説明

演出装置およびその演出方法

【課題】幻想的な空間を演出することができ、体感者の想像を膨らませることができる演出装置およびその演出方法を提供する。
【解決手段】部屋Rの壁面W1と壁面W2とに、水平方向に沿って赤外線LED2aが一列に並べられた第1発光部21および第2発光部22と、体感者Mが遮光した赤外線LED2aの位置により体感者Mの位置を検出して位置情報として出力するビデオカメラ3と、天井面Cに吊り下げられた複数の青色LEDである発光体4と、位置情報に基づいて体感者Mの位置と対応する発光体4の点灯を1/fゆらぎ周期に基づいて制御する制御装置5とを備え、第1発光部21および第2発光部22は、体感者Mの身長より高く、手を伸ばした高さよりも低くなるように吊り下げられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幻想的な空間を演出することができる演出装置およびその演出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の演出装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載のオーロラ演出装置は、外表面が漏光性の光フアイバの素線を複数本平面状に並べてカーテンレールから垂下した形の漏光性ファイバ幕とし、異なった色の光を導入することで、中から光を漏出させるのに加えて、外側面へ種々の色の光を投射するものである。このオーロラ演出装置は、漏光性光ファイバ幕を上下左右に揺らしたり、スモーク、布カーテンによるぼかし効果、揺らぎ効果を与える手段を必要に応じて付加したりすることで、北極圏や南極圏の高緯度地方で観察される自然界の発光現象であるオーロラを、劇場、イベント会場等で多数の観客の面前で人工的に再現させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平5−274903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のオーロラ演出装置は、遠方へ旅行でもしなければ見ることができないオーロラを、近くの劇場やイベント会場で疑似的に見せることで、幻想的な空間を演出することができるものではあるが、擬似的に表現されたオーロラを一方的に観客に見せるだけである。
演出装置は、幻想的な空間を演出することで、体感者に安らぎや和みを与えつつ、一方的に体感させるのではなく、体感者の状態に応じて演出内容を変化させることで、体感者の想像を膨らませることができるのが望ましい。
【0005】
そこで本発明は、幻想的な空間を演出することができ、体感者の想像を膨らませることができる演出装置およびその演出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の演出装置は、複数配置された光源と、体感者が遮光した前記光源の位置により前記体感者の位置を位置情報として出力する位置検出手段と、平面状または曲面状に配置された複数の発光体と、前記位置情報に基づいて前記体感者の位置と対応する発光体の点灯を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の演出装置の演出方法は、複数配置された光源からの光を遮断した体感者の位置を位置検出手段が位置情報として出力し、前記位置情報に基づいて前記体感者の位置と対応した平面状または曲面状に配置された複数の発光体の点灯を、制御手段が制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の演出装置は、複数の発光体を平面状または曲面状に配置することで幻想的な空間を演出するものである。複数配置された光源からの光を体感者が遮断すると、点灯状態の光源が部分的に滅灯状態となる。この状態を位置検出手段が位置情報として出力する。制御手段は、位置検出手段からの位置情報に基づいて、平面状または曲面状に配置された複数の発光体の点灯を制御する。従って、体感者の状態に応じて複数の発光体の点灯の状態を変化させることができるので、体感者の想像を膨らませることができる。
【0009】
前記光源は、不可視光であるのが望ましい。光源が不可視光であると、体感者に光源からの光が遮断されたことを意識させることなく、複数の発光体の状態を変化させることができる。
【0010】
前記制御手段は、前記光源の配置に対応させて前記複数の発光体の点灯を区画して点灯制御し、前記複数の発光体は、前記区画内に配置された一部を、隣接した他の区画内に配置された一部と入れ替えて配置されているのが望ましい。
複数の発光体は、区画内に配置された一部が、隣接した他の区画内に配置された一部と入れ替えて配置されていることで、体感者が遮蔽した光源の位置に応じて制御手段が発光体を点灯制御すると、体感者が遮光した区画に対応する発光体だけでなく、隣接した他の区画の発光体も発光するので、広がりのある発光状態を楽しむことができる。
【0011】
また、前記複数の発光体が、天井面に沿った仮想面を形成するように配置され、前記光源が、壁面の水平方向に沿って一列に並べられていると、天井面の下を移動する体感者が壁面に設けられた光源を遮光することで、体感者の頭上の発光体を点灯させることができる。
【0012】
前記光源が、体感者の身長より高く、手を伸ばした高さよりも低い位置に並べられていると、歩くだけでは何も変化が起きないが、体感者が手を伸ばしたときに、伸ばした手が光源を遮光することで、伸ばした手の先の発光体が点灯する。従って、制御手段が、天井面に向かって手を伸ばす仕草によって発光体を発光させることで、体感者に不思議な感覚を抱かせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の演出装置およびその演出方法は、体感者の状態に応じて複数の発光体の点灯の状態を変化させることができるので、体感者の想像を膨らませることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る演出装置を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る演出装置全体を示す図である。
【0015】
図1に示す演出装置1は、体感者Mが部屋R内で手を伸ばしたり、ジャンプしたりすると、体感者Mの頭上が発光する演出を行うものである。
【0016】
演出装置1は、部屋R内に配置され、発光装置2と、ビデオカメラ3と、複数の発光体4と、制御装置5と、第1スピーカ61および第2スピーカ62と、第1マイク71および第2マイク72とを備えている。
平面視して矩形状の部屋Rは、外光が進入しないように、窓などが設けられておらず、ドア(図示せず)も目張り等の処置が施されている。
【0017】
発光装置2は、部屋Rの壁面W1に、水平方向に沿って光源である赤外線LED2aが一列に並べられた第1発光部21と、壁面W1に隣接する壁面W2に、同様に水平方向に沿って一列に赤外線LED2aが並べられた第2発光部22とを備えている。赤外線LED2aは、図示しない直線状のレールに配列され、レール内の配線により電源が供給されている。この第1発光部21と第2発光部22とは、体感者Mを大人と想定して、体感者Mの身長よりも高く、手を伸ばした高さよりも低い位置、例えば180cmの高さに設けられている。この高さは、体感者Mとして子供を想定した場合には、適宜、低い位置に設定することも可能である。また、発光体4は、第1発光部21と第2発光部22より高い位置に配置される必要があるので、約2mの高さに設けられている。
【0018】
ビデオカメラ3は、体感者Mが遮光した赤外光を発光する赤外線LED2aの位置により体感者Mの位置を検出して位置情報として出力する位置検出手段として機能するものである。このビデオカメラ3は、第1発光部21が設けられている壁面W1と対向する壁面W3に配置された第1カメラ31と、第2発光部22が設けられている壁面W2と対向する壁面W4に配置された第2カメラ32との2台が配置されている。
【0019】
複数の発光体4は、天井面Cと平行となる平面状の仮想面Sを形成するように、天井面Cから接続ケーブルLにより吊り下げられた青色LEDである。本実施の形態では、例えば、4m〜6m×3m〜5mの部屋Rでは、約1000個の発光体4が吊り下げられている。また、発光体4は、その全部を、青色LED一色に統一したり、白色と青色などの二色としたり、三色以上としたりすることができる。
【0020】
この発光体4の下方には、織り目の粗い布地で形成された紗幕8が部屋R全体に設けられている。発光体4が形成する仮想面Sは、天井面Cから接続ケーブルLの長さにより決定されるため、全ての接続ケーブルLが同一の長さであれば仮想面Sは平面となる。しかし、接続ケーブルLの長さが数cm〜数十cm程度異なっていても体感者Mから見れば平面状に見えるため許容される。天井面Cから発光体4を吊り下げた長さが多少異なる方が、発光体4を観察した体感者に遠近感を与えることができるので望ましい。なお、接続ケーブルLは、発光体4からそれぞれ制御装置5まで配線されているものであるが、図1においては発光体4から垂直に配線された部分と、制御装置5から集線されて部屋Rの角部を垂直に配線された部分のみを図示しており、天井面Cを伝わるように配線された部分は省略している。また、本実施の形態では、発光体4を平面状に配置しているが、波打つような曲面となるように配置しても、立体的な曲面となるように配置してもよい。
【0021】
制御装置5は、ビデオカメラ3からの映像を位置情報とし、この映像に基づいて発光装置2からの光を遮断した体感者Mの位置を検出して、発光体4の点灯を制御したり、BGM(background music)や効果音を出力したりして制御手段として機能するものである。
【0022】
第1スピーカ61および第2スピーカ62は、部屋Rの対向する角部に配置され、制御装置5から出力され、アンプ(図示せず)により増幅されたBGMや効果音を鳴らすものである。
第1マイク71は、第1カメラ31の下方に配置され、第2マイク72は、第2カメラ32の下方に配置され、体感者Mからの音声を入力して制御装置5へ音声信号を出力している。
【0023】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る演出装置1の動作について、図2および図3に基づいて説明する。図2は、図1に示す演出装置の動作を説明するフローチャートである。図3(A)から同図(C)は、制御装置が発光体を発光する動作を説明する波形図である。
【0024】
まず、発光装置2である第1発光部21と第2発光部22とは発光状態である。しかし、第1発光部21および第2発光部22は、不可視光を発生する赤外線LED2aで形成されているので、部屋Rに入った体感者Mには見えない。
【0025】
第1発光部21および第2発光部22は、それぞれが水平方向に沿って一列に赤外線LED2aが並べられたものであるので、それぞれの赤外線LED2aから出射された赤外光は格子状になる。部屋Rに体感者Mが進入していなければ、第1カメラ31には赤外線LED2aが一列に配置された第1発光部21が撮像され、第2カメラ32には同様に第2発光部22が撮像される。
【0026】
部屋Rに体感者Mが進入したとする。しかし、第1発光部21および第2発光部22は体感者Mの身長より高い位置に設置されているので、第1カメラ31には第1発光部21が撮像され、第2カメラ32には第2発光部22が撮像される状態には変化がない。制御装置5は、第1発光部21および第2発光部22の全部が第1カメラ31および第2カメラ32からの映像に映っていることで、遮光状態ではないと判断する(S10)。
【0027】
制御装置5は、遮光状態でないと判断すると、図3(A)に示すような1/fゆらぎ周期に基づいて発光体4の点灯を行う。つまり、制御装置5は、1/fゆらぎ周期に対して、所定の閾値以上波形が上回っている間の時間T11〜T18に発光体4を点灯させるベース発光を行う(S20)。本実施の形態では、制御装置5が1/fゆらぎ周期に基づいて点灯を行っているが、所定周期の正弦波、矩形波、のこぎり波など各種の波形や周期に基づいて点灯を行うことも可能である。しかし、制御装置5が発光体4を1/fゆらぎ周期に基づいて点灯を行うことで、部屋Rに入った体感者Mには、ゆっくり仄かに瞬くように点灯する青色LEDの発光体4を目にして、部屋Rが安らぎを感じさせる空間であると思わせることができる。
【0028】
第1発光部21および第2発光部22は、手を伸ばした高さよりも低い位置に設けられているので、体感者Mが手を上げると、手を上げた位置に対応する第1発光部21および第2発光部22の赤外線LED2aから出射された赤外光が、体感者Mの手により進行が阻害され遮断される。従って、第1カメラ31および第2カメラ32には、遮光された赤外線LED2a以外の赤外線LED2aが撮像された映像を出力するので、制御装置5は遮光された位置から体感者Mの位置を検出する(S30)。
【0029】
体感者Mの位置を検出した制御装置5は、遮光された位置に対応する発光体4の点灯を制御する。ここで、発光体4の点灯について、図4に基づいて説明する。図4は、図1に示す演出装置1の発光体4を下方から見た部分拡大図である。
【0030】
図4に示すように、発光体4は、平面状の仮想面Sを形成するように不規則に配置されている。この不規則に配置された発光体4は、横方向に「A」〜「H」に区画され、縦方向に「a」〜「e」に区画されて制御装置5により点灯が制御される。
【0031】
例えば、体感者Mにより遮光された位置が、横方向「D」、縦方向「d」に対応する位置である場合には、制御装置5は横方向「D」、縦方向「d」に対応する区画に配置された発光体4を点灯させるが、発光体4は、横方向「D」、縦方向「d」と隣接する横方向「C」や「E」、縦方向「c」や「e」の一部の発光体4と入れ替えて配置されているので、横方向「D」、縦方向「d」の発光体4以外でも発光体4が発光する(図3では●で示される発光体4)。
【0032】
同様に、体感者Mにより遮光された位置が、横方向「D」、縦方向「c」に対応する位置である場合には、制御装置5は横方向「D」、縦方向「c」に対応する区画に配置された発光体4を点灯させるが、発光体4は、横方向「D」、縦方向「c」と隣接する横方向「C」や「E」、縦方向「b」や「d」の一部の発光体4と入れ替えて配置されているので、横方向「D」、縦方向「c」の発光体4以外でも発光体4が発光する(図3では◎で示される発光体4)。本実施の形態では、隣接する区画として、図面上、横方向および縦方向に隣接した区画の発光体4を入れ替えているが、隣接した区画という点においては斜め方向の区画の発光体と入れ替えるようにしてもよい。
【0033】
このように、区画して配置された発光体4の一部を隣接した区画の発光体4と入れ替えることで、不規則に配置された発光体4の配置を、より不規則に配置されているよう体感者Mに見せることができる。なお、発光体4は不規則に配置されているが、規則的に、例えばマトリックス状に配列されていてもよい。しかし、星が光っているような自然な感じを演出するためには、発光体4を不規則に配置するのが望ましい。
【0034】
そして、発光体4の下方には紗幕8が設けられているので、発光体4からの光が紗幕8によって拡散することで、発光体4からの光が体感者Mの目に直接入り、体感者Mが眩しく感じることを緩和させることができる。また、発光体4の光を紗幕8が拡散することで、より幻想さを向上させることができる。
【0035】
制御装置5の点灯制御は、図3(A)に示すベース発光から閾値を下げることで、図3(B)に示すように発光時間(T22〜T28)を長くしたり、図3(C)に示すように発光周期を短くして発光頻度を上げたりする発光強度の増幅を行う(S40)。このように、制御装置5は、仄かに光るベース発光から発光強度の増幅を行うことで、天井面Cに手をかざす仕草によって、天井面Cに吊り下げられた数多くの発光体4を、夜光虫やホタルイカのような生き物がざわついているかのように見せることができる。従って、体感者Mは色々な想像を膨らませることができる。
【0036】
制御装置5は、発光体4の点灯制御を行う他に、遮光されたことを契機に効果音を生成して第1スピーカ61および第2スピーカ62から出力する(S50)。この効果音は、一定時間持続するように生成される。
【0037】
次に、体感者Mが発声することで第1マイク71および第2マイク72から音声信号が制御装置5に入力されれば(S60)、制御装置5はこの音声信号に対しても効果音を生成して第1スピーカ61および第2スピーカ62から出力する(S70)。
【0038】
そして、S10へ移行し、制御装置5は発光装置2からの光が遮断されたか否かの判断を行う。例えば、体感者Mが手を上げたり下げたりすると発光装置2からの光が遮断されたり通過したりする。そうすると発光体4が強く点灯したり弱く点灯したりするだけでなく、効果音は一定時間持続するように生成されるので、前回生成された効果音と重なって第1スピーカ61および第2スピーカ62から出力される。
【0039】
本実施の形態では、効果音として制御装置5が単音を生成しているが、最初の単音に対して、次に生成される単音を最初の単音と協和音を形成するような音程とすることで、体感者Mを心地よい気持ちにさせることができる。
【0040】
このように、体感者Mの状態に応じて複数の発光体4の点灯の状態を変化させることができるので、体感者Mの想像を膨らませることができる。
また、発光装置2として不可視光である赤外光を発光する赤外線LEDを使用しているので、体感者Mに発光装置2からの光を遮断したことを意識させることなく、複数の発光体4の状態を変化させることができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、体感者Mが発光装置2からの光を遮断していなくても、ベース発光にて発光体4全体を1/fゆらぎ周期に基づいて仄かに発光させているが、発光させなくてもよい。そして、発光装置2からの光を遮断することで遮断した位置に対応する発光体4を発光させるようにしてもよい。
【0042】
次に、本発明の他の実施の形態に係る演出装置を、図5に基づいて説明する。図5は、他の実施の形態に係る演出装置を示す図である。なお、図5においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。図5においては、制御装置5と、第1スピーカ61および第2スピーカ62と、第1マイク71および第2マイク72とを図示していない。
【0043】
図5に示すように演出装置10は、円錐形状に形成された曲面11に発光体4が不規則に設けられている。また、この曲面11には、発光装置(光源)として頂点11aを中心して同心円状に赤外線LED2aが配置されている。そしてビデオカメラ3として、第1カメラ31〜第3カメラ33が周囲120°ごとに配置されている。
【0044】
曲面11とビデオカメラ3(第1〜第3カメラ31〜33)との間に体感者が入ると、赤外線LED2aの光が遮断され、その様子がビデオカメラ3に撮像される。そして、制御装置5(図示せず)により遮断された赤外線LED2aに対応する発光体4を発光制御することで、曲面11に発光体4が配置されていても、体感者の状態に応じて発光体4の発光制御を行うことができる。
【0045】
なお、ビデオカメラ3は、曲面11を水平方向に撮像するのであれば少なくとも2台あれば曲面11の全面を撮像することができる。しかし、赤外線LED2aから光の遮蔽を精度よく監視するためには、図5に示すように曲面11を水平方向に撮像するビデオカメラを3台以上設置するのが望ましい。また、ビデオカメラにより円錐形状の曲面11の全体が撮像できればよいので、頂点11aの真上から曲面11を見下ろすように配置してもよい。この場合にはビデオカメラとしては1台準備すればよいので、コストを抑えることができる。
また、本発明の他の実施の形態では、円錐形状に形成された曲面11としているが、球形状の球面や円柱状の周面に発光体4を設けることも可能である。また、三角錐形状や四角錐形状の平面に発光体を設けることも可能である。
【0046】
次に、本発明の他の実施の形態に係る演出装置の変形例を、図6に基づいて説明する。図6は、本発明の他の実施の形態に係る演出装置の変形例を示す図である。なお、図6については、図5と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0047】
図6に示す演出装置20は、円錐形状の曲面11をクリスマスツリーに見立てて、曲面11の下部に支柱90aと台部90bとを設けている。曲面11上には、発光体4が不規則に設けられている。この発光体4は、その全部を青色LED一色に統一することができるが、クリスマスツリーとしての演出装置とする場合には、赤色、黄色、緑色などを発光するLEDが混在するように配色するのが望ましい。また、発光体4が1個で、赤色、緑色、青色の三色発光するLEDであれば、1個で様々な色に発光できるだけでなく、曲面11に発光体4(三色LED)を密に配置すればフルカラーが実現できるので、発光体4を単に点光源として機能させるだけでなく、曲面11全体を使用してカラー映像などを映し出すことも可能である。
また、曲面11の下端周縁には、装飾品(オーナメント)91が吊り下げられている。この装飾品91内には、光源である赤外線LED2aが格納されている。
【0048】
また、演出装置20には、1台のビデオカメラ3が、円錐形状の曲面11の全体を撮像するために、頂点11aの真上から曲面11を見下ろすように配置されている。また、演出装置20には、ビデオカメラ3に接続され、ビデオカメラ3からの映像に基づいて遮断された赤外線LED2aの位置を検出する制御装置5(図示せず)が設けられている。
【0049】
制御装置5は、ビデオカメラ3からの映像に基づいて体感者によって遮光された赤外線LED2aの位置を検出し、この位置に基づいて遮光された赤外線LED2aが格納された装飾品91の位置から頂点11aに至る曲面11上のLED4を直線状に順次発光させたり、遮光された装飾品91の位置に対応する曲面11の下端のLED4を基点として頂点11aまで、曲面11のLED4を螺旋状に順次点灯させたりする。この点灯は、遮光された装飾品91の位置に対応する曲面11の下端のLED4を発光の基点とすることで体感者自身が発光させていると認識できるので、直線状や螺旋状の他に、曲面11全体に順次広がるように発光させることも可能である。そして、制御装置5によって、図示しないスピーカから効果音を出力することで、体感者の想像を膨らませることができる。
【0050】
なお、図6に示す演出装置20は、ビデオカメラ3を、曲面11の頂点11a上に位置させているが、曲面11の下端に吊り下げている赤外線LED2a全体が撮像できればよいので、図5に示す演出装置10のように3台、または2台、4台以上としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の演出装置およびその演出方法は、幻想的な不思議な空間を演出することができるので、アミューズメントパークのアトラクション、ライブコンサート、サーカスなどの舞台演出、博物館や美術館などの各種の文化施設、デパートやショッピングモールなどの各種の商業施設、各種イベントなどに好適である。また、光源をキャンドルとすることで、結婚式場等で開催される披露宴にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る演出装置全体を示す図である。
【図2】図1に示す演出装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】(A)から(C)は、制御装置が発光体を発光する動作を説明する波形図である。
【図4】図1に示す演出装置の発光体を下方から見た部分拡大図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る演出装置を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る演出装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1,10,20 演出装置
2 発光装置
2a 赤外線LED
21 第1発光部
22 第2発光部
3 ビデオカメラ
31 第1カメラ
32 第2カメラ
4 発光体
5 制御装置
61 第1スピーカ
62 第2スピーカ
71 第1マイク
72 第2マイク
8 紗幕
90a 支柱
90b 台部
91 装飾品
R 部屋
C 天井面
S 仮想面
W1,W2,W3,W4 壁面
L 接続ケーブル
M 体感者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数配置された光源と、
体感者が遮光した前記光源の位置により前記体感者の位置を位置情報として出力する位置検出手段と、
平面状または曲面状に配置された複数の発光体と、
前記位置情報に基づいて前記体感者の位置と対応する発光体の点灯を制御する制御手段とを備えた演出装置。
【請求項2】
前記光源は、不可視光である請求項1記載の演出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記光源の配置に対応させて前記複数の発光体を区画して点灯制御し、
前記複数の発光体は、前記区画内に配置された一部を、隣接した他の区画内に配置された一部と入れ替えて配置されている請求項1または2記載の演出装置。
【請求項4】
前記複数の発光体は、天井面に沿った仮想面を形成するように配置され、
前記光源は、壁面の水平方向に沿って一列に並べられている請求項1から3のいずれかの項に記載の演出装置。
【請求項5】
前記光源は、体感者の身長より高く、手を伸ばした高さよりも低い位置に並べられている請求項4記載の演出装置。
【請求項6】
複数配置された光源からの光を遮断した体感者の位置を位置検出手段が位置情報として出力し、
前記位置情報に基づいて前記体感者の位置と対応した平面状または曲面状に配置された複数の発光体の点灯を、制御手段が制御する演出装置の演出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−104835(P2009−104835A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273756(P2007−273756)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(507133441)
【Fターム(参考)】