説明

潜水装具と共に使用する泡そらし装置

潜水ヘルメット(10)の泡そらし装置は、前スカート部(24)及び一端で前スカート部(24)と取着した後スカート部(25)から構成される。後スカート部(25)は潜水ヘルメットの呼吸用レギュレータ部品に取り付けるのに適した形である。取着した前後両スカート部(24、25)はサイドポケット(46、48)を形成し、そのサイドポケット(46、48)は、後スカート部(25)がレギュレータ部品に取り付けられると、ダイバーのマスクから排出空気泡をそらす。取り付けられた後スカート部(25)は、潜水ヘルメット(10)と呼吸用レギュレータ部品(12)の排気ウィスカーとの間に、ウィスカー(10)から出る泡が潜水活動中潜水ヘルメット(10)に接触するようになることを防ぐ防護壁を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に潜水装具、特に潜水装具と共に使う泡そらし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な潜水装具は、通常、使用者の目と鼻を覆う潜水マスクと呼吸用レギュレータ部品を含む。呼吸用レギュレータ部品はマウスピースを含み、そのマウスピースは携帯用エアタンクにつながるホースと接続している。潜水装具は、FFMs(フルフェイスマスク)、潜水ヘルメット、スキューバ(自給式水中呼吸装置)及び/又は同種の物を含む様々な形状になる。
【0003】
従来の潜水装具に現存する問題は、水面下の呼吸により、ダイバーの視界とコミュニケーション活動を阻害する空気泡及びそれに付随するノイズを発生させることである。ダイバーが、呼吸用レギュレータに取り付けられたゴム製の一方向にのみ空気を通す弁を通して吐き出すときに、ほとんどの空気泡は排出される。排出された空気泡は、ダイバーの顔と頭の前や周りを通る傾向があり、目の前にたどり着き、及び/または、直接的に若しくはFFMマスクのフレームやヘルメットの帽体の外側から、ダイバーの頬、耳、及びこめかみの辺りを通り過ぎ、ダイバーの視界及びダイバーの音による活動を含んだコミュニケーション活動を阻害する。
【0004】
ダイバーが水中で頭を水面に向けた状態で、前や上を見ている時は、空気泡は通常ダイバーの顔、マスクのフレーム、またはヘルメットの帽体に沿って上昇するので、このことは特に顕著となる。結局、ダイバーは排出する空気泡をダイビング体験の一部として受け入れるようになる。空気泡による障害を避けるために、頭を下に向けたり片側に傾けたりする体勢をとったり、潜水中のコミュニケーション中、聞こうとするときに息を止める人もいる。不便であることからは避けられるが、この体勢はいつでも可能というわけではなく、特にダイバーが上昇し、彼らの上方にある物体と衝突しないことを確認するために見上げなければならないとき可能ではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに開示される好適実施例は、潜水装具と共に使用する泡そらし装置に向けられる。その潜水装具は、その一部に呼吸用レギュレータ部品とダイバーのマスクを含む。
【0006】
発明の1つの側面によると、その泡そらし装置は前スカート部と後スカート部から構成される。後スカート部は、一端で前スカート部と取着し、呼吸用レギュレータ部品に取り付けられるように適合される。後スカート部が呼吸用レギュレータ部品に取り付けられたとき、取着した前後両スカート部は、排出された空気泡を潜水活動中のダイバーのマスクからそらすためのサイドポケットを少なくとも1つ形成する。取り付けられた後スカート部は、呼吸用レギュレータ部品にある空気泡が潜水装具と接触するようになることを防ぐのに適した防護壁を形成する。
【0007】
発明の本側面及び他の側面は、添付図面及びそれに続く発明の詳細な説明のレビューから明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、次の添付図面を参照することにより概ね示される。
【0009】
添付図面と関連して以下に示された詳細な説明は、好適実施例の説明を意図しており、その好適実施例がその形式によってのみ製造されること及び/又は利用されることを表現することを意図するものではない。この説明は、図示された実施例と関連して好適実施例を製造し、使用するための段階の作用及び効果を明らかにする。しかしながら、同一又は等しい作用及び効果は異なる実施例によっても達成されるということが理解されるが、それらもまた本発明の精神及び範囲に包含されることを意図している。
【0010】
本発明のいくつかの実施例は、概ね図3〜図6を参照して、潜水ヘルメット泡そらし装置と関連して詳細に記述される。本発明の追加の実施例、特徴、及び/又は利点の全部またはその一つは、続く説明から明らかになるか、発明の実施によってわかるだろう。図面において、図は同一尺度ではなく、図と説明との両方を通して類似の特徴に対応している。
【0011】
図1は従来の潜水ヘルメット10の側面図であり、呼吸用レギュレータ取付管14及び空気供給管16(図1〜2)との間に効果的に結合された呼吸用レギュレータ呼吸用レギュレータ部品12を備えている。呼吸用レギュレータ部品12はその一部に、空気開放又はパージボタン18(図1〜2)、呼吸用レギュレータ調整ノブ19(図2)及び排気ウィスカー20(図1〜2)を含んでいる。ウィスカー20は排出される空気を泡として出口22(図1)から排出する。排出される空気泡は上方、すなわち水面50(図5〜6)に移動する傾向にあり、概してダイバーの視界を妨げる。もしダイバーがわずかに下を見ると、排出された空気泡は潜水ヘルメット10の横に沿って移動する傾向にあり、潜水ヘルメットの中に聞こえる雑音を発生させ、他のダイバー及び/又は水上の補助者とコミュニケーションをとる際にダイバーの注意をそらす。
【0012】
図3は、本発明の好適実施例にしたがった潜水ヘルメット泡反らせ板26の一般的に鳥のような形状の前スカート部24の平面図である。前スカート部24には、一端に重りを取り付けるための一対の孔28、30が設けられており、それによりスカートの底部が、浮力及び/又は排出された泡の流れのため上がることや、ダイバーが前を向いているときや顔を上げているときのような潜水活動中にダイバーの視界を遮ることを防いでいる。この観点から、図6は潜水活動中のスカートの浮力を減らし適切な位置を維持するために、本発明にしたがって前重り32を取り付けたものを示している
【0013】
前スカート部24は、ゴム、ネオプレン(登録商標)、シリコン、ウレタン、布及び/又はその他同種の物のようなフレキシブルな材料で作ることができる。前スカート部24は、また、必要に応じて、高剛性な材料とフレキシブルな材料の組み合わせから作ることができる。一つの実施例として、前スカート部24は比較的薄くかつ透明でフレキシブルな材料で作ることができる。前スカート部24は、通常、曲線状の上端34(図3)を含む。
【0014】
図4は、本発明の別の実施例に従う潜水ヘルメット泡反らせ板26の一般的に鳥のような形状の後スカート部25の平面図である。後スカート部25は、概ね図4に描かれるように、呼吸用レギュレータ接続管用孔29及び空気供給管用孔31を備える。後スカート部25は、ゴム、ネオプレン(登録商標)、シリコン、ウレタン、布及び/又はその他同種の物のようなフレキシブルな材料で作ることができる。後スカート部25は、また、必要に応じて、高剛性な材料とフレキシブルな材料の組み合わせから作ることができる。一つの実施例として、後スカート部25は比較的薄くかつ透明でフレキシブルな材料で作ることができる。後スカート部25は、通常、前スカート部24(図3)の上端34の輪郭に沿った上端35(図4)を有する。
【0015】
本発明に従う潜水ヘルメット泡反らし板の製造は、前スカート部24の上端34(図3)に後スカート部25の上端35(図4)を取着すること及び前スカート部24に重りを取り付けることを含む。上端34、35の取り付けは、接着剤でつけること、縫うこと、一体成形すること及び/又はその他同種のものを含む。上端34、35は、また、取り外しできるようにベルクロ(登録商標)片のようなものによって取り付けることができる。取着した上端34、35は、通常、折り目33を形成し、それに沿って前スカート部24は後スカート部25と折りたたんだようになる。
【0016】
本発明により製造され、潜水ヘルメット10のビューイングレンズの下に取り付けられた泡反らし板36は、概ね図5〜6に示されるように描かれる。泡反らし板36は呼吸用レギュレータ取付管14と空気供給管16(図1〜2)を呼吸用レギュレータ部品12(図1)から取り外し、それぞれ、取り外された呼吸用レギュレータ取付管14と空気供給管16(図1〜2)を後スカート部25(図4)の呼吸用レギュレータ取付管孔29と空気供給管孔31に挿入し、呼吸用レギュレータ取付管14と空気供給管16(図1〜2)を呼吸用レギュレータ部品12に再接続することによって取り付けられる。
【0017】
取り付けられた泡反らし板(36)は、部分的に排気ウィスカー20(図1〜2)を取り囲み、ウィスカー20(図5)から出る空気泡40を捕らえる。特に、挿入された後スカート部(25)は、潜水ヘルメット10と排気ウィスカー20の出口22の間に防護壁を形成し、それは、概ね図5〜6に図示するように、ウィスカー20から出る空気泡40が潜水ヘルメット10と接触するようになることを防止する。ダイバーが公知の潜水器具を使う際に等しく体験する泡ノイズは、このように除かれる。さらに、取着された前後両スカート部24、25の末端42、43、44及び45(図3〜4)は、サイドポケット46及び48を形成し、それぞれ、概ね図5〜6に示されるように、排出される空気泡40をダイバーのビューイングレンズ38とヘルメット10から遠ざけて水面50に向かわせる。方向を変えた空気泡は、様々な潜水活動の間ダイバーの視界を妨げない、という利点がある。取り付けられた泡反らし板36は、また、概ね図6に描かれるように、勝手よく前スカート部24の下に届く呼吸用レギュレータ調整ノブ19(図2)だけでなくフレキシブルな前スカート部24を通して、ダイバーにとってパージボタン18(図1〜2)を利用しやすくしている、という利点がある。
【0018】
当業者は、本発明の泡そらし装置は、フルフェイスマスク(FFM)、スキューバ(自給式水中呼吸装置)ダイビング装備及び/又は同種の物の使用に適用できると容易にわかるだろう。本発明の意図する目的及び範囲と異ならない限り、本発明の泡そらし装置は、他の方法で並びに/又は他の適切な部品及び/若しくは材料で組み立てることができる。上記の好適実施例は、本発明の一般原則の単なる実例である。発明の範囲に属する様々な構成の変更を採用することができる。このように、例の方法で、しかし限定されることなく、代わりとなる形状が、ここに説明したように利用されるだろう。従って、図及び説明は実例であって、それに限定されることを意味しない。
【0019】
さらに、すべての用語は文脈に反しない範囲で可能な限り最も広い方法で解釈される。特に、「から構成される」及び「構成」という用語は、非排他的方法で要素、部分、又は段階を参照して解釈されるべきで、このことは、参照された要素、部分、又は段階は、存在し若しくは利用され、又は明確に参照されていない他の要素、部分、若しくは段階と結び付けられていることを示している。このように、実施例とその変化形が、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲にある限り、発明は、すべての実施例とその変化形を含むことを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の泡そらし装置は、広範囲の産業上の利用可能性を有する。特に、本発明の一般原則に従って構成され、使用されたとき、泡そらし装置はフルフェイスマスク(FFM)、スキューバ(自給式水中呼吸装置)ダイビング装置及び/又は同種のものと使用することに適合する。本発明の泡そらし装置は、必要に応じ、他の方法で並びに/又は他の適切な部品及び/若しくは材料で組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の潜水ヘルメットの側面図である。
【図2】図1の潜水ヘルメットの正面図である。
【図3】本発明の好適実施例に従った潜水ヘルメット泡反らせ板の前スカート部の平面図である。
【図4】本発明の別の好適実施例に従った潜水ヘルメット泡反らせ板の後スカート部の平面図である。
【図5】本発明に従って作られた泡反らせ板を装備した従来の潜水ヘルメットの側面図である。
【図6】本発明に従った図5の潜水ヘルメットと泡反らせ板との組み合わせの正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸用レギュレータ部品とビューイングレンズを有する潜水者マスクを含む潜水装備とともに使用される泡そらし装置であって、
前スカート部と、
一端にて前記前スカート部に取り付けられ、かつ呼吸用レギュレータ部品に取り付けるのに適合した後スカート部とを有し、
前記後スカート部が呼吸用レギュレータ部品に取り付けられたとき、前記前後両スカート部が、潜水活動中ダイバーのビューイングレンズから排出空気泡をそらすのに適した少なくとも1つのサイドポケットを形成し、
前記後スカート部が、呼吸用レギュレータ部品から出る空気泡が潜水器具と接触することを防ぐのに適合した防護壁を形成することを特徴とする泡そらし装置。
【請求項2】
前記前スカート部が、概ね、曲線状の上端を含むことを特徴とする請求項1に記載の泡そらし装置。
【請求項3】
前記後スカート部が、概ね、前記前スカート部の前記上端の輪郭に沿った上端を含むことを特徴とする請求項2記載の泡そらし装置。
【請求項4】
前記前後両スカート部の両上端が、折り目を形成するように互いに取着され、前記前スカート部は前記後スカート部に対して前記折り目に沿って折りたたまれたようにすることを特徴とする請求項3記載の泡そらし装置。
【請求項5】
前記前後両スカート部の前記両上端が、互いに接着剤によって取着されることを特徴とする請求項4記載の泡そらし装置。
【請求項6】
前記前後両スカート部の前記両上端が、互いに縫い合わされることを特徴とする請求項4記載の泡そらし装置。
【請求項7】
前記前後両スカート部の前記両上端が、一体成形されることを特徴とする請求項4記載の泡そらし装置。
【請求項8】
前記前後両スカート部の前記両上端が、互いに取り外せるようにベルクロ(登録商標)片で取着されることを特徴とする請求項4記載の泡そらし装置。
【請求項9】
前記前スカート部が、さらに、浮力を減らすための少なくとも1つの重りを取り付けるのに適合した少なくとも1つの孔を含むことを特徴とする請求項2記載の泡そらし装置
【請求項10】
前記後スカート部が、さらに、呼吸用レギュレータ部品を取り付けるために適するように構成された少なくとも1つの孔を含むことを特徴とする請求項3記載の泡そらし装置
【請求項11】
前記前後両スカート部が、概ね鳥のような形状を持つことを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項12】
前記前後両スカート部が、それぞれ、フレキシブルな材料で作られることを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項13】
前記前後両スカート部が、フレキシブル及び高剛性な材料の両者で作られることを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項14】
前記フレキシブルな材料は、ゴム、ネオプレン(登録商標)、シリコン、ウレタン、布及びそれらの組み合わせから構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項12記載の泡そらし装置
【請求項15】
前記防護壁が、潜水活動中泡によるノイズを除去することを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項16】
前記少なくとも1つのサイドポケットによって、排出された空気泡をわきへ向け、ダイバーの視界が潜水活動中阻害されることを防ぐことを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項17】
前記取着され取り付けられた前後両スカート部が、潜水活動中呼吸用レギュレータ部品を利用できるように適切に構成されることを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項18】
前記前後両スカート部が、潜水ヘルメットとの使用に適するように構成されること特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項19】
前記前後両スカート部が、フルフェイスマスク(FFM)の潜水器具との使用に適するように構成されること特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項20】
前記前後両スカート部が、スキューバ(自給式水中呼吸装置)の潜水器具との使用に適するように構成されること特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項21】
前記前スカート部が、概ね薄くて透明なフレキシブルな材料で作られることを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置
【請求項22】
前記後スカート部が、概ね薄くて透明なフレキシブルな材料で作られることを特徴とする請求項1記載の泡そらし装置

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−508736(P2009−508736A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531453(P2008−531453)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/036924
【国際公開番号】WO2007/035899
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(503251329)カービー・モーガン・ダイブ・システムズ・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】KIRBY MORGAN DIVE SYSTEMS, INC.