説明

炭化水素化合物の製造

炭化水素化合物、および場合により、炭化水素化合物の酸素化物を製造するための方法を提供する。合成ガスは、水素と、一酸化炭素と、HCN、NH、NO、RNH3−x、R−CNおよび少なくとも1つの窒素原子を複素環式化合物における複素環の環員として含む複素環式化合物からなる群から選ばれるN混入物質とを含む。N混入物質は、全体として、合成ガスの100vppb以上であって1000000vppb未満を構成する。合成ガスは、高温および高圧にて、粒状物に担持されたフィッシャー・トロプシュ合成触媒に接触させられる。触媒は、触媒担体と、触媒担体に担持される触媒的に活性な形態のCoと、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)および/またはレニウム(Re)からなる群から選ばれるドーパントとを含む。ドーパント・レベルは、式によって示される。炭化水素化合物および、場合により、炭化水素化合物の酸素化物が、得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素化合物の製造に関する。特に、本発明は、炭化水素化合物、場合により炭化水素化合物の酸素化物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィッシャー・トロプシュ触媒の存在下で水素と一酸化炭素とから炭化水素化合物を合成することは、フィッシャー・トロプシュ合成(Fischer-Tropsch synthesis (FTS))として一般によく知られている。FTSは、天然ガス、石炭およびバイオマスがそれぞれ通常3ステップ・プロセスによって、液状炭化水素化合物に転化される、ガス・ツー・リキッド(Gas-To-Liquids)プロセス、コール・ツー・リキッド(Coal-To-Liquids)プロセス、およびバイオマス・ツー・リキッド(Biomass-To-Liquids)プロセスプロセスの一部を構成する。3つのプロセスの工程は、通常、(i)水素と、天然ガス、石炭もしくはバイオマスからの一酸化炭素との混合物を含む合成ガス(synthesis gas)もしくはシンガス(syngas)を製造する工程、(ii)合成ガスをFTSによってワックス質合成粗油へ転化する工程、および(iii)ワックス質合成粗油を、液体の輸送用燃料、例えば、ディーゼル油、ガソリン、ジェット燃料ならびにナフサなどへ転化させる水素化分解又は水素化処理工程を含む。FTSプロセスの目的が長鎖炭化水素化合物を形成することであることから、Cは望まれておらず、従ってC選択性はできるだけ低くあるべきである。さらにまた、長鎖炭化水素化合物の生成を最大にするためには、C選択性はできるだけ高くあるべきである。通常、より低いCH選択性は、より高いC選択性を意味する。
【0003】
FTSプロセスがいわゆる低温フィッシャー・トロプシュ法である場合に、合成ガスの合成粗油への転化は、180℃〜270℃の比較的低い温度にて通常行われ、そして、固定床反応装置かまたはスラリー相反応装置において、固体相(触媒)、気相(合成ガスおよびガス状生成物)および液相(液体生成物)を含む3相プロセスとして行うことができる。フィッシャー・トロプシュ触媒は、通常、活性触媒成分、例えば触媒担体に担持されるCoを含む、粒状物担持触媒である。触媒は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)またはレニウム(Re)の形態のドーパントをも通常は含んでおり、それらは触媒の活性化の間における活性触媒成分の還元を促進し、従って触媒の活性を向上させる。ドーパントとしての白金は、通常、少なくとも0.0025gPt/g活性触媒成分のレベルで触媒中に存在する。
【0004】
実験室スケールで使用する合成ガスは、通常は、望ましくない混入物質を含まないクリーンな合成ガスであって、FTSのための大部分の実験的研究において使用されるのはこの合成ガスである。しかしながら、市販の合成ガスは、例えばメルカプタン、硫化水素およびCOSなどの硫黄含有化合物、ならびに、例えばアンモニア(NH)、シアン化水素(HCN)および一酸化窒素(NO)などの窒素含有化合物のような、いくつかの望ましくない混入物質をしばしば含む。通常、これら硫黄含有化合物および窒素含有化合物はすべて、触媒を失活させて、触媒活性の低下をもたらすため、担持されたコバルト触媒のFTSパフォーマンスに悪影響を及ぼす。
【0005】
窒素混入物質に関して、NHおよびHCNは、例えば、米国特許第7022742号に教示されるように、NHおよびHCNを実質的に含まないレベルまで、または、例えば、米国特許第6284807号および米国特許出願第2007/0158241号によって教示されるように、NHおよびHCNレベルを少なくとも100vppb未満(体積十億分率(volume parts per billion))、好ましくは10vppb未満まで除去する必要がある。NHおよびHCNを除去することによって、担持されたコバルト触媒の寿命が向上し、従ってNHおよびHCN被毒に起因する触媒失活の割合が低減する。しかしながら、FTSの前の合成ガスの精製は高コストである。
【0006】
その一方で、出願人は、100〜3000vppbのHCNおよび/またはNHを含む合成ガスを使用するFTSプロセスについて記載するWO2005/071044についても承知している。WO2005/071044の方法では、コバルト触媒活性は、HCNおよびNHによって35%〜50%減少する。減少した触媒活性は、FTS温度を上昇させることによって相殺されている。しかしながら、FTS温度を上昇させることは、通常、C選択性の望ましくない増加に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
驚くべきことに、FTSによって炭化水素化合物を製造する方法において、良好な触媒活性および低い触媒CH選択性を維持しながら、高レベルの窒素混入物質が許容され、それによって合成ガスを精製して、そのような窒素混入物質のすべてまたはその実質的にすべてを除去するコストを節減し得るということが見出された。このことは、以下に規定されるようなドーパント・レベルを有する触媒を用いることによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このように、本発明の第1の要旨によれば、炭化水素化合物、場合により炭化水素化合物の酸素化物の製造方法が提供され、その方法は、水素と、一酸化炭素と、HCN、NH、NO、RNH3-x[式中、Rは有機基であり、xは1、2もしくは3であり、xが2もしくは3である場合にRは同じであっても異なってもよい。]、R−CN[式中、Rは有機基である。]、および少なくとも1つの窒素原子を複素環式化合物における複素環の環員として含む複素環式化合物からなる群から選ばれるN含有混入物質であって、全体として合成ガスの100vppb以上、1000000vppb未満をなすN含有混入物質とを含む合成ガスを、少なくとも180℃の温度及び少なくとも10バール(a)(1000kPa(a))の圧力にて、触媒担体、該触媒担体に担持された触媒活性な形態のCo、および、式1:
【0009】
[数1]

【0010】
[式中、wはgRu/gCoとして表され、xはgPd/gCoとして表され、yはgPt/gCoとして表され、zはgRe/gCoとして表され、そして、0≦a<1である。]
によって示されるドーパント・レベルの、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)およびそれらの2種もしくはそれ以上の混合物からなる群から選ばれるドーパントを含む、粒状物に担持されたフィッシャー・トロプシュ合成触媒に接触させて、水素と一酸化炭素とのフィッシャー・トロプシュ合成反応によって、炭化水素化合物、場合により炭化水素化合物の酸素化物を得ることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0011】
従って、本発明の1つの態様例では、aは0であってよい。換言すれば、その場合に触媒はドーパントを含まない。合成ガスが著しい量のN混入物質を含むとき、触媒このようにドーパントを含まなくても、満足できる活性を保持することができるということが、驚くべきことに見出された。更に驚くべきことに、クリーンな合成ガスと比較して、合成ガスが著しい量のN混入物質を含む場合に、ドーパントを含まない触媒の活性は向上するのである。
【0012】
しかしながら、本発明のもう1つの態様例では、aは0より大きくてもよい。この態様例では、aは好ましくは少なくとも0.07であってよい。より好ましくは、aは少なくとも0.15であってよい。ある場合には、aは少なくとも0.30であってよい。このように、驚くべきことに、合成ガスが著しいレベルのN混入物質を含むときに、触媒活性を維持し、そして重要なことには、低いCH選択性を達成しながら、従来必要とされていたレベルと対比して、触媒ドーパント・レベルを低下させることが可能であるということが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述したように、a<1である。好ましくはa<0.93である。より好ましくは、a<0.80である。さらに好ましくはa<0.65である。触媒がドーパントとしてRuのみを含む場合、wはこのように0.024gRu/gCo未満である。好ましくはw<0.022gRu/gCoである。より好ましくはw<0.019gRu/gCoである。更により好ましくはw<0.015gRu/gCoである。特定の態様例ではw<0.01gRu/gCoである。触媒がドーパントとしてPdのみを含む場合、xはこのように0.0030gPd/gCoであり、好ましくはx<0.0028gPd/gCoであり、より好ましくはx<0.0026gPd/gCoである。触媒がドーパントとしてPtのみを含む場合、yは0.0025gPt/gCoであり、好ましくはy<0.0023gPt/gCoであり、より好ましくはy<0.0020gPt/gCoである。更に好ましくはy<0.0016gPt/gCoであり、より低レベルのPtが好ましく、即ちy<0.0011gPt/gCoである。触媒がドーパントとしてReのみを含む場合、zは0.1gRe/gCo未満であり、好ましくはz<0.093gRe/gCoである。より好ましくはz<0.080gRe/gCoであり、更に好ましくはz<0.065gRe/gCoであり、z<0.005gRe/gCoである場合もある。数1が適合することを条件として、上記のドーパントレベルは1種を超えるドーパントを使用する場合にも適用され得る。
【0014】
合成ガスは、全体で、少なくとも200vppbのN含有混入物質を含み得る。好ましくは、合成ガスは、少なくとも250vppbのN含有混入物質を含む。より好ましくは、合成ガスは、少なくとも500vppbのN含有混入物質を含む。一般に、合成ガスは、少なくとも1000vppbのN含有混入物質を含む。好ましくは、合成ガスは、100000vppbまでのN含有混入物質を含む。より好ましくは、合成ガスは、20000vppbまでのN含有混入物質を含む。一般に、合成ガスは、10000vppbまでのN含有混入物質を含み得る。例えば、本発明の一態様例において、合成ガスは約2000vppbのN含有混入物質を含み得る。しかしながら、もう1つの態様例では、合成ガスは約5000vppbのN含有混入物質を含み得る。一般に、合成ガスが、ガス・ツー・リキッド(Gas-To-Liquid)プロセスのものである場合には、それはN含有混入物質としてHCNおよびNHを含み、コール・ツー・リキッド(Coal-To-Liquid)プロセスのものである場合には、N含有混入物質としてNHおよびNOを含む。
【0015】
好ましくは、RNH3-xにおけるRは、ヒドロカルビル基および/もしくは酸素化ヒドロカルビル基である。より好ましくは、RNH3-xにおけるRは、アルキル基および/もしくはアルコールである。好ましくは、xは1もしくは2である。本発明の好ましい態様において、RNH3-xはジプロピルアミン(CHCHCHNHである。あるいは、RNH3-xは、ジエタノールアミンもしくはメチル−ジエタノールアミンであってよい。
【0016】
好ましくは、R−CNにおけるRは、ヒドロカルビル基である。より好ましくは、R−CNにおけるRは、アルキル基である。本発明の好ましい態様において、Rはメチル基である。
【0017】
複素環式化合物は酸素含有基を含み得る。この種の酸素含有化合物および酸素を含まない化合物の例には、4−ピペリジノアセトフェノン(酸素を含む複素環式化合物)、1,4−ビピペリジン(酸素を含まない複素環式化合物)、1−ピペリジンプロピオニトリル(単環式化合物)および3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール(酸素を含む単環式化合物)などがある。
【0018】
合成ガスは、リン含有化合物、特に1又はそれ以上のホスフィンを実質的に含まなくてもよい。
【0019】
本発明の方法は、上述したように、場合によって炭化水素化合物の酸素化物を製造することができる。好ましくは、フィッシャー・トロプシュ合成(「FTS」)プロセスは、24時間以上の時間で実施される。好ましくは、FTSプロセスは、3相フィッシャー・トロプシュプロセスである。より好ましくは、FTSプロセスは、ワックス生成物を製造するためのスラリー床フィッシャー・トロプシュプロセスである。
【0020】
合成ガス(もしくはシンガス)と、粒状物に担持されたFTS触媒との接触は、固定床反応装置内、スラリー床反応装置内、または、場合によっては固定流動床反応装置内で実施することができる。しかしながら、3相スラリー床反応装置が好ましい。
【0021】
合成ガスと触媒との接触を行わせる温度は、180℃〜250℃であってよい。典型的に、接触温度は約210℃から240℃であってよい。
【0022】
接触を実施する圧力は、10バール(絶対圧)(1000kPa(絶対圧))から70バール(絶対圧)(7000kPa(絶対圧))であってよい。
【0023】
触媒的に活性な形態のコバルトは、微結晶のクラスタまたは担持表面に分布される粒子の形態であってよい。しかしながら、担持表面に分布されるコバルトの粒子または微結晶は、クラスタの形態ではないことがより好ましい。
【0024】
触媒は、5〜70gCo/100g触媒担体を含み得る。好ましくは、触媒は、15〜50gCo/100g触媒担体を含み得る。
【0025】
触媒担体は、触媒担体主成分および、場合により1つ以上の変性成分を含むことができる。このような触媒担体主成分は、アルミナ、好ましくは1種もしくはそれ以上のアルミニウム酸化物の形態のアルミナ、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、マグネシア(MgO)および酸化亜鉛(ZnO)ならびにそれらの混合物からなる群から選ぶことができる。触媒担体主成分は、1種もしくはそれ以上のアルミニウム酸化物の形態のアルミナ、チタニア(TiO)およびシリカ(SiO)からなる群から選ばれることが好ましい。触媒担体主成分は1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムの形態のアルミナであることがより好ましい。触媒担体主成分は、市販の製品、例えばPuralox(商品名)(ドイツのSasolから入手可能)であってもよい。
【0026】
触媒担体は1種もしくはそれ以上のを変性成分を含むことが好ましい。特に、触媒担体主成分が中性および/もしくは酸性水溶液に可溶性であるか、または触媒担体主成分が後述するように水熱反応にさらされやすいような場合がそうである。
【0027】
変性成分は、存在する場合には、以下の1つもしくはそれ以上の事項を生じさせる成分を含み得る。
(i) 水性環境において触媒担体の溶解を減少させること;
(ii) (特にフィッシャー・トロプシュ合成の間に)触媒担体が水熱反応の影響を受けることを抑制すること;
(iii) 触媒担体の細孔容積を増大させること;ならびに
(iv) 触媒担体の強度および/もしくは耐摩耗性および/もしくは耐摩擦性を向上させること。
【0028】
本発明の好ましい態様例において、変性成分は、水性環境における触媒担体の溶解を減少させ、および/もしくは(特にフィッシャー・トロプシュ合成の間に)触媒担体が水熱反応の影響を受けることを抑制する。そのような水性環境は、水性の酸性溶液および/もしくは水性の中性溶液、特に水性相含浸触媒調製工程の間に遭遇するような環境を含み得る。水熱反応(もしくは水熱攻撃(hydrothermal attack))は、炭化水素合成の間、特にフィッシャー・トロプシュ合成の間に、高温および水にさらされることによる、触媒担体(例えば酸化アルミニウム)の焼結であると考えられる。
【0029】
変性成分は、Si、Zr、Co、Ti、Cu、Zn、Mn、Ba、Ni、Na、K、Ca、Sn、Cr、Fe、Li、Ti、Sr、Ga、Sb、V、Hf、Th、Ce、Ge、U、Nb、Ta、Laおよびそれらの1つもしくはそれ以上の混合物からなるかまたは含むことができる。特に、変性成分は、Si、Zr、Cu、Zn、Mn、Ba、La、Niおよびそれらの2つもしくはそれ以上の混合物からなる群から選ぶことができる。変性成分は、SiおよびZrからなる群から選ぶことが好ましい。本発明の好ましい態様において、変性成分はSiである。
【0030】
本発明の一態様例において、触媒担体はSiおよびZrから選ばれる変性成分を場合によって含む触媒担体主成分を有しており、触媒担体主成分は1つもしくはそれ以上のアルミニウム酸化物の形態のアルミナ、シリカ(SiO)およびチタニア(TiO)からなる群から選ばれる。好ましくは、触媒担体主成分は、1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムの形態のアルミナである。それは、SiおよびZrから選ばれる変性成分、より好ましくはSiを含むことが好ましい。本発明のもう1つの好ましい態様例において、触媒担体は、1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムの形態のアルミナ、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、マグネシア(MgO)、シリカ変性酸化アルミニウムおよびそれらの混合物から選ぶことができる。担体は、例えばSasol Germanyから商標Siraloxとして入手できる製品などのシリカ変性酸化アルミニウムであることが好ましい。Siraloxは、酸化アルミニウム担体を含む噴霧乾燥シリカである。シリカ変性酸化アルミニウム担体は、米国特許第5,045,519号に記載されている製品であってよく、これは参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0031】
1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムは、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナおよびそれらの2つもしくはそれ以上の混合物を含む群かまたは、好ましくはそれらからなる群から選ぶことができる。その群は、γ−アルミナ、δ−アルミナおよびγ−アルミナとδ−アルミナとの混合物を含むかまたは好ましくはそれらからなることが好ましい。酸化アルミニウム触媒担体は、SASOL Germany GmbHから、商標Puralox、好ましくはPuralox SCCa2/150として入手し得るものであってよい。Puralox SCCa 2/150(商標)は、γ−およびδ−酸化アルミニウムの混合物からなる噴霧乾燥酸化アルミニウム担体である。
【0032】
酸化アルミニウムは、式:Al・xHO[式中、0<x>1である。]で示すことができる結晶性化合物であることが好ましい。「酸化アルミニウム」は、このようにAl(OH)、AlO(OH)を含まないが、例えばγ−アルミナ、δ−アルミナおよびθ−アルミナなどの化合物は含む。
【0033】
本発明の1つの態様例において、1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムまたはシリカ変性酸化アルミニウムの形態の触媒担体は、シリカおよびチタニアなどの担体よりも好ましい。それは、それらの担体は、シリカおよびチタニア担体が提供するよりも、より優れた耐摩耗性を提供すると考えられているためである。1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムまたはシリカ変性酸化アルミニウムの形態の触媒担体は、Laをも含む。Laは耐摩耗性を向上させると考えられている。
【0034】
本発明の1つの態様例において、1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムまたはシリカ変性酸化アルミニウムの形態の触媒担体は、チタンを、好ましくは、元素チタンで表して、少なくとも500重量ppmの量で含み得る。好ましくは、チタンは、触媒担体中に、元素チタンで表して約1000重量ppm〜約2000重量ppmで存在し得る。チタンを添加することによって、そのような担体から形成される触媒の活性が、特にコバルトFT触媒の場合に、特に触媒中に貴金属プロモーターが存在せず、および好ましくはReもしくはTeプロモーターが存在しない場合に、向上すると考えられている。好ましくは、チタンは、担体の内部構造に含まれる。担体の外側表面にチタンが堆積(または付着)しないということも好ましい。このチタンを担体に添加することは、そのような担体から形成される触媒の耐摩耗性をも向上させると考えられる。
【0035】
触媒担体は、多孔質担体であってよい。
【0036】
本発明の1つの態様例において、触媒担体は、炭素で被覆された多孔質粒子を含み得る。本発明の別の態様においては、多孔質粒子はそのような炭素被覆を含まないものであってもよい。
【0037】
触媒は、このようにシリコン変性酸化アルミニウム触媒担体を含み、触媒的に活性な形態であるように金属状態のコバルトを含むことができる。
【0038】
より具体的には、改質触媒担体は、シリコン前駆物質、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)またはテトラメトキシシラン(TMOS)などの有機シリコン化合物を触媒担体に、例えば、含浸、析出もしくは化学蒸着析出等によって接触させることによってシリコン含有変性触媒担体を得て、そのシリコン含有変性触媒担体を、例えばロータリー焼成装置内で、1分〜12時間の間、100℃〜800℃の温度にて焼成することによって得ることができる。好ましくは、焼成温度は450℃〜550℃であり、焼成時間は好ましくは0.5時間〜4時間である。
【0039】
この方法は、炭化水素化合物を、および存在する場合には、炭化水素化合物の酸素化物を水素化処理(hydroprocessing)に付し、それによって液体燃料へおよび/もしくは液体化学物質へ転化させることを含み得る。
【0040】
本発明の第2の要旨によれば、触媒担体、該触媒担体に担持された触媒活性な形態のCo、および、式1:
【0041】
[数2]

【0042】
[式中、wはgRu/gCoとして表され、xはgPd/gCoとして表され、yはgPt/gCoとして表され、zはgRe/gCoとして表され、そして、0≦a<1である。]
によって示されるドーパント・レベルの、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)およびそれらの2種もしくはそれ以上の混合物からなる群から選ばれるドーパントを含む、粒状物に担持されたフィッシャー・トロプシュ合成触媒の、水素と、一酸化炭素と、HCN、NH、NO、RNH3-x[式中、Rは有機基であり、xは1、2もしくは3であり、xが2もしくは3である場合にRは同じであっても異なってもよい。]、およびR−CN[式中、Rは有機基である。]、および少なくとも1つの窒素原子を複素環式化合物における複素環の環員として含む複素環式化合物からなる群から選ばれるN含有混入物質であって、全体として合成ガスの100vppb以上、1000000vppb未満をなすN含有混入物質とを含む合成ガスを、少なくとも180℃の温度及び少なくとも10バール(絶対圧)(1000kPa(絶対圧))の圧力にて、触媒に接触させて、水素と一酸化炭素とのフィッシャー・トロプシュ合成反応によって炭化水素化合物を得る方法における使用が提供される。
【0043】
触媒、合成ガス、フィッシャー・トロプシュ合成、および触媒と合成ガスとの接触は、本発明の第1の要旨に関して上述したのと同様であってよい。
【0044】
好ましくは、フィッシャー・トロプシュ合成(「FTS」)反応のメタン選択性を低減させるために、この方法において触媒を使用する。
【0045】
以下の実施例を参照して、本発明についてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
実施例1〜5(ドーパントとしてPtを使用)
30gCo/100g担体(1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150)を含み、Ptによって促進化(promoted)されたいくつかのフィッシャー・トロプシュ合成(「FTS」)触媒を、粒状物の変性された1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150(商標)の予備成形された担体上に、水性スラリー相含浸および乾燥、及びそれに続く空気中での直接流動床焼成および水素中での還元によって調製した。
【0047】
実施例1〜5の触媒は、種々の濃度のPt還元プロモータを含んでいた。
実施例1(本発明):0gPt/gCo
実施例2(本発明):0.00083gPt/gCo
実施例2A(本発明):0.0010gPt/gCo
実施例3(比較例):0.0025gPt/gCo
実施例4(比較例):0.0050gPt/gCo
実施例5(比較例):0.0167gPt/gCo
【0048】
特に、実施例3の粒状物の担持されたFTS触媒は、以下のようにして調製した。43.70gのCo(NO・6HOを40mlの蒸留水に溶解させ、この溶液に、(10mlの蒸留水に溶解させた)0.024gのPt(NH・(NOを添加し、その後、その溶液に50gの1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150変性および予備成形した担体を添加した。温度を60℃から85℃へ上昇させながら、水性スラリー相含浸および真空乾燥を行った。この真空乾燥した中間体を、温度を25℃から250℃へ1℃/分で上昇させながら、1.7dm/分の連続的空気流を使用する流動床焼成工程に直接的に付し、250℃に6時間保持した。50gのこの中間的焼成材料を、以下の第2のコバルト/白金含浸および焼成工程に付した:23.51gのCo(NO・6HOを40mlの蒸留水に溶解させ、この溶液に0.039gの(10mlの蒸留水に溶解させた)Pt(NH・(NO)を添加し、その後、前述の第1のコバルト/白金含浸および焼成中間体を添加した。温度を60℃から85℃へ上昇させながら、水性スラリー相含浸および真空乾燥を実施した。この真空乾燥した中間体を、温度を25℃から250℃へ1℃/分で上昇させながら、1.7dmn/分の連続的空気流を使用する以下の手順による流動床焼成工程に直接的に付し、250℃に6時間保持した。
【0049】
この焼成触媒中間体または前駆体を、温度を25℃から425℃へ1℃/分で上昇させながら、純粋なH(空間速度=2000ml/g触媒/h)中で、1バール(100kPa)にて還元し、その後、温度をこの425℃に16時間保持した。これによって、コバルトの触媒的に活性な形態である1つ以上の1種もしくはそれ以上の酸化アルミニウムの形態のアルミナ、および触媒担体に担持されたコバルトの触媒的に活性な形態のCo金属を含む、粒状物に担持されたFTS触媒が提供される。この場合、ドーパントはPtである。
【0050】
実施例1、2、2A、3、4および5の触媒は、正しい組成が得られることを確保するために、白金前駆体の量を調整する以外は、同様に調製された。実施例1、2および2Aの触媒は本発明のものであり、一方、実施例3、4および5の触媒は比較例のものである。
【0051】
実施例6(クリーンな合成ガスを使用)
実施例1〜5の触媒を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、15バール(絶対圧)(1500kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験し、約25%の合成ガス転化率を達成した。230℃および210℃の反応温度で試験した。合成ガスフィードは、クリーンで、いかなる窒素含有化合物も含まなかった。
【0052】
5日間の操作後の相対的活性及びCH選択性についての得られたデータは、表1及び2に報告した通りであった。CH選択性データは、全炭化水素化合物およびC選択性についての良好なインジケータであり、それは、それらが通常は直接的にリンクされている、即ち、CH選択性が低ければ低い程、C選択性がより高いためである。
【0053】
相対的活性は、一般的なコバルトフィッシャー・トロプシュ速度式を用い、及び、試験した各触媒を内部参照触媒と比較して計算した。
【0054】
実施例7(合成ガス中のHCNを使用)
実施例1〜5の触媒を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、15バール(絶対圧)(1500kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験した。230℃および210℃の反応温度で試験した。合成ガスフィードは、5000vppbのHCNを含んでいた。
【0055】
5日間の操作後の相対的活性及びCH選択性についての得られたデータは、表1に報告した通りであった。
【0056】
表1:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、及び(ii)5000vppbHCNを含む合成ガスフィードを使用した、実施例1〜5について230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0057】

【0058】
実施例8(合成ガス中、NH使用)
実施例1〜5の触媒を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験し、約25%の合成ガス転化率を達成した。230℃および210℃の反応温度で試験した。合成ガスフィードは、5000vppbのNHを含んでいた。
【0059】
5日間の操作後の相対的活性及びCH選択性についての得られたデータは、表2に報告した通りであった。
【0060】
表2:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード(実施例6)、及び(ii)5000vppbNHを含む合成ガスフィードを使用した、実施例1〜5について230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0061】

【0062】
実施例9(合成ガス中、ジエタノールアミン(DEA)使用)
実施例2Aの触媒(本発明、0.001gPt/gCo)を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、15バール(絶対圧)(1500kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験した。230℃および210℃の反応温度で試験した。合成ガスフィードは、(i)100vppbのDEA及び(ii)1000vppbのDEAを含んでいた。
【0063】
5日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表3に報告した通りであった。
【0064】
表3:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、(ii)100vppbのDEAを含む合成ガスフィード;および(iii)1000vppbのDEAを含む合成ガスフィードを使用した、実施例2Aについて230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0065】

【0066】
表3から、100vppbのDEAが存在する場合には顕著な活性の損失は認められないが、1000vppbのDEAが存在する場合には実際に多少の活性の損失が認められると結論付けることができる。100vppbのDEAが存在する場合に生成したより少ないメタンにおける選択性ゲインは小さいが、1000vppbのDEAが存在する場合に生成したメタンにおいてはより顕著なゲインがある。
【0067】
実施例10(合成ガス中、メチルジエタノールアミン(mDEA)使用)
実施例2Aの触媒(本発明、0.001gPt/gCo)を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、15バール(絶対圧)(1500kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験した。230℃および210℃の反応温度で試験した。合成ガスフィードは、(i)100vppbのmDEA及び(ii)1000vppbのmDEAを含んでいた。
【0068】
5日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表4に報告した通りであった。
【0069】
表4:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、(ii)100vppbのmDEAを含む合成ガスフィード;および(iii)1000vppbのmDEAを含む合成ガスフィードを使用した、実施例2Aについて230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0070】

【0071】
表4から、100vppbのmDEAが存在する場合にはわずかな活性の損失があるが、1000vppbのmDEAが存在する場合には実際により大きな活性の損失が認められると結論付けることができる。100vppbのmDEAが存在する場合に生成したより少ないメタンにおける選択性ゲインは小さいが、1000vppbのmDEAが存在する場合に生成したメタンにおいてはより顕著なゲインがある。
【0072】
実施例11(合成ガス中、CHCN使用)
実施例2Aおよび3の触媒を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、15バール(絶対圧)(1500kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験した。230℃および210℃の反応温度で試験した。合成ガスフィードは、(i)500vppbのCHCN;(ii)1000vppbのCHCNおよび(iii)5000vppbのCHCNを含んでいた。
【0073】
5日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表5に報告した通りであった。
【0074】
表5:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、(ii)500vppbのCHCNを含む合成ガスフィード、(iii)1000vppbのCHCNを含む合成ガスフィード、および(iv)5000vppbのCHCNを含む合成ガスフィードを使用した、実施例2Aおよび3について230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0075】

【0076】
表5から、500vppbのCHCNが存在する場合には実質的な活性の損失があるが、CHCNレベルが上昇すると安定化するようであると結論付けることができる。500vppbのCHCNが存在する場合に、より低いメタンの実質的な選択性のゲインもあり、より高いレベルで存在する場合には安定化するようである。選択性のゲインは、Pt含量がより少ない実施例2Aについては、Pt含量がより多い実施例3よりも大きい。
【0077】
実施例12(クリーンな合成ガスを使用)
実施例2Aおよび3の触媒を、約0バール(絶対圧)(0kPa(絶対圧))HO、9.4バール(絶対圧)(940kPa(絶対圧))Hおよび5.7バール(絶対圧)(570kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、18バール(絶対圧)(1800kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))HO、4.3バール(絶対圧)(430kPa(絶対圧))Hおよび3.8バール(絶対圧)(380kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、スラリー相マイクロ反応器システム中で試験し、約63%の合成ガス転化率を達成した。230℃の反応温度を使用した。合成ガスフィードは、クリーンで、いかなる窒素含有化合物も含まなかった。
【0078】
30日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表6に報告した通りであった。上述したように、CH選択性データは、全炭化水素化合物およびC選択性についての良好なインジケータであり、それは、それらが通常は直接的にリンクされている、即ち、CH選択性が低ければ低い程、C選択性がより高いためである。
【0079】
相対的活性は、一般的なコバルトフィッシャー・トロプシュ速度式を用い、及び、試験した各触媒を内部参照触媒と比較して計算した。
【0080】
実施例13(合成ガス中、HCN使用)
実施例2Aおよび3の触媒を、約0バール(絶対圧)(0kPa(絶対圧))HO、9.4バール(絶対圧)(940kPa(絶対圧))Hおよび5.7バール(絶対圧)(570kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、18バール(絶対圧)(1500kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))HO、4.3バール(絶対圧)(430kPa(絶対圧))Hおよび3.8バール(絶対圧)(380kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、スラリー相マイクロ反応器システム中で試験し、約63%の合成ガス転化率を達成した。230℃の反応温度を使用した。合成ガスフィードは、2000vppbのHCNを含んでいた。
【0081】
30日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表6に報告した通りであった。
【0082】
表6:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、および(ii)2000vppbのHCNを含む合成ガスフィードを使用した、実施例2Aおよび3について230℃で30日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0083】

【0084】
実施例14(合成ガス中、NOを使用)
実施例3の触媒(比較例、0.0025gPt/gCo)を、約0バール(絶対圧)(0kPa(絶対圧))HO、9.4バール(絶対圧)(940kPa(絶対圧))Hおよび5.7バール(絶対圧)(570kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、18バール(絶対圧)(1800kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))HO、4.3バール(絶対圧)(430kPa(絶対圧))Hおよび3.8バール(絶対圧)(380kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、スラリー相マイクロ反応器システム中で試験し、約63%の合成ガス転化率を達成した。230℃の反応温度を使用した。合成ガスフィードは、2000vppbのNOを含んでいた。
【0085】
30日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表7aに報告した通りであった。
【0086】
実施例15(合成ガス中、CHCNを使用)
実施例3の触媒(比較例、0.0025gPt/gCo)を、約0バール(絶対圧)(0kPa(絶対圧))HO、9.4バール(絶対圧)(940kPa(絶対圧))Hおよび5.7バール(絶対圧)(570kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、18バール(絶対圧)(1800kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))HO、4.3バール(絶対圧)(430kPa(絶対圧))Hおよび3.8バール(絶対圧)(380kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、スラリー相マイクロ反応器システム中で試験し、約63%の合成ガス転化率を達成した。230℃の反応温度を使用した。合成ガスフィードは、2000vppbのCHCNを含んでいた。
【0087】
30日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表7aに報告した通りであった。
【0088】
2000vppb、10000vppbおよび100000vppbのCHCNレベルにて、CHCNを用いて同様の試験を行った。10日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表7bに報告した通りであった。
【0089】
表7a:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、(ii)2000vppbのHCNを含む合成ガスフィード(実施例13)、(iii)2000vppbのNOを含む合成ガスフィード(実施例14)、および(iv)2000vppbのCHCNを含む合成ガスフィード(実施例15)を使用した、実施例3(即ち、比較例)について230℃で30日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0090】

【0091】
表7b:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、(ii)2000vppb、10000vppbおよび100000vppbのCHCNを含む合成ガスフィード(実施例15)を使用した、実施例3(即ち、比較例)について230℃で10日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0092】

【0093】
実施例16(合成ガス中、種々のレベルのHCNを使用)
実施例3の触媒(比較例、0.0025gPt/gCo)を、約0バール(絶対圧)(0kPa(絶対圧))HO、9.4バール(絶対圧)(940kPa(絶対圧))Hおよび5.7バール(絶対圧)(570kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、18バール(絶対圧)(1800kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))HO、4.3バール(絶対圧)(430kPa(絶対圧))Hおよび3.8バール(絶対圧)(380kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、スラリー相マイクロ反応器システム中で試験し、約63%の合成ガス転化率を達成した。230℃の反応温度を使用した。合成ガスフィードは、(i)100vppbのHCN;(ii)200vppbのHCN;(iii)250vppbのHCN;(iv)500vppbのHCN;(v)2000vppbのHCN;(vi)3000vppbのHCN;および(vii)6000vppbのHCNを含んでいた。
【0094】
30日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表8に報告した通りであった。
【0095】
表8:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、(ii)100vppbのHCNを含む合成ガスフィード、(iii)200vppbのHCNを含む合成ガスフィード、(iv)250vppbのHCNを含む合成ガスフィード、(v)500vppbのHCNを含む合成ガスフィード、(vi)2000vppbのHCNを含む合成ガスフィード、(vii)3000vppbのHCNを含む合成ガスフィード、および(viii)6000vppbのHCNを含む合成ガスフィードを使用した、実施例3について230℃で30日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0096】

【0097】
表8から、100および200vppbのHCNの低いレベルでは顕著な活性の損失はなく、250vppbのHCNでは多少の活性の損失があり、500vppbのHCNではさらに活性の損失があり、2000vppbのHCNではさらに活性の損失があり、それ以上では安定化するようであると結論付けることができる。
【0098】
選択性(より低いメタン生成)のゲインは、これらのHCNレベルの全てについて3〜20%の範囲であり、そして500vppb以上では安定化するようである。
【0099】
表1〜8から、窒素含有化合物、例えばHCN、NH、NO、CHCN、DEA、およびmDEAを含む合成ガスフィードを使用する場合に、Pt含有コバルト触媒の触媒活性が低下すると結論付けることができる。
【0100】
驚くべきことに、表1〜8から、Pt含有触媒について、以下の事項を結論付けることができる。
−窒素含有化合物、例えばHCN、NH、NO、CHCN、DEA、およびmDEAの存在下でFTSを実施すると、より少ないPtを含有する触媒について、活性損失がより小さくなること;
−窒素含有化合物が存在すると、活性の順序が逆転すること、即ち、(合成ガス中に窒素含有化合物が存在する場合)Ptレベルが低い程、その活性はより高いこと;
−窒素含有化合物が存在すると、Ptレベルが最低のものについて、選択性ゲインが最高になること。
【0101】
また、驚くべきことに、表1から、促進化されていないコバルト触媒については、
−窒素含有化合物、例えばHCNまたはNHが存在すると、活性および選択性の両方が向上する
ということを結論付けることができる。
【0102】
CH選択性については、実施例1〜5の触媒を使用し、230℃に代えて210℃で実施したFTS試験について同様のパターンが観察されたが、その効果は210℃ではあまり顕著ではなかった。
【0103】
実施例17および18(ドーパントとして、Pdを使用)
30gCo/100g担体(1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150)を含み、Pdによって促進化された2つのフィッシャー・トロプシュ合成(「FTS」)触媒を、粒状物の変性された1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150(商標)の予備成形された担体上に、水性スラリー相含浸および乾燥、及びそれに続く空気中での直接流動床焼成および水素中での還元によって調製した。
【0104】
2つの触媒は、種々のレベルのPd還元プロモータを含んでいた。
実施例17(本発明):0.0025gPd/gCo;
実施例18(比較例):0.0050gPd/gCo。
【0105】
実施例17および18の触媒は、(白金前駆体の代わりに)パラジウム前駆体として硝酸パラジウムを使用したこと、および正確な組成が得られるように、パラジウム前駆体の量を調節したこと以外は、実施例3と同様の方法で調製した。実施例17の触媒は本発明の触媒であり、一方、実施例18の触媒は比較例の触媒である。
【0106】
実施例19
実施例17および18の触媒を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、及び約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験し、約25%の合成ガス転化率を達成した。反応温度は230℃であった。いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィードおよび5000vppbのNHを含む汚染した合成ガスフィードを使用して、比較試験を行った。
【0107】
5日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表9に報告した通りであった。
【0108】
表9:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、および(ii)5000vppbのNHを含む合成ガスフィードを使用した、実施例9及び10について230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0109】

【0110】
表9から、5000vppbのNHを含む合成ガスフィードを使用する場合、Pd含有コバルト触媒の触媒活性は7〜19%減少すると結論付けることができる。
【0111】
驚くべきことに、表9から、Pd含有触媒について、以下の事項を結論付けることができる。
−NHの存在下でFTSを実施すると、より少ないPdを含有する触媒についての活性の損失がより少ないこと;
−NHが存在すると、活性の順序が逆転すること、即ち、(合成ガス中にNHが存在する場合)触媒Pdレベルが低い程、その活性が高いこと。
【0112】
実施例20および21(ドーパントとして、Ruを使用)
30gCo/100g担体(1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150)を含み、ルテニウムによって促進化された2つのフィッシャー・トロプシュ合成(「FTS」)触媒を、粒状物の変性された1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150(商標)の予備成形された担体上に、水性スラリー相含浸および乾燥、及びそれに続く空気中での直接流動床焼成および水素中での還元によって調製した。
【0113】
2つの触媒は、異なるレベルのRu還元プロモータを含んでいた。
実施例20(本発明):0.0050gのRu/gCo、
実施例21(比較例):0.024gのRu/gCo。
【0114】
実施例20および21の触媒は、(白金前駆体の代わりに)ルテニウム前駆体として硝酸ルテニウムを使用したこと、および正確な組成が得られるように、ルテニウム前駆体の量を調節したこと以外は、実施例3と同様の方法で調製した。実施例20の触媒は本発明の触媒であり、一方、実施例21の触媒は比較例の触媒である。
【0115】
実施例22
実施例20および21の触媒を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験し、約25%の合成ガス転化率を達成した。温度は230℃であった。いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィードおよび5000vppbのHCNを含む汚染した合成ガスフィードを使用して、比較試験を行った。
【0116】
5日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表10に報告した通りであった。
【0117】
表10:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、および(ii)5000vppbのHCNを含む合成ガスフィードを使用した、実施例20及び21について230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0118】

【0119】
表10から、5000vppbのHCNを含む合成ガスフィードを使用する場合、Ru含有コバルト触媒の触媒活性は15〜35%減少すると結論付けることができる。
【0120】
驚くべきことに、表10から、Ru含有触媒について、以下の事項を結論付けることができる。
−HCNの存在下でFTSを実施すると、より少ないRuを含有する触媒についての活性の損失がより少ないこと;
−HCNが存在すると、活性の順序が逆転すること、即ち、(合成ガス中にHCNが存在する場合)触媒Ruレベルが低い程、その活性が高いこと;
−HCNが存在すると、最も低いRuレベルについて、CH選択性ゲインが最も高いこと。
【0121】
実施例23(ドーパントとしてReを使用)
30gCo/100g担体(1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150)を含み、Reによって促進化されたフィッシャー・トロプシュ合成(「FTS」)触媒を、粒状物の変性された1.5gSi/100gPuralox SCCa 2/150(商標)の予備成形された担体上に、水性スラリー相含浸および乾燥、及びそれに続く空気中での直接流動床焼成および水素中での還元によって調製した。このサンプルは(本発明による)0.0025gRe/gCoを含んでいた。
【0122】
実施例23の触媒は、(白金前駆体の代わりに)レニウム前駆体として過レニウム酸(HReO)を使用したこと、および正確な組成が得られるように、レニウム前駆体の量を調節したこと以外は、実施例3と同様の方法で調製した。
【0123】
実施例24(合成ガス中でNHを使用)
実施例23の触媒(本発明、0.0025gRe/gCo)を、約3.0バール(絶対圧)(300kPa(絶対圧))HO、6.3バール(絶対圧)(630kPa(絶対圧))Hおよび4.5バール(絶対圧)(450kPa(絶対圧))COのFTS入口条件を用い、15バール(絶対圧)(1500kPa(絶対圧))の全圧を有し、及び約4.4バール(絶対圧)(440kPa(絶対圧))HO、4.6バール(絶対圧)(460kPa(絶対圧))Hおよび3.9バール(絶対圧)(390kPa(絶対圧))COの出口条件を得る、固定床の高スループット反応器システム中で試験した。反応温度は230℃で試験した。合成ガスフィードは、5000vppbのNHを含んでいた。
【0124】
5日間の操作後、得られた相対的活性およびCH選択性のデータは、表11に報告した通りであった。
【0125】
表11:(i)いかなるN含有化合物も含まないクリーンな合成ガスフィード、および(ii)5000vppbのNHを含む合成ガスフィードを使用した、実施例23について230℃で5日間のFTSの後での相対的活性及びCH選択性。活性についての誤差は±0.1単位であり、CH選択性についての誤差は±0.1パーセントポイントである。
【0126】

【0127】
表11から、5000vppbのNHが存在する場合、顕著な活性の損失があると結論付けることができる。5000vppbのNHが存在する場合、顕著な選択性(より低いメタン生成)のゲインもある。
【0128】
要約すると、
−驚くべきことに、合成ガス中のN混入物質のレベルが100vppbを超える条件でFTSを行うと、触媒中のPd、Pt、Ru及びRe等のドーパントのレベルが低下し、より低いメタン選択性を生じる(表1〜11を参照のこと)ということが見出された。
−さらに、合成ガス中にN混入物質が存在しない条件でFTSを行う場合、触媒中にドーパントを使用しないと、同じ条件であって、触媒中にドーパントが存在する場合と比べて、活性は許容できない程低い結果となること(表1、HCNが0の場合のデータを参照のこと)が、従来技術において知られている。表1〜4(HCNまたはNHが5000ppbの場合のデータ)から、合成ガス中にN混入物質が存在する条件では、最も高い触媒ドーパントレベルによって、最も高い活性が得られる訳ではないことが明らかである。合成ガスがN混入物質を含まない場合に、触媒ドーパントレベルが高い程、触媒活性がより高いということが知られているので、これは驚くべきことである。
−その他の驚くべき結果は、N混入物質を含まない条件と対比して、N混入物質を含む場合には、ドーパントを含まない触媒についての活性が高まるということであった(表1〜4)。N混入物質の不存在からN混入物質の存在へスイッチした場合、活性は触媒ドーパントと共に低下することが表1から明らかであるので、
触媒ドーパントが存在する場合に気付かされる傾向の逆転である。
【0129】
以上の説明から、合成ガスN混入物質条件で動作する場合、(ドーパントが存在しないことを含めて)触媒ドーパントをより低レベルで使用することができ、それによって(N混入物質の存在下、触媒ドーパントがより高レベルである場合と対比して)許容し得る活性が得られ、そして(CH選択性が低下すると、そのことに関連して、CH選択性がより高くなることが知られており)CH選択性の低下も達成され、より効果的なプロセスが得られるということが明らかである。触媒ドーパントは高価であるので、ドーパントレベルが低い程、より低コストの触媒である結果になる。さらにまた、合成ガス中のN混入物質の著しいレベルの許容度は(合成ガス中における著しいレベルのN混入物質への耐性は)、そのような混入物質を合成ガスから除くための高コストの合成ガス処理を回避するか、又は少なくとも低減することができるということを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素化合物、場合により炭化水素化合物の酸素化物を製造する方法であって、水素と、一酸化炭素と、HCN、NH、NO、RNH3-x[式中、Rは有機基であり、xは1、2もしくは3であり、xが2もしくは3である場合にRは同じであっても異なってもよい。]、R−CN[式中、Rは有機基である。]、および少なくとも1つの窒素原子を複素環式化合物における複素環の環員として含む複素環式化合物からなる群から選ばれるN含有混入物質であって、全体として合成ガスの100vppb以上、1000000vppb未満をなすN含有混入物質とを含む合成ガスを、少なくとも180℃の温度及び少なくとも10バール(絶対圧)の圧力にて、触媒担体、該触媒担体に担持された触媒活性な形態のCo、および、式1:
[数1]

[式中、wはgRu/gCoとして表され、xはgPd/gCoとして表され、yはgPt/gCoとして表され、zはgRe/gCoとして表され、そして、0≦a<1である。]
によって示されるドーパント・レベルの、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)およびそれらの2種もしくはそれ以上の混合物からなる群から選ばれるドーパントを含む、粒状物に担持されたフィッシャー・トロプシュ合成触媒に接触させて、水素と一酸化炭素とのフィッシャー・トロプシュ合成反応によって、炭化水素化合物、場合により炭化水素化合物の酸素化物を得ることを特徴とする方法。
【請求項2】
触媒がドーパントを含まないこと、従ってa=0であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒が十分なドーパントを含むこと、従って0.07<a<0.93であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
触媒が、ドーパントとしてRuのみを含み、Ruが十分なレベルで存在すること、従ってw<0.022gRu/gCoであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
触媒が、ドーパントとしてPdのみを含み、Pdが十分なレベルで存在すること、従ってw<0.024gPd/gCoであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
触媒が、ドーパントとしてPtのみを含み、Pdが十分なレベルで存在すること、従ってy<0.0023gPt/gCoであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
触媒が、ドーパントとしてReのみを含み、Reが十分なレベルで存在すること、従ってz<0.093gRe/gCoであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
合成ガスは、全N含有混入物質を200vppb以上、100000vppb未満で含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
合成ガスは、リン含有化合物を実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
フィッシャー・トロプシュ合成反応が、スラリー床フィッシャー・トロプシュ反応装置内で行われ、ワックス質生成物が製造されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
炭化水素化合物を、存在する場合には炭化水素化合物の酸素化物を水素化処理に付し、それによって液状燃料および/または化学物質へ転化することを特徴とする請求項1〜10のいずれかにに記載の方法。
【請求項12】
触媒担体、該触媒担体に担持された触媒活性な形態のCo、および、式1:
[数2]

[式中、wはgRu/gCoとして表され、xはgPd/gCoとして表され、yはgPt/gCoとして表され、zはgRe/gCoとして表され、そして、0≦a<1である。]
によって示されるドーパント・レベルの、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)およびそれらの2種もしくはそれ以上の混合物からなる群から選ばれるドーパントを含む、粒状物に担持されたフィッシャー・トロプシュ合成触媒の、水素と、一酸化炭素と、HCN、NH、NO、RNH3-x[式中、Rは有機基であり、xは1、2もしくは3であり、xが2もしくは3である場合にRは同じであっても異なってもよい。]、およびR−CN[式中、Rは有機基である。]、および少なくとも1つの窒素原子を複素環式化合物における複素環の環員として含む複素環式化合物からなる群から選ばれるN含有混入物質であって、全体として合成ガスの100vppb以上、1000000vppb未満をなすN含有混入物質とを含む合成ガスを、少なくとも180℃の温度及び少なくとも10バール(絶対圧)の圧力にて、触媒に接触させて、水素と一酸化炭素とのフィッシャー・トロプシュ合成反応によって炭化水素化合物を得る方法における使用。

【公表番号】特表2013−507516(P2013−507516A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533712(P2012−533712)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054290
【国際公開番号】WO2011/045692
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500159211)サソール テクノロジー(プロプライエタリー)リミテッド (25)
【Fターム(参考)】