説明

炭化水素燃料油及びバイオ燃料加水用添加剤とその製造方法及び加水燃料の製造方法

【課題】動植物油を基本にしたオレイン酸を添加剤の主成分とし、長期間(長年)油水分離もエネルギー分離もすること無く、かつボイラーなど燃焼系の燃料として使用する場合などに特別な設備改造や設備の新設が不要である、炭化水素燃料油及びバイオ燃料油の加水用添加剤およびその製造方法、並びにこの添加剤を用いて炭化水素油又はバイオ燃料油と水より加水燃料を製造する方法を提供する。
【解決手段】シクロヘキシルアミン又はアミノエタノール10%〜35%にアルコール(メタノール・エタノール)5%〜20%を入れて混合撹拌する工程と、上記溶液にオレイン酸30%〜70%を数回に分けて混合撹拌する工程により、炭化水素燃料油及びバイオ燃料油の加水用添加剤を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明をします。この発明には、軽油・灯油・重油・ガソリンなどの化石燃料油及び動植物油から精製して製造されるBDFなどのバイオ燃料に炭化水素燃料油及びバイオ燃料加水用添加剤を加え撹拌混合したものに、飽和尿素水又は水(酵素水・水道水・井戸水)を加え混合撹拌して得られる加水燃料の技術に係わり、製造した加水燃料は俗に言うエマルジョン化(白濁や乳化した状態)することなく、長年にわたり油水分離やエネルギー分離もしない。また、この方法で製造された燃料は完全燃焼状態となるため二酸化炭素の排出を大幅に削減、更に飽和尿素水を注入加水することで排出ガス中の窒素酸化物も減少できる炭化水素燃料油及びバイオ燃料油用加水用添加剤とその製造方法及びこの添加剤を使用して製造される加水燃料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石燃料油の燃料高騰に対処しての化石燃料油に水を混合した化石油加水燃料油の開発がなされている。化石油加水燃料油は化石燃料油に水を混合し、更に混合を有効にするために添加剤を加えて撹拌混合してエマルジョン燃料がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−138065
特開2009−138065の問題点であるエマルジョン化(乳化)現象や湯水が分離しやすいこと、長時間の保存が困難なこと、などを解決したとされる発明があるが、その製造方法での添加剤製造方法は煩雑で且つコスト高であり、加水される対象油は化石燃料に限定されている。また、完成した加水燃料はエマルジョン化(乳化)はしていないものの軽油などを燃料とするコモンレールタイプのディーゼル機関車両や重機・船舶には不適合となる恐れがあり且つその使用範囲が限られている。
【特許文献2】特開2006−2058
特開2006−2058では、化石燃料油に水を混合した化石油加水燃料油の開発がなされている。化石油加水燃料油は化石燃料油に水を混合し、更に混合を有効にするために添加剤を加えて撹拌混合している。が白濁や乳化しておりボイラーなどの支障をきたしている。
【特許文献3】公開番号2009−035644
ディーゼル車両の燃焼室に尿素水を噴射して化学反応により窒素酸化物(NOX)の発生を低減させるシステムがあるが、この尿素水は燃料とは別に搭載しており搭載用設備が必要であるなどコスト面での問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の石油加水燃料は化石燃料油と添加剤更に水を混合撹拌するとエマルジョン化(乳化・白濁)状態となり、化石燃料油と水とに分離又はエネルギー分離が生じるという課題があり、またボイラーなどの燃料として使用するには化石燃料を先に点火燃焼させて後に加水燃料に切り替える装置が必要など設備の改造が必要であるなどで、ディーゼル機関などには使用できないなどの制約があり、更には長時間の貯蔵が出来ない為トラック等での輸送ができずに、加えて石油加水燃料は引火点が上がり燃焼火炎温度が下がる課題もある、更にはBDFを始めとするバイオ燃料油の加水化には適さなかった。
【0005】
この発明は上記のような課題に取り組み鑑みてその課題を克服すべく発案されたものであり、その目的とするところは地球温暖化の原因である二酸化炭素および窒素酸化物を大幅に削減することにあり、その為に動植物油を基本にしたオレイン酸を添加剤の主成分とした製造方法を提供することにあって、また発明した添加剤を使った燃料油は長期間(長年)油水分離もエネルギー分離もすることも無いのでトラック車両等での輸送が容易にできるなど、更にはボイラーなど燃焼系の燃料として使用する場合などには、特別な設備改造や設備の新設が不要であることから、この燃料油を使用するための導入費用が掛からないなど利点のある加水燃料とする添加剤およびその添加剤の製造方法及びこの添加剤を用いて炭化水素油又はバイオ燃料油とを水と混合させて加水燃料にする製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、以上の目的を達成するために配合比率でシクロヘキシルアミン10%〜35%とアルコール(メタノール又はエタノール)5%〜20%を混合撹拌してアミドエタノール溶液を製造する工程、当該アミドエタノール溶液の中に動植物から抽出したオレイン酸30%〜70%を順次加えて撹拌混合する工程からなるものであり、ここでは市販される薬品を列挙しているが、他の同様の性能を持った薬品や廃食油・動物油・植物油を利用したものも含まれるものとする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1で製造した添加剤を製造する完成総数量比率で添加剤5%〜20%と炭化水素油又はバイオ燃料油50%〜75%とを混合撹拌し、これに窒素酸化物の減少を目的とした尿素水(飽和尿素水という)完成総数量比率10%〜30%を数回に分け投入撹拌し燃料油加水燃料を製造する方法よりなるもので、ここで、加水される燃料油対象は、炭化水素油・バイオ燃料油には、軽油・灯油・重油・BDF・ガソリン・動植物油が含まれているが、この発明で飽和尿素水を推奨しているのは、燃焼時に発生する大気中の排気ガス濃度つまり窒素酸化物、二酸化炭素排出を下げる目的で使用する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば炭化水素燃料油(石油全製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤を添加剤製造装置を使い製造するし、製造した添加剤を、加水燃料対象の炭化水素燃料油(石油製品)又はバイオ燃料油に加え撹拌混合することで、燃料油に水を均一に混合させる前処理が完了となる、これに尿素水(水)を加えて混合撹拌すると通常の燃料油と同様に利用可能な燃料となった燃料はボイラー燃焼では完全燃焼が可能となり、燃焼空気量10%〜100%を絞ることで排気中の二酸化炭素および煤塵、窒素酸化物を10%〜50%減少することができ、この事から地球温暖化防止につながり、また水の混合により燃料費の大幅削減にも繋る、しかも長期間油水分離やエネルギー分離もすることを防止することで、加水燃料の輸送管理が容易となるなどその利用範囲は広く、更には完成した加水燃料油は元油と同じ完成色であり、エマルジョン化(乳化・白濁)になることがないので、設備燃焼装置などの改造も新設も必要でなくなるので燃料油として加水燃料の導入が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図面1の▲1▼〜▲4▼は、この発明を実施するための炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油加水燃料用の添加剤を製造する工程の側面略図であり、図▲5▼と図▲6▼は、この発明を実施するための炭化水素油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料製造に関する側面略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態に基づいてこの発明をより具体的に説明するが▲1▼は炭化水素油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする為に必要な添加剤を製造する工程で使用する装置の略図である。
【0011】
図1において▲1▼は炭化水素油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤を製造する撹拌製造装置であり撹拌製造装置の浴槽部分は耐食性や耐熱用の素材で造られていて撹拌羽と軸は耐食性に優れた材料であると共に撹拌するモーターは防爆防湿モーター、浴槽は外部又は内部から冷却できるような装置があればより良いので▲1▼では水槽タイプを記したが他の冷却方式でも同様に有効である。
【0012】
▲2▼は、炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤を製造する為の材料である動植物製オレイン酸を貯蔵するタンクであって、オレイン酸は外気温度20度以下では粘度が高くなるので、外気温度20度以下の時には30℃以上45℃未満に保温できるようにしておく、また▲2▼の貯蔵タンクから▲1▼の撹拌装置に繋ぐラインには適量を滴下できるように流量計を設けるが貯蔵タンクの材質は一般的なものでも良い。
【0013】
▲3▼は、炭化水素油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤を製造するためのアルコール類(メタノール又はエタノールなど)を貯蔵するタンクであって、素材は錆に強く軽量なFRPタンクでも可能であるが、▲3▼の貯蔵タンクから▲1▼への撹拌装置に繋ぐラインには適量を滴下できるよう流量計を設ける。
【0014】
▲4▼は、炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤を製造するため材料のシクロヘキシルアミンを貯蔵するタンクであるり、この貯蔵タンクの素材は耐食性に富んだ素材(FRP・SUS304など)で作製することが望ましいく▲4▼の貯蔵タンクから▲1▼の撹拌製造装置に繋ぐラインには適量を滴下できるよう流量計を設けるがパイプラインには耐食性に優れたパイプ材質及び繋ぎ材を用いる。
「炭化水素油及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤の製造工程」
【0015】
1、▲1▼は炭化水素油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤の製造装置であるが、まず貯蔵タンク▲4▼に備蓄されたシクロヘキシルアミンを撹拌製造装置▲1▼に添加剤総生産量の10%〜35%を投入し、次に貯蔵タンク▲3▼よりアルコール類(エタノール又はメタノール)を添加剤総生産量の5%〜20%を混入して撹拌混合するが、此の時、化学反応が少し起こるが発熱は微量(40℃以下)であるのでアルコール成分が抜けることはないので、撹拌回転150〜300rpm、撹拌時間は5分〜15分である。
2、添加剤製造装置内で上記が撹拌混合された後で、貯蔵タンク▲2▼より動植物製オレイン酸を製造する添加剤総比率30%〜70%を投入して撹拌混合するが、此の時、化学反応が起きて発熱が著しくなるため、オレイン酸の投入を少しずつにして液面温度45℃以内とするようにするために、冷却装置を▲1▼のように設けると科学反応による発熱を抑えることができるので添加剤製造時間の短縮となる、この時は撹拌回転2000〜300rpm、撹拌時間は20分〜50分である。
3、全工程終了後各薬品を完全に繋ぐために、添加剤液面温度が35℃以下になったら、炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とすることが可能な添加剤が完成する。
4、完成した炭化水素油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする添加剤は別な添加剤用貯蔵タンクに移すか、▲5▼の炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする製造装置に移動しておいても良く、更に加水燃料用添加剤は、約1時間〜4時間程度静止熟成させて使用すると、その効果が増大するが、製造後直ぐに使用しても効果に大差はみられない。
5、上記1、〜4の全工程を連続して作業を行うことで連続運転が可能となり大量生産にも対応できる。
「炭化水素油(石油製品)・バイオ燃料油を加水燃料とする製造装置
【0016】
▲5▼は、炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする撹拌造装置であって、材質は鋼鉄製・FRP・SUS304など一般的な材質で良いが、撹拌するための羽翼は2段階方式とすることが望ましく、揮発性の高い元油を使用するので安全面から防爆防湿モーターを使う事が大事である。
【0017】
▲6▼は、炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする撹拌製造装置に水又は飽和尿素水を貯蔵し、投入するための貯蔵タンクであるが、材質は特に問わないが▲5▼の撹拌製造装置に水又は飽和尿素水を投入するパイプラインには適量を投入できるよう流量計の設置が必要である。
「炭化水素油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする製造工程」
【0018】
{1}炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油を加水燃料とする製造装置▲5▼に例えば化石燃料油の軽油を加水燃料とする場合を説明すると
軽油を燃料油製造総数量の60%〜75%を投入し撹拌を開始し、此の時撹拌時間は3分〜10分間、撹拌速度は200〜350rpmで行う。
{2}撹拌時間の終了と同時に加水燃料とする製造装置に加水用添加剤を総製造数の5%〜20%を投入して撹拌混合、撹拌時間は10分〜30分間、撹拌速度は200〜350rpmで行う。
{3}{2}の撹拌終了後に飽和尿素水(水又は酵素水)を総製造量の5%〜30%を数回に分けて投入して撹拌していくが、水の投入するタイミングは加水燃料の色が元油(軽油ならば薄黄色又は薄グリーン色など)と同じ状態となった時であって、これを繰り返すとエマルジョン化(乳化・白濁)にならず、又、重油の場合はここで完成した加水燃料の色は黒色又は黒褐色である。
{4}飽和尿素水(水又は酵素水)を全投入後、仕上げ工程として撹拌を5分〜10分間、撹拌回転数は200〜300rpmで行うと、長期間油水分離もエネルギー分離もしない炭化水素燃料油(石油製品)及びバイオ燃料油と同じ色の加水燃料が完成する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
加水された燃料油は、燃焼中や排気ガスから排出される二酸化炭素・窒素酸化物・煤塵が低下し環境に優しいので、建設機械・工事現場・発電装置・工場ボイラー・プール・旅館ホテル・焼却施設・船舶・自動車用燃料などとしてその利用性は高いと思われる。
【0020】
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものでなく、この発明の趣旨・精神・背景を逸脱しない範囲で様々な改善を為しえる事は勿論である。
【符号の説明】
【0021】
▲1▼添加剤製造撹拌装置
▲2▼添加剤製造用薬品貯蔵タンク(オレイン酸)
▲3▼添加剤製造用薬品貯蔵タンク(メタノール又はエタノール)
▲4▼添加剤製造用薬品貯蔵タンク(シクロヘキシルアミン)
▲5▼加水燃料油製造撹拌装置
▲6▼加水用水貯蔵タンク(飽和尿素水又は酵素水・水)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロヘキシルアミン(C6H11NH2)又はアミノエタノー(NH2CH2CH2OH)配合比率10%〜35%にアルコール(メタノール・エタノール)を配合比率5%〜20%を入れて混合撹拌する工程と上記溶液にオレイン酸(C18H34O2)を配合比率30%〜70%を数回に分けて混合撹拌する工程からなることを特徴とした炭化水素燃料油及びバイオ燃料油加水用添加剤とその製造方法
【請求項2】
請求項1の製造方法で製造された炭化水素油及びバイオ燃料用添加剤5%〜20%と炭化水素油又はバイオ燃料油50%〜75%とを混合撹拌し、これに尿素水(飽和尿素水という)又は水を配合数量比率10%〜50%を数回に投入撹拌し製造する加水燃料油の製造方法あって、加水燃料油の対象油は、軽油・灯油・重油・BDF・ガソリン・動植物油が含まれる。

【図1】
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【公開番号】特開2013−23686(P2013−23686A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171349(P2011−171349)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(511191288)
【Fターム(参考)】