災害時に用いる表示体
【課題】簡易な構造で安価に製造することにより、ほぼ全世帯に所有させることができ、かつ、災害時に住民が家屋などから脱出済みであることを迅速に示すことができる表示体を提供する。
【解決手段】災害時に用いられる表示体1において、家屋から脱出済みであることを標記した表面を有する基部2と、該基部の一部に設けられた家屋6のドア7への取付手段とを備え、家屋から住民が脱出する際に、取付手段によって、基部の表面を表にした状態で前記ドアの表側に取り付けられるようにした。
【解決手段】災害時に用いられる表示体1において、家屋から脱出済みであることを標記した表面を有する基部2と、該基部の一部に設けられた家屋6のドア7への取付手段とを備え、家屋から住民が脱出する際に、取付手段によって、基部の表面を表にした状態で前記ドアの表側に取り付けられるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時に用いる表示体に関し、より詳細には、家屋から住民が脱出する際にドアの表側に取り付けられる表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
日本のような地震多発国では、大規模な震災がいつ発生してもおかしくない状況である。このような大震災時には、火災などによる二次災害を防止するために、初期段階として迅速な脱出および救出が求められる。
【0003】
ところが、近年の高度経済成長に伴って急増しているマンションなどの集合住宅では、地震等の災害により建物が倒壊した場合に、救出する側の人(レスキュー隊、消防隊など)が、「どこの部屋に取り残されている人がいるのか」ということを短時間で認識することができない、という問題があった。そのため、救出する側の人は、一部屋ずつ回って被災者が残っているのか否かを確認する作業を要してしまい、迅速な救出作業を行うのが困難であった。
【0004】
例えば、1995年に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では、倒壊した家屋などに取り残された多くの人を救出しきれずに、その後発生した火災によって多数の犠牲者を生じてしまった。すなわち、震災などの大災害時には、倒壊家屋の外部にいる救出する側の人が、家屋などから脱出できていない世帯を短時間で認識できることが最重要課題である。
【0005】
そこで、このような課題を解決するものとして、例えば、特許文献1に開示される居場所検索システム、あるいは特許文献2に開示される行方不明者の検出システムが知られている。
【0006】
上記特許文献1の居場所検索システムでは、GPS人工衛星からの電波により自身(対象者)の位置を検出し、無線交信により探索者側装置にその情報を伝達して位置情報を表示することにより、対象者の居場所を容易かつ迅速に探索できるようになっている。
【0007】
一方、上記特許文献2の検出システムでは、微弱で単一周波数の信号を発信する発信器を、アクセサリーに組み込んだり、アクセサリー状等に形成して常時身体に付けておくことができるように形成して災害時の検出器としている。
【0008】
【特許文献1】特開平9−251069号公報
【特許文献2】特開平9−102082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1や上記特許文献2に記載される、電波を送信あるいは受信することができる携帯端末は、必ずしも安価なものではないため、住民全員に所有を促すことは困難であった。
【0010】
また、上記特許文献1および上記特許文献2に記載される、電波を送受信することにより対象者の位置を検出するシステムは、大災害時に発生する電波障害などによって使用できなくなってしまう虞があった。
【0011】
さらに、上記特許文献1および上記特許文献2のような携帯端末の場合、平常時には家屋内の目に付き難い場所、例えば押入れや引き出し等に収納されてしまうのが一般的であり、緊急を要する災害時に収納場所から即座に取り出して使用するのが困難になってしまう虞もあった。
【0012】
したがって、災害時の救助活動では、安価で全世帯に所有を促すことができ、災害現場で救助する側の人が、家屋などから脱出できていない世帯を短時間で認識することができる手段が求められていた。
【0013】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構造で安価に製造することにより、ほぼ全世帯に所有させることができ、かつ、災害時に住民が家屋などから脱出済みであることを迅速に示すことができる表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、災害時に用いられる表示体において、家屋から脱出済みであることを標記した表面を有する基部と、該基部の一部に設けられた前記家屋のドアへの取付手段とを備え、前記家屋から住民が脱出する際に、前記取付手段によって、前記基部の表面を表にした状態で前記ドアの表側に取り付けられることにより、達成される。
【0015】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石を備え、該磁石の吸着力によって、前記基部が磁性体の前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0016】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石が、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とが、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0017】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石が、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とが、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0018】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0019】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の上部に設けられた係止部を備え、該係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0020】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の上部に設けられたフック部を備え、該フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0021】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0022】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0023】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられたフック部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0024】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石は、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とが、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0025】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石は、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とが、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0026】
また、上記目的は、前記紐が、不燃性素材からなることにより、効果的に達成される。
【0027】
また、上記目的は、前記突起物が、前記ドアのドアノブであることにより、効果的に達成される。
【0028】
また、上記目的は、前記基部が、耐熱性素材からなることにより、効果的に達成される。
【0029】
また、上記目的は、前記基部が、温度変化に応じて可逆的に変色する性質を具備した変色部を表面の一部に有することにより、効果的に達成される。
【0030】
さらに、上記目的は、前記表示体が平時には前記ドアの裏側に取り付けられていることにより、効果的に達成される。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る表示体によれば、家屋から脱出済みであることを標記した基部に、磁石、紐、係止部、またはフック部を設けるだけの簡単な構造になっているため、安価に製造することができ、ほぼ全世帯に所有させて広く普及させることができる。各世帯の住民が、通常時は家屋のドアの裏側などに取り付けられているこの表示体を、災害時に家屋から脱出する際にドアの表側に取り付けることにより、家屋の外にいる救助する側の人は、各世帯の住民が既に脱出済みであるか否かを短時間で認識することができる。この結果、救助する側の人は、この表示体がドアの表側に取り付けられていない世帯を容易に見つけ出し、家屋などから脱出できていない住民の救出活動を迅速に行うことができ、より多くの住民を救出することができる。
【0032】
また、本発明に係る表示体によれば、家屋のドアが鉄金属などの磁性体である場合の取付手段として、磁石を基部の裏面に設けるとともに、家屋のドアが非磁性体である場合の取付手段として、紐、係止部、またはフック部を基部の一部に設けることにより、ドアが磁性体ではない場合であっても、紐、係止部、またはフック部をドアノブなどの突起物に係合させることにより、表示体をドアの表側に容易に取り付けることができる。
【0033】
また、本発明に係る表示体によれば、表示部である基部と家屋のドアへの貼着部である磁石とが、熱に弱い接着剤等による接着ではなく螺合によって結合され、かつ、基部の素材には耐熱性素材が用いられていることにより、家屋内で火災などが生じてドアの温度が上昇しても、基部と磁石との結合を維持することができ、耐熱性に優れた表示体を低コストで提供することができる。
【0034】
さらに、本発明に係る表示体によれば、温度変化に応じて変色する性質を具備した変色部が基部の表面に設けられていることにより、救助する側の人は、火災などが生じて室内温度が上昇している家屋を短時間で認識することができ、そのような家屋の近隣でドアの表側にまだ表示体が貼着されていない家屋の住民、すなわち火災による危険が差し迫っている被災者を優先的に救出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照にしながら本発明の実施形態について説明する。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に表示体の表側を示す平面図であり、かつ、図2は、図1の表示体の裏側を示す平面図である。
【0037】
本実施形態に係る表示体1は、約15cm四方の耐熱性素材より形成された基部2と、該基部2の裏面に取り付けられ、家屋のドア等への貼着部として機能する円柱形状の磁石3とから構成されている。この基部2の表面の上半部には、家屋から脱出済みであること示す標記Xが設けられ、『脱出済』、『避難済』、『ESCAPED』などの文言が記載されている。また、この基部2の表面の下半部には、この表示体1を所有する住民が属する行政上の区画名や地方公共団体名などが記載された標記Yが設けられている。この標記Xおよび標記Yが設けられている標記部4の背色は、黄色や赤色といった隠蔽力の弱い鮮やかな色になっている。なお、本実施形態では、表示体1の形状は、成形性や加工性を考慮して矩形としているが、これに限定されず、例えば直径15cm程度の円形、あるいは同程度の大きさを有する三角形や多角形であってもよい。
【0038】
図3は、図2のIII−III線に沿った表示体の断面図である。同図において、磁石3の周側面下部には、雄ネジ溝3aが形成されている。一方、基部2の裏面中央部には、磁石3と係合する有底孔の係合穴2aが形成され、該係合穴2aの内周面には、雄ネジ溝3aと螺合する雌ネジ溝2bが形成されている。そして、磁石3は、上面中央部に形成されたプラス溝3bに差し込まれるドライバなどの工具によって、基部2の係合穴2aに螺合される。なお、本実施形態では、磁石3の上面中央部に形成された溝3bは、プラス・ドライバ用の溝になっているが、これに限定されず、例えばマイナス・ドライバ用のマイナス溝、あるいは六角レンチ用の六角穴などでもよい。
【0039】
また、基部2の表面(図3下側)は、上述した標記部4と、該標記部4の周囲に配設された変色部5とを備えている。この変色部5は、温度変化に応じて可逆的に変色する性質を有する熱可逆性変色膜などによって構成され、例えば家屋内で火災などが生じてドアの温度が上昇している場合に、その温度が磁石3および基部2を介して伝達され、所定の温度で変色し(例えば、60℃前後で白色から黄色に変色)、一方、温度が下降した場合には、上記所定の温度で元の色に戻るようになっている。このような性質を有するサーモクロミック素材として、例えば、二酸化バナジウム、金属錯体(ニッケル等)、液晶材料、PNIPAM(ポリN−イソプロピルアミド)などを含有させた混合材料を、変色部5の熱可逆性変色膜に適用することができる。
【0040】
また、基部2を構成する素材は、耐熱性および耐久性に優れた低コストな素材であることが好ましい。このような素材として、例えば、フェノール樹脂、ポリカーボネート、メラミン樹脂等の合成樹脂、あるいは陶磁器等のセラミックス材料などが適用可能である。
【0041】
なお、本実施形態では、変色部5は、上述した混合材料によって形成された熱可逆性変色膜で構成されるとしたが、これに限定されず、例えば基部2を形成する際に、その基材である合成樹脂に上述した混合材料を混入して、変色部5を形成するようにしてもよい。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係る表示体がドアの裏側に取り付けられた通常時の状態を示す説明図であり、図5は、本発明の実施形態に係る表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【0043】
本実施形態に係る表示体1は、図4に示すように、通常時(平時)においては、磁石3の吸着力によって、家屋6の鉄金属などの磁性体からなるドア7の裏側に貼着されている。そして、震災などの災害が発生し、家屋6の住民が脱出する場合には、図5に示すように、基部2の表面を表にした状態で表示体1がドア7の表側に貼着される。このように、住民が既に脱出済みである家屋6のドア7の表側に表示体1が貼着されることにより、救助に駆けつけたレスキュー隊員などは、この表示体1がドア7の表側に貼着されていない世帯を容易に見つけ出し、家屋から脱出できていない住民の救出活動を迅速に行うことができ、より多くの住民を二次災害から救出することができる。よって、本実施形態に係る表示体1は、震災などの災害時における人命救助の際に有用であり、特に、どの部屋に未脱出の住民がいるのかを認識し難い、マンションなどの集合住宅における人命救助の際に有用である。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る表示体1では、ドア7への貼着手段である磁石3が基部2に螺合によって取り付けられているので、家屋6内で火災などが生じてドア7の温度が上昇しても、基部2と磁石3との結合力を維持することができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1は、基部2と磁石3との結合手段に熱に弱い接着剤等を用いていないので、家屋6内で火災が生じた場合にも剥がれ落ちることなくドア7への貼着を維持することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る表示体1では、磁石3と基部2に形成された係合穴2aとを直接螺合させる結合構造になっているので、部品点数の削減を図ることができ、表示体1の組立作業性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る表示体1では、温度変化に応じて変色する性質を有する変色部5が基部2の表面に設けられているので、救助する側の人は、この変色部5の変色の有無を確認することにより、火災などが生じて室内温度が上昇している家屋を短時間で認識することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る表示体の裏側を示す平面図であり、かつ、図7は、図6中のVII−VII線に沿った表示体の断面図である。なお、本実施形態において、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
これらの図において、本実施形態に係る表示体1Aの磁石3Aは、ネジ8の締結によって基部2Aに取り付けられている。磁石3Aの中央部には、ネジ8が挿通されるネジ挿通孔3Acが穿設され、一方、基部2Aの上面中央部にはネジ8が締結されるネジ穴2Acが形成されている。なお、ネジ挿通孔3Acの上部には、ネジ8の頭部が埋没されるフランジ部3Adが形成されている。また、ネジ8の頭部上面には、締結用のドライバなどの工具が差し込まれるプラス溝8aが形成されている。
【0049】
そして、ネジ挿通孔3Acに挿通されたネジ8は、該ネジ8のプラス溝8aに差し込まれる工具によってネジ穴2Acに締結され、これにより、磁石3Aと基部2Aとが結合されるようになっている。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る表示体1Aでは、ネジ8とネジ穴2Acとの螺合によって、基部2Aと磁石3Aとが結合されて構造になっているので、温度が上昇に伴う結合力の劣化を抑制することができる耐熱構造を備えている。この結果、本実施形態に係る表示体1Aにおいても、第1実施形態と同様の作業効果を得ることができる。
【0051】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係る表示体の表側を示す平面図であり、図9は、図8の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1または第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係る表示体1Bは、基部2Bの上部に穿設された貫通孔9と、該貫通孔9に通されたリング状の紐10とを備え、該紐10がドア7Bの表側に設けられているドアノブ11などの突起物に掛けられることによって、基部2Bの表面(標記部4)を表にした状態でドア7Bに取り付けられるようになっている。なお、図示されていないが、基部2Bの裏面には、第1実施形態と同様の磁石3が取り付けられている。また、紐10は、耐熱性、耐熱性に優れた繊維素材、あるいは合成繊維素材などからなり、少なくとも一般的なドアノブ11に掛けることが可能な長さを有している。
【0053】
以上のような構成からなる本実施形態に係る表示体1Bでは、ドア7Bが磁石3の吸着力を適用できない非磁性体の場合でも、紐10をドアノブ11に掛けることによって基部2Bをドア7Bの表側に取り付けることができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1Bによれば、簡単な構成からなるドアノブ11への取付手段を設けたことにより、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られることはもとより、ドア7Bが磁性体であるか否かに関わらず、基部2Bの標記部4を表にした状態でドア7Bの表側に取り付けることができるので、ドアノブ11などの突起物を有するドアであれば、あらゆる種類のドアに取り付けることができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る表示体1Bでは、基部2Bの裏面に磁石3が設けられているものとしたが、これに限定されず、非磁性体のドアへの取付を対象とするのであれば、基部2Bの裏面に磁石3が設けられていなくてもよい。
【0055】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る表示体の表側を示す平面図であり、図11は、図10の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1ないし第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係る表示体1Cは、基部2Cの上部に設けられた係止部12を備え、該係止部12がドア7Cの表側に設けられているドアノブ11などの突起物に係止されることによって、基部2Cの表面(標記部4)を表にした状態でドア7Cに取り付けられるようになっている。なお、図示されていないが、基部2Cの裏面には、第1実施形態と同様の磁石3が取り付けられている。
【0057】
ドア7Cへの取付手段である係止部12は、中央部の穿設された挿通孔13と、該挿通孔13の周縁から適度な角度間隔で外径方向に放射状に形成された複数のスリット14と、該複数のスリット14により形成された複数の係止片15とを備え、該係止片15の基端となる外円16は、少なくとも一般的なドアノブ11よりも大径になっている。このような構成により、挿通孔13の径がドアノブの最小径部である軸部の直径より小さい場合でも、係止片15を押し分けて、挿通孔13内にドアノブ11を挿通することができる。また、ドアノブ11が係止部12に挿通されると、各係止片15が弾性力によってドアノブ11の軸部などを押圧するので、表示体1Cをドアノブ11に強固に係止することができる。
【0058】
なお、係止片15を含む係止部12を形成する素材は、優れた耐熱性、耐久性および弾性を備えた平板形状のものであることが好ましく、基部2Cの基材と一体に形成されたものであってもよい。
【0059】
以上のような構成からなる本実施形態に係る表示体1Cでは、ドア7Cが磁石3の吸着力を適用できない非磁性体の場合でも、基部2Bの上部に設けられた係止部12をドアノブ11に係止することによって、基部2Cをドア7Cの表側に取り付けることができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1Cによれば、簡単な構成からなるドアノブ11への取付手段を設けたことにより、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られることはもとより、ドア7Cが磁性体であるか否かに関わらず、基部2Cの標記部4を表にした状態でドア7Cの表側に取り付けることができるので、ドアノブ11などの突起物を有するドアであれば、あらゆる種類のドアに取り付けることができる。
【0060】
なお、本実施形態に係る表示体1Cでは、基部2Cの裏面に磁石3が設けられているものとしたが、これに限定されず、非磁性体のドアへの取付を対象とするのであれば、基部2Cの裏面に磁石3が設けられていなくてもよい。
【0061】
[第5実施形態]
図12は、本発明の第5実施形態に係る表示体の表側を示す平面図であり、図13は、図12の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1ないし第4実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
本実施形態に係る表示体1Dは、基部2Dの上部に設けられたフック部17を備え、該フック部17がドア7Dの表側に設けられているドアノブ11などの突起物に掛けられることによって、基部2Dの表面(標記部4)を表にした状態でドア7Dに取り付けられるようになっている。なお、図示されていないが、基部2Dの裏面には、第1実施形態と同様の磁石3が取り付けられている。
【0063】
ドア7Dへの取付手段であるフック部17は、アーム形状の部材であり、このアーム形状によって形成される中空部18は、少なくとも一般的なドアノブ11の大きさよりも大きく、該中空部18にドアノブ11が挿通されることにより、表示体1Dがドア7Dの表側に取り付けられるようになっている。
【0064】
なお、このフック部17を形成する素材は、優れた耐熱性および耐久性を備えた平板形状のものであることが好ましく、基部2Dの基材と一体に形成されたものであってもよい。また、本実施形態では、フック部17の両端が基部2Dの上部に結合されているが、これに限定されず、一端のみが基部2Dの上部に結合されていてもよい。
【0065】
以上のような構成からなる本実施形態に係る表示体1Dでは、ドア7Dが磁石3の吸着力を適用できない非磁性体の場合でも、フック部17をドアノブ11に掛けることによって基部2Dをドア7Dの表側に取り付けることができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1Dによれば、簡単な構成からなるドアノブ11への取付手段を設けたことにより、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られることはもとより、ドア7Dが磁性体であるか否かに関わらず、基部2Dの標記部4を表にした状態でドア7Dの表側に取り付けることができるので、ドアノブ11などの突起物を有するドアであれば、あらゆる種類のドアに取り付けることができる。
【0066】
なお、本実施形態に係る表示体1Dでは、基部2Dの裏面に磁石3が設けられているものとしたが、これに限定されず、非磁性体のドアへの取付を対象とするのであれば、基部2Dの裏面に磁石3が設けられていなくてもよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示体の裏側を示す平面図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿った表示体の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示体がドアの裏側に取り付けられた通常時の状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る表示体の裏側を示す平面図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿った表示体の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図9】図8の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図11】図10の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図13】図12の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B,1C,1D・・・表示体
2,2A,2B,2C,2D・・・基部
2a・・・係合穴
2b・・・雌ネジ溝
2Ac・・・ネジ穴
3,3A・・・磁石
3a・・・雄ネジ溝
3Ac・・・ネジ挿通孔
4・・・標記部
5・・・変色部
6・・・家屋
7,7C,7D,7E・・・ドア
8・・・ネジ
9・・・貫通孔
10・・・紐
11・・・ドアノブ
12・・・係止部
17・・・フック部
X・・・家屋から脱出済みであること示す標記
Y・・・行政上の区画名または地方公共団体名を示す標記
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時に用いる表示体に関し、より詳細には、家屋から住民が脱出する際にドアの表側に取り付けられる表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
日本のような地震多発国では、大規模な震災がいつ発生してもおかしくない状況である。このような大震災時には、火災などによる二次災害を防止するために、初期段階として迅速な脱出および救出が求められる。
【0003】
ところが、近年の高度経済成長に伴って急増しているマンションなどの集合住宅では、地震等の災害により建物が倒壊した場合に、救出する側の人(レスキュー隊、消防隊など)が、「どこの部屋に取り残されている人がいるのか」ということを短時間で認識することができない、という問題があった。そのため、救出する側の人は、一部屋ずつ回って被災者が残っているのか否かを確認する作業を要してしまい、迅速な救出作業を行うのが困難であった。
【0004】
例えば、1995年に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では、倒壊した家屋などに取り残された多くの人を救出しきれずに、その後発生した火災によって多数の犠牲者を生じてしまった。すなわち、震災などの大災害時には、倒壊家屋の外部にいる救出する側の人が、家屋などから脱出できていない世帯を短時間で認識できることが最重要課題である。
【0005】
そこで、このような課題を解決するものとして、例えば、特許文献1に開示される居場所検索システム、あるいは特許文献2に開示される行方不明者の検出システムが知られている。
【0006】
上記特許文献1の居場所検索システムでは、GPS人工衛星からの電波により自身(対象者)の位置を検出し、無線交信により探索者側装置にその情報を伝達して位置情報を表示することにより、対象者の居場所を容易かつ迅速に探索できるようになっている。
【0007】
一方、上記特許文献2の検出システムでは、微弱で単一周波数の信号を発信する発信器を、アクセサリーに組み込んだり、アクセサリー状等に形成して常時身体に付けておくことができるように形成して災害時の検出器としている。
【0008】
【特許文献1】特開平9−251069号公報
【特許文献2】特開平9−102082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1や上記特許文献2に記載される、電波を送信あるいは受信することができる携帯端末は、必ずしも安価なものではないため、住民全員に所有を促すことは困難であった。
【0010】
また、上記特許文献1および上記特許文献2に記載される、電波を送受信することにより対象者の位置を検出するシステムは、大災害時に発生する電波障害などによって使用できなくなってしまう虞があった。
【0011】
さらに、上記特許文献1および上記特許文献2のような携帯端末の場合、平常時には家屋内の目に付き難い場所、例えば押入れや引き出し等に収納されてしまうのが一般的であり、緊急を要する災害時に収納場所から即座に取り出して使用するのが困難になってしまう虞もあった。
【0012】
したがって、災害時の救助活動では、安価で全世帯に所有を促すことができ、災害現場で救助する側の人が、家屋などから脱出できていない世帯を短時間で認識することができる手段が求められていた。
【0013】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構造で安価に製造することにより、ほぼ全世帯に所有させることができ、かつ、災害時に住民が家屋などから脱出済みであることを迅速に示すことができる表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、災害時に用いられる表示体において、家屋から脱出済みであることを標記した表面を有する基部と、該基部の一部に設けられた前記家屋のドアへの取付手段とを備え、前記家屋から住民が脱出する際に、前記取付手段によって、前記基部の表面を表にした状態で前記ドアの表側に取り付けられることにより、達成される。
【0015】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石を備え、該磁石の吸着力によって、前記基部が磁性体の前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0016】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石が、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とが、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0017】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石が、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とが、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0018】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0019】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の上部に設けられた係止部を備え、該係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0020】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の上部に設けられたフック部を備え、該フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0021】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0022】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0023】
また、上記目的は、前記取付手段が、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられたフック部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられることにより、効果的に達成される。
【0024】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石は、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とが、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0025】
また、上記目的は、前記基部が、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石は、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とが、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合されたことにより、効果的に達成される。
【0026】
また、上記目的は、前記紐が、不燃性素材からなることにより、効果的に達成される。
【0027】
また、上記目的は、前記突起物が、前記ドアのドアノブであることにより、効果的に達成される。
【0028】
また、上記目的は、前記基部が、耐熱性素材からなることにより、効果的に達成される。
【0029】
また、上記目的は、前記基部が、温度変化に応じて可逆的に変色する性質を具備した変色部を表面の一部に有することにより、効果的に達成される。
【0030】
さらに、上記目的は、前記表示体が平時には前記ドアの裏側に取り付けられていることにより、効果的に達成される。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る表示体によれば、家屋から脱出済みであることを標記した基部に、磁石、紐、係止部、またはフック部を設けるだけの簡単な構造になっているため、安価に製造することができ、ほぼ全世帯に所有させて広く普及させることができる。各世帯の住民が、通常時は家屋のドアの裏側などに取り付けられているこの表示体を、災害時に家屋から脱出する際にドアの表側に取り付けることにより、家屋の外にいる救助する側の人は、各世帯の住民が既に脱出済みであるか否かを短時間で認識することができる。この結果、救助する側の人は、この表示体がドアの表側に取り付けられていない世帯を容易に見つけ出し、家屋などから脱出できていない住民の救出活動を迅速に行うことができ、より多くの住民を救出することができる。
【0032】
また、本発明に係る表示体によれば、家屋のドアが鉄金属などの磁性体である場合の取付手段として、磁石を基部の裏面に設けるとともに、家屋のドアが非磁性体である場合の取付手段として、紐、係止部、またはフック部を基部の一部に設けることにより、ドアが磁性体ではない場合であっても、紐、係止部、またはフック部をドアノブなどの突起物に係合させることにより、表示体をドアの表側に容易に取り付けることができる。
【0033】
また、本発明に係る表示体によれば、表示部である基部と家屋のドアへの貼着部である磁石とが、熱に弱い接着剤等による接着ではなく螺合によって結合され、かつ、基部の素材には耐熱性素材が用いられていることにより、家屋内で火災などが生じてドアの温度が上昇しても、基部と磁石との結合を維持することができ、耐熱性に優れた表示体を低コストで提供することができる。
【0034】
さらに、本発明に係る表示体によれば、温度変化に応じて変色する性質を具備した変色部が基部の表面に設けられていることにより、救助する側の人は、火災などが生じて室内温度が上昇している家屋を短時間で認識することができ、そのような家屋の近隣でドアの表側にまだ表示体が貼着されていない家屋の住民、すなわち火災による危険が差し迫っている被災者を優先的に救出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照にしながら本発明の実施形態について説明する。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に表示体の表側を示す平面図であり、かつ、図2は、図1の表示体の裏側を示す平面図である。
【0037】
本実施形態に係る表示体1は、約15cm四方の耐熱性素材より形成された基部2と、該基部2の裏面に取り付けられ、家屋のドア等への貼着部として機能する円柱形状の磁石3とから構成されている。この基部2の表面の上半部には、家屋から脱出済みであること示す標記Xが設けられ、『脱出済』、『避難済』、『ESCAPED』などの文言が記載されている。また、この基部2の表面の下半部には、この表示体1を所有する住民が属する行政上の区画名や地方公共団体名などが記載された標記Yが設けられている。この標記Xおよび標記Yが設けられている標記部4の背色は、黄色や赤色といった隠蔽力の弱い鮮やかな色になっている。なお、本実施形態では、表示体1の形状は、成形性や加工性を考慮して矩形としているが、これに限定されず、例えば直径15cm程度の円形、あるいは同程度の大きさを有する三角形や多角形であってもよい。
【0038】
図3は、図2のIII−III線に沿った表示体の断面図である。同図において、磁石3の周側面下部には、雄ネジ溝3aが形成されている。一方、基部2の裏面中央部には、磁石3と係合する有底孔の係合穴2aが形成され、該係合穴2aの内周面には、雄ネジ溝3aと螺合する雌ネジ溝2bが形成されている。そして、磁石3は、上面中央部に形成されたプラス溝3bに差し込まれるドライバなどの工具によって、基部2の係合穴2aに螺合される。なお、本実施形態では、磁石3の上面中央部に形成された溝3bは、プラス・ドライバ用の溝になっているが、これに限定されず、例えばマイナス・ドライバ用のマイナス溝、あるいは六角レンチ用の六角穴などでもよい。
【0039】
また、基部2の表面(図3下側)は、上述した標記部4と、該標記部4の周囲に配設された変色部5とを備えている。この変色部5は、温度変化に応じて可逆的に変色する性質を有する熱可逆性変色膜などによって構成され、例えば家屋内で火災などが生じてドアの温度が上昇している場合に、その温度が磁石3および基部2を介して伝達され、所定の温度で変色し(例えば、60℃前後で白色から黄色に変色)、一方、温度が下降した場合には、上記所定の温度で元の色に戻るようになっている。このような性質を有するサーモクロミック素材として、例えば、二酸化バナジウム、金属錯体(ニッケル等)、液晶材料、PNIPAM(ポリN−イソプロピルアミド)などを含有させた混合材料を、変色部5の熱可逆性変色膜に適用することができる。
【0040】
また、基部2を構成する素材は、耐熱性および耐久性に優れた低コストな素材であることが好ましい。このような素材として、例えば、フェノール樹脂、ポリカーボネート、メラミン樹脂等の合成樹脂、あるいは陶磁器等のセラミックス材料などが適用可能である。
【0041】
なお、本実施形態では、変色部5は、上述した混合材料によって形成された熱可逆性変色膜で構成されるとしたが、これに限定されず、例えば基部2を形成する際に、その基材である合成樹脂に上述した混合材料を混入して、変色部5を形成するようにしてもよい。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係る表示体がドアの裏側に取り付けられた通常時の状態を示す説明図であり、図5は、本発明の実施形態に係る表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【0043】
本実施形態に係る表示体1は、図4に示すように、通常時(平時)においては、磁石3の吸着力によって、家屋6の鉄金属などの磁性体からなるドア7の裏側に貼着されている。そして、震災などの災害が発生し、家屋6の住民が脱出する場合には、図5に示すように、基部2の表面を表にした状態で表示体1がドア7の表側に貼着される。このように、住民が既に脱出済みである家屋6のドア7の表側に表示体1が貼着されることにより、救助に駆けつけたレスキュー隊員などは、この表示体1がドア7の表側に貼着されていない世帯を容易に見つけ出し、家屋から脱出できていない住民の救出活動を迅速に行うことができ、より多くの住民を二次災害から救出することができる。よって、本実施形態に係る表示体1は、震災などの災害時における人命救助の際に有用であり、特に、どの部屋に未脱出の住民がいるのかを認識し難い、マンションなどの集合住宅における人命救助の際に有用である。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る表示体1では、ドア7への貼着手段である磁石3が基部2に螺合によって取り付けられているので、家屋6内で火災などが生じてドア7の温度が上昇しても、基部2と磁石3との結合力を維持することができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1は、基部2と磁石3との結合手段に熱に弱い接着剤等を用いていないので、家屋6内で火災が生じた場合にも剥がれ落ちることなくドア7への貼着を維持することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る表示体1では、磁石3と基部2に形成された係合穴2aとを直接螺合させる結合構造になっているので、部品点数の削減を図ることができ、表示体1の組立作業性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る表示体1では、温度変化に応じて変色する性質を有する変色部5が基部2の表面に設けられているので、救助する側の人は、この変色部5の変色の有無を確認することにより、火災などが生じて室内温度が上昇している家屋を短時間で認識することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る表示体の裏側を示す平面図であり、かつ、図7は、図6中のVII−VII線に沿った表示体の断面図である。なお、本実施形態において、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
これらの図において、本実施形態に係る表示体1Aの磁石3Aは、ネジ8の締結によって基部2Aに取り付けられている。磁石3Aの中央部には、ネジ8が挿通されるネジ挿通孔3Acが穿設され、一方、基部2Aの上面中央部にはネジ8が締結されるネジ穴2Acが形成されている。なお、ネジ挿通孔3Acの上部には、ネジ8の頭部が埋没されるフランジ部3Adが形成されている。また、ネジ8の頭部上面には、締結用のドライバなどの工具が差し込まれるプラス溝8aが形成されている。
【0049】
そして、ネジ挿通孔3Acに挿通されたネジ8は、該ネジ8のプラス溝8aに差し込まれる工具によってネジ穴2Acに締結され、これにより、磁石3Aと基部2Aとが結合されるようになっている。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る表示体1Aでは、ネジ8とネジ穴2Acとの螺合によって、基部2Aと磁石3Aとが結合されて構造になっているので、温度が上昇に伴う結合力の劣化を抑制することができる耐熱構造を備えている。この結果、本実施形態に係る表示体1Aにおいても、第1実施形態と同様の作業効果を得ることができる。
【0051】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係る表示体の表側を示す平面図であり、図9は、図8の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1または第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係る表示体1Bは、基部2Bの上部に穿設された貫通孔9と、該貫通孔9に通されたリング状の紐10とを備え、該紐10がドア7Bの表側に設けられているドアノブ11などの突起物に掛けられることによって、基部2Bの表面(標記部4)を表にした状態でドア7Bに取り付けられるようになっている。なお、図示されていないが、基部2Bの裏面には、第1実施形態と同様の磁石3が取り付けられている。また、紐10は、耐熱性、耐熱性に優れた繊維素材、あるいは合成繊維素材などからなり、少なくとも一般的なドアノブ11に掛けることが可能な長さを有している。
【0053】
以上のような構成からなる本実施形態に係る表示体1Bでは、ドア7Bが磁石3の吸着力を適用できない非磁性体の場合でも、紐10をドアノブ11に掛けることによって基部2Bをドア7Bの表側に取り付けることができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1Bによれば、簡単な構成からなるドアノブ11への取付手段を設けたことにより、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られることはもとより、ドア7Bが磁性体であるか否かに関わらず、基部2Bの標記部4を表にした状態でドア7Bの表側に取り付けることができるので、ドアノブ11などの突起物を有するドアであれば、あらゆる種類のドアに取り付けることができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る表示体1Bでは、基部2Bの裏面に磁石3が設けられているものとしたが、これに限定されず、非磁性体のドアへの取付を対象とするのであれば、基部2Bの裏面に磁石3が設けられていなくてもよい。
【0055】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る表示体の表側を示す平面図であり、図11は、図10の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1ないし第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係る表示体1Cは、基部2Cの上部に設けられた係止部12を備え、該係止部12がドア7Cの表側に設けられているドアノブ11などの突起物に係止されることによって、基部2Cの表面(標記部4)を表にした状態でドア7Cに取り付けられるようになっている。なお、図示されていないが、基部2Cの裏面には、第1実施形態と同様の磁石3が取り付けられている。
【0057】
ドア7Cへの取付手段である係止部12は、中央部の穿設された挿通孔13と、該挿通孔13の周縁から適度な角度間隔で外径方向に放射状に形成された複数のスリット14と、該複数のスリット14により形成された複数の係止片15とを備え、該係止片15の基端となる外円16は、少なくとも一般的なドアノブ11よりも大径になっている。このような構成により、挿通孔13の径がドアノブの最小径部である軸部の直径より小さい場合でも、係止片15を押し分けて、挿通孔13内にドアノブ11を挿通することができる。また、ドアノブ11が係止部12に挿通されると、各係止片15が弾性力によってドアノブ11の軸部などを押圧するので、表示体1Cをドアノブ11に強固に係止することができる。
【0058】
なお、係止片15を含む係止部12を形成する素材は、優れた耐熱性、耐久性および弾性を備えた平板形状のものであることが好ましく、基部2Cの基材と一体に形成されたものであってもよい。
【0059】
以上のような構成からなる本実施形態に係る表示体1Cでは、ドア7Cが磁石3の吸着力を適用できない非磁性体の場合でも、基部2Bの上部に設けられた係止部12をドアノブ11に係止することによって、基部2Cをドア7Cの表側に取り付けることができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1Cによれば、簡単な構成からなるドアノブ11への取付手段を設けたことにより、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られることはもとより、ドア7Cが磁性体であるか否かに関わらず、基部2Cの標記部4を表にした状態でドア7Cの表側に取り付けることができるので、ドアノブ11などの突起物を有するドアであれば、あらゆる種類のドアに取り付けることができる。
【0060】
なお、本実施形態に係る表示体1Cでは、基部2Cの裏面に磁石3が設けられているものとしたが、これに限定されず、非磁性体のドアへの取付を対象とするのであれば、基部2Cの裏面に磁石3が設けられていなくてもよい。
【0061】
[第5実施形態]
図12は、本発明の第5実施形態に係る表示体の表側を示す平面図であり、図13は、図12の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1ないし第4実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
本実施形態に係る表示体1Dは、基部2Dの上部に設けられたフック部17を備え、該フック部17がドア7Dの表側に設けられているドアノブ11などの突起物に掛けられることによって、基部2Dの表面(標記部4)を表にした状態でドア7Dに取り付けられるようになっている。なお、図示されていないが、基部2Dの裏面には、第1実施形態と同様の磁石3が取り付けられている。
【0063】
ドア7Dへの取付手段であるフック部17は、アーム形状の部材であり、このアーム形状によって形成される中空部18は、少なくとも一般的なドアノブ11の大きさよりも大きく、該中空部18にドアノブ11が挿通されることにより、表示体1Dがドア7Dの表側に取り付けられるようになっている。
【0064】
なお、このフック部17を形成する素材は、優れた耐熱性および耐久性を備えた平板形状のものであることが好ましく、基部2Dの基材と一体に形成されたものであってもよい。また、本実施形態では、フック部17の両端が基部2Dの上部に結合されているが、これに限定されず、一端のみが基部2Dの上部に結合されていてもよい。
【0065】
以上のような構成からなる本実施形態に係る表示体1Dでは、ドア7Dが磁石3の吸着力を適用できない非磁性体の場合でも、フック部17をドアノブ11に掛けることによって基部2Dをドア7Dの表側に取り付けることができる。すなわち、本実施形態に係る表示体1Dによれば、簡単な構成からなるドアノブ11への取付手段を設けたことにより、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られることはもとより、ドア7Dが磁性体であるか否かに関わらず、基部2Dの標記部4を表にした状態でドア7Dの表側に取り付けることができるので、ドアノブ11などの突起物を有するドアであれば、あらゆる種類のドアに取り付けることができる。
【0066】
なお、本実施形態に係る表示体1Dでは、基部2Dの裏面に磁石3が設けられているものとしたが、これに限定されず、非磁性体のドアへの取付を対象とするのであれば、基部2Dの裏面に磁石3が設けられていなくてもよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示体の裏側を示す平面図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿った表示体の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示体がドアの裏側に取り付けられた通常時の状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る表示体の裏側を示す平面図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿った表示体の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図9】図8の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図11】図10の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る表示体の表側を示す平面図である。
【図13】図12の表示体がドアの表側に取り付けられた脱出済の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B,1C,1D・・・表示体
2,2A,2B,2C,2D・・・基部
2a・・・係合穴
2b・・・雌ネジ溝
2Ac・・・ネジ穴
3,3A・・・磁石
3a・・・雄ネジ溝
3Ac・・・ネジ挿通孔
4・・・標記部
5・・・変色部
6・・・家屋
7,7C,7D,7E・・・ドア
8・・・ネジ
9・・・貫通孔
10・・・紐
11・・・ドアノブ
12・・・係止部
17・・・フック部
X・・・家屋から脱出済みであること示す標記
Y・・・行政上の区画名または地方公共団体名を示す標記
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋から脱出済みであることを標記した表面を有する基部と、該基部の一部に設けられた前記家屋のドアへの取付手段とを備え、前記家屋から住民が脱出する際に、前記取付手段によって、前記基部の表面を表にした状態で前記ドアの表側に取り付けられることを特徴とする災害時に用いる表示体。
【請求項2】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石を備え、該磁石の吸着力によって、前記基部が磁性体の前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記基部は、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石は、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とは、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合された請求項2に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項4】
前記基部は、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石は、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とは、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合された請求項2に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項5】
前記取付手段は、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項6】
前記取付手段は、前記基部の上部に設けられた係止部を備え、該係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項7】
前記取付手段は、前記基部の上部に設けられたフック部を備え、該フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項8】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項9】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項10】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられたフック部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項11】
前記基部は、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石は、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とは、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合された請求項8ないし10のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項12】
前記基部は、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石は、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とは、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合された請求項8ないし10のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項13】
前記紐は、不燃性素材からなる請求項5または8に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項14】
前記突起物は、前記ドアのドアノブである請求項5ないし13のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項15】
前記基部は、耐熱性素材からなる請求項1ないし14のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項16】
前記基部は、温度変化に応じて可逆的に変色する性質を具備した変色部を表面の一部に有する請求項1ないし15のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項17】
平時には前記ドアの裏側に取り付けられている請求項1ないし16のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項1】
家屋から脱出済みであることを標記した表面を有する基部と、該基部の一部に設けられた前記家屋のドアへの取付手段とを備え、前記家屋から住民が脱出する際に、前記取付手段によって、前記基部の表面を表にした状態で前記ドアの表側に取り付けられることを特徴とする災害時に用いる表示体。
【請求項2】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石を備え、該磁石の吸着力によって、前記基部が磁性体の前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記基部は、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石は、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とは、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合された請求項2に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項4】
前記基部は、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石は、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とは、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合された請求項2に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項5】
前記取付手段は、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項6】
前記取付手段は、前記基部の上部に設けられた係止部を備え、該係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項7】
前記取付手段は、前記基部の上部に設けられたフック部を備え、該フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項8】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部に穿設された貫通孔と、該貫通孔に通されたリング状の紐とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記紐が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項9】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記係止部が前記ドアの表側に設けられている突起物に係止されることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項10】
前記取付手段は、前記基部の裏面に設けられた磁石と、前記基部の上部に設けられたフック部とを備え、前記ドアが磁性体の場合には、前記磁石の吸着力によって前記基部が前記ドアに取り付けられ、一方、前記ドアが非磁性体の場合には、前記フック部が前記ドアの表側に設けられている突起物に掛けられることによって、前記基部が前記ドアに取り付けられる請求項1に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項11】
前記基部は、裏面に形成された係合穴の内側面に雌ネジ溝を有するとともに、前記磁石は、側面に前記雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝を有し、前記基部と前記磁石とは、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ溝との締結により着脱可能に結合された請求項8ないし10のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項12】
前記基部は、裏面に穿設されたネジ穴を有するとともに、前記磁石は、前記ネジ穴に螺合するネジが挿通されるネジ挿通孔を有し、前記基部と前記磁石とは、前記ネジと前記ネジ穴との締結により着脱可能に結合された請求項8ないし10のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項13】
前記紐は、不燃性素材からなる請求項5または8に記載の災害時に用いる表示体。
【請求項14】
前記突起物は、前記ドアのドアノブである請求項5ないし13のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項15】
前記基部は、耐熱性素材からなる請求項1ないし14のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項16】
前記基部は、温度変化に応じて可逆的に変色する性質を具備した変色部を表面の一部に有する請求項1ないし15のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【請求項17】
平時には前記ドアの裏側に取り付けられている請求項1ないし16のいずれかに記載の災害時に用いる表示体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−292668(P2008−292668A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136764(P2007−136764)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(507168823)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(507168823)
【Fターム(参考)】
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