炉内構造物及び原子炉
【課題】冷却材の局所的な流量低下を防止し、燃料集合体の流量分布の安定性及び均一化を図った炉内構造物を提供する。
【解決手段】軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器1と燃料集合体2との間に設けられた炉心槽3と、炉心槽3の下側に設置され、原子炉圧力容器1の入口ノズル4から流入する一次冷却材12の燃料集合体2への流量配分を調整する流入孔14aが複数形成された多孔部材14と、炉心槽3の径方向を位置決めする位置決め部材15と、を備える炉内構造物であって、多孔部材14に対して位置決め部材15を一次冷却材12の流れの下流側に配置した。
【解決手段】軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器1と燃料集合体2との間に設けられた炉心槽3と、炉心槽3の下側に設置され、原子炉圧力容器1の入口ノズル4から流入する一次冷却材12の燃料集合体2への流量配分を調整する流入孔14aが複数形成された多孔部材14と、炉心槽3の径方向を位置決めする位置決め部材15と、を備える炉内構造物であって、多孔部材14に対して位置決め部材15を一次冷却材12の流れの下流側に配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、炉内構造物及びこの炉内構造物を備えた原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧水型原子炉においては、原子炉に導かれた一次冷却材が、原子炉の燃料集合体の熱エネルギーによって加熱され、蒸気発生器へと導かれる。この蒸気発生器では、燃料集合体の熱エネルギーにより加熱された一次冷却材と二次冷却材とが熱交換される。この二次冷却材が沸騰して蒸気が発生する。この蒸気は、タービンへと導かれて発電を行う。
【0003】
図13は従来の加圧水型原子炉を示す立断面構成図である。
【0004】
図13に示すように、従来の加圧水型原子炉は、主として原子炉圧力容器1と、この原子炉圧力容器1内に設置された燃料集合体2と、この燃料集合体2を囲む炉心槽3と、一次冷却材12が流入する入口ノズル4と、燃料集合体2の熱エネルギーにより加熱された一次冷却材12が流出する出口ノズル5とを備えている。
【0005】
燃料集合体2は、下部炉心支持板8によって支持されている。原子炉圧力容器1と炉心槽3との間には、環状流路のダウンカマ6が形成される。このダウンカマ6には、原子炉圧力容器1に対して炉心槽3の下部を径方向に位置決めするラジアルサポート9が設置されている。また、下部炉心支持板8には、その垂直下方に筒形状の多孔リング10が吊り下げられるように設置されている。この多孔リング10には、多数の流入孔が形成されている。これらの流入孔は、燃料集合体2から構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するために用いられる。ラジアルサポート9は、多孔リング10の近傍であって、多孔リング10に対して一次冷却材12の流れの上流側に配置されている。
【0006】
次に、一次冷却材12の流れを図13に基づいて説明する。
【0007】
一次冷却材12は、原子炉圧力容器1の周方向に複数設置された入口ノズル4から原子炉圧力容器1内に流入した後、環状流路のダウンカマ6を下降する。この下降する一次冷却材12は、多孔リング10の胴部に形成された流入孔を通過して燃料集合体2の下部に形成される下部プレナム7で合流して流れの方向を上向きに反転する。
【0008】
そして、一次冷却材12は、下部炉心支持板8内を通過して、炉心槽3内の燃料集合体2を上昇する。この燃料集合体2により加熱された一次冷却材12は、燃料集合体2の上方で合流して混合され、出口ノズル5から流出し、蒸気発生器(図示せず)へと導かれる。
【0009】
次いで、一次冷却材12は、上記蒸気発生器内の二次冷却水と熱交換され、この二次冷却水が沸騰することによって発生した蒸気は図示しないタービンへと導かれる。一方、熱を奪われた一次冷却水は、図示しない冷却材循環ポンプによって入口ノズル4から再び原子炉圧力容器1内に戻される。
【0010】
このような加圧水型原子炉では、通常運転時において一次冷却材12の流量及び圧力が不均一になると、燃料集合体2に対する冷却効果が不均一となる。そのため、燃料集合体2に均等に分布した一次冷却材12を与えることが重要となる。
【0011】
そこで、燃料集合体2に流入する一次冷却材12を周方向に均一化するため、特許文献1に記載された技術では、図13に示すようにダウンカマ6から下部プレナム7内へ流入する環状境界部に筒状の多孔リング10を下部炉心支持板8から垂直下方に吊り下げるように設置している。
【0012】
また、ダウンカマ6を下降する一次冷却材12は、ラジアルサポート9を通過するものの、このとき剥離渦が発生する。この剥離渦が助長されることによって、燃料集合体2に流入する一次冷却材12の流量が不安定となり、また不均一な流量分布となる。これを解決するため、特許文献2に記載された技術では、ラジアルサポート9を流線形に形成し、渦発生抑制部材11を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−62372号公報
【特許文献2】特許第4202200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、新型の原子炉では、計装導管が下部プレナムを貫通するのではなく、下部プレナム以外の場所で原子炉圧力容器から取り出されており、下部プレナムの構造が簡素化されている。また、新型の原子炉では、原子炉圧力容器を小型化するため、下部プレナムの体積が従来と比べて小さくなっている。このような原子炉では、下部プレナムにおける一次冷却材の流速分布が均一化されにくく、燃料集合体への流量配分が不均一になりやすいという問題がある。
【0015】
また、上述した従来技術では、ダウンカマ6に設置されたラジアルサポート9が多孔リング10の近傍であって、多孔リング10に対して一次冷却材12の流れの上流側に設置されているため、流れの剥離の影響も受け、燃料集合体2への流量が局所的に低下する問題がある。さらに、下部プレナム7では、一次冷却材12の流れの向きが90度変えられるため、特に燃料集合体2の外周部では一次冷却材12が流れにくく、流量が低下しやすいという問題がある。
【0016】
一方で、入口ノズル4は、原子炉圧力容器1の周方向に例えば4本設置した場合、概ね90度の位相間隔で等配設置され、スパージャなどを介さず、ダウンカマ6の空間に直接開口している。そのため、従来では、各入口ノズル4からダウンカマ6に流入する一次冷却材12の広がり流れの、ダウンカマ6の周方向における下降流速分布は時間的に変化しやすいという問題がある。
【0017】
すなわち、従来の構成では、図14に示すように4箇所の入口ノズル4の開口部から入りダウンカマ6を下降する一次冷却材12は、各入口ノズル4間の中央部付近の周方向断面を対称面として、対称面付近で流速が速く、入口ノズル4の開口の下方で流速が遅い流速分布となる。その流速分布は、多孔リング10の部位まで維持され、多孔リング10から下部プレナム7への流入量の周方向分布に影響を与える。なお、図14は、原子炉圧力容器1内から見た一次冷却材12の流れを示すダウンカマ周方向展開図である。また、図14では、一次冷却材12の流速分布の変化を横向きの太い矢印で示している。
【0018】
さらに、従来の構成では、図14に示すように面対称な流れとなっているため、入口ノズル4の流量の摂動により流動パターンが不安定になりやすい。その結果、一次冷却材12は、ダウンカマ6の周方向における流速分布に変化が生じる可能性がある。この流速分布の変化が、多孔リング10で均一化することができない場合、各燃料集合体2に供給される一次冷却材12の流量が時間的に変化し、安定した冷却が行われない可能性があった。
【0019】
本発明は、冷却材の局所的な流量低下を防止し、燃料集合体の流量分布の安定性及び均一化を図った炉内構造物及び原子炉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る炉内構造物は、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と燃料集合体との間に設けられた炉心槽と、前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を備える炉内構造物であって、前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態に係る原子炉は、冷却材の入口ノズルが設けられ、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器内に設置された燃料集合体と、前記原子炉圧力容器と前記燃料集合体との間に設けられた炉内構造物とを備える原子炉において、前記炉内構造物は、前記燃料集合体を囲むように設けられた炉心槽と、前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を有し、前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る炉内構造物の第1実施形態を示す立断面構成図である。
【図2】図1の炉内構造物を示す部分拡大立断面図である。
【図3】第1実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大立断面図である。
【図4】本発明に係る炉内構造物の第2実施形態を示す立断面構成図である。
【図5】図4の炉内構造物を示す部分拡大立断面図である。
【図6】第2実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大立断面図である。
【図7】本発明に係る炉内構造物の第3実施形態を示す立断面構成図である。
【図8】図7の原子炉の入口ノズル高さで示す水平断面図である。
【図9】第3実施形態における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開立面図である。
【図10】第3実施形態の変形例における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開立面図である。
【図11】本発明に係る炉内構造物の第4実施形態を示す部分拡大立断面図である。
【図12】第4実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大立断面図である。
【図13】従来の加圧水型原子炉の炉内構造物を示す立断面構成図である。
【図14】従来の炉内構造物における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る炉内構造物の各実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
なお、以下の各実施形態及び各変形例は、原子炉に加圧水型原子炉を適用した場合について説明する。また、以下の各実施形態及び各変形例では、従来の構成と同一又は対応する部分に同一の符号を付して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
(構 成)
図1は本発明に係る炉内構造物の第1実施形態を示す立断面構成図である。図2は図1の炉内構造物を示す部分拡大断面図である。
【0026】
本実施形態の加圧水型原子炉は、図1に示すように、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器1と、この原子炉圧力容器1内に設置された燃料集合体2と、この燃料集合体2と原子炉圧力容器1との間に設けられた炉心槽3と、原子炉圧力容器1内に一次冷却材12を流入させる入口ノズル4と、燃料集合体2の熱エネルギーにより加熱された一次冷却材12を原子炉圧力容器1から流出させる出口ノズル5とを備えている。入口ノズル4は、原子炉圧力容器1の周方向に概ね等間隔に複数配置され、環状流路であるダウンカマ6の空間に直接開口している。
【0027】
また、本実施形態の加圧水型原子炉は、燃料集合体2を支持する下部炉心支持板13と、この下部炉心支持板13の下側に設置され直円筒形状に形成された多孔部材としての多孔リング14と、この多孔リング14の下側に設置されて炉心槽3の水平方向の位置決めを行う位置決め部材としてのラジアルサポート15とを備えている。
【0028】
多孔リング14の直円筒形状の胴部には、燃料集合体2で構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するための多数の円形の流入孔14aが形成されている。下部炉心支持板13は、炉心槽3の下部に固定されている。多孔リング14は、その上端が下部炉心支持板13に固定されている。炉心槽3は、下部炉心支持板13及び多孔リング14を介してラジアルサポート15によって径方向に位置決めされる。それぞれ各部の固定方法には、例えばボルトの締結又は溶接等による方法がある。
【0029】
ラジアルサポート15は、多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置されている。また、ラジアルサポート15は、図2に示すように上端が多孔リング14に固定され、かつ下端が原子炉圧力容器1の下部内面に固定されたサポート座16と、多孔リング14の下部内面に周方向に沿って複数個設置されたサドル17と、このサドル17とサポート座16との間に嵌め合う形態で設置されたサポートキー18とから構成されている。
【0030】
サポート座16は、円筒形状に形成され、その上部外周面と多孔リング14の下部内周面とで環状隙間が形成される。この環状隙間にサドル17及びサポートキー18が配置されている。サポート座16は、多孔リング14及び下部炉心支持板13を介して炉心槽3を支持して位置決め可能に構成されている。
【0031】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用を説明する。
【0032】
一次冷却材12は、図1及び図2に示すように、入口ノズル4から原子炉圧力容器1内に流入した後、環状流路のダウンカマ6を下降する。この下降する一次冷却材12は、多孔リング14の円筒形状の胴部に形成された流入孔14aを通過して燃料集合体2の下部に形成される下部プレナム7で合流して流れの方向を上向きに反転する。そして、一次冷却材12は、下部炉心支持板13内を通過して、炉心槽3内の燃料集合体2を上昇する。
【0033】
ここで、本実施形態は、ラジアルサポート15が多孔リング14の下部に配置されている。すなわち、ラジアルサポート15は、多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置されているので、一次冷却材12がダウンカマ6を下降して多孔リング14内に流入するときには円滑な流れとなる。
【0034】
また、本実施形態では、炉心槽3に下部炉心支持板13が固定され、この下部炉心支持板13に多孔リング14が固定されて一体化しているので、多孔リング14の下部にラジアルサポート15を設置し、このラジアルサポート15により炉心槽3を径方向に支持するとともに、位置決めが可能となる。
【0035】
このように本実施形態によれば、ラジアルサポート15を多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置したことにより、多孔リング14内へ流入する一次冷却材12の直上流部での障害物による流れの剥離がなくなる。その結果、燃料集合体2に流入する一次冷却材12の周方向の局所流量が低下することがなくなり、燃料集合体2の流量分布の均一化を促進することができる。
【0036】
(第1実施形態の変形例)
図3は第1実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大断面図である。図3はラジアルサポート15の変形例を示している。なお、以下の実施形態及び変形例において互いに同一の部分には、同一の符号を付して説明する。
【0037】
図3に示すように、変形例のラジアルサポート15は、一部が原子炉圧力容器1の下部内面に固定されピン穴が形成されたサポート座19と、多孔リング14の下面の周方向に沿って間隔をあけて複数個設置されたサポートピン20とで構成されている。
【0038】
サポートピン20は、多孔リング14の下面にねじ込まれるか、あるいは溶接により固定される。また、サポートピン20は、サポート座19に形成されたピン穴に嵌合されることで位置決めされる。一方、サポート座19は、円筒形状に形成され、その外面と多孔リング14の内面とで環状隙間が形成される。
【0039】
この変形例によれば、ラジアルサポート15は、一部が原子炉圧力容器1の下部内面に固定されたサポート座19と、多孔リング14の下面の周方向に沿って間隔をあけて複数個設置されたサポートピン20とを備え、このサポートピン20は、サポート座19に形成されたピン穴に嵌合されることにより、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0040】
(第2実施形態)
(構 成)
図4は本発明に係る炉内構造物の第2実施形態を示す立断面構成図である。図5は図4の炉内構造物を示す部分拡大断面図である。
【0041】
なお、前記第1実施形態及びその変形例と同一又は対応する部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、本実施形態は、下部炉心支持板13の下側に設置される多孔リング22が傾斜円筒形状に形成されている。この多孔リング22の傾斜円筒形状の胴部は、下側にいくに従って縮径するテーパ状に形成されている。また、多孔リング22は、燃料集合体2で構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するための多数の円形の流入孔22aが形成されている。
【0043】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第2実施形態の作用を説明する。
【0044】
一次冷却材12は、図4及び図5に示すように、入口ノズル4から原子炉圧力容器1内に流入した後、環状流路のダウンカマ6を下降する。この下降する一次冷却材12は、多孔リング22の傾斜円筒形状の胴部に形成された流入孔22aを通過して燃料集合体2の下部に形成される下部プレナム7で合流して流れの方向を上向きに反転する。そして、一次冷却材12は、下部炉心支持板13内を通過して、炉心槽3内の燃料集合体2を上昇する。
【0045】
ここで、本実施形態は、前記第1実施形態と同様にラジアルサポート15が多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置されているので、一次冷却材12がダウンカマ6を下降して多孔リング22内に流入するときには円滑な流れとなる。
【0046】
また、本実施形態では、多孔リング22の胴部が傾斜円筒状に形成され、その傾斜方向は下側が縮径しているので、ダウンカマ6の下流部の流路面積が広くなり、流動圧力損失が少なくなる。なお、多孔リング22の胴部の傾斜角度は、一次冷却材12が多孔リング22内へ円滑に流入し、かつ流動圧力損失が少なくなるような角度に設定される。
【0047】
このように本実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加え、多孔リング22の胴部を下側にいくに従って縮径するテーパ状に形成したことにより、ダウンカマ6の下流部の流路面積が広くなるので、流動圧力損失を低減することができる。
【0048】
(第2実施形態の変形例)
図6は第2実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大断面図である。
【0049】
図6に示すように、本変形例は、前記第1実施形態の変形例と比べて多孔リング22の胴部を下側にいくに従って縮径するテーパ状に形成した以外は、前記第1実施形態と同様の構成及び作用であるので、その説明を省略する。図6に示すラジアルサポート15の変形例を適用することができる。
【0050】
(第3実施形態)
(構 成)
図7は本発明に係る炉内構造物の第3実施形態を示す立断面構成図である。図8は図7の原子炉の入口ノズル高さで示す水平断面図である。図9は第3実施形態における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開図である。
【0051】
図7及び図8に示すように、本実施形態は、前記第1実施形態の構成に加え、4つの各入口ノズル4の開口部近傍にそれぞれ平板状の整流板としての仕切板30が配置されている。これらの仕切板30は、図8に示すように幅方向が水平断面において各入口ノズル4のダウンカマ6への延長線近傍に沿う方向であって、各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部に対してそれぞれ同一の側に配置されている。
【0052】
また、各仕切板30は、図7に示すように長さ方向がダウンカマ6の上面から各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部下端を越える部位まで鉛直方向に延びるように配置されている。
【0053】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第3実施形態の作用を説明する。
【0054】
図8に示すように、各入口ノズル4から流入した一次冷却材12は、各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部から全周方向に広がろうとする流れを各仕切板30によって規制される。
【0055】
具体的には、各仕切板30及びダウンカマ6空間の天井に衝突した一次冷却材12は、流れの向きを変えて、図8のようにダウンカマ6空間の上方から見て反時計回りに周方向流速成分を得る。そして、一次冷却材12は、ダウンカマ6の環状流路を旋回しながら下降する。次いで、多孔リング10では、その旋回成分のために周方向の流速分布が均一化される。
【0056】
また、このように一次冷却材12が旋回流となることで、図9に示すように各入口ノズル4から流入した一次冷却材12の流線が各入口ノズル4間の垂直面に対し対称で均衡する形態をとらないため、ダウンカマ6での流動が安定し、時間的な流動様式の変化が生じにくくなる。
【0057】
このように本実施形態によれば、各入口ノズル4の開口部近傍にそれぞれ平板状の仕切板30を配置し、これらの仕切板30は、長さ方向がダウンカマ6の上面から各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部下端を越える部位まで鉛直方向に延びるように配置したことにより、仕切板30とダウンカマ6の上面とでダウンカマ6の下降流を旋回流とすることで、ダウンカマ6での流動パターンの安定化を図るとともに、多孔リング14での流量均一化を図ることが可能となる。その結果、多孔リング14から下部炉心支持板13への流量の供給が安定し、燃料集合体2の流量分布の安定化及び周方向の均一化を促進することができる。
【0058】
なお、本実施形態は、多孔リング14を前記第1実施形態のように形成した場合について説明したが、これに限らず前記第2実施形態のように形成した場合でも適用可能である。
【0059】
(第3実施形態の変形例)
図10は第3実施形態の変形例における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開図である。
【0060】
図10に示すように、本変形例の各仕切板30は、鉛直に対して一次冷却材12の旋回方向にθだけ傾けて設置している。すなわち、各仕切板30は、ダウンカマ6の鉛直方向に対して各入口ノズル4側に傾斜して設置されている。
【0061】
このように変形例によれば、各仕切板30をダウンカマ6の鉛直方向に対して一次冷却材12の旋回方向にθだけ傾けたことにより、一次冷却材12に一段と強い旋回成分を与えることができるので、多孔リング14から下部プレナム7に流入する一次冷却材12の周方向分布を効果的に均一化することができる。
【0062】
なお、この変形例でも、多孔リング14を前記第1、第2実施形態の変形例と同様に形成した場合についても適用可能である。
【0063】
(第4実施形態)
(構 成)
図11は本発明に係る炉内構造物の第4実施形態を示す部分拡大断面図である。なお、第4実施形態は、前記第1実施形態に示される多孔リング14の他の例を示すものである。
【0064】
図11に示すように、本実施形態の多孔リング14は、前記第1実施形態の多孔リング14と同様に、胴部が直円筒形状に形成されている。この多孔リング14の直円筒形状の胴部には、燃料集合体2で構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するための多数の円形の流入孔14aが形成されている。
【0065】
ところで、本実施形態の多孔リング14の流入孔14aは、それぞれ周方向に均等に配置され、高さ方向に複数段(本実施形態では3段)形成されている。そして、その高さ方向における上位段の流入孔14Aは、図11に示すようにダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成されている。
【0066】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第4実施形態の作用を説明する。
【0067】
ダウンカマ6を流下した一次冷却材12の流れは、多孔リング14で向きが変えられて炉心に供給されるものの、多孔リング14の流入孔14aの部分で流路断面積が小さくなるため、流速が速くなって炉心下部に噴出する。
【0068】
一般的に、多孔リング14の上段部の流入孔から流入する一次冷却材12は、炉心の外周部に供給され、下段部の流入孔から流入する一次冷却材12は、炉心中央部分に供給される傾向にある。そして、上位段の流入孔から流入する一次冷却材12は、その流入孔を通って水平方向に直進するため、最外周の炉心に一次冷却材12が供給されにくいという問題があった。
【0069】
しかしながら、本実施形態においては、多孔リング14の上位段の流入孔14Aに流入する一次冷却材12の流れは、開口部の断面に沿ってダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって上向きに流れが変えられるため、より炉心の外周部に一次冷却材12が供給されやすくなる。
【0070】
このように本実施形態によれば、高さ方向複数段に炉心流量の配分を調整するための流入孔14を有し、その高さ方向上位段の流入孔14Aがダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成されていることにより、流れにくい炉心外周部にも一次冷却材12が供給されやすくなり、燃料集合体2の流量分布の均一化を一段と促進することができる。
【0071】
(第4実施形態の変形例)
図12は第4実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大断面図である。
【0072】
図12に示すように、本変形例は、多孔リング22の胴部を前記第2実施形態と同様に傾斜円筒形状に形成するとともに、高さ方向における上位段の流入孔22Aの向きが前記第4実施形態と同様にダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成されている。
【0073】
このように構成したことにより、本変形例によれば、前記第2実施形態と前記第4実施形態を合わせた作用及び効果が得られる。
【0074】
なお、前記第4実施形態及びその変形例では、多孔リング14の上位段の流入孔14Aだけをダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成したが、これに限らず多孔リング14の中位段、下位段の少なくとも一方の流入孔もダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成するようにしてもよい。
【0075】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1…原子炉圧力容器、2…燃料集合体、3…炉心槽、4…入口ノズル、5…出口ノズル、6…ダウンカマ、7…下部プレナム、8…下部炉心支持板、9…ラジアルサポート、10…多孔リング、12…一次冷却材、13…下部炉心支持板、14…多孔リング(多孔部材)、14a…流入孔、14A…上位段の流入孔、15…ラジアルサポート(位置決め部材)、16…サポート座、17…サドル、18…サポートキー、19…サポート座、20…サポートピン、22…多孔リング、22a…流入孔、22A…上位段の流入孔、30…仕切板(整流板)
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、炉内構造物及びこの炉内構造物を備えた原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧水型原子炉においては、原子炉に導かれた一次冷却材が、原子炉の燃料集合体の熱エネルギーによって加熱され、蒸気発生器へと導かれる。この蒸気発生器では、燃料集合体の熱エネルギーにより加熱された一次冷却材と二次冷却材とが熱交換される。この二次冷却材が沸騰して蒸気が発生する。この蒸気は、タービンへと導かれて発電を行う。
【0003】
図13は従来の加圧水型原子炉を示す立断面構成図である。
【0004】
図13に示すように、従来の加圧水型原子炉は、主として原子炉圧力容器1と、この原子炉圧力容器1内に設置された燃料集合体2と、この燃料集合体2を囲む炉心槽3と、一次冷却材12が流入する入口ノズル4と、燃料集合体2の熱エネルギーにより加熱された一次冷却材12が流出する出口ノズル5とを備えている。
【0005】
燃料集合体2は、下部炉心支持板8によって支持されている。原子炉圧力容器1と炉心槽3との間には、環状流路のダウンカマ6が形成される。このダウンカマ6には、原子炉圧力容器1に対して炉心槽3の下部を径方向に位置決めするラジアルサポート9が設置されている。また、下部炉心支持板8には、その垂直下方に筒形状の多孔リング10が吊り下げられるように設置されている。この多孔リング10には、多数の流入孔が形成されている。これらの流入孔は、燃料集合体2から構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するために用いられる。ラジアルサポート9は、多孔リング10の近傍であって、多孔リング10に対して一次冷却材12の流れの上流側に配置されている。
【0006】
次に、一次冷却材12の流れを図13に基づいて説明する。
【0007】
一次冷却材12は、原子炉圧力容器1の周方向に複数設置された入口ノズル4から原子炉圧力容器1内に流入した後、環状流路のダウンカマ6を下降する。この下降する一次冷却材12は、多孔リング10の胴部に形成された流入孔を通過して燃料集合体2の下部に形成される下部プレナム7で合流して流れの方向を上向きに反転する。
【0008】
そして、一次冷却材12は、下部炉心支持板8内を通過して、炉心槽3内の燃料集合体2を上昇する。この燃料集合体2により加熱された一次冷却材12は、燃料集合体2の上方で合流して混合され、出口ノズル5から流出し、蒸気発生器(図示せず)へと導かれる。
【0009】
次いで、一次冷却材12は、上記蒸気発生器内の二次冷却水と熱交換され、この二次冷却水が沸騰することによって発生した蒸気は図示しないタービンへと導かれる。一方、熱を奪われた一次冷却水は、図示しない冷却材循環ポンプによって入口ノズル4から再び原子炉圧力容器1内に戻される。
【0010】
このような加圧水型原子炉では、通常運転時において一次冷却材12の流量及び圧力が不均一になると、燃料集合体2に対する冷却効果が不均一となる。そのため、燃料集合体2に均等に分布した一次冷却材12を与えることが重要となる。
【0011】
そこで、燃料集合体2に流入する一次冷却材12を周方向に均一化するため、特許文献1に記載された技術では、図13に示すようにダウンカマ6から下部プレナム7内へ流入する環状境界部に筒状の多孔リング10を下部炉心支持板8から垂直下方に吊り下げるように設置している。
【0012】
また、ダウンカマ6を下降する一次冷却材12は、ラジアルサポート9を通過するものの、このとき剥離渦が発生する。この剥離渦が助長されることによって、燃料集合体2に流入する一次冷却材12の流量が不安定となり、また不均一な流量分布となる。これを解決するため、特許文献2に記載された技術では、ラジアルサポート9を流線形に形成し、渦発生抑制部材11を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−62372号公報
【特許文献2】特許第4202200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、新型の原子炉では、計装導管が下部プレナムを貫通するのではなく、下部プレナム以外の場所で原子炉圧力容器から取り出されており、下部プレナムの構造が簡素化されている。また、新型の原子炉では、原子炉圧力容器を小型化するため、下部プレナムの体積が従来と比べて小さくなっている。このような原子炉では、下部プレナムにおける一次冷却材の流速分布が均一化されにくく、燃料集合体への流量配分が不均一になりやすいという問題がある。
【0015】
また、上述した従来技術では、ダウンカマ6に設置されたラジアルサポート9が多孔リング10の近傍であって、多孔リング10に対して一次冷却材12の流れの上流側に設置されているため、流れの剥離の影響も受け、燃料集合体2への流量が局所的に低下する問題がある。さらに、下部プレナム7では、一次冷却材12の流れの向きが90度変えられるため、特に燃料集合体2の外周部では一次冷却材12が流れにくく、流量が低下しやすいという問題がある。
【0016】
一方で、入口ノズル4は、原子炉圧力容器1の周方向に例えば4本設置した場合、概ね90度の位相間隔で等配設置され、スパージャなどを介さず、ダウンカマ6の空間に直接開口している。そのため、従来では、各入口ノズル4からダウンカマ6に流入する一次冷却材12の広がり流れの、ダウンカマ6の周方向における下降流速分布は時間的に変化しやすいという問題がある。
【0017】
すなわち、従来の構成では、図14に示すように4箇所の入口ノズル4の開口部から入りダウンカマ6を下降する一次冷却材12は、各入口ノズル4間の中央部付近の周方向断面を対称面として、対称面付近で流速が速く、入口ノズル4の開口の下方で流速が遅い流速分布となる。その流速分布は、多孔リング10の部位まで維持され、多孔リング10から下部プレナム7への流入量の周方向分布に影響を与える。なお、図14は、原子炉圧力容器1内から見た一次冷却材12の流れを示すダウンカマ周方向展開図である。また、図14では、一次冷却材12の流速分布の変化を横向きの太い矢印で示している。
【0018】
さらに、従来の構成では、図14に示すように面対称な流れとなっているため、入口ノズル4の流量の摂動により流動パターンが不安定になりやすい。その結果、一次冷却材12は、ダウンカマ6の周方向における流速分布に変化が生じる可能性がある。この流速分布の変化が、多孔リング10で均一化することができない場合、各燃料集合体2に供給される一次冷却材12の流量が時間的に変化し、安定した冷却が行われない可能性があった。
【0019】
本発明は、冷却材の局所的な流量低下を防止し、燃料集合体の流量分布の安定性及び均一化を図った炉内構造物及び原子炉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る炉内構造物は、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と燃料集合体との間に設けられた炉心槽と、前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を備える炉内構造物であって、前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態に係る原子炉は、冷却材の入口ノズルが設けられ、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器内に設置された燃料集合体と、前記原子炉圧力容器と前記燃料集合体との間に設けられた炉内構造物とを備える原子炉において、前記炉内構造物は、前記燃料集合体を囲むように設けられた炉心槽と、前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を有し、前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る炉内構造物の第1実施形態を示す立断面構成図である。
【図2】図1の炉内構造物を示す部分拡大立断面図である。
【図3】第1実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大立断面図である。
【図4】本発明に係る炉内構造物の第2実施形態を示す立断面構成図である。
【図5】図4の炉内構造物を示す部分拡大立断面図である。
【図6】第2実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大立断面図である。
【図7】本発明に係る炉内構造物の第3実施形態を示す立断面構成図である。
【図8】図7の原子炉の入口ノズル高さで示す水平断面図である。
【図9】第3実施形態における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開立面図である。
【図10】第3実施形態の変形例における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開立面図である。
【図11】本発明に係る炉内構造物の第4実施形態を示す部分拡大立断面図である。
【図12】第4実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大立断面図である。
【図13】従来の加圧水型原子炉の炉内構造物を示す立断面構成図である。
【図14】従来の炉内構造物における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る炉内構造物の各実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
なお、以下の各実施形態及び各変形例は、原子炉に加圧水型原子炉を適用した場合について説明する。また、以下の各実施形態及び各変形例では、従来の構成と同一又は対応する部分に同一の符号を付して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
(構 成)
図1は本発明に係る炉内構造物の第1実施形態を示す立断面構成図である。図2は図1の炉内構造物を示す部分拡大断面図である。
【0026】
本実施形態の加圧水型原子炉は、図1に示すように、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器1と、この原子炉圧力容器1内に設置された燃料集合体2と、この燃料集合体2と原子炉圧力容器1との間に設けられた炉心槽3と、原子炉圧力容器1内に一次冷却材12を流入させる入口ノズル4と、燃料集合体2の熱エネルギーにより加熱された一次冷却材12を原子炉圧力容器1から流出させる出口ノズル5とを備えている。入口ノズル4は、原子炉圧力容器1の周方向に概ね等間隔に複数配置され、環状流路であるダウンカマ6の空間に直接開口している。
【0027】
また、本実施形態の加圧水型原子炉は、燃料集合体2を支持する下部炉心支持板13と、この下部炉心支持板13の下側に設置され直円筒形状に形成された多孔部材としての多孔リング14と、この多孔リング14の下側に設置されて炉心槽3の水平方向の位置決めを行う位置決め部材としてのラジアルサポート15とを備えている。
【0028】
多孔リング14の直円筒形状の胴部には、燃料集合体2で構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するための多数の円形の流入孔14aが形成されている。下部炉心支持板13は、炉心槽3の下部に固定されている。多孔リング14は、その上端が下部炉心支持板13に固定されている。炉心槽3は、下部炉心支持板13及び多孔リング14を介してラジアルサポート15によって径方向に位置決めされる。それぞれ各部の固定方法には、例えばボルトの締結又は溶接等による方法がある。
【0029】
ラジアルサポート15は、多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置されている。また、ラジアルサポート15は、図2に示すように上端が多孔リング14に固定され、かつ下端が原子炉圧力容器1の下部内面に固定されたサポート座16と、多孔リング14の下部内面に周方向に沿って複数個設置されたサドル17と、このサドル17とサポート座16との間に嵌め合う形態で設置されたサポートキー18とから構成されている。
【0030】
サポート座16は、円筒形状に形成され、その上部外周面と多孔リング14の下部内周面とで環状隙間が形成される。この環状隙間にサドル17及びサポートキー18が配置されている。サポート座16は、多孔リング14及び下部炉心支持板13を介して炉心槽3を支持して位置決め可能に構成されている。
【0031】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用を説明する。
【0032】
一次冷却材12は、図1及び図2に示すように、入口ノズル4から原子炉圧力容器1内に流入した後、環状流路のダウンカマ6を下降する。この下降する一次冷却材12は、多孔リング14の円筒形状の胴部に形成された流入孔14aを通過して燃料集合体2の下部に形成される下部プレナム7で合流して流れの方向を上向きに反転する。そして、一次冷却材12は、下部炉心支持板13内を通過して、炉心槽3内の燃料集合体2を上昇する。
【0033】
ここで、本実施形態は、ラジアルサポート15が多孔リング14の下部に配置されている。すなわち、ラジアルサポート15は、多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置されているので、一次冷却材12がダウンカマ6を下降して多孔リング14内に流入するときには円滑な流れとなる。
【0034】
また、本実施形態では、炉心槽3に下部炉心支持板13が固定され、この下部炉心支持板13に多孔リング14が固定されて一体化しているので、多孔リング14の下部にラジアルサポート15を設置し、このラジアルサポート15により炉心槽3を径方向に支持するとともに、位置決めが可能となる。
【0035】
このように本実施形態によれば、ラジアルサポート15を多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置したことにより、多孔リング14内へ流入する一次冷却材12の直上流部での障害物による流れの剥離がなくなる。その結果、燃料集合体2に流入する一次冷却材12の周方向の局所流量が低下することがなくなり、燃料集合体2の流量分布の均一化を促進することができる。
【0036】
(第1実施形態の変形例)
図3は第1実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大断面図である。図3はラジアルサポート15の変形例を示している。なお、以下の実施形態及び変形例において互いに同一の部分には、同一の符号を付して説明する。
【0037】
図3に示すように、変形例のラジアルサポート15は、一部が原子炉圧力容器1の下部内面に固定されピン穴が形成されたサポート座19と、多孔リング14の下面の周方向に沿って間隔をあけて複数個設置されたサポートピン20とで構成されている。
【0038】
サポートピン20は、多孔リング14の下面にねじ込まれるか、あるいは溶接により固定される。また、サポートピン20は、サポート座19に形成されたピン穴に嵌合されることで位置決めされる。一方、サポート座19は、円筒形状に形成され、その外面と多孔リング14の内面とで環状隙間が形成される。
【0039】
この変形例によれば、ラジアルサポート15は、一部が原子炉圧力容器1の下部内面に固定されたサポート座19と、多孔リング14の下面の周方向に沿って間隔をあけて複数個設置されたサポートピン20とを備え、このサポートピン20は、サポート座19に形成されたピン穴に嵌合されることにより、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0040】
(第2実施形態)
(構 成)
図4は本発明に係る炉内構造物の第2実施形態を示す立断面構成図である。図5は図4の炉内構造物を示す部分拡大断面図である。
【0041】
なお、前記第1実施形態及びその変形例と同一又は対応する部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、本実施形態は、下部炉心支持板13の下側に設置される多孔リング22が傾斜円筒形状に形成されている。この多孔リング22の傾斜円筒形状の胴部は、下側にいくに従って縮径するテーパ状に形成されている。また、多孔リング22は、燃料集合体2で構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するための多数の円形の流入孔22aが形成されている。
【0043】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第2実施形態の作用を説明する。
【0044】
一次冷却材12は、図4及び図5に示すように、入口ノズル4から原子炉圧力容器1内に流入した後、環状流路のダウンカマ6を下降する。この下降する一次冷却材12は、多孔リング22の傾斜円筒形状の胴部に形成された流入孔22aを通過して燃料集合体2の下部に形成される下部プレナム7で合流して流れの方向を上向きに反転する。そして、一次冷却材12は、下部炉心支持板13内を通過して、炉心槽3内の燃料集合体2を上昇する。
【0045】
ここで、本実施形態は、前記第1実施形態と同様にラジアルサポート15が多孔リング14に対して一次冷却材12の流れの下流側に配置されているので、一次冷却材12がダウンカマ6を下降して多孔リング22内に流入するときには円滑な流れとなる。
【0046】
また、本実施形態では、多孔リング22の胴部が傾斜円筒状に形成され、その傾斜方向は下側が縮径しているので、ダウンカマ6の下流部の流路面積が広くなり、流動圧力損失が少なくなる。なお、多孔リング22の胴部の傾斜角度は、一次冷却材12が多孔リング22内へ円滑に流入し、かつ流動圧力損失が少なくなるような角度に設定される。
【0047】
このように本実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加え、多孔リング22の胴部を下側にいくに従って縮径するテーパ状に形成したことにより、ダウンカマ6の下流部の流路面積が広くなるので、流動圧力損失を低減することができる。
【0048】
(第2実施形態の変形例)
図6は第2実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大断面図である。
【0049】
図6に示すように、本変形例は、前記第1実施形態の変形例と比べて多孔リング22の胴部を下側にいくに従って縮径するテーパ状に形成した以外は、前記第1実施形態と同様の構成及び作用であるので、その説明を省略する。図6に示すラジアルサポート15の変形例を適用することができる。
【0050】
(第3実施形態)
(構 成)
図7は本発明に係る炉内構造物の第3実施形態を示す立断面構成図である。図8は図7の原子炉の入口ノズル高さで示す水平断面図である。図9は第3実施形態における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開図である。
【0051】
図7及び図8に示すように、本実施形態は、前記第1実施形態の構成に加え、4つの各入口ノズル4の開口部近傍にそれぞれ平板状の整流板としての仕切板30が配置されている。これらの仕切板30は、図8に示すように幅方向が水平断面において各入口ノズル4のダウンカマ6への延長線近傍に沿う方向であって、各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部に対してそれぞれ同一の側に配置されている。
【0052】
また、各仕切板30は、図7に示すように長さ方向がダウンカマ6の上面から各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部下端を越える部位まで鉛直方向に延びるように配置されている。
【0053】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第3実施形態の作用を説明する。
【0054】
図8に示すように、各入口ノズル4から流入した一次冷却材12は、各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部から全周方向に広がろうとする流れを各仕切板30によって規制される。
【0055】
具体的には、各仕切板30及びダウンカマ6空間の天井に衝突した一次冷却材12は、流れの向きを変えて、図8のようにダウンカマ6空間の上方から見て反時計回りに周方向流速成分を得る。そして、一次冷却材12は、ダウンカマ6の環状流路を旋回しながら下降する。次いで、多孔リング10では、その旋回成分のために周方向の流速分布が均一化される。
【0056】
また、このように一次冷却材12が旋回流となることで、図9に示すように各入口ノズル4から流入した一次冷却材12の流線が各入口ノズル4間の垂直面に対し対称で均衡する形態をとらないため、ダウンカマ6での流動が安定し、時間的な流動様式の変化が生じにくくなる。
【0057】
このように本実施形態によれば、各入口ノズル4の開口部近傍にそれぞれ平板状の仕切板30を配置し、これらの仕切板30は、長さ方向がダウンカマ6の上面から各入口ノズル4のダウンカマ6側の開口部下端を越える部位まで鉛直方向に延びるように配置したことにより、仕切板30とダウンカマ6の上面とでダウンカマ6の下降流を旋回流とすることで、ダウンカマ6での流動パターンの安定化を図るとともに、多孔リング14での流量均一化を図ることが可能となる。その結果、多孔リング14から下部炉心支持板13への流量の供給が安定し、燃料集合体2の流量分布の安定化及び周方向の均一化を促進することができる。
【0058】
なお、本実施形態は、多孔リング14を前記第1実施形態のように形成した場合について説明したが、これに限らず前記第2実施形態のように形成した場合でも適用可能である。
【0059】
(第3実施形態の変形例)
図10は第3実施形態の変形例における一次冷却材の流れを示すダウンカマ周方向展開図である。
【0060】
図10に示すように、本変形例の各仕切板30は、鉛直に対して一次冷却材12の旋回方向にθだけ傾けて設置している。すなわち、各仕切板30は、ダウンカマ6の鉛直方向に対して各入口ノズル4側に傾斜して設置されている。
【0061】
このように変形例によれば、各仕切板30をダウンカマ6の鉛直方向に対して一次冷却材12の旋回方向にθだけ傾けたことにより、一次冷却材12に一段と強い旋回成分を与えることができるので、多孔リング14から下部プレナム7に流入する一次冷却材12の周方向分布を効果的に均一化することができる。
【0062】
なお、この変形例でも、多孔リング14を前記第1、第2実施形態の変形例と同様に形成した場合についても適用可能である。
【0063】
(第4実施形態)
(構 成)
図11は本発明に係る炉内構造物の第4実施形態を示す部分拡大断面図である。なお、第4実施形態は、前記第1実施形態に示される多孔リング14の他の例を示すものである。
【0064】
図11に示すように、本実施形態の多孔リング14は、前記第1実施形態の多孔リング14と同様に、胴部が直円筒形状に形成されている。この多孔リング14の直円筒形状の胴部には、燃料集合体2で構成される炉心への一次冷却材12の流量配分を調整するための多数の円形の流入孔14aが形成されている。
【0065】
ところで、本実施形態の多孔リング14の流入孔14aは、それぞれ周方向に均等に配置され、高さ方向に複数段(本実施形態では3段)形成されている。そして、その高さ方向における上位段の流入孔14Aは、図11に示すようにダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成されている。
【0066】
(作用及び効果)
次に、上記のように構成された第4実施形態の作用を説明する。
【0067】
ダウンカマ6を流下した一次冷却材12の流れは、多孔リング14で向きが変えられて炉心に供給されるものの、多孔リング14の流入孔14aの部分で流路断面積が小さくなるため、流速が速くなって炉心下部に噴出する。
【0068】
一般的に、多孔リング14の上段部の流入孔から流入する一次冷却材12は、炉心の外周部に供給され、下段部の流入孔から流入する一次冷却材12は、炉心中央部分に供給される傾向にある。そして、上位段の流入孔から流入する一次冷却材12は、その流入孔を通って水平方向に直進するため、最外周の炉心に一次冷却材12が供給されにくいという問題があった。
【0069】
しかしながら、本実施形態においては、多孔リング14の上位段の流入孔14Aに流入する一次冷却材12の流れは、開口部の断面に沿ってダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって上向きに流れが変えられるため、より炉心の外周部に一次冷却材12が供給されやすくなる。
【0070】
このように本実施形態によれば、高さ方向複数段に炉心流量の配分を調整するための流入孔14を有し、その高さ方向上位段の流入孔14Aがダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成されていることにより、流れにくい炉心外周部にも一次冷却材12が供給されやすくなり、燃料集合体2の流量分布の均一化を一段と促進することができる。
【0071】
(第4実施形態の変形例)
図12は第4実施形態の炉内構造物の変形例を示す部分拡大断面図である。
【0072】
図12に示すように、本変形例は、多孔リング22の胴部を前記第2実施形態と同様に傾斜円筒形状に形成するとともに、高さ方向における上位段の流入孔22Aの向きが前記第4実施形態と同様にダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成されている。
【0073】
このように構成したことにより、本変形例によれば、前記第2実施形態と前記第4実施形態を合わせた作用及び効果が得られる。
【0074】
なお、前記第4実施形態及びその変形例では、多孔リング14の上位段の流入孔14Aだけをダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成したが、これに限らず多孔リング14の中位段、下位段の少なくとも一方の流入孔もダウンカマ6側から下部プレナム7側に向かって斜め上向きに形成するようにしてもよい。
【0075】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1…原子炉圧力容器、2…燃料集合体、3…炉心槽、4…入口ノズル、5…出口ノズル、6…ダウンカマ、7…下部プレナム、8…下部炉心支持板、9…ラジアルサポート、10…多孔リング、12…一次冷却材、13…下部炉心支持板、14…多孔リング(多孔部材)、14a…流入孔、14A…上位段の流入孔、15…ラジアルサポート(位置決め部材)、16…サポート座、17…サドル、18…サポートキー、19…サポート座、20…サポートピン、22…多孔リング、22a…流入孔、22A…上位段の流入孔、30…仕切板(整流板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と燃料集合体との間に設けられた炉心槽と、
前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、
前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を備える炉内構造物であって、
前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする炉内構造物。
【請求項2】
前記多孔部材は、円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の炉内構造物。
【請求項3】
前記多孔部材は、下方に縮径する傾斜円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の炉内構造物。
【請求項4】
前記位置決め部材は、上端が前記多孔部材に固定されるとともに、下端が前記原子炉圧力容器に固定されたサポート座と、前記多孔部材の下部内面に周方向に複数設置されたサドルと、このサドルと前記サポート座との間に設置されたサポートキーと、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項5】
前記位置決め部材は、一部が前記原子炉圧力容器に固定されピン穴が形成されたサポート座と、前記多孔部材の下部の周方向に複数設置されたサポートピンとを備え、前記サポートピンを前記サポート座のピン穴に嵌合可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項6】
前記原子炉圧力容器と前記炉心槽との間に形成される環状流路に開口する複数の開口部に前記入口ノズルが複数配置され、
前記複数の開口部近傍のそれぞれに前記環状流路に流入する冷却材を旋回流とする整流板が配置されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項7】
前記整流板は、前記環状流路の径方向に対し傾斜して設置されたことを特徴とする請求項6に記載の炉内構造物。
【請求項8】
前記多孔部材は、周方向に等間隔で、高さ方向に複数段に流入孔が形成され、その高さ方向上位段の流入孔が前記環状流路側から前記燃料集合体の下部に形成される下部プレナム側に向かって斜め上向きに設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項9】
冷却材の入口ノズルが設けられ、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と、
前記原子炉圧力容器内に設置された燃料集合体と、
前記原子炉圧力容器と前記燃料集合体との間に設けられた炉内構造物とを備える原子炉において、
前記炉内構造物は、
前記燃料集合体を囲むように設けられた炉心槽と、
前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、
前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を有し、
前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする原子炉。
【請求項1】
軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と燃料集合体との間に設けられた炉心槽と、
前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、
前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を備える炉内構造物であって、
前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする炉内構造物。
【請求項2】
前記多孔部材は、円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の炉内構造物。
【請求項3】
前記多孔部材は、下方に縮径する傾斜円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の炉内構造物。
【請求項4】
前記位置決め部材は、上端が前記多孔部材に固定されるとともに、下端が前記原子炉圧力容器に固定されたサポート座と、前記多孔部材の下部内面に周方向に複数設置されたサドルと、このサドルと前記サポート座との間に設置されたサポートキーと、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項5】
前記位置決め部材は、一部が前記原子炉圧力容器に固定されピン穴が形成されたサポート座と、前記多孔部材の下部の周方向に複数設置されたサポートピンとを備え、前記サポートピンを前記サポート座のピン穴に嵌合可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項6】
前記原子炉圧力容器と前記炉心槽との間に形成される環状流路に開口する複数の開口部に前記入口ノズルが複数配置され、
前記複数の開口部近傍のそれぞれに前記環状流路に流入する冷却材を旋回流とする整流板が配置されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項7】
前記整流板は、前記環状流路の径方向に対し傾斜して設置されたことを特徴とする請求項6に記載の炉内構造物。
【請求項8】
前記多孔部材は、周方向に等間隔で、高さ方向に複数段に流入孔が形成され、その高さ方向上位段の流入孔が前記環状流路側から前記燃料集合体の下部に形成される下部プレナム側に向かって斜め上向きに設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の炉内構造物。
【請求項9】
冷却材の入口ノズルが設けられ、軸を鉛直方向として設置された原子炉圧力容器と、
前記原子炉圧力容器内に設置された燃料集合体と、
前記原子炉圧力容器と前記燃料集合体との間に設けられた炉内構造物とを備える原子炉において、
前記炉内構造物は、
前記燃料集合体を囲むように設けられた炉心槽と、
前記炉心槽の下側に設置され、前記原子炉圧力容器の入口ノズルから流入する冷却材の前記燃料集合体への流量配分を調整する流入孔が複数形成された多孔部材と、
前記炉心槽の径方向を位置決めする位置決め部材と、を有し、
前記多孔部材に対して前記位置決め部材を前記冷却材の流れの下流側に配置したことを特徴とする原子炉。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−251977(P2012−251977A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127164(P2011−127164)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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