説明

漏洩光検出装置の補助増幅器

【課題】光ファイバからの漏洩光の感度向上を図るための漏洩光検出装置を補助する補助増幅器に関するものである。
【解決手段】光ファイバを曲折して漏洩光を検出する漏洩光検出装置30の上流側に配設する補助増幅器1であって、押圧部材5と固定部材16の間に光ファイバ20を曲折する凹凸部12a〜12c、17a〜17cを形成し、前記凹凸部の曲率半径Rと光ファイバの口径dとの比を2.77〜0.33とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、光ファイバの活線判定または心線対照を行う為に、該光ファイバからの漏洩光を検出する漏洩光検出装置を補助する補助増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバに湾曲部が存在すると、その光ファイバを伝搬する光の一部は湾曲部で外部へ漏洩することが知られていているので、漏洩光検出装置ではその漏洩光を検出している。
この漏洩光検出装置の例として、特開2002−257676号公報に開示のものがあり、その漏洩光検出装置30の平面断面を図5に示す。
【0003】
光ファイバ心線が装着されるファイバー挿入部54に、心線を挟み込む固定クリップ51と可動クリップ52とを備えている。また、固定クリップ51には一対の微少な凹部61、62を、可動クリップ52には一対の微少な凸部63、64がそれぞれ形成してあり、これらの凹部61、62と凸部63、64により心線に小さな波形に変形を与える(マイクロベンディング)。そして、この漏洩光は、凹部61、62の下方に設けた受光センサ54、55で検出される。
【0004】
前記漏洩光検出装置で漏洩光を検出するに当たって、1次被覆層の材料が紫外線硬化樹脂であり、2次被覆層の材料がナイロン樹脂である場合には、湾曲部において生じた光ファイバからの漏洩光は1次被覆層および2次被覆層を透過して外部に出易く、光ファイバ心線の湾曲部での検出感度は比較的充分である。
しかし、1次被覆層の材料がシリコーン樹脂であり、2次被覆層の材料がナイロン樹脂である場合には、光ファイバ心線の湾曲部での検出感度は、よくないことがわかった。
そこで、特開2001−159580号公報では、第1の湾曲形成手段と第2の湾曲形成手段を設けて、前記第2の湾曲部からの漏洩光を検出する漏洩光検出手段を備える漏洩光検出装置が開示してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−257676号公報
【特許文献2】特開2001−159580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のように、第1の湾曲形成手段を設けて検出しても、その感度レベルは低く、活線状態の有無を誤判断することがある。そこで、発明者は、種々の実験をして、その原因として、第1湾曲手段における光ファイバの曲率半径が大きく、曲げ構造により挿入損失が大きくなることを突き止めた。
そこで、発明者は、光ファイバの曲率半径に関する、感度レベルを向上させることができる補助増幅器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1の発明は、光ファイバを曲折して漏洩光を検出する漏洩光検出装置の上流側に配設する補助増幅器であって、押圧部材と固定部材の間に光ファイバを曲折する凹凸状の曲折部を形成し、前記凹凸部の曲率半径と光ファイバの口径との比を2.77〜0.33とする。
補助増幅器における光ファイバの漏洩光は、凹凸部の曲率半径と光ファイバの口径との比を2.77〜0.33にすることによって、検出感度の向上を図ることができる。
【0008】
また、請求項2の発明は、押圧部材と固定部材の間に光ファイバの曲折部を2個形成することによって、漏洩光検出装置での漏洩光の検出感度を向上させる。
又、請求項3の発明は、押圧部材と固定部材の間に配設の光ファイバに、ネジ体を介して漏洩光量を調整することができ、検出感度の向上を図ることができる。
【0009】
請求項4の発明は、往復動可能な押圧部材に、固定されているガイド棒の端部にバネを取り付け、前記押圧部材を固定するロック機構を備えているので、光ファイバを同じ条件で狭着した状態で測定でき、安定した状態で検出感度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本願の補助増幅器を漏洩光検出装置の上流側に配設することによって、漏洩光検出装置では高感度で漏洩光を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】補助増幅器の平面断面図で光ファイバーをセットする前の図である。
【図2】補助増幅器の平面断面図で光ファイバーをセットした後の図である。
【図3】補助増幅器の光の漏洩量の調整機構を示す断面図である。
【図4】補助増幅器と漏洩光検出装置の使用状態の断面図である。
【図5】従来の漏洩光検出装置の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明の実施の形態について説明すると、図1は補助増幅器1の平面断面図で、光ファイバーをセットする前であり、図2は補助増幅器1の平面断面図あり、光ファイバ20をセットした状態図である。又、図3は補助増幅器1の光の漏洩量の調整機構を示す断面図である。図4は補助増幅器1と従来の漏洩光検出装置30の使用状態の断面図である。
【0013】
補助増幅器1は、漏洩光検出装置30の上流側にセットし、光の漏洩量を増幅させるものである。
この補助増幅器1は、箱2内において、押圧部材5に一対のガイド棒6が取り付けてあり、前記ガイド棒6の端部にはバネ8が配置してある。従って、押圧部材5は、押し下げると前記バネ8が縮み、離すと、バネ8の弾発力で元に戻る往復動が可能である。
【0014】
又、前記往復動する押圧部材5を固定(ロック)するために、中央部に回動可能なカム10が配設してあリ、ロック機構を構成する。このカム10は楕円形状であり、カム10の両端部には前記ガイド棒6を挿入可能な凹溝(破線)11が形成してある。又、このカム10を回転する操作具(摘み)(図示略)が取り付けてあり、操作具を介して回動軸9を回転して、カム10の凹溝11が水平状態になって、前記ガイド棒6に装着(押圧)することによってガイド棒6は固定されて、押圧部材5の往復動はロックされるし(図1)、一方、前記ロック状態から操作具を回転することによって、カム10の凹溝11が垂直状態になって、前記ガイド棒6から離脱すると、ガイド棒6は往復動可能になるアンロック状態になる(図2)。
【0015】
又、前記押圧部材5には光ファイバを曲折する凹部12a、凸部12b、凹部12cで形成の2個の曲折部が下向きに形成してあり、前記凹部12a、12cおよび凸部12bの曲率半径Rは、光ファイバの口径dが0.9mmに対して、2.5〜3mmである。従って、(曲折する凹部又は凸部の曲率半径R)/(光ファイバの口径d)の比は、(2.5〜3mm)/0.9=2.77〜0.33であり、この値は感度向上に好ましい。
又、前記押圧部材5の中央の凸部12bには、ネジ体15が貫通して取り付けてあり、このネジ体15を回転する調節ボタン18の回転量によって、そのネジ体15の先端部は、前記凸部12bから突出して、光ファイバ20を押圧して、光の漏洩量の調整が可能である。
【0016】
一方、前記昇降する押圧部材5に対応して、箱2内には、固定部材16が設けてあり、この固定部材16にも前記凹部12a、12cおよび凸部12bに対応する凸部17a、17cおよび凹部17bが形成してあり、その曲率半径Rは前記凹部12a、12cと凸部12bの曲率半径Rと同じである。
従って、光ファイバ20は、前記2個の曲折部で狭着され、且つ、ネジ体15によって、光の漏洩量の調整が可能である。
【0017】
次に、前記補助増幅器1の使用について、図4を参照して説明する。この補助増幅器1は、漏洩光検出装置30の上流側にセットし、それら双方の装置1,30の離隔距離Lは、補助増幅器1での漏洩光が漏洩光検出装置における漏洩光と合わさって、感度の向上を図ることができる20〜30mmが好ましい。
そして、補助増幅器1のロックを解除して、光ファイバを押圧部材5と固定部材16に形成の凹凸部(12a〜12c,17a〜17c)の間に挿入した後に押圧部材5を固定部材16に向けて押し、操作具を回転させてロック状態にすると、光ファイバ20は2つの曲折部が形成される。
【0018】
そして、このロック状態であるため、光ファイバ20は同じ条件で狭着されている。そして、必要なら、ねじ体15を回転させて、光ファイバ20への押圧量の相違による漏洩光量の調節をすることができ、補助増幅器1の曲折部で漏れた光は、漏洩光検出装置30に設けてある曲折部からの漏洩光と合わさった光量として検出されるので、検出感度が向上した安定した状態で漏洩光を検出することができる。
【0019】
また、前記押圧部材5と固定部材16には2個の光ファイバ20の曲折が形成してあるが、曲折する凹部の曲率半径R)/(光ファイバの口径d)の比が2.77〜0.33であれば、1個でも、あるいは3個以上であってもよい。
又、漏洩光を漏洩光検出装置30で検出するに当たって、補助増幅器1との離隔距離Lは、20〜30mmであるが、漏洩量が多くなる3個以上の曲折部の場合には、更に遠ざかる位置に配設してもよい。
又、漏洩光量の調節をねじ体15を回転量による光ファイバ20への押圧量で行っているが、光ファイバ20への押圧量をテーパ面で調節してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 補助増幅器
2 箱
5 押圧部材
6 ガイド棒
8 バネ
9 回動軸
10 カム
11 凹溝
12a 凹部
12b 凸部
12c 凹部
15 ネジ体
16 固定部材
17a 凸部
17b 凹部
18 調節ボタン
20 光ファイバ
30 漏洩光検出装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを曲折して漏洩光を検出する漏洩光検出装置の上流側に配設する補助増幅器であって、
押圧部材と固定部材の間に光ファイバを曲折する凹凸部を形成し、
前記凹凸部の曲率半径と光ファイバの口径との比を2.77〜0.33であることを特徴とする漏洩光検出装置の補助増幅器。
【請求項2】
押圧部材と固定部材の間に光ファイバの曲折部を2個形成することを特徴とする請求項1の漏洩光検出装置の補助増幅器。
【請求項3】
押圧部材と固定部材の間に配設の光ファイバに、ネジ体を介して漏洩光量を調整することを特徴とする請求項2の漏洩光検出装置の補助増幅器。
【請求項4】
往復動可能な押圧部材に、固定されているガイド棒の端部にバネを取り付け、
前記押圧部材を固定するロック機構を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項の漏洩光検出装置の補助増幅器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−2719(P2012−2719A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139024(P2010−139024)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000212739)株式会社シーテック (21)
【Fターム(参考)】