説明

溶液中でのグラフト重合により得られる、ポリエーテルに基づく固体形態のコポリマーの調製方法

固体形態のコポリマーの調製方法であって、該コポリマーが、30〜80重量%のN-ビニルラクタム、10〜50重量%の酢酸ビニルおよび10〜50重量%のポリエーテル(ただし、i)、ii)およびiii)の合計は100重量%である)の混合物の、少なくとも1種の溶媒の存在下でのフリーラジカル的に開始される重合により得られ、押出機を用いて重合混合物から溶媒を除去することを特徴とする、上記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微水溶性(slightly water-soluble)の物質の可溶化剤として使用するための固体コポリマーの調製方法であって、該コポリマーが、ポリエーテルの存在下で酢酸ビニルおよびN-ビニルラクタムを重合することにより溶液として得られる上記方法に関する。さらに、本発明は、上記コポリマーおよび微水溶性の物質からの固溶体の調製方法に関する。
【0002】
対応するコポリマーは、上記したように、微水溶性の物質の可溶化剤として使用するのに好適である。
【背景技術】
【0003】
特に生物活性物質の均一な調製物の製造において、疎水性の、すなわち微水溶性の物質の可溶化が、実用上非常に重要になってきている。
【0004】
可溶化は、特定の溶媒、特に水に微溶性(slightly soluble)または不溶性の物質を、表面活性化合物、可溶化剤により溶解性にすることを意味する。このような可溶化剤は、水中で低い溶解度またはゼロの溶解度を有する物質を、これらの物質の化学的構造を変えることなく、透明またはせいぜい乳白色の水溶液に変換することができる(Roempp Chemie Lexikon, 9th edition, Vol. 5, p. 4203, Thieme Verlag, Stuttgart, 1992を参照)。
【0005】
生成される可溶化産物(solubilizate)は、水中で低い溶解度またはゼロの溶解度を有する物質が、水溶液中に形成される表面活性化合物の分子の凝集体、例えば疎水性の領域またはミセル中で、コロイド溶液の形態にあることを特徴としている。得られる溶液は、光学的に透明または乳白色に見える、安定なまたは準安定な単相系である。
【0006】
可溶化剤は、例えば、化粧品製剤および食品調製物の外観を、その製剤を透明にすることにより改善することができる。医薬調製物の場合、可溶化剤の使用による、バイオアベイラビリティー、さらには薬物の効果の増大もあり得る。
【0007】
製薬用薬物および化粧品活性物質に用いられる可溶化剤は、主に、エトキシル化ヒマシ油またはエトキシル化水添ヒマシ油、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルまたはエトキシル化ヒドロキシステアリン酸などの界面活性剤である。
【0008】
しかしながら、上記した今日用いられている可溶化剤は、使用した場合に多くの技術的な欠点を示す。
【0009】
既知の可溶化剤の可溶化効果は、例えばクロトリマゾールなどの微溶性薬物に対しては、低い効果でしかない。
【0010】
EP-A 876 819には、少なくとも60重量%のN-ビニルピロリドンと長鎖アルキル基を有するアミドまたはエステルとのコポリマーの使用が記載されている。
【0011】
EP-A 948 957には、例えばアクリル酸などのモノエチレン系不飽和カルボン酸と例えばC8-C30-アルキル基を有する不飽和カルボン酸のN-アルキル-もしくはN,N-ジアルキルアミドなどの疎水性に改変されたコモノマーとのコポリマーの使用が記載されている。
【0012】
DE-A 199 350 63には、ビニルラクタムおよび酢酸ビニルを基にしたポリアルキレンオキシド含有グラフトポリマー、ならびにそのガス水和物抑制剤(gas hydrate inhibitor)としての使用が開示されている。
【0013】
EP-A 953 347には、可溶化剤としてのポリアルキレンオキシド含有グラフトポリマーの使用が開示されている。この中で記載されている酢酸ビニルおよびポリアルキレンオキシドから構成されるグラフトポリマーは、粉末ではなく粘着質の液体であることが多く、このことが使用中に技術的欠点となる。
【0014】
可溶化剤に対するさらに望ましい要件は、微溶性物質と共にいわゆる「固溶体」を形成することができることである。用語「固溶体」は、物質が、固体マトリクス、例えばポリマーマトリクス中で、微粒分散体(microdispersion)または理想的な場合分子分散体の形態である状態をさす。このような固溶体は、例えば微溶性活性成分の固体医薬剤形中に使用した場合、活性成分の改善された放出をもたらす。重要な要件は、このような固溶体が長期保存された場合にも安定である、すなわち活性成分が晶出しないことである。同様に重要なことは、固溶体の容量、換言すれば、最大含有量の活性成分と共に安定な固溶体を形成する能力である。
【0015】
固溶体の形成においては、可溶化剤の固溶体を形成する基本的な能力だけでなく、可溶化剤の吸湿性も重要な役割を果たす。周囲空気から水を吸収し過ぎる可溶化剤は、固溶体の液化および活性成分の望ましくない結晶化をもたらす。過剰な吸湿性は、剤形への加工においても問題を引き起こす。
【0016】
多くの既知のポリマー性可溶化剤は、安定な固溶体を形成しないという欠点を有する。水系における可溶化に関しては更なる改良の余地がある。既知の可溶化剤のいくつかは、十分に自由流動性(free-flowing)である粉末をもたらさないため、その粘着傾向により加工性に関しても欠点を有する。
【0017】
WO 2007/051743には、
i)30〜80重量%のN-ビニルラクタム、
ii)10〜50重量%の酢酸ビニル、および
iii)10〜50重量%のポリエーテル
(ただし、i)、ii)およびiii)の合計は100重量%である)
の混合物のフリーラジカル重合、特に溶液重合により得られる水溶性または水分散性のコポリマーを、可溶化剤として、医薬品、化粧品、食品技術、農業技術または他の産業に適用するために使用することが開示されている。このようなグラフトポリマーを使用することにより、上記欠点を示さない可溶化剤を提供することが可能となった。
【0018】
今日知られている、重合溶液から溶媒を除去する方法は、凍結乾燥するか、または噴霧乾燥することであった。これらの処理は、本発明の場合におけるプロセス工学的および/または経済的な観点からは満足できるものではなかった。特に有機溶媒中の溶液重合の場合、噴霧乾燥の前に有機溶媒を水により置換すること、または有機溶液から噴霧する間より入念な安全技術を用いて行うことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】EP-A 876 819
【特許文献2】EP-A 948 957
【特許文献3】DE-A 199 350 63
【特許文献4】EP-A 953 347
【特許文献5】WO 2007/051743
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Roempp Chemie Lexikon, 9th edition, Vol. 5, p. 4203, Thieme Verlag, Stuttgart, 1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の一つの目的は、重合後に得られる溶液から上記グラフトコポリマーを固体形態に変換する、改良された方法であった。更なる目的は、更なる成分、特に微水溶性の活性物質を配合することを可能にすることであった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
従って、固体形態のコポリマーを調製する方法が見い出され、ここで、該方法においてコポリマーは、
i)30〜80重量%のN-ビニルラクタム、
ii)10〜50重量%の酢酸ビニル、および
iii)10〜50重量%のポリエーテル
(ただし、i)、ii)およびiii)の合計は100重量%である)の混合物を少なくとも1種の溶媒の存在下でフリーラジカル重合することにより得られ、また該方法は、押出機を用いて重合混合物から溶媒を除去することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の方法の一実施形態では、少なくとも1種の更なる成分、好ましくは活性物質を、溶媒を除去する前またはその間に加える。
【0024】
本発明の一実施形態では、好ましいポリマーは:
i)30〜70重量%の N-ビニルラクタム、
ii)15〜35重量%の酢酸ビニル、および
iii)10〜35 重量%のポリエーテル
から得られ、
また特に好ましいポリマーは:
i)40〜60重量%のN-ビニルラクタム、
ii)15〜35重量%の酢酸ビニル、および
iii)10〜30重量%のポリエーテル
から得られる。
【0025】
非常に特に好ましいポリマーは:
i)50〜60重量%のN-ビニルラクタム
ii)25〜35重量%の酢酸ビニル、および
iii)10〜20重量%のポリエーテル
のポリマーである。
【0026】
成分i)、ii)およびiii)の合計は100重量%であるという但し書きは、好ましい組成および特に好ましい組成にも適用される。
【0027】
N-ビニルカプロラクタムもしくはN-ビニルピロリドンまたはそれらの混合物がN-ビニルラクタムとして好適である。N-ビニルカプロラクタムが好ましく使用される。
【0028】
ポリエーテルがグラフト塩基として使用される。好適なおよび好ましいポリエーテルは、ポリアルキレングリコールである。ポリアルキレングリコールは、1000〜100000 D[ダルトン]、好ましくは1500〜35000 D、特に好ましくは1500〜10000 Dの分子量を有し得る。分子量は、DIN 53240記載されるように測定されたOH数に基づき決定される。
【0029】
ポリエチレングリコールが、好適で特に好ましいポリアルキレングリコールである。2-エチルオキシランまたは2,3-ジメチルオキシランから得られるポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフランまたはポリブチレングリコールも好適である。
【0030】
好適なポリエーテルは、例えば、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマーなどのエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから得られるポリアルキレングリコールのランダムまたはブロックコポリマーでもある。ブロックコポリマーは、ABまたはABA型であり得る。
【0031】
好ましいポリアルキレングリコールには、一方または両方の末端OH基上でアルキル化されたものも含まれる。好適なアルキル基は、分岐鎖状または直鎖状のC1-〜C22-アルキル基、好ましくはC1〜C18-アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシルまたはオクタデシル基である。
【0032】
本発明のグラフトコポリマーを調製する一般的な方法はそれ自体が公知である。調製は、非水有機溶媒または混合された非水/水性溶媒中でのフリーラジカル重合、好ましくは溶液重合により行う。
【0033】
好適な非水有機溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノールおよびイソプロパノールなどのアルコール、ならびにエチレングリコールおよびグリセロールなどのグリコールである。
【0034】
さらに好適な溶媒は、例えば、酢酸エチル、n-酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルまたは酢酸ブチルなどのエステルであり、酢酸エチルが好ましい。
【0035】
重合は、好ましくは60〜100℃の温度で行う。
【0036】
フリーラジカル開始剤は、重合を開始するために用いる。使用する開始剤または開始剤混合物の量は、用いるモノマーに基づき、0.01〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%である。
【0037】
使用する溶媒の性質に応じて、有機および無機過酸化物の両方、例えば、過硫酸ナトリウムまたはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2-アミドプロパン)二塩酸塩もしくは2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などのアゾ開始剤が好適である。
【0038】
ペルオキシド開始剤の例としては、ジベンゾイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、tert-ブチルペルピバレート、tert-ブチルペルエチルヘキサノエート、tert-ブチルペルネオデカノエート、tert-ブチルペルマレエート、ビス-(tert-ブチルペル)シクロヘキサン、tert-ブチルペルイソプロピル カーボネート、tert-ブチルペルアセテート、2,2-ビス(tert-ブチルペル)ブタン、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-アミルヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、p-メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素および上記開始剤の混合物が挙げられる。上記開始剤は、アスコルビン酸などの酸化還元成分と組み合わせて使用することもできる。
【0039】
特に好適な開始剤は、ペルネオデカノエート、tert-ブチルペルピバレートまたはtert-ブチルペルエチルヘキサノエートである。
【0040】
フリーラジカル重合は、適切な場合乳化剤の存在下で、適切な場合更なる保護コロイドの存在下で、適切な場合分子量調節剤の存在下で、適切な場合緩衝系の存在下で、そして適切な場合その後に塩基または酸を用いてpHを調整して行うことができる。
【0041】
好適な分子量調節剤は、アルキルメルカプタン、例えばn-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸およびそれらのエステルなどのスルフヒドリル化合物、メルカプトエタノールなどのメルカプトアルカノールである。さらに好適な調節剤は、例えばDE 197 12 247 A1の4頁に記載されるものである。分子量調節剤の必要量は、重合させるべき(コ)モノマーの量に基づき、0〜5重量%の範囲である。調節剤を使用する場合、使用する量は、特に0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲である。しかしながら、調節剤の非存在下での重合が非常に特に好ましい。
【0042】
適切な場合、乳化剤、例えばHLBが通常3〜13の範囲であるイオン性または非イオン性の界面活性剤を使用することもできる。HLBの定義に関しては、W.C. Griffin, J. Soc. Cosmetic Chem., Volume 5, 249 (1954)による文献を参照されたい。界面活性剤の量は、ポリマーに基づき、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%であり得る。
【0043】
モノマーまたはモノマー混合物またはモノマーのエマルジョンは、開始剤(一般に溶液中に存在する)と共に、撹拌反応器に重合温度で導入するか(バッチ工程)、あるいは適切な場合連続的にまたは複数の連続的な段階において重合反応器に計量投入する(フィード工程)。フィード工程においては、通常、重合を実際に開始する前に、(反応器の撹拌を可能にするための)溶媒の他に、重合する対象の部分量の、まれに総量の乳化剤、保護コロイド、モノマー、調節剤などの出発物質、または部分量のフィード(一般にモノマーフィードまたはエマルジョンフィードおよび開始剤フィード)も共に反応器に投入する。
【0044】
重合は、大気圧下および高圧下の両方において、閉鎖反応器内で行うことができる。さらに、重合は反応中設定した圧力で行うこともでき、あるいはガス注入または排出により圧力を設定することができる。更なる可能性としては、コンデンサへの反応器の部分減圧により圧力を制御することも挙げられる。
【0045】
重合に使用した非水溶媒は、その後蒸気蒸留により除去し、水で置換することができる。この場合、通常非水溶媒を最初に可能な限り純粋に留出させ、続いて蒸気中を通過させることにより完全に水で置換する。
【0046】
重合の後、重合混合物を、残留モノマーを減少させるための周知の方法により処理することができる。このような方法の例としては、重合の終わりに開始剤をさらに加えること、酸を加えることによりビニルラクタムモノマーを加水分解すること、ポリマー溶液をイオン交換体などの固相で処理すること、共重合しやすいモノマーに供給すること、膜濾過および更なる慣習的方法が挙げられる。
【0047】
このようにして得られる、ポリマー分散体または溶液の形態の重合混合物の固体含有量は、10〜80重量%であり得る。
【0048】
ポリマーの分散体または溶液は、本発明に従い、好ましくは溶融状態で押出機を用いて分散剤または溶媒を除去し、その溶融物を冷却することにより、固体形態に変換される。本発明の方法は、有機溶媒中の活性成分の溶液を用いて行うことが好ましい。よって、50〜80重量%、特に好ましくは60〜70重量%の固体含有量を有する溶液が好ましく使用される。
【0049】
本発明の方法の一実施形態では、ポリマー溶液またはポリマー分散体を押出機に導入し、この中で溶媒を加熱および混練しながら蒸発させ、押出機を通して輸送し続けるにつれて実質的に溶媒を含まない溶融物を生成させる。さらに好ましい変法では、少量の水を導入することにより、この溶融物から、残量の溶媒および残留モノマーならびに他の揮発性物質も除去する。このように単離されたポリマーは溶融物となり、続いて冷却され、粒状化され得る。ポリマーは一般に水溶性であるため、水を用いて冷却することにより熱可塑性溶融物を粒状化する通常の方法は、あまり好適ではない。一方、いわゆる熱間切断または空気もしくは保護ガス下での冷却を例えばテフロンまたはチェーンベルト上で行い、その後冷却された押出物を粒状化する。
【0050】
別の好ましい実施形態では、溶融ポリマーを更なる段階においてさらに処理することができる。例えば、この溶融物を好適な混合装置に導入し、活性成分および添加剤を供給することができる。好適な混合装置は、例えば第2の押出機、混練機、動的および静的混合機、ならびにそれらの組み合わせである。
【0051】
通常行う変法は、単離し、凝固させた上記のポリマーを融解し、粉末のまたは液体の活性成分または添加剤と混合することである。この場合の方法は、全ての成分を押出機の1以上のフィードポートに単独で、または混合物として計量投入し、混合中に一緒に融解し、次いで再度冷却して粒状化するような方法であり得る。または、ポリマーのみを融解し、活性成分および添加剤を1以上の時点で補助フィード(補助搬送スクリュー)を通して液体ポリマー溶融物に計量投入する。液体添加剤を、好適なポンプ(ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、ギアポンプ、偏心スクリューポンプ)を使用して押出機に簡便に送り込むこともできる。押出機スクリューは、好適な混合エレメントを適切に備えているべきである。好適な混合エレメントとして考えられる例としては、搬送および非搬送混練ブロック、歯状混合エレメント、有孔棒を備えるエレメント、ターボ混合(turbomixing)エレメント、刻み付き(knurled)混合エレメント、歯状ブロックなどが挙げられる。原則として、全ての市販の混合エレメント、特に液体中での混合を意図したものが好適である。
【0052】
別の好ましい実施形態では、ポリマー溶融物および活性物質は粒状化の前に一緒に混合される。
【0053】
本発明のさらに好ましい実施形態では、活性物質および適切な場合更なる成分の存在下で、乾燥ポリマーが得られる。この場合、活性物質および更なる成分をポリマーの溶液もしくは分散体または溶融ポリマーに直接入れ、得られた混合物を押出機に供給するか、または活性物質および任意の更なる成分を別個に押出機に導入することができる。例えば、活性物質を固体、スラリーまたは分散体として押出機に冷たい状態で導入し、ポリマー溶液を送り入れ、そして両方を一緒に脱気するか、あるいはポリマー溶液を加熱した押出機に導入、すなわちポンプで送り込み、初めに一定の割合の溶媒(例えば50〜95%)を蒸発させ、次いで後半の段階で活性成分を固体でまたはスラリーとして加え、溶媒および懸濁化剤を一緒に蒸発させるか、あるいはポリマー溶融物を水でストリッピングし、次いで活性成分を固体として加えることができる。または、水中の活性成分のスラリーを加え、この水をストリッピング剤として取り出す。適用する手順に応じて、押出機の構造、ならびにスクリューおよび周囲装置の準備は異なるべきである。このことは、選択した実施例により以下で説明する。
【0054】
活性成分含有ポリマーの調製方法:
原則として以下の方法IまたはIIを使用することができる。
【表1】

【0055】
本発明の方法に好適な押出機のタイプは、原則として当業者に既知の通常の押出機である。これらの通常の押出機は、ハウジング、変速機を備えた駆動装置、およびスクリューエレメントを備えた押出機シャフトからなる処理装置を含み、この場合モジュール構造が前提とされる。
【0056】
押出機は、特定の処理装置に各場合に配置されるべき複数のセクションからなる。これらのセクションはそれぞれ、最小の独立したユニットとしての1以上のバレル(セクション)、および処理タスクに適切なスクリューエレメントを備える関連性のあるスクリューセクションからなる。
【0057】
本発明の方法は、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機または多軸スクリュー押出機、例えば12-シャフト押出機において行うことができるが、二軸スクリュー押出機が好ましい。複数のスクリューは、同方向回転または逆方向回転、噛合型または緊密噛合型用に設計され得る。押出機は、好ましくは同方向回転かつ緊密噛合型用に設計されている。個々のバレルは加熱可能であるべきである。さらに、バレルは冷却、例えば水による冷却用に設計され得る。個々の押出機セクションは、押出しの方向に沿って異なる温度ゾーンを設定し得るように、独立に加熱および冷却可能であることが好ましい。
【0058】
スクリューは、押出し成形に慣用の全てのエレメントから構成され得る。それらは、従来の搬送エレメントだけでなく、混練ディスク、溶融物の流量制限器または逆搬送エレメントをも含み得る。個々の場合において好適なスクリューの形状は、目的の複雑性に依存する。
【0059】
比較的多量の溶媒を除去する本発明の目的のためには、特定の体積を有するスクリューを使用することが有益である。通常のコンパウンディングスクリューは内径と外径の比が1.1〜1.8の範囲にあることが特徴であるが、ここで本発明の目的のためには、Di/Deとして1.4〜1.8が好ましく、1.45〜1.8が特に好ましい。
【0060】
本発明に従って使用される押出機は、本質的に、次のセクションに分けられる。
ポリマー溶液の脱気のために、押出機は例えば次のセクションに分けられる。
【0061】
第1のゾーン:上部が開放されており、脱気もしくは保護ガスでのガス処理(gassing)のための一手段、あるいは活性成分または添加剤または中性ポリマーの供給口(feeding in)として機能する、押出機の内部を外部に対して遮断するためのセクションを備える。スクリューはこの領域に、通常の搬送エレメント、壁ならびに混練ブロックおよび逆搬送スクリューエレメントから構成される溶融ゾーンを備えている。
【0062】
この第1のゾーンの次にはポリマー溶液用の供給ゾーンが存在する。これは、取り外し式の蓋により閉鎖された、上部に開口部を有する複数のセクションからなる。目的および溶液の脱気挙動に応じて、注入バルブを備える蓋がこれらの開口部の1つの上に設置され、これを通してポリマー溶液がポンプを用いて注入される。スクリューはこの領域に、純粋な搬送エレメントまたは蒸発に好ましい表面更新を促進させるための混合および混練エレメントを有する。これにより、溶媒は蒸発し、例えば上部が開いている1〜2セクションを通して、圧力をわずかに減少させ(例えばatm〜400 mbar)、次の第1の脱気セクションにおいて除去される。当然に、原則として、側部に開口部を有するセクションも、生成物の特性がこれを許す限り(生成物の漏出)好適である。
【0063】
好ましい実施形態では、処理の運転安全性を改善するために、注入ノズルの後方に脱気開口部を備えることも有効であり、有用である。
【0064】
押出機へのポリマー溶液の計量投入は、ポンプを用い、加熱可能ラインを通して行う。ポリマー溶液は、冷たい状態で、または流動性を改善するために加熱して、または溶媒が押出機への導入時にほとんど瞬時に蒸発するように溶液の溶媒の融点よりも明確に高い温度に加熱して計量投入することができる。後者の手順が好ましい。
【0065】
第1の脱気ゾーンから除去された蒸気(溶媒蒸気)は排出され、凝結されて、再利用に回される。
【0066】
この第1の脱気ゾーンの次には、搬送スクリューエレメントの他に流量制限および逆搬送エレメントも有し、次の第2の脱気ゾーンから押出機チャンバーを遮断するための閉鎖されたハウジングユニットを備える領域が存在する。後者は、真空下で動作する、1以上の脱気開口部を有する複数のセクションからなる。この領域の圧力は、通常600〜20 mbarである。スクリューはこの領域に、搬送エレメントを有することが好ましいが、混練または混合エレメントを含むこともできる。
【0067】
この第2の脱気セクションの次には、必要な場合、同様の設計の更なる脱気セクションが存在し得る。これは、例えば溶液の脱気特性のために温度および真空がゆっくりとしか増加しない場合に必要であり得る。
【0068】
上記脱気セクションの最後の次には、押出機が1以上の注入開口部および適切な場合固体もしくは液体の、さらには溶融された添加剤の供給を可能にする手段も備えるセクションが存在する。ここで、例えば添加剤、さらには活性成分を、ほぼ完全に脱気されたポリマー溶融物に配合することができる。ここでスクリューは、混合および混練エレメントを有する。
この目的に好適なスクリューエレメントは、実施形態において多様である搬送および非搬送混練ブロックであり、さらには、搬送および逆搬送スクリューエレメント、および歯状混合エレメント、ターボ混合エレメントなどの特別な混合エレメント、歯状ブロックおよび特別な混練ブロックの組み合わせでもあり、これらは市販されている。
【0069】
多くの場合では、ここでのポリマー溶液/ポリマー分散体の脱気は99%を超えるが、まだ不十分である。従って、ハウジングまたは開放ハウジング内の遮蔽板に開けられた穴を通した注入のための、ポリマーのスループットに基づき0.1〜5%、好ましくは0.3〜2%の量のストリッピング剤、好ましくは水を、注入バルブおよび好適なポンプ(ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ)を通して供給する。この領域におけるスクリューエレメントは激しい撹拌を可能にする。好適なスクリューエレメントは、例えば歯状混合エレメント、狭い搬送および非搬送混練ディスク、溶融物-混合エレメント、ターボ混合エレメント、いわゆる刻み付き混合エレメントおよびその他であり、これらはこの領域において確実に高度に充填するために好適に流量制限されている。
【0070】
この混合ゾーンの次には、ストリッピング剤および残存する揮発性物質が除去される少なくとも1つの最後の脱気ゾーンが存在する。この領域の真空は特に良好であるべきであり、50 mbar〜2 mbarの範囲で変化し、これは、例えば蒸気ポンプを用いることにより達成される。
【0071】
この最終脱気ゾーンの次には、例えばダイストリップを通した、押出機からの排出部が存在する。
【0072】
しかしながら、押出機がここでのスクリュー上に供給開口部および適切な混合エレメントをまだ有している限り、原則として、この時点で活性成分および添加剤を溶融物に配合することも可能である。
【0073】
押出機のための温度は、温度が溶媒を蒸発させるのに十分であり、ポリマーおよび、適切な場合、添加剤および活性成分に対する熱損傷が排除されるように制御されることが理想的である。この場合、熱は、ハウジングの加熱、溶液自体を介して、および押出機スクリューを介した機械的エネルギーとして導入される。本発明により処理されたコポリマーのための温度は、100〜220℃、好ましくは110〜180℃、特に好ましくは120〜160℃である。理想的な温度範囲はポリマーに依存する。
【0074】
第2の処理段階において単離されたポリマーに添加剤および活性成分を供給することが望ましい場合、一般にはさらに単純な機械で十分である。
【0075】
ポリマーは、単独で、または添加剤と既に混合されて、または添加剤と同時に押出機のフィードポートに計量投入され(コールドフィード)、次いで搬送エレメントにより混練ブロックを備える溶融ゾーンへ搬送され、そこで可塑化され、強力混練により混合される。別の好ましい変法では、純粋なポリマーを溶融し、そして添加剤を、例えば補助投入機を通して、粉末または別の形態の固体として熱い溶融物に計量投入し、そこでポリマー流と十分に混合し、さらに均一に混合する。ポリマーを計量投入した後に、冷たい活性成分および添加剤を溶融ゾーン前方の押出機に計量投入することも可能であり、場合によってはこれが好ましい。この手順は、特定のタイプのフィードの問題を回避する。
【0076】
スループットは、使用するポリマー-溶媒系、除去すべき溶媒の量、所望の脱気効率および押出機のタイプに依存し、当業者は実験によりこれを適切に確認することができる。
【0077】
依然として可塑性の混合物は、好ましくはダイを通して押し出され、冷却され、ペレット化される。原則として、この目的ために慣用の全ての技術、例えば熱間切断または冷間切断がペレット化に好適である。
【0078】
押出物は、例えば回転ナイフまたは空気ジェットを用いて切断され、次いで空気冷却または保護ガス下で冷却される。
【0079】
押出物を、冷却されたベルト(ステンレス鋼、テフロン、チェーンベルト)上に溶融ストランドとして溶着し、凝固後に粒状化することもできる。
【0080】
次に、適切な場合、押出物を粉砕することができる。コポリマーを自由流動性(free-flowing)水溶性粉末として得る。粒子サイズは、20〜250μmに調整されることが好ましい。
【0081】
ポリマーは、1重量%エタノール溶液中で測定して、10〜60、好ましくは15〜40の範囲のフィケンチャー(Fikentscher)K値を有する。
【0082】
用途:
本発明により得られるコポリマーは、水中で低い溶解度またはゼロの溶解度を有する物質を水性調製物中で使用することが意図されるか、または水性媒体中で効果を呈することが意図される全ての領域で使用することができる。よって、コポリマーは、微水溶性の物質、特に生物活性物質の可溶化剤として使用される。
【0083】
本発明によれば、用語「微水溶性」には、実質的に不溶性の物質も含まれ、この用語は物質を20℃の水に溶解させるのに物質1g当たり少なくとも30〜100 gの水が必要であることを意味する。実質的に不溶性の物質の場合、物質1g当たり少なくとも10,000 gの水が必要である。
【0084】
本発明において、微水溶性の活性物質は、例えば、ヒトおよび動物に対する活性医薬成分、化粧品もしくは農薬活性物質または栄養補助食品もしくは栄養活性物質などの生物活性物質を意味する。
【0085】
可溶化に好適な更なる微溶性の活性物質は、無機または有機顔料などの着色剤でもある。
【0086】
本発明において、全ての好適な活性物質も活性成分と呼ぶ。
【0087】
本発明は、特に、医薬品および化粧品調製物ならびに食品調製物のための可溶化剤として使用するための両親媒性化合物を提供する。それらは、製薬および化粧品、微溶性栄養補助食品、例えばビタミンおよびカロテノイド、さらに作物保護剤において使用される微溶性活性物質および獣医学の活性成分の分野における微溶性活性成分を可溶化する特性を有する。
【0088】
化粧品のための可溶化剤:
コポリマーは、化粧品製剤中の可溶化剤として使用することができる。それらは例えば化粧品油の可溶化剤として好適である。これらは、ピーナッツ油、ホホバ油、ココナツ油、アーモンド油、オリーブ油、パーム油、ヒマシ油(castor oil)、大豆油もしくは小麦麦芽油などの脂肪および油、またはドワーフ・パイン油、ラベンダー油、ローズマリー油、トウヒ針葉油、マツ葉油、ユーカリ油、ペパーミント油、セージ油、ベルガモット油、テレビン油、メリッサ油、杜松油、レモン油、アニス油、カルダモン油、ショウノウ油などの精油、またはこれらの油の混合物に対して良好な可溶化能を有する。
【0089】
ポリマーは、水中で微溶または不溶であるUV吸収剤、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)M 40、BASFから)、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)D 50)、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)D49)、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)400)、2-エチルヘキシル2-シアノ3,3-ジフェニルアクリレート(Uvinul(登録商標)N 539)、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1,3,5-トリアジン(Uvinul(登録商標)T 150)、3-(4-メトキシベンジリデン)カンファー(Eusolex(登録商標) 6300、Merckから)、2-エチルヘキシルN、N-ジメチル-4-アミノベンゾエート(Eusolex(登録商標) 6007)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルサリチレート、4-イソプロピルジベンゾイルメタン(Eusolex(登録商標) 8020)、2-エチルヘキシルp-メトキシシンナメートおよびイソアミルp-メトキシシンナメート、ならびにそれらの混合物に対する可溶化剤としてもさらに使用できる。Mexoryl(登録商標)SX、SL、SOおよびSW、またはMexoryl XL(ドロメトリゾールトリシロキサン)なるブランド名でL'Orealから市販されているカンファー誘導体も同様に好適である。
【0090】
これらの製剤は、水または水/アルコールを基礎とする可溶化産物である。本発明の可溶化剤は、微溶性化粧品活性物質に対して、0.2:1〜20:1、好ましくは1:1〜15:1、特に好ましくは2:1〜12:1の割合で用いる。
【0091】
化粧品調製物中の本発明の可溶化剤の含有量は、1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%の範囲であり、活性物質に依存する。
【0092】
さらに、更なる助剤、例えばアルキルポリグリコシド、脂肪アルコールサルフェート、脂肪アルコールエーテルサルフェート、アルカンスルホネート、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪アルコールホスフェート、アルキルベタイン、ソルビタンエステル、POE-ソルビタンエステル、糖脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセロールエステル、脂肪酸部分グリセリド、脂肪酸カルボキシレート、脂肪アルコールスルホスクシネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸タウリネート、クエン酸エステル、シリコーンコポリマー、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノールアミド、四級アンモニウム化合物、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレートなどの非イオン性、カチオン性またはアニオン性の界面活性剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの共溶媒およびその他をこの製剤に加えることもできる。
【0093】
加え得る更なる成分には、天然または合成の化合物、例えばラノリン誘導体、コレステロール誘導体、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、電解質、着色剤、防腐剤、酸(例えば乳酸、クエン酸)がある。
【0094】
このような製剤は、例えば、バスオイル、アフターシェーブ、フェーストニック、ヘアートニック、オーデコロン、オードトワレなどの浴用剤や日焼け止め組成物中に用いられる。更なる使用の分野は、口腔ケアの分野であり、例えばマウスウォッシュ、練り歯磨き粉、義歯接着クリームなどの中に用いられる。
【0095】
このコポリマーは工業用途にも適しており、例えばトナー中の微溶性色素剤調製物、磁性顔料調製物などにも好適である。
【0096】
可溶化方法の説明:
本発明のコポリマーは、化粧品製剤のための可溶化産物を調製するのに、100%純粋な物質として、または、好ましくは、水溶液として用いることができる。
【0097】
通常、可溶化剤は、水に溶解され、そしてそれぞれの場合に用いるべき微溶性化粧品活性物質と激しく混合される。
【0098】
しかしながら、可溶化剤を、それぞれの場合に用いるべき微溶性化粧品活性物質と共に激しく混合し、その後、連続撹拌しながら脱イオン水を加えることもできる。
【0099】
医薬用途のための可溶化剤:
同様に、本発明のコポリマーは、水に微溶または不溶である1以上の薬物、ならびにビタミンおよび/またはカロテノイドを含み得るいずれのタイプの医薬調製物中にも可溶化剤として用いるのに好適である。この関連では、経口投与用の水溶液または可溶化産物は特に重要である。つまり、本発明のコポリマーは、錠剤、カプセル、粉末剤、溶液剤などの経口投与剤形中に用いるのに好適である。このようなものの中では、本コポリマーは、微溶性薬物のバイオアベイラビリティーを増加させることができる。活性成分と可溶化剤との固溶体が特に用いられる。
【0100】
非経口投与には可溶化剤のほかにエマルジョン、例えば脂肪質エマルジョンも用いることがあり得る。本発明のコポリマーは、そのような目的のための微溶性薬物を処理するのにも好適である。
【0101】
上記したタイプの医薬製剤は、本発明のコポリマーを活性医薬成分と共に従来の方法により処理することによって、そして既知および新規の活性成分を用いることで、得ることができる。本発明の製剤には、医薬賦形剤および/または希釈剤もさらに含まれ得る。特に言及される賦形剤は、共溶媒、安定化剤、防腐剤である。
【0102】
用いられる活性医薬成分は、水に不溶または難溶(sparingly soluble)のものである。DAB 9(German Pharmacopeia[ドイツ薬局方])によれば、活性医薬成分の溶解度は以下のように分類される:難溶(30〜100部の溶媒に可溶);微溶(100〜1000部の溶媒に可溶);実質的に不溶(10000部超の溶媒に可溶)。この関連で、活性成分は、いずれの表示範囲からのものであってよい。
【0103】
本発明で言及され得る例は、ベンゾジアゼピン、降圧剤、ビタミン、細胞増殖抑制剤 - 特にタキソール、麻酔薬、神経弛緩薬、抗鬱剤、例えば抗HIV活性を有する薬剤などの抗ウイルス活性を有する薬剤、抗生剤、抗真菌剤、抗認知症薬、殺菌剤、化学療法薬、泌尿器病薬、血小板凝集阻害薬、スルホンアミド、鎮痙薬、ホルモン、免疫グロブリン、血清、甲状腺治療薬、向精神薬、抗パーキンソン病薬および他の抗運動過剰症薬、眼科用薬、神経障害治療薬、カルシウム代謝調節剤、筋弛緩剤、麻酔薬、脂質低下薬、肝治療薬、冠状動脈治療薬、心臓病薬、免疫治療薬、調節ペプチドおよびその阻害剤、睡眠薬、鎮静薬、婦人科疾患治療薬、痛風治療薬、繊維素溶解薬、酵素製品および輸送蛋白、酵素阻害薬、催吐薬、血流刺激薬、利尿薬、診断支援薬、副腎皮質ステロイド薬、コリン作用薬、胆治療薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、β-受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、アテローム性動脈硬化症治療薬、抗炎症薬物、抗凝固薬、抗高血圧薬、抗低血糖症薬、降圧剤、抗繊維素溶解薬、抗癲癇薬、抗嘔吐薬、解毒薬、抗糖尿病薬、抗不整脈薬、抗貧血薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、鎮痛薬、強壮薬、アルドステロン拮抗薬、やせ薬である。
【0104】
1つの可能性のある製造の変法は、可溶化剤を、適切な場合穏やかに加熱しながら水相に溶解させ、そして続いて活性成分をこの可溶化剤水溶液に溶解させる方法である。同様に、可溶化剤と活性成分とを同時に水相に溶解させることもできる。
【0105】
また、本発明のコポリマーを可溶化剤として用い、例えば、活性成分を可溶化剤に、適切な場合加熱しながら分散させ、そして撹拌しながら水と混合することもできる。
【0106】
さらなる可能性としては、本発明の方法により得られる固体可溶化剤を、その後の押出しの段階において、活性成分と共に溶融物中で処理することができる。この方法では、特に、固溶体を得ることができる。固溶体を製造するためのさらなる可能性としては、好適な有機溶媒中可溶化剤および活性成分の溶液を調製し、続いてその溶媒を通常の方法により除去することもできる。
【0107】
したがって、本発明は、全体として、少なくとも1種の本発明のコポリマーを可溶化剤として含む、本発明の方法によって得られる医薬調製物にも関する。好ましい調製物は、可溶化剤のほかに、水に微溶または不溶である(例えば、上記した表示の部分から選択される)活性医薬成分を含む調製物である。
【0108】
上記したものの中でも特に好ましい医薬調製物は、経口投与することができる製剤である。
【0109】
医薬調製物中における本発明の可溶化剤の含有量は、1〜75重量%、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%であるが、活性成分に依存する。
【0110】
更なる特に好ましい実施形態は、活性成分と可溶化剤とが固溶体として存在しており、
溶媒が除去されており、活性物質が単一の処理段階で配合されている医薬調製物に関する。この場合、可溶化剤と活性成分の比は、好ましくは1:1〜4:1(重量)であるが、100:1以下、特に15:1以下でもよい。唯一重要なことは、完成医薬剤形における使用の際、第1には医薬剤形が有効量の活性成分を含むこと、および第2には経口医薬剤形の場合、剤形が過度に大きくならないことである。
【0111】
食品調製物のための可溶化剤:
化粧品および製薬での使用のほかにも、本発明のコポリマーは、例えば、脂溶性のビタミンまたはカロテノイドなどの、水に微溶または不溶である栄養物質、補助剤または添加物のための、食品分野における可溶化剤としても適している。言及され得る例は、カロテノイドで着色された飲料である。
【0112】
作物保護用調製物のための可溶化剤:
本発明のコポリマーの農薬中における可溶化剤としての使用には、とりわけ、殺害虫剤、除草剤、殺菌剤または殺虫剤を含む製剤、特に、噴霧または散水するための製剤として用いられる調製物が含まれ得る。
【0113】
このようにして得られるコポリマーは、特に良好な可溶化効果により区別される。これらは、微溶性物質と共にいわゆる固溶体を形成することもできる。本発明によれば、固溶体は、視覚的検査において微溶性物質のいかなる部分も明らかに結晶でない系をさす。さらに、安定な固溶体の視覚的検査において明らかに非晶質成分がない。視覚的検査は40×の倍率で光学顕微鏡を用いて行う。
【0114】
本発明の方法により、単純な方法で、重合溶媒を除去でき、またグラフトコポリマーを固体形態に変換することができる。さらに、本発明の方法により、活性物質を同時に配合して、固溶体を得ることができる。
【0115】
以下の実施例において本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0116】
使用する略語:
VCap:N-ビニルカプロラクタム
VP:N-ビニルピロリドン
VAc:酢酸ビニル
PEG:ポリエチレングリコール
ポリマー溶液の調製
初期投入からフィード2の分量を差し引いたものを、撹拌装置において、N2雰囲気下、77℃まで加熱した。初期温度77℃に達した時に、フィードの添加を始めた。フィード1は5時間かけて計量投入し、フィード2は2時間かけて計量投入し、フィード3は5.5時間かけて計量投入した。全てのフィードを計量投入した後、反応混合物をさらに3時間重合させた。更なる重合の後、溶液を50重量%の固体含有量に調節した。
【0117】
初期投入 :25 gの酢酸エチル
104.0 gのPEG 6000、
1.0 gのフィード2
フィード1:240 gの酢酸ビニル
フィード2:456 gのビニルカプロラクタム
240 gの酢酸エチル
フィード3:10.44 gのtert-ブチルパーピバレート(脂肪族混合物中の75重量%溶液)
67.90 gの酢酸エチル
ポリマー溶液の乾燥
方法I:
ポリマー溶液に、水または酢酸エチル、その中に分散した活性成分を加えた。
【0118】
カルバマゼピンを活性成分として使用した。
【0119】
Coperion Werner & Pfleiderer ZSK 30 二軸スクリュー押出機において、処理を行った。スクリュー直径は30 mmで、l/d比は42であった。押出機は合計12個のセクションおよび6個のスペーサープレートからなり、これは13.5セクションの全長に相当した。
セクション1:上部開放ハウジング、スクリュー搬送ねじ(screw conveying thread)および左側が遮断された中立混練ブロック、
セクション2:側部開放ハウジング、粉末をZSBを通して計量投入するオプション、搬送エレメントのみのスクリュー
セクション3:上部が開放され、プレートおよび注入ノズルで閉鎖され、ギアポンプが接続されたハウジング;ハウジングは偏心スクリューポンプに接続する側が開放されている。スクリューはこの領域に、狭い搬送混練ブロックと共に搬送構造(conveying configuration)を有する。
【0120】
セクション4および5:上部開放、純粋な搬送スクリュー;脱気ゾーン1
セクション6およびスペーサープレート 1 D:閉鎖;スクリュー搬送および中立混練ブロック、左側において流量制限。
【0121】
セクション7および8:上部開放、スクリュー搬送=脱気ゾーン2
ドリル穴を有するスペーサープレート、閉鎖;スクリュー左側流量制限混練ブロック
セクション8:穴の開いた蓋で閉鎖された開放ハウジング、脱イオン水の注入、スクリュー:歯状混合エレメント。
【0122】
セクション9:開放、脱気
スペーサープレート、閉鎖、スクリュー:流量制限された混練ブロック
セクション10および11:開放、蒸気ポンプ減圧による脱気
ダイヘッドおよび排出部;スクリュー:搬送エレメント
表:
上記した組成の60重量%のポリマー溶液を使用し、これをギアポンプにより140℃に加熱したフィードラインを用いてセクション3に送り入れた。
【表2】

【0123】
活性成分存在下での乾燥:固溶体の調製
方法II:
活性成分を別個の補助フィードを通して溶融ポリマーに供給した。
【0124】
カルバマゼピンを活性成分として使用した。
【0125】
セクション1:上部開放ハウジング、スクリュー搬送ねじ(screw conveying thread)および左側が遮断された中立混練ブロック、
セクション2:側部開放ハウジング、粉末をZSBを通して計量投入するオプション、搬送エレメントのみのスクリュー
セクション3:上部が開放され、プレートおよび注入ノズルで閉鎖され、ギアポンプが接続されたハウジング;ハウジングは偏心スクリューポンプに接続する側が開放されている。スクリューはこの領域に、狭い搬送混練ブロックと共に搬送構造(conveying configuration)を有する。
【0126】
セクション4および5:上部開放、純粋な搬送スクリュー;脱気ゾーン1
セクション6およびスペーサープレート 1 D;閉鎖;スクリュー搬送および中立混練ブロック、左側において流量制限。
【0127】
セクション7:上部開放、スクリュー搬送=脱気ゾーン2
セクション8:閉鎖ハウジング
ドリル穴を有するスペーサープレート、閉鎖;スクリュー左側流量制限混練ブロック
セクション9:蓋で閉鎖され、側部が開放された、開放ハウジング、
補助フィード接続オプション、スクリュー:搬送エレメント、混練ブロック。
【0128】
水注入を有するスペーサープレート 、歯状混合エレメントスクリュー
セクション10:閉鎖、スクリューZSB、流量制限
セクション11および12:脱気ゾーン、ダイヘッドおよび排出部;
スクリュー:搬送エレメント
60重量%のポリマー溶液+40重量%の更なる酢酸エチルを使用し、これをギアポンプにより140℃に加熱したフィードラインを用いてセクション3に送り入れた。
【表3】

【0129】
ポリマー中に生成した活性成分の固溶体を、X線粉末回折法(XRD)およびDSCを用いて評価した。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体形態のコポリマー調製方法であって、該コポリマーが、(i)30〜80重量%のN-ビニルラクタム、(ii)10〜50重量%の酢酸ビニルおよび(iii)10〜50重量%のポリエーテル(ただし、i)、ii)およびiii)の合計は100重量%である)の混合物を、少なくとも1種の溶媒の存在下でフリーラジカル重合することにより得られ、該方法が、押出機を用いて重合混合物から溶媒を除去することを含む、上記方法。
【請求項2】
溶媒を除去する前に重合溶液を微水溶性の活性物質と混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒を除去する間に微水溶性の活性物質を押出機に導入する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
溶媒を除去する間にコポリマーを押出機において溶融する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
溶媒の除去を100〜220℃の温度で行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−534730(P2010−534730A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517363(P2010−517363)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059299
【国際公開番号】WO2009/013202
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】