説明

溶解装置及びそれを備えた給湯装置

【課題】電気回路を必要とせず、コンパクトで運転コストが安価な無機化合物等を供給する溶解装置を提供すること。
【解決手段】粉末状または顆粒状、あるいは、粉末状と顆粒状との混合物である無機化合物11を収納する収納手段12と、前記無機化合物11への湯水の供給・停止を行う開閉手段50とを備え、前記開閉手段50を、前記無機化合物11の上流側で、かつ、前記収納手段12と一体に配設したことを特徴とする溶解装置で、開閉手段50の耐久性を向上、かつ、装置全体のコンパクト化と低コスト化を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機化合物等を溶解する溶解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の装置は、目的の成分を含む材料を電気分解にて水中に溶解させ、この溶解した水を目的とする回路へ供給している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来の給湯装置を示すものである。図7に示すように、亜鉛陽極1と、陰極2と、ケーシング5と、直流電源9から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−190882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、目的とする成分(亜鉛陽極1)の水への溶解方法は、電気分解の原理によるため、直流電源9と、回路を流れる水への漏電を防止するための絶縁回路(図示せず)が必要となる。従って、装置のサイズアップ、コストアップとともに、直流電源9においては電力を必要とするため消費電力量も増加する。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電気回路を必要とせず、コンパクトで運転コストが安価な無機化合物等を供給する溶解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の溶解装置は、粉末状または顆粒状、あるいは、粉末状と顆粒状との混合物である無機化合物を収納する収納手段と、前記無機化合物への湯水の供給・停止を行う開閉手段とを備え、前記開閉手段を、前記無機化合物の上流側で、かつ、前記収納手段と一体に配設したことを特徴とするものである。
【0008】
これによって、粉末状または顆粒状、あるいは、粉末状と顆粒状の混合物である無機化合物が収納手段より流出した場合でも、開閉手段は、無機化合物の上流側に配置しているので、開閉手段に無機化合物が進入することはなく、開閉手段の耐久性を向上できる。
【0009】
また、これまで必要としていた電源回路と絶縁回路が削減できるため、装置全体のコンパクト化と低コスト化を実現するとともに、消費電力量を抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンパクト化、低コスト化、さらには、消費電力量の抑制を実現した無機化合物等を供給する溶解装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における溶解装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における溶解装置の詳細図
【図3】本発明の実施の形態1における溶解装置の無機化合物と濾過手段の関係を示す図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における濾過手段の構成図(b)同他の濾過手段の構成図(c)同他の濾過手段の構成図
【図5】本発明の実施の形態2における給湯装置の構成図
【図6】本発明の実施の形態3における溶解装置の構成図
【図7】従来の給湯装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、粉末状または顆粒状、あるいは、粉末状と顆粒状との混合物である無機化合物を収納する収納手段と、前記無機化合物への湯水の供給・停止を行う開閉手段とを備え、前記開閉手段を、前記無機化合物の上流側で、かつ、前記収納手段と一体に配設したことを特徴とする溶解装置である。
【0013】
これによって、粉末状または顆粒状、あるいは、粉末状と顆粒状の混合物である無機化合物が収納手段より流出した場合でも、開閉手段は、無機化合物の上流側に配置しているので、開閉手段に無機化合物が進入することはなく、開閉手段の耐久性を向上できる。
【0014】
また、これまで必要としていた電源回路と絶縁回路が削減できるため、装置全体のコンパクト化と低コスト化を実現するとともに、消費電力量を抑えることができる。
【0015】
第2の発明は、湯水を浴槽へ供給する浴槽水注湯回路と、前記浴槽水注湯回路を開閉する浴槽水注湯弁とを備え、前記第1の発明の溶解装置を、前記浴槽水注湯回路に、前記浴槽水注湯弁の下流側に配設したことを特徴とする給湯装置である。
【0016】
これによって、溶解装置は浴槽への湯はり停止時などに生じるウォーターハンマー現象(浴槽水注湯回路等の水圧上昇)の影響を受けないため、溶解装置の耐圧構造を簡素化することができる。さらに、浴槽への湯はりの水流を利用するため、湯はりと同時に無機化合物を溶解させた水を浴槽へ供給できるので、利便性が向上する。
【0017】
第3の発明は、湯水を浴槽へ供給する浴槽水注湯回路と、前記浴槽水注湯回路を開閉する浴槽水注湯弁とを備え、前記第1の発明の収納手段の相当直径を、前記浴槽水注湯回路の相当直径よりも大きくしたことを特徴とする給湯装置で、水が無機化合物収納容器を通過する際に生じる圧力損失の増加を低減させ、浴槽への湯はりを早く完了することができる。
【0018】
第4の発明は、前記第1の発明の溶解装置を、本体筐体内に配設したことを特徴とする給湯装置で、低外気温時であっても貯湯タンク、電源回路などからの僅かな放熱により筐体内の雰囲気は常時加温されているため、溶解装置の凍結防止などの断熱が簡素化、または不要となる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における溶解装置の構造図を示すものである。
【0021】
図1において、無機化合物11は粉末状、または、顆粒状、または、粉末状と顆粒状の混合物であり、無機化合物収納容器12に収納される。前記無機化合物収納容器12は水流方向に向かって略すり鉢状にひろがった形状としている。
【0022】
無機化合物11は水に対して溶解性を持つ。図1の無機化合物11は径が異なる顆粒状のものであり、これを多層状となるように構成すると、無機化合物収納容器12内には多
孔質の空間が形成される。濾過手段13は複数の小穴を有し、無機化合物収納容器12の端部に収納される。
【0023】
無機化合物収納容器12と濾過手段13とは連通され、無機化合物収納容器12は濾過手段13の上流側となるように構成される。バイパス回路開閉手段50は、浴槽水注湯回路39から分岐させたバイパス回路15に、無機化合物11の上流側で、無機化合物収納容器12の上部に、無機化合物収納容器12に一体に配設され、溶解装置16を構成している。
【0024】
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0025】
内部通水管14を経由して無機化合物収納容器12に流入する水は、重力方向と対向した上昇水流として無機化合物収納容器12に形成される多孔質の空間を通過する。
【0026】
前記、上昇水流の流速が一定の場合は、無機化合物11は径が異なる顆粒状のものであることから、下方から順に径の大きなものから小さなものへと分布した状態で前記上昇水流によってその流速に応じた水圧により流水と流動化する。
【0027】
前記、無機化合物収納容器12は水流方向にそって概略すり鉢状にひろがった形状としていることから、無機化合物収納容器12内では上流ほど流速が大きくなり、水流方向にそって小さくなる水流速の分布が構成可能となる。
【0028】
一方、顆粒径の分布はその質量に応じた重力が作用して、上流ほど顆粒径のおおきなものが分布する。このことから顆粒径の大きさに比例して水流速を作用させることが可能となり、無機化合物11の顆粒径の大小にかかわらず均一で効率のよい流動化現象が可能となる。
【0029】
水には粘性があるため、流水と流動化した顆粒の多孔質の空間を通過する際に無機化合物11の表面から表面近傍の領域には速度境界層が生成される。図2はその速度境界層の状態を示す図である。
【0030】
無機化合物11の表面近傍の速度境界層の流速は小さく、多孔質空間の中心部を通過する流速は大きい分布となる。無機化合物11は水に対して溶解性を持つため、無機化合物11の表面近傍の11の表面分子は、表面近傍の水に溶解し、水の溶解濃度が上昇する。表面近傍の水は流速が小さいため、溶解濃度は高い値となる。
【0031】
これに対して流速の大きい多孔質空間の中心部の流れる水の溶解濃度は低い。このとき、水中に溶解する無機化合物の濃度差が生じた場合は、濃度差に応じて高い方から低い物質が移動する(フィックの法則)ため、表面近傍の水に溶解した無機化合物は濃度の低い中心の水に移動する。
【0032】
流動化現象による攪拌効果により無機化合物11の表面近傍と流速の大きい多孔質空間の中心部の流れる水との濃度差をより大きくしながら物質拡散の原理を、利用することで、無機化合物11をより効率よく多孔質空間内の水に溶解させることができる。
【0033】
濾過手段13は、無機化合物収納容器12内の水勢によって無機化合物11の顆粒が無機化合物収納容器12から流出しようとした場合、これを防止するものである。
【0034】
バイパス回路開閉手段50は通常、浴槽へ湯水を供給するため、浴槽水注湯回路39に湯水が流れるとき開となり浴槽水注湯回路39の湯水の流れが停止したときに閉となるよ
うに溶解装置16の動作を制御するものであるが、溶解装置16の動作は湯水の流れを前提として動作する。
【0035】
よって、浴槽水注湯回路39に湯水が流れない場合でも通電し開としても問題はない。冬季などの外気温が低い場合は無機化合物収納容器12に残存した水が凍結して無機化合物収納容器12を破損する心配がある。
【0036】
そういった場合において無機化合物収納容器12はたとえば電磁弁としたバイパス回路開閉手段50と一体とした構成としているため電磁弁のコイルに電流を印加することでコイルが発生する熱により無機化合物収納容器12が保温され凍結を防止できる。
【0037】
また、バイパス回路開閉手段50は弁体51と弁座面52が接触した場合に、バイパス回路15を閉とするように無機化合物11の上流側に構成されている。
【0038】
無機化合物11は、粉末状、または、顆粒状、または、粉末状と顆粒状の混合物であるので、濾過手段13の濾過精度より粒径の小さいものは濾過手段13を通過して流出する可能性がある。
【0039】
ただし、流出した場合でも、バイパス回路開閉手段50は、無機化合物11の上流側に配置しているので、バイパス回路開閉手段50の弁体51と弁座面52の間に、たとえば粉状の無機化合物が残留することによる、弁体51と弁座面52への悪影響を完全に防止できることになる。
【0040】
これによって、溶解装置の信頼性をより長期間において維持することができ、より安定して、均一で効率のよい流動化現象による攪拌効果を伴い、水と無機化合物の間の溶解濃度差で物質が移動する、物質拡散(フィックの法則)の原理で、水に無機化合物をより効率よく溶解させることが可能となる。従って、利用者への利便性とサービス性を長期間安定して供給できる。
【0041】
また、これまで必要としていた電源回路と絶縁回路が削減できるので、コンパクト化、低コスト化、さらには消費電力量を抑えた給湯装置とすることができる。
【0042】
尚、無機化合物を、亜鉛を含む亜鉛化合物(酸化亜鉛、炭酸亜鉛など)とした場合、以下の効果を得ることができる。亜鉛は比較的要求量の多いヒトの必須元素の一つであり、通常の食事からの供給では欠乏しやすく、栄養強化目的で、食品に添加される元素である。
【0043】
これに対しては、浴槽に亜鉛を溶解させた水を供給することで、入浴中に経皮吸収による栄養強化を行うことができる。
【0044】
図3は、溶解装置の無機化合物11と濾過手段13の寸法の関係を示す例である。図3において、濾過手段13は径の異なる複数の小穴13a、13b、13cから構成される。
【0045】
図4は、濾過手段13の構成図である。(a)は、線形状の繊維で角状の小穴を形成したものである。(b)は、所定の厚さの板に、複数種の径の小穴を施したものである。(c)は、粒状の非溶解材料を多層状として多孔質空間を形成したものである。
【0046】
何れも、無機化合物収納容器12内の水勢によって無機化合物11の顆粒が無機化合物収納容器12から流出しようとした場合、これを防止するものであるが、この構成と形状
の限りではない。
【0047】
溶解装置16を流出する溶解濃度は、無機化合物収納容器12を通過する水流速と、無機化合物11の水と接触する表面積等で決定される。溶解装置16の溶解濃度を所定値とする場合は、無機化合物11の全表面積をある範囲とする必要があるため、図3の無機化合物収納容器12に収納する無機化合物11の粒径をある一定の範囲内のサイズに選別したものを利用する必要がある。
【0048】
選別を行うと、コストアップの要因となるため、複数の径を有する無機化合物11の中において、無機化合物11の最大粒径D1に対して、濾過手段13の小穴13aの径D2は、D2<D1とした場合、以下の効果を得ることができる。
【0049】
D2未満の粒径の無機化合物11は、小穴13a、13b、13cから流出する。利用初期は粒径の小さいものは、溶解装置16外へ流出するが、所定時間経過後は、D2以上の粒径の無機化合物11は無機化合物収納容器12内に貯留され続ける。
【0050】
この状態が形成された場合、無機化合物11の粒径をある一定の範囲内のサイズに選別したことと同等となる。従って、サイズが混在する無機化合物11を用いても、目的とする濃度を水に溶解させる構造となる。
【0051】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態における給湯装置の構成図を示すものである。
【0052】
図5において、圧縮機22、給湯熱交換器23、減圧手段24、蒸発器25を冷媒回路26で順に環状に接続してヒートポンプユニット21を構成している。貯湯ユニット27の貯湯タンク28には水が貯留されており、出湯回路30は貯湯タンク28、給湯水ポンプ29、給湯熱交換器23、貯湯タンク28を順に接続する回路である。浴槽水加熱回路35は、貯湯タンク28、風呂熱交換器33、浴槽水加熱ポンプ34、貯湯タンク28を順に接続する回路であり、風呂熱交換器33の他方の回路には浴槽42が接続されている。
【0053】
浴槽水循環回路41は、浴槽42、浴槽水を搬送する浴槽水ポンプ40、風呂熱交換器33を順に接続する回路である。浴槽水注湯回路39は、貯湯タンク28の水を、浴槽水循環回路41を経由して浴槽42へ注湯する回路である。
【0054】
この回路には貯湯タンク28の高温の水と水道水を混合する浴槽水混合弁36、注湯する水温を検知する温度検知手段37、浴槽水注湯回路39の回路の開閉を行う浴槽水注湯弁38を順に備える。溶解装置16は浴槽水注湯弁38の下流側の浴槽水注湯回路39に本体の筐体に収納するように設けた。
【0055】
ヒートポンプユニット21で貯湯タンク28に貯留された水を加熱する運転は、以下のような動作となる。貯湯タンク28の水は、給湯水ポンプ29によって給湯熱交換器23へ搬送され、ヒートポンプサイクル動作によって加熱される。給湯水ポンプ29は給湯熱交換器23で加熱された給湯水の温度が予め決定した温度になる様に、出湯回路30の流量を制御する。
【0056】
浴槽42への湯張り、並びに、浴槽水の加熱は以下のような動作となる。浴槽水注湯回路39の浴槽水混合弁36は、温度検知手段37で検知する注湯温度がリモコン等(図示せず)で予め設定された温度となるように、高温の水と水道水の混合割合を調整する。
【0057】
所定温度となった浴槽水は、浴槽水注湯回路39、浴槽水循環回路41を順に経由して浴槽42へ流出する。一方、浴槽42の浴槽水を加熱する場合は、貯湯タンク28に貯留された高温の水を、浴槽水加熱ポンプ34によって風呂熱交換器33へ搬送し、浴槽水ポンプ18より搬送された浴槽水を加熱する。風呂熱交換器33で浴槽水を加熱して温度が下がった給湯水は、貯湯タンク28の下部より内部へ流入する。
【0058】
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0059】
利用者が浴槽42へ湯はりを行う場合は、リモコン等で湯はり動作の指示操作を行う。リモコン操作後、予め設定された温度に浴槽水混合弁36で調整された水が、浴槽水注湯弁38を閉から開に制御した場合に、溶解装置16、浴槽水循環回路41を経由して浴槽42に流出する。水が溶解装置16を通過する際に、無機化合物が水に溶解するので、浴槽42に湯はり動作と同時に、無機化合物11を溶解させた水が浴槽42に流入する。
【0060】
溶解装置16は、浴槽水注湯弁38の下流側としたが、浴槽水注湯弁38が開から閉へ制御された場合は、ウォーターハンマー現象が発生し、上流側の回路に設けている、浴槽水混合弁36、貯湯タンク28等は水道圧以上の水圧負荷を与える。下流側に設けることによって、溶解装置16への水圧負荷が掛からない。
【0061】
以上のように、本実施の形態においては、浴槽水注湯回路と、浴槽水注湯弁を備え、浴槽水注湯弁、溶解装置の順に浴槽水注湯回路に備えた給湯装置とした。これにより、溶解装置は浴槽への湯はり停止時などに生じるウォーターハンマー現象(浴槽水注湯回路等の水圧上昇)の影響を受けないため、溶解装置の耐圧構造を簡素化することができる。さらに、浴槽への湯はりの水流を利用するため、湯はりと同時に無機化合物を溶解させた水を浴槽へ供給できるので、利便性が向上する。
【0062】
本発明において、溶解装置16は給湯機の本体筐体に収納し、浴槽水注湯回路39としているが、浴槽水循環回路41に設けても、浴槽42へ無機化合物11を溶解させた水を供給することが出来る。また、本体筐体外部の浴槽水循環回路41に設けることも可能であるが、本体筐体内部の雰囲気温度は、低外気温時であっても貯湯タンク28からの放熱により、筐体内部の雰囲気は常時加温されるため、溶解装置16の凍結防止などの断熱が不要、または簡素化できる。
【0063】
また、給湯機を貯湯式給湯機とした場合、貯湯タンクには高温の湯を貯湯するので、この高温の湯を化合物溶解装置へ供給することによって機器の殺菌、滅菌を行うことができる。また、水中に溶け込んでいる残留塩素が貯留中に少なくなるので、本体の材質は耐腐食性材料ではなく、安価な汎用部品を使うことができる。
【0064】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における溶解装置の構造図を示すものである。
【0065】
図6において、溶解装置16の入口と出口は浴槽水注湯回路39に接続されている。無機化合物11を収納する無機化合物収納容器12の相当直径d1、浴槽水注湯回路39の相当直径d2とした場合、図6においてそれぞれをd1>d2となる大きさなるように決定した。
【0066】
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。無機化合物11を収納した無機化合物収納容器12、濾過手段13を設けたので、溶解装置16を水が通過する際に、圧力損失が生じる。圧力損失が生じると、浴槽42へ供給する水の流量が低下する。
【0067】
ここで、無機化合物収納容器12の相当直径d1を、浴槽水注湯回路39の相当直径d2に対して、d1>d2となる大きさとすると、無機化合物収納容器12の平均流速u1は、浴槽水注湯回路39の平均流速u2より小さくなる。水回路の流体の圧力損失は、流体の平均流速の2乗に比例するため、溶解装置16を通過する際の圧力損失の増加を低減させることができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態においては、無機化合物収納容器の相当直径を、溶解装置を接続する浴槽水注湯回路の相当直径よりも大とすることにより、無機化合物を通過する水流による圧力損失を低減し、浴槽への湯はり時間を早く完了することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる溶解装置は、コンパクト化、低コスト化、運転効率向上に繋がり、貯湯式給湯機の他、ガス熱源の給湯機にも利用できる。
【符号の説明】
【0070】
11 無機化合物
12 無機化合物収納容器(収納手段)
13 濾過手段
14 内部通水管
15 バイパス回路
16 溶解装置
21 ヒートポンプユニット
27 貯湯ユニット
28 貯湯タンク
36 浴槽水混合弁
37 温度検知手段
38 浴槽水注湯弁
39 浴槽水注湯回路
42 浴槽
50 バイパス回路開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状または顆粒状、あるいは、粉末状と顆粒状との混合物である無機化合物を収納する収納手段と、前記無機化合物への湯水の供給・停止を行う開閉手段とを備え、前記開閉手段を、前記無機化合物の上流側で、かつ、前記収納手段と一体に配設したことを特徴とする溶解装置。
【請求項2】
湯水を浴槽へ供給する浴槽水注湯回路と、前記浴槽水注湯回路を開閉する浴槽水注湯弁とを備え、前記請求項1に記載の溶解装置を、前記浴槽水注湯回路に、前記浴槽水注湯弁の下流側に配設したことを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
湯水を浴槽へ供給する浴槽水注湯回路と、前記浴槽水注湯回路を開閉する浴槽水注湯弁とを備え、前記請求項1に記載の収納手段の相当直径を、前記浴槽水注湯回路の相当直径よりも大きくしたことを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の溶解装置を、本体筐体内に配設したことを特徴とする給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−220074(P2012−220074A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85152(P2011−85152)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】