説明

溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するためのミクロ吸着カラム充填剤およびミクロ吸着カラムならびにそれらの使用

本発明は、毒素、抗生物質、ビタミン、ホルモン、殺虫剤などの、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するための、少なくとも1つの乾燥剤を含むミクロ吸着カラム充填剤であり、該カラム充填剤は、硫酸マグネシウムを含む少なくとも1つの乾燥剤、および酸化アルミニウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、モレキュラーシーブ、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンを含む群から選択される少なくとも1つの更なる乾燥剤、ならびにゼオライト、珪藻土、ベントナイト、二酸化珪素などの、大きな内部表面領域を有する天然に存在する担体または合成担体の0.5〜90重量%を含むことを特徴とする、ミクロ吸着カラム充填剤に関する。本発明はさらに、上記のミクロ吸着カラム充填剤を充填したミクロ吸着カラムおよびそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毒素、抗生物質、ビタミン、ホルモン、殺虫剤などの、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するための、少なくとも1つの乾燥剤を含むミクロ吸着カラム充填剤、それを充填したミクロ吸着カラムならびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化学または分析化学において、しばしば、更なる試験または検出プロセスのための大変少量の物質を、続くプロセス段階を妨害したりまたは続く手順に過剰量の不純物および/または水を持ち込んだりすること(これらは、それらの手順を妨害し、それらを用いて得られた結果をもはや代表的なものでなくしてしまう)を防ぐために、このような検出プロセスに使用する前に乾燥および/または精製ばかりでなく誘導体化までも行わなければならないという問題を抱えている。
【0003】
少量の溶解した物質の精製のために、US−A4,895,808およびUS−A5,110,558は、例えば、吸着剤または分析対象物質の吸着および検出のための方法ならびに装置であり、これらの方法は管の組み合わせを含む特別な装置に基づき、ここで溶解した分析対象物質は外側の管に導入され、これに、フリットを備えた第2の管が擦るように挿入され、前記第2の管は精製および/または乾燥するための物質を場合により層で含む、方法および装置を提案している。この種類の装置は、有機もしくは生物学的分析対象物質の精製および/または乾燥をある程度まで確実にするものであり、このように予備精製された物質は、続いて特定の分析対象物質の存在に関して試験されなければならない。しかしながら、US−A4,895,808およびUS−A5,110,558に記載されている装置および方法は、それぞれ、このような装置は分析対象物質の部分的な精製を可能にするが、このようなカラムは水を含有する液と接触させると直ちに塞がるかまたはほとんど通過不可能となり、試験される分析対象物質溶液にしばしば必要とされる、何らかの有用な更なる精製、および特にその後の誘導体化を不可能にすると思われ、このようなカラムにおいて乾燥剤の効率的な使用が不可能なため、研究する試料溶液を乾燥および/または精製できないという欠点を有する。
【0004】
分析対象物質が調整されたカラムに添加され、圧力を用いてまたは圧力なしで溶離液を用いて再び前記カラムから洗いだされるまたは溶出される通常のカラムクロマトグラフィー分析方法は、それぞれの精製物質によりこのようなカラムをつめることは可能であるものの、この場合も同様に、水含有溶液が添加されるとカラムは塞がれ、それにより、試験される物質の、何らかの更なる分離または有用な溶離速度を得ることが不可能になるため、有用な精製および/または乾燥は、特にこのような分析カラムで乾燥剤を用いることによる精製または分離は、可能でないという同様な問題を有する。
【0005】
従って、以前は、第1の段階において試験される分析対象物質溶液を、US−A4,895,808またはUS−A5,110,558記載のいずれかのミクロカラム中の特定の精製物質を通過させ、または通常のHPLC、LCまたは他の分取もしくは分析カラムを通過させ、ついで、カラムから溶離した精製された分析対象物質溶液または分離された分析対象物質溶液について、溶媒を蒸発させるかまたは有機溶液に過剰量の乾燥剤を添加することのどちらかによる通常の乾燥を行い、それから物質の更なる分析のために、次の分析プロセスに供給する目的で、これを乾燥剤から再溶離するかまたは無水溶媒で抽出するように、プロセス制御が選択された。有用な精製および/または乾燥試料を得るためのプロセス制御は大変時間がかかり、有害物質の迅速なアッセイまたは迅速な試験を指向する現代の分析学において、不必要な手続きおよび時間消費を構成し、その手続きおよび時間消費は求められる速度および望ましい試料の純度と何の関連もない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、先行技術の欠点を克服して、乾燥および/または精製を1段階反応で実施することを可能にし、他方では溶媒中に含まれる水分または水によるカラムの妨害を安全に予防する、毒素、抗生物質、ビタミン、ホルモン、殺虫剤などの、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するための、ミクロ吸着カラム充填剤を提供することを目的とする。
【0007】
本発明はさらに、溶媒に含まれる水分によりまたは溶媒に含まれる水分を分析される試料中に導入することにより、用いる吸着カラムを妨害されることなく、極めて迅速に、有機水性溶媒中に溶解した分析対象物質を同時に乾燥および/または精製することを可能にし、一方では、妨害および追加の精製段階なしで、分析される分析対象物質の続いて行われる誘導体化を可能にする、ミクロ吸着カラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、ミクロ吸着カラムのための本発明の充填剤は、ミクロ吸着カラム充填剤が硫酸マグネシウムおよび、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、モレキュラーシーブ、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンを含む群から選択される少なくとも1つの更なる乾燥剤、ならびにゼオライト、珪藻土、ベントナイト、二酸化珪素などの、大きな内部表面領域を有する天然に存在する担体または合成担体の0.5〜90重量%を含有するという点で、本質的に特徴付けられる。ミクロ吸着カラム充填剤として、硫酸マグネシウムおよび少なくとも1つの更なる乾燥剤、好ましくは少なくとも2つの乾燥剤、ならびに大きな内部表面領域を有する天然に存在する担体または合成担体の0.5〜90重量%の混合物を用い、大きな内部表面領域を有する天然に存在する担体または合成担体上に乾燥剤を分配することにより、乾燥剤の表面領域が反応し残った乾燥剤が溶液中に含有される水分に到達しない(表面領域が水分と反応した稠密層をすでに形成し、残った乾燥剤が反応に関与することをそれにより妨害するため)先行技術とは対照的に、乾燥剤の全表面領域が溶液中に含有される水分と反応することが可能になるように、乾燥剤の乾燥能力を形成することが可能である。さらに、大きな内部表面を有する天然に存在する担体または合成担体は、溶液中に含有されている大部分のさまざまな有機または生物学的分析対象物質の吸着剤として反応するので、乾燥手順がすでに溶液の精製を構成していることに加え、大きな内部表面領域を有する担体に結合させることによる有害物質の除去により、従来のものを超える更なる精製が達成される。
【0009】
担体に加えて異なる乾燥剤の混合物を含有するカラム充填剤を使用することにより、溶解した有機または生物学的分析対象物質の特に効率的な乾燥が確実になり、一方でこのようなカラム充填剤は、同時に、特に、大きな内部表面領域を有する天然担体または合成担体がより多く含有される場合、例えば、スラリーに含有される固体粒子は大きな内部表面領域を有する担体により確実に保持されるので、スラリーの精製もまた可能にする。
【0010】
本発明の更なる開発によれば、ミクロ吸着カラム充填剤は、担体5〜70%を含有するように工夫される。大きな内部表面領域を有する担体の広範囲の使用により、カラム充填剤の乾燥および精製挙動を調節でき、従って、大きな内部表面領域を有する担体を高い量含有するカラム充填剤は、その乾燥作用に加えて著しい精製作用を発揮し、および、大きな内部表面領域を有する担体を低い割合でのみ有するミクロ吸着カラム充填剤には、特に、純粋な乾燥剤を単独で使用した場合以上に乾燥効果の著しい促進が見られ、これは再び、前記の乾燥剤の破砕効果が原因である。
【0011】
溶解した有機または生物学的分析対象物質の、特に効率的な精製と同時の乾燥は、ミクロ吸着カラム充填剤を用いて達成され、これは担体0.5〜90重量%、硫酸マグネシウム20〜60重量%、炭酸カリウム20〜60重量%および塩化カルシウム10〜35重量%を含む。このようなカラム充填剤は、水と反応して凝集した乾燥剤によりカラムが封鎖または妨害されることなく、溶液中に高い量の水、例えばHO20〜30%を含有する場合であっても、溶解した有機または生物学的分析対象物質を乾燥および精製することができる。
【0012】
溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質をよりさらに完全に乾燥および/または精製することを確実にするために、特に、更なる精製または乾燥を用いずに分析対象物質のその後の誘導体化を可能にするために、ミクロ吸着カラムのための本発明の充填剤は、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素;中性、酸性もしくは塩基性酸化アルミニウム、イオン交換体、シリカゲル、活性炭またはケイ酸マグネシウムを含む群から選択される少なくとも1つの吸着剤または界面活性剤を、カラム充填剤がさらに含有するようにさらに開発される。
【0013】
カラム充填剤が少なくとも1つの吸着剤または界面活性剤をさらに含有するので、溶解した有機もしくは生物学的試料または分析対象物質を、不純物の効率的な乾燥または吸着に加えて、単一のカラム充填剤を用いることにより、その後の検出または分析を妨害する物質を同時に除去するために化学的に精製することもでき、特に迅速な効率的な精製および/または乾燥ばかりでなく、溶解した分析対象物質のその後の検出のための誘導体化さえも可能にするミクロ吸着カラム充填剤が提供される。
【0014】
ミクロ吸着カラム充填剤に含有される各物質の特に効率的な使用のために、本発明の好ましい更なる開発に従って、カラム充填剤は層の形で用いられる。層の形でのこのような使用により、カラムにおいて、例えば、最初に乾燥剤層を用い、次いで吸着剤層または界面活性剤層を用いることが可能であり、逆もまた同様である。このようなプロセス制御により、例えば、界面活性剤含有層中に存在する物質(効率的な反応のためにOH基または少量の水を要する。)に、有機溶媒(この溶媒も水を含む。)中に溶解した分析対象物質を通過させ、その後にのみ乾燥を行うか、他方では、その作用に水を必要としない物質の場合、分析対象物質が溶解した有機溶媒を最初に乾燥させ、その後にのみ妨害物質の更なる精製を行うという観点から、それぞれの層に含有される各物質を考慮に入れることが可能となる。更なる精製をすることなく、感水性試薬を用いるその後の誘導体化を可能にするために、このようなカラム充填剤は、有機溶媒に溶解した分析対象物質または生物物質の特に効率的で完全な精製および乾燥を提供する。
【0015】
本発明の更なる開発によれば、ミクロ吸着カラム充填剤は、該カラム充填剤が担体0.5〜90重量%、場合によりシリカゲルおよび、少なくとも1つの、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素の混合物を含む、少なくとも1つの精製層または吸着層、ならびに担体0.5〜90重量%を含み、残りは乾燥剤である少なくとも1つの乾燥剤層を含むように工夫される。特に、置換もしくは非置換のCまたはC18炭化水素(いわゆる「逆相」物質)および大きな内部表面領域を有する合成または天然に存在する物質からなる担体ならびに大きな内部表面領域を有する合成または天然の物質の同一のもしくは類似した担体を含有する更なる層、および乾燥剤を含有する、層形態のカラム充填剤により、有機溶媒に溶解した分析対象物質の効率的で完全な、精製および乾燥が確実にされる。有害な物質または分析を妨害する物質の分離は、特に、いわゆる逆相物質として知られる物質により容易におよび効率的に可能となるが、それにより更なる物質、特に固形物は担体に付着し、結果として、有機溶媒に含有されるすべての水は、同様に担体を含有する乾燥剤層に溶液を通過させることにより除去される。このようなカラム充填剤に試料を通過させた後に、直ちに検出または分析に付することができる、精製された分析対象物質が得られる。
【0016】
更なる開発によれば、ミクロ吸着カラム充填剤は、該カラム充填剤が、担体、特に珪藻土0.5〜90重量、特に5〜87重量%、酸化アルミニウム10〜80重量%、特に25〜50重量%、イオン交換体2〜70重量%、特に8〜35重量%、活性炭10〜95重量%、特に12〜70重量%、ならびに、少なくとも1つの、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素3〜65重量%、特に10〜40重量%の混合物からなる少なくとも1つの精製層または吸着層、ならびに担体0.5〜90重量%を含み残りは乾燥剤である、少なくとも1つの乾燥剤層を含む、少なくとも1つの精製層または吸着層を含むように工夫される。カラム充填剤の層に含有されるすべての物質は、特に迅速で効率的な精製および/または乾燥を確実にするために、このような精製および乾燥に同時にまたは平行して寄与するので、このようなカラム充填剤は、極端に短い時間内に溶解した分析対象物質または生物物質の完全な精製および乾燥を可能にする。
【0017】
さらに、このようなミクロ吸着カラム充填剤は、使用される分析対象物質の精製および乾燥のために想定されるばかりでなく、例えば、分析対象物質の分析の前に感水性試薬を用いて試料の誘導体化のために使用することもでき、特に食物、飼料、穀物、生物試料などの生物学的試料、血液、尿、組織などの生物学的試料、植物物質ならびに有害物質を、例えば、GC/MSまたはGC/ECDにより直接に検出および/または定量できる。
【0018】
すでに上記で指摘したように、固形不純物はカラム充填剤により確実に溶離または分離されるので、本カラム充填剤はまた、化学的急速試験に適用され得る。
【0019】
本発明の更なる開発によれば、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するためのミクロ吸着カラムであり、前記カラムは、硫酸マグネシウムおよび、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、モレキュラーシーブ、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンを含む群から選択される少なくとも1つの更なる乾燥剤、ならびにゼオライト、珪藻土、ベントナイト、二酸化珪素などの、大きな内部表面領域を有する天然に存在する担体または合成担体の0.5〜90重量%で充填されるようにカラムが工夫された前記ミクロ吸着カラムが、さらに提供される。このように充填されたカラムにより、浮遊している物質の吸着およびさらに担体上に吸着される溶解した不純物の分離、ならびに同時に、溶媒中に含有される水の完全な除去も可能となり、これにより、特に水により妨害を受ける分析対象物質を、直接にまたは直ちに分析にかけることが可能となる。
【0020】
更なる開発によれば、ミクロ吸着カラムは担体5〜70重量%で充填され、これにより試料の特別な条件、特に試料の水分含有量および試料の不純物含有量を選択的に考慮に入れることが可能となる。
【0021】
本発明の更なる開発によれば、少なくとも2つの層でカラムを充填することにより、吸着カラムは、例えば、大きな内部表面領域を有するより多いまたはより少い担体もしくはより多いまたはより少い乾燥剤を含む異なる乾燥段階、または異なる乾燥剤もしくは異なる担体を含有する層のいずれかを含むことができ、あるいは乾燥剤以外に追加の界面活性剤または吸着剤を含有する吸着カラムとして使用されることさえ可能である。
【0022】
試料、特にカラムを介して加圧されている分析対象物質または生物物質を含有する液体試料により、カラムが不均一になることもしくは各層が分離することまたは充填カラムに穴が生じることを防ぐために、本発明は、カラムが、それぞれ、その入口、流出口および場合により層の間において、フリット、濾紙、膜またはダイヤフラムから選択されるフィルター層を備えているようにさらに工夫される。このようなミクロ吸着カラムは、さらに、試験される分析対象物質試料の粗大な固形不純物または溶解されていない物質粒子の、ミクロ吸着カラムへの流入の前の分離を可能にし、同時に、混入した界面活性剤および/または乾燥剤粒子の、試験される試料中への排出を防ぐことを可能にし、それによりミクロ吸着カラムの、特に純粋なおよび効率的な操作を提供する。
【0023】
本発明の更なる開発によれば、ミクロ吸着カラムは、層の少なくとも1つが乾燥剤含有層であり、および層の少なくとも1つが界面活性剤または吸着剤含有層であり、界面活性剤または吸着剤は、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素;中性、酸性もしくは塩基性酸化アルミニウム、イオン交換体、シリカゲル、活性炭またはケイ酸マグネシウムを含む群から選択されることを特徴とする。本発明の更なる開発によれば、少なくとも1つの乾燥剤含有層および吸着剤含有層で充填された吸着カラムにより、すでに上記で指摘したように、分析される試料の特に効率的で迅速な分離、乾燥および精製が可能となり、従って、このような吸着カラムは、1段階精製および、特に試験される分析対象物質もしくは生物物質の誘導体化および/または迅速な分析に適している。
【0024】
本発明の更なる開発によれば、その流入口からその流出口まで、担体0.5〜90重量%、シリカゲルならびに場合により酸化アルミニウムおよび/またはイオン交換体を含有する第1の精製または吸着剤層、担体0.5〜90重量%、硫酸マグネシウムおよび、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、モレキュラーシーブ、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンの群から選択される1または数個の更なる乾燥剤を含む第1の乾燥剤層、担体0.5〜90重量%、ならびに少なくとも1つの、環状、直鎖または分枝鎖の置換CまたはC18炭化水素および場合により活性炭を含有する第2の精製または吸着剤層、ならびに担体0.5〜90重量%、および塩化カルシウム、炭酸カリウム、硫酸マグネシウムから選択される乾燥剤ならびに場合により水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンを含む群から選択される1または数個の更なる乾燥剤を含有する第2の乾燥剤層で充填されたミクロ吸着カラムにより、試験される分析対象物質の特定の特殊性またはこのようなカラムに含有される各物質の特定の反応性を、追加の時間を必要とせずに、試料のよりさらに効率的で迅速な精製および乾燥を達成するために考慮に入れることが可能になる。
【0025】
最初に、その精製のために水分含有量を必要とする界面活性剤を介して試料を通過させ、続いて作用機序の故に分析対象物質の水溶液を必ずしも必要としない界面活性剤による更なる精製を実施する前に最初の乾燥を行い、次いで分析対象物質を、このような吸着カラムで実施されるように、残る水分を分離するために特に効率的な乾燥剤で反応させることにより、すべての妨害不純物および分析を妨害する物質ならびに水を、いわゆる段階反応において除去でき、それによって、すでに上記で指摘したように、スラリーなどであってもカラム物質を封鎖または遮断することなく使用でき、更なる予備精製および/または乾燥をせずに、極めて感水性の試薬を用いて誘導体化を直ちに実施することができる。
【0026】
最後に、本発明は、毒素、抗生物質、ビタミン、ホルモン、殺虫剤などの、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するための、カラム充填剤またはミクロ吸着カラムの使用であり、このような使用のためにカラム充填剤またはカラムが、それぞれ、有機もしくは生物学的分析対象物質の30重量%までの水分含有量を有する有機水溶液を乾燥および/または精製するために用いられることを特徴とする使用を目的としている。このようなミクロ吸着カラム充填剤は、特にこのような使用により、GC、MS、GC/MS、GC/ECDなどのその後の分析段階が、水などの妨害物質なしに、試験される分析対象物質溶液の精製および/または乾燥後直ちに、安全で信頼性を持って可能となるように、有機溶媒からの特に高い水分含有量の安全で信頼性のある分離が可能となる。
【0027】
カラム充填剤の特に効率的な使用は、処理される分析対象物質溶液に対するカラム充填剤の比率が少なくとも2:1〜1:5、特に、1.5:1〜1:2.5であることを特徴とする。処理される分析対象物質溶液に対するカラム充填剤の比率に少なくとも2:1〜1:5、特に1.5:1〜1:2.5を用いることにより、処理される分析対象物質溶液を基準にして比較的大量の充填剤が常にミクロ吸着カラムのために提供され、それにより、十分に反応性のある表面領域ならびに乾燥剤および界面活性剤もまた利用可能となり、処理される分析対象物質溶液の著しく迅速な精製、著しく迅速な乾燥もまた可能となる。
【実施例】
【0028】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
本実施例において、乾燥剤および大きな内部表面領域を有する担体の複数の異なる混合物、ならびに界面活性剤または吸着剤および担体を含む複数の混合物、ならびにそれらを充填したカラムを製造し、ついでそれらを種々の有機または生物学的薬剤およびマイコトキシンを精製するために用いた。比較のために、同一のマイコトキシンまたは生物試料を通常の精製にかけ、カラム充填剤またはカラム充填剤を充填した吸着カラムの結果と先行技術の結果とを比較するために、試料および比較試料の両方に、その後の誘導体化または分析を行った。
【0030】
乾燥剤混合物1:Cornay社から商品名セライト(登録商標)で販売されている、大きな内部表面領域を有する珪藻土300mg、ゼオライト500mg、塩化カルシウム300mg。
【0031】
乾燥剤混合物2:セライト(登録商標)300mg、硫酸マグネシウム500mg、炭酸カルシウム500mg、塩化カルシウム300mg。
【0032】
乾燥剤混合物3:セライト(登録商標)1000mg、シリカゲル500mg、モレキュラーシーブ500mg、水素化カリウム100mg、炭酸カリウム100mg。
【0033】
乾燥剤混合物4:セライト(登録商標)500mg、シリケート上の硫酸100mg、酸化アルミニウム300mg、シリカゲル300mg、モレキュラーシーブ500mg、硫酸カルシウム100mg。
【0034】
界面活性剤混合物1:Cornay社から商品名セライト(登録商標)で販売されている、大きな内部表面領域を有する珪藻土500mg、酸化アルミニウム50mg、シクロヘキシルオクタデカン300mg。
【0035】
界面活性剤混合物2:1,3,5−トリエチルオクタデカン300mg、塩基性イオン交換体80mg、活性炭100mg、珪藻土500mg、天然に存在する、異なるゼオライトの混合物500mg。
【0036】
界面活性剤混合物3:1,3,5−トリエチルオクタデカン300mg、塩基性イオン交換体80mg、珪藻土500mg、天然に存在する、異なるゼオライトの混合物500mg。
【0037】
4つの乾燥剤混合物の1つ1.5gをそれぞれカラムに充填し、他のカラムに乾燥剤混合物1 1.5gおよび乾燥剤混合物3 1.5gを充填した。さらに、5つのカラムに、それぞれ、界面活性剤混合物1 1.5gおよび乾燥剤混合物1 1.5g、界面活性剤混合物2 1.5gおよび乾燥剤混合物2 1.5g、界面活性剤混合物3 1.5gおよび乾燥剤混合物3 1.5g、界面活性剤混合物1 1.5gおよび乾燥剤混合物4 1.5gならびに界面活性剤混合物3 1.5gおよび乾燥剤混合物2 1.5gを充填した。最後に、管を、界面活性剤混合物1 1gおよび乾燥剤混合物2 1g、界面活性剤混合物2 1gおよび乾燥剤混合物3 1gで充填した。
【0038】
上記の管を用いて、B−トリコテセンを含有する有機溶液5mlをそれぞれ精製し乾燥し、次いでその溶液を、電子捕獲型検出器を用いるGC−ECD(ガスクロマトグラフィー)により試験した。アセトニトリル/水100mlで粉末のシリアル25gを抽出することにより、用いた溶出液を回収し、ついで溝付きフィルターで濾過した。この溶出液5mlをUS−A4,895,808による精製または吸着管に入れ、上記の界面活性剤および乾燥剤で充填した第2の内部管を、界面活性剤および/または乾燥剤を含有する内部管に精製した溶出液3mlが回収されるように、試料のそれぞれに加圧下で挿入した。
【0039】
この溶出液から、20mlメスフラスコ中に、約2.5μg/mlの濃度で、市販参照物質(純粋なアセトニトリル溶液)を用いてそれぞれの参照物質の原液を調製する。参照物質の原液をそれぞれ0.5μg/mlの濃度に希釈し、これらのそれぞれの標準溶液1mlを10mlスクリューキャップ型バルブにそれぞれピペットで移し、これにアセトニトリル4mlを加えた。バイアルを閉じ、使用前に完全に混合した。これに続いて、試験する標準および試料溶液の2つの標準希釈系列を調製し、これらの試料にTri−Sil TBT誘導体化試薬(Tri−Sil TBTはN−トリメチルシリルイミダゾール−N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミドおよびトリメチルシリルクロリドの混合物である。)およびTMSを加え、閉じた。反応溶液を混合した。乾燥キャビネット内で40℃で15分間バイアルをインキュベートし、イソオクタンおよび緩衝液で抽出した。有機相をイソオクタンで抽出した後、自動注入器およびそれに接続した電子捕獲型検出器(ECD)を備えたHP5890 Series2 ガスクロマトグラフで試料を試験する。試料および比較試料の両方のGC分析により、用いたDON誘導体の特徴的な保持時間を有する物質が検出され、不純物または水による本試料の乱れは生じなかった。主成分の保持時間は、DON:24.72分;3−AcDON:31.21分;15−AcDON:33,84分;フセラノンX:34,87分およびニバレノール:37.43分であった。
【0040】
B−トリコテセンの分析のための各混合管の使用により、以下の結果が得られた:
乾燥剤混合物1:妨害する水ピークは検出されなかったが、GC分析で不純物が検出された。
【0041】
乾燥剤混合物2:妨害する水ピークは検出されなかったが、GC分析で不純物が検出された。
【0042】
乾燥剤混合物3:妨害する水ピークは検出されなかったが、GC分析で不純物が検出された。
【0043】
2つの乾燥剤を含有する管:妨害する水ピークは検出されなかったが、GC分析で少量の不純物が検出され、1つの乾燥剤のみの使用に対して検出された不純物の量は著しく減少したが、これは珪藻土の含量の増加によるものと考えられる。
【0044】
乾燥剤混合物1および乾燥剤混合物3を含有する管:妨害する水は検出されず、妨害する不純物はほとんど検出されなかった。
【0045】
界面活性剤混合物1および乾燥剤混合物1を含有する管:妨害する水は検出されず、妨害する不純物も検出されなかった。
【0046】
界面活性剤混合物2および乾燥剤混合物2を含有する管:妨害する水は検出されず、妨害する不純物はほとんど検出されなかった。
【0047】
界面活性剤混合物3および乾燥剤混合物3を含有する管:妨害する水は検出されず、妨害する不純物も検出されなかった。
【0048】
界面活性剤混合物1および乾燥剤混合物2を含有する管:妨害する水は検出されず、妨害する不純物はほとんど検出されなかった。
【0049】
界面活性剤混合物3および乾燥剤混合物2を含有する管:妨害する水は検出されず、妨害する不純物はほとんど検出されなかった。
【0050】
界面活性剤混合物1、乾燥剤混合物2、界面活性剤混合物2および乾燥剤混合物3を含有する管:妨害する水は検出されず、妨害する不純物は検出されなかったが、GCで物質ピークのみが明確に認識できた。
【0051】
要約すれば、特に、界面活性剤または吸着剤を含有する少なくとも1つの層および使用される乾燥剤を含有する1つの層を有するいくつかの層からなるカラム充填剤が、それに続く、誘導体化生成物のGC分析において優れた結果を与えるということができる。
【0052】
比較のために、B−トリコテセンを含有する類似試料を、上述のように精製し、それに続いて誘導体化した。マイコトキシンを含有する試料の精製を以下のように行った。マイコトキシンの水溶液を硫酸で酸性化し、そのうち5mlをアセトニトリルおよびヘキサンで抽出し、次いで遠心分離した。ヘキサン相を分離する。窒素気流でアセトニトリル相を濃縮する。アセトニトリル相を窒素気流で濃縮し、濃縮物を水に溶解し、pHを8.5に調節し、前もってメタノール2mlおよび水2mlで平衡化したオアシスカラムに入れる。カラムを洗浄し、マイコトキシンをメタノールで抽出し、抽出物を乾燥し、残りの部分を溶解し、希釈して上述のようにさらに誘導体化する。先行技術によるこのような処理は、本発明によるミクロ吸着カラムのための上記の充填剤と比較して、マイコトキシンの処理に使用する時間の10〜20倍を必要とし、それに引き換え、本カラム充填剤により得られる生成物よりも純粋な生成物を与えない。
【0053】
この後、本発明のカラム充填剤、特に、2つの異なる乾燥剤を含有するカラム充填剤、または界面活性剤もしくは吸着剤の層および乾燥剤の層を含有するカラム充填剤、ならびにいくつかの層を含むカラムを、以下に関して使用した。
【0054】
a)魚肉および食肉製品中のニトロフラン抗生物質の分析
界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用いて抽出試料5mlの精製を行った。
【0055】
B−トリコテセンの分析法にしたがって、精製試料3mlを処理し、ついでHPLC分析用2−ニトロベンズアルデヒドにより誘導体化し、HPLCカラムで分析した。その結果、再び直ちに物質ピークおよび比較物質のピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0056】
b)食肉残渣におけるフルオロキノロン抗菌剤の分析
界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用いて、分析対象物質を含有する抽出試料5mlについて精製を行った。
【0057】
ついで、精製試料2mlを直接にZorbax Eclipse SCB−C8カラムを用いるAgilent 1100 HPLCシステムでHPLC分析し、ついで蛍光検出器を用いて定量した。その結果、再び直ちに物質ピークおよび比較物質ピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0058】
c)魚肉および食肉製品におけるニトロフラン代謝物の分析
界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用いて、分析対象物質を含有する溶液5mlについて精製を行った。
【0059】
HPLC分析用2−ニトロベンズアルデヒドにより精製試料2mlを誘導体化し、Agilent 1100 HPLCシステムで分析した。分離カラムは3.5μm Zorbax Eclipse XDB C18カラムであり、検出器はMSDイオントラップ型検出器(陽イオン方式で)であった。その結果、再び直ちに物質ピークおよび比較物質ピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0060】
d)パラベン誘導体の分析
界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用いて、分析対象物質を含有する溶液5mlについて精製を行った。
【0061】
ついで、精製試料2mlを直接に、UV検出を用いるAgilent 1100 HPLCシステムで分析した。その結果、再び直ちに物質ピークおよび比較物質ピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0062】
e)食肉中のスルホンアミドの分析
界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用い、分析対象物質を含有する溶液5mlについて精製を行った。
【0063】
精製試料2mlを、Agilent 1100 HPLCシステムで、すなわち5μm Zorbax Eclipse XDB C8カラムにより分離し、MSをAPCI(大気圧化学イオン化)により検出することにより、直接に分析した。その結果、再び物質ピークおよび比較物質ピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0064】
f)尿中のサルブタモールの分析
界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用いて、分析対象物質を含有する溶液5mlについて精製を行った。
【0065】
精製試料1mlをN−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミドにより誘導体化し、GC/MSにより分析した。その際、同じ分離のためにキャピラリーカラム(長さ30m、内径0.25mm、層厚さ0.25mm)を用いた。その結果、再び直ちに物質ピークおよび比較物質ピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0066】
g)尿中のドーピング剤の分析
尿試料を中和し、β−グルクロニダーゼ(2h、50℃)により処理し、ついでアセトニトリルで1:4に希釈した。界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用い、分析対象物質を含有する溶液5mlについて精製を行った。分離のために3.5μm Agilent Zorbax Eclipse XDB C18カラムを用い、1100 HPLC MS(エレクトロスプレー法)により分析測定を行った。その結果、再び直ちに物質ピークおよび比較物質ピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0067】
h)果物、野菜または果物ジュース中の殺虫剤の分析
界面活性剤混合物1.5gおよび乾燥剤混合物1.5gを含有する管を用い、試料の水性抽出物または抽出物混合物をアセトニトリル/水で精製する。
【0068】
精製試料を、LVI−GC MS(大量注入ガスクロマトグラフを結合した質量分析計)中に直接、注入する。四重極質量分析計を備えたAgilent 6890 GC、自動注入器を用い、DB−5MSカラムを用いてクロマトグラフィー分離を行う。分析の結果により、再び直ちに物質ピークおよび比較物質ピークが検出され、妨害する水含量または不純物は検出されなかった。
【0069】
この方法により、以下の殺虫剤:2−フェニルフェノール、アミトラズ、ビフェントリン、ブロモプロピレート、ブプロフェジン、カルバリル、クロロプロファム、クロルピリホス、クロゾリネート、シフルトリン類、DDD、DDE、DDT、デルタメトリン、ダイアジノン、ジクロベニル、ジクロフルアニド、ジコホル、ディルドリン、ジフェニルアミン、エンドスルファン、硫酸エンドスルファン、エチオン、エトフメザート、エトリムホス、フルシトリネート、フララキシル、HCB、HCH−β、HCH−γ、ヘプタクロルエポキシド(トランス)、クレソキシムメチル、マラオキソン、マルチオン、メカルバム、メタラキシル、メチダチオン、メトクスロン、ミクロブタニル、オキサジキシル、オキシクロルデン、パクロブトラゾール、パラチオンエチル、パラチオンメチル、ペンコナゾール、ペンジメタリン、ペンタクロロチオアニソール、ペルメトリン、ホスメット、ピリミホスメチル、プロクロラズ、プロシミドン、プロフェノホス、プロメトリン、プロパルギット、プロファム、プロピザミド、キナルホス、キントゼン、シマジン、テクナゼン、テルブチラジン、テトラジホン、ビンクロゾリンの検出が可能となる。
【0070】
本発明によるカラム充填剤はまた、コムギ中の蛍光誘導体化FQ−デオキシニバレノールの検出を可能にする。この目的のために、粉砕したコムギを水性アセトニトリル100mlと混合し、抽出物を濾過する。精製のために、濾過した抽出物5mlを、US−A4,895,808による分析管に入れ、界面活性剤混合物2 1.5gおよび乾燥剤混合物1 1.5gを含み、ならびに界面活性剤および乾燥剤を含む2つの層の上下にガラスフリットを有するミクロ吸着カラムのための充填剤を用いて、試料の精製および乾燥を行う。試料を、カラム充填剤を充填したカラムに通過させ、精製し乾燥した抽出物1mlを計量バイアル中に入れ、これに1,2−ジアミノメタンのメタノール溶液およびZrO硝酸塩のメタノール溶液を、誘導体化のために加える。閉じたバイアルを70℃で8分間加熱する。クエンチした後、試料の蛍光をPerkin−Elmer蛍光光度計で測定する。この試料を用いても、本発明記載の管を用いて精製された試料中に、妨害する不純物は存在せず、精製後直ちに、更なる予備精製または調製を必要とせずに誘導体化を行うことができる。
【0071】
要約すれば、本発明のカラム充填剤が用いられるすべての方法により、先行技術による方法以上に、共通して時間の利得が得られ、それぞれの試料の精製および乾燥に必要とする時間は、特に、最大1.5〜2分となり、これは先行技術による慣用法よりも何倍も短く、同時に、極めて純度の高い乾燥生成物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毒素、抗生物質、ビタミン、ホルモン、殺虫剤などの、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するための、少なくとも1つの乾燥剤を含むミクロ吸着カラム充填剤であり、前記カラム充填剤は、硫酸マグネシウムおよび、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、モレキュラーシーブ、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンを含む群から選択される少なくとも1つの更なる乾燥剤、ならびにゼオライト、珪藻土、ベントナイト、二酸化珪素などの、大きな内部表面領域を有する天然に存在する担体または合成担体の0.5から90重量%を含むことを特徴とする、前記ミクロ吸着カラム充填剤。
【請求項2】
ミクロ吸着カラム充填剤が、担体5から70重量%を含有することを特徴とする、請求項1に記載のミクロ吸着カラム充填剤。
【請求項3】
ミクロ吸着カラム充填剤が、担体0.5から90重量%、硫酸マグネシウム20から60重量%、炭酸カリウム20から60重量%および塩化カルシウム10から35重量%を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のミクロ吸着カラム充填剤。
【請求項4】
ミクロ吸着カラム充填剤が、さらに、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素;中性、酸性もしくは塩基性酸化アルミニウム、イオン交換体、シリカゲル、活性炭またはケイ酸マグネシウムを含む群から選択される、少なくとも1つの吸着剤または界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1、2または3に記載のミクロ吸着カラム充填剤。
【請求項5】
ミクロ吸着カラム充填剤が、層の形で用いられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のミクロ吸着カラム充填剤。
【請求項6】
ミクロ吸着カラム充填剤が、担体0.5から90重量%、場合によりシリカゲル、および、少なくとも1つの、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素の混合物を含む、少なくとも1つの精製層または吸着層、ならびに担体0.5から90重量%を含み残りは乾燥剤である少なくとも1つの乾燥剤層を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のミクロ吸着カラム充填剤。
【請求項7】
ミクロ吸着カラム充填剤が、担体、特に珪藻土0.5から90重量%、特に5から87重量%、酸化アルミニウム10から80重量%、特に25から50重量%、イオン交換体2から70重量%、特に8から35重量%、活性炭10から95重量%、特に12から70重量%および、少なくとも1つの、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素3から65重量%、特に10から40重量%の混合物からなる少なくとも1つの精製層または吸着層、ならびに担体0.5から90重量%を含み残りは乾燥剤である、少なくとも1つの乾燥剤層を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のミクロ吸着カラム充填剤。
【請求項8】
毒素、抗生物質、ビタミン、ホルモン、殺虫剤などの、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するための、少なくとも1つの乾燥剤を含むミクロ吸着カラムであり、前記カラムは、硫酸マグネシウムおよび、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、モレキュラーシーブ、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンを含む群から選択される少なくとも1つの更なる乾燥剤、ならびにゼオライト、珪藻土、ベントナイト、二酸化珪素などの、大きな内部表面領域を有する天然に存在する担体または合成担体の0.5から90重量%が充填されていることを特徴とする、ミクロ吸着カラム。
【請求項9】
カラムが、担体5から70重量%で充填されていることを特徴とする、請求項8に記載のミクロ吸着カラム。
【請求項10】
カラムが、少なくとも2つの層で充填されていることを特徴とする、請求項8または9に記載のミクロ吸着カラム。
【請求項11】
カラムが、それぞれ、その流入口、流出口および場合により層の間に、フリット、濾紙、膜またはダイヤフラムから選択されるフィルター層を備えていることを特徴とする、請求項8、9または10に記載のミクロ吸着カラム。
【請求項12】
層の少なくとも1つが乾燥剤含有層であり、および層の少なくとも1つが界面活性剤または吸着剤含有層であり、該界面活性剤または吸着剤は、フェニル、シクロヘキシル、ブチル、エチル、メチル、シアノプロピル、ジオール、カルボキシレート、ベンゼンスルホキシラート、アミノプロピル、第一級、第二級、第三級もしくは第四級アミノ残基またはジエチルアミンで置換された環状、直鎖または分枝鎖のCまたはC18炭化水素;中性、酸性もしくは塩基性酸化アルミニウム、イオン交換体、シリカゲル、活性炭またはケイ酸マグネシウムを含む群から選択されることを特徴とする、請求項10または11に記載のミクロ吸着カラム。
【請求項13】
カラムが、その流入口からその流出口まで、担体0.5から90重量%、シリカゲルならびに場合により酸化アルミニウムおよび/またはイオン交換体を含有する第1の精製または吸着剤層、担体0.5から90重量%、硫酸マグネシウムおよび、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、モレキュラーシーブ、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンの群から選択される1または数個の更なる乾燥剤を含む第1の乾燥剤層、担体0.5から90重量%、ならびに少なくとも1つの、環状、直鎖または分枝鎖の置換CまたはC18炭化水素および場合により活性炭を含有する第2の精製または吸着剤層、ならびに担体0.5から90重量%、および塩化カルシウム、炭酸カリウム、硫酸マグネシウムから選択される乾燥剤ならびに場合により塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、五酸化リン、シリケート上の硫酸、シリケート上の五酸化リンを含む群から選択される1または数個の更なる乾燥剤を含有する第2の乾燥剤層で充填されていることを特徴とする、請求項8から12のいずれか1項に記載のミクロ吸着カラム。
【請求項14】
毒素、抗生物質、ビタミン、ホルモン、殺虫剤などの、溶解した有機もしくは生物学的分析対象物質を乾燥および/または精製するための、請求項1から7のいずれか1項に記載のミクロ吸着カラム充填剤または請求項8から13のいずれか1項に記載のミクロ吸着カラムの使用であり、カラム充填剤またはカラムが、それぞれ、有機もしくは生物学的分析対象物質の30重量%までの水分含有量を有する有機水溶液を乾燥および/または精製するために用いられることを特徴とする使用。
【請求項15】
処理される分析対象物質溶液に対するミクロ吸着カラム充填剤の比率が、少なくとも2:1から1:5、特に1.5:1から1:2.5であることを特徴とする、請求項14に記載のミクロ吸着カラム充填剤の使用。

【公表番号】特表2009−507620(P2009−507620A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529410(P2008−529410)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/AT2006/000358
【国際公開番号】WO2007/030847
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(500303696)エルベル・アクチエンゲゼルシヤフト (6)
【Fターム(参考)】