説明

火工品を点火する装置の安全機構

【目的】発煙筒などの火工品の点火装置において、操作員が誤って点火スイッチをオンにしたまま発煙筒を挿て部に挿入しても、瞬時に発火する危険性が避けられる安全機構を実現する。
【構成】発煙部1と操作部5とからなる発煙筒3の点火装置において、発煙部1の点火回路にロータリスイッチ8を設け、かつ、このロータリスイッチ8に連動して発煙筒3の挿てん部2内に出入りする安全ピン9を設ける。これにより、誤って発煙筒3を挿入しても点火接点4にまで達することができず、発煙筒3が瞬時に発火することは避けられる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発煙筒などの火工品を点火する装置に係り、特に、その装置の安全機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、発煙筒などの火工品を点火させる装置は、一般に、図3に示すように、発煙部1と操作部5とで構成されている。そして、発煙部1の挿填部2の中に発煙筒3を挿入し、発煙部1から離れた場所に設置された操作部5から点火操作を行う。すなわち、操作部5の中には電源7があり、点火スイッチ6を押すことにより、電源7から点火接点4を介して発煙筒3の内部に電流が流れ、発煙筒3が発火する構造になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような火工品の点火装置においては、もし、誤って操作部5の点火スイッチ6がオンの状態で発煙筒3を挿填部2内に挿填した場合、挿填した瞬間に発煙筒3が発火するという、安全上極めて危険な問題点がある。
【0004】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、操作員が誤った操作をしても危険の生じないフェイルセーフの、火工品を点火する装置の安全機構を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明においては、発煙部と操作部とからなる発煙筒などの火工品を点火する装置において、発煙部の点火回路にロータリスイッチを付加し、さらに、このロータリスイッチに連動して発煙筒挿填部内に出入りする安全ピンを設け、スイッチオンの場合には安全ピンが挿填部内に突き出し、オフの場合には引っ込むようにする。
【0006】
【作用】上記の火工品を点火する装置の安全機構には、操作部の点火スイッチの他に発煙部の点火回路にロータリスイッチを付加したことにより、発煙筒を挿填する際に、手元で安全を確認することができる。また、さらに、このロータリスイッチに安全ピンを連動させ、例えば、ロータリスイッチがオンになっている場合には、上記の安全ピンが発煙筒挿填部の内側にまで突出しており、これにより、発煙筒を点火接点にまで挿入できないようにしてある。そして、ロータリスイッチをオフにした場合にのみ、安全ピンは挿填部から引っ込み、発煙筒の挿填が可能になる。この場合、操作部の点火スイッチがオンになっていても、ロータリスイッチがオフになっているので、発煙筒は点火せず、安全である。
【0007】
【実施例】図1に、本発明に係る火工品を点火する装置の安全機構に対する一実施例の概略構成図を示す。この実施例では、図3の従来例で示したように、発煙筒に点火する場合について記載してある。ところで、図1の本実施例と図3の従来例とで異なるところは、発煙部1側の点火回路にロータリスイッチ8を付加したことと、そのロータリスイッチ8に連動して、発煙筒3を挿入する挿填部2の内側に出入りする安全ピン9を設けたことである。ここで、安全ピン9は、ロータリスイッチ8の回転軸に取り付けられたカム10によって、挿填部2内に出入りする。
【0008】次に、図2に基づいて、上記安全ピン9の作動機構について説明する。
【0009】まず、図2(a)に示すように、発煙筒3の交換時には、ロータリスイッチ8を右側に回してオフの状態にするが、この時、カム10は安全ピン9を右方向に押し込み、安全ピン9は挿填部2内から引っ込む。次に、図2(b),(c)に示すように、作動時にロータリスイッチ8を左側に回してオンの状態にすると、カム10は左側に倒れ、安全ピン9はカム10に対して自由になる。しかし、作動時には、安全ピン9は、安全ピン9と安全ピン保持金具11との間にあるスプリング12によって左側に押され、図2(b)に示すように、挿填部2内に突出する。ただし、挿填部2内に発煙筒3が挿入されている場合には、図2(c)に示すように、発煙筒3の表面で止まる。
【0010】次に、発煙筒3を挿填部2内に挿入する場合の操作手順について述べる。
【0011】まず、操作部5の点火スイッチ6をオフにし、あるいはオフであることを確認し、発煙部1のロータリスイッチ8を交換(オフ)の位置にする。これにより、点火の電気回路は2個所で切断され、また、安全ピン9は発煙筒挿填部2から引っ込む(図2(a))。そして、この状態で発煙筒3を挿填部2内に挿入する。
【0012】次に、発煙部1のロータリスイッチ8を作動(オン)の位置にする。この時、カム10は左側に傾くので、安全ピン9はスプリング12の力により挿填部2の方向に押され、その先端が発煙筒3の側壁に当たり停止する(図2(c))。そして、操作部5の点火スイッチ6をオンにすると、発煙部1の点火接点4を経由して電流が発煙筒3内部に流れ、発煙筒3が発煙する。
【0013】ところで、上記の操作手順において、最初の操作部5の点火スイッチ6をオフにすることを怠った場合でも、発煙部1のロータリスイッチ8を交換(オフ)の位置にすることで、点火の電気回路は切断される。したがって、発煙筒3を挿填する際の発火の危険性は防止できる。また、ロータリスイッチ8が作動(オン)状態にある場合には、安全ピン9が発煙筒3の挿填部2内に突出しているので、発煙筒3は安全ピン9に阻止され、挿填部2の底面にある点火接点4にまでは到達できない。つまり、電気回路がオンの状態にある場合には、発煙筒3は安全ピン9により機械的に挿填できず、電気回路がオフの状態にある場合にのみ、挿填できることになる。これにより、発煙筒3を挿填する際に突然、発火する危険性は防止される。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る発煙筒などの火工品を点火する装置の安全機構においては、発煙部の点火回路にロータリスイッチを付加し、さらに、これに連動して発煙筒挿填部内に出入りする安全ピンを設けたことにより、点火スイッチがオンの状態で発煙筒を挿入しても発火の生じないフェイルセーフの点火装置が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発煙筒点火装置の安全機構の概略構成図である。
【図2】本発明に係る安全ピン機構の詳細説明図である。
【図3】従来の発煙筒の点火装置に関する概略構成図である。
【符号の説明】
1…発煙部
2…挿填部
3…発煙筒
4…点火接点
5…操作部
6…点火スイッチ
7…電源
8…ロータリスイッチ
9…安全ピン
10…カム
11…安全ピン保持金具
12…スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】発煙部と操作部とからなる火工品を点火する装置の安全機構において、上記発煙部の点火回路にロータリスイッチを設け、かつ、該ロータリスイッチと連動して発煙筒挿填部内に出入りする安全ピンを設け、上記ロータリスイッチがオンの場合には該安全ピンが上記挿填部内に突き出し、上記発煙筒が上記挿填部内の点火接点と接触することを防止したことを特徴とする火工品を点火する装置の安全機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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