説明

灸効果を持つ組成物とこれを用いた圧鋒

モグサ濃縮液20〜40重量%、補助生薬剤0〜20重量%、樹脂0〜20重量%及び遠赤外線放射粉末30〜60重量%を含む、灸効果を持つ組成物及びその製造方法、並びに該組成物を用いた皮膚刺激用圧鋒、パッチ剤及びシート剤を提供する。
本発明による組成物を用いた皮膚刺激用圧鋒は、患部や経穴に簡単につけるだけで、鍼、灸、遠赤外線と陰イオン効果を同時に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灸効果を持つ組成物とこれを用いた漢医学的に許容可能な製剤に係り、より詳細には、鍼と灸効果が同時に得られるように、灸効果を持つ組成物で形成またはコーティングされた突起部を有する圧鋒に関する。
【背景技術】
【0002】
東洋医学の一分野である経絡治療の鍼と灸の刺激療法では、数千年間の臨床体験から、五臓六腑、頭、四肢と連結された経絡上の経穴が疾病の反応点でもあり治療点でもある事実を具体的に体系化し、これらの経穴を用いた疾病の治療と予防方法に関する研究を重ね、各種刺激機構と方法を発達させてきた。
【0003】
その代表とされる鍼の金属刺し込み刺激方法と灸療法のモグサ有効成分を用いた熱刺激療法とが根幹をなすようになったことから、現在、経穴療法はすなわち鍼灸治療法と認識されている。
【0004】
漢医学の代表的な治療法の一つである灸は、モグサを燃やし、モグサの燃焼によって発生する熱気を利用する療法である。
【0005】
従来の灸は、モグサまたはモグサと漢薬材とを配合したものを燃やして施術するもので、燃焼時に発生する熱による刺激のみに依存せず、モグサまたは配合された漢薬材から放出される有効成分を患部や経穴の皮膚に浸透させて治療効能を得てきた。
【0006】
しかしながら、灸は、モグサの燃焼時に発生する煙による環境汚染や過熱による火傷、傷跡という不具合があり、その優れた効能にもかかわらず一般人に忌避され、その大衆化・世界化にも限界があった。
【0007】
そこで、灸も、モグサまたは各種生薬剤を皮膚や経穴上に置いて燃やすがために火傷を避けられない熱療法から脱皮し、簡単な一回用の間接灸と各種機構を用いた火傷にならない加熱機構、さらには化学熱を利用する方法に発達してきつつある。
【0008】
この灸と関連した発展技術の一つとして、モグサと漢薬材の有効成分を熱加工せず、抽出したエキスまたは有効成分を含むローション形態に製造して皮膚に塗布した後、電熱などを加えて灸効果を試みる方法がある。
【0009】
ところで、煙草を燃焼してこそ、喫煙効果を得ることができるのと同様に、灸は、モグサと漢薬材などが燃焼する際に発生する熱と有効成分との化学的変化によって鎮静効果が得られるものであり、上記の方法によれば、モグサの有効成分による効能は少し得られるかもしれないが、真のモグサ灸の効果は得られない。
【0010】
なお、別の発熱体を取り付けて無煙灸を製造する方法もあるが、これは、製造過程が複雑で、その持続効果も短いという問題点があった。
【0011】
一方、鍼は、石鍼、骨鍼から金属鍼へ発展し、近来は、皮膚に刺し込み、傷と感染の危険がない金属突起形態に加工した圧鋒に発達してきた(図1)。このような金属圧鋒は、ばん創膏あるいは接着テープなどのような接着部材2に、アルミニウムあるいは銅からなる金属突起4を取り付けてなるもので、鍼刺激しか加えず、灸効果は得られない。さらには、鍼は、電子鍼、レーザー鍼のように、光線、電気、磁気などを用いる複雑な高価装備も開発されてきたが、高コストとなる問題点があった。
【0012】
したがって、簡易でありながも経済的な負担が少なく、かつ、鍼と灸の効果を同時に得ることができる方法または機構が切実に望まれている。
【0013】
そこで、本発明者は、東洋医学の経穴療法で刺激用に用いる鍼と灸の機能を組み合わせて相互補完的な相乗效果をもたらし、鍼の短所とされる刺し込みによる痛みと組織の損傷による感染の危険、及び、灸の短所とされる熱通、火傷、煙などによる問題を解消するなど、鍼及び灸に対する恐怖、拒否感、不便さなどの問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【0014】
本発明の1つの面によれば、は、モグサ濃縮液20〜40重量%、補助生薬剤0〜20重量%、樹脂0〜20重量%及び遠赤外線放射粉末30〜60重量%を含む、灸効果を持つ組成物が提供される。
【0015】
本発明の他の面によれば、は、また、モグサを切ったり粉末にし、モグサ10kg当たり米酢1.5リットルを混ぜてかまで文火、中火、武火の熱調節を通じてそれぞれ加工した後、モグサ重量に対して水を約7〜10倍として熱湯抽出し、モグサの有効成分:水分の重量比が5〜7:3〜5になるまで濃縮する段階と、補助生薬剤を炮製して煎じ液とした後、有効成分含量が総煎じ液に対して20〜30重量部となるように濃縮する段階と、樹脂を70%の酒精で溶解させた後に沈殿精製して、酒精:樹脂有効成分の重量比が5〜9:1〜5のチンキにし、これを、蜂蜜に精製水を加えて蜂蜜希釈液中の水分含量を30〜50重量部とした希釈蜜と同量で混合して水溶性化させる段階と、上記で製造されたモグサ濃縮液、補助生薬剤、樹脂を混合し、この混合物に遠赤外線放射粉末を混合する段階とを含む、灸効果を持つ組成物の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の更に他の面によれば、モグサの有効成分、漢医学的に許容可能な生薬剤、漢医学的に許容可能な樹脂及び遠赤外線放射粉末からなる群より選ばれた1つ以上の物質を含んで形成され、または、モグサの有効成分、漢医学的に許容可能な生薬剤、漢医学的に許容可能な樹脂及び遠赤外線放射粉末からなる群より選ばれる1つ以上の物質で外部がコーティングされてなる突起部と、該突起部の下部に付着される接着部材とを含む皮膚刺激用圧鋒が提供される。
【0017】
本発明の又更に他の面によれば、上記組成物を含むパッチ剤及びシート剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明は、モグサ濃縮液20〜40重量%、補助生薬剤0〜20重量%、樹脂0〜20重量%及び遠赤外線放射粉末30〜60重量%を含む、灸効果を持つ組成物を提供する。
【0020】
本発明は、また、モグサを切ったり粉末にし、モグサ10kg当たり米酢1.5リットルを混ぜてかまで文火、中火、武火の熱調節を通じてそれぞれ加工した後、モグサ重量に対して水を約7〜10倍として熱湯抽出し、モグサの有効成分:水分の重量比が5〜7:3〜5になるまで濃縮する段階と、補助生薬剤を炮製して煎じ液とした後、有効成分含量が総煎じ液に対して20〜30重量部となるように濃縮する段階と、樹脂を70%の酒精で溶解させた後に沈殿精製して、酒精:樹脂有効成分の重量比が5〜9:1〜5のチンキにし、これを、蜂蜜に精製水を加えて蜂蜜希釈液中の水分含量を30〜50重量部とした希釈蜜と同量で混合して水溶性化させる段階と、上記で製造されたモグサ濃縮液、補助生薬剤、樹脂を混合し、この混合物に遠赤外線放射粉末を混合する段階とを含む、灸効果を持つ組成物の製造方法を提供する。
【0021】
本発明で用いられるモグサ濃縮液のモグサには、特に限定されることはないが、チョウセンヨモギ(Artemisia argyi Lev. et Vnt)または薬用ヨモギ(Artemisia asiatica Nakai)を用いるとよい。なかでも韓国産ヨモギが好ましく、より好ましくは、江華島産ヨモギ(Artemisia spp.)を用いる。
【0022】
このようなモグサ濃縮液は、モグサ灸効果をそのまま得なければならないため、漢医学による法製加工方法によってそれぞれ製造された炒炭抽出液、炒黄抽出液及び炒焦抽出液を含むことが好ましい。
【0023】
モグサ濃縮液の場合は、モグサを切ったり粉末にし、漢薬材加工法である炮製方法でモグサ10kg当たり米酢1.5リットルを混ぜてかまで文火、中火、武火等の熱調節を通じて加工した後、モグサ重量に対して水を約7〜10倍として熱湯抽出して精製すると、モグサの有効成分が乾物として約7〜8%となり、これを水分含量が約25〜50%、好ましくは30%となるように加熱濃縮してモグサ濃縮液を製造する。こうすると、モグサ濃縮液が高粘度の糊状になり、他の粘着剤を使用しなくて済む。
【0024】
本発明の組成物に用いられる補助生薬剤は、白止(Angelicae Dahuricae Radix)、威霊仙(Clematidis Radix)及び川弓(Cnidii Rhizoma)からなる群より選ばれた1つ以上の物質とすることが好ましい。本発明では補助生薬剤として白止、威霊仙、川弓のような生薬剤を炮製して煎じ液とした後、有効成分含量が総煎じ液に対して約20〜30重量部となるように精製濃縮して使用する。
【0025】
このように本発明の組成物で用いられる白止、威霊仙、川弓などの補助生薬剤は、モグサ濃縮液と相乗作用し、血液循環改善、鎮静、鎮痛、神経痛、打撲傷、関節炎、皮膚再生等の効能を提供する。
【0026】
本発明の組成物で用いられる樹脂には、特に限定されることはないが、乳香、松脂、沒薬、竜脳、樟脳、ハッカ脳及び唐辛子チンキからなる群より選ばれる1つ以上の物質を用いることが好ましい。
【0027】
樹脂成分としての乳香及び沒薬は、水によく溶けず、外用とする場合吸収率が低い。したがって、本発明では樹脂成分の吸収と効果を高めるために、70%の酒精に溶解させた後に沈殿精製して5〜50%チンキ、特に好ましくは10%チンキにした後、これを、蜜に精製水を加えて蜜希釈液中の水分含量を30〜50重量部とした希釈蜜と同量で混合して水溶性化して使用する。このように本発明の組成物で用いられる樹脂成分は、通気血、消炎、鎮痛、皮膚再生等の細胞機能活性化及び白血球増加などの免疫力をさらに高める効能がある。また、樹脂を10%チンキとする場合、アルコールの含量が高いため、以降の圧鋒製造時にアルコール成分の蒸発によって圧鋒の乾燥が促進される。
【0028】
本発明の組成物で用いられる遠赤外線放射粉末は、遠赤外線を放射する物質であれば特に制限されることはないが、好ましくは、陰イオンの効能も共に得られるものであればよい。本発明では、遠赤外線放射粉末としてバイオセラミックス、トルマリン、貴陽石、麦飯石、イライト、黒雲母、ゲルマニウム及びモナザイトからなる群より選ばれた1つ以上の物質を用いることが好ましい。
【0029】
ここで、バイオセラミックまたは貴陽石などの鉱物を1000メッシュ以上のナノ分子に粉砕して使用すると、これらの物質の表面積が最大限となり、灸効果、遠赤外線、陰イオン効果が高められるので好ましい。
【0030】
本発明ではナノ分子に近いミクロン単位の極微細鉱物またはバイオセラミック粉末の活発な分子活動によって体温で遠赤外線、陰イオンなどのエネルギーが多量放出され、これがモグサを燃やす熱に代えて生体に有益な作用をするようになる。
【0031】
また、本発明の組成物に用いられる遠赤外線放射粉末を、1000メッシュ以上のナノ分子に粉砕して表面積を最大限にすると、高粘度のモグサ濃縮液、威霊仙液及び水溶性化した乳香樹脂を混合して高濃度のゲル状態とし、これを定量吐出器で点滴して球形または円錘形の圧鋒突起部を形成した時、表面張力が弱くなって収縮変形されることがなく、含有されているアルコールが水分と共に乾燥時に迅速に蒸発する利点がある。したがって、遠赤外線放射粉末の使用によって、圧鋒の生産性が高められる他、加熱をしなくても目的とする灸と鍼の効果が同時に得られる。
【0032】
本発明の他の面では、モグサの有効成分、漢医学的に許容可能な生薬剤、漢医学的に許容可能な樹脂及び遠赤外線放射粉末からなる群より選ばれる1つ以上の物質を含んで形成される、または、モグサの有効成分、漢医学的に許容可能な生薬剤、漢医学的に許容可能な樹脂及び遠赤外線放射粉末からなる群より選ばれる1以上の物質で外部がコーティングされてなる突起部;該突起部の下部に付着される接着部材;を備えてなる皮膚刺激用圧鋒が提供される。
【0033】
ここで、突起部は、上記の物質のうち1つ以上の物質で形成たまはコーティングされるものであれば特に制限はないが、本発明による灸効果を持つ組成物で形成またはコーティングされることが好ましい。
【0034】
この皮膚刺激用圧鋒の突起部は、モグサの有効成分が含有された組成物で形成されてもよいし、漢医学で使用可能な各種材質からなる圧鋒(例えば、アルミニウムまたは銅からなる圧鋒)に、モグサの有効成分が含有された組成物をコーティングして形成されてもよい。好ましくは、突起部は、円錘形、押しピン形、半球形または球形とすればよい。
【0035】
また、皮膚刺激用圧鋒において接着部材上に位置する突起部は、図2乃至図6に示すように、1つまたは複数個形成されることができる。なお、突起部は、1点形、3点形、多点形、波形、太極紋または菱形など様々な形状とすることができる。
【0036】
また、接着部材における接着物質は、シート剤やパッチ剤に使用可能な一般的な接着剤のみにしてもよいが、上記組成物の一部または全部を接着剤と混合して形成することが好ましい。この場合、皮膚の広い面積に適用させて効果を上昇させるべく、上記組成物を溶媒含量30%以下に高濃縮したゲルまたはこれを乾燥させて粉末化した粉末形態とした後、総接着物質に対して約0.5〜1重量部混合すると、圧鋒の効果と接着剤に混合された有効成分による効果という二重の効果が得られる。
【0037】
本発明による皮膚刺激用圧鋒は、図2乃至図6に示すように、適正な大きさに加工した接着部材の接着面に、重さ2〜5mg、直径1〜2mm、高さ1〜1.5mmを有するように1点形、3点形、多点形等の形に同時定量吐出させることが好ましい。
【0038】
図7は、本発明による皮膚刺激用圧鋒を定量吐出器で射出成形する様子を示す図である。図7に示すように、薬剤原料供給部30から本発明による組成物Aを薬剤供給装置32に移送し、噴射ノズル34を通って吐出口36から吐出して突起部10を形成する。この時、突起部10は、接着部材20上に形成されることによって、吐出と同時に接着部材20に接着されて本発明による圧鋒となる。
【0039】
また、本発明による皮膚刺激用圧鋒は、生薬剤の溶媒を濃縮させて鉱物粉と混合し、この混合物の溶媒含量を10%以下に調節し、金型で圧鋒形態または粒状の丸剤形態に製造して乾燥した後に接着部材上に貼り付けてなってもよいし、上記混合物に溶媒を加えて適正濃度に薄めた後、金属または合成樹脂等で製造した圧鋒または丸剤等に塗布及び乾燥して形成してもよい。
【0040】
本発明による皮膚刺激用圧鋒によれば、時間の経過につれて圧鋒のモグサのような灸効果を出す組成物が、皮膚から排出される水分に溶け、圧鋒によって押されて拡張された皮膚の毛穴を通じて 浸透圧によって吸収されて効果を発揮する。
【0041】
すなわち、本発明による圧鋒を皮膚につけると、皮膚膜が50%以上拡張されて毛穴が広くなり、皮下組織が圧迫され、圧鍼の刺激によって皮下組織に物理的な変化が起きる。以降皮膚から排出された水分がシールされた圧鋒によく吸収され、これにより生薬剤の有効成分が溶解され、拡張された皮膚膜に浸透圧によって迅速に吸収される。このため、本発明の圧鋒は、圧鍼効果と共に、灸効果、遠赤外線放射及び陰イオンの上昇作用が得られ、加熱しなくても優れた効果を発揮する。
【0042】
さらに、本発明は、上記の方法で製造された灸効果を持つ組成物を含むパッチ剤及びシート剤を提供し、このようなパッチ剤及びシート剤は、一般のパッチ剤及びシート剤の製造方法と同様にして製造すればよい。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を具体的な実施例に挙げてより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するためのもので、本発明の権利範囲を限定するためのものではない。
【0044】
(実施例1)灸効果を持つ組成物及び皮膚刺激用圧鋒の製造
モグサ濃縮液38%、威霊仙抽出液6%、乳香チンキ18%、貴陽石粉末38%を混合して、灸効果を持つ組成物を製造した。
本配合物は、溶媒の含量が約30%程度で、定量吐出器の直径2mmの吐出口から1.5mg程度を接着部材のばん創膏接着面に接触されるように吐出すると、直径2mm、高さ1.2mm程度の球形となる。この製品は、乾燥後にも本来の形態を維持し、皮膚の弱い箇所や子供に適合する。
【0045】
(実施例2)灸効果を持つ組成物及び皮膚刺激用圧鋒の製造
モグサ濃縮液38%、川弓抽出液5%、乳香チンキ13%、竜脳1%、樟脳(またはハッカ脳)1%、唐辛子チンキ1%、バイオセラミック粉41%を混合して、灸効果を持つ組成物を製造した。
本配合物は、溶媒の含量が約25%で、直径2mmの定量吐出口から接着部材のばん創膏の接着面に接触されるように吐出させながら徐々に吐出口を上方に離していくと、重さ約1.5mg、直径2mm、高さ1.5〜1.7mm程度の円錐鍼型の圧鋒となり、吐出と同時に加熱乾燥システムによって約60℃で3分程度すると乾燥されるため直ちに包装可能である。ハッカ、唐辛子チンキなどが配合された本製品は、刺激浸透力が高いため、敏感でない皮膚の箇所や成人に效果的に使用できる強刺激用に好適である。
【0046】
(実施例3)圧鋒の製造
モグサ濃縮液30%(水分50%含有)、白止濃縮液7%、威霊仙濃縮液3%、乳香または沒薬エキス10重量%、バイオセラミック粉25重量%、天然鉱物粉25%を混合すると、粥状の植物成分の粘着力ある高濃縮液となり、これを定量吐出器から接着部材のばん創膏の接着面に吐出させて圧鋒を形成し、乾燥した。
【0047】
(実験例1)臨床実験
実験対象として、2004年12月1日から2005年4月30日まで、本発明による実施例によって製造された皮膚刺激用圧鋒で施術を受けた102名のうち、結果が確認された96名を選定した。
被実験者は、20代9名、30代21名、40代45名、50代8名、60代以上13名で、合計男性38名、女性58名とした。それらの職業は、主婦41名、公務員18名、運転技師12名、会社員10名、無職8名、その他7名だった。
被実験者らの患部や経穴を消毒綿で洗った後、上記実施例で製造された圧鋒をつけた。このとき、狭い部位は1個、広い部位は圧痛点や経穴から3cm以上隔たって必要に応じて3〜5個をさらにつけた。痒みが感じられると直ちに剥がし、それ以外は2日以上自然に剥がれるまで待った。この圧鋒の剥がれた患部及び経穴における残留物を洗い落とした後再び圧鋒をつけた。この実験結果を、下記の表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
(実験例2)
上腹部の膨満感(upper abdominal dropsy)、疼痛、悪心、腰痛及び消化不良などを訴える36歳の女性銀行員に対してX線透視して胃下垂と診断し、梁門・天枢・気海穴に、上記実施例で製造された圧鋒を3日に一回ずつつけた結果、1ケ月後に胃下垂が治ったことが確認された。
【0050】
(実験例3)
重い物を運搬しながら腰が外れ、前後に屈伸できない急性腰部捻挫の症状を見せる45歳の男性警備員に応急治療をした後、痛みを訴える阿是穴と周辺の圧痛点に、上記実施例によって製造された圧鋒をつけた結果、2日後に腰痛が軽減したことが確認されたし、3日後には腰痛がほとんど消えたことが確認された。
【0051】
(実験例4)
眩暈、頭痛、不眠症、物忘れ、性的神経衰弱などで4年間悩んできた36歳の男性公務員に対して神経衰弱と診断し、照海・神闕・神門などに上記実施例によって製造された圧鋒をつけ、3日おきに圧鋒を取り替えながら3ケ月にわたって観察した結果、眩暈と性的神経衰弱を除く全ての症状が好転したことが確認された。
【0052】
(実験例5)
血圧が180/100mmHgで、高血圧に悩んでいる55歳の男性機械工に対して内関・心兪・膈兪 百会に、上記実施例によって製造された圧鋒をつけた結果、3日後に130/92mmHgと血圧が下降したことが確認されたし、1ケ月以後には120〜130/80〜88mmHgと症状が好転したことが確認された。
【0053】
(実験例6)
発熱(体温38.4℃)、頭痛、鼻塞、咽喉痛、悪寒で肢節痛を訴える17歳の男の学生に対して流行性の風邪と診断し、大椎・魚際・風府・肺兪に、上記実施例によって製造された圧鋒をつけた結果、一日で体温が正常となり、他の症状も消えたことが確認できた。
【0054】
(実験例7)
月経痛を病んでいる28歳の女性大学院生に対して中極・関元と腹直筋下部の府舎・維道に、上記実施例によって製造された圧鋒をつけ、月経期間中に一日おきに取り替えた結果、2ケ月後には痛みがほとんどない程度に緩和されたことが確認できた。
【0055】
(実験例8)
発育と栄養は正常であるが、やせており、小学生のころから夜尿症を病んでいる14歳の男の学生の場合、下腹部に感じられる冷たさによって小便をよくし、小便をするたびに下腹に痛みを感じると訴え、水分・関元・中極と左右腹直筋下端部に、上記実施例によって製造された圧鋒をつけた結果、2週間後にほとんど完治したことが確認できた。
【0056】
(実験例9)
両側のこめかみ(太陽穴)及び左頭が痛く、血圧は130/85mmHgで、便泌、疲労及び不眠症を訴える51歳の主婦に対して偏頭痛と診断し、足臨泣・侠谿・胸鎖乳突筋下部に、上記実施例によって製造された圧鋒をつける一方、睡眠を十分に取るようにし且つ過労するのを禁じた。その結果、5日後に症状が好転したことが確認できた。
【0057】
(実験例10)
右側肩関節周囲炎で腕が挙げられなく、手がしびれ、ヒジ外側が眠れないほど痛いと訴える56歳の女性患者に対して、夾脊穴に瀉血をし、上腕撓骨筋に上記実施例によって製造された圧鋒をつけた。1週間後に、肩関節周囲炎がほとんど治ったことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上の如く、本発明によれば、モグサ、補助生薬剤及び樹脂が皮膚に浸透して灸効果が得られるだけでなく、遠赤外線及び陰イオンを放出するバイオセラミックまたは鉱物粉末を含むため、別の発熱体を取り付けなくても灸の効能をより高めることができ、さらには多量の遠赤外線及び陰イオンの効果も得ることが可能になる。また、本発明による皮膚刺激用圧鋒は、球形または円錘形に形成されるため、圧鋒が皮膚経穴を圧迫及び刺激して圧鍼効果を奏でる。
【0059】
したがって、本発明による皮膚刺激用圧鋒によれば、誰でも簡易に経穴や患部につけることができ、これにより、鍼、灸、遠赤外線及び陰イオンという一石四鳥の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来技術による金属圧鋒を示す図である。
【図2】本発明による皮膚刺激用圧鋒の第1の形態を示す図である。
【図3】本発明による皮膚刺激用圧鋒の第2の形態を示す図である。
【図4】本発明による皮膚刺激用圧鋒の第3の形態を示す図である。
【図5】本発明による皮膚刺激用圧鋒の第4の形態を示す図である。
【図6】本発明による皮膚刺激用圧鋒の第5の形態を示す図である。
【図7】本発明による皮膚刺激用圧鋒を定量吐出器で射出成形する様子を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モグサ濃縮液20〜40重量%、補助生薬剤0〜20重量%、樹脂0〜20重量%及び遠赤外線放射粉末30〜60重量%を含む灸効果を持つ組成物。
【請求項2】
前記モグサ濃縮液は、炒炭抽出液、炒黄抽出液及び炒焦抽出液を含む請求項1に記載の灸効果を持つ組成物。
【請求項3】
前記遠赤外線放射粉末は、バイオセラミックス、トルマリン、貴陽石、麦飯石、イライト、黒雲母、ゲルマニウム及びモナザイトから成る群より選ばれた1つ以上の鉱物である請求項1に記載の灸効果を持つ組成物。
【請求項4】
前記補助生薬剤は、白止、威霊仙及び川弓から成る群より選ばれた1つ以上の物質である請求項1に記載の灸効果を持つ組成物。
【請求項5】
前記樹脂は、乳香、松脂、沒薬、竜脳、樟脳、ハッカ脳及び唐辛子チンキから成る群より選ばれる1つ以上のの物質である請求項1に記載の灸効果を持つ組成物。
【請求項6】
モグサを切ったり粉末にし、モグサ10kg当たり米酢1.5リットルを混ぜてかまで文火、中火、武火の熱調節を通じてそれぞれ加工した後、モグサ重量に対して水を約7〜10倍として熱湯抽出し後、モグサの有効成分:水分の重量比が5〜7:3〜5となるように濃縮する段階と、補助生薬剤を炮製して煎じ液とした後、有効成分含量が総煎じ液に対して20〜30重量部となるように濃縮する段階と、樹脂を70%の酒精で溶解させた後、沈殿精製して酒精:樹脂有効成分の重量比が5〜9:1〜5のチンキとし、この樹脂チンキを、蜜に精製水を加えて蜜希釈液中の水分含量を30〜50重量部とした希釈蜜と同量で混合して水溶性化させる段階と、前記製造されたモグサ濃縮液、補助生薬剤、樹脂を混合し、該混合物に遠赤外線放射粉末を混合する段階とを含む灸効果を持つ組成物の製造方法。
【請求項7】
モグサの有効成分、漢医学的に許容可能な生薬剤、漢医学的に許容可能な樹脂及び遠赤外線放射粉末から成る群より選ばれる1つ以上の物質を含んで形成され、または、モグサの有効成分、漢医学的に許容可能な生薬剤、漢医学的に許容可能な樹脂及び遠赤外線放射粉末から成る群より選ばれる1つ以上の物質で外部がコーティングされてなる突起部と、前記突起部の下部に付着される接着部材とを含む皮膚刺激用圧鋒。
【請求項8】
前記突起部は、請求項1乃至5のいずれか1項による組成物を含んで形成され、または、請求項1乃至5のいずれか1項による組成物で外部がコーティングされてなる請求項7に記載の皮膚刺激用圧鋒。
【請求項9】
前記突起部は、円錘形、押しピン形、半球形または球形で形成される請求項7に記載の皮膚刺激用圧鋒。
【請求項10】
前記接着部材上に1つ以上の突起部が、1点形、3点形、多点形、波形、太極紋または菱形で形成される請求項7に記載の皮膚刺激用圧鋒。
【請求項11】
前記接着部材に含まれる接着物質が請求項1による組成物の一部または全部を含む請求項7に記載の皮膚刺激用圧鋒。
【請求項12】
請求項1乃至5のいずれか1項による組成物を含むパッチ剤。
【請求項13】
請求項1乃至5のいずれか1項による組成物を含むシート剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−500868(P2008−500868A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514932(P2007−514932)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004022
【国際公開番号】WO2006/059853
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(506399000)
【Fターム(参考)】