説明

漢字検索方法及びその方式

【課題】 読み仮名の分らない漢字の情報処理装置による検索において、ユーザ所望の漢字を、ユーザの手を煩わさずに迅速且つ正確に検索できるようにする。
【解決手段】 漢字情報ファイルにおいて、各漢字イメージ欄に部分文字『A』を偏、部分文字『B』を旁とする漢字『X』、部分文字『B』を上部に、部分文字『A』を下部に配置した漢字『Y』が登録される。漢字『X』において、そのコード欄に『000α』が、画数欄に『m』が、その読み仮名欄に『○○』が、その部首欄に部分文字『A』から成る偏が、部分id1欄に『0a』が、部分id2欄に『0b』が、登録される。漢字『Y』において、そのコード欄に『000β』が、画数欄に『m−1』が、その読み仮名欄に『△△』が、その部首欄に部分文字『B』から成る偏が、部分id1欄に『0c』が、部分id2欄に『0b』が、登録される。部分id1、id2は、各部分文字毎に最適位置情報及び可能位置情報が設定されている部分idマスタから読出される。部分id1、id2等を用いて漢字情報ファイルを参照することにより、対応する漢字を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、漢字検索方法及びその方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、読み仮名の分らない漢字を情報処理装置により検索する場合、部首検索や部分文字(部首のみならず、漢字を構成する部分をいう)検索を使用して上記所望の漢字を漢字辞書から検索する手法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記手法においては、検索対象とされる部首や部分文字を含んだ漢字が、全て検索対象として漢字辞書から抽出されて上記装置の表示部に表示されるため、ユーザが表示された複数個の候補漢字の中から所望の漢字を選択しなければならないという問題がある。例えば、『椎』という漢字を検索対象とした場合、『木』(き/きへん)と、『隹』(ふるとり)とを情報処理装置に入力すると、上記手法では『木』及び『隹』の両部分文字を含んだ漢字である『椎』及び『集』を漢字辞書から抽出し、それらを検索対象の漢字として上記装置の表示部に表示する。そのため、ユーザが上記表示された『椎』及び『集』から、『椎』を選択する必要があった。
【0004】従って本発明の目的は、読み仮名の分らない漢字を情報処理装置により検索する場合、ユーザの所望する漢字を、ユーザの手を煩わすことなく迅速且つ正確に検索できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の側面に従う漢字検索方式は、情報処理装置の入力部からその装置が読込んだ漢字の部分文字を利用して所望の漢字を検索するもので、部分文字のイメージ情報と、入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報とに基づき、予めその部分文字イメージに付与された部分文字idを、部分文字idマスタから抽出する手段と、抽出された部分文字idに基づき、予めその部分文字idが付与された漢字イメージを漢字辞書から選択する手段とを備える。
【0006】上記構成によれば、部分文字のイメージ情報と、入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報とに基づき、予めその部分文字イメージに付与された部分文字idを、部分文字idマスタから抽出し、抽出された部分文字idに基づき、予めその部分文字idが付与された漢字イメージを漢字辞書から選択することとした。そのため、読み仮名の分らない漢字を情報処理装置により検索する場合、ユーザの所望する漢字を、ユーザの手を煩わすことなく迅速且つ正確に検索できる。
【0007】本発明の第1の側面に係る好適な実施形態では、部分文字idマスタは、入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報、及び個々の部分文字に付与される部分文字idを、各々の部分文字のイメージ情報に対応付けて保持する。入力位置を示す情報は、その部分文字が他の部分文字との結合によって1つの漢字を構成する場合に最適である位置を示す最適位置情報と、上記の特定の部分文字の、他の部分文字との組合せによって或る漢字を構成することが可能な入力位置を示す可能位置情報とを含む。なお、上述した最適位置は、通常のユーザであれば、その部分文字を入力するであろうと推測される位置に対応している。漢字辞書は、漢字イメージ情報と、それを構成する部分文字数に応じた部分idとを少なくとも含む。上記抽出手段は、入力位置情報が最適位置情報に対応すると判断したとき、最適位置情報を用いて対応する部分文字の部分文字idを抽出し、入力位置情報が最適位置情報に対応しなかったときのみ、可能情報配置を用いて対応する部分文字の部分文字idを抽出する。
【0008】上記実施形態に係る変形例では、部分文字の最適位置情報に対応する入力位置情報のみを用いて外字を作成し、漢字辞書に登録する手段を更に備える。
【0009】本発明の第2の側面に従う漢字検索方法は、検索を所望する漢字の部分文字のイメージ情報を、情報処理装置の入力部の表示面から上記装置へ入力する第1の過程と、部分文字のイメージ情報と、入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報とに基づき、予めその部分文字イメージに付与された部分文字idを、部分文字idマスタから抽出する第2の過程と、抽出された部分文字idに基づき、予めその部分文字idが付与された漢字イメージを漢字辞書から選択する第3の過程とを備える。
【0010】本発明の第2の側面に係る好適な実施形態では、部分文字idマスタが、入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報、及び個々の部分文字に付与される部分文字idを、各々の部分文字のイメージ情報に対応付けて保持する。
【0011】本発明の第3の側面に従うプログラム媒体は、情報理装置の入力部から上記装置が読込んだ漢字の部分文字を利用して所望の漢字を検索する方式において、部分文字のイメージ情報と、入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報とに基づき、予めその部分文字イメージに付与された部分文字idを、部分文字idマスタから抽出する手段と、抽出された部分文字idに基づき、予めその部分文字idが付与された漢字イメージを漢字辞書から選択する手段とを備える漢字検索方式における上記の各手段としてコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムをコンピュータ読取可能に担持する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置が備えるRAM(図示しない)内の記憶領域を示す説明図である。
【0014】上記記憶領域は、情報処理装置が備える表示部(図示しない)の表示面が縦横同数(k個)の桝目により格子状に区分されているのに対応して、それと縦横同数(k個)の桝目により格子状に区分されている。各桝目に区分された各々の記憶領域には、それらを識別するために夫々番号(1、…、ni〜ni+12、…、nx)が付与されている。上記付与された番号情報に基づき、情報処理装置の演算処理部(図示しない)がRAM内の各桝目に区分された記憶領域を管理する。
【0015】情報処理装置の操作部(図示しない)が、ユーザによって操作されたことで、検索対象の漢字を構成する部分文字(上述したように、部首及び漢字を構成する部分を含む)が情報処理装置に入力されると、上記部分文字のイメージが、上述した演算処理部によって上記表示面に表示される。それと共に、上記イメージが属する上記表示面上の桝目領域に対応する上記記憶領域内の桝目(1、…、ni〜ni+12、…、nxのいずれか)の記憶領域に、上記イメージ情報が記憶される。RAMにおける上記イメージ情報の記憶は、後述するように、そのイメージ情報に対応する部分文字idと、同じく上記記憶領域内の別の桝目の記憶領域に記憶される別のイメージ情報に対応する部分文字idとが全て図2に示す部分文字idマスタから抽出されるまでの間継続される。
【0016】図2は、本発明の一実施形態に係る漢字検索方式に適用される部分文字idマスタを示す説明図である。
【0017】ここで、部分文字idマスタ(マスタ)とは、各々の部分文字に識別情報(id)を付与してメモリに登録したものをいう。図2に示すマスタの場合は、不揮発性固定情報として、情報処理装置のROM(図示しない)に登録される。マスタは、図示のように、複数の部分文字のイメージ(部分イメージ)欄と、複数の位置情報欄と、複数の部分文字id(部分id)欄とを含む。
【0018】各部分イメージ欄は、個々の部分イメージを登録するために設定される。各位置情報欄は、個々の部分イメージが、図1に記載したnx個の桝目の記憶領域に夫々対応する上記表示面上の桝目領域のいずれに入力すべきであるかを示す情報(つまり、位置情報)を登録するために、各部分イメージ欄に対応させて設定される。各位置情報欄は、更に、最適位置情報欄と、可能位置情報欄とに分割される。
【0019】最適位置情報欄には、多数のユーザが同一の漢字を検索する場合に、その漢字を構成する特定の部分イメージを入力すると予測される上記表示面上桝目領域のいずれか(つまり、上記nx個の桝目の記憶領域のいずれか)を示す情報(即ち、最適位置情報)が登録される。一方、可能位置情報欄には、或る漢字を構成する特定の部分イメージを入力しても、その漢字を構成する別の部分イメージとの位置関係から上記漢字検索が可能とされる上記表示面上のいずれかの桝目領域(つまり、上記nx個の桝目の記憶領域のいずれか)を示す情報(即ち、可能位置情報)が登録される。
【0020】各部分id欄は、個々の部分イメージを識別するため、各部分イメージ毎に付与されるidが、各部分イメージ欄、各最適位置情報欄及び各可能位置情報欄に対応させて設定される。
【0021】本実施形態では、部分id欄に登録される部分idの管理が、各部分イメージ欄に登録される部分イメージ、及び各位置情報欄(つまり、最適位置情報欄と、可能位置情報欄)に登録される位置情報に基づいて行われる。
【0022】本実施形態では、各部分イメージ欄には、部分文字『A』、『B』、『A』、…のイメージが夫々登録される。最適位置情報欄には、最初の部分文字『A』に対応させてni+5が、2番目の部分文字『B』に対応させてni+6が、3番目の部分文字『A』に対応させてni+11が、夫々登録される。また、可能位置情報欄には、最初の部分文字『A』に対応させてni、及びni+10が、2番目の部分文字『B』に対応させてni+1、ni+2、及びni+7が、3番目の部分文字『A』に対応させてni+10、及びni+12が、夫々登録される。更に、部分id欄には、最初の部分文字『A』に対応させて0aが、2番目の部分文字『B』に対応させて0bが、3番目の部分文字『A』に対応させて0cが、夫々登録される。
【0023】本実施形態では、上記内容から明らかなように、同じ部分文字『A』であっても、漢字のどの部分に配置されるかによって、異なった部分文字としての扱いを受けることになる。
【0024】図3は、本発明の一実施形態に係る漢字検索方式に適用される漢字情報ファイル(ファイル)を示す説明図である。
【0025】上記ファイルは、図2のマスタと同様に、不揮発性固定情報として情報処理装置のROM(図示しない)に登録されるもので、図3に示すように、複数の漢字イメージデータ(漢字イメージ欄)と、複数のコード欄と、複数の画数欄と、複数の読み仮名欄と、複数の部首欄と、複数の部分id欄とを含む。
【0026】各漢字イメージ欄は、個々の漢字イメージを登録するために設定される。本実施形態では、各漢字イメージ欄には、上述した部分文字『A』を偏とし、部分文字『B』を旁とする漢字『X』のイメージや、部分文字『B』を上部に、部分文字『A』を下部に配置して構成される漢字『Y』のイメージ等が夫々登録される。各コード欄には、上記各漢字毎に付与される文字コードを登録するために各漢字イメージ欄に対応させて設定される。本実施形態では、上記漢字『X』に対応させて文字コード『000α』が、上記漢字『Y』に対応させて文字コード『000β』が夫々登録される。
【0027】各画数欄は、上記各漢字の画数情報を登録するために各漢字イメージ欄、及び各コード欄に対応させて設定される。本実施形態では、上記漢字『X』、及び文字コード『000α』に対応させて画数『m』が、上記漢字『Y』、及び文字コード『000β』に対応させて画数『m−1』が夫々登録される。各読み仮名欄は、上記各漢字の読み仮名情報を登録するために各漢字イメージ欄、各コード欄、及び各画数欄に対応させて設定される。本実施形態では、上記漢字『X』、文字コード『000α』、及び画数『m』に対応させて、読み仮名『○○』が、上記漢字『Y』、文字コード『000β』、及び画数『m−1』に対応させて、読み仮名『△△』が夫々登録される。
【0028】各部首欄は、上記各漢字を構成する通常の部首名を登録するための、各漢字イメージ欄、各コード欄、各画数欄、及び各読み仮名欄に対応させて設定される。本実施形態では、上記漢字『X』等に対応させて、部分文字『A』から成る偏が、上記漢字『Y』等に対応させて、旁若しくはその他の部分文字(偏は除く)として用いられる部分文字『B』等が夫々登録される。
【0029】各部分id欄は、図示のように、夫々が更に複数の部分id欄(部分id1欄、部分id2欄、…)に分割されている。
【0030】各部分id1欄、部分id2欄、…部分idn欄(図示しない)には、対応する漢字イメージ欄に登録された漢字の有する部分文字数に応じた数の部分idが夫々個別に登録される。漢字は少なくとも1個以上の部分文字から構成されているので、対応する漢字が1個の部分文字から構成されるときは、その部分文字を示す部分idが部分id1欄に登録され、2個以上の部分文字から構成されるときは、その個数に応じて夫々の部分idが部分id1欄、部分id2欄、…に登録される。本実施形態では、上記漢字『X』は、2個の部分文字から構成されているので、各々の部分idである0a、0bが夫々部分id1欄、部分id2欄に登録され、上記漢字『Y』も、2個の部分文字から構成されているので、各々の部分idである0c、0bが夫々部分id1欄、部分id2欄に登録される。
【0031】図4は、本発明の一実施形態に係る漢字検索方式での処理流れを示す図である。
【0032】図4において、ユーザが、例えば漢字『X』の偏である部分文字『A』、及び旁である部分文字『B』を情報処理装置に入力すると(ステップS1)、まず内部カウンタ(図示しない)が初期化される(ステップS2)。この内部カウンタは、ステップS3以下の処理動作において示すように、演算処理部が、図1R>1の各桝目(1〜nx)に対応する上記表示面上の各桝目領域に、各々の部分文字が入力されたか否かを上記各桝目に付与された番号順に1桝目ずつチェックするに際してカウント値がインクリメントされる。即ち、まず内部カウンタのカウント値(N)をインクリメント(N+1)した上で(ステップS3)、上記桝目1に対応する上記表示面上の桝目領域に上記部分文字『A』が入力されたか否かをチェックする(ステップS5)。
【0033】図1及び図2で示したように、部分文字『A』の最適位置は、桝目ni+5に対応する上記表示面上の桝目領域であり、可能位置は、桝目ni又はni+10に対応する上記表示面上の桝目領域である。また、部分文字『B』は旁であり、その最適位置は、部分文字『A』の最適位置の右隣りの桝目ni+6に対応する上記表示面上の桝目領域であり、可能位置は、桝目niの右隣りの桝目ni+1か、その右隣りの桝目ni+2か、或いは桝目ni+6の右隣りの桝目ni+7に夫々対応する上記表示面上の桝目領域である。そのため、部分文字『B』は部分文字『A』の位置(ni、ni+5、ni+10)のいずれよりも左側の位置には入力されないはずであるから、上記チェック結果は、否である。よって、ステップS3へ移行して内部カウンタのカウント値(N)をインクリメント(N+1)した上で、再度ステップS5の処理動作を実行する。
【0034】仮に、部分文字『A』が、可能位置の一つである桝目niに対応する上記表示面上の桝目領域に入力されていれば、ステップS3からステップS5を経て再びステップS3へ移行する動作は、内部カウンタのカウント値(N)がniになるまで継続される。内部カウンタのカウント値(N)がniになり、部分文字『A』が上記桝目niに対応する表示面上の桝目領域に入力されていることを確認すると(ステップS5)、部分文字『A』のイメージを特定する(ステップS6)。
【0035】次に、図2の部分文字idマスタを参照して、上記特定した部分文字『A』と、上記可能位置情報niとから、部分文字『A』の部分idである0aを特定した後(ステップS7)、ステップS3に移行し、内部カウンタのカウント値(N)をインクリメントする。その結果、カウント値(N)がni+1になる。部分文字『A』が桝目niに対応する上記表示面上の桝目領域に入力されていれば、部分文字『B』はその右隣りの桝目ni+1、或いは更にその右隣りの桝目ni+2に対応する上記表示面上の桝目領域に入力されているはずである。前者であれば、N=ni+1で部分文字『B』の入力の確認(ステップS5)、イメージの特定(ステップS6)、特定したイメージ、可能位置情報ni+1、及び上記部分文字idマスタから、部分文字『B』の部分idの0bの特定(ステップS7)を行った後、ステップS3に移行する。そして、カウント値(N)をインクリメントする。後者であれば、ステップS5〜ステップS7の各処理動作は、N=ni+2で実行されることになる。
【0036】一方、部分文字『A』が、最適位置である桝目ni+5に対応する上記表示面上の桝目領域に入力されていれば、ステップS3〜ステップS5〜ステップS3の処理動作は、カウント値NがN=ni+5になるまで継続される。
【0037】N=ni+5になり、部分文字『A』が上記表示面上の最適位置である桝目領域に入力されていることを確認すると(ステップS5)、上述した処理動作と同じ処理動作を実行し(ステップS6、S7、S3)、その結果、カウント値(N)がni+6になる。部分文字『A』が桝目ni+5に対応する上記表示面上の桝目領域に入力されていれば、部分文字『B』は、その右隣りの桝目ni+6(部分文字『B』の最適位置である)か、或いは更にその右隣りの桝目ni+7に対応する上記表示面上の桝目領域に入力されているはずである。前者であれば、N=ni+6で上述した処理動作と同じ処理動作を部分文字『B』について実行し(ステップS6、S7、S3)、その結果、カウント値(N)がni+7になる。後者であれば、ステップS5〜ステップS7の各処理動作は、N=ni+7で実行されることになる。
【0038】なお、ステップS6において、部分文字『A』、『B』が手書き文字であり、例えばOCR(光学式読取装置)を通じて情報処理装置がそれらを読込む場合には、任意の文字認識方法により上記部分文字『A』、『B』を特定する。
【0039】以上のように、図1の各桝目(1〜nx)に対応する上記表示面上の各桝目領域の全部について、部分文字『A』、『B』の入力チェックを行った時点では、上記カウント値(N)はnxに達しているから、N=nxとなり、N<nxは成立しない(ステップS4)。そのため、次に図3のファイルを参照し、ステップS7で特定した部分文字『A』の部分id「0a」、及び部分文字『B』の部分id「0b」を用いて上記ファイル中から検索対象である漢字『X』を検索する(ステップS8)。図3では、部分id「0a」を部分id1欄に、部分id「0b」を部分id2欄に夫々登録した漢字イメージとして、漢字『X』が登録されているので、この漢字『X』が検索される(ステップS9)。そして、この漢字『X』が表示面上に表示される(ステップS10)。
【0040】仮に、図3に示したファイル中に、上記漢字『X』が登録されていなければ、ステップS8で検索を行っても該当する漢字『X』を見出すことができないから(ステップS9)、エラーとして一連の処理動作が停止される(ステップS11)。
【0041】以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、読み仮名の分らない漢字を部分文字を利用して検索する場合に、その位置情報をも利用して検索することとしたので、検索対象となる漢字ユーザの手を煩わすことなく迅速且つ正確に検索できる。
【0042】図5は、上述した漢字検索方式を適用する漢字として、『椎』を例に採った場合の情報処理装置の表示面を示す説明図である。
【0043】この例では、図5に示すように、表示面が縦横同数(3個)で合計9個の桝目により格子状に区分されており、各桝目に区分された表示面領域には、夫々を識別するために番号(1)〜(9)が付与されている。また、上記RAMの記憶領域も、上記表示面と同様、縦横同数(3個)で合計9個の桝目により格子状に区分されており、各桝目に区分された各々の記憶領域には、上記各表示面領域に対応させて夫々番号(1)〜(9)が付与されている。この例では、上記RAMの9個に区分されている各記憶領域の記憶容量は、8ビット×8=64ビットに設定されており、9個の記憶領域全体としての記憶容量は、64ビット×9=576ビットに設定されている。
【0044】図5に示すように、ユーザが漢字『椎』を検索するため、その部分文字(偏)である『木』を上記表示面の桝目領域(4)に、部分文字(旁)である『隹』をその隣接領域である上記表示面の桝目領域(5)に夫々入力したとすれば、部分文字『木』が上述したRAM内の上記桝目領域(4)と対応する記憶領域に、部分文字『隹』が上記RAM内の上記桝目領域(5)に対応する記憶領域に、夫々書込まれる。漢字『椎』の場合、部分文字『木』がその偏であり、部分文字『隹』がその旁であるから、後述するように、上記桝目領域(4)は部分文字『木』の最適位置に対応しており、同様に、上記桝目領域(5)は部分文字『隹』の最適位置に対応している。
【0045】図6は、上述した漢字検索方式を適用する漢字として、『椎』を例に採った場合のマスタを示す説明図である。
【0046】図6に示すように、各部分イメージ欄には、夫々最初の部分文字『木』、、部分文字『隹』、2番目の部分文字『木』、・・・というように、多数の部分文字が登録されている。最初の部分文字『木』の部分イメージ欄に対応する最適位置情報欄には、最適位置情報「4」(上述した桝目領域(4)を示す情報)が、可能位置情報欄には、可能情報「1,7」(上記桝目領域(4)を示す情報)が、、部分id欄には、「01」が、夫々登録されている。また、部分文字『隹』の部分イメージ欄に対応する最適位置情報欄には、最適位置情報「5」(上述した桝目領域(5)を示す情報)が、可能位置情報欄には、可能情報「2、3、6」(上記桝目領域(2)、(3)、(6)を示す情報)が、部分id欄には、「02」が、夫々登録されている。更に、2番目の部分文字『木』の部分イメージ欄、最適位置情報欄には、最適位置情報「8」(上述した桝目領域(8)を示す情報)が、可能位置情報欄には、可能情報「7、9」(上記桝目領域(7)、(9)を示す情報)が、部分id欄には、「03」が、夫々登録されている。
【0047】図7は、上述した漢字検索方式を適用する漢字として、『椎』を例に採った場合のファイルを示す説明図である。
【0048】図7に示すように、各漢字イメージ欄には、漢字イメージ『椎』、『集』、・・・というように、多数の漢字イメージが登録されている。『椎』の漢字イメージ欄に対応するコード欄にはコード情報として「0001」が、画数欄には画数情報として「12」が、読み仮名欄には読み仮名情報として「すい」が、部首欄には部分文字の名称情報として「きへん」が、部分id1欄には「01」が、部分id2には「02」が、夫々登録されている。一方、『隹』の漢字イメージ欄に対応するコード欄にはコード情報として「0002」が、画数欄には画数情報として「11」が、読み仮名欄には読み仮名情報として「 しゅうが、部首欄には部分文字の名称情報として「ふるとり」が、部分id1には「03」が、部分id2には「02」が、夫々登録されている。
【0049】上記のように、ユーザが部分文字『木』を、上記表示面の桝目領域(4)に、部分文字『隹』を桝目領域(5)に夫々入力したことで、上記各部分文字が上記桝目領域(4)、(5)に夫々対応するRAMの記憶領域に書込まれると、演算処理部が部分文字『木』の部分id「01」と、、部分文字『隹』の部分id「02」とを、図6のマスタから読出す。次に、上記部分id「01」、「02」を用いて図7のファイルから検索対象である漢字を抽出する。部分id「01」、「02」を共に有する漢字イメージは、図7から明らかなように、部分id1として「01」を、部分id2として「02」を夫々有する漢字イメ−ジ『椎』だけである。従って、上記漢字イメ−ジ『椎』が、検索対象漢字として図7のファイルから抽出され、情報処理装置の表示部に表示されることになる。
【0050】上述した例では、部分文字『木』が表示面に入力されると、その入力位置を示す情報(つまり、位置情報)である「4」(或いは、「1、7」)に基づいて部分id「01」を選択するため、同一の部分文字『木』であっても、部分id「02」に対応する2番目の部分文字『木』(つまり、漢字全体の下部に位置する部分文字『木』)が選択されることがない。よって、『椎』と共に『集』が候補漢字として上記表示面上に表示され、ユーザがそれらの候補漢字中から『椎』を抽出する手間を省くことができる。
【0051】上述した本発明の一実施形態及びそれを適用した具体例では、部分文字が入力された位置(最適位置のこともあるし、可能位置のこともある)に係る情報に基づいて、マスタからその部分idを見出すようにした。しかし、まず、部分文字がその最適位置に入力されたか否かをチェックし、その結果、最適位置に入力されていないことが判明したときにのみ、上記部分文字が、その可能位置に入力されているか否かをチェックし、それらのチェック結果に基づいて上記部分文字の部分idを見出すようにしても良い。
【0052】図8は、上述した漢字検索方式を適用する外字作成・登録処理手順の一例を示す流れ図である。
【0053】図8において、ユーザが、作成しようとする外字のイメージ(その外字の部分文字のイメージでも良い)を入力し(ステップS21)、次に、その基本情報(例えば、その外字イメージを構成する部分文字に係る諸情報)を入力すると(ステップS22)、まず内部カウンタ(図示しない)が初期化される(ステップS23)。この内部カウンタは、ステップS24以下の処理動作において示すように、演算処理部が、図1の各桝目(1〜nx)に対応する上記表示面上の各桝目領域に、各部分文字のイメージが入力されたか否かを上記各桝目に付与された番号順に1桝目ずつチェックするに際してカウント値がインクリメントされる。即ち、まず内部カウンタのカウント値(N)をインクリメント(N+1)した上で(ステップS24)、上記桝目1に対応する上記表示面上の桝目領域に上記部分文字イメージが入力されたか否かをチェックする(ステップS25)。
【0054】仮に、外字イメージを構成するいずれの部分文字イメ−ジも、桝目ni−1に対応する上記表示面上の桝目領域に入力されていなければ(ステップS26)、ステップS24へ移行して内部カウンタのカウント値(N)をインクリメント(N+1)した上で、再度ステップS26の処理動作を実行する。部分文字のイメ−ジの1つが、桝目niに対応する上記表示面上の桝目領域に入力されていることを確認すると(ステップS26)、その部分文字のイメージを特定し(ステップS27)、更に、図2のマスタを参照して、上記特定した部分文字と、その最適位置情報のみとから、その部分文字の部分idを特定する(ステップS28)。そして、再びステップS24に移行し、内部カウンタのカウント値(N)をインクリメントする。その結果、カウント値(N)がni+1になる。
【0055】ここで、仮に上記とは別の部分文字のイメージが、桝目niに対応する上記表示面上の桝目領域に入力されていることを確認すれば(ステップS26)、上記と同様にステップS27、S28に夫々示した処理動作を実行し、再びステップS24に移行する。
【0056】以上のように、図1の各桝目(1〜nx)に対応する上記表示面上の各桝目領域の全部について、外字のイメージを構成する各部分文字のイメージについての入力チェックを行った時点では、上記カウント値(N)はnxに達しているから、N=nxとなり、N<nxは成立しない(ステップS25)。そのため、次に図3R>3のファイルを参照し、ステップS28で特定した各部分文字イメージの部分idを用いて上記ファイル中から検索対象である漢字『X』を検索する (ステップS29)。その結果、該当する文字イメージがあれば(ステップS30)、その文字イメージが外字の候補文字として表示面上に表示されると共に(ステップS31)、その文字イメージが辞書に登録される(ステップS32)。
【0057】なお、ステップS28での部分文字の部分idのを特定に当っては、それらの最適位置情報のみを利用することとしたので、文字イメージとして最も美しいもので外字登録を行うことができる。
【0058】なお、上述した内容は、あくまで本発明の一実施形態に関するものであって、本発明が上記内容のみに限定されることを意味するものでないのは勿論である。上述した実施形態では、表示面及びRAMの記憶領域を夫々縦横同数の桝目により格子状に区分することとしたが、必ずしも縦横同数である必要はない。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、読み仮名の分らない漢字を情報処理装置により検索する場合、ユーザの所望する漢字を、ユーザの手を煩わすことなく迅速且つ正確に検索できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が備えるRAM内の記憶領域を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態に係る漢字検索方式に適用される部分文字idマスタを示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態に係る漢字検索方式に適用される漢字情報ファイルを示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態に係る漢字検索方式での処理流れを示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係る漢字検索方式を適用する漢字として、『椎』を例に採った場合の情報処理装置の表示面を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態に係る漢字検索方式を適用する漢字として、『椎』を例に採った場合の部分文字idマスタを示す説明図。
【図7】本発明の一実施形態に係る漢字検索方式を適用する漢字として、『椎』を例に採った場合の漢字情報ファイルを示す説明図。
【図8】本発明の一実施形態に係る漢字検索方式を適用する外字作成・登録処理手順の一例を示す流れ図。
【符号の説明】
1、…、ni〜ni+12、…、nx 桝目状の記憶領域
A、B 部分文字
0a、0b、01、02 部分id
X、Y 漢字
000α、000β、0001、0002 コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 情報処理装置の入力部から前記装置が読込んだ漢字の部分文字を利用して所望の漢字を検索する方式において、前記部分文字のイメージ情報と、前記入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報とに基づき、予めその部分文字イメージに付与された部分文字idを、部分文字idマスタから抽出する手段と、前記抽出された部分文字idに基づき、予めその部分文字idが付与された漢字イメージを漢字辞書から選択する手段と、を備える漢字検索方式。
【請求項2】 請求項1記載の漢字検索方式において、前記部分文字idマスタが、前記入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報、及び個々の部分文字に付与される部分文字idを、各々の部分文字のイメージ情報に対応付けて保持する漢字検索方式。
【請求項3】 請求項2記載の漢字検索方式において、前記入力位置を示す情報が、その部分文字が他の部分文字との結合によって1つの漢字を構成する場合に最適である位置を示す最適位置情報と、前記特定の部分文字の、他の部分文字との組合せによって或る漢字を構成することが可能な入力位置を示す可能位置情報とを含む漢字検索方式。
【請求項4】 請求項1記載の漢字検索方式において、前記漢字辞書が、漢字イメージ情報と、それを構成する部分文字数に応じた部分idとを少なくとも含む漢字検索方式。
【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の漢字検索方式において、前記抽出手段が、前記入力位置情報が前記最適位置情報に対応すると判断したとき、前記最適位置情報を用いて対応する部分文字の部分文字idを抽出し、前記入力位置情報が前記最適位置情報に対応しなかったときのみ、前記可能情報配置を用いて対応する部分文字の部分文字idを抽出する漢字検索方式。
【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の漢字検索方式において、前記部分文字の前記最適位置情報に対応する入力位置情報のみを用いて外字を作成し、漢字辞書に登録する手段を更に備える漢字検索方式。
【請求項7】 検索を所望する漢字の部分文字のイメージ情報を、情報処理装置の入力部の表示面から前記装置へ入力する第1の過程と、前記部分文字のイメージ情報と、前記入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報とに基づき、予めその部分文字イメージに付与された部分文字idを、部分文字idマスタから抽出する第2の過程と、前記抽出された部分文字idに基づき、予めその部分文字idが付与された漢字イメージを漢字辞書から選択する第3の過程と、を備える漢字検索方法。
【請求項8】 請求項7記載の漢字検索方法において、前記部分文字idマスタが、前記入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報、及び個々の部分文字に付与される部分文字idを、各々の部分文字のイメージ情報に対応付けて保持する漢字検索方法。
【請求項9】 情報理装置の入力部から前記装置が読込んだ漢字の部分文字を利用して所望の漢字を検索する方式において、前記部分文字のイメージ情報と、前記入力部の表示面上での部分文字イメージの入力位置を示す情報とに基づき、予めその部分文字イメージに付与された部分文字idを、部分文字idマスタから抽出する手段と、前記抽出された部分文字idに基づき、予めその部分文字idが付与された漢字イメージを漢字辞書から選択する手段と、を備える漢字検索方式における前記各手段としてコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムを担持したコンピュータ読取可能なプログラム媒体。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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