説明

炭素質物質の乾燥粉末のための高性能かつ清浄な加圧ガス化装置およびその方法

ガス化チャンバ(II)および合成ガス冷却チャンバ(III)を備える固体燃料ガス化装置、特には石炭粉の加圧ガス化によって合成ガスを生成するための装置。ガス化チャンバの内壁が、水冷壁(4)である。水冷壁の内側が、耐火材料の層(16)で一様に覆われている。ガス化チャンバの水冷壁と炉本体との間に環状の空洞が存在している。合成ガス冷却装置、垂直パイプ(22)、ガス分配装置(24)、脱泡装置、および脱水/脱灰装置(21)が、合成ガス冷却チャンバに設けられている。前記合成ガス冷却装置は、ガス化チャンバの底部の円すい形のディスクに接続されている。垂直パイプ(22)が、合成ガス冷却装置に接続されている。垂直パイプ(22)の下部が、滑らかな移行を介してトランペット状のガス分配装置(24)に接続されている。バッフル装置が、ガス分配装置(24)の上方に配置され、その上方に脱泡装置が配置されている。装置は、単純な構造を有しており、運転が容易である。炭素質物質の乾燥粉末の高温ガス化方法が、可燃性の物質および酸素を炉へと噴霧し、その後に点火させるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素質物質の乾燥粉末のための加圧ガス化装置に関する、特に、粉炭の加圧ガス化による合成ガスの生成のための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭素質物質(主として、石炭)のガス化は、燃料利用技術の1つの方向であり、その役割は、固体の可燃物を、容易な燃焼のために、一酸化炭素および水素の混合ガスを主成分とする可燃性のガスまたは化学原料へと変換することにある。炭素質物質のガス化プロセスにおいて、噴流床ガス化方式は、単一の炉の強力な処理能力、石炭の種類に関する幅広い適応性、高い炭素変換効率、および良好な装填の調節などといった利点を有しており、将来におけるガス化技術の発展の方向を示している。噴流床ガス化の領域については、耐火れんがおよび水冷壁という2つの主たる形態があるが、耐火れんがの構造は高温において容易に損傷し、保守のコストが高い。
【0003】
反応において生成された高温の混合物の次の処理は、主として廃熱ボイラプロセスおよび冷却プロセスである。中国登録実用新案第2700718号(CN2700718Y)においては、廃熱を石炭ガスから回収することができるが、ただ1つの廃熱ボイラを設定するだけでよい廃熱ボイラプロセスが使用されている。廃熱ボイラプロセスは、発電の分野に比較的適している。また、国際公開第2008/065182号(WO2008/065182A1)においては、温度の低下および湿気の増加という目的が水冷によって達成される冷却プロセスが使用されている。しかしながら、構造配置の理由ゆえに、高負荷での動作時にガス化中の水の混入という現象が顕著になり、すなわち生成される合成ガスにおける液体の水の割合が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、炭素質物質の乾燥粉末のための加圧ガス化装置を提供することにある。本装置は、単純な構造を有しており、安全かつ信頼性があり、運転が容易である。さらに、この装置による炭素の変換率は高い(99%超)。本発明は、先行技術の装置が高い負荷で動作しているときのガス化における水の混入の悪化という問題を克服するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的解決策は、以下のとおりである。
【0006】
一態様において、本発明は、炉殻システムと、ガス化システムと、合成ガス冷却/精製システムとを備えており、前記炉殻システムが、円筒形構造の炉本体と、円すい形のディスクとを備え、供給用入り口が前記炉本体の上部に位置し、スラグ出口が前記炉本体の底部に位置し、合成ガス出口が前記炉本体の中ほどに設けられ、前記炉本体が、前記円すい形のディスクによって上側炉本体および下側炉本体に分割され、前記上側炉本体が、該上側炉本体に配置されたガス化チャンバを備え、前記下側炉本体が、該下側炉本体に配置された合成ガス冷却/精製チャンバを備えている固体燃料ガス化装置であって、前記ガス化チャンバが、水冷壁構造を有し、耐火材料の層が、前記水冷壁の内側を一様に覆っており、環状の空洞が、ガス化チャンバの前記水冷壁と前記炉本体との間に存在し、合成ガス冷却装置と、垂直パイプと、ガス分配装置と、脱泡装置と、脱水/脱灰装置とを備える精製システムが、前記合成ガス冷却チャンバに設けられ、前記合成ガス冷却装置が、前記ガス化チャンバの底部に位置する前記円すい形のディスクに接続され、前記垂直パイプが、前記ガス化チャンバの底部の中央に位置する出口フランジによって前記合成ガス冷却装置に接続されるとともに、前記ガス化チャンバの底部の中央に接続され、トランペット状のガス分配装置が、滑らかな移行にて前記垂直パイプの下部に接続され、バッフル装置が、前記ガス分配装置の上方に配置され、脱泡装置が、前記バッフル装置の上方50〜800mmに配置され、脱水/脱灰装置が、前記脱泡装置の最上層の脱泡板の上方100〜800mmに配置されていることを特徴とする固体燃料ガス化装置を提供する。
【0007】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、装置がその動作の開始時にのみ使用される火炎観察システムをさらに備えており、該火炎観察システムが、下方から上方へと順に観察管、遮断バルブ、透明材料層、および産業用カメラを備えており、保護ガスの入り口フランジが、前記炉本体の上部に位置する前記供給用入り口の炉カバーを貫いて入り口水冷壁の内側の耐火材料に埋め込まれた前記観察管の側壁に接続され、観察穴が、前記ガス化チャンバに連絡するように前記観察管の下部に維持され、保護ガスが、前記保護ガスの入り口フランジから前記観察管へと流され、前記産業用カメラが、透明材料層を通して前記観察管によって前記ガス化チャンバ内の点火状況を観察し、得られた情報を装置の制御室へと送り返す。
【0008】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、装置が温度監視システムをさらに備え、該温度監視システムが、本体水冷壁の種々の高さにおいて周方向に配置されたいくつかの炉内温度検出装置を備えており、該炉内温度検出装置が、リアルタイムで炉内の温度を監視すべく0〜15mmだけ水冷壁の耐火材料から突き出している。
【0009】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、前記温度監視システムが、種々の高さにおいて周方向に配置されたいくつかの耐火材料温度検出装置を備えており、該耐火材料温度検出装置が、リアルタイムで耐火材料の温度を監視すべく水冷壁の耐火材料の表面から内側に0〜20mmに位置している。
【0010】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、耐火材料の5〜100mmの層が、前記上側炉本体の内面を一様に覆っており、耐食性のステンレス鋼の層が、前記下側炉本体の内面を覆っている。
【0011】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、前記ガス化チャンバシステムが、いずれもらせんコイルの形態である入り口水冷壁、本体水冷壁、および出口水冷壁で構成され、前記入り口水冷壁が、溶接によって炉カバーに固定的に接続され、前記本体水冷壁が、前記上側炉本体の支持板へと固定され、前記上側炉本体の支持板は、周状に一様に分布した2つ以上の予め溶接された部材で構成されており、前記出口水冷壁は、溶接によって前記ガス化チャンバの出口フランジに固定的に接続され、前記出口フランジは、前記円すい形のディスクに固定的に接続されている。
【0012】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、前記入り口水冷壁の内側および外側の両方が、高温耐火材料で覆われる一方で、前記本体水冷壁および前記出口水冷壁の内側だけが、高温耐火材料で覆われ、前記高温耐火材料の主成分が炭化ケイ素であり、この高温耐火材料の製品を、60〜90%、好ましくは75〜85%の範囲にある炭化ケイ素含有量にて市場で購入することができる。
【0013】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、前記ガス分配装置の構造が、小孔および/または鋸歯を有するいくつかの円形ガードルを備える環状板の形態であり、10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔が、前記ガス分配装置に存在している。
【0014】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔が、前記バッフル装置のバッフルに存在し、該開放小孔が、前記ガス分配装置の開放小孔と互い違いに配置されている。
【0015】
好ましくは、上述のような固体燃料ガス化装置によれば、前記脱泡装置が、脱泡板の2〜6つの層を含んでおり、該脱泡板の各々の層が、前記下側炉本体の支持部材上へと固定された多数の環状板で構成されており、10〜150mmの孔サイズを有する開放小孔が前記脱泡板に規則的に配置され、隣り合う2つの層の間で前記小孔が互い違いに配置されている。
【0016】
他の態様によれば、本発明は、炭素質物質の乾燥粉末の高温高圧ガス化方法であって、装置の動作の開始時に、天然ガスおよびディーゼル油などの可燃性の物質と酸素とが炉へと噴霧されて点火され、点火したか否かが火炎観察システムによって遠方から判断され、燃焼が安定している場合に温度および圧力の上昇が開始され、燃焼が安定していない場合には再点火が行われ、炉内の圧力が0.1〜2.0MPaへと高められた後で、炭素質物質の乾燥粉末ならびに酸素および蒸気からなるガス化剤が炉内に噴霧され、前記火炎観察システムは、燃焼が安定している場合に停止され、圧力が1.0MPa〜10MPaの指定の圧力へと連続的に高められ、動作が続けられ、動作の最中に炉の温度が炉内温度観察装置によって判断され、ガス化剤に対する炭素質物質の乾燥粉末の割合が、より高い温度でのガス化炉の動作を保証するために動的に調節され、耐火材料の温度が、耐火材料の温度が安全な範囲内であることを保証するために、耐火材料温度検出装置によって監視され、生成された高温の未精製の合成ガスならびに灰およびスラグが、合成ガス冷却/精製システムによって分離および精製され、灰およびスラグがスラグ出口から排出され、未精製の合成ガスは、合成ガス出口から後続のプロセスへと運ばれる方法を提供する。
【0017】
本発明の目的は、以下の具体的な実施態様によっても達成することができる。
【0018】
炉殻システムと、ガス化チャンバシステムと、合成ガス冷却/精製システムとを備えており、前記炉殻システムが、円筒形構造の炉本体を備え、供給用入り口が前記炉本体の上部に位置し、スラグ出口が前記炉本体の底部に位置し、合成ガス出口が前記炉本体の中ほどに設けられ、前記炉本体が、円すい形のディスクによって上側炉本体および下側炉本体に分割され、前記上側炉本体がガス化チャンバであり、前記下側炉本体が合成ガス冷却/精製チャンバである固体燃料ガス化装置であって、前記ガス化チャンバが、水冷壁構造を有し、耐火材料の層が、前記水冷壁の内側を一様に覆っており、環状の空洞が、前記水冷壁と前記炉本体との間に存在し、前記合成ガス冷却/精製システムが、合成ガス冷却装置と、垂直パイプと、ガス分配装置と、脱泡装置と、脱水/脱灰装置とを備え、前記垂直パイプが、前記ガス化チャンバの底部の中央に位置する出口フランジによって合成ガスクエンチャに接続されるとともに、前記ガス化チャンバの底部の中央に接続され、トランペット状のガス分配装置が、滑らかな移行にて前記垂直パイプの下部に接続され、バッフル装置が、前記ガス分配装置の上方に配置され、前記脱泡装置が、前記バッフル装置の上方に配置されていることを特徴とする固体燃料ガス化装置である。
【0019】
この固体燃料ガス化装置は、装置の動作の開始時にのみ使用される火炎観察システムをさらに備え、該火炎観察システムが、下方から上方への順で観察管、遮断バルブ、透明材料層、および産業用カメラを備え、保護ガスの入り口フランジが、前記炉本体の上部に位置する前記供給用入り口の炉カバーを貫いて入り口水冷壁の内側の耐火材料に埋め込まれた前記観察管の側壁に接続され、観察穴が、前記ガス化チャンバに連絡するように前記観察管の下部に維持され、保護ガスが、前記保護ガスの入り口フランジから前記観察管へと流され、前記産業用カメラが、透明材料層を通して前記観察管によって前記ガス化チャンバ内の点火状況を観察し、得られた情報を装置の制御室へと送り返す。透明材料層は、二酸化ケイ素、ホウケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウムなどの無機材料、PMMA、TPXなどのポリマー材料、あるいはこれらの組み合わせで構成されるグループから選択される少なくとも1つの材料を使用することができる。
【0020】
固体燃料ガス化装置は、炉内温度検出装置を備える温度監視システムをさらに備え、該炉内温度検出装置が、リアルタイムで炉内の温度を監視すべく0〜15mmだけ水冷壁の耐火材料から突き出している。
【0021】
さらに固体燃料ガス化装置は、リアルタイムで耐火材料の温度を監視すべく耐火材料の表面から内側に0〜20mmに位置する耐火材料温度検出装置を備える。
【0022】
耐火材料の5〜100mmの層が、前記上側炉本体の内面を一様に覆い、耐食性のステンレス鋼の層が、前記下側炉本体の内面を覆う。前記ガス化チャンバシステムが、いずれもらせんコイルの形態である入り口水冷壁、本体水冷壁、および出口水冷壁で構成され、 前記入り口水冷壁が、溶接によって炉カバーに接続され、前記本体水冷壁が、前記上側炉本体の支持板へと固定され、前記上側炉本体の支持板は、周状に一様に分布した2つ以上の予め溶接された部材で構成されており、前記出口水冷壁は、溶接によって前記出口フランジに取り付けられ、前記出口フランジは、前記円すい形のディスクに固定的に接続されている。
【0023】
前記入り口水冷壁について、前記本体水冷壁および前記出口水冷壁との相違は、入り口水冷壁の内側および外側の両方が高温耐火材料で覆われている点にある。
【0024】
前記ガス分配装置の構造は、小孔および鋸歯を有するいくつかの円形ガードルを備える環状板の形態であり、10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔が該ガス分配装置に存在し、該ガス分配装置が、溶接によって前記垂直パイプの下端の出口へと固定されている。
【0025】
10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔が、前記バッフル装置のバッフルに存在し、これらの開放小孔が、前記ガス分配板の開放小孔と互い違いに配置されている。バッフルは、溶接などのやり方で前記垂直パイプに取り付けられ、前記ガス分配装置の上方50〜500mmに位置する。
【0026】
前記脱泡装置は、脱泡板の2〜6つの層を含んでおり、該脱泡板の各々の層は、前記下側炉本体の支持部材上へと固定された多数の環状板で構成され、10〜150mmの孔サイズを有する開放小孔が前記脱泡板に規則的に配置され、隣り合う2つの層の間の垂直距離が200〜1200mmであり、隣り合う2つの層の間で前記小孔が互い違いに配置されており、最も下側の層は前記バッフル装置の上方200〜1000mmに位置する。
【0027】
装置の動作の開始時に、可燃性の物質(天然ガス、ディーゼル油など)と酸素(または、酸素濃度の高い空気)とが炉内へと噴霧されて点火され、点火したか否かが、火炎観察システムによって遠方から判断される。燃焼が安定している場合に温度および圧力の上昇が開始され、燃焼が安定していない場合には再点火が行われる。炉内の圧力が0.1〜2.0MPaへと高められた後で、炭素質物質の乾燥粉末およびガス化剤(酸素および蒸気、あるいは酸素濃度の高い空気および蒸気)が炉内へと噴霧される。燃焼が安定したとき、火炎システムは停止される。圧力が指定の圧力(1.0MPa〜10MPa)へと連続的に高められ、動作が続けられる。動作の最中に、炉の温度が炉内温度観察装置によって判断され、ガス化剤に対する炭素質物質の乾燥粉末の割合が、より高い温度でのガス化炉の動作を保証するために動的に調節され、耐火材料の温度が、耐火材料の温度が安全な範囲内であることを保証するために、耐火材料温度検出装置によって監視され、生成された高温の未精製の合成ガスならびに灰およびスラグが、合成ガス冷却/精製システムによって分離および精製され、灰およびスラグがスラグ出口から排出され、未精製の合成ガスは、合成ガス出口から後続のプロセスへと運ばれる。
【0028】
本発明によってもたらされる装置は、単純な構造を有しており、安全かつ信頼性があり、運転が容易である。この装置による炭素の変換率は高い。一方で、脱泡装置および脱水/脱灰装置の処理後に、合成ガスへの水および灰の混入を効果的に減らすことができ、先行技術の装置が高負荷で動作するときのガス化における水の混入の悪化の問題が解決される。
【0029】
次に、本発明を、図面および実施例を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の構造の概略図である。
【図2】本発明の温度検出システムの概略図であり、A−A’’方向に沿った本体水冷壁の断面図である。
【図3】本発明のバッフルの平面図である。
【図4】本発明の脱泡板の平面図である。
【符号の説明】
【0031】
I 供給用入り口
II ガス化チャンバ
III 合成ガス冷却チャンバ
IV スラグ出口。
1 脱泡板
2 合成ガスクエンチャ
3 出口水冷壁
4 本体水冷壁
5 入り口水冷壁
6 炉カバー
7 産業用カメラ
8 透明材料層
9 遮断バルブ
10 観察管
11 保護ガス入り口フランジ
12 入り口水冷壁の内側の耐火材料
13 入り口水冷壁の外側の耐火材料
14 炉本体
15 上側炉本体の内側の耐火材料
16 水冷壁の内側の耐火材料
17 支持板
18 円すい形のディスク
19 出口フランジ
20 合成ガス出口
21 脱水/脱灰装置
22 垂直パイプ
23 バッフル
24 ガス分配板
25 液体スラグ
26 固体スラグ
27 耐火材料温度検出装置
28 炉内温度検出装置
29 脱泡板の支持部材。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の構造、動作原理、および好ましい実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。
【0033】
図1〜4に示すように、本発明の装置は、炉殻システム、ガス化チャンバシステム、合成ガス冷却/精製システム、火炎観察システム、および温度監視システムを備えている。
【0034】
炉殻システムは、炉本体14、炉カバー6、および円すい形ディスク18を備えている。炉本体14は、円筒形の構造であり、炉カバー6は、円筒形の大型フランジであり、その真ん中に円形の通路が存在している。炭素質物質の乾燥粉末およびガス化剤(酸素および蒸気、あるいは酸素濃度の高い空気および蒸気)が、バーナからガス化チャンバIIへと炉カバーのフランジの円形の通路を通って噴霧される。炉本体は、円すい形のディスク18によって2つの部分に分割され、すなわち上側炉本体および下側炉本体へと分割されている。上側炉本体が、ガス化チャンバIIおよびガス化チャンバIIの周囲の環状の空洞II−1を備えており、下側炉本体が、合成ガス冷却/精製チャンバIIIを備えている。耐火材料の層が、一方では種々の理由によって引き起こされる炉本体の過熱損傷を防止し、他方では炉本体の温度を低下させ、熱損失を少なくするために、上側炉本体の内面に5〜100mmの厚さで一様にコートされている。ステンレス鋼の層が、水スラグによって引き起こされる炉の腐食を防止するとともに、使用されるステンレス鋼の量を少なくするために、下側炉本体の内面を覆っている。
【0035】
ガス化チャンバシステムは、入り口水冷壁5、本体水冷壁4、および出口水冷壁3を備えている。炭素質物質の乾燥粉末および入り口ノズルから噴き込まれるガス化剤(酸素および蒸気、あるいは酸素濃度の高い空気と蒸気)が、ガス化チャンバにおいて高温および高圧(温度:1200℃〜2000℃、圧力:1MPa〜10MPa)の下で急速かつ不完全に反応し、COおよびHを主成分とする高温の合成ガスと、液体スラグと、無機塩を主成分とする高温の細かい灰とが生成される。反応生成物は、出口水冷壁3から合成ガス冷却/精製チャンバIIIへと流れる。入り口水冷壁5、本体水冷壁4、および出口水冷壁3は、いずれもらせんコイルの形態である。入り口水冷壁5が、溶接によって炉カバー6に接続され、本体水冷壁4が、上側炉本体の支持板17へと固定され、上側炉本体の支持板17は、周状に一様に分布した2つ以上の予め溶接された部材で構成されており、出口水冷壁3は、溶接によって出口フランジ19へと固定され、出口フランジ19は、円すい形のディスク18に固定的に接続されている。入り口水冷壁5、本体水冷壁4、および出口水冷壁3の協働によって形成される内部空間が、ガス化チャンバIIである。ガス化チャンバに面する水冷壁の内面は、5〜50mmの厚さを有する高温耐火材料の層(入り口水冷壁の内側の耐火材料12、水冷壁の内側の耐火材料16)で一様に覆われ、ここでは入り口水冷壁の内側および外側の両方が、高温耐火材料(入り口水冷壁の内側の耐火材料12、入り口水冷壁の外側の耐火材料13)で覆われている。
【0036】
耐火材料の主成分は、炭化ケイ素であり、60〜90%、好ましくは75〜85%の範囲の炭化ケイ素含有量の製品を、市場で購入することができる。
【0037】
合成ガス冷却/精製システムは、合成ガスクエンチャ2、垂直パイプ22、ガス分配装置24、バッフル23、脱泡板1、脱水/脱灰装置21、および合成ガス出口20を備えている。出口水冷壁3から合成ガス冷却チャンバIIIへと流れる高温の混合物は、液体スラグ25が固体スラグ26へと変化して粘性を失う一方で、合成ガスおよび細かい灰の温度が下げられ、垂直パイプ22の焼損が防止されるよう、最初に合成ガスクエンチャ2によって急冷される。この予備的な冷却後の灰およびスラグを含む合成ガスが、水膜で覆われた垂直パイプ22を通ってスラグプールへと流れ、スラグプールの水と混ざり合うことで、一方では灰およびスラグを含む合成ガスの温度がさらに下がり、他方では合成ガス中の灰およびスラグが取り除かれる。垂直パイプ22の下部が、滑らかな移行を介してトランペット状のガス分配装置24に接続されているが、ガス分配装置24は、例えば小孔を有する環状の板または鋸歯を有するいくつかの円形ガードルなど、必要に応じてさまざまな形態の構造であってよい。10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔がガス分配装置24に存在し、合成ガスの一部がこれらの開放小孔から上方へと流れ、合成ガスの残りの部分がガス分配板24の底部から上方へと流れる。バッフル23が、ガス分配板24の上方に配置され、10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔がバッフル23に存在し、これらの開放小孔がガス分配板24の開放小孔と互い違いに配置されることで、ガス分配板24の開放小孔から流れる未精製の合成ガスの流れの方向(とりわけ、未精製の合成ガス中の細かい灰の移動方向)が変化させられ、結果としてスラグ水の灰捕捉効果が補強され、未精製の合成ガス中の灰が少なくなり、大きな気泡の発生が防止される。脱泡板1の2〜6つの層が、バッフル23の上方に配置され、脱泡板の各々の層が、下側炉本体の脱泡板支持部材29へと固定された多数の環状板で構成されている(図4を参照)。10〜150mmの孔サイズを有する開放小孔が脱泡板1に規則的に配置され、隣り合う2つの層の間で小孔が互い違いに配置されていることで、未精製の合成ガスの流れの方向が絶えず変化させられ、結果として未精製の合成ガスへの水および灰の混入のための運動エネルギが小さくなり、未精製の合成ガスへの水および灰の混入が少なくなる。脱泡板1を通って流れた合成ガスは、脱水/脱灰装置21を通過し、合成ガスに混入した水がさらに分離される。上述のプロセスの実行後に、未精製の合成ガスは、合成ガス出口から後続の工程へと移送される。スラグプールのスラグは、スラグ出口から断続的に排出される。
【0038】
火炎観察システムは、観察管10、保護ガス入り口フランジ11、遮断バルブ9、透明材料層8、および産業用カメラ7を備えている。観察管10が、炉カバー6を貫いて入り口水冷壁の内側の耐火材料12に埋め込まれ、ガス化チャンバIIに連絡する穴が、観察管の下部に維持されている。保護ガスは、観察管がガス化チャンバIIの高温の塵埃などによって塞がれることがないよう、保護ガス入り口フランジ11から観察管10へと流される。産業用カメラ7が、透明材料層8を通して観察管10によってガス化チャンバII内の燃焼状況を観察し、得られた情報を装置の制御室へと返送し、制御室において運転員が燃焼状況を監視することができる。
【0039】
温度監視システムは、炉内温度検出装置28および耐火材料の温度検出装置27を備えている。炉内温度検出装置28のヘッドが、0〜15mmだけ耐火材料から突き出しており、炉内温度検出装置28の層が、本体水冷壁の垂直部分の上部から下方へと800〜1800mmの高さごとに配置され、2〜6個の炉内温度検出装置28が、各層において各層の周方向に配置され、炉内温度検出装置28が、ガス化の動作の最中に各々の検出場所の液体スラグおよび固体スラグの遷移位置の温度を得ることによって、炉内の温度場の分布状況を取得する。炉内温度検出装置28の測定値は、炉内の温度が高すぎる場合に急上昇し、その場合には物質のO/C比を下げるように調節すべきである。調節が間に合わない場合、耐火材料の温度検出装置によって検出される温度が安全温度を超え、その場合には、ガス化炉の損傷を防止し、設備の安全を保証するために、ガス化炉を即座に停止しなければならない。耐火材料の温度検出装置27は、耐火材料の表面から0〜20mmだけ内側に位置し、耐火材料の温度検出装置27の層は、同様に本体水冷壁の垂直部分の上部から下方へと800〜1800mmの高さごとに配置され、2〜6個の温度検出装置27が、各層において各層の周方向に配置されている。耐火材料の温度検出装置27は、各々の監視場所における耐火材料の温度のリアルタイム監視によって、炉内の耐火材料の温度場の分布状況を取得する。装置の動作状態を、炉内の温度場の分布を監視する温度検出システムによってリアルタイムで知ることができ、スラグサンプルの観察または合成ガスの成分の検出などの間接的な手段によって装置の動作を判断する場合の時間遅延および主観性が強いという欠点を回避することができる。これは、炉内の温度が常に高いレベルにあることを保証し、ガス化の効率を向上させ、運転を簡単にするだけでなく、装置の異常な動作によって引き起こされる耐火材料および水冷壁の損傷を効果的に防止する。
【0040】
本発明の基本的な原理は、炭素質物質の乾燥粉末およびガス化剤(酸素および蒸気、あるいは酸素濃度の高い空気と蒸気)が、高温および高圧(温度:1200℃〜2000℃、圧力:1MPa〜10MPa)の下で急速かつ不完全に反応して、高温の合成ガス(その主成分は、COおよびHである)と、液体スラグと、フライアッシュ(その主成分は、無機塩である)とが生成され、急冷および脱灰のプロセスを経て未精製の合成ガスが得られるというものである。
【0041】
装置の動作の開始時に、点火のための燃料(天然ガス、ディーゼル油など)およびガス化剤(酸素または酸素濃度の高い空気)が、供給用の入り口Iを介してバーナからガス化チャンバIIへと噴霧され、点火される。ガス化チャンバIIにおける燃焼の状況が、火炎観察システムによって観察される。火炎が検出されない場合、燃料およびガス化剤の注入を直ちに停止し、爆発の事故を防止するために置換のためのチッ素を注入しなければならない。炎が検出される場合には、ガス化チャンバIIの圧力および温度の両方が特定の値(圧力:0.1〜2.0MPa、温度:300〜1500℃)に達するまで、点火用の燃料およびガス化剤のガス化チャンバIIへの噴霧が続けられ、その後に炭素質物質の乾燥粉末およびガス化剤が比例的に噴霧される。このときまで、ガス化チャンバII内の燃焼状況が火炎観察システムによって引き続き観察され、燃焼が安定すると、観察システムの遮断バルブ9が閉じられ、ガス化チャンバII内の圧力および温度が引き続き上昇する。
【0042】
装置の圧力および温度が通常の操業(動作)状態(温度:1200℃〜2000℃、圧力:1MPa〜10MPa)へと高められるとき、炉本体14が、主たる圧力閉じ込め部材であり、水冷壁3、4、5が、主たる高耐熱部材である。保護ガスとしての二酸化炭素が、ガス化チャンバIIの圧力よりもわずかに高い圧力で、上側炉本体14と水冷壁3、4、5との間の環状の空洞へと連続的に流される。炭素質物質の乾燥粉末およびガス化剤が比例的にガス化チャンバIIへと連続的に噴霧され、高温および高圧の環境において急速かつ不完全に反応し、一酸化炭素および水素を主成分とする高温の合成ガス、液体スラグ、および細かい灰が形成される。液体スラグの一部が、合成ガスおよび細かい灰と一緒に合成ガス冷却チャンバIIIに向かって直接流れる一方で、液体スラグの残りの部分が、水冷壁へと飛ばされ、水冷壁においてスラグの2つの層、すなわち固体スラグ26の層および液体スラグ25の層が形成され、固体スラグが水冷壁の耐火材料16へと付着する一方で、固体スラグに接した液体スラグが、水冷壁に沿って出口フランジを介して重力の作用の下で合成ガス冷却チャンバIIIへと連続的に流入する。ガス化チャンバおよび耐火材料の温度が、炉内温度検出装置28および耐火材料の温度温度検出装置27の値を観察することによって監視され、ガス化チャンバIIの温度が、すべての検出場所が過熱ではない条件下で炭素質物質の乾燥粉末およびガス化剤の割合を調節することによって高められる。
【0043】
ガス化チャンバIIから合成ガス冷却チャンバへと流れる高温の合成ガス、液体スラグ、およびフライアッシュが、合成ガスクエンチャ2の作用の下で急冷され、液体スラグおよびフライアッシュの両者の温度がそれらの融点よりも低い温度へと低下し、粘性を失い、垂直パイプ22の損傷が防止される。合成ガス、高温の固体スラグ、およびフライアッシュが、垂直パイプ22において放射および対流によって熱を交換することで、温度がさらに低下し、合成ガス中の蒸気含有量が増加する。垂直パイプ22から流れ出る固体スラグおよび細かい灰は、大部分は重力および慣性の作用の下でスラグプールへと流れ、スラグ水によって捕捉され、スラグプール内の合成ガスの一部が、ガス分配板24の小孔に沿って流出し、合成ガスの残りの部分は、ガス分配板24の底から上方へと流れ出る。ガス分配板24から流れ出る合成ガスは、一方ではスラグ水の灰捕捉効果を強化して未精製の合成ガス中の灰を少なくし、他方では大きな気泡の発生を防止(負荷増大時に灰および水の混入を避ける上で有利)するバッフル23の作用の下で流れの方向を変える。未精製の合成ガスは、未精製の合成ガスへの水および灰の混入のための運動エネルギが減少し、合成ガスへの水および灰の混入が少なくなるよう、バッフル23の上方の脱泡板1の層を通って流れ、流れの方向を連続的に変化させる。脱泡板を通って流れる合成ガスは、脱水/脱灰装置21を通過し、合成ガスに混入した水がさらに分離され、合成ガスへの水および灰の混入がさらに少なくなり、とりわけ高負荷条件の下での水および灰の混入という深刻な事態を防止することができる。上述の手順後の処理後の未精製の合成ガスは、合成ガス出口20から後続のプロセスへと移送される。また、スラグプールのスラグは、スラグ出口IVから断続的に排出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉殻システムと、ガス化チャンバシステムと、合成ガス冷却/精製システムとを備えており、前記炉殻システムが、円筒形構造の炉本体と、円すい形のディスクとを備え、供給用入り口が前記炉本体の上部に位置し、スラグ出口が前記炉本体の底部に位置し、合成ガス出口が前記炉本体の中ほどに設けられ、前記炉本体が、前記円すい形のディスクによって上側炉本体および下側炉本体に分割され、前記上側炉本体が、該上側炉本体に配置されたガス化チャンバを備え、前記下側炉本体が、該下側炉本体に配置された合成ガス冷却/精製チャンバを備えている固体燃料ガス化装置であって、
前記ガス化チャンバが、水冷壁構造を有し、耐火材料の層が、前記水冷壁の内側を一様に覆っており、環状の空洞が、ガス化チャンバの前記水冷壁と前記炉本体との間に存在し、
合成ガス冷却装置と、垂直パイプと、ガス分配装置と、脱泡装置と、脱水/脱灰装置とを備える精製システムが、前記合成ガス冷却チャンバに設けられ、前記合成ガス冷却装置が、前記ガス化チャンバの底部に位置する前記円すい形のディスクに接続され、前記垂直パイプが、前記ガス化チャンバの底部の中央に位置する出口フランジによって前記合成ガス冷却装置に接続されるとともに、前記ガス化チャンバの底部の中央に接続され、トランペット状のガス分配装置が、滑らかな移行にて前記垂直パイプの下部に接続され、バッフル装置が、前記ガス分配装置の上方に配置され、脱泡装置が、前記バッフル装置の上方100〜800mmに配置され、脱水/脱灰装置が、前記脱泡装置の最上層の脱泡板の上方100〜800mmに配置されている、
ことを特徴とする固体燃料ガス化装置。
【請求項2】
装置の動作の開始時にのみ使用される火炎観察システムをさらに備えており、該火炎観察システムが、下方から上方への順で観察管、遮断バルブ、透明材料層、および産業用カメラを備えており、保護ガスの入り口フランジが、前記炉本体の上部に位置する前記供給用入り口の炉カバーを貫いて入り口水冷壁の内側の耐火材料に埋め込まれた前記観察管の側壁に接続され、観察穴が、前記ガス化チャンバに連絡するように前記観察管の下部に維持され、保護ガスが、前記保護ガスの入り口フランジから前記観察管へと流され、前記産業用カメラが、透明材料層を通して前記観察管によって前記ガス化チャンバ内の点火状況を観察し、得られた情報を装置の制御室へと送り返すことを特徴とする請求項1に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項3】
温度監視システムをさらに備えており、該温度監視システムが、本体水冷壁の種々の高さにおいて周方向に配置されたいくつかの炉内温度検出装置を備えており、該炉内温度検出装置が、リアルタイムで炉内の温度を監視すべく0〜15mmだけ水冷壁の耐火材料から突き出していることを特徴とする請求項1または2に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項4】
前記温度監視システムが、種々の高さにおいて周方向に配置されたいくつかの耐火材料温度検出装置を備えており、該耐火材料温度検出装置が、リアルタイムで耐火材料の温度を監視すべく水冷壁の耐火材料の表面から内側に0〜20mmに位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項5】
耐火材料の5〜100mmの層が、前記上側炉本体の内面を一様に覆っており、耐食性のステンレス鋼の層が、前記下側炉本体の内面を覆っていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項6】
前記ガス化チャンバシステムが、いずれもらせんコイルの形態である入り口水冷壁、本体水冷壁、および出口水冷壁で構成され、前記入り口水冷壁が、溶接によって炉カバーに固定的に接続され、前記本体水冷壁が、前記上側炉本体の支持板へと固定され、前記上側炉本体の支持板は、周状に一様に分布した2つ以上の予め溶接された部材で構成されており、前記出口水冷壁は、溶接によって前記ガス化チャンバの出口フランジに固定的に接続され、前記出口フランジは、前記円すい形のディスクに固定的に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項7】
前記入り口水冷壁の内側および外側の両方が、高温耐火材料で覆われる一方で、前記本体水冷壁および前記出口水冷壁の内側だけが、高温耐火材料で覆われており、前記高温耐火材料は、炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項8】
前記ガス分配装置の構造が、小孔および/または鋸歯を有するいくつかの円形ガードルを備える環状板の形態であり、10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔が、前記ガス分配装置に存在していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項9】
10〜150mmの孔サイズを有する複数の開放小孔が、前記バッフル装置のバッフルに存在し、該開放小孔が、前記ガス分配装置の開放小孔と互い違いに配置されていることを特徴とする請求項8に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項10】
前記脱泡装置が、脱泡板の2〜6つの層を含んでおり、該脱泡板の各々の層が、前記下側炉本体の脱泡板支持部材へと固定された多数の環状板で構成されており、10〜150mmの孔サイズを有する開放小孔が前記脱泡板に規則的に配置され、隣り合う2つの層の間で前記小孔が互い違いに配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体燃料ガス化装置。
【請求項11】
炭素質物質の乾燥粉末の高温高圧ガス化方法であって、
装置の動作の開始時に、天然ガスおよびディーゼル油などの可燃性の物質と酸素(または、酸素濃度の高い空気)とが炉へと噴霧されて点火され、点火したか否かが火炎観察システムによって遠方から判断され、燃焼が安定している場合には温度および圧力の上昇が開始され、燃焼が安定していない場合には再点火が行われ、
炉内の圧力が0.1〜2.0MPaへと高められた後で、炭素質物質の乾燥粉末ならびに酸素および蒸気(あるいは、酸素濃度の高い空気および蒸気)からなるガス化剤が炉内へと噴霧され、前記火炎観察システムは、燃焼が安定している場合に停止され、圧力が1.0MPa〜10MPaの指定の圧力へと連続的に高められ、動作が続けられ、動作の最中に炉の温度が炉内温度観察装置によって判断され、ガス化剤に対する炭素質物質の乾燥粉末の割合が、より高い温度でのガス化炉の動作を保証するために動的に調節され、耐火材料の温度が、耐火材料の温度が安全な範囲内であることを保証するために、耐火材料温度検出装置によって監視され、
生成された高温の未精製の合成ガスならびに灰およびスラグが、合成ガス冷却/精製システムによって分離および精製され、灰およびスラグがスラグ出口から排出され、未精製の合成ガスは、合成ガス出口から後続のプロセスへと移送される、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515789(P2013−515789A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545044(P2012−545044)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001558
【国際公開番号】WO2011/075878
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512163657)チャンチョン エンジニアリング カンパニー リミティド (3)