはデミスター40の上方から排出される第1の排気成分を回収する回収部50を備える。回収部50は、第1の排気成分を凝集して、搬送気体から分離して回収する。したがって、この回収部には、第1の排気成分である低沸点成分を凝集させて回収できるすべての構造であって、現在すでに開発され、あるいは今後開発されるすべての構造が使用できる。回収部は、たとえば、流入される搬送気体に含まれるアルコール等の成分を冷却しながら凝集させて溶液として回収することができ、あるいは、搬送気体に含まれるアルコール等の成分を吸着剤に吸着させて回収することができる。
【0042】
搬送気体を冷却してアルコールを回収する回収部は、図示しないが、搬送気体を冷却してアルコールを凝集させる冷却用熱交換器を内蔵する。この冷却用熱交換器は、熱交換パイプに冷却用の冷媒や冷却水を循環させて、搬送気体を冷却することができる。冷却用熱交換器は、熱交換パイプにフィンを固定して、熱交換の効率をよくできる。この回収部は、流入される搬送気体に含まれるアルコール成分を冷却用熱交換器で冷却しながら大きく凝集させて、溶液として回収する。
【0043】
アルコールを吸着剤に吸着させて回収する回収部は、図示しないが、吸着剤に吸着されたアルコールを加熱された回収気体で排出し、回収気体を冷却して排出されたアルコールを結露させて回収することができる。この回収部は、たとえば、空隙に吸着剤を設けているローターと、このローターを回転させる回転駆動機構とで構成することができる。ローターは、回転軸の方向に気体を通過できる空隙を有するハニカムローターである。吸着剤には、たとえば、ゼオライト、活性炭、酸化リチウム、シリカゲルのいずれか、もしくはこれらの混合物が使用できる。この回収部は、回転駆動機構でローターを所定の速度で回転させて、アルコールを吸着させる吸着領域と、吸着したアルコールを排出する再生領域とに移動させる。ローターが吸着領域に移動されると、アルコールを含む搬送気体が空隙に通過されて、搬送気体に含まれるアルコールが吸着剤に吸着される。ローターが回転して再生領域に移動されると、吸着したアルコールを排出する。排出されたアルコールは、回収気体を冷却して回収される。ローターの吸着領域を通過した搬送気体は、再び気体供給器に供給される。
【0044】
さらに、図6に示す濃縮装置は、分離機3であるサイクロン30の上方排出口33から排出される第1の排気成分を、さらに複数のサイクロンで分離して、排出されるアルコール濃度を高くしている。とくに、図の装置は、この工程を繰り返すことにより、より高濃度のアルコールを回収する構造としている。図6の濃縮装置は、ノズル1からミストが供給されるサイクロン30の上方排出口33から排出される第1の排気成分を、複数の2次サイクロン30Aに供給している。この2次サイクロン30Aは、ノズル1からミストが供給されるサイクロン30よりも数を多くして、供給されるミスト混合気体の流量を少なくしている。したがって、この2次サイクロン30Aには、ノズル1からミストが供給されるサイクロン30よりも容積の小さいものを使用している。2次サイクロン30Aに供給された第1の排気成分は、各々の2次サイクロン30Aで遠心分離されて、2次サイクロン30Aの上方排出口33Aから第2次の排気成分が排出される。さらに、図に示す濃縮装置は、2次サイクロン30Aの上方排出口33Aから排出される第2次排気成分を、さらに、複数の3次サイクロン30Bに供給している。3次サイクロン30Bは、2次サイクロン30Aよりも数を多くして、供給されるミスト混合気体の流量をさらに少なくしている。したがって、この3次サイクロン30Bには、2次サイクロン30Aよりもさらに容積の小さいものを使用している。3次サイクロン30Bに供給される第2次排気成分は、各々の3次サイクロン30Bで遠心分離されて、3次サイクロン30Bの上方排出口33Bから第3次排気成分が排出される。このように、サイクロンの上方排出口から排出される排気成分を繰り返し分離することにより、排出成分におけるアルコール濃度を高くしている。とくに、この濃縮装置は、1次のサイクロン30による分離工程から、2次サイクロン30Aによる分離工程、さらには3次サイクロン30Bによる分離工程と、複数の分離工程を繰り返すことにより、サイクロンに供給する流量を少なくして、ミスト混合気体の流速を遅くできるので、より高濃度にアルコールを分離できる特徴がある。
【0045】
ここで、図13は、分離機に供給される濃度10%のアルコール溶液の温度に対する、ミスト混合気体の風量と、排出される排出気体中のアルコール濃度の関係を表している。このグラフで示すように、供給するミスト混合気体の温度が低いほど、排出される排出気体中のアルコール濃度は高くなる。このことからも、図3、図4、及び図6に示す濃縮装置のように、ノズル1に供給する溶液を冷却機構5で冷却することで、効率よくアルコールを分離して濃縮できることがわかる。また、このグラフで示すように、供給するミスト混合気体の風量が小さくなるにつれて、排出される排出気体中のアルコール濃度が高くなることが分かる。したがって、図6に示す濃縮装置のように、サイクロンで分離する工程を繰り返しながら、複数のサイクロンを使用して、供給するミスト混合気体の流量を少なくして風量を小さくすることで、より効率よく排出気体中のアルコール濃度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の溶液の濃縮装置の概略構成図である。
【図2】従来の溶液の濃縮装置が複数のノズルから溶液をミストに噴霧する状態を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる溶液の濃縮装置の概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる溶液の濃縮装置の概略構成図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかる溶液の濃縮装置の概略構成図である。
【図6】本発明の他の実施例にかかる溶液の濃縮装置の概略構成図である。
【図7】複数のノズルが搬送気体中に溶液をミストに噴霧する構造を示す概略斜視図である。
【図8】複数のノズルと複数の開口部の配列の一例を示す図である。
【図9】複数のノズルと開口部の配列の他の一例を示す図である。
【図10】複数のノズルと複数の開口部の配列の他の一例を示す図である。
【図11】複数のノズルとスリット状の開口部の配列の一例を示す図である。
【図12】2流体ノズルの一例を示す概略断面図である。
【図13】アルコール溶液の温度に対するミスト混合気体の風量と排出気体中のアルコール濃度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1…ノズル
2…気体供給器
3…分離機
4…ポンプ
5…冷却機構
6…気体加圧機
7…生成ダクト
8…閉塞プレート
9…開口部
14…溶液タンク
15…水タンク
17…生成ダクト
18…閉塞プレート
21…コンプレッサ
22…加温熱交換器
23…膨張弁
24…冷却熱交換器
25…移送ダクト
26…移送配管
27…生成ダクト
28…閉塞プレート
30…サイクロン 30A…2次サイクロン
30B…3次サイクロン
31…流入口
32…下方排出口
33…上方排出口 33A…上方排出口
33B…上方排出口
37…生成ダクト
38…閉塞プレート
39…開口部
40…デミスター
41…2流体ノズル
50…回収部
91…超音波霧化室
92…蒸発室
93…凝集器
94…冷却熱交換器
95…加温熱交換器
96…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を微細な粒子のミストに噴霧する複数のノズル(1)と、ノズル(1)から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器(2)と、この気体供給器(2)で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機(3)とを備える濃縮装置であって、
前記気体供給器(2)が、複数のノズル(1)に搬送気体を供給する複数の開口部(9)を有し、複数の開口部(9)から供給される搬送気体中に複数のノズル(1)がミストを噴霧する溶液の濃縮装置。
【請求項2】
各々のノズル(1)に搬送気体を供給するように複数の開口部(9)を設けている請求項1に記載される溶液の濃縮装置。
【請求項3】
溶液を微細な粒子のミストに噴霧する複数のノズル(1)と、ノズル(1)から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器(2)と、この気体供給器(2)で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機(3)とを備える濃縮装置であって、
前記気体供給器(2)が、各々のノズル(1)に搬送気体を供給するスリット状の開口部(39)を有し、スリット状の開口部(39)から供給される搬送気体中に複数のノズル(1)がミストを噴霧する溶液の濃縮装置。
【請求項4】
隣接するノズル(1)の間に開口部(9)、(39)を設けている請求項1又は3に記載される溶液の濃縮装置。
【請求項5】
溶液を微細な粒子のミストに噴霧するノズル(1)と、ノズル(1)から噴霧されるミストに搬送気体を供給してミストを含むミスト混合気体として移送する気体供給器(2)と、この気体供給器(2)で移送されるミスト混合気体が供給されて低沸点成分と高沸点成分とを分離する分離機(3)とを備える濃縮装置であって、
前記ノズル(1)が溶液と搬送気体の両方を噴射する2流体ノズル(41)で、前記気体供給器(2)が2流体ノズル(41)に搬送気体を供給して、ノズル(1)がミスト混合気体を噴霧する溶液の濃縮装置。
【請求項6】
前記分離機(3)がサイクロン(30)で、サイクロン(30)の上方排出口(33)から排出される搬送気体に含まれる低沸点成分を分離して濃縮する請求項1、3、5のいずれかに記載される溶液の濃縮装置。
【請求項7】
前記分離機(3)がデミスター(40)で、搬送気体に含まれる低沸点成分を分離して濃縮する請求項1、3、5のいずれかに記載される溶液の濃縮装置。
【請求項8】
前記ノズル(1)から噴霧する溶液を冷却してミストに噴霧することを特徴とする請求項1、3、5のいずれかに記載される溶液の濃縮装置。
【請求項9】
前記ノズル(1)から噴霧する溶液を冷却する熱エネルギーでもって、前記搬送気体を加温する請求項8に記載される溶液の濃縮装置。
【請求項10】
濃縮される前記溶液がアルコール水溶液、不凍液、石油のいずれかである請求項1、3、5のいずれかに記載される溶液の濃縮装置。
【請求項11】
前記搬送気体が、水素、アルゴン、メタンのいずれかを含む請求項1、3、5のいずれかに記載される溶液の濃縮装置。
【請求項12】
前記溶液が水と氷点降下剤を含む不凍液で、サイクロン(30)から上方に排出される第1の排気成分を水中にバブリングして氷点降下剤を水に溶解して分離して排気し、サイクロン(30)から下方に排出される第2の排気成分をノズル(1)から噴射する溶液に循環して不凍液を濃縮する請求項6に記載される溶液の濃縮装置。
【請求項13】
前記溶液がアルコール水溶液で、サイクロン(30)から上方に排出される第1の排気成分を凝集、分離して濃縮されたアルコールを回収する請求項6に記載される溶液の濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−297638(P2009−297638A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154290(P2008−154290)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(597064469)株式会社 本家松浦酒造場 (4)
【Fターム(参考)】