説明

漏斗

【課題】詰替用の液体又は粉末を装着容器に詰め替える場合に、こぼれを防止し、詰替作業を簡便にする漏斗を提供する。
【解決手段】漏斗1Aが、上端に大径開口部3、下端に小径開口部4を備えた中空多角錐形状を有する。この漏斗1Aは、平坦に折り畳むことができ、大径開口部3及び小径開口部4を広げた状態で装着容器20の口部21に挿入した場合に、装着容器20と3点以上の複数点で接触し、装着容器20と漏斗1Aとの間に空気置換経路を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏斗及び漏斗を添付した詰替用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製、ガラス製等の剛性のある容器に充填して使用する液体や粉末を、詰替用として、袋に充填して販売することが広く行われている。
このような詰替用製品の販売は、省資源等の点で好ましいとされている。
【0003】
しかしながら、詰替用の液体や粉末を充填する剛性のある容器は、一般に口部の径が狭く、詰替用の液体や粉末を充填する際に、それらが周囲にこぼれやすいという問題がある。
【0004】
この問題に対しては、従来より漏斗が使用されており、持ち運びや収容に便利な組立式漏斗も提案されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2004-277014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている組立式漏斗は、三角形片を連設させた本体部を係止突片と係止スリットとの係合により中空多角錐形状に組み立てて使用するものである。この組立式漏斗は、本来的に香水等の少量の液体を元々の容器から小分け用の容器に詰め替えるときに使用するもので、数mLの液体の詰替には便利に使用することができる。しかしながら、例えば、液体洗剤等の詰替のように、数百mL以上の液体を詰め替える場合には、係合の緩みや遊びによって、係合部から液体が洩れたり、係合部が外れたりする場合があり、使用しにくいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、数百mL以上の液体を詰め替える場合でも、確実に液洩れなく詰め替えることができ、簡便に使用することのできる詰替用漏斗を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、上端に大径開口部、下端に小径開口部を備えた中空多角錐形状の漏斗であって、平坦に折り畳むことができ、該漏斗を、大径開口部及び小径開口部を広げた状態で装着容器の口部に挿入した場合に、装着容器と漏斗とが3点以上の複数点で接触し、装着容器と漏斗との間に空気置換経路を確保したことを特徴とする詰め替え用漏斗を提供する。
【0009】
また、この漏斗が詰替用液体又は粉末が充填されている袋に添付されている漏斗付詰替用製品を提供する。
【0010】
さらに、装着容器の口部に、この漏斗を挿入し、漏斗を介して装着容器に詰替用液体又は粉末を注入する詰替方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の漏斗は、中空多角錐形状であって、平坦に折り畳むことができるので、この漏斗を平坦に折り畳んだ状態とすることにより、詰替用液体又は詰替用粉末といった詰替用製品に簡便に添付することができる。しかも、大径開口部及び小径開口部を広げるだけで、容易に安定的に漏斗として使用することができ、漏斗から液漏れなどが生じることもない。
【0012】
また、この漏斗は、中空多角錐形状であることにより、装着容器の口部に3点以上の複数点で接触する。したがって、装着容器と漏斗との間に空気置換経路を確保することができ、詰替を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
図1は、本発明の一実施例の漏斗1Aの使用方法の説明図であり、図2は、その漏斗1Aを折り畳んだ状態の平面図、図3は漏斗1Aの展開図である。
【0015】
この漏斗1Aは、図3に示すように、概略扇形の薄板状材料を破線で示す折線Lで折り、のりしろ2xをその反対側の縁部2yと貼着することにより中空多角錐形状に形成したもので、6つの略三角形の側面2a、2b、2c、2d、2e、2fと、上端の大径開口部3と、下端の小径開口部4とを備えている。これらの6つの側面2a、2b、2c、2d、2e、2fの開き角θ0 は等しく形成されている。
【0016】
ここで、薄板状材料は、漏斗1Aで詰め替える内容物の種類によって適宜選択することができ、例えば、液体洗剤、液体漂白剤、柔軟仕上げ剤等の液体製品に対しては、プラスチックシート、表面に樹脂フィルムを貼合せたり耐水印刷やクレーコートした板紙等を使用することができる。
【0017】
このように漏斗1Aを薄板状材料を用いて中空多角錐形状に形成することにより、詰替用溶液又は詰替用粉末といった詰替用内容物40に対応する特定の装着容器20の口部21に漏斗1Aを挿入した場合には、装着容器20と漏斗1Aとが3点以上の複数点で接触し、装着容器20の口部21の周壁22と漏斗1Aとの間には間隙があき、空気置換経路が確保される。このため、この漏斗1Aを用いて、詰替用の液体又は粉末といった内容物40を装着容器20内に注入する際に、漏斗1Aに内容物40が一度に大量に吐出されても、装着容器20内の空気置換が速やかに行われるので、漏斗1Aから内容物40があふれることを防止し、詰替を迅速に行うことができる。そこで、本発明は、このような詰替用液体又は粉末の詰替方法も包含する。
【0018】
また、この漏斗1Aは、図2に示すように、側面の側辺を折線として2枚重ねに平坦に折り畳むことができる。したがって、後述するように、詰替用内容物40が充填されている袋30等の詰替用製品に簡便に添付することができる。
【0019】
さらに、この漏斗1Aでは、側面2a、2fがそれに対向する側面2c、2dに対して上方に延設され、この側面2a、2fの上部縁辺2a1 、2f1 が、それと対向する側面2d、2cの上部縁辺2d1 、2c1 と高さ方向に重なることなく上方に突出している。そして、上方に延設された側面2a、2fに隣接する側面2b、2eの上部縁辺2b1 、2e1 は、上方に延設された側面2a、2fの上部縁辺2a1 、2f1 とそれに対向する側面2c、2dの上部縁辺2c1 、2d1 とを滑らかに繋いでいる。この場合、上方に延設された側面2a、2fの上部縁辺2a1 、2f1 と、それに対向する側面2c、2dの上部縁辺2c1 、2d1 との高さ方向の差Hは、10〜50mmとすることが好ましい。
【0020】
これにより、装着容器20の上向きに開口した口部21に漏斗1Aを挿入し、袋30から吐出させた内容物40を、漏斗1Aを介して装着容器20に注入する際に、その内容物40を上方に延設された側面2a、2fに当てるように吐出させることができるので、内容物40を周囲にこぼすことなく容易に装着容器20内に注入することができる。また、2枚重ねに平坦に畳んだ状態にある漏斗1Aを、側面2a、2fの上方に突出した部分に指をかけることにより、容易に中空多角錐形状に広げることができる。
【0021】
この漏斗1Aは、それを側方から見た開き角θが45°以下、好ましくは20〜40°である。これにより、漏斗1Aを装着容器20の口部21に深く挿入することができるので、漏斗1Aの起立状態が安定し、漏斗1Aは、手で支えなくても自立することができる。したがって、内容物40の詰替時に、漏斗1Aを装着容器20の口部21に起立させてから袋30を開封することができ、また、袋30を両手で支えることが可能となる。このため、袋30が内容物40の吐出に伴い容易にその外形が変形するパウチ等の軟質のものであっても、詰替作業が簡便になる。そして、800〜2500mLの比較的大容量の詰替でも一般人が容易に行えるようになる。
【0022】
これに対して開き角θが広すぎると装着容器20の口部21に挿入した漏斗の起立状態が不安定となるので、装着容器20の口部21で漏斗1Aを起立させておくには、漏斗1Aを手で支えることが必要となる。反対に、開き角θが小さすぎると、大径開口部3の開きが小さくなり、内容物40をこぼさずに漏斗1Aの大径開口部3内に吐出させることが困難となる。
【0023】
さらに、漏斗1Aには、この漏斗1Aを装着容器20の口部21に挿入した場合に、装着容器20の内部において、口部21の周壁22の基部に掛止する掛止片5が突出している。これにより、漏斗1Aを装着容器20の口部21に挿入したときの漏斗1Aの起立状態を一層安定化させることができる。
【0024】
一方、漏斗1Aの小径開口部4には、複数のスリット6が開口している。これにより、図1に示したように、装着容器20内で内容物40が小径開口部4から下方に吐出されると共に、スリット6からも吐出され、装着容器20の内壁をつたわせて内容物40を充填していくことが可能となる。したがって、装着容器20内に注出する内容物40が衣料用液体洗剤等のように、界面活性剤を含有し、泡立ちやすいものであっても泡立ちを最小限に抑えることができる。よって、所期の詰替量を装着容器20内に注入する前に装着容器20から泡があふれてくる等の問題をおこすことがない。
【0025】
本発明の漏斗は、種々の態様をとることができる。
【0026】
例えば、図4に示す漏斗1Bのように、上述の漏斗1Aにおいて、掛止片5を、上方に延設していない側面2c、2d側に形成してもよい。これにより、内容物の詰替時に、吐出された内容物40によって漏斗1Bの側面2a、2fが押され、矢印pのように漏斗1Bを回転させる力が加わった場合に、漏斗1Bを装着容器の口部21に安定して起立させておくことができる。
【0027】
図5の漏斗1Cは、それを装着容器20の口部21に挿入した場合に、掛止片5が装着容器外から装着容器の口部21の周壁22の上端部に掛止するようにしたものである。これによっても、内容物の詰替時に、吐出された内容物40によって漏斗1Cの側面2a、2fが押され、矢印pのように漏斗1Cを回転させる力が加わった場合に、漏斗1Cを装着容器の口部21に安定して起立させておくことができる。
【0028】
図6の漏斗1Dは、上述の漏斗1Aにおいて、掛止片5と小径開口部4側のスリット6を省略したものである。装着容器20の口部21の周壁22の高さが十分にあるなどにより、漏斗1Dを装着容器20の口部21に挿入した場合に、漏斗1Dの起立状態が安定する場合には、掛止片5を省略してもよく、また詰替時の内容物の泡立ちが問題にならない場合には、スリット6を省略してもよい。
【0029】
図7の漏斗1Eは、図6の漏斗1Dにおいて、各側面の高さを揃えたものである。
【0030】
図8の漏斗1Fは、上述の漏斗1Aにおいて、大径開口部3の縁部の高さをなだらかに変化させたものである。
【0031】
図9の漏斗1Gは、上述の漏斗1Aの一つの側面を省略し、5つの側面2a、2b、2c、2d、2eから形成したものである。この漏斗1Gは図10(a)、(b)に示すように、平坦に折り畳むために、図11に示す展開図のように、側面2a内に折れ線Laを有している。なお、平坦に折り畳む態様としては、図10(a)の態様が、折り畳んだ漏斗のいずれにおいても面の重なりが2枚であり、より薄く平坦である点から好ましい。
【0032】
このように、本発明の漏斗においては、それを平坦に折り畳めるように折線が配置されていれば、漏斗を構成する側面の数は偶数、奇数のいずれでもよく、また、漏斗を構成する複数の側面の開き角θ0 は必ずしも等しくなくてもよい。ただし、詰替用の内容物40を充填した袋30に漏斗を添付して漏斗付詰替用製品とする場合のその製品の取り扱い性の点から、漏斗を構成する面の数は偶数とし、各側面の開き角を等しくし、漏斗を2枚重ねで平坦に折りたためるようにすることが好ましい。
【0033】
上述した漏斗の種々の変形態様は、適宜組み合わせることができる。
【0034】
また、本発明は、本発明の漏斗が、詰替用液体又は粉末が充填されている袋に添付されている漏斗付詰替用製品を包含する。この場合、漏斗の添付態様には特に制限はなく、例えば、図12に示すように、平坦に折りたたんだ漏斗1を、詰替用の液体又は粉末40が充填された袋30に剥離可能に貼着してもよく、平坦に折りたたんだ漏斗1を、詰替用の液体又は粉末40が充填された袋30と共に一つのパッケージに収容してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の漏斗は、液体又は粉末洗剤、漂白剤、柔軟仕上げ剤等の種々の液体又は粉末の詰替に簡便に使用できる漏斗として有用であり、詰替用の内容物が充填された詰替用製品の利用促進にも役立つものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例の漏斗の使用方法の説明図である。
【図2】実施例の漏斗を折り畳んだ状態の平面図である。
【図3】実施例の漏斗の展開図である。
【図4】実施例の漏斗の使用状態の説明図である。
【図5】実施例の漏斗の使用状態の説明図である。
【図6】実施例の漏斗の斜視図である。
【図7】実施例の漏斗の斜視図である。
【図8】実施例の漏斗の斜視図である。
【図9】実施例の漏斗の斜視図である。
【図10】実施例の漏斗を折り畳んだ状態の平面図である。
【図11】実施例の漏斗の展開図である。
【図12】漏斗付詰替用製品の模式図である。
【符号の説明】
【0037】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G 漏斗
2a、2b、2c、2d、2e、2f 側面
3 大径開口部
4 小径開口部
5 掛止片
6 スリット
20 装着容器
21 口部
22 周壁
30 袋
40 内容物、液体又は粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に大径開口部、下端に小径開口部を備えた中空多角錐形状の漏斗であって、平坦に折り畳むことができ、該漏斗を、大径開口部及び小径開口部を広げた状態で装着容器の口部に挿入した場合に、装着容器と漏斗とが3点以上の複数点で接触し、装着容器と漏斗との間に空気置換経路を確保したことを特徴とする詰替用漏斗。
【請求項2】
少なくとも1つの側面がそれに対向する側面に対して上方に延設されている請求項1記載の漏斗。
【請求項3】
側面の側辺を折線として2枚重ねに折りたたみ可能である請求項1又は2記載の漏斗。
【請求項4】
側方から見た開き角が45°以下である請求項1〜3のいずれかに記載の漏斗。
【請求項5】
小径開口部に複数のスリットが形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の漏斗。
【請求項6】
漏斗を装着容器の口部に挿入した場合に、装着容器の口部に掛止する掛止片が突出している請求項1〜5のいずれかに記載の漏斗。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の漏斗が詰替用液体又は粉末が充填されている袋に添付されている漏斗付詰替用製品。
【請求項8】
装着容器の口部に、請求項1〜6のいずれかに記載の漏斗を挿入し、漏斗を介して装着容器に詰替用液体又は粉末を注入する詰替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−286413(P2009−286413A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138612(P2008−138612)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】