説明

火工品

【課題】発破に使用される火工品において、少量の詰物でも十分な填塞効果を上げ、大きな破砕力が得られるようにする。
【解決手段】火工品1はアルミニウム製の管体2にRDX等の高性能爆薬をペレット状に成型した爆薬ペレット3を複数個装填し、ついで電気雷管4、該雷管4の起爆タイミングを1ms単位で高精度で制御することができる電子デバイスよりなる制御装置5を装填してなるもので、岩石やコンクリート等の被破砕物7の破砕は、該被破砕物7の自由面に形成した穿孔8に火工品1を装填し、砂や粘土等の詰物9を詰め込んだのち行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩石やコンクリート等の被破砕物の発破時に填塞効果を発揮する火工品に関する。
【背景技術】
【0002】
岩石やコンクリート等の被破砕物の発破時には、被破砕物の自由面に穿孔を所要数形成し、各穿孔にそれぞれ爆薬と電気雷管を装填したのち、自由面近くの穿孔出口付近に砂、粘土等の詰物を詰めて填塞している(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−161095号
【特許文献2】特開2009−168374号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
詰物による填塞は、穿孔内で爆薬が爆発した際に、発生する高温高圧のガスが有効に働き、大きな破砕効果をもたらすために行われるが、穿孔が浅いと、十分な量の詰物が詰められず、また深い穿孔でも詰物が少量であると、十分な填塞効果を上げることができない。
【0005】
本発明は、少量の詰物でも十分な填塞効果を上げ、大きな破砕力が得られる火工品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係わる発明の火工品は、岩石やコンクリート等の被破砕物の自由面に形成された穿孔に装填され、発破に使用される火工品であって、管体と、管体内に穿孔への管体の装入方向に順に装填される装爆薬、雷管及び該雷管の起爆タイミングを制御する制御装置よりなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明の爆薬がペレット状に成型された爆薬ペレットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
岩石やコンクリート等の被破砕物の自由面に形成した穿孔に本発明に係わる火工品を装填し、ついで詰物を詰めて填塞したのち、制御装置から制御信号を発信させ、雷管を起爆させると、先端の爆薬に伝播されていく。爆薬の爆発により、穿孔内で発生する衝撃波と反応生成ガスは、穿孔周辺を破砕すると同時に自由面側の詰物方向にも伝播していく。このときに発生する力で制御装置が管体と共に圧縮されて、破砕されていない自由面側を塞ぎ、填塞効果を発揮する。そのため詰物が少量であっても填塞効果が十分に発揮され、少量の火薬でも大きな破砕力を得ることができる。また少量の爆薬で大きな破砕力が得られることにより、火工品を小型化することができ、火工品を小型化すると、発破時に発生する騒音、振動、粉塵等を少なくすることができ、環境に対して低負荷で、低コストとなり、安全な発破工事を行うことができる。
【0009】
また爆薬にペレット状に成型された爆薬ペレットを用いると、填薬密度が上がり、爆発エネルギーも高くすることができ、グラム単位での薬量調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係わる火工品の概略図。
【図2】図1に示す火工品を穿孔に装填して発破するときの状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の火工品について図面により説明する。
図1に示す火工品1は、金属製、例えばアルミニウム製の管体2に高性能爆薬、例えばRDX、HMX、テトリル或いはPETN等をペレット状に成型した一定質量、例えば1.25gの爆薬ペレット3を複数個装填し、ついで電気雷管4、更に雷管4の起爆タイミングを1ms単位で高精度で制御することができる電子デバイス、例えばカヤク・ジャパン社製の電子デバイスよりなる制御装置5を順に装填してなるものである。図中、6は制御装置5に接続される導線である。
【0012】
図2は、岩石やコンクリート等の被破砕物7に対し、その自由面に多数、適当間隔で形成した穿孔8に前記火工品1をそれぞれ装填し(図2においては、そのうちの一つを示している)、自由面側の穿孔出口付近に砂や粘土等の詰物9を詰めて填塞してなるもので、発破は各火工品1に対し、制御装置5を制御し、制御装置5から発信される制御信号により電気雷管4を起爆し、各雷管4の起爆によりそれぞれ爆薬ペレット3に伝爆させて行われ、段発して発破される。
【0013】
本実施形態の火工品によると、爆発ペレット3の爆発により発生する衝撃力と、ガス圧で制御装置5は金属製の管体2と共に圧縮されて穿孔8の自由面側を詰物9と共にしっかりと確実に塞ぎ、填塞効果を発揮して小型の火工品でも、また詰物9の量が十分でなくても大きな破砕力を発揮することができ、騒音、振動、粉塵等を低減させて環境に対し低負荷で低コストとなり、安全な発破工事を行うことができること、爆薬をペレット状に成型することにより填薬密度が上がり、爆発エネルギーも高くすることができ、グラム単位での薬量調整を容易に行うことができること等の効果を奏する。
【0014】
なお、上記填塞効果は穿孔8と火工品1とのクリアランスを小さくすることにより上げることができる。挿入性を考慮して、例えば直径約12mmの火工品1に対しては、穿孔8の口径を約16mmにするとよい。火工品1の直径を約12mmとするために、管体2及び爆薬ペレット3の外径はできるだけ12mmに近くされる。
【符号の説明】
【0015】
1・・火工品
2・・管体
3・・爆薬ペレット
4・・電気雷管
5・・制御装置
6・・導線
7・・被破砕物
8・・穿孔
9・・詰物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩石やコンクリート等の被破砕物の自由面に形成された穿孔に装填され、発破に使用される火工品であって、管体と、管体内に穿孔への管体の装入方向に順に装填される装爆薬、雷管及び該雷管の起爆タイミングを制御する制御装置よりなることを特徴とする火工品。
【請求項2】
前記爆薬がペレット状に成型された爆薬ペレットであることを特徴とする請求項1記載の火工品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−21700(P2012−21700A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159497(P2010−159497)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(391038659)中国化薬株式会社 (9)
【出願人】(510194116)株式会社相模工業 (2)