説明

炭化水素含有層の処理用熱源の不規則な間隔

炭化水素含有層の処理方法が、該層の第1区域内に配置された1個以上の熱源から第1区域に入力される熱を供給する段階を含む。第1区域の中心又はその近くに配置された産出井を通して第1区域から流体を産出する。熱源は、第1区域内の層の体積当り入力される平均の熱が産出井からの距離とともに増加するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.発明の分野
一般に本発明は、炭化水素を含有した層など地下の様々な層から炭化水素、水素、及び/又は他の生成物を産出するための方法及びシステムに関する。特定の態様は、熱源の不規則なパターン及び/又は不規則に間隔をおいた熱源を用いた層処理に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
地下の層から得られる炭化水素は、しばしばエネルギー資源、供給原料、及び消費者製品として用いられる。利用可能な炭化水素資源の枯渇の問題や、製造された炭化水素の品質全体の低下の問題から、利用可能な炭化水素資源について更に効率的な回収、処理及び/又は使用が開発されてきた。現場で炭化水素物質を地下の層から取り出すプロセスを用いてもよい。炭化水素物質を更に容易に地下の層から取り出すために、地下の層中の炭化水素物質の化学的及び/又は物理的な特性を変える必要があるかもしれない。化学的及び物理的な変化としては、取り出し可能な流体を生成する現場での反応、層中の炭化水素物質についての組成変化、溶解度の変化、密度変化、相変化、及び/又は粘性変化が挙げられる。限定するものではないが、流体は、気体、液体、乳濁液、懸濁液、及び/又は液体流に類似の流れ特性を有する固体粒子の流れとし得る。
【0003】
現場でのプロセス中に層を加熱するために、坑井中にヒーターを配置してもよい。ダウンホール・ヒーターを利用する現場でのプロセスの例が、Ljungstromへの米国特許第2,634,961号;Ljungstromへの米国特許第2,732,195号;Ljungstromへの米国特許第2,780,450号;Ljungstromへの米国特許第2,789,805号;Ljungstromへの米国特許第2,923,535号;及びVan Meursらへの米国特許第4,886,118号に記載されている。しかしながら、ヒーターは層に熱を加えるために相当な量のエネルギーを必要とするかもしれない。加えて、ヒーターにより層に与えられた相当な量のエネルギーが、炭化水素が層から産出された後に層中に残るかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、炭化水素、水素、及び/又は他の生成物を種々の炭化水素含有層から産出する改善された加熱方法及びシステムであって、層に入力されるエネルギーを低減するとともに、層中に残るエネルギーを小さくしつつ当該層を更に効率的に処理して炭化水素を産出するものに対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般に、ここに記載の態様は地下の層を処理するためのシステム、方法、及びヒーターに関する。
【0006】
特定の態様では、本発明は1又は複数のシステム、方法、及び/又はヒーターを提供する。特定の態様では、地下の層を処理するためにこれらのシステム、方法、及び/又はヒーターが用いられる。
【0007】
特定の態様では、本発明は、炭化水素含有層の第1区域に配置された1個以上の熱源から前記炭化水素含有層の第1区域に熱入力を行う段階;及び第1区域の中心に又はその近くに配置された産出井を通して第1区域から流体を産出する段階を含み、第1区域における層の体積当たりの平均熱入力が産出井からの距離とともに増大するように熱源が構成される炭化水素含有層の処理方法を提供する。
【0008】
特定の態様では、本発明は、前記層の第1区域に配置された1個以上の熱源から第1区域に熱入力を行う段階;第1区域の第1体積部における層体積当たりの層への熱入力が、第1区域の第2体積部における層体積当たりの層への熱入力より小さく、かつ第2体積部における層体積当たりの層への熱入力が、第1区域の第3体積部の体積当たりの層への熱入力より小さくなるように、熱源から層に熱入力を行う段階であって、第1の体積部が前記区域の中心に又はその近くに配置された産出井を実質的に包囲し、第2の体積部が第1の体積部を実質的に包囲し、第3の体積部が第2の体積部を実質的に包囲する前記段階、及び産出井を通して第1区域から流体を産出する段階を含む炭化水素含有層の処理方法を提供する。
【0009】
別の態様では、特定の態様の特徴が他の態様の特徴と組み合わされてもよい。例えば、1つの態様の特徴をその他のいずれかの態様の特徴と組み合わせてもよい。
【0010】
別の態様では、ここに記載の方法、システム、又はヒーターのいずれかを用いて地下の層の処理が実行される。
【0011】
別の態様では、ここに記載の特定の態様に更なる特徴を追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の詳細な説明及び添付の図面を参照すれば、本発明の効果が当業者には明らかになるであろう。
【0013】
【図1】炭化水素含有層を処理するための現場熱処理システムの一部の態様についての概略図である。
【0014】
【図2】産出井からの距離が増すとヒーター密度が増す、不規則間隔の熱源の1態様を示す。
【0015】
【図3】不規則間隔の三角形パターンの態様を示す。
【0016】
【図4】不規則間隔の正方形パターンの態様を示す。
【0017】
【図5】熱源が等間隔列の規則パターンを示す態様を示す。
【0018】
【図6】産出井の周りに体積部を規定する不規則間隔の熱源の1態様を示す。
【0019】
【図7】産出井からの距離が増すと各パターンのヒーター密度が増す、不規則間隔の熱源の繰返しパターンの1態様を示す。
【0020】
本発明は種々の変更を行ったり代替の形式をとったりできるが、例としてその特定の態様について図面に示し明細書において詳細に説明する。図面は縮尺どおりではないかもしれない。しかしながら、図面とその詳細な説明は本発明を開示した特定の形式に限定するものではなく、逆に本発明は添付の特許請求の範囲に記載の本発明のすべての変更、等価物及び代替物を含むものであることに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般に以下の記載は、層中の炭化水素を処理するためのシステム及び方法に関する。炭化水素生成物、水素、及びその他の生成物を得るために、これらの層を処理できる。
【0022】
「流体圧力」は層中の流体により作られる圧力である。「地盤圧力」(しばしば「地盤応力」という)は、上に横たわる岩盤の単位面積当たりの重量に等しい層中の圧力である。「静水圧」は水柱によって加えられる層中の圧力である。
【0023】
「累層(又は層)(formation)」は1以上の炭化水素含有層、1以上の非炭化水素層、オーバーバーデン(overburden)、及び/又はアンダーバーデン(underburden)を含む。「炭化水素層」とは累層において炭化水素を含有した層をいう。炭化水素層は非炭化水素物質及び炭化水素物質を含み得る。「オーバーバーデン」及び/又は「アンダーバーデン」は1以上の異なる種類の不浸透性物質を含む。例えば、オーバーバーデン及び/又はアンダーバーデンは岩石、頁岩、泥岩、又は湿性/緊密な炭酸塩を含み得る。現場での熱処理プロセスの特定の態様では、オーバーバーデン及び/又はアンダーバーデンは、相対的に不浸透性であり且つ現場での熱処理プロセス中に温度に影響されない炭化水素含有層(1又は複数)を含むことができ、その結果、オーバーバーデン及び/又はアンダーバーデンの炭化水素含有層の特性がかなり変化する。例えば、アンダーバーデンは頁岩又は泥岩を含んでもよいが、アンダーバーデンは現場での熱処理プロセス中に熱分解温度まで加熱することはできない。場合によっては、オーバーバーデン及び/又はアンダーバーデンはいくらか浸透性を有してもよい。
【0024】
「層流体」とは層中に存在する流体をいい、熱分解流体、合成ガス、移動性の炭化水素、及び水(蒸気)を含み得る。層流体は非炭化水素流体だけでなく炭化水素流体も含み得る。「移動性流体」とは、層の熱処理の結果として流れることができる、炭化水素を含有した層中の流体をいう。「産出流体」とは、当該層から取り出された流体をいう。
【0025】
熱源は、実質的に伝導及び/又は放射による熱伝達によって層の少なくとも一部を加熱する任意のシステムである。例えば、熱源は、例えば導管中に配置された絶縁導体、細長部材、及び/又は導体などの電気ヒーターを含み得る。熱源はまた、層の外部又は内部で燃料を燃焼させることにより熱を発生するシステムを含み得る。これらのシステムは、地表バーナー、ダウンホールガスバーナー、分散型無炎燃焼器、及び分散型天然燃焼器とし得る。特定の態様では、1以上の熱源に供給される熱又は該熱源で発生される熱は、他のエネルギー源から供給し得る。この他のエネルギー源が層を直接加熱してもよいし、層を直接的又は間接的に加熱する媒体を移動させるためにそのエネルギーを用いてもよい。層を加熱する1以上の熱源は異なるエネルギー源を使用できることが分かる。よって、例えば、所与の層に対して、いくつかの熱源が電気抵抗ヒーターから熱を供給し、いくつかの熱源が燃焼から熱を供給し、いくつかの熱源が1以上のその他のエネルギー源(例えば、化学反応、太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマス、又はその他の再生可能なエネルギー源)から熱を供給できる。化学反応は、発熱反応(例えば酸化反応)を含み得る。熱源はまた、ヒーター井戸などの加熱場所に近接したゾーン及び/又は該加熱場所を包囲したゾーンに熱を供給するヒーターを含み得る。
【0026】
「ヒーター」は、井戸又は坑井に近接した領域内で熱を発生するための任意のシステム又は熱源である。ヒーターは、限定するものではないが、電気ヒーター、バーナー、層中の物質若しくは該層から産出される物質と反応する燃焼器、及び/又はそれらの組み合わせとし得る。
【0027】
「重質炭化水素」は種々の炭化水素流体である。重質炭化水素は例えば重油、タール、及び/又はアスファルトなどの粘性の高い炭化水素流体を含み得る。重質炭化水素は低濃度の硫黄、酸素及び窒素だけでなく炭素及び水素を含み得る。その他の元素も重質炭化水素中に微量にて存在してもよい。重質炭化水素はAPI比重により分類できる。一般に重質炭化水素のAPI比重は約20°より小さい。例えば重油のAPI比重は一般に約10〜20°であるが、タールのAPI比重は一般に約10°より小さい。一般に重質炭化水素の粘性は15℃にて約100センチポアズより大きい。重質炭化水素は芳香族化合物又はその他の複雑な環状炭化水素を含み得る。
【0028】
一般に「炭化水素」は主に炭素原子と水素原子とから形成される分子として定義される。炭化水素は、限定するものではないが例えばハロゲン、金属元素、窒素、酸素、及び/又は硫黄など他の元素を含んでもよい。炭化水素は、限定するものではないが、ケロゲン、ビチューメン、焦性瀝青、オイル、天然鉱蝋、及びアスファルタイトとし得る。炭化水素は地中の鉱物マトリックス中又はそれに隣接して存在し得る。マトリックスとしては、限定するものではないが、堆積岩、砂、シリシライト(silicilytes)、炭酸塩、珪藻土、及びその他の多孔質媒体が挙げられる。「炭化水素流体」は、炭化水素を含んだ流体である。炭化水素流体は、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、水、及びアンモニアなどの非炭化水素流体を含むか、そのような非炭化水素流体を伴うか、又はそのような非炭化水素流体中に混入させ得る。
【0029】
「現場での変換プロセス」とは、熱源から炭化水素含有層を加熱し、当該層の少なくとも一部の温度を熱分解温度よりも高くすることで、熱分解流体を当該層中で生成するプロセスをいう。
【0030】
「現場での熱処理プロセス」とは、熱源を用いて炭化水素含有層を加熱し、当該層の少なくとも一部の温度を炭化水素含有物質の流動性流体、ビスブレーキング、及び/又は熱分解を生じる温度よりも高くすることで、移動性流体、ビスブレーキング流体、及び/又は熱分解流体を当該層中で生成するプロセスをいう。
【0031】
「熱分解」とは、熱を加えることにより化学結合が破壊されることである。例えば、熱分解は、熱のみにより化合物を1以上の他の物質に変換することを含み得る。熱を層の一部に移動させて熱分解を起こすことができる。
【0032】
「熱分解流体」又は「熱分解生成物」とは、実質的に炭化水素の熱分解中に生成された流体をいう。熱分解反応により生成された流体を、層中の他の流体と混合してもよい。この混合物は熱分解流体又は熱分解生成物と考えられる。「熱分解ゾーン」とは、反応させられるか又は反応して熱分解流体を形成する一定容量の層(例えば、タールサンド層などの比較的浸透性の層)をいう。
【0033】
「熱の重ね合わせ」とは、熱源間の少なくとも1つの場所での層の温度が熱源によって影響されるように、層の選択された領域に2以上の熱源から熱を与えることをいう。
【0034】
地層の「厚さ」とは、地層面に垂直な地層断面の厚さをいう。
【0035】
「グレードアップ」とは炭化水素の品質を上げることである。例えば、重質炭化水素をグレードアップすることにより、重質炭化水素のAPI比重が増加し得る。
【0036】
「坑井(wellbore)」なる用語は、掘削又は層中への導管の挿入により層中に作られた穴をいう。坑井は実質的に円形の断面形状、又は別の断面形状を有し得る。「井戸」及び「穴」なる用語は、層中の穴をいうときには、「坑井」なる用語と交換可能に使用できる。
【0037】
様々な方法で層を処理し、多くの異なる生成物を産出できる。現場での熱処理プロセス中に、様々な段階又はプロセスを用いて層を処理できる。特定の態様では、層の1以上の区域をソリューションマイニングして当該区域から可溶鉱物を取り出す。特定の態様では、層の1以上の区域を過熱し、当該区域から水を取り出し且つ/又は当該区域からメタン及び他の揮発性炭化水素を取り出す。特定の態様では、層の平均温度を、区域内の炭化水素の流動化温度より上昇させる。特定の態様では、層の1以上の区域の平均温度を、当該区域中の炭化水素の熱分解温度より上昇させてもよい。流動化生成物及び/又は熱分解生成物を、産出井を通して層から産出できる。特定の態様では、1以上の区域の平均温度を、合成ガスの生産が十分に可能な温度に上昇させてもよい。合成ガス生成流体(例えば蒸気及び/又は水)を該区域に導入して合成ガスを生成してもよい。合成ガスを産出井から産出してもよい。ソリューションマイニング;揮発性の炭化水素及び水の除去;炭化水素の流動化、炭化水素の熱分解、合成ガスの生成;及び/又はその他のプロセスを、現場熱処理プロセス中に実行してもよい。
【0038】
図1は炭化水素含有層を処理するための現場での熱処理システムの一部の態様についての概略図である。現場での熱処理システムはバリア井戸200を含んでもよい。バリア井戸は処理領域のまわりにバリアを形成するために用いられる。バリアにより、流体が処理領域に流入すること及び/又は処理領域から流出することが防止される。バリア井戸として、限定するものではないが、排水井戸、真空井戸、捕獲井戸、注入井戸、グラウト井戸、凍結井戸、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の態様では、バリア井戸200は排水井戸である。排水井戸は液体の水を取り除き、且つ/又は加熱される層又は加熱されている層の一部に液体の水が入るのを防止できる。図1に図示された態様では、バリア井戸200は熱源202の一方の側だけに沿って延びているが、バリア井戸が層の処理領域を加熱するために使用された又は使用される熱源202のすべてを取り囲んでもよい。
【0039】
熱源202は層の少なくとも一部中に配置される。熱源202としては、例えば絶縁導体、導管内導体型ヒーター、地表バーナー、分散型無炎燃焼器、及び/又は分散型天然燃焼器などのヒーターが挙げられる。熱源202としては、他の種類のヒーターも挙げることができる。熱源202は層の少なくとも一部に熱を与えて層中の炭化水素を加熱する。供給管路204を通してエネルギーを熱源202に供給できる。供給管路204は、層を加熱するのに用いられる熱源(1つ又は複数)の種類に依存して構造が異なってもよい。熱源用の供給管路204は、電気ヒーターに電気を送るか、燃焼器に燃料を輸送するか、又は層中を循環する熱交換流体を輸送することができる。特定の態様では、現場熱処理法のための電気を原子力発電所(1つ又は複数)により供給してもよい。原子力を用いることにより、現場熱処理法における二酸化炭素の排出を削減又は排除できるかもしれない。
【0040】
産出井206は層から層流体を取り出すのに用いられる。特定の態様では、産出井206は熱源を含む。産出井の熱源は、産出井にて又は産出井付近にて層の1以上の部分を加熱できる。現場での熱処理プロセスの特定の態様では、産出井1メートル当たり産出井から層に供給される熱量は、熱源1メートル当たり層を加熱する熱源から層に加えられる熱量より少ない。
【0041】
特定の態様では、産出井206中の熱源により、層から層流体の気相除去が可能となる。産出井にて又は産出井を介して加熱することにより、(1)産出流体がオーバーバーデンに近接した産出井の中を移動しているときに産出流体の凝縮及び/又は還流を防止し、(2)層中への入熱を増大させ、(3)熱源を用いない産出井と比べて産出井からの産出速度を高め、(4)産出井中での高炭素数化合物(C以上)の凝縮を防止し、及び/又は(5)産出井にて又はその近くでの層の浸透性を高めることができる。
【0042】
層中の地下圧力は、層中で生成される流体圧力に対応するかもしれない。層の加熱された部分の温度が高くなるにつれ、流体の熱膨張、流体生成の増加、及び水の蒸発によって加熱部分の圧力が高くなるかもしれない。層からの流体の除去速度を制御することにより、層中の圧力を制御できるかもしれない。層中の圧力は、複数の異なる場所にて、例えば産出井にて若しくはその近くにて、熱源にて若しくはその近くにて、又は監視井戸にて測定してもよい。
【0043】
特定の炭化水素含有層においては、該層からの炭化水素の産出は、層中の少なくともいくらかの炭化水素が移動及び/又は熱分解されるまで禁止される。選択された品質の層流体である場合には、層流体を層から産出してもよい。特定の態様では、選択された品質として、少なくとも約15°、20°、25°、30°、又は40°のAPI比重が挙げられる。少なくともいくらかの炭化水素が移動及び/又は熱分解されるまで産出を禁止することにより、軽質炭化水素への重質炭化水素の変換を増やすことができる。初期産出を禁止することにより、層からの重質炭化水素の産出を最小化できる。多量の重質炭化水素を産出するには、高額な設備を要し且つ/又は産出設備の寿命を短くするかもしれない。
【0044】
可動温度又は熱分解温度に達しかつ層からの産出が可能になった後、産出される層流体の組成を変え且つ/又は制御し、層流体中の非凝縮性流体に対する凝縮性流体の割合を制御し、及び/又は産出されている層流体のAPI比重を制御するために、層中の圧力を変化させてもよい。例えば、圧力を下げると、凝縮性流体成分の産出をより多くすることができる。凝縮性流体成分はオレフィンをより大きな割合で含有し得る。
【0045】
特定の現場熱処理法の態様では、層中の圧力を、API比重が20°より大きい層流体の産出を促進するのに十分なだけ高く維持してもよい。層中の圧力を高く維持することにより、現場熱処理中の層沈下を防止できる。圧力を高く維持することにより、地表にて層流体を圧縮して収集導管で処理施設まで輸送する必要性が低減又は除去できる。
【0046】
驚くべきことに、層の加熱部分における圧力を高く維持することにより、品質が高くかつ相対的に小さい分子量の炭化水素を多量に産出することができる。産出された層流体が選択された炭素数より上の最小量の化合物を有するように、圧力を維持してもよい。選択される炭素数は、25以下、20以下、12以下、8以下、又は6以下とし得る。いくらかの高炭素数化合物は、層中の蒸気中に伴出するかもしれず、蒸気と共に層から除去し得る。層中の圧力を高く維持することにより、蒸気中における高炭素数化合物及び/又は多環炭化水素化合物の伴出を防止できる。高炭素数化合物及び/又は多環炭化水素化合物は、かなりの期間、層中において液相のまま残り得る。このかなりの期間により、化合物がビスブレーキング及び/又は熱分解して低炭素数化合物を形成するのに十分な時間が得られる。
【0047】
産出井206から産出された層流体は、収集管208を介して処理施設210に輸送できる。層流体はまた熱源202から産出し得る。例えば、熱源付近の層中の圧力を制御するために熱源202から流体を産出し得る。熱源202から産出された流体は、配管又はパイプを介して収集管208に輸送してもよいし、産出した流体を配管又はパイプを介して処理施設210に直接輸送してもよい。処理施設210としては、分離装置、反応装置、品質改善装置、燃料電池、タービン、貯蔵容器、及び/又は産出された層流体を処理するためのその他のシステム及び装置が挙げられる。処理施設は、層から産出された炭化水素の少なくとも一部から輸送燃料を形成することもできる。特定の態様では、輸送燃料はジェット燃料とし得る。
【0048】
特定の態様では、熱源(例えばヒーター)はヒーターパターンにおいて不均一又は不規則な間隔を有する。例えばヒーターパターンにおける熱源の間隔が変化するか、又は熱源がヒーターパターンにおいて一様に分布していない。特定の態様では、ヒーターパターンにおける熱源の間隔は、パターンの中心の産出井からの距離が長くなるに従って小さくなる。よって、熱源の密度(正方形領域当たりの熱源の数)は、熱源が産出井から離れるに従って大きくなる。
【0049】
特定の態様では、熱源はヒーターパターンにおいて均一間隔(等間隔又は均一分布)にあるが、熱源がヒーターパターンにおいて不均一又は変化する熱分布を提供するように変化する熱出力を有する。熱源の熱出力を変化させることを用いて、例えば、ヒーターパターンにおいて変化する間隔をもった熱源を効果的に模擬できる。例えば、ヒーターパターンの中心の産出井により近い熱源は、産出井からより遠くの距離にある熱源よりも熱出力を小さくできる。産出井から熱源までの距離が長くなるに従いヒーター出力が徐々に増すように、ヒーター出力を変化させてもよい。
【0050】
特定の態様では、熱源の不均一又は不規則な間隔は、規則的な幾何学的パターンに基づく。例えば、熱源の不規則な間隔は、六角形、三角形、正方形、八角形、その他の幾何学的組合わせ、及び/又はそれらの組合わせに基づき得る。特定の態様では、これらの幾何学的パターンの1個以上に沿って不規則間隔にて熱源を配置し、不規則な間隔を構成する。特定の態様では、1つの不規則な幾何学的パターンにて熱源を配置する。特定の態様では、幾何学的パターンがパターンにおける列間の不規則な間隔を有して、熱源の不規則な間隔を構成する。
【0051】
図2は産出井206からの距離が長くなるに従ってヒーター密度が大きくなる、不規則間隔の熱源202の態様を示す。特定の態様では、産出井206は熱源202のパターンの中心又はその近くに配置される。特定の態様では、熱源202はヒーター(例えば電気ヒーター)である。図2は六角形パターンで不規則間隔の熱源からなる態様を示す。図3は不規則間隔の三角形パターンの態様を示す。図4は不規則間隔の正方形パターンの態様を示す。熱源は、図3及び図4に示された列に沿って所望の位置に配置してよい。層中にて任意の規則的又は不規則な幾何学的パターンにて熱源を配置してよいことが分かる。産出井からの距離が長くなるに従って熱源の密度が増す限り、任意の規則的又は不規則な幾何学的パターン(例えば、規則的又は不規則な三角形、規則的又は不規則な六角形、規則的又は不規則な長方形(rectagonal)、円形、長円形、楕円形、又はそれらの組合わせ)にて熱源を配置してよい。特定の態様では、産出井からの距離が長くなるに従って熱源の密度が増すように、熱源を産出井の周りに非対称的に間隔をあけて配置する。熱源の不規則パターンは、層中の垂直な(又は実質的に垂直な)熱源のパターン、又は層中の水平な(又は実質的に水平な)熱源のパターンでもよい。
【0052】
図2に示されるように、熱源202は列A、B、C及びDにおける中黒四角により表される。列A、B、C及びDは、熱源の三角形及び/又は六角形の列(又は他の形状の列)としてよく、列が産出井206から離れるに従い列間の間隔が小さくなる。熱源202は列A、B、C及びDにおいて規則的又は不規則に分布させてもよい(例えばヒーターをこれらの列において等間隔又は非等間隔にしてもよい)。特定の態様では、熱源が産出井206から離れるに従い熱源の密度が増すように、熱源が列中に配置される。よって、層の体積当たりの熱源からの熱出力は、産出井からの距離とともに増す。
【0053】
特定の態様では、熱源の不規則パターンは、産出井当たりの熱源数が熱源の規則的なパターンと同じであるが、産出井からの距離が増すに従い熱源の間隔が小さくなる。間隔が小さくなる熱源では、産出井からの距離が増すに従い層の体積当たり層に入力される熱が増す。図5は熱源の等間隔の列からなる規則パターンの態様を示す。図2及び5に示される態様は各々、1個の産出井206に対して16個の熱源202というパターン比を有する(例えば、12(列A、B、Cから)+1(列Dの頂点の3つの熱源から。これらの熱源の各々は3つのパターンに熱を供給するので。)+3(列Dにおいて頂点の間に位置する6つの熱源から。これらの熱源の各々は2つのパターンに熱を供給するので。)。)両方の態様のヒーター/産出井の比は16:1であり、パターンにおいて層の体積当たり層に入力される全ての熱は実質的に等しい(熱源の出力が等しく一定であることを仮定)。しかしながら、図2に示された態様における熱源の間隔は、図5に示された態様における熱源の間隔とは異なる。よって、図2に示された態様では産出井からの距離が増すに従い層の体積当たりの平均熱入力が増し、一方、図5では層の体積当たりの平均熱入力は図5に示されたパターン全体で実質的に一様である。特定の態様において、図5に示された等間隔の態様では、産出井からの距離が増すに従い熱源の熱出力を増すように調整することにより、産出井からの距離が増すに従い層の体積当たりの熱入力を増してもよい。
【0054】
図6は不規則な間隔の熱源202の態様であり、産出井206を中心に熱入力密度が増大していく体積部を規定する。図6は図2と同じヒーターパターンを示し、体積部212、214、216及び218を表す領域を規定する陰影を有する。図6における陰影の増加は、層中への熱入力密度(層の体積当たりの熱入力)の増加を表す。第1の体積部212は産出井206を実質的に包囲し、第2の体積部214は第1の相席212を実質的に包囲し、第3の体積部216は第2の体積部214を実質的に包囲し、第4の体積部218は第3の体積部216を実質的に包囲する。特定の態様では、第1の体積部212は産出井206を含まない。特定の態様では、第1の体積部212が産出井206を含む。
【0055】
特定の態様では、少なくとも1個の熱源202が、第1の体積部212、第2の体積部214、第3の体積部216及び/又は第4の体積部218中に配置される。特定の態様では、少なくとも2個の熱源202が、第1の体積部212、第2の体積部214、第3の体積部216及び/又は第4の体積部218中に配置される。特定の態様では、少なくとも3個の熱源202が、第1の体積部212、第2の体積部214、第3の体積部216及び/又は第4の体積部218中に配置される。
【0056】
特定の態様では、第1の体積部212中に位置する全ての熱源202が、第2の体積部214内のどのヒーターよりも産出井206に近い。特定の態様では、第2の体積部214中に位置する全ての熱源202が、第3の体積部216内のどのヒーターよりも産出井206に近い。特定の態様では、第3の体積部216中に位置する全ての熱源202が、第4の体積部218内のどのヒーターよりも産出井206に近い。
【0057】
特定の態様では、第1の体積部212中の熱源202の産出井206からの平均距離は、第2の体積部214中の熱源202の産出井206からの平均距離より小さい。特定の態様では、第2の体積部214中の熱源202の産出井206からの平均距離は、第3の体積部216中の熱源202の産出井206からの平均距離より小さい。特定の態様では、第3の体積部216中の熱源202の産出井206からの平均距離は、第4の体積部218中の熱源202の産出井206からの平均距離より小さい。
【0058】
特定の態様では、第1の体積部212の体積が、第2の体積部214、第3の体積部216、及び/又は第4の体積部218にほぼ等しい。特定の態様では、第2の体積部214の体積が、第3の体積部216及び/又は第4の体積部218にほぼ等しい。特定の態様では、第3の体積部216の体積が、第4の体積部218にほぼ等しい。
【0059】
特定の態様では、図2及び6に示されるように、第1の体積部212、第2の体積部214、第3の体積部216及び第4の体積部218は産出井206からの平均半径距離が増していき、第1の体積部の平均半径距離が最も小さく、第4の体積部の平均半径距離が最大である。よって、第1の体積部212は第2の体積部214よりも産出井206に近く、第2の体積部は第3の体積部216よりも産出井に近く、第3の体積部は第4の体積部218よりも産出井に近い。
【0060】
列A、B、C及びDにおける熱源202の密度の差、及び/又は熱源の熱出力の差により、図2及び6に示された熱源のパターンによって加熱された層の区域内の温度勾配が生成され得る。列Aの熱源202から層中への熱入力が、ほぼ第1の体積部212を形成し得る。列Bの熱源202から層中への熱入力が、ほぼ第2の体積部214を形成し得る。列Cの熱源202から層中への熱入力が、ほぼ第3の体積部216を形成し得る。列Dの熱源202から層中への熱入力が、ほぼ第4の体積部218を形成し得る。
【0061】
特定の態様では、体積部212、214、216及び218は、列A、B、C及びD間の熱源密度の差によってほぼ定まる境界を有する。体積部212、214、216及び218の境界の形状、及び/又は体積部の大きさは、例えば熱源202の位置、熱源の加熱特性、並びに層の熱的及び/又は地力学的な特性により定めることができる。体積部212、214、216及び218の形状及び/又は大きさは、上記例の特性の変化及び/又は層の加熱中の時刻に基づいて変わり得る。図2及び6に示された体積部212、214、216及び218の境界は、当該区域の加熱中の選択された時刻でのヒーター密度(又は熱源出力)の変化に起因する区域内の測定可能な温度差に近い。
【0062】
特定の態様では、体積部における層の体積当たりの熱源202の数は、第1の体積部212から第4の体積部218へと増加する。よって、熱源の密度は、第1の体積部212から第4の体積部218へと増加する。熱源の密度が第1の体積部212から第4の体積部218へと増加するので、第1の体積部212内の熱源の平均熱出力は、第2の体積部214内の熱源の平均熱出力より小さく、第2の体積部内の熱源の平均熱出力は、第3の体積部216内の熱源の平均熱出力より小さく、第3の体積部内の熱源の平均熱出力は、第4の体積部218内の熱源の平均熱出力より小さい。
【0063】
さらに、産出井206からの距離が増すに従いヒーター密度(又は熱出力)が増すことにより、第1の体積部212内の層の体積当たりの層への熱入力は、第2の体積部214内の層の体積当たりの層への熱入力より小さく、第2の体積部内の層の体積当たりの層への熱入力は、第3の体積部216内の層の体積当たりの層への熱入力より小さく、第3の体積部内の層の体積当たりの層への熱入力は、第4の体積部218内の層の体積当たりの層への熱入力より小さい。よって、第1の体積部212は第2の体積部214より平均温度が低く、第2の体積部は第3の体積部216より平均温度が低く、第3の体積部は第4の体積部218より平均温度が低い。
【0064】
体積部212、214、216及び218の形状及び/又は大きさがどのように変わっても、層の加熱中における体積部の空間的な関係は一定のままである(第1の体積部が産出井を包囲し、他の体積部がそれぞれ第1の体積部を包囲する)。同様に、層への熱入力は、第1の体積部212から第4の体積部218へ絶えず増加してもよい。
【0065】
特定の態様では、層は、パターンにおける最も外側の熱源(列Dの熱源202)から産出井206に向けて流体(例えば流動化された流体)が流れ得るよう十分な透過性を有する。熱密度がより高い層の部分から産出井に向けての流体の流れによって、層内で対流的な熱移動が得られる。流体が産出井に向かって移動する際に層に熱を移すことによって流体を冷却できる。層内での流体の流れからの対流的な熱移動により、伝導的な熱移動より早く層を通して熱移動させることができる。特定の態様では、最も外側の熱源から産出井まで遮るものがないか又は実質的に遮るものがない流路を設けることにより、対流的な熱移動を増やすことができる。層中の熱移動を増大させることにより、層を処理するための加熱効率及び/又は回収効率を高めることができる。例えば、産出井からの距離がより長いところで熱により流動化された流体は、流動化された流体が産出井に向けて移動する際に層に熱を与えることができる。流動化流体の移動により層に熱をいくらか与えることは、層に与えられる熱のより効率的な使用となり得る。
【0066】
特定の態様では、産出井206から産出される流体は、当該パターンが産出井を包囲する区域内の所定位置に元々あった炭化水素である液体炭化水素の大部分を含む。この液体炭化水素は、25℃、1気圧で液体の炭化水素とし得る。
【0067】
図2に示されるように、六角形の列A、B、C及びDは、列間で変化する間隔を有し、列A、B及びCは、「オフセットファクター」を用いて産出井206から外向きにシフトしている。オフセットファクターがゼロの場合、列は互いに実質的に等間隔となる。図5は等間隔の六角形の列の態様を示す。一連の関連方程式においてオフセットファクターを用いて列間の間隔を求めることができる。例えば、産出井を包囲する4つの六角形の列を有するヒーターパターンに方程式を用いることができる。
【0068】
図2に示されるように、最大の六角形は、産出井を中心とする熱源パターンの外側の制限である。最大の六角形は半径RとRを有し、Rは大きい方の半径(六角形の頂点までの半径)であり、Rは小さい方の半径(六角形の一辺の中点までの半径)である。図5に示された等間隔の六角形の態様では、次の通りである。
【0069】
(方程式1)r+r+r+r=R
ここで、rは中心から第1の六角形の頂点までの半径であり、rは第1の六角形の頂点から第2の六角形の頂点までの半径であり、rは第2の六角形の頂点から第3の六角形の頂点までの半径であり、rは第3の六角形の頂点から第4の六角形(最大の六角形)の頂点までの半径である。
【0070】
等間隔の六角形の場合、上記4つの半径は等しいので次式が成り立つ。
【0071】
(方程式2)r=r=r=r=R/4
【0072】
図2に示されるように幾何学的に間隔をあけた4つの六角形の場合には、これらの六角形はオフセットファクターsを有し得る。六角形の間隔は次式で記載できる。
【0073】
(方程式3)r’+4s+r’+3s+r’+2s+r’+s=R
【0074】
r’が定数と仮定すると(r’=r’=r’=r’=r’)、次式が成り立つ。
【0075】
(方程式4)4r’+10s=R
【0076】
オフセットファクターsについてある一定の仮定を行い、4つの六角形の大きさ(産出井からの距離)を次式のように記載できる。
【0077】
(方程式5)r’+4s=産出井から第1の六角形の頂点までの距離;
【0078】
(方程式6)2r’+7s=産出井から第2の六角形の頂点までの距離;
【0079】
(方程式7)3r’+9s=産出井から第3の六角形の頂点までの距離;及び
【0080】
(方程式8)4r’+10s=産出井から第4の六角形の頂点までの距離
【0081】
よって、オフセットファクターがゼロの場合、六角形の間隔は図5に示されているように等しい。図2は、約8のオフセットファクターにて幾何学的に間隔をあけた六角形を示す。
【0082】
図2に示されているように、産出井206により近い熱源202の密度を小さくすることにより、産出井での又はその近くでの加熱がより抑制される。産出井又はその近くにて与えられる熱がより少ないことにより、産出井から産出される流体のエンタルピーを小さくできる。産出井での又はその近くでの加熱がより抑制されることにより、産出井における温度をより低くでき、その結果、産出された流体を介して層から除去されるエネルギーをより少なくでき、層を加熱するためのエネルギーを層中により多く維持できる。層中の廃エネルギーを減らすことにより、層を処理する際のエネルギー効率(層中へのエネルギー対、層からのエネルギー)が高まる。
【0083】
特定の態様では、産出される流体の平均温度は選択温度より低く維持される。例えば、所定の位置にある炭化水素の約50%が熱分解されるときの産出流体の平均温度を、約310℃未満、約200℃未満、又は約190℃未満に維持してもよい。特定の態様では、所定の位置にある炭化水素の約50%が流動化されるときの産出流体の平均温度を、約310℃未満、約200℃未満、又は約190℃未満に維持してもよい。特定の態様では、所定の位置にある炭化水素の約50%が産出されるときの産出流体の平均温度を、約310℃未満、約200℃未満、又は約190℃未満に維持してもよい。
【0084】
特定の態様では、産出井での又はその近くでの温度を下げることにより、産出井の完成に関連したコストが下がり、かつ/又は産出井における配管若しくは他の設備の故障の可能性が下がる。例えば、図2に示されたパターンを用いて層を処理することにより、正三角形パターンの熱源を用いて層を処理する場合に対して、加熱に必要な熱を約17%削減できる。熱注入の要求が緩和されるのは、おそらく、層中の高温流体により、高い熱密度の領域(ヒーターパターンの外側部分)から産出井の周りの層部分へと対流的な熱移動が生じるからである。
【0085】
しかしながら、産出井での又はその近くでの加熱を抑制すると、層における回収効率(回収される場所にある油の量)が低減するかもしれない。回収率の低減は、産出の終了時により多くの炭化水素が流動化されず又は熱分解されずに残ること、及び/又はより高い温度から炭化又はコークス化のより高い集中が、ヒーターパターンの外側部分のより高いヒーター密度によって生成することに起因する。回収率の低減は、層中へのエネルギー入力の削減から利点のいくつかを相殺するかもしれない。特定の態様では、産出井からの距離が大きくなるに従い熱源の密度が更に増す(例えば図2のオフセットファクターが増す)ことにより、層中へのエネルギー入力の削減から得られる利点を上回る程度まで回収率が下がる。
【0086】
オフセットファクターがより大きくなれば、産出の増大までの時間がより短縮できる。より高密度の熱源からの加熱が加速されるからである。しかしながら、より大きなオフセットファクターの場合はまた、ピーク油産出速度がより低くなり、回収効率が落ちる。加えて、より大きなオフセットファクターでは、層からの液体の回収の減少を補償するために加熱する必要がある岩石を多くなるかもしれない。オフセットファクターを下げると、油産出速度と回収効率が高くなるが、層を処理する際の熱効率が下がる。よって、所望のオフセットファクター(例えば所望の増大するヒーター密度パターン)は、上記の結果の間で均衡させることができる。
【0087】
特定の態様では、層を処理するために所望のヒーター密度パターン(例えばオフセットファクター)を評価又は決定するのに、シミュレーション、計算及び/又は他の最適化方法を用いる。所望のヒーター密度パターンは、限定するものではないが例えば現在又は将来の経済状況、産出ニーズ、及び層の特性などの要因に基づいて評価できる。特定の態様では、オフセットファクターを変えて、層へのエネルギー入力に対する層からのエネルギー出力の所望の(例えば最適な)比を評価するために、シミュレーション又は計算が用いられる。
【0088】
表1は累積油産出量(単位:bbl)、ガス産出量(単位:MMscf)、熱注入効率(熱注入/産出油バレル(単位:MMBtu/bbl))、及びヒーターのパターンでの累積熱注入(MMBtu)について、3つの異なるヒーターパターンのシミュレーションによるデータをまとめている。行1は図5に示された等間隔のヒーターパターンについてのシミュレーションのデータを示す。行2は図2に示された不規則間隔のヒーターパターンについてのシミュレーションのデータを示す。行1及び行2に示されるデータを得たシミュレーションでは、同じ一定の平均層温度を有するように制約された。行3は、産出井に最も近いヒーター(列Aのヒーター)をより長い時間作動させておくという追加条件下で、図2に示された不規則間隔のヒーターパターンについてのシミュレーションのデータを示す。シミュレーションにおける累積熱注入が等間隔のヒーターパターンのシミュレーションの場合の累積熱注入(行1に示されたデータ)に等しくなるまで、ヒーターを作動させた。
【表1】

【0089】
表1の行1及び2のデータが示すように、不規則な熱源パターンを用いて産出井からの距離が増すに従い熱入力密度を大きくすることにより、層への熱注入効率が高くなり、層への累積熱注入が減る。しかしながら、不規則な熱源パターンを用いると油産出量は減る。行3のデータは、不規則な熱源パターンへの熱注入の仕方を調整する(例えば産出井により近いヒーターをより長く作動させる)ことにより、規則的な熱源パターンよりも優れた熱注入効率を得つつ、規則的な(等間隔の)熱源パターンの場合の値よりも更に高い値まで油産出量を増大させ得ることを示す。また、熱源パターンへの熱の注入の仕方を調整する(例えばパターンの外側部分のヒーターをより早く停止させる)ことにより、熱注入効率を更に高め、且つ/又は油産出量を更に増大させることができる。
【0090】
図2に示された熱源と列のパターンは、産出井からの距離とともにヒーター密度が増大する熱源のパターンについての1つの可能な態様を表しているだけであることが分かる。図2に示されているようにヒーター密度を増大するのと同じ機能を提供するために、熱源についての他の多くの幾何学的又は非幾何学的パターンを用いることもできる。所望の幾何学的又は非幾何学的パターンで層を処理するための所望のヒーター密度パターンを評価又は決定するために、シミュレーション、計算及び/又は他の最適化方法を使用してもよい。例えば、層へのエネルギー入力に対する層からのエネルギー出力の比が最適化されるように、産出井からの異なる半径距離での熱源からの層の体積当たりの熱出力量(又は熱源密度)を評価し最適化するために、シミュレーション、計算、及び/又は他の最適化方法を使用できる。
【0091】
特定の態様では、図2に示された列A、B、C及びD中の熱源202は、同時に作動及び停止させる。熱源を作動し、それらを停止する前に選択された平均温度まで層を加熱できる。この選択された温度は、例えば炭化水素流動化温度、炭化水素ビスブレーキング温度、又は炭化水素熱分解温度とし得る。選択されたヒーター密度パターンについて選択された平均温度を評価するために、シミュレーション及び/又は計算を用いてもよい。
【0092】
特定の態様では、産出井206に最も近い熱源202(例えば列A及び/又はBにある熱源202)を、産出井から更に離れた熱源(例えば列C及び/又はDにある熱源202)より長い時間、作動させておく。産出井に近い熱源を長い時間作動させておくことにより、層からの炭化水素の産出を増やすことができる。よって、産出が完了した後に所定の位置に残る炭化水素はより少なくでき、選択されたヒーター密度パターンを用いて達成される回収効率をより高くできる。層へのエネルギー入力に対する層からのエネルギー出力の比が最適化されるように、熱源を作動及び停止する所望の時間を評価するために、シミュレーション及び/又は計算を用いてもよい。特定の態様では、熱出力を規則的な加熱パターンにより達成される回収効率(例えばゼロのオフセットファクター)に調整することによって、回収効率を高めることができる。
【0093】
特定の態様では、より短い時間の間作動させる熱源(例えば列D中の熱源202)はより短い寿命に合わせて設計される。例えば、列D中の熱源202は、最大で約3年又は最大で約5年耐えるように設計できる。層中の他の熱源は、少なくとも約5年又は少なくとも約10年耐えるように設計できる。より短い寿命の熱源は、より長い寿命の熱源よりも、より廉価な材料を使用でき、且つ/又は製造若しくは設置の費用を安くできる。よって、より短い寿命の熱源を用いることにより、層の処理に関連したコストを下げることができる。
【0094】
特定の態様では、図2に示された熱源202は、外側から産出井206に向かって順に作動させる。例えば、最初に列Dの熱源202を作動させ、次に列Cの熱源202を作動させ、次に列Bの熱源202を作動させ、最後に列Aの熱源202を作動させる。このようなヒーター始動順序では、1個以上の外側の熱源を用いる段階的加熱方法にて層を処理でき、この外側の熱源は、熱源からの熱が重ならず、産出井を伝導加熱せず、主に流体の対流により熱を産出井に移動させるように、間隔をおいて配置される。例えば、列A〜Dの熱源202は、層の第1区域内にあると考えられ、産出井206は第1区域に隣接した第2区域内にある。
【0095】
特定の態様では、産出井206での又はその近くでの温度が最大で選択温度となるように、当該温度を制御する。例えば、産出井での又はその近くでの温度が最大で約100℃、最大で約150℃、最大で約200℃、又は最大で約250℃となるように、当該温度を制御してもよい。特定の態様では、産出井206での又はその近くでの温度は、産出井に最も近い熱源202(例えば列Aにある熱源)により与えられる熱を低減又は止めることにより制御される。特定の態様では、産出井206での又はその近くでの温度は、産出井を通る流体の産出速度を制御することにより制御される。
【0096】
特定の態様では、図2に示されたヒーターパターンは、層の大きな部分にわたって繰り返されて大きな処理領域を形成するパターンの基本単位である。図7は層中の3つの基本単位を示す。必要なら、追加の基本単位を形成してもよい。パターン中の基本単位の数及び/又は配置は、例えば処理されている層の大きさ及び/又は形状に依存し得る。特定の態様では、パターン中の繰返し基本単位の中心に又はその近くに産出井206を配置する。図7に示されたパターンを用いて層から炭化水素を処理し産出するために、ヒーター井戸202及び産出井206を使用できる。
【0097】
本発明の種々の態様の更なる変更及び代替態様については、この明細書を参照すれば当業者には明らかである。したがって、この明細書は単なる例示として解釈されるべきであり、本発明を実行する一般的な方法を当業者に教示するためのものである。ここに記載の本発明の形式は現在のところ好ましい態様として考えられているものであると理解されたい。要素及び材料はここに記載のものと置換してもよく、部分及びプロセスは逆にしてもよく、本発明の特定の特徴は独立に使用してもよく、これらすべては本発明についての明細書の記載から当業者には明らかとなろう。ここに記載の要素については、特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び範囲を逸脱することなく変更できる。加えて、独立にここに記載の特徴は特定の態様では組み合わせてもよいことが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】米国特許第2,634,961号
【特許文献2】米国特許第2,732,195号
【特許文献3】米国特許第2,780,450号
【特許文献4】米国特許第2,789,805号
【特許文献5】米国特許第2,923,535号
【特許文献6】米国特許第4,886,118号
【符号の説明】
【0099】
200…バリア井戸
202…熱源
204…供給管路
206…産出井
208…収集管
210…処理施設


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素含有層の第1区域に配置された1個以上の熱源から前記炭化水素含有層の第1区域に熱入力を行う段階;及び
第1区域の中心に又はその近くに配置された産出井を通して第1区域から流体を産出する段階;
を含み、第1区域における層の体積当たりの平均熱入力が産出井からの距離とともに増大するように熱源が構成される炭化水素含有層の処理方法。
【請求項2】
第1区域における熱源からの平均熱出力が産出井からの距離とともに増大するように熱源から異なる熱出力を生じさせる段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
層体積当たりの熱源の個数が産出井からの距離とともに増大するように熱源を配置する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1区域に隣接して配置された前記層の第2区域に配置された1個以上の熱源から、前記第2区域に熱入力を行う段階;及び
第2区域の中心に又はその近くに配置された産出井を通して第2区域から流体を産出する段階;
を更に含み、第2区域における層体積当たりの平均熱入力が第2区域内の産出井からの距離とともに増大するように熱源が構成される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1区域に隣接して配置された前記層の第3区域に配置された1個以上の熱源から、第3区域に熱入力を行う段階;及び
第3区域の中心に又はその近くに配置された産出井を通して第3区域から流体を産出する段階;
を更に含み、第3区域内の層体積当たりの平均熱入力が第3区域内の産出井からの距離とともに増大するように熱源が構成される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
25℃、1気圧にて液体の炭化水素である炭化水素を第1区域から産出する段階を更に含み、この液体の炭化水素の大部分が第1区域内に元々あった炭化水素である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
熱源がヒーターからなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1区域内の産出井から最も遠く配置された近接熱源から産出井に移動する炭化水素を少なくとも部分的に冷却するように、熱源から第1区域への熱入力を行う段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
熱源により与えられる熱を用いて炭化水素を流動化する段階、及び流動化された炭化水素を産出井から産出する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
産出井近くの層部分の外側から産出井に移動する流動化された炭化水素からの熱により、産出井近くの層部分に熱を加える段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
産出井での又はその近くでの温度が少なくとも約100℃の温度に達すると、産出井近くの熱源の加熱を抑制又は停止する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも大部分の熱源を順に作動させ、その際に少なくとも産出井に最も近い熱源の大部分を作動させる前に少なくとも産出井から最も遠い熱源の大部分を作動させる段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも大部分の熱源からの熱出力を順に停止又は抑制し、その際に少なくとも産出井に最も近い熱源の大部分についてその熱出力を停止又は抑制する前に少なくとも産出井から最も遠い熱源の大部分についてその熱出力を停止又は抑制する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1区域の第1体積部における層体積当たりの層への熱入力が、第1区域の第2体積部における層体積当たりの層への熱入力より小さく、かつ第1区域の第2体積部における層体積当たりの層への熱入力が、第1区域の第3体積部における層体積当たりの層への熱入力より小さくなるように、熱源から層への熱入力を与える段階を更に含み、第1の体積部が前記区域の中心に又はその近くに配置された産出井を実質的に包囲し、第2の体積部が第1の体積部を実質的に包囲し、第3の体積部が第2の体積部を実質的に包囲する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1個の熱源が第1の体積部、第2の体積部、及び/又は第3の体積部に配置される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2個の熱源が第1の体積部、第2の体積部、及び/又は第3の体積部に配置される請求項14に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも3個の熱源が第1の体積部、第2の体積部、及び/又は第3の体積部に配置される請求項14に記載の方法。
【請求項18】
第1の体積部の体積が第2の体積部及び/又は第3の体積部にほぼ等しい請求項14に記載の方法。
【請求項19】
第2の体積部の体積が第3の体積部にほぼ等しい請求項14に記載の方法。
【請求項20】
第1の体積部に配置された全ての熱源が、第2の体積部内のいずれの熱源よりも産出井に近い請求項14に記載の方法。
【請求項21】
第1の体積部に配置された熱源の産出井からの平均距離が、第2の体積部に配置された熱源の産出井からの平均距離よりも小さい請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記層の第1区域に配置された1個以上の熱源から第1区域に熱入力を行う段階;
第1区域の第1体積部における層体積当たりの層への熱入力が、第1区域の第2体積部における層体積当たりの層への熱入力より小さく、かつ第2体積部における層体積当たりの層への熱入力が、第1区域の第3体積部の体積当たりの層への熱入力より小さくなるように、熱源から層に熱入力を行う段階であって、第1の体積部が前記区域の中心に又はその近くに配置された産出井を実質的に包囲し、第2の体積部が第1の体積部を実質的に包囲し、第3の体積部が第2の体積部を実質的に包囲する前記段階、及び
産出井を通して第1区域から流体を産出する段階;
を含む炭化水素含有層の処理方法。
【請求項23】
第1の体積部内の熱源からの平均熱出力が第2の体積部内の熱源の平均熱出力より小さくなるように、熱源から異なる熱出力を供給する段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第の体積部における層体積当たりの熱源の個数が第2の体積部内の層体積当たりの熱源の個数より少なくなるように熱源を配置する段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
第1の体積部の産出井からの平均半径距離が、第2の体積部の産出井からの平均半径距離より小さい請求項22に記載の方法。
【請求項26】
熱源がヒーターからなる請求項22に記載の方法。
【請求項27】
第2の体積部内の熱源又はその近くから産出井に移動する炭化水素が少なくとも部分的に冷却されるように、熱源から第1区域への熱入力を与える段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項28】
熱源により与えられる熱により炭化水素を流動化させ、産出井を通して流動化炭化水素を産出する段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項29】
産出井から第2の体積部に移動する流動化炭化水素からの熱により、第1の体積部と産出井との間の層部分に熱を与える段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項30】
第1の体積部内の熱源が第2の体積部内の熱源とは異なる種類の熱源である請求項22に記載の方法。
【請求項31】
第1区域の第4の体積部における層体積当たりの層への熱出力が、第3の体積部内の層体積当たりの層への熱出力より大きくなるように、熱源から層への熱入力を与える段階を更に含み、第4の体積部が第3の体積部を実質的に包囲する請求項22に記載の方法。
【請求項32】
産出井での又はその近くでの温度が少なくとも約100℃に達すると、第1の体積部の熱源における加熱を抑制又は停止する段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも熱源の大部分を順に作動させ、その際に少なくとも産出井に最も近い熱源の大部分を作動させる前に少なくとも産出井から最も遠い熱源の大部分を作動させる段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも大部分の熱源からの熱出力を順に停止又は抑制し、その際に少なくとも産出井に最も近い熱源の大部分についてその熱出力を停止又は抑制する前に少なくとも産出井から最も遠い熱源の大部分についてその熱出力を停止又は抑制する段階を更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1個の熱源が第1の体積部、第2の体積部、及び/又は第3の体積部に配置される請求項22に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも2個の熱源が第1の体積部、第2の体積部、及び/又は第3の体積部に配置される請求項22に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも3個の熱源が第1の体積部、第2の体積部、及び/又は第3の体積部に配置される請求項22に記載の方法。
【請求項38】
第1の体積部の体積が第2の体積部及び/又は第3の体積部にほぼ等しい請求項22に記載の方法。
【請求項39】
第2の体積部の体積が第3の体積部にほぼ等しい請求項22に記載の方法。
【請求項40】
第1の体積部に配置されたすべての熱源が、第2の体積部内のいずれの熱源よりも産出井に近い請求項22に記載の方法。
【請求項41】
第1の体積部に配置された熱源の産出井からの平均距離が、第2の体積部に配置された熱源の産出井からの平均距離より小さい請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−501003(P2011−501003A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530043(P2010−530043)
【出願日】平成20年10月13日(2008.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/079705
【国際公開番号】WO2009/052044
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP