説明

滑り止め付きまな板

【課題】食品を切ったり、支えたりするために使用する、持ち上げられ、可搬性の、より改良された滑り止め付きのまな板を提供する。
【解決手段】本願のまな板(12)は、食品を切ったりあるいは支えたりする過程の間まな板が滑るのを抑えるよう静止摩擦性を高める下向きとされた多数の突起が固定されている剛性で平坦な基板を含み、前記突起はまな板の基部に事前成形した通路(108)によって供給される熱可塑性弾性材料を事前成形した凸形突起(106)に結合させることによって形成することができる。まな板の底には製造コストを下げるために滑り止め材料と結合させるための突起と供給通路を成形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、食品、家庭用品、およびその他の材料を安全に支えたり、切ったりするためのまな板(cutting board)に関するものである。カウンタートップ、テーブルトップ、あるいは平坦な面からまな板を十分持ち上げ、物を切ったり、あるいは支えたりする過程の間便利である、大きく集中的な掴持の、滑り止め付き静止摩擦領域(traction area)を提供する静止摩擦面(traction surface)を形成して、ジュースあるいはその他の流体がまな板の下を流れてまな板の下、周りあるいは表面に溜まったり、まな板が滑るのを避け、それによって病原菌の生長を最小化し、滑りやすくかつ危険な状態の発生の可能性を減少させる、個別の下向き突起を適用して、安全性が得られる。本発明はまた、製造コストの低いまな板を形成する方法も含む。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野においてまな板は周知であって、その上で食品およびその他の材料を切ったり、カウンタートップを保護したりする面を備えることを主として設計されているが、大抵は確実に安全な道具を提供してはいない。食品やその他の材料を切ることは基本的に危険な仕事であり、すなわち度々冷凍されていて、硬く、または扱いにくい品物に対して、そして切断過程の間品物から滲出してくる流体によってもたらされるべとついた環境において、かつ常に何ら安全あるいは保護的装置あるいは用具を使用することなく、圧力を加えて鋭利なナイフあるいは肉きり包丁を使用するからである。切断されると滲出してくる食品の流体はまな板の上に出てくることが多い。家庭の台所のカウンターはそのような物切りが最も頻繁に行われる面であり、通常の日々の食事を準備する間家族の人々がそれらの最も頻繁な使用者である。このような環境で保護されてない未熟練の使用者は特に安全に対する警戒を必要とする状況を示す。
【0003】
当該技術分野で知られているまな板の構造はこのような安全上の危険性を指向していないか、あるいはこの問題を完全あるいは適切に解決していないかのいずれかである。例えば、ボドモルニー(Bodomolny)に対して発行された米国特許第5,984,294号(U.S. Patent No. 5,984,294)は、交換可能な物体を切る面と、底面に接着剤あるいはステンレス鋼のねじで固定された個々に取付けのゴムの脚、離隔したゴムの踏み板、あるいはゴムグリップの形態の静止摩擦要素(traction elements)を備えたまな板を開示している。ボドモルニーの特許は本発明において記載されている、一体成形の静止摩擦要素、高さ、量、間隔、形状、表面積、および全体の底面の形態に関するパラメータの使用を教示あるいは示唆していない。まな板の下の利用可能な空間およびそこから得られる静止摩擦に関する流体力学の結果としての滑りと静止摩擦の低下とは、本発明が焦点を当てている突起の高さ、数、形態および個々の形状に関して何ら対応されていない。
【0004】
ポッター(Potter)に対して発行された米国特許第4,930,759号(U.S. Patent No. 4,930,759)は、切るべき食品と係合しかつ保持するスパイク付きのプラットフォームと、ナイフの刃の案内装置と、本発明において開示されている、静止摩擦のためと、溜まった流体がまな板と直接接触することによる滑り作用によって生じる滑りを阻止するために底面を高くするのではなくてジュースや食品に係わるくずを一時的に保留しておくための上面における複数の溝つきくぼみとを備えたまな板を開示している。ポッターの特許はカウンタートップにおけるまな板装置の動きを抑制することではなく逆に切るべき物に対して適用する食品を保持する要素を提供している。
【0005】
ギブソン(Gibson)に対して発行された米国特許第5,527,022号(U.S. Patent No. 5,527,022)はまな板の四隅に位置したゴムのような可撓性で、摩擦を高める材料から構成されたレベル合わせ要素を備えた長方形のまな板を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、まな板の底面(下側)の一部として成形され、前記底面全体に亘って空間を空けて配置され、かつ離隔されている、総体的に複数の(最小13個が好ましい)凸形突起を備えた面接触部の数を増すことによって静止摩擦性(traction)を向上させている。本発明における摩擦接触部の位置、面積、寸法および数は、重いことがよくある、まな板の面に位置された品物を支えるまな板の支持能力を増すのみならず、底上げのための接触点の数と、カウンタートップと接触している突起の表面積とを大きくすることによって静止摩擦性も向上させる。隅にのみ数個の突起が位置している場合、まな板は最少数および最小量の面接触部によるのみならず、まな板の面に置かれた品物の重さによるまな板の曲がりによっても生じる滑りを実際に受けうる。切るべき品物が重いと、四隅における支持のみであってその下に付加的な支持がない場合に、まな板の最中心部分に配分された重さによって隅における面接触面積は実際に減少しうる。中央の重さによる圧縮が支持体を内方に傾斜させ、それが摩擦接触の量を減少させるのみならず、突起の接触部の下を流体が流れうるようにし、それによって滑りが起こりうるようにする。物を切ることによる下方への力がまな板の中央に向けられた非支持の力を更に増加させると、このような状態は更に悪化しうる。
【0007】
本発明の出願人は、まな板の全体面積に対する所定の全体表面積の比を提供する少なくとも数個の摩擦接触突起がまな板の底全体に亘って空間をおいて配置され、かつ離隔されると、切るべき品物の重量はその下で直接支持されるのみならず、その品物の重さが突起の摩擦接触力を高めるものと考えている。
【0008】
滑り止め付きのまな板は肉屋の肉切り台のカウンタートップや同じような大型で、重く、固定された装置として長期に亘り存在してきたが、これらの装置は空間を占め、厄介で、かつ可搬性でもなく、例えば皿洗い機において、容易かつ適切に洗うことができない。
【0009】
まな板の全体的な静止摩擦性を提供し、まな板の滑りを減少させるのみならず、物を切るための面全体における食品やその他の材料の支え性を高め、まな板の下を流体が流れるように底上げされ、可搬性で、空間を節約し、皿洗い機で安全かつ衛生的に使用されるまな板に対する要求が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の食品用まな板は、静止摩擦のため、および食品を切る過程の間特にまな板の中央部分において食品あるいはその他の対象物の支え性を高めるためにカウンタートップ面を掴持する所定の全体面接触を提供する平坦な面を備えた、パターン化した複数の離隔した可撓性突起を有する底静止摩擦面に融合されるか、あるいは固定され、かつ該面によって支持されている基板(base board)を有する、底上げされた、滑り止め付きの食品を切ったり、支える板(board)を含む。複数の突起によって形成された食品を切りおよび支える面の位置が高くされているため、まな板の下方にはジュースや流体を受け入れ、かつ流し去る領域が存在している。まな板の下にある流体のための流路は、使用中まな板がカウンタートップと同一面に着座する場合の状況と同じように食品により近いところでまな板の周囲の周りに溜まるのではなくて、まな板の下で流れが増し、かつ通気されるためまな板の上や周りでの病原菌の生長の可能性を減少させる。複数の突起と、静止摩擦のための全体面接触面積とが、カウンタートップの上方にまな板を底上げ(elevation)しない場合および(または)摩擦接触用突起がまな板の下側の四隅のみに位置している場合に起こりやすい滑り作用の可能性を低減する。滑り作用が排除されると滑動の可能性や身体への傷害の可能性が低減する。まな板を底上げすることはその下を流体や空気が自在に流れうるようにするが、その高さは使用を複雑にしたり、不安定性をもたらす程高くはしない。
【0011】
カウンタートップで動いたり、滑ったりするのを阻止するこのまな板は、剛性で、耐久性があり、平坦な水平の基板であって、均等な高さであるが寸法や形状は均等であっても、可変であってもよく、底面の静止摩擦面の概ね全体にわたって延在している下向きで離隔した突起を備えていて、前記基板の上に横たわり、それと当接した、可撓性の静止摩擦底面を有する基板からなる。
【0012】
前記基板および静止摩擦面の好適な形状は概ね長方形であるが、切るべき、あるいは支えるべき材料を受け入れる寸法である限り、例えば六角形、八角形、円形、楕円形、三角形、偏菱形、自由な形状、あるいはアニメ化した、あるいはアニメ化していない商品に似せてデザインした形状のようないずれかの幾何学的形状も使用しうる。
【0013】
概ね底が平坦で、好ましくは静止摩擦面の下側に一体成形され、そこから下向きにされている複数の突起は、安定性と使いやすさとを保ちながら、下方を流体が十分流れうるようにする高さである。これらの突起は安定性を高め、流体が下を自在に流れうるような要領で静止摩擦面の概ね下側全体に亘り位置し、かつ均等に、あるいは散発的に空間を置いて配置されている。前記突起は、支え性および静止摩擦性や、下方での流体の自在な流れのための空間、並びにカウンタートップと係合するための所定の接触面面積を提供しながら、頂部が平坦、立方体、切頭円錐体、ピラミッド形柱、半円形、円盤形、多面形、円盤形、円筒形、あるいは長手方向の同心状あるいはらせん状の隆起の形状、あるいは他の三次元の幾何学的形状あるいは自由形式の形態であって、基板を支持面から離して持ち上げる寸法であることが好ましい。
【0014】
持ち上げられた、滑り止め付きのまな板組立体は、ナイフあるいはその他の刃と係合するのに適した上面を有する、耐久性があり、連続した平坦で剛性の本体部と、物を切るための概ね平坦な面と基板と同じ形状および寸法でその下に位置して当接している静止摩擦要素を有する基板とから構成されている。前記静止摩擦要素は平坦な上面と、均等な高さであり、該静止摩擦要素の底面の上に空間を空けて配置され、かつそこから始まり概ね前記まな板の周囲まで、かつその周囲に沿って延在している少なくとも13個の下向きの、離隔された突起を有する底面とから構成されている。
【0015】
離隔した突起は、流体がまな板の下を流れうるようにまな板の下で十分な空気通路を備えるようにカウンタートップの上方で、まな板の本体を支持し、かつ持ち上げる。前記突起は、支え性を大きくしかつカウンタートップに対するまな板の摩擦掴持性を高めるために、カウンタートップとの所定最小量の面係合面積を提供するように静止摩擦面の下側の概ね全体に亘って空間を空けて配置される。
【0016】
本発明の更に具体的な特徴は、長方形で、概ね平坦なポリエチレンの基板と、前記基板と概ね同一の形状であり、前記基板の下に位置し、当接している可撓性シリコンからなる底静止摩擦要素とから構成され、底上げされた滑り止め付きまな板である。静止摩擦要素は平坦な上面と下面とを有している。静止摩擦要素の底面から、均等な高さであり、まな板に空間を空けて配置され、まな板の概ね周囲まで、かつその周囲に沿って延在している複数の下向きで、離隔した八面体の形状の突起が生じている。まな板の全体平面の面積の大きさと比較して、カウンタートップに対する前記突起の全体の組み合わされた接触表面積は3:4から1:10の間である。まな板は更に、使用の間、該まな板を運んだり、吊るしたり、安定化させるための取っ手として使用する人間の手のサイズの大きさの開口を含む。
【0017】
積層の要領でまな板の底面全体を被覆しうる成形した静止摩擦用滑り止め材料の一枚のシートを採用すると極めて良好に作用するものの、滑り止め材料それ自体は極めて高価である。本発明の出願人はまな板の掴持作用を低減させることなく、採用した滑り止め材料の容積を大いに低減させるまな板を製造する方法を改良した。まな板自体は、成形工程において複数の凸形円形突起をまな板の一方の側において均等に配分しているポリプロピレンのような剛性で、耐水性で、最小限の多孔性で、耐熱性で、耐久性のある材料で成形される。凸形円形の突起は球弧形であり、十文字網(criss−cross network)の形の通路によって相互に接続され、囲繞されている。相互に接続された通路すなわち溝は静止摩擦材料が二回目の成形がなされ、まな板の底に対して熱で接着され、突起を有している凸形の領域を被覆する場合、流路として作用する。この結果、極めて効果的な摩擦面を、但しまな板のコストを下げて提供する。
【0018】
一旦成形され、静止摩擦材料と組み合わされたまな板の底側は滑り止め材料で被覆された多数の離隔された支持突起によって著しい静止摩擦性を備える。
【0019】
滑り止め材料は、まな板のポリプロピレンのまな板面に対してかつ溝において化学的に結合され、かつ取り付けられた弾性で熱可塑性の高度に摩擦性の材料である。
【0020】
本発明の全体的な目的は、カウンタートップを掴持し、その下でジュースとか余剰の流体を通し、より大きな支え性を提供し、滑り作用を低減し、その上あるいは周りでの病原菌の生長の可能性を最小化し、カウンタートップとか、まな板がその上に載置される面を痛めない複数の突起によって下方で支持されている、可搬性で、皿洗い機での使用が安全で、底上げされたまな板を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、カウンタートップを掴持する複数の突起によって支持されたまな板であって、掴持作用を減ずることなくコストおよび使用される滑り止め材料の量を大きく低減させるために、元の成形されたまな板における複数のくぼみを通して成形され、かつ滑り止め材料で被覆されている複数の凸形突起を含む、可搬性で、底上げされたまな板を提供することである。
【0022】
これらの目的および以下明らかとなるその他の目的に従って、添付図面を特に参照して本発明を以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の分解した斜視図を示す。
【図2】本発明の一実施例による静止摩擦要素の下側を見た底面図を示す。
【図3】図2に示すまな板の同じ実施例の側面図を示す。
【図4】図1、図2および図3に示す同じ実施例の斜視図を示す。
【図5】使用時における本発明の図1−図4に示す実施例の斜視図を示す。
【図6】本発明の第二の実施例の斜視図を示す。
【図7】本発明の第三の実施例の部分的な底面図を示す。
【図8】本発明の第三の実施例の下側の部分的な底面図を示す。
【図9】本発明の第四の実施例の下側の部分的な底面図を示す。
【図10】図9に示すまな板の第四の実施例の側面図を示す。
【図11A】滑り止め用の成形された凸形突起カバーを含む、まな板の底面を示す本発明の別の代替実施例の斜視図を示す。
【図11B】図11Aの11B部における、成形されたまな板の凸形突起の取付け部と、最終の成形段階および熱接着段階の間滑り止め材料を受け入れる囲繞供給通路の一つの破断斜視図である。
【図12】掴持用の滑り止め材料を添加する前の本発明の代替実施例によるまな板の底側の部分的に破断した斜視図を示す。
【図13】掴持用材料をまな板の突起に熱で接着した状態の本発明の代替実施例の掴持底側の部分的に破断した斜視図を示す。
【図14】滑り止め材料がまな板の底から取り外し可能であるように本発明の代替実施例に対して使用される掴持用滑り止め材料の斜視図を示す。
【図15】図示目的のみに対してまな板から取り外した本発明の代替実施例の掴持縁部の部分的に破断した斜視図を示す。
【図16】滑り止め材料を突起に接着させたまな板の上面の部分的に破断した側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適実施例を示す図面を参照すれば、図1は全体的に10で示すまな板組立体の分解した斜視図を示しており、該組立体は、耐久性があり、剛性で、著しく滑らかで、連続し、平坦な切断用の面26と、下側30に下向きで離隔した可撓性の突起12を備えた可撓性の静止摩擦要素18の滑らかで、平坦な上側28を受け入れる、反対側の滑らかで平坦な底面32とを有する基板14を含む。突起12を備えた可撓性静止摩擦要素18は一体成形することが好ましいが、突起12は、例えば接着剤あるいは熱によって弾性の可撓性の静止摩擦要素18に個々に取付けてもよい。基板の底面32と静止摩擦面18の上面側28とは、接着剤38、ねじ、ボルト、クランプ、熱溶着、あるいはその他の耐水性あるいは機械的な取付け手段によって相互に隣接して固定されると、当接して層をなす要領で、周縁部を面一にして相互に受け入れるように適当な寸法、形状および面生地とされている。基板は、例えば木、ゴム、プラスチック、アクリル、シリコン、例えばポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ビニール、オレフィン、ポリマー、スチレン、あるいはこれらの材料の積層物、あるいは食品工業において使用が承認されているその他の丈夫な材料、但し好ましくはポリエチレンのような、著しく剛性があり、耐水性で、非多孔性か、あるいは最小多孔性で、耐熱性で耐久性のある材料から形成されている。基板は概ね長方形が好ましいものの、例えば八角形、六角形、菱形、円形、楕円形、三角形、あるいは自由な形状、アニメ化した、あるいはアニメ化していない物体に似た形状のような、概ねいずれの幾何学的形状としてもよい。
【0025】
図2と図4とは截頭半球形の突起12と共に示された静止摩擦要素の、それぞれ底面図および斜視図で示す二様の図面を提供する。しかしながら、本発明はこの形状のみに限定する意図はなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0026】
図3は、静止摩擦面18の下側30から始まった切頭半球形突起を示す、まな板10の側面図を示す。基板14は静止摩擦要素18を取付ける接着剤38と面一にぴったりと合わされ、完全なまな板10を形成する。前記静止摩擦要素は、滑動したりあるいはずり落ちるのを阻止するが、カウンタートップあるいは平坦な面を損傷させないようにするに十分な引きずり性すなわち掴持性を備え、カウンタートップあるいはその他の平坦な面に対して摩擦接着可能である、プラスチック、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンのようなポリオレフィン、シリコン、ビニール、あるいは天然ゴムまたは合成ゴムのような一体成形の可撓性の材料から形成されている。シリコンは可撓性であり、皿洗い機において一般に経験される熱レベルに耐えるため好ましいものである。静止摩擦面18の下側30から、前記静止摩擦面18の底面30の略全体に亘り、相互間が均等な間隔をおいて、あるいは散発的に配置された、下向きとされる少なくとも13個の突起12が生じている。13個の突起は、その下を通る流体が流れうるようにしながら、実際の接触面積の量を増すことによってカウンタートップを適切に掴持する、カウンタートップと接触する最小量の表面積を備えるものである。前記突起はまた、まな板の縁部の安定性を増すように概ねまな板の周囲まで、かつそれに沿って延在することが好ましい。突起の高さおよび間隔は、食品を切る時に一般に存在するべとついた環境とまな板の平坦面全体が直接接触する場合に屡見られる滑りの可能性を減ずるようにまな板の下および突起の間をジュースやその他の液体が流れうるようにされる。
【0027】
突起の好適な高さ範囲は約2.0ミリメートルから1センチメートルまでの間で、約2.5ミリメートルから5センチメートルまでの間の距離を離隔される。
【0028】
図5はナイフ22で肉24を切っている使用中のまな板10を示す。基板14の物切り面26はカウンタートップ16の上方に持ち上げられ、カウンタートップと静止摩擦面18の下側30との間にジュースあるいは液体34を受け入れ、かつ流し去るための空間20を残している。突起12は液体34の膜の上でまな板が滑るのを阻止するにカウンタートップあるいはその他の支持面を適切に掴持するに十分な高さと幅(全体接触面積)のものである。複数の突起12は、支え性を高めるために静止摩擦面18の下側30の特に中央部分に亘って、そして安定性を高めるために概ね縁部まで延在することが好ましい。突起12は直線パターン、特殊デザイン、長手方向、同心状、直交方向、あるいはその他のいずれかの自由形状で配置しうる。まな板10はカウンタートップ、床、あるいはその他の固定位置にねじ止め、釘打ち、あるいはその他の方法で固定されないので、必要性が満たされるか、あるいは仕事が終了したとき支持面から簡単に持ち上げることができる。そうすれば、まな板すなわち支え板は手で、あるいは皿洗い機において満足に、かつ容易に洗うことが可能で、何ら分解を必要とせず、格納も容易で、所望位置まで容易に搬送することができる。
【0029】
基板14の物切り面26はきめを荒くするかざらつかせることが好ましいが、完全に滑らかにしてもよく、ただし滑らかなのは、ざらつき、すなわち色々な生地をつけた物切り面ほど安全ではないかもしれない。静止摩擦面18は柔軟に滑らかとすることが好ましい。柔軟性は、使用中、まな板が載置される面における突起の掴持作用を可能とさせる。基板と静止摩擦面の長さ、幅および全体の形状は、まな板の周囲で滑らかで、面一の良好に適合した縁部を形成するように同一であることが好ましい。好適な基板の寸法は幅が約127ミリメートル(5inches)から457.2ミリメートル(18inches)の間で、長さは約177.8ミリメートル(7inches)から508ミリメートル(20inches)の間で、厚さは約6.35ミリメートル(0.25inch)から19.05ミリメートル(0.75inch)の間である。まな板の最も好ましい寸法は、幅が約203.2ミリメートル(8inches)で、長さが279.4ミリメートル(11inches)で、厚さが11.43ミリメートル(0.45inch)である。静止摩擦面は基板ほど厚くないことが好ましいが、静止摩擦面は厚さを基板と等しいか、あるいはそれより大きくすることができる。静止摩擦手段18の好適な厚さは突起12を含み、5.08ミリメートル(0.2inch)である。基板と静止摩擦手段とは好ましくは射出成形、熱形成、あるいは真空形成によって構成されることが好ましいが、当該技術分野で知られているその他の方法を使用してそれら各々を一体構造に形成するか、あるいは接着剤、ねじ、あるいはその他の結合手段を必要とすることなく一体物として2個を一体に成形あるいは一緒に融合させるために使用することができる。静止摩擦面18は基板よりも可撓性の材料から構成される。基板14、静止摩擦面18および突起12は透明、無色不透明、まだら、着色、模様付き、あるいは室内装飾、主題、あるいはテーマに似させた、あるいは調和させるか、適合するようなデザインおよび形状とすることができる。
【0030】
突起12は多面体、例えば四面体、五面体、八面体、六面体、および(または)半球形であることが好ましいが、柱状、ピラミッド状、円筒形、截頭円錐形、立方体、円盤状、自由形状でよく、あるいは安定性および概ね水平の物を切るための面を保証するよう均等な高さである限り細長く、同心状あるいはらせん状の隆起から構成しうる。全体の形状とは無関係に頭が平坦な突起はまな板に対してより大きな静止摩擦性を提供し、従って好ましいものである。図1、図2、図3、図4および図5は截頭半球形の突起を示しているが、代替的な実施例が図6、図7、図8および図9に示され、その他の実施例も本明細書に開示されているが、図面には反映されていない。
【0031】
どのような寸法および数量の突起が使用されようとも、より多い数の突起であればあるほど、あるいはより数が少なくてもカウンタートップあるいは支持面との実際の接触面面積が大きいほど、突起の間に流体が流れる空間が残っている限り掴持作用はより大きいものである。静止摩擦面の概ね下側全体に亘って複数の、離隔された配置の突起は、通常物を切るための面の最中央部分内で実行される強力な物切り作業の間まな板のより大きな物理的支持を提供する。柔軟な静止摩擦面の全体の外形寸法面積(長さに幅を掛けたもの)に対する突起の面面積との比は約3:4から1:200までの範囲、但し、好ましくは3:4から1:10の間であると見込まれる。
【0032】
突起の高さは、殆どの流体がまな板の下を容易に流れうるようにするに十分カウンタートップの上方にまな板を底上げするのに役立つことが重要である。
【0033】
まな板は、図6に示すように、基板14および静止摩擦面18を貫通し、人間の手で掴めるようにするに十分な形状とサイズである開口36を含むことが好ましい。この開口はまな板を吊るしたり、運んだり、あるいは安定にするための取っ手として使用するように位置させるべきである。
【0034】
図6において斜視図で、そして図7において部分的な底面図で示す突起は四面体である。
【0035】
図8は突起12が形状が円盤状、あるいは円筒形である第三の実施例の部分的な底面図である。
【0036】
図9は刻面をもつ八面体状の突起12を備えた静止摩擦面18の下側30を示す本発明の第四の実施例の部分的な底面図である。
【0037】
図10は図9において部分的な底面図で示された刻面をもつ八面体状突起を備えた本発明の側面図である。
【0038】
図11A,図11Bから図16までは、製造コストを下げるために滑り止め材料を少なくした滑り止め付きまな板を提供する本発明の代替実施例を示す。
【0039】
滑り止め材料は比較的安価である熱可塑性弾性材であることが好ましい。まな板一個当りの滑り止め材料の全体容積を低減することは各まな板の製造コストを大きく低減する。この代替実施例の目的は滑り止め付きまな板と、コストを低減した製造方法とを提供することである。
【0040】
まな板は二段階で製造される。第一の段階は図11Aに示すまな板の基板102を成形することである。第二の段階は滑り止め材料を成形し、まな板の底側104に接着させることであって、その結果図13に示す仕上がりのまな板が提供される。まな板の基板102の底面104は前記底面104に成形、すなわち形成された複数の成形凸形の突起106とアクセス通路108とを有している。これらの突起106と通路108とは基板102の形成と同時に形成される。前記突起106は図示のように丸いのが好ましいが、例えば規則的な形状や不規則な形状を含む円錐形断面あるいは六角形のようなその他の幾何学的形状に形成してもよい。突起106は全て同じ形状である必要はない。好適実施例においては、U字形の通路108は、熱可塑性弾性材である滑り止め材料が該通路108内を、そして凸形の突起106の上を流れて基板102の底面に添加されうるようにする垂直側壁108を有している。まな板102の上面は図1に示すものと同じである。
【0041】
図11Bを参照すれば、滑り止め材料が接着あるいは取り付けられる前に基板102の底面の一部として成形された1個の凸形突起106が示されている。突起106は、二回目の成形において、滑り止め材料が凸形の突起106の面に塗布され、かつ熱接着されるように各凸形突起面106まで基板104に亘り製造工程の間溶融した滑り止め材料を供給する供給通路壁108aを含む滑り止め材料供給通路108を含むよう事前形成された円形で、半球形の凸形面を形成している突起106である。滑り止め材料は供給通路108に残るが、滑り止め静止摩擦面の全体領域は各凸形突起106の面上に薄いコーティングすなわち薄い膜として形成された滑り止め材料を含む多数の滑り止め突起110(図13)の配列からなる。図13に示すまな板100においては、100個以上の凸形滑り止め突起がある。
【0042】
図11Aおよび図11Bに示すように、これは滑り止め材料を添加する前のまな板の基板102である。この代替実施例は以下のように構成されることが好ましい。基板102は図11Aに示すように成形される。次の段階は、滑り止め材料を基板102に取り付けることである。まな板の基板102の底面104は滑り止め材料を結合させるためのモールドの第一の半体を形成している。モールド(図示せず)の第二の半体は底面104に合わされる向きに位置される。加熱され、流動する熱可塑性弾性材の滑り止め材料が射出され、接合された上側モールドの2個の半体における通路108内を通され、該通路108内と、突起106の表面の上においてまな板の基板102に化学的に結合され、かつ接着される。まな板自体に結合され、硬化されると、滑り止め材料はたとえべとついたカウンタートップにおいてさえも、但しカウンタートップあるいは平坦な面を損傷させたり、引っ掻くことなしに、摺動あるいは滑りを阻止する十分な抗力すなわち掴持性を摩擦によって提供することができる。
【0043】
図12を参照すれば、滑り止め材料は介在していないが、まな板全体面積に亘って均等に配分された複数の円形で、半球形の凸形の突起106を備えているまな板の底面をより近接して見た図面が示されている。長方形の開口114がまな板の一端における取っ手を提供するよう機能する。凸形の突起106の各々は直線の隆起した壁108aと円弧状すなわち彎曲した壁108bとによって形成されている複数の通路108によって相互に接続されている。彎曲した円弧部分108bは円形凸形突起の106の扇形部分(segments)を囲繞する。直線の壁108aは、図12において見られるように、モールドの底面と結合される二次成形工程において最終的に射出される滑り止め材料すなわち掴持材料を形成するために使用される溶融熱可塑性弾性材が流れるようにする通路を凸形突起106の間で提供する。通路108が相互に接続されているため、相互に合わされたモールド(図示せず)が適所に置かれると、各通路108は溶融熱可塑性弾性材が前記通路を通してのみならず、完全に凸形の突起106の表面を覆うことができるようにして化学的に結合を形成し、滑り止め熱可塑性弾性材料を熱によって固定する。滑り止め材料が一旦結合されると、各通路108は滑り止め材料で充満される。弾性材料は本工程が終了した後も前記通路108内に留まる。
【0044】
さて、図13を参照すれば、まな板の底側から見た、まな板100として最終的な形態で本発明の代替的な実施例が示されている。図13に示すように、複数の凸形の滑り止め用キャップ110があるが、それらはまな板の底面104に対する成形および化学的な融合を通して複数の均等に離隔された多数の円形で、半球形の凸形滑り止め用キャップ110を提供し、該キャップ110はまな板の面に亘って各キャップ110を接続する滑り止め材料の平坦な帯112によって接合されている。滑り止め用キャップ110のみがカウンタートップと係合するものである。好適実施例においては、概ね均等に離隔された100個以上の個別の滑り止め用キャップ110があり、それらはまな板の底面表面積の25パーセント以上を構成し、掴持力を大いに高め、まな板の基板に亘ってまな板に加えられる何らかの重量および下向きの圧力を均等に分配する。開放した長方形の開口114がはまな板102の頂部分において取っ手を形成している。(図12に示すように)凸形の突起要素106の頂部に結合された滑り止め材料のキャップ110は、通路108に残留し、凸形突起110のキャップを接続している材料112よりかなり上方へ立ち上がっている。このように、まな板の底がカウンタートップあるいはその他の使用面と接触するとき、最初に滑り止め接触するのは、滑り止め材料のキャップ110がカウンタートップに対して掴持する際のそれらの相互作用を通して行われるものである。
【0045】
さて、図14を参照すれば、結合された熱可塑性弾性材のキャップ110と通路の材料112とを実際のまな板から取り外しできるとした場合の滑り止め材料の理論的な図が示されている。但し、図14は、もしもまな板から外すことが可能であるとした場合の一緒に成形されている滑り止め材料の相互に接続された網構造を示すものである。滑り止め材料の量は図4に示す滑り止め材料の積層したシートと比較すれば、材料が大きく節約されることが注目される。図15もまた、それがまな板から慎重に取り外し、分離できるとした場合に見られるであろう滑り止め材料を近接して見た図面を示している。図15は例示のみであり、滑り止め材料がまな板から取り外すことが可能とした場合に見られる熱可塑性弾性材のキャップ110と滑り止め材料112の相互接続部分との関係を示す。
【0046】
図16は滑り止めキャップ110が薄い層、あるいは突起106に対するコーティングとして結合される態様を示す。
【0047】
滑らかな上面と、全てが直線の通路によって相互に接続されている複数の凸形の円形半球形突起110(少なくとも100個から150個の突起)を含む極めて良好に画成された事前成形底面とを有するポリプロピレンの剛性の成形まな板を使用する本発明の代替実施例の目的は、熱可塑性の弾性材料のシート全体を使用しないようにして、まな板の上に掴持面を形成するために使用される熱可塑性弾性材料の量を大きく低減させることである。熱可塑性弾性材料は本質的に高価であるので、まな板の製造コストはまな板の有効な掴持面とまな板の面積とを減少させることなく実質的に低減することができる。
【0048】
本発明を最も実用的で、かつ好適な実施例と考えられるものにおいて図示し、かつ説明した。しかしながら、本発明の範囲内でそれらの実施例からの逸脱は可能であり、当該技術分野の専門家には明白な修正が想起される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
概ね平坦な物体を切るための上面と、複数の事前成形した凸形の突起を有する底面とを有する、剛性でかつ耐久性の基板と、
前記凸形突起に結合され、静止摩擦のための所定の面積を備える滑り止め材料とを含むことを特徴とする滑り止め付きまな板。
【請求項2】
前記基板の底面が前記凸形突起の間を接続する供給通路を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のまな板。
【請求項3】
前記滑り止め材料が前記基板の底面に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のまな板。
【請求項4】
滑り止め材料を前記供給通路の中の少なくとも1個中へおよび前記凸形突起の上に供給し、前記まな板の底面に対してモールドの面を向けることによって、掴持用の滑り止め面が形成されることを特徴とする請求項2に記載のまな板。
【請求項5】
前記滑り止め材料が前記凸形突起に結合されることを特徴とする請求項4に記載のまな板。
【請求項6】
前記凸形突起が球面弧状であることを特徴とする請求項1に記載のまな板。
【請求項7】
前記突起が中央の凸面を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のまな板。
【請求項8】
物体を切るための上面を有する基板の底面に滑り止め材料の供給通路と凸形突起を形成する段階と、
前記供給通路の少なくとも1個の中へ、かつ前記突起の上に滑り止め材料を供給する段階と、
前記材料を滑り止め面に成形するために前記基板の底面に対してモールドの面を向ける段階と、
前記基板の底面に前記滑り止め材料を結合させる段階とを含むことを特徴とする滑り止め付きまな板組立体を形成する方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−82741(P2009−82741A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13794(P2009−13794)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【分割の表示】特願2004−541428(P2004−541428)の分割
【原出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(505121372)
【Fターム(参考)】