説明

炉心監視装置

【課題】原子炉における燃料装荷中、燃料交換中、各種検査中など、広範囲の原子炉停止状態における未臨界状態を監視、記録し、原子力プラントの安全運用を可能にする炉心監視装置を提供する。
【解決手段】冷温時炉心特性監視部3は、定期的および操作員の要求時に、炉心データ入力部2を介して冷却材温度データおよび制御棒位置データと、燃料移動データに基づき更新された燃料集合体配置データと実績燃焼状態データに基づき、炉心シミュレータ部9により、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により当該炉心状態の中性子実効増倍率を逐次計算し、未臨界度を監視、記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉における燃料装荷中、燃料交換中、各種検査中など原子炉停止中の臨界監視を行う炉心監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の炉心状態を監視する装置として、特許文献1には運転時の熱的特性を計算する監視装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、燃料装荷時の異常を監視する装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−172792号公報
【特許文献2】特開2006−98329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の炉心性能監視装置は、既に実際の原子炉にて実用化されている炉心監視装置の典型的な例であり、これらに類する装置はすべて高温状態での稼動を想定し、運転状態の原子炉の熱的状態値を監視することを目的としている。したがって、原子炉停止時における、原子炉の臨界管理、燃料交換誤操作防止、異常な引抜に対する臨界警報と炉心状態の記録については考慮されていない。
【0006】
特許文献2に記載の未臨界監視システムは、原子炉停止時の特に燃料装荷中における異常を監視するものである。このシステムでは、核計装からの信号のみを取り込み、事前に準備した燃料交換手順に基づく拡散計算等によってのみ、臨界を監視するものである。このシステムは、炉心状態が作業計画通りであることを想定したものであり、燃料交換機からの実際の燃料位置情報や、実際の炉水温度と合わせた実炉心状態を把握するものではない。このため、手順から逸脱する異常な燃料装荷時や、予期せぬ制御棒引き抜きがあった場合、正確な炉心状態に基づく評価とはならない。また、燃料交換中の臨界監視のみを対象としており、その他の定期検査中は、監視の対象とはならない。
【0007】
本発明の目的は、上記の先行技術の問題点に対処するため、原子炉における燃料装荷中、燃料交換中、各種検査中など、広範囲の原子炉停止状態における未臨界状態を監視し、原子力プラントの安全運用を可能にする炉心監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、原子炉停止時の原子炉炉心内における制御棒位置情報と冷却材温度情報と燃料集合体配置情報を、定期的および操作員の要求時に取得し、炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態に基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により当該炉心状態の中性子実効増倍率を逐次計算し、未臨界度を評価する冷温時炉心監視手段を設け、その評価結果を記録し保存することによって達成される。
【0009】
特に原子炉停止時の燃料集合体配置の把握については、炉心監視装置内に原子炉炉心内の燃料集合体配置情報を保存し、燃料交換装置から燃料移動情報を取得する毎に、燃料集合体配置情報を更新するものとし、定期的あるいは燃料移動情報取得と同時に取得した制御棒位置情報と冷却材温度情報を用いて、炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態に基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により当該炉心状態の中性子実効増倍率を逐次計算し、燃料移動後の未臨界度を未臨界度を評価する冷温時炉心監視手段を設け、その評価結果を記録し保存する。
【0010】
また、実測された中性子検出器信号を利用して、炉心監視装置内に原子炉炉心内の燃料集合体配置情報を保存し、燃料交換装置から燃料移動情報を取得する毎に、燃料集合体配置情報を更新するとともに、定期的あるいは燃料移動情報取得と同時に取得した制御棒位置情報と冷却材温度情報を用いて、炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態に基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により中性子検出器の計数率を計算し、対応する中性子検出器からの実測計数率と比較することにより燃料移動作業中の異常を監視する冷温時炉心監視手段を設け、その異常の監視結果を記録し保存する。
【0011】
さらに、炉心状態変動判定手段を設け、そのイベントトリガ機能(炉心異常時自動起動機能)により冷温時炉心監視手段を作動させ、実際に原子炉において制御棒後引抜などの異常事象が発生した場合においても、自動的に高精度の臨界評価の実施と記録の保存を行うものとする。
【0012】
冷温時炉心監視手段は、上記の原子炉炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態として、原子炉運転時の炉心状態を監視する運転時炉心監視手段によって算出、管理されている情報を用い、これにより炉心の臨界状態を精度良く評価することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷温時炉心監視手段によって、原子炉停止中の各種作業の間、定期的および操作員の要求時に、作業計画に基づく炉心状態ではなく、実際の制御棒の挿入状態や温度状態、燃料集合体の配置の情報を逐次取得して解析するので、原子炉における燃料装荷中、燃料交換中、各種検査中など、広範囲の原子炉停止状態における未臨界状態を監視し、原子力プラントの安全運用が可能となる。また、炉心計算においては、運転時炉心監視手段による原子炉運転時の炉心特性監視機能で作成された各燃料の実績燃焼状態データを用いるので、評価時点の燃料特性を考慮した、正確な未臨界度評価が可能となる。したがって、安全性を的確に確認できる。
【0014】
燃料交換中に本装置による監視を実施する場合、実際に燃料を移動させる毎に燃料移動情報を取得して、燃料集合体配置情報を更新し、燃料移動情報を取得する毎に当該炉心状態の中性子実効増倍率を逐次計算し、燃料移動後の未臨界度を評価することにより、燃料移動直後の炉心状態についての未臨界度を監視できるとともに、次の燃料移動後の炉心状態についても未臨界度を事前評価することが可能になる。これにより万一、予想される未臨界度が設定された管理値よりも小さくなる場合には警告を発し、その後の燃料移動作業を中断するなどの処置をとることができ、冷温時の作業の安全性向上に寄与する。
【0015】
また、中性子検出器計数率データの実測値と計算値を比較する監視を併用することにより、燃料交換中の異常の兆候を発見できる。実測値と計算値が大きく異なる原因としては、炉心状態が作業計画で予定されているものと異なっている、燃料交換前の燃料配置と燃料交換装置に設定された燃料移動データが整合していない、一部の中性子検出器が正常に機能していない、などの可能性がある。これらの可能性を発見し警告することにより、冷温時の作業の安全性向上に寄与する。
【0016】
これらの定期的および操作員の要求時、あるいは燃料移動情報の取得毎(作業ステップ毎)の監視結果の自動記録により、原子炉停止期間中の炉心状態、および、作業中の炉心状態について、安全性に関する的確な記録を残すことが可能である。
【0017】
加えて、イベントトリガ機能(炉心異常時自動起動機能)により、仮に実際に制御棒の誤引き抜きなどの事態が発生し、その際、自動起動する時間待ち状態でかつ操作員の起動要求がない場合であっても、自動的に冷温時炉心監視手段による未臨界度の評価機能を起動し、精度の高い炉心の臨界評価情報を保存することができる。これにより、異常事象の静定後に実施される、より詳細な炉心特性解明のための解析作業時などにも有効な情報を提供し、これによって原子力プラントの安全向上活動に貢献することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる炉心監視装置を示す図であり、図2は、その炉心監視装置を含む全体システムを示す図である。
【0020】
本実施の形態の炉心監視装置は制御装置100を有し、制御装置100は、全体の動作を制御する制御部1、炉心データ入力部2、冷温時炉心特性監視部3(冷温時炉心監視手段)、燃料状態データベース部4(燃料状態保存手段)、燃料配置データベース部5、運転時炉心特性評価部6、記録保存データベース部7、計算結果出力部8(評価結果保存手段)、炉心シミュレータ部9(冷温時炉心監視手段)から構成される。
【0021】
炉心シミュレータ部9は、三次元の中性子拡散計算により、炉心体系の中性子実効増倍率や中性子束分布、熱出力分布を評価するものである。
【0022】
運転時炉心特性監視部6は、原子炉の出力運転中に炉心データ入力部2を介して冷却材温度データ、制御棒位置データ等の炉心状態データを取得し、炉心シミュレータ部9により、定期的に炉心内の出力分布を計算して、最大線出力密度や最小限界出力比などの熱的特性を評価監視する。また、運転中の燃料集合体の燃焼に伴って反応特性が変化するので、燃料状態データベース部4に格納された、燃焼度に代表される燃焼状態データが逐次更新される。
【0023】
冷温時炉心特性監視部3は、定期的(例えば1時間毎)および操作員の要求時に、原子炉の停止中に炉心データ入力部2を介して炉心状態データとして、冷却材温度データ(冷却材温度情報)を取得するとともに、燃料配置データベース部5から最新の燃料移動データにより更新された燃料集合体配置データ(燃料集合体配置情報)を取得し、炉心シミュレータ部9により、それらの冷却材温度データ、制御棒位置データ、燃料集合体配置データと、上記燃料状態データベース部4に保存された炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態データ(実績燃焼状態情報)とに基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により冷温状態の炉心の実効増倍率を計算し、その結果を基に定期的に冷温停止状態の原子炉の中性子実効増倍率が想定外に臨界状態となっていないかどうかを判断し、臨界超過に近い場合は警告情報を計算結果出力部7から表示装置およびプリンターに出力することで、臨界状態の評価監視をする(以下、この機能を臨界評価監視機能という)。これらの結果は記録保存データベース部8に電子的に逐次、記録され保存される。
【0024】
ここで、冷温時炉心特性監視部3は、上記のように実績燃焼状態データ(各燃料集合体の燃焼度などの状態を示すデータ)については、運転時炉心特性監視部6で更新された燃料状態データベース4を用いる。また、燃料集合体配置データについては、炉心データ入力部2を介して燃料交換機から燃料移動情報を取得すると、その都度、燃料配置データベース部5に保存されているデータを逐次更新することにより把握する。燃料移動情報は炉心内の移動元座標と移動先座標の組合せの形で提供され、これにしたがって燃料配置データベース内5の燃料集合体配置データを変更する。冷却材温度データ及び制御棒位置データについては、それぞれ、炉心に装備された冷却材温度計及び位置検出器によって検出された炉心の冷却材温度データ及び制御棒位置データを、炉心データ入力部2を介して定期的(例えば1秒毎)に取得しており、冷温時炉心特性監視部3は、その最新のデータを用いて冷温状態の炉心の実効増倍率を計算する。
【0025】
また、冷温時炉心特性監視部3は、上記のように定期的および操作員の要求時に冷温状態の炉心の実効増倍率を計算する臨界評価監視機能を実行するとともに、燃料移動情報取得と同時にも、冷却材温度データ、制御棒位置データ、燃料集合体配置データ、実績燃焼状態データを用いて中性子拡散計算あるいは輸送計算等により冷温状態の炉心の実効増倍率を計算する臨界評価監視機能を実行する。
【0026】
以上のように構成した本実施の形態により、燃料交換中を含め、広範囲の原子炉停止状態における未臨界度を精度良く監視することができる。
【0027】
すなわち、冷温時炉心特性監視部3は、原子炉停止中の各種作業の間、定期的および操作員の要求時に、作業計画に基づく炉心状態ではなく、実際の制御棒の挿入状態や温度状態、燃料集合体の配置の情報を逐次取得して解析するので、原子炉における燃料装荷中、燃料交換中、各種検査中など、広範囲の原子炉停止状態における未臨界状態を監視、記録し、原子力プラントの安全運用が可能となる。また、炉心計算においては、原子炉運転時の運転時炉心特性監視部6で作成された各燃料の実績燃焼状態データを用いるので、評価時点の燃料特性を考慮した、正確な未臨界度評価が可能となる。したがって、安全性を的確に確認することができる。
【0028】
また、燃料交換中に本装置による監視を実施する場合、実際に燃料を移動させる毎に燃料移動情報を取得して、燃料配置データベース5に保存された燃料集合体配置情報を更新し、燃料移動情報を取得する毎に臨界評価監視機能を起動し、当該炉心状態の中性子実効増倍率を逐次計算し燃料移動後の未臨界度を評価するので、燃料移動直後の炉心状態についての未臨界度を監視できるとともに、次の燃料移動後の炉心状態についても未臨界度を事前評価することが可能になる。これにより万一、予想される未臨界度が設定された管理値よりも小さくなる場合には警告を発し、その後の燃料移動作業を中断するなどの処置をとることができ、冷温時の作業の安全性向上に寄与する。
【0029】
また、これらの定期的及び操作員の要求時、あるいは燃料移動情報の取得毎(作業ステップ毎)の監視結果の自動記録により、原子炉停止期間中の炉心状態、および、作業中の炉心状態について、安全性に関する的確な記録を残すことが可能となる。
【0030】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図2を用いて説明する。本実施の形態は図1の第1の実施の形態に対して、冷温時炉心監視手段の一部として係数率データ処理部10と比較部11を追加したものである。係数率データ処理部10は、炉心データ入力部2を介して中性子検出器であるSRNMの計数率データを取得し、係数率実測値を計算する。一方、冷温時炉心特性監視部3では炉心シミュレータ部9を用いて当該中性子検出器の計数率を計算し、両者を比較部11で比較する。ここで、冷温時炉心特性監視部3は、第1の実施の形態で説明した実効増倍率を計算する場合と同様、定期的および操作員の要求時、あるいは燃料移動情報の取得毎(作業ステップ毎)に、逐次取得された制御棒位置データ、冷却材温度データ、燃料集合体配置データを用い、燃料状態データベース部4で管理されている燃料状態(実績燃焼状態)に基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等を行うことにより中性子検出器の計数率を計算する。比較部11は、中性子検出器の計数率の実測値と計算値が大幅に食い違う場合に、計算結果出力部を介して警告を出力する。
【0031】
以上のように構成した本実施の形態においては、中性子検出器計数率データの実測値と計算値を比較する監視を併用することにより、燃料交換中の異常の兆候を発見できる。実測値と計算値が大きく異なる原因としては、炉心状態が作業計画で予定されているものと異なっている、燃料交換前の燃料配置と燃料交換装置に設定された燃料移動データが整合していない、一部の中性子検出器が正常に機能していない、などの可能性がある。これらの可能性を発見し警告することにより、冷温時の作業の安全性向上に寄与する。
【0032】
また、これらの定期的あるいは作業ステップ毎の監視結果の自動記録により、原子炉停止期間中の炉心状態、および、作業中の炉心状態について、安全性に関する的確な記録を残すことが可能である。
【0033】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図3を用いて説明する。本実施の形態は図1の第1の実施の形態に対し、炉心状態変動判定部12(炉心状態変動判定手段)を追加したものである。炉心状態変動判定部12には、制御棒操作手順や燃料移動手順情報などが事前に登録されており、炉心状態変動判定部12は、その事前に登録されている制御棒操作手順や燃料移動手順情報と、炉心データ入力部2を介して入力された実際の制御棒位置データと燃料移動データを比較することで、炉心に想定外事象が発生していないことを監視する。また、制御部1は、イベントトリガ機能(炉心異常時自動起動機能)により、定期的な炉心状態評価の周期起動の待ち状態や操作員からの起動要求が無くとも、炉心状態変動判定部12において炉心に異常事象が発生したと推定される場合には、自動的に冷温時炉心特性監視部3の臨界評価監視機能を起動し、冷温時炉心特性監視部3はその評価監視結果を計算結果出力部7から表示装置およびプリンターに出力する。また、これらの結果、記録保存データベース部8に記録され保存される。
【0034】
本実施の形態においては、イベントトリガ機能(炉心異常時自動起動機能)により、仮に実際に制御棒の誤引き抜きなどの事態が発生し、その際、自動起動する時間待ち状態でかつ操作員の起動要求がない場合であっても、自動的に未臨界度の評価機能を起動し、高精度の臨界評価と記録保存を実施することが可能である。また、異常事象の静定後に実施される、より詳細な炉心特性解明のための解析作業時などにも有効な情報を提供し、これによって原子力プラントの安全向上活動に貢献することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる炉心監視装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係わる炉心監視装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係わる炉心監視装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 制御部
2 炉心データ入力部
3 冷温時炉心特性監視部(冷温時炉心監視手段)
4 燃料状態データベース部(燃料状態保存手段)
5 燃料配置データベース部
6 運転時炉心特性監視部
7 記録保存データベース部(評価結果保存手段)
8 計算結果出力部
9 炉心シミュレータ部(冷温時炉心監視手段)
10 係数率データ処理部(冷温時炉心監視手段)
11 比較部(冷温時炉心監視手段)
12 炉心状態変動判定部 (炉心状態変動判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉運転時に取得した原子炉炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態情報を保存する燃料状態保存手段と、
定期的および操作員の要求時に、原子炉停止時に原子炉炉心内における制御棒位置情報と冷却材温度情報と燃料集合体配置情報とを取得し、それらの制御棒位置情報および冷却材温度情報、燃料集合体配置情報と、前記燃料状態保存手段に保存した炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態情報とに基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により当該炉心状態の中性子実効増倍率を逐次計算し、未臨界度を評価する冷温時炉心監視手段と、
前記冷温時炉心監視手段による未臨界度の評価結果を記録し保存する評価結果保存手段とを備えることを特徴とする炉心監視装置。
【請求項2】
原子炉運転時に取得した原子炉炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態情報を保存する燃料状態保存手段と、
燃料交換装置から燃料移動情報を取得する毎に予め保存してある燃料集合体配置情報を更新するとともに、定期的あるいは燃料移動情報取得と同時に制御棒位置情報と冷却材温度情報を取得し、それらの制御棒位置情報および冷却材温度情報、燃料集合体配置情報と、前記燃料状態保存手段に保存した炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態情報とに基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により当該炉心状態の中性子実効増倍率を逐次計算し、燃料移動後の未臨界度を評価する冷温時炉心監視手段と、
前記冷温時炉心監視手段による未臨界度の評価結果を記録し保存する評価結果保存手段とを備えることを特徴とする炉心監視装置。
【請求項3】
原子炉運転時に取得した原子炉炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態情報を保存する燃料状態保存手段と、
燃料交換装置から燃料移動情報を取得する毎に予め保存してある燃料集合体配置情報を更新するとともに、定期的あるいは燃料移動情報取得と同時に制御棒位置情報と冷却材温度情報を取得し、かつ中性子検出器からの計数率データを取得し、それらの制御棒位置情報および冷却材温度情報、燃料集合体配置情報と、前記燃料状態保存手段に保存した炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態情報とに基づき、中性子拡散計算あるいは輸送計算等により中性子検出器の計数率を計算し、これを前記中性子検出器の係数率データから計算した実測係数率と比較することにより燃料移動作業中の異常を監視する冷温時炉心監視手段と、
前記冷温時炉心監視手段による異常の監視結果を記録し保存する評価結果保存手段とを備えることを特徴とする炉心監視装置。
【請求項4】
前記取得した制御棒位置情報および燃料集合体配置情報を含む炉心状態情報を、事前に登録した制御棒操作情報および燃料移動手順情報を含む操作情報と比較し、両者の状態が整合しているかどうかを判定する炉心状態変動判定手段を更に有し、
前記冷温時炉心監視手段は、前記炉心状態変動判定手段により炉心状態情報と操作情報とが整合しない場合に自動的に未臨界度の評価機能を起動し、その評価結果を前記評価結果保存手段に記録し保存することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の炉心監視装置。
【請求項5】
原子炉運転時に原子炉炉心内における制御棒位置情報と冷却材温度情報を取得し、原子炉炉心内の各燃料集合体の実績燃焼状態を算出し、前記燃料状態保存手段に記録し保存する運転時炉心監視手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の炉心監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−150838(P2009−150838A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330679(P2007−330679)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000229461)株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン (102)
【Fターム(参考)】