点字情報処理装置、点字情報処理装置の制御方法、プログラム、記録媒体および点字作成装置
【課題】1級点字および2級点字を使い分けることができる点字情報処理装置を提供する。
【解決手段】入力された文字情報を、1級点字表記処理規則および2級点字表記処理規則のいずれかに基づいて点字パターンに変換する点字パターン変換手段と、入力環境を、1級点字表記処理規則を用いる1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いる2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定手段と、を備え、点字パターン変換手段は、入力環境が1級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、入力環境が2級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換する。
【解決手段】入力された文字情報を、1級点字表記処理規則および2級点字表記処理規則のいずれかに基づいて点字パターンに変換する点字パターン変換手段と、入力環境を、1級点字表記処理規則を用いる1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いる2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定手段と、を備え、点字パターン変換手段は、入力環境が1級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、入力環境が2級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点字表記処理規則に基づいて文字情報を点字に変換する点字情報処理装置、点字情報処理装置の制御方法、プログラム、記録媒体および点字作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者が認識可能な点字をテープに配置し、点字打刻を実行することで、視覚障害者が認識可能なテープ(点字専用テープ)を作成できる文字情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、入力された文字情報を、点字表記処理規則(英語(アルファベット)の点字表記処理規則等)に基づいて変換し、点字を生成している。
【特許文献1】特開2001−88358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、英語の点字表記処理規則には、1級点字表記処理規則(Grade1)の他に2級点字表記処理規則(Grade2)があり、2級点字表記処理規則に基づいて点字を作成する場合は、点字作成者が2級点字表記処理規則を理解していることが必要となる。このため、点字の理解に乏しい人が2級点字を作成することは困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、点字についての理解が乏しい人でも、容易に1級点字および2級点字を使い分けることができる点字情報処理装置、点字情報処理装置の制御方法、プログラム、記録媒体および点字作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の点字情報処理装置は、入力された文字情報を、1級点字表記処理規則および2級点字表記処理規則のいずれかに基づいて点字パターンに変換する点字パターン変換手段と、入力環境を、1級点字表記処理規則を用いる1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いる2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定手段と、を備え、点字パターン変換手段は、入力環境が1級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、入力環境が2級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の点字情報処理装置の制御方法は、入力された文字情報を点字パターンに変換する点字情報処理装置の制御方法であって、入力環境を、1級点字表記処理規則を用いて点字パターンに変換する1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いて点字パターンに変換する2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定工程と、入力環境が1級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、入力環境が2級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換する点字パターン変換工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、入力環境を、1級点字モードおよび2級点字モードのいずれか一方を設定することで、入力された文字情報をそれぞれの点字モードに対応した点字表記処理規則に基づいて、自動的に点字パターンに変換することができる。これにより、点字についての理解が乏しい人でも、容易に1級点字および2級点字を使い分けることができ、所望の点字を作成することができる。
【0008】
この場合、入力環境設定手段により設定された点字モードを報知する報知手段を、更に備えたことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、設定された点字モードを報知することにより、ユーザは現在の点字モードが1級点字モードか2級点字モードかを容易に識別することができる。なお、報知手段は、インジケータのランプの点灯によるものでもよいし、画面に文字表示するものでもよい。さらには、音により報知するようにしてもよい。
【0010】
この場合、文字情報および文字情報に基づいて生成される点字情報を含むファイルを記憶部に保存するファイル保存手段と、記憶部に保存したファイルを呼び出すファイル呼出手段と、を更に備え、ファイル保存手段は、ファイルと共に当該ファイルが作成された時点の点字モードを個別点字モードとして、更に記憶することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、作成した各種情報をファイルとして保存し、呼び出すことができるため、一度作成した点字等の再利用が可能となる。また、ファイル作成時の点字モードを個別点字モードとして保存するため、点字モード毎にファイルを区別して管理する必要がなく、ファイル管理が簡単にできる。
【0012】
この場合、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルの個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードとが異なる場合、点字モードを個別点字モードに変更して設定する点字モード設定手段を更に備えたことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、作成したファイルを改めて呼び出す場合、ファイル呼び出し前に設定されている点字モードを前回作成した時と同じ点字モード(個別点字モード)に設定することができる。これにより、呼び出したファイルの個別点字モードを把握していなくても、前回と同じモードで、ファイルの編集等の作業を行うことができる。
【0014】
この場合、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルを編集する編集手段を更に備え、編集手段は、呼び出されたファイルの個別点字モードにかかわらず当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードに基づいて当該ファイルを編集し、ファイル保存手段は、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルの個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードとが異なる場合、ファイルの個別点字モードを設定されている点字モードに変更して保存することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、常に、その時点で設定されている点字モードに基づいて点字作成やファイルの編集ができるため、ユーザは設定されている点字モードのみを意識して作業が行える。
【0016】
これらの場合、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルの個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードとが異なる場合、個別点字モードと設定されている点字モードとが異なる旨および点字モードを変更する旨の少なくとも一方を報知することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、作業時の点字モードおよび点字モードの変更の少なくとも一方を報知することにより、ユーザの意図しない点字モードでの作業を回避することができる。
【0018】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の点字情報処理装置の制御方法における各工程を実行させるためのものであることを特徴とする。
【0019】
本発明の記録媒体は、上記のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出し可能に記憶することを特徴とする。
【0020】
これらを用いることにより、入力環境を1級点字モードまたは2級点字モードに設定することで、入力された文字情報を1級点字または2級点字に変換することが可能な点字情報処理装置の制御方法を実現することができる。
【0021】
本発明の点字作成装置は、請求項1ないし6のいずれかに記載の点字情報処理装置における各手段と、点字パターン変換手段により変換された点字パターンに基づいて点字打刻する点字打刻手段と、を備えたことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、入力環境を1級点字モードまたは2級点字モードに設定することで、入力された文字情報を1級点字パターンまたは2級点字パターンに変換すると共に、点字打刻することが可能な点字作成装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る点字情報処理装置、点字情報処理装置の制御方法、プログラム、記録媒体および点字作成装置について説明する。本発明は、入力された文字情報を1級点字表記処理規則(Grade1)に基づいて1級点字パターンに変換する1級点字モード、および文字情報を2級点字表記処理規則(Grade2)に基づいて2級点字パターンに変換する2級点字モードのいずれかの点字モードに設定することで、文字情報をそれぞれの点字モードに対応した点字表記処理規則に基づいて、自動的に点字パターンに変換することができるものである。なお、1級点字モードは、入力された文字情報(アルファベット)の各1文字を点字1マスに対応させて表示する点字モードであり、2級点字モードは、入力された文字情報が頻繁に使用される英単語であれば、その英単語を省略して(省略形で)表示する点字モードである。
【0024】
そこで、本発明の点字情報処理装置を、視覚障害者が認識可能な点字と、視覚障害を有しない晴眼者が認識可能な墨字とを同一テープに配置することで、視覚障害者と晴眼者の両者が認識可能な点字ラベルを作成するためのラベル作成装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0025】
図1は、ラベル作成装置1の閉蓋状態の外観斜視図であり、図2は、ラベル作成装置1の開蓋状態の外観斜視図である。また、図2は、点字打刻を行う点字打刻部110を分かり易く示すため、装置ケース2の一部を切り欠いて示している。両図に示すようにラベル作成装置1は、装置ケース2により外郭が形成されており、当該装置ケース2は、その前半部上面にキーボード3が配置され、後半部上面には開閉蓋4が取り付けられている。開閉蓋4の内側には、テープカートリッジCから繰り出されるテープTに対して墨字印刷(文字や記号等のキャラクタの印刷)を行う墨字印刷部90を有し、開閉蓋4の右側(装置ケース2の後半右部)には、テープTが前半部から手差し挿入されることにより点字打刻を行う点字打刻部110を有している。
【0026】
開閉蓋4の表側には、長方形の形状を有するディスプレイ5が形成されると共に、開閉蓋4の内側左部には、テープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6(墨字印刷部90)が窪入形成されており、テープカートリッジCは、蓋体開放ボタン7の押下により開閉蓋4が開放された状態でカートリッジ装着部6に着脱自在に装着される。
【0027】
ディスプレイ5は、ユーザがキーボード3を用いて入力した文字情報や6点点字情報を表示したり、その入力情報に基づいて、墨字印刷を行うための墨字データや、点字打刻を行うための点字データを作成・編集したりする際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
【0028】
一方、装置ケース2上面には、各種入力キーを備えたキーボード3と、電源ON状態であることを示す電源ランプ9と、点字作成時点の点字モードを表示するためのインジケータ10とが配置されており、キーボード3には、文字キー群3aおよび各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。
【0029】
文字キー群3aは、文字情報を入力するためのものであり、JIS配列に基づいたフルキー構成となっている。なお、文字情報とは、墨字印刷を行うための墨字データや点字打刻を行うための点字データを作成する際に入力される情報を指すものであり、同一の文字情報に基づいて墨字印刷および点字打刻を実行させることも可能であるし、別々の文字情報に基づいて、それぞれ墨字印刷および点字打刻を行うことも可能である。
【0030】
機能キー群3bには、処理モードを選択するための「モード選択キー」、墨字印刷処理および点字打刻処理の少なくとも一方を開始させるための「実行キー」、点字打刻部110におけるテープTの送り開始を指示するための「送り開始キー」、手動により点字打刻を開始させるための「打刻開始キー」、点字モードの設定画面に移行するための「点字環境キー」、入力情報を点字に変換するための「点訳キー」等が含まれる。
【0031】
また、機能キー群3bには、これら以外にも一般のワードプロセッサ等と同様に、処理の取り消し等のための「取り消しキー」、カーソル移動用の「カーソルキー」、各種選択(指定)画面における選択肢を選択する「上下キー(左右キー)」、決定やテキスト入力時の改行のための「決定キー(選択改行キー)」等が含まれる。
【0032】
モード選択キーでは、墨字/点字処理モード:墨字点字併記、墨字処理モード:墨字のみ、点字処理モード:点字のみのいずれかを選択可能となっており、墨字/点字処理モードが選択された場合は、墨字印刷処理の後、点字打刻処理を実行する。これは、先に点字打刻を行うと、打刻によって形成された打刻凸部72(図3参照)によって印刷した墨字Pの一部が掠れてしまうなどの不具合を無くすためである。また、墨字処理モードが選択された場合は、一般的なテープ印刷装置として墨字印刷処理を実行し、点字処理モードが選択された場合は、点字打刻装置として点字打刻処理を実行する。
【0033】
また、設定された入力環境を表示するインジケータ10は、単色のLED(発光ダイオード)であり、入力環境が1級点字モードであることを示す1級点字ランプ10aと、2級点字モードであることを示す2級点字ランプ10bとから構成されており、各LEDの点灯により設定されている点字モードを報知するようになっている。なお、1級点字モードとは、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字用文字情報および1級点字パターンに変換する点字モードであり、2級点字モードとは、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字用文字情報および2級点字パターンに変換する点字モードである。また、これら点字モードは、ユーザが選択して設定することが可能であり、これにより、ユーザが所望する点字パターンを作成することができる(詳細は後述する)。
【0034】
装置ケース2の右側部中央には、電源供給のための電源供給口11が形成されており、前半右部には、パーソナルコンピュータ等の外部装置(図示省略)と接続するための接続口12(インタフェース)が形成されている。そして、当該接続口12に外部装置を接続することで、外部装置によって生成された文字情報に基づいて墨字印刷や点字打刻を行い得るようになっている。また、装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通する印刷テープ排出口13が形成され、この印刷テープ排出口13には、墨字印刷部90から送り出したテープTを切断するためのテープカッタ14(切断部100、図6参照)が臨んでいる。そして、テープカッタ14によってテープTが切断されることにより、印刷テープ排出口13から墨字印刷後のテープTが排出される。
【0035】
ここで墨字印刷部90(カートリッジ装着部6)および点字打刻部110廻りの構成について説明する。カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー15内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド17が内蔵されたヘッドユニット16と、印刷ヘッド17に対峙するプラテン駆動軸(図示省略)と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸(図示省略)と、後述のテープリール21の位置決め突起18と、を備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸および巻き取り駆動軸を回転させる印刷送りモータ91(図6参照)が内蔵されている。
【0036】
テープカートリッジCは、カートリッジケース20内部の上部中央部に、一定の幅のテープTを巻回したテープリール21と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール22とを収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール21の左下部には上記ヘッドユニット16を覆うヘッドカバー15に差し込むための貫通孔23が形成されており、テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、上記プラテン駆動軸に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ24が配置されている。一方、上記リボンリール22に近接してリボン巻き取りリール25が配置され、リボンリール22から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー15を周回するように配置されたリボン巻き取りリール25に巻き取られるようになっている。
【0037】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー15に貫通孔23が、位置決め突起18にテープリール21の中心孔21aが、巻き取り駆動軸にリボン巻き取りリール25の中心孔がそれぞれ差し込まれ、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド17がプラテン駆動軸(プラテンローラ24)に当接して墨字印刷が可能になる。そして、墨字印刷後のテープTは、印刷テープ排出口13に送られる。
【0038】
テープTは、特に図示しないが、裏面に粘着剤層が設けられた樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート製)の記録シートと、この粘着剤層により記録シートに貼付された樹脂(例えばポリエチレン/ポリプロピレン共重合体)製の剥離シートとから構成されており、記録シートの印刷面は、熱転写によるインクの乗りを良好にするために加工されている。
【0039】
また、テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、墨字インク色、テープ材質など)が異なる複数種のものが用意されており、この種別を指標する複数の孔(図示省略)がカートリッジケース20の裏面に設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)26(図6参照)が複数設けられており、このテープ識別センサ26の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0040】
一方、装置ケース2の後半右部には、その内部に点字打刻を行う打刻アッセンブリ(点字打刻部110)が組み込まれ、その上面にはこれを覆うように打刻部カバー30が取り付けられている。また、この打刻部カバー30の手前側にはユーザによりテープTが手差し挿入される(導入される)打刻テープ挿入口31が、また奥側には点字打刻後のテープTが排出される打刻テープ排出口32が、テープ走行路(送り経路)55に沿って下り傾斜となるようにそれぞれ窪入形成されている。さらに、打刻テープ挿入口31付近には、テープ幅方向に幅調整可能な手差しガイド33が設けられている。
【0041】
点字打刻部110は、3個の打刻ピン(打刻ヘッド)41(図4(b)参照)により点字打刻を行う打刻ユニット40と、テープTが搬送されるテープ走行路55と、打刻テープ挿入口31に挿入されたテープTを、テープ走行路55に沿って打刻テープ排出口32に向けて送るテープ送りユニット60とを有し、テープ走行路55を構成するフレームにこれらのユニットが組み込まれて打刻アッセンブリが構成され、装置ケース2に装着されるようになっている。また、テープ走行路55に沿ってテープ送りユニット60の駆動により送られてゆくテープTに対し、打刻ユニット40により3個の打刻ピン41を選択的に駆動することで点字Bが形成される。
【0042】
ここで、図3を参照し、テープT(T3:テープ幅12mm)上に形成される点字B(6点点字B)について説明する。同図は、文字情報「e」を表す点字(点字データ)Bを示す図である。同図に示すように、6点点字Bは、縦3個×横2個の6個の点(打刻ポイント)で1マス70が構成され、当該1マス70で、1文字または外字符等の属性が表現される。すなわち、縦3個の打刻列が2列以上配列されて点字配列が形成される。同図では、左側の1マス70aは、点字Bがアルファベットであることを示す外字符であり、右側の1マス70bは、アルファベットの「e」であることを示している。
【0043】
6点点字Bは、1マス70が縦3個×横2個の配置パターンで6個の打刻ポイント71a〜71fに分割されており、左側の1マス70aでは、6個の打刻ポイント71a〜71fのうち2個の打刻ポイント71e,71fが選択的に打刻されて、テープT上に2個の打刻凸部72e,72fが形成されている様子を示している(外字符を表す)。また、右側の1マス70bでは、2個の打刻ポイント71a、71eが選択的に打刻されて、テープT上に2個の打刻凸部72a、72eが形成されている様子を示している(アルファベット「e」を表す)。なお、6個の打刻凸部72は、縦方向のピッチが略2.4mm、横方向のピッチが略2.4mm、隣接マスの点までの(マス間)ピッチは略3.2mmとなっている。
【0044】
次に、図4を参照し、打刻ユニット40の詳細な構成について説明する。同図(a)は打刻ユニット40を図1における上側から見た平面図であり、同図(b)は打刻ユニット40の断面図である。同図(a)は、墨字印刷後のテープT(テープ幅12mm)が、打刻テープ挿入口31から手差し挿入によりテープ走行路55に送り込まれ、打刻テープ排出口32に向かってテープTが送られてゆく状態を示したものである。
【0045】
両図に示すとおり、打刻ユニット40は、3個の打刻ピン41を備えた打刻部材42と、これら打刻ピン41の突き上げ(打刻)を受ける打刻受け部材43とを備えており、打刻受け部材43の背面には、耐衝撃用のばね(図示省略)が組み込まれている。
【0046】
打刻部材42は、テープ幅方向(図示左右方向)に沿って、2.4mmの間隔で配列された3個の打刻ピン41を備えており、6個の打刻ポイント71のうち縦3個の打刻ポイント71に対応していると共に、ソレノイド44を駆動源とした直線運動をガイドする打刻ピンガイド45によって、テープTに対し垂直に保持されている。打刻ピン41の頭部46は、打刻した打刻凸部72の形状が角の丸まった円筒形となるように形成されている。
【0047】
また、各打刻ピン41の尾部には、アーム部材47の一端が半固定的に接続している。このアーム部材47には、その他端に後述するソレノイド44のプランジャー48の先端部が回動可能に接続していると共に、その中間部を回動自在に支持する支持部材49が設けられている。そして、このソレノイド44のプランジャー48は、テープTに対して垂直方向に直線運動をするように、プランジャー48と上記の打刻ピン41とは平行に配設されている。したがって、ソレノイド44によりプランジャー48が直線運動を行うと、アーム部材47が支持部材49を支点として回動し、打刻ピン41がテープTに対し裏面側から垂直方向に直線運動を行う。
【0048】
一方、打刻受け部材43は、3個の打刻ピン41と対向する面50に、3個の打刻ピン41に対応する3個の打刻受け凹部51が形成されており、これら打刻受け凹部51は、打刻ピン41の頭部形状に合わせ、角の丸まった凹型の円筒形となっている。
【0049】
そして、打刻ユニット40は、この打刻ピン41と打刻受け部材43とにより、テープTに打刻凸部72を形成する。すなわち、入力された情報に基づいて生成された点字データに対応してソレノイド44が励磁し、プランジャー48が吸引されると、打刻ピン41が打刻ピンガイド45に案内されてテープTに対して垂直方向に進み、テープTを挟んで対応する打刻受け凹部51に突き当たり、テープTに打刻凸部72を形成する。
【0050】
次に、図5を参照し、点字打刻部110におけるテープTの送り動作について説明する。上記のとおり、点字打刻部110は、打刻ピン41によりテープTに打刻凸部72を形成する打刻ユニット40、テープTが搬送されるテープ走行路55、並びにテープ走行路55に沿ってテープTを搬送するテープ送りユニット60を備えており、テープ走行路55におけるテープTの搬送をガイドするガイド部材56,57と、テープTの先端を検出する透過型の先端検出センサ58と、をさらに備えている。
【0051】
また、テープ送りユニット60は、送りローラ61と、当該送りローラ61を装置フレーム62に支持する支持部材63と、送りローラ61を回転させるための正逆回転可能な打刻送りモータ64(図6参照)とから成る。送りローラ61は、駆動ローラ(図示省略)および従動ローラ65(図2参照)から成るグリップローラであり、従動ローラ65には、形成された点字Bを押し潰すことがないよう、縦3個の打刻ポイント71(図3参照)に相当する位置の干渉を逃げるように、環状溝66が形成されている。
【0052】
打刻テープ挿入口31には、テープ幅の大きいものからテープT1(テープ幅24mm)、テープT2(テープ幅18mm)、テープT3(テープ幅12mm)が挿入可能となっており、最大テープ幅のテープT1については上下ガイド部材56,57によってガイドされ、それ以外のテープ幅のテープT2,T3については、下ガイド部材57のみによってガイドされる。例えば、最小テープ幅のテープT3を用いる場合、ユーザは、テープT3を下ガイド部材57に沿ってその先端がテープ送りユニット60(送りローラ61)に到達するまで(挿入可能な位置まで)手差し挿入する。そして、キーボード3上の「テープ送り開始キー」を押下することでテープ送りユニット60によるテープT3の送りを開始させる。そして、先端検出センサ58によるテープ先端の検出をトリガとして、点字打刻処理を開始する(生成した点字データに基づくテープ送りおよび点字打刻を行う)。このとき、テープ先端から打刻開始位置までの前余白が、打刻ユニット40(打刻ピン41)と、先端検出センサ58との間の長さL1よりも短く設定されている場合は(但し、送りローラ61の位置関係上、前余白が打刻ユニット40と送りローラ61との間の長さL2よりも長く設定されていることが前提となる)、送りローラ61を逆回転させることでテープTを送り戻し、適当な位置まで送ったところで打刻および正方向へのテープ送りを開始する。
【0053】
なお、打刻ユニット40による点字打刻処理は、先端検出センサ58によるテープ先端の検出をトリガとして開始するのではなく、ユーザがキーボード3上の「打刻開始キー」を押下することにより手動開始させることも可能である。
【0054】
次に、図6を参照し、ラベル作成装置1の制御構成について説明する。ラベル作成装置1は、操作部80と、墨字印刷部90と、切断部100と、点字打刻部110と、検出部120と、駆動部130と、これら各部と接続され、ラベル作成装置1全体を制御する制御部140と、によって構成されている。操作部80は、キーボード3、ディスプレイ5およびインジケータ10を有し、ユーザによる文字情報の入力や各種情報の表示などユーザインターフェースを司る。墨字印刷部90は、テープカートリッジC、印刷ヘッド17および印刷送りモータ(ステッピングモータ)91を有し、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に墨字データに基づく墨字を印刷する。切断部100は、テープカッタ14、およびこれを駆動するカッタモータ101を有し、印刷済みテープTを所定長さとなるように切断する。点字打刻部110は、ソレノイド44、打刻ピン41および打刻送りモータ(ステッピングモータ)64を有し、テープTを送りながらテープT上に点字データに基づく点字を打刻する。検出部120は、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ26、点字打刻部110においてテープTの先端を検出する先端検出センサ58、印刷送りモータ91の回転速度を検出する印刷部回転速度センサ121、打刻送りモータ64の回転速度を検出する打刻部回転速度センサ122を有し、各種検出を行う。駆動部130は、ディスプレイドライバ131、インジケータドライバ132、ヘッドドライバ133、印刷送りモータドライバ134、カッタモータドライバ135、打刻ドライバ136および打刻送りモータドライバ137を有し、これら各ドライバを駆動する。
【0055】
制御部140は、CPU150、ROM160、RAM170および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」と称する)180を備え、互いに内部バス190により接続されている。ROM160は、墨字印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU150で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック161と、墨字印刷を行うための文字フォントデータや点字打刻を行うための点字フォントデータの他、インジケータ10の表示制御のための制御データ等を記憶する制御データブロック162と、入力された文字情報(墨字データ等)、文字情報に基づく点字情報(点字用文字情報、点字パターン、点字データ等)および点字モードをファイルとして記憶するユーザデータブロック163とを有している。
【0056】
RAM170は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック171の他、生成した墨字データを展開した墨字印刷データを記憶する墨字印刷データブロック172と、生成した点字データを展開し、打刻列毎に各打刻ポイント(71a,71b,71cまたは71d,71e,71f)の打刻/非打刻を表現した点字打刻データを記憶する点字打刻データブロック173と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM170は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0057】
IOC180には、CPU150の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSI(パルスコントロールLSI)などにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC180は、キーボード3からの入力データや制御データをそのまま或いは加工して内部バス190に取り込むと共に、CPU150と連動して、CPU150から内部バス190に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部130に出力する。
【0058】
そして、CPU150は、上記の構成により、ROM160内の制御プログラムに従って、IOC180を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、設定された点字モードおよび入力された各種信号・データに基づいてRAM170内の各種データを処理し、IOC180を介してラベル作成装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、指定された処理モードに応じて、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御を行うと共に、インジケータ10の表示制御を行う。
【0059】
例えば、CPU150は、キーボード3より文字情報が入力されると、設定された点字モードに基づいて点字用文字情報および点字パターンを生成すると共に、墨字データや点字データを生成する。さらに墨字データおよび点字データを印刷・打刻可能な状態に展開して、墨字印刷データブロック172および点字打刻データブロック173に一時的に記憶する。また、上述の文字情報および当該文字情報に基づいて生成された点字情報は、当該点字情報が生成された時点の点字モードを含むファイルとして、ROM160内のユーザデータブロック163に記憶する。
【0060】
ここで、図7を参照し、入力環境(1級点字モードまたは2級点字モード)に基づき生成される点字の様子について説明する。英語(アルファベット)の入力環境には、入力された文字情報を1級点字表記処理規則(Grade1)に基づいて変換し、点字パターンを生成する1級点字モードと、2級点字表記処理規則(Grade2)に基づいて変換し、点字パターンを生成する2級点字モードとがある。
【0061】
1級点字表記処理規則は、入力された文字(アルファベット)1文字を点字1マスに対応させて表記する表記規則である。図7(a)に示すように、1級点字モードでは、「入力」欄に文字列「about」が入力されると、「点訳」欄には、1級点字表記処理規則に基づいて各文字を変換した「about」が表示され、「点字」欄には、変換された「about」の「a」、「b」、「o」、「u」、「t」に対応する点字パターンが表示される。なお、「点字」欄の左右両端に表示されている点字パターンは、当該点字が英単語であることを示す外国語引用符である。また、1級点字モードに設定されている場合は、前述のインジケータ10の1級点字ランプ10aを点灯させることで、現在、設定されている点字モードが1級点字モードであることを表示する。
【0062】
一方、2級点字表記処理規則は、使用頻度の高い英単語を省略(短縮)して表記する表記規則である。図7(b)に示すように、2級点字モードでは、「入力」欄に文字列「about」が入力されると、「点訳」欄には、入力された文字列(英単語)を2級点字表記処理規則に基づいて変換して表記した「ab」と表示され、「点字」欄には、変換された「ab」の「a」、「b」に対応する点字パターンが表示される。このように、2級点字モードで点字を生成することで、点字マス数を短くすることが可能となる。なお、1級点字表記処理規則と同様に、「点字」欄の左右両端の点字パターンは、外国語引用符である。また、2級点字モードに設定されている場合は、前述のインジケータ10の2級点字ランプ10bを点灯させることで、現在、設定されている入力環境が2級点字モードであることを表示する。
【0063】
ユーザは、前述の「点字環境キー」を押下することで点字環境画面に遷移し、上述の1級点字モードおよび2級点字モードを選択して設定することで、所望の点字パターンを生成することが可能となる。また、各点字モードにおいて、入力された文字情報および文字情報に基づいて生成された点字情報を、後述するファイル保存手段によりファイルとして保存することが可能であり、さらに、ファイル呼出手段により、保存したファイルを呼び出して編集することも可能である。
【0064】
なお、上述のインジケータ10は、1級点字ランプ10aおよび2級点字ランプ10bのいずれか一方を点灯させることで、現在の入力環境を表示するようにしているが、点字ランプを1つ配置し、その点字ランプの点灯/消灯により1級点字モードと2級点字モードとを区別して表示するようにしてもよい。また、ディスプレイ5に点字モードを表す文字情報を表示することで設定されている点字モードを報知してもよいし、点字モード毎に異なる電子音を発生させることで、ユーザに聴覚的に報知するようにしてもよい。
【0065】
次に、ファイル保存手段(ファイル保存処理)とファイル呼出手段(ファイル呼出処理)について説明する。ファイル保存処理は、ユーザの指示により、入力された文字情報と当該文字情報に基づいて生成された点字情報をROM160内のユーザデータブロック163に保存する。この時、当該点字情報を生成した時点の入力環境(1級点字モードまたは2級点字モード。以下、個別点字モード)の情報を付加し、これら情報を1つのファイルとして保存する。保存の際は、ファイル毎に固有の番号(ファイル番号)を付けて保存し、後述するファイル呼出処理の際は、この番号に基づいてファイルの呼び出しを行う。これにより、点字モード毎にファイルを区別して管理する必要がなく、ファイル管理が簡単にできる。
【0066】
なお、ファイル保存処理の際、ファイル番号と共に当該ファイルの内容がどの点字モードで生成されたかを示す情報を付加し、ユーザがファイルを呼び出す際に、対象ファイルが1級点字で生成されたものなのか、2級点字で生成されたものなのかを視覚的に判断できるようにしてもよい。
【0067】
ファイルの呼出処理では、上述のファイル保存処理で付けられたファイル番号をユーザが指定することで、ファイルに保存されている各種情報および個別点字モードの呼び出しを行う。このファイル呼出処理は、現在設定されている点字モード(ファイル呼び出し前に設定されている点字モード)をファイルから呼び出した個別点字モードに変更して設定し(点字モード設定手段)、当該ファイルの編集等を個別点字モードで行う第一の方法と、ファイルから呼び出された個別点字モードにかかわらず、現在設定されている点字モードに基づいて当該ファイルの編集等を行う第二の方法とがある。なお、上述の2つの方法は、モード設定等により、ユーザが選択して設定できるようにしてもよい。
【0068】
第一の方法では、ファイル呼出処理によって呼び出されたファイルの各種情報は、編集可能な状態でディスプレイ5上に表示され、これと共に、呼び出されたファイルの個別点字モードと、呼び出し前に設定されている点字モードとを比較し、これらモードが異なる場合、点字モードを個別点字モードに変更して設定する。これにより、ユーザは、ファイル作成時と同じモードでファイルの編集等の作業を行うことができる。なお、設定された点字モードは、異なる個別点字モードで保存されているファイルを呼び出すか、もしくは、ユーザが、入力環境(点字モード)を設定するための点字環境画面(図8(D04)参照)で点字モードの変更を行うまでは、そのまま保持されることとなる。
【0069】
一方、第二の方法では、ファイル呼出処理により呼び出されたファイルの各種情報は、ディスプレイ5上に表示され、呼び出されたファイルの個別点字モードにかかわらず、呼び出し前に設定されている点字モードに基づいて編集可能な状態となる。そして、呼び出されたファイルの個別点字モードと、呼び出し前に設定されている点字モードとを比較し、これらモードが異なる場合、ファイルの個別点字モードを設定されている点字モードに変更して上書き保存する。また、ユーザがファイルの編集等を行う時、当該点字モードに基づいてファイル編集作業を行う旨を報知し、ファイル作成時点と異なる点字モードで編集作業を続けるか、ファイル作成時点と同じ点字モードで編集作業をするかを選択させる。前者の場合は、そのままファイル編集作業を続行することになり、ユーザはその時点で設定されている点字モードのみを意識して編集作業を行うことができる。後者の場合は、ユーザは改めて点字環境画面で所望の点字モードを設定し、その後、ファイル編集作業を行うこととなる。
【0070】
ここで、図8を参照し、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、入力環境(点字モード)を変更設定する場合の手順について説明する。図8に示すように、ユーザにより、ラベル作成装置1の電源がON状態にされると、文字入力画面(テキスト編集画面)を表示する(D01)。ここでは、入力された文字(文字情報)を表示する「入力」欄と、「入力」欄に入力された文字を設定された点字表記処理規則に基づいて変換した点字用文字情報を表示する「点訳」欄と、「点訳」欄に表示された点字用文字情報を変換した点字パターンを表示する「点字」欄とを表示する。また、入力位置を示すカーソルKを「入力」欄に表示する。なお、この時点での入力環境は1級点字モードに設定されているものとし、インジケータ10は1級点字ランプ10aが点灯しているものとする。
【0071】
この状態で、ユーザにより、文字情報「a、b、o、u、t」が押下されると、「入力」欄に「about」の文字列を表示する(D02)。ここで、「点訳」キーが押下されることにより、設定されている点字モード(1級点字モード)の点字表記処理規則(1級点字表記処理規則)に基づき、文字情報「about」の各文字を変換した点字用文字情報(1級点字用文字情報)「about」と、点字用文字情報を変換した1級点字パターンとを生成し、画面の「点訳」欄および「点字」欄にそれぞれ表示する(D03)。
【0072】
続いて、上記の状態(D03)において、現在設定されている1級点字モードを2級点字モードに変更するために、ユーザにより、「点字環境キー」が押下されると、点字環境画面に遷移する(D04)。この画面は、点字モードを設定する「英語1・2級」、点字打刻の品質を設定する「打刻品質」、点字打刻の打刻速度を設定する「打刻速度」および設定を反映させるための「設定完了?」の選択肢があり、ユーザがキーボード3上の「上下キー」もしくは「左右キー」で選択できるようになっている。
【0073】
この画面(D04)で、ユーザにより、「上キー」が押下されることで選択された「英語1・2級」を反転表示し(D05)、「決定キー(選択改行キー)」が押下されることで、点字環境設定の変更画面に遷移する(D06)。点字モードの設定を行う「英語1・2級」の画面(D06)では、入力環境を1級点字モードに設定する「1級(Grade1)」と2級点字モードに設定する「2級(Grade2)」とが選択できるようになっている(入力環境設定手段)。なお、入力環境は、上述で1級点字モードに設定されているため、「1級(Grade1)」が反転表示されている。ここで、2級点字モードに設定するために、ユーザにより、「下キー」が押下されることで選択された「2級(Grade2)」を反転表示する(D07)。そして、「決定キー」が押下されることで2級点字モードが選択されたことを確定し、点字環境画面に戻る(D08)。さらに、「下キー」が押下されると、「設定完了?」を反転表示し(D09)、「決定キー」が押下される(入力環境設定手段)ことにより、現在の入力環境を2級点字モードに設定すると共に、テキスト編集画面に戻る(D10)。
【0074】
ただし、上記の状態(D10)では、入力環境は2級点字モードに設定されているが、画面上の点字用文字情報および点字パターンは、まだ2級点字表記処理規則に基づいた変換が行われておらず、1級点字表記処理規則で表示されたままになっている。ここで、「点訳キー」が押下される(点字パターン変換手段)ことによって、はじめて2級点字表記処理規則に基づいて変換し、入力された文字情報に基づいた2級点字用文字情報および2級点字パターンを、「点訳」欄および「点字」欄にそれぞれ表示する(D11)。なお、D10の時点でインジケータ10は、2級点字ランプ10bが点灯し、1級点字ランプ10aは消灯している。
【0075】
次に、図9を参照して、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、ファイル保存の手順について説明する。ここでは、前述の2級点字表記処理規則に基づいて変換された文字情報、点字情報および入力環境情報(2級点字モードの情報)(図8(D11))を保存する手順について説明する。よって、入力環境は2級点字モードに設定されていることとなる。
【0076】
図9に示すように、前述で生成した文字情報、点字用文字情報および点字パターンを画面に表示している状態(D21)で、「点字ファイルキー」が押下されると、点字ファイル画面に遷移する(D22)。点字ファイル画面は、各種情報をファイルに保存する「保存」、保存したファイルを呼び出す「呼出」および保存したファイルを消去する「消去」の選択肢があり、「上下キー(左右キー)」によって、選択することが可能になっている。ここで、ユーザにより選択された「保存」を反転表示し、「決定キー」が押下されることで、点字ファイル保存画面に遷移する(D23)。点字ファイル保存画面では、保存対象となるファイルに対し、自動的に整理番号(ファイル番号)付けを行い、これによりファイル管理等を行う。そして、「決定キー」が押下されると、保存確認画面に遷移し(D24)、ファイル番号および保存対象となる情報(D21の情報)の確認画面を表示する。ここで、再度「決定キー」が押下されると、ファイル保存が完了し、最初の画面(D21)に戻る。
【0077】
なお、上述の場合、入力環境情報(2級点字モードの情報)の保存はユーザに意識させることなく行うため、入力環境に関する情報は画面上に表示していないが、ファイル保存画面(D23)上等に保存する点字の入力環境の種別(1級点字モードまたは2級点字モード)を表示するようにしてもよい。
【0078】
次に、図10を参照し、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、第一の方法におけるファイルの呼び出し手順について説明する。まず、入力環境は、1級点字モードに設定されており、入力された文字情報(about)、1級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報(about)および点字パターンを画面に表示している(D31)。この時、インジケータ10は、1級点字ランプ10aが点灯し、2級点字ランプ10bは消灯している。この状態で、保存されているファイルを呼び出すために、ユーザにより、「点字ファイルキー」が押下されることで、点字ファイル画面に遷移する(D32)。点字ファイル画面では、前述のように、「保存」、「呼出」および「消去」の選択肢が選択可能になっている。ここで、ユーザにより選択された「呼出」を反転表示し、「決定キー」が押下されると、点字ファイル呼出画面に遷移する(D33)。
【0079】
点字ファイル呼出画面では、既に保存済みのファイルをファイル番号順に表示し、ユーザは「上下キー(左右キー)」で選択を行うことができる。また、ファイル番号の下側には、保存された各種情報の中の文字情報(「入力」欄に表示されていた情報)を表示する。これにより、ユーザは呼出対象となるファイルの内容を確認することができる。ここで、ユーザにより、「下キー」が押下され、呼出対象となるファイル番号06のファイル(afterの情報が保存されているファイル)が選択されると、当該ファイル番号を反転表示し(D34)、「決定キー」が押下されることで、ファイル番号06の内容を画面に表示する(D35)。なお、この呼出処理と同時に、最初に入力されていた情報(D31)を削除する。
【0080】
画面に表示されたファイル(D35)は、文字情報「after」に対し、2級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報「af」および点字パターンを生成したファイルである。つまり、当該ファイルの個別点字モードは2級点字モードとなっており、ファイル呼び出し以前の点字モード(1級点字モード)とは異なるため、この時点で、ファイル呼び出し以前の点字モード(1級点字モード)を2級点字モード(個別点字モード)に変更する。この時、インジケータ10は、2級点字ランプ10bが点灯し、1級点字ランプ10aは消灯している。このため、入力されている「after」の後ろに、新たに文字情報「about」が入力され(D36)、「点訳キー」が押下された場合、文字情報「after_about」(アンダーバーはスペースを表す)を2級点字表記処理規則に基づいて変換し、「点訳」欄に「af_ab」を表示すると共に「点字」欄に2級点字パターンを表示する(D37)。
【0081】
この状態(D37)で入力環境(点字モード)を確認するために、「点字環境キー」が押下されると、点字環境画面を表示し(D38)、ユーザにより選択された「英語1・2級」を反転表示する(D39)。さらに「決定キー」が押下されると、「2級(Grade2)」を反転表示した「英語1・2級」画面を表示する(D40)。これにより現在の入力環境(点字モード)は、呼び出したファイルの個別点字モード(2級点字モード)に変更され、2級点字モードに設定されていることが確認できる。
【0082】
次に、図11を参照し、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、第二の方法におけるファイルの呼び出し手順について説明する。まず、入力環境は、1級点字モードに設定されており、文字情報(about)、1級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報(about)および点字パターンを画面に表示している(D41)。この時、インジケータ10は、1級点字ランプ10aが点灯し、2級点字ランプ10bは消灯している。この状態で、保存されているファイルを呼び出すために、ユーザにより、「点字ファイルキー」が押下されると、点字ファイル画面に遷移する(D42)。点字ファイル画面では、前述のように、「保存」、「呼出」および「消去」の選択肢が選択可能になっている。ここで、ユーザにより選択された「呼出」を反転表示し、「決定キー」が押下されることで、点字ファイル呼出画面に遷移する(D43)。
【0083】
点字ファイル呼出画面では、既に保存済みのファイルをファイル番号順に表示し、ユーザは「上下キー(左右キー)」で選択を行うことができる。また、ファイル番号の下側には、保存された各種情報の中の文字情報(「入力」欄に表示されていた情報)を表示する。これにより、ユーザは呼出対象となるファイルの内容を確認することができる。ここで、ユーザにより、「下キー」が押下され、呼出対象となるファイル番号06のファイル(afterの情報が保存されているファイル)が選択されると、当該ファイル番号を反転表示し(D44)、「決定キー」が押下されることで、ファイル番号06の内容を画面に表示する(D45)。なお、この呼出処理と同時に、最初に入力されていた情報(D41)を削除する。
【0084】
画面に表示されたファイル(D45)は、文字情報「after」に対し、2級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報「af」および点字パターンを生成したファイルである。つまり、当該ファイルの個別点字モードは2級点字モードとなっており、ファイル呼び出し以前の点字モード(1級点字モード)とは異なるため、個別点字モード(2級点字モード)を1級点字モード(ファイル呼び出し以前の点字モード)に変更して当該ファイルに上書き保存する。なお、入力環境(点字モード)は1級点字環境のままであるため、インジケータ10は、1級点字ランプ10aが点灯し、2級点字ランプ10bは消灯している。ここで、入力されている「after」の後ろに、新たに文字情報「about」が入力され(D46)、「点訳キー」が押下された場合、2級点字で画面に表示している内容を、1級点字モード」(現在設定されている点字モード)に基づいて変換してもよいか否かを、ユーザに判断させるために、警告表示画面に遷移する(D47)。
【0085】
画面の表示内容を1級点字表記処理規則(1級点字モード)に基づいて編集(編集手段)するための「Yes」が、ユーザにより選択された場合は、「after_about」を1級点字表記処理規則に基づいて変換し、「点訳」欄に「after_about」および「点字」欄に1級点字パターンを表示する(D48)。一方、「No」が選択された場合は、「点訳キー」が押下される前の編集画面(D46)に戻る。この時、2級点字のままで編集作業を続けたい場合は、ユーザは、前述の入力環境の変更設定手順に基づいて、改めて点字環境画面で「2級(Grade2)」を選択して設定し、その後に編集作業をする必要がある。
【0086】
また、上述の「Yes」が選択された状態(D48)で、入力環境(点字モード)を確認するために「点字環境キー」が押下されると、点字環境画面を表示し(D49)、ユーザにより選択された「英語1・2級」を反転表示する(D50)。さらに「決定キー」が押下されると、「1級(Grade1)」を反転表示した「英語1・2級」画面を表示する(D51)。これにより現在の入力環境(点字モード)は1級点字モードのままであり、呼び出されたファイルの個別点字モードにかかわらず変更されていないことが確認できる。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、入力環境を、1級点字モードおよび2級点字モードのいずれか一方を選択して設定することで、入力された文字情報をそれぞれの点字モードに対応した点字表記処理規則に基づいて、自動的に点字パターンに変換することができる。これにより、点字についての理解が乏しい人でも、容易に1級点字および2級点字を使い分けることができ、所望の点字を作成することができる。また、設定された点字モードを報知することにより、ユーザは現在の点字モードが1級点字モードか2級点字モードかを容易に識別することができる。
【0088】
また、ファイル作成時点の点字モードを個別点字モードとして保存するため、点字モード毎にファイルを区別して管理する必要がなく、ファイル管理が簡単にできる。さらに、ファイル呼出の際、呼び出したファイルの個別点字モードを把握していなくても、前回と同じモードで、ファイルの編集等の作業を行うことができる(第一実施形態)。
【0089】
また、上記の例に示した、ラベル作成装置1の各部(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0090】
また、上述した実施例によらず、ラベル作成装置1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。また、ラベル作成装置1以外でも、点字打刻を行い得る装置であれば、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベル作成装置の閉蓋状態の外観斜視図である。
【図2】ラベル作成装置の開蓋状態の外観斜視図である。
【図3】6点点字の説明図である。
【図4】打刻ユニットの平面図および断面図である。
【図5】点字打刻部におけるテープの搬送を説明する図である。
【図6】ラベル作成装置の制御ブロック図である。
【図7】1級点字モードおよび2級点字モードでの点字表示の様子を示す図である。
【図8】入力環境の変更設定手順を画面表示に基づいて説明するための遷移図である。
【図9】文字情報および点字情報をファイルとして保存する手順を説明するための遷移図である。
【図10】ファイル呼出手順の第一の方法を示すための遷移図である。
【図11】ファイル呼出手順の第二の方法を示すための遷移図である。
【符号の説明】
【0092】
1…ラベル作成装置 10…インジケータ 10a…1級点字ランプ 10b…2級点字ランプ 163…ユーザデータブロック T…テープ R…インクリボン C…テープカートリッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、点字表記処理規則に基づいて文字情報を点字に変換する点字情報処理装置、点字情報処理装置の制御方法、プログラム、記録媒体および点字作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者が認識可能な点字をテープに配置し、点字打刻を実行することで、視覚障害者が認識可能なテープ(点字専用テープ)を作成できる文字情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、入力された文字情報を、点字表記処理規則(英語(アルファベット)の点字表記処理規則等)に基づいて変換し、点字を生成している。
【特許文献1】特開2001−88358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、英語の点字表記処理規則には、1級点字表記処理規則(Grade1)の他に2級点字表記処理規則(Grade2)があり、2級点字表記処理規則に基づいて点字を作成する場合は、点字作成者が2級点字表記処理規則を理解していることが必要となる。このため、点字の理解に乏しい人が2級点字を作成することは困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、点字についての理解が乏しい人でも、容易に1級点字および2級点字を使い分けることができる点字情報処理装置、点字情報処理装置の制御方法、プログラム、記録媒体および点字作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の点字情報処理装置は、入力された文字情報を、1級点字表記処理規則および2級点字表記処理規則のいずれかに基づいて点字パターンに変換する点字パターン変換手段と、入力環境を、1級点字表記処理規則を用いる1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いる2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定手段と、を備え、点字パターン変換手段は、入力環境が1級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、入力環境が2級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の点字情報処理装置の制御方法は、入力された文字情報を点字パターンに変換する点字情報処理装置の制御方法であって、入力環境を、1級点字表記処理規則を用いて点字パターンに変換する1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いて点字パターンに変換する2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定工程と、入力環境が1級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、入力環境が2級点字モードに設定されている場合、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換する点字パターン変換工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、入力環境を、1級点字モードおよび2級点字モードのいずれか一方を設定することで、入力された文字情報をそれぞれの点字モードに対応した点字表記処理規則に基づいて、自動的に点字パターンに変換することができる。これにより、点字についての理解が乏しい人でも、容易に1級点字および2級点字を使い分けることができ、所望の点字を作成することができる。
【0008】
この場合、入力環境設定手段により設定された点字モードを報知する報知手段を、更に備えたことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、設定された点字モードを報知することにより、ユーザは現在の点字モードが1級点字モードか2級点字モードかを容易に識別することができる。なお、報知手段は、インジケータのランプの点灯によるものでもよいし、画面に文字表示するものでもよい。さらには、音により報知するようにしてもよい。
【0010】
この場合、文字情報および文字情報に基づいて生成される点字情報を含むファイルを記憶部に保存するファイル保存手段と、記憶部に保存したファイルを呼び出すファイル呼出手段と、を更に備え、ファイル保存手段は、ファイルと共に当該ファイルが作成された時点の点字モードを個別点字モードとして、更に記憶することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、作成した各種情報をファイルとして保存し、呼び出すことができるため、一度作成した点字等の再利用が可能となる。また、ファイル作成時の点字モードを個別点字モードとして保存するため、点字モード毎にファイルを区別して管理する必要がなく、ファイル管理が簡単にできる。
【0012】
この場合、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルの個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードとが異なる場合、点字モードを個別点字モードに変更して設定する点字モード設定手段を更に備えたことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、作成したファイルを改めて呼び出す場合、ファイル呼び出し前に設定されている点字モードを前回作成した時と同じ点字モード(個別点字モード)に設定することができる。これにより、呼び出したファイルの個別点字モードを把握していなくても、前回と同じモードで、ファイルの編集等の作業を行うことができる。
【0014】
この場合、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルを編集する編集手段を更に備え、編集手段は、呼び出されたファイルの個別点字モードにかかわらず当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードに基づいて当該ファイルを編集し、ファイル保存手段は、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルの個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードとが異なる場合、ファイルの個別点字モードを設定されている点字モードに変更して保存することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、常に、その時点で設定されている点字モードに基づいて点字作成やファイルの編集ができるため、ユーザは設定されている点字モードのみを意識して作業が行える。
【0016】
これらの場合、ファイル呼出手段によって呼び出されたファイルの個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている点字モードとが異なる場合、個別点字モードと設定されている点字モードとが異なる旨および点字モードを変更する旨の少なくとも一方を報知することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、作業時の点字モードおよび点字モードの変更の少なくとも一方を報知することにより、ユーザの意図しない点字モードでの作業を回避することができる。
【0018】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の点字情報処理装置の制御方法における各工程を実行させるためのものであることを特徴とする。
【0019】
本発明の記録媒体は、上記のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出し可能に記憶することを特徴とする。
【0020】
これらを用いることにより、入力環境を1級点字モードまたは2級点字モードに設定することで、入力された文字情報を1級点字または2級点字に変換することが可能な点字情報処理装置の制御方法を実現することができる。
【0021】
本発明の点字作成装置は、請求項1ないし6のいずれかに記載の点字情報処理装置における各手段と、点字パターン変換手段により変換された点字パターンに基づいて点字打刻する点字打刻手段と、を備えたことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、入力環境を1級点字モードまたは2級点字モードに設定することで、入力された文字情報を1級点字パターンまたは2級点字パターンに変換すると共に、点字打刻することが可能な点字作成装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る点字情報処理装置、点字情報処理装置の制御方法、プログラム、記録媒体および点字作成装置について説明する。本発明は、入力された文字情報を1級点字表記処理規則(Grade1)に基づいて1級点字パターンに変換する1級点字モード、および文字情報を2級点字表記処理規則(Grade2)に基づいて2級点字パターンに変換する2級点字モードのいずれかの点字モードに設定することで、文字情報をそれぞれの点字モードに対応した点字表記処理規則に基づいて、自動的に点字パターンに変換することができるものである。なお、1級点字モードは、入力された文字情報(アルファベット)の各1文字を点字1マスに対応させて表示する点字モードであり、2級点字モードは、入力された文字情報が頻繁に使用される英単語であれば、その英単語を省略して(省略形で)表示する点字モードである。
【0024】
そこで、本発明の点字情報処理装置を、視覚障害者が認識可能な点字と、視覚障害を有しない晴眼者が認識可能な墨字とを同一テープに配置することで、視覚障害者と晴眼者の両者が認識可能な点字ラベルを作成するためのラベル作成装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0025】
図1は、ラベル作成装置1の閉蓋状態の外観斜視図であり、図2は、ラベル作成装置1の開蓋状態の外観斜視図である。また、図2は、点字打刻を行う点字打刻部110を分かり易く示すため、装置ケース2の一部を切り欠いて示している。両図に示すようにラベル作成装置1は、装置ケース2により外郭が形成されており、当該装置ケース2は、その前半部上面にキーボード3が配置され、後半部上面には開閉蓋4が取り付けられている。開閉蓋4の内側には、テープカートリッジCから繰り出されるテープTに対して墨字印刷(文字や記号等のキャラクタの印刷)を行う墨字印刷部90を有し、開閉蓋4の右側(装置ケース2の後半右部)には、テープTが前半部から手差し挿入されることにより点字打刻を行う点字打刻部110を有している。
【0026】
開閉蓋4の表側には、長方形の形状を有するディスプレイ5が形成されると共に、開閉蓋4の内側左部には、テープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6(墨字印刷部90)が窪入形成されており、テープカートリッジCは、蓋体開放ボタン7の押下により開閉蓋4が開放された状態でカートリッジ装着部6に着脱自在に装着される。
【0027】
ディスプレイ5は、ユーザがキーボード3を用いて入力した文字情報や6点点字情報を表示したり、その入力情報に基づいて、墨字印刷を行うための墨字データや、点字打刻を行うための点字データを作成・編集したりする際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
【0028】
一方、装置ケース2上面には、各種入力キーを備えたキーボード3と、電源ON状態であることを示す電源ランプ9と、点字作成時点の点字モードを表示するためのインジケータ10とが配置されており、キーボード3には、文字キー群3aおよび各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。
【0029】
文字キー群3aは、文字情報を入力するためのものであり、JIS配列に基づいたフルキー構成となっている。なお、文字情報とは、墨字印刷を行うための墨字データや点字打刻を行うための点字データを作成する際に入力される情報を指すものであり、同一の文字情報に基づいて墨字印刷および点字打刻を実行させることも可能であるし、別々の文字情報に基づいて、それぞれ墨字印刷および点字打刻を行うことも可能である。
【0030】
機能キー群3bには、処理モードを選択するための「モード選択キー」、墨字印刷処理および点字打刻処理の少なくとも一方を開始させるための「実行キー」、点字打刻部110におけるテープTの送り開始を指示するための「送り開始キー」、手動により点字打刻を開始させるための「打刻開始キー」、点字モードの設定画面に移行するための「点字環境キー」、入力情報を点字に変換するための「点訳キー」等が含まれる。
【0031】
また、機能キー群3bには、これら以外にも一般のワードプロセッサ等と同様に、処理の取り消し等のための「取り消しキー」、カーソル移動用の「カーソルキー」、各種選択(指定)画面における選択肢を選択する「上下キー(左右キー)」、決定やテキスト入力時の改行のための「決定キー(選択改行キー)」等が含まれる。
【0032】
モード選択キーでは、墨字/点字処理モード:墨字点字併記、墨字処理モード:墨字のみ、点字処理モード:点字のみのいずれかを選択可能となっており、墨字/点字処理モードが選択された場合は、墨字印刷処理の後、点字打刻処理を実行する。これは、先に点字打刻を行うと、打刻によって形成された打刻凸部72(図3参照)によって印刷した墨字Pの一部が掠れてしまうなどの不具合を無くすためである。また、墨字処理モードが選択された場合は、一般的なテープ印刷装置として墨字印刷処理を実行し、点字処理モードが選択された場合は、点字打刻装置として点字打刻処理を実行する。
【0033】
また、設定された入力環境を表示するインジケータ10は、単色のLED(発光ダイオード)であり、入力環境が1級点字モードであることを示す1級点字ランプ10aと、2級点字モードであることを示す2級点字ランプ10bとから構成されており、各LEDの点灯により設定されている点字モードを報知するようになっている。なお、1級点字モードとは、入力された文字情報を1級点字表記処理規則に基づいて1級点字用文字情報および1級点字パターンに変換する点字モードであり、2級点字モードとは、入力された文字情報を2級点字表記処理規則に基づいて2級点字用文字情報および2級点字パターンに変換する点字モードである。また、これら点字モードは、ユーザが選択して設定することが可能であり、これにより、ユーザが所望する点字パターンを作成することができる(詳細は後述する)。
【0034】
装置ケース2の右側部中央には、電源供給のための電源供給口11が形成されており、前半右部には、パーソナルコンピュータ等の外部装置(図示省略)と接続するための接続口12(インタフェース)が形成されている。そして、当該接続口12に外部装置を接続することで、外部装置によって生成された文字情報に基づいて墨字印刷や点字打刻を行い得るようになっている。また、装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通する印刷テープ排出口13が形成され、この印刷テープ排出口13には、墨字印刷部90から送り出したテープTを切断するためのテープカッタ14(切断部100、図6参照)が臨んでいる。そして、テープカッタ14によってテープTが切断されることにより、印刷テープ排出口13から墨字印刷後のテープTが排出される。
【0035】
ここで墨字印刷部90(カートリッジ装着部6)および点字打刻部110廻りの構成について説明する。カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー15内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド17が内蔵されたヘッドユニット16と、印刷ヘッド17に対峙するプラテン駆動軸(図示省略)と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸(図示省略)と、後述のテープリール21の位置決め突起18と、を備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸および巻き取り駆動軸を回転させる印刷送りモータ91(図6参照)が内蔵されている。
【0036】
テープカートリッジCは、カートリッジケース20内部の上部中央部に、一定の幅のテープTを巻回したテープリール21と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール22とを収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール21の左下部には上記ヘッドユニット16を覆うヘッドカバー15に差し込むための貫通孔23が形成されており、テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、上記プラテン駆動軸に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ24が配置されている。一方、上記リボンリール22に近接してリボン巻き取りリール25が配置され、リボンリール22から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー15を周回するように配置されたリボン巻き取りリール25に巻き取られるようになっている。
【0037】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー15に貫通孔23が、位置決め突起18にテープリール21の中心孔21aが、巻き取り駆動軸にリボン巻き取りリール25の中心孔がそれぞれ差し込まれ、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド17がプラテン駆動軸(プラテンローラ24)に当接して墨字印刷が可能になる。そして、墨字印刷後のテープTは、印刷テープ排出口13に送られる。
【0038】
テープTは、特に図示しないが、裏面に粘着剤層が設けられた樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート製)の記録シートと、この粘着剤層により記録シートに貼付された樹脂(例えばポリエチレン/ポリプロピレン共重合体)製の剥離シートとから構成されており、記録シートの印刷面は、熱転写によるインクの乗りを良好にするために加工されている。
【0039】
また、テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、墨字インク色、テープ材質など)が異なる複数種のものが用意されており、この種別を指標する複数の孔(図示省略)がカートリッジケース20の裏面に設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)26(図6参照)が複数設けられており、このテープ識別センサ26の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0040】
一方、装置ケース2の後半右部には、その内部に点字打刻を行う打刻アッセンブリ(点字打刻部110)が組み込まれ、その上面にはこれを覆うように打刻部カバー30が取り付けられている。また、この打刻部カバー30の手前側にはユーザによりテープTが手差し挿入される(導入される)打刻テープ挿入口31が、また奥側には点字打刻後のテープTが排出される打刻テープ排出口32が、テープ走行路(送り経路)55に沿って下り傾斜となるようにそれぞれ窪入形成されている。さらに、打刻テープ挿入口31付近には、テープ幅方向に幅調整可能な手差しガイド33が設けられている。
【0041】
点字打刻部110は、3個の打刻ピン(打刻ヘッド)41(図4(b)参照)により点字打刻を行う打刻ユニット40と、テープTが搬送されるテープ走行路55と、打刻テープ挿入口31に挿入されたテープTを、テープ走行路55に沿って打刻テープ排出口32に向けて送るテープ送りユニット60とを有し、テープ走行路55を構成するフレームにこれらのユニットが組み込まれて打刻アッセンブリが構成され、装置ケース2に装着されるようになっている。また、テープ走行路55に沿ってテープ送りユニット60の駆動により送られてゆくテープTに対し、打刻ユニット40により3個の打刻ピン41を選択的に駆動することで点字Bが形成される。
【0042】
ここで、図3を参照し、テープT(T3:テープ幅12mm)上に形成される点字B(6点点字B)について説明する。同図は、文字情報「e」を表す点字(点字データ)Bを示す図である。同図に示すように、6点点字Bは、縦3個×横2個の6個の点(打刻ポイント)で1マス70が構成され、当該1マス70で、1文字または外字符等の属性が表現される。すなわち、縦3個の打刻列が2列以上配列されて点字配列が形成される。同図では、左側の1マス70aは、点字Bがアルファベットであることを示す外字符であり、右側の1マス70bは、アルファベットの「e」であることを示している。
【0043】
6点点字Bは、1マス70が縦3個×横2個の配置パターンで6個の打刻ポイント71a〜71fに分割されており、左側の1マス70aでは、6個の打刻ポイント71a〜71fのうち2個の打刻ポイント71e,71fが選択的に打刻されて、テープT上に2個の打刻凸部72e,72fが形成されている様子を示している(外字符を表す)。また、右側の1マス70bでは、2個の打刻ポイント71a、71eが選択的に打刻されて、テープT上に2個の打刻凸部72a、72eが形成されている様子を示している(アルファベット「e」を表す)。なお、6個の打刻凸部72は、縦方向のピッチが略2.4mm、横方向のピッチが略2.4mm、隣接マスの点までの(マス間)ピッチは略3.2mmとなっている。
【0044】
次に、図4を参照し、打刻ユニット40の詳細な構成について説明する。同図(a)は打刻ユニット40を図1における上側から見た平面図であり、同図(b)は打刻ユニット40の断面図である。同図(a)は、墨字印刷後のテープT(テープ幅12mm)が、打刻テープ挿入口31から手差し挿入によりテープ走行路55に送り込まれ、打刻テープ排出口32に向かってテープTが送られてゆく状態を示したものである。
【0045】
両図に示すとおり、打刻ユニット40は、3個の打刻ピン41を備えた打刻部材42と、これら打刻ピン41の突き上げ(打刻)を受ける打刻受け部材43とを備えており、打刻受け部材43の背面には、耐衝撃用のばね(図示省略)が組み込まれている。
【0046】
打刻部材42は、テープ幅方向(図示左右方向)に沿って、2.4mmの間隔で配列された3個の打刻ピン41を備えており、6個の打刻ポイント71のうち縦3個の打刻ポイント71に対応していると共に、ソレノイド44を駆動源とした直線運動をガイドする打刻ピンガイド45によって、テープTに対し垂直に保持されている。打刻ピン41の頭部46は、打刻した打刻凸部72の形状が角の丸まった円筒形となるように形成されている。
【0047】
また、各打刻ピン41の尾部には、アーム部材47の一端が半固定的に接続している。このアーム部材47には、その他端に後述するソレノイド44のプランジャー48の先端部が回動可能に接続していると共に、その中間部を回動自在に支持する支持部材49が設けられている。そして、このソレノイド44のプランジャー48は、テープTに対して垂直方向に直線運動をするように、プランジャー48と上記の打刻ピン41とは平行に配設されている。したがって、ソレノイド44によりプランジャー48が直線運動を行うと、アーム部材47が支持部材49を支点として回動し、打刻ピン41がテープTに対し裏面側から垂直方向に直線運動を行う。
【0048】
一方、打刻受け部材43は、3個の打刻ピン41と対向する面50に、3個の打刻ピン41に対応する3個の打刻受け凹部51が形成されており、これら打刻受け凹部51は、打刻ピン41の頭部形状に合わせ、角の丸まった凹型の円筒形となっている。
【0049】
そして、打刻ユニット40は、この打刻ピン41と打刻受け部材43とにより、テープTに打刻凸部72を形成する。すなわち、入力された情報に基づいて生成された点字データに対応してソレノイド44が励磁し、プランジャー48が吸引されると、打刻ピン41が打刻ピンガイド45に案内されてテープTに対して垂直方向に進み、テープTを挟んで対応する打刻受け凹部51に突き当たり、テープTに打刻凸部72を形成する。
【0050】
次に、図5を参照し、点字打刻部110におけるテープTの送り動作について説明する。上記のとおり、点字打刻部110は、打刻ピン41によりテープTに打刻凸部72を形成する打刻ユニット40、テープTが搬送されるテープ走行路55、並びにテープ走行路55に沿ってテープTを搬送するテープ送りユニット60を備えており、テープ走行路55におけるテープTの搬送をガイドするガイド部材56,57と、テープTの先端を検出する透過型の先端検出センサ58と、をさらに備えている。
【0051】
また、テープ送りユニット60は、送りローラ61と、当該送りローラ61を装置フレーム62に支持する支持部材63と、送りローラ61を回転させるための正逆回転可能な打刻送りモータ64(図6参照)とから成る。送りローラ61は、駆動ローラ(図示省略)および従動ローラ65(図2参照)から成るグリップローラであり、従動ローラ65には、形成された点字Bを押し潰すことがないよう、縦3個の打刻ポイント71(図3参照)に相当する位置の干渉を逃げるように、環状溝66が形成されている。
【0052】
打刻テープ挿入口31には、テープ幅の大きいものからテープT1(テープ幅24mm)、テープT2(テープ幅18mm)、テープT3(テープ幅12mm)が挿入可能となっており、最大テープ幅のテープT1については上下ガイド部材56,57によってガイドされ、それ以外のテープ幅のテープT2,T3については、下ガイド部材57のみによってガイドされる。例えば、最小テープ幅のテープT3を用いる場合、ユーザは、テープT3を下ガイド部材57に沿ってその先端がテープ送りユニット60(送りローラ61)に到達するまで(挿入可能な位置まで)手差し挿入する。そして、キーボード3上の「テープ送り開始キー」を押下することでテープ送りユニット60によるテープT3の送りを開始させる。そして、先端検出センサ58によるテープ先端の検出をトリガとして、点字打刻処理を開始する(生成した点字データに基づくテープ送りおよび点字打刻を行う)。このとき、テープ先端から打刻開始位置までの前余白が、打刻ユニット40(打刻ピン41)と、先端検出センサ58との間の長さL1よりも短く設定されている場合は(但し、送りローラ61の位置関係上、前余白が打刻ユニット40と送りローラ61との間の長さL2よりも長く設定されていることが前提となる)、送りローラ61を逆回転させることでテープTを送り戻し、適当な位置まで送ったところで打刻および正方向へのテープ送りを開始する。
【0053】
なお、打刻ユニット40による点字打刻処理は、先端検出センサ58によるテープ先端の検出をトリガとして開始するのではなく、ユーザがキーボード3上の「打刻開始キー」を押下することにより手動開始させることも可能である。
【0054】
次に、図6を参照し、ラベル作成装置1の制御構成について説明する。ラベル作成装置1は、操作部80と、墨字印刷部90と、切断部100と、点字打刻部110と、検出部120と、駆動部130と、これら各部と接続され、ラベル作成装置1全体を制御する制御部140と、によって構成されている。操作部80は、キーボード3、ディスプレイ5およびインジケータ10を有し、ユーザによる文字情報の入力や各種情報の表示などユーザインターフェースを司る。墨字印刷部90は、テープカートリッジC、印刷ヘッド17および印刷送りモータ(ステッピングモータ)91を有し、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に墨字データに基づく墨字を印刷する。切断部100は、テープカッタ14、およびこれを駆動するカッタモータ101を有し、印刷済みテープTを所定長さとなるように切断する。点字打刻部110は、ソレノイド44、打刻ピン41および打刻送りモータ(ステッピングモータ)64を有し、テープTを送りながらテープT上に点字データに基づく点字を打刻する。検出部120は、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ26、点字打刻部110においてテープTの先端を検出する先端検出センサ58、印刷送りモータ91の回転速度を検出する印刷部回転速度センサ121、打刻送りモータ64の回転速度を検出する打刻部回転速度センサ122を有し、各種検出を行う。駆動部130は、ディスプレイドライバ131、インジケータドライバ132、ヘッドドライバ133、印刷送りモータドライバ134、カッタモータドライバ135、打刻ドライバ136および打刻送りモータドライバ137を有し、これら各ドライバを駆動する。
【0055】
制御部140は、CPU150、ROM160、RAM170および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」と称する)180を備え、互いに内部バス190により接続されている。ROM160は、墨字印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU150で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック161と、墨字印刷を行うための文字フォントデータや点字打刻を行うための点字フォントデータの他、インジケータ10の表示制御のための制御データ等を記憶する制御データブロック162と、入力された文字情報(墨字データ等)、文字情報に基づく点字情報(点字用文字情報、点字パターン、点字データ等)および点字モードをファイルとして記憶するユーザデータブロック163とを有している。
【0056】
RAM170は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック171の他、生成した墨字データを展開した墨字印刷データを記憶する墨字印刷データブロック172と、生成した点字データを展開し、打刻列毎に各打刻ポイント(71a,71b,71cまたは71d,71e,71f)の打刻/非打刻を表現した点字打刻データを記憶する点字打刻データブロック173と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM170は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0057】
IOC180には、CPU150の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSI(パルスコントロールLSI)などにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC180は、キーボード3からの入力データや制御データをそのまま或いは加工して内部バス190に取り込むと共に、CPU150と連動して、CPU150から内部バス190に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部130に出力する。
【0058】
そして、CPU150は、上記の構成により、ROM160内の制御プログラムに従って、IOC180を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、設定された点字モードおよび入力された各種信号・データに基づいてRAM170内の各種データを処理し、IOC180を介してラベル作成装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、指定された処理モードに応じて、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御を行うと共に、インジケータ10の表示制御を行う。
【0059】
例えば、CPU150は、キーボード3より文字情報が入力されると、設定された点字モードに基づいて点字用文字情報および点字パターンを生成すると共に、墨字データや点字データを生成する。さらに墨字データおよび点字データを印刷・打刻可能な状態に展開して、墨字印刷データブロック172および点字打刻データブロック173に一時的に記憶する。また、上述の文字情報および当該文字情報に基づいて生成された点字情報は、当該点字情報が生成された時点の点字モードを含むファイルとして、ROM160内のユーザデータブロック163に記憶する。
【0060】
ここで、図7を参照し、入力環境(1級点字モードまたは2級点字モード)に基づき生成される点字の様子について説明する。英語(アルファベット)の入力環境には、入力された文字情報を1級点字表記処理規則(Grade1)に基づいて変換し、点字パターンを生成する1級点字モードと、2級点字表記処理規則(Grade2)に基づいて変換し、点字パターンを生成する2級点字モードとがある。
【0061】
1級点字表記処理規則は、入力された文字(アルファベット)1文字を点字1マスに対応させて表記する表記規則である。図7(a)に示すように、1級点字モードでは、「入力」欄に文字列「about」が入力されると、「点訳」欄には、1級点字表記処理規則に基づいて各文字を変換した「about」が表示され、「点字」欄には、変換された「about」の「a」、「b」、「o」、「u」、「t」に対応する点字パターンが表示される。なお、「点字」欄の左右両端に表示されている点字パターンは、当該点字が英単語であることを示す外国語引用符である。また、1級点字モードに設定されている場合は、前述のインジケータ10の1級点字ランプ10aを点灯させることで、現在、設定されている点字モードが1級点字モードであることを表示する。
【0062】
一方、2級点字表記処理規則は、使用頻度の高い英単語を省略(短縮)して表記する表記規則である。図7(b)に示すように、2級点字モードでは、「入力」欄に文字列「about」が入力されると、「点訳」欄には、入力された文字列(英単語)を2級点字表記処理規則に基づいて変換して表記した「ab」と表示され、「点字」欄には、変換された「ab」の「a」、「b」に対応する点字パターンが表示される。このように、2級点字モードで点字を生成することで、点字マス数を短くすることが可能となる。なお、1級点字表記処理規則と同様に、「点字」欄の左右両端の点字パターンは、外国語引用符である。また、2級点字モードに設定されている場合は、前述のインジケータ10の2級点字ランプ10bを点灯させることで、現在、設定されている入力環境が2級点字モードであることを表示する。
【0063】
ユーザは、前述の「点字環境キー」を押下することで点字環境画面に遷移し、上述の1級点字モードおよび2級点字モードを選択して設定することで、所望の点字パターンを生成することが可能となる。また、各点字モードにおいて、入力された文字情報および文字情報に基づいて生成された点字情報を、後述するファイル保存手段によりファイルとして保存することが可能であり、さらに、ファイル呼出手段により、保存したファイルを呼び出して編集することも可能である。
【0064】
なお、上述のインジケータ10は、1級点字ランプ10aおよび2級点字ランプ10bのいずれか一方を点灯させることで、現在の入力環境を表示するようにしているが、点字ランプを1つ配置し、その点字ランプの点灯/消灯により1級点字モードと2級点字モードとを区別して表示するようにしてもよい。また、ディスプレイ5に点字モードを表す文字情報を表示することで設定されている点字モードを報知してもよいし、点字モード毎に異なる電子音を発生させることで、ユーザに聴覚的に報知するようにしてもよい。
【0065】
次に、ファイル保存手段(ファイル保存処理)とファイル呼出手段(ファイル呼出処理)について説明する。ファイル保存処理は、ユーザの指示により、入力された文字情報と当該文字情報に基づいて生成された点字情報をROM160内のユーザデータブロック163に保存する。この時、当該点字情報を生成した時点の入力環境(1級点字モードまたは2級点字モード。以下、個別点字モード)の情報を付加し、これら情報を1つのファイルとして保存する。保存の際は、ファイル毎に固有の番号(ファイル番号)を付けて保存し、後述するファイル呼出処理の際は、この番号に基づいてファイルの呼び出しを行う。これにより、点字モード毎にファイルを区別して管理する必要がなく、ファイル管理が簡単にできる。
【0066】
なお、ファイル保存処理の際、ファイル番号と共に当該ファイルの内容がどの点字モードで生成されたかを示す情報を付加し、ユーザがファイルを呼び出す際に、対象ファイルが1級点字で生成されたものなのか、2級点字で生成されたものなのかを視覚的に判断できるようにしてもよい。
【0067】
ファイルの呼出処理では、上述のファイル保存処理で付けられたファイル番号をユーザが指定することで、ファイルに保存されている各種情報および個別点字モードの呼び出しを行う。このファイル呼出処理は、現在設定されている点字モード(ファイル呼び出し前に設定されている点字モード)をファイルから呼び出した個別点字モードに変更して設定し(点字モード設定手段)、当該ファイルの編集等を個別点字モードで行う第一の方法と、ファイルから呼び出された個別点字モードにかかわらず、現在設定されている点字モードに基づいて当該ファイルの編集等を行う第二の方法とがある。なお、上述の2つの方法は、モード設定等により、ユーザが選択して設定できるようにしてもよい。
【0068】
第一の方法では、ファイル呼出処理によって呼び出されたファイルの各種情報は、編集可能な状態でディスプレイ5上に表示され、これと共に、呼び出されたファイルの個別点字モードと、呼び出し前に設定されている点字モードとを比較し、これらモードが異なる場合、点字モードを個別点字モードに変更して設定する。これにより、ユーザは、ファイル作成時と同じモードでファイルの編集等の作業を行うことができる。なお、設定された点字モードは、異なる個別点字モードで保存されているファイルを呼び出すか、もしくは、ユーザが、入力環境(点字モード)を設定するための点字環境画面(図8(D04)参照)で点字モードの変更を行うまでは、そのまま保持されることとなる。
【0069】
一方、第二の方法では、ファイル呼出処理により呼び出されたファイルの各種情報は、ディスプレイ5上に表示され、呼び出されたファイルの個別点字モードにかかわらず、呼び出し前に設定されている点字モードに基づいて編集可能な状態となる。そして、呼び出されたファイルの個別点字モードと、呼び出し前に設定されている点字モードとを比較し、これらモードが異なる場合、ファイルの個別点字モードを設定されている点字モードに変更して上書き保存する。また、ユーザがファイルの編集等を行う時、当該点字モードに基づいてファイル編集作業を行う旨を報知し、ファイル作成時点と異なる点字モードで編集作業を続けるか、ファイル作成時点と同じ点字モードで編集作業をするかを選択させる。前者の場合は、そのままファイル編集作業を続行することになり、ユーザはその時点で設定されている点字モードのみを意識して編集作業を行うことができる。後者の場合は、ユーザは改めて点字環境画面で所望の点字モードを設定し、その後、ファイル編集作業を行うこととなる。
【0070】
ここで、図8を参照し、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、入力環境(点字モード)を変更設定する場合の手順について説明する。図8に示すように、ユーザにより、ラベル作成装置1の電源がON状態にされると、文字入力画面(テキスト編集画面)を表示する(D01)。ここでは、入力された文字(文字情報)を表示する「入力」欄と、「入力」欄に入力された文字を設定された点字表記処理規則に基づいて変換した点字用文字情報を表示する「点訳」欄と、「点訳」欄に表示された点字用文字情報を変換した点字パターンを表示する「点字」欄とを表示する。また、入力位置を示すカーソルKを「入力」欄に表示する。なお、この時点での入力環境は1級点字モードに設定されているものとし、インジケータ10は1級点字ランプ10aが点灯しているものとする。
【0071】
この状態で、ユーザにより、文字情報「a、b、o、u、t」が押下されると、「入力」欄に「about」の文字列を表示する(D02)。ここで、「点訳」キーが押下されることにより、設定されている点字モード(1級点字モード)の点字表記処理規則(1級点字表記処理規則)に基づき、文字情報「about」の各文字を変換した点字用文字情報(1級点字用文字情報)「about」と、点字用文字情報を変換した1級点字パターンとを生成し、画面の「点訳」欄および「点字」欄にそれぞれ表示する(D03)。
【0072】
続いて、上記の状態(D03)において、現在設定されている1級点字モードを2級点字モードに変更するために、ユーザにより、「点字環境キー」が押下されると、点字環境画面に遷移する(D04)。この画面は、点字モードを設定する「英語1・2級」、点字打刻の品質を設定する「打刻品質」、点字打刻の打刻速度を設定する「打刻速度」および設定を反映させるための「設定完了?」の選択肢があり、ユーザがキーボード3上の「上下キー」もしくは「左右キー」で選択できるようになっている。
【0073】
この画面(D04)で、ユーザにより、「上キー」が押下されることで選択された「英語1・2級」を反転表示し(D05)、「決定キー(選択改行キー)」が押下されることで、点字環境設定の変更画面に遷移する(D06)。点字モードの設定を行う「英語1・2級」の画面(D06)では、入力環境を1級点字モードに設定する「1級(Grade1)」と2級点字モードに設定する「2級(Grade2)」とが選択できるようになっている(入力環境設定手段)。なお、入力環境は、上述で1級点字モードに設定されているため、「1級(Grade1)」が反転表示されている。ここで、2級点字モードに設定するために、ユーザにより、「下キー」が押下されることで選択された「2級(Grade2)」を反転表示する(D07)。そして、「決定キー」が押下されることで2級点字モードが選択されたことを確定し、点字環境画面に戻る(D08)。さらに、「下キー」が押下されると、「設定完了?」を反転表示し(D09)、「決定キー」が押下される(入力環境設定手段)ことにより、現在の入力環境を2級点字モードに設定すると共に、テキスト編集画面に戻る(D10)。
【0074】
ただし、上記の状態(D10)では、入力環境は2級点字モードに設定されているが、画面上の点字用文字情報および点字パターンは、まだ2級点字表記処理規則に基づいた変換が行われておらず、1級点字表記処理規則で表示されたままになっている。ここで、「点訳キー」が押下される(点字パターン変換手段)ことによって、はじめて2級点字表記処理規則に基づいて変換し、入力された文字情報に基づいた2級点字用文字情報および2級点字パターンを、「点訳」欄および「点字」欄にそれぞれ表示する(D11)。なお、D10の時点でインジケータ10は、2級点字ランプ10bが点灯し、1級点字ランプ10aは消灯している。
【0075】
次に、図9を参照して、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、ファイル保存の手順について説明する。ここでは、前述の2級点字表記処理規則に基づいて変換された文字情報、点字情報および入力環境情報(2級点字モードの情報)(図8(D11))を保存する手順について説明する。よって、入力環境は2級点字モードに設定されていることとなる。
【0076】
図9に示すように、前述で生成した文字情報、点字用文字情報および点字パターンを画面に表示している状態(D21)で、「点字ファイルキー」が押下されると、点字ファイル画面に遷移する(D22)。点字ファイル画面は、各種情報をファイルに保存する「保存」、保存したファイルを呼び出す「呼出」および保存したファイルを消去する「消去」の選択肢があり、「上下キー(左右キー)」によって、選択することが可能になっている。ここで、ユーザにより選択された「保存」を反転表示し、「決定キー」が押下されることで、点字ファイル保存画面に遷移する(D23)。点字ファイル保存画面では、保存対象となるファイルに対し、自動的に整理番号(ファイル番号)付けを行い、これによりファイル管理等を行う。そして、「決定キー」が押下されると、保存確認画面に遷移し(D24)、ファイル番号および保存対象となる情報(D21の情報)の確認画面を表示する。ここで、再度「決定キー」が押下されると、ファイル保存が完了し、最初の画面(D21)に戻る。
【0077】
なお、上述の場合、入力環境情報(2級点字モードの情報)の保存はユーザに意識させることなく行うため、入力環境に関する情報は画面上に表示していないが、ファイル保存画面(D23)上等に保存する点字の入力環境の種別(1級点字モードまたは2級点字モード)を表示するようにしてもよい。
【0078】
次に、図10を参照し、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、第一の方法におけるファイルの呼び出し手順について説明する。まず、入力環境は、1級点字モードに設定されており、入力された文字情報(about)、1級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報(about)および点字パターンを画面に表示している(D31)。この時、インジケータ10は、1級点字ランプ10aが点灯し、2級点字ランプ10bは消灯している。この状態で、保存されているファイルを呼び出すために、ユーザにより、「点字ファイルキー」が押下されることで、点字ファイル画面に遷移する(D32)。点字ファイル画面では、前述のように、「保存」、「呼出」および「消去」の選択肢が選択可能になっている。ここで、ユーザにより選択された「呼出」を反転表示し、「決定キー」が押下されると、点字ファイル呼出画面に遷移する(D33)。
【0079】
点字ファイル呼出画面では、既に保存済みのファイルをファイル番号順に表示し、ユーザは「上下キー(左右キー)」で選択を行うことができる。また、ファイル番号の下側には、保存された各種情報の中の文字情報(「入力」欄に表示されていた情報)を表示する。これにより、ユーザは呼出対象となるファイルの内容を確認することができる。ここで、ユーザにより、「下キー」が押下され、呼出対象となるファイル番号06のファイル(afterの情報が保存されているファイル)が選択されると、当該ファイル番号を反転表示し(D34)、「決定キー」が押下されることで、ファイル番号06の内容を画面に表示する(D35)。なお、この呼出処理と同時に、最初に入力されていた情報(D31)を削除する。
【0080】
画面に表示されたファイル(D35)は、文字情報「after」に対し、2級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報「af」および点字パターンを生成したファイルである。つまり、当該ファイルの個別点字モードは2級点字モードとなっており、ファイル呼び出し以前の点字モード(1級点字モード)とは異なるため、この時点で、ファイル呼び出し以前の点字モード(1級点字モード)を2級点字モード(個別点字モード)に変更する。この時、インジケータ10は、2級点字ランプ10bが点灯し、1級点字ランプ10aは消灯している。このため、入力されている「after」の後ろに、新たに文字情報「about」が入力され(D36)、「点訳キー」が押下された場合、文字情報「after_about」(アンダーバーはスペースを表す)を2級点字表記処理規則に基づいて変換し、「点訳」欄に「af_ab」を表示すると共に「点字」欄に2級点字パターンを表示する(D37)。
【0081】
この状態(D37)で入力環境(点字モード)を確認するために、「点字環境キー」が押下されると、点字環境画面を表示し(D38)、ユーザにより選択された「英語1・2級」を反転表示する(D39)。さらに「決定キー」が押下されると、「2級(Grade2)」を反転表示した「英語1・2級」画面を表示する(D40)。これにより現在の入力環境(点字モード)は、呼び出したファイルの個別点字モード(2級点字モード)に変更され、2級点字モードに設定されていることが確認できる。
【0082】
次に、図11を参照し、ディスプレイ5上に表示される画面の遷移に従って、第二の方法におけるファイルの呼び出し手順について説明する。まず、入力環境は、1級点字モードに設定されており、文字情報(about)、1級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報(about)および点字パターンを画面に表示している(D41)。この時、インジケータ10は、1級点字ランプ10aが点灯し、2級点字ランプ10bは消灯している。この状態で、保存されているファイルを呼び出すために、ユーザにより、「点字ファイルキー」が押下されると、点字ファイル画面に遷移する(D42)。点字ファイル画面では、前述のように、「保存」、「呼出」および「消去」の選択肢が選択可能になっている。ここで、ユーザにより選択された「呼出」を反転表示し、「決定キー」が押下されることで、点字ファイル呼出画面に遷移する(D43)。
【0083】
点字ファイル呼出画面では、既に保存済みのファイルをファイル番号順に表示し、ユーザは「上下キー(左右キー)」で選択を行うことができる。また、ファイル番号の下側には、保存された各種情報の中の文字情報(「入力」欄に表示されていた情報)を表示する。これにより、ユーザは呼出対象となるファイルの内容を確認することができる。ここで、ユーザにより、「下キー」が押下され、呼出対象となるファイル番号06のファイル(afterの情報が保存されているファイル)が選択されると、当該ファイル番号を反転表示し(D44)、「決定キー」が押下されることで、ファイル番号06の内容を画面に表示する(D45)。なお、この呼出処理と同時に、最初に入力されていた情報(D41)を削除する。
【0084】
画面に表示されたファイル(D45)は、文字情報「after」に対し、2級点字表記処理規則に基づいて変換された点字用文字情報「af」および点字パターンを生成したファイルである。つまり、当該ファイルの個別点字モードは2級点字モードとなっており、ファイル呼び出し以前の点字モード(1級点字モード)とは異なるため、個別点字モード(2級点字モード)を1級点字モード(ファイル呼び出し以前の点字モード)に変更して当該ファイルに上書き保存する。なお、入力環境(点字モード)は1級点字環境のままであるため、インジケータ10は、1級点字ランプ10aが点灯し、2級点字ランプ10bは消灯している。ここで、入力されている「after」の後ろに、新たに文字情報「about」が入力され(D46)、「点訳キー」が押下された場合、2級点字で画面に表示している内容を、1級点字モード」(現在設定されている点字モード)に基づいて変換してもよいか否かを、ユーザに判断させるために、警告表示画面に遷移する(D47)。
【0085】
画面の表示内容を1級点字表記処理規則(1級点字モード)に基づいて編集(編集手段)するための「Yes」が、ユーザにより選択された場合は、「after_about」を1級点字表記処理規則に基づいて変換し、「点訳」欄に「after_about」および「点字」欄に1級点字パターンを表示する(D48)。一方、「No」が選択された場合は、「点訳キー」が押下される前の編集画面(D46)に戻る。この時、2級点字のままで編集作業を続けたい場合は、ユーザは、前述の入力環境の変更設定手順に基づいて、改めて点字環境画面で「2級(Grade2)」を選択して設定し、その後に編集作業をする必要がある。
【0086】
また、上述の「Yes」が選択された状態(D48)で、入力環境(点字モード)を確認するために「点字環境キー」が押下されると、点字環境画面を表示し(D49)、ユーザにより選択された「英語1・2級」を反転表示する(D50)。さらに「決定キー」が押下されると、「1級(Grade1)」を反転表示した「英語1・2級」画面を表示する(D51)。これにより現在の入力環境(点字モード)は1級点字モードのままであり、呼び出されたファイルの個別点字モードにかかわらず変更されていないことが確認できる。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、入力環境を、1級点字モードおよび2級点字モードのいずれか一方を選択して設定することで、入力された文字情報をそれぞれの点字モードに対応した点字表記処理規則に基づいて、自動的に点字パターンに変換することができる。これにより、点字についての理解が乏しい人でも、容易に1級点字および2級点字を使い分けることができ、所望の点字を作成することができる。また、設定された点字モードを報知することにより、ユーザは現在の点字モードが1級点字モードか2級点字モードかを容易に識別することができる。
【0088】
また、ファイル作成時点の点字モードを個別点字モードとして保存するため、点字モード毎にファイルを区別して管理する必要がなく、ファイル管理が簡単にできる。さらに、ファイル呼出の際、呼び出したファイルの個別点字モードを把握していなくても、前回と同じモードで、ファイルの編集等の作業を行うことができる(第一実施形態)。
【0089】
また、上記の例に示した、ラベル作成装置1の各部(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0090】
また、上述した実施例によらず、ラベル作成装置1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。また、ラベル作成装置1以外でも、点字打刻を行い得る装置であれば、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベル作成装置の閉蓋状態の外観斜視図である。
【図2】ラベル作成装置の開蓋状態の外観斜視図である。
【図3】6点点字の説明図である。
【図4】打刻ユニットの平面図および断面図である。
【図5】点字打刻部におけるテープの搬送を説明する図である。
【図6】ラベル作成装置の制御ブロック図である。
【図7】1級点字モードおよび2級点字モードでの点字表示の様子を示す図である。
【図8】入力環境の変更設定手順を画面表示に基づいて説明するための遷移図である。
【図9】文字情報および点字情報をファイルとして保存する手順を説明するための遷移図である。
【図10】ファイル呼出手順の第一の方法を示すための遷移図である。
【図11】ファイル呼出手順の第二の方法を示すための遷移図である。
【符号の説明】
【0092】
1…ラベル作成装置 10…インジケータ 10a…1級点字ランプ 10b…2級点字ランプ 163…ユーザデータブロック T…テープ R…インクリボン C…テープカートリッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された文字情報を、1級点字表記処理規則および2級点字表記処理規則のいずれかに基づいて点字パターンに変換する点字パターン変換手段と、
入力環境を、前記1級点字表記処理規則を用いる1級点字モード、および前記2級点字表記処理規則を用いる2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定手段と、を備え、
前記点字パターン変換手段は、前記入力環境が前記1級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、前記入力環境が前記2級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換することを特徴とする点字情報処理装置。
【請求項2】
前記入力環境設定手段により設定された点字モードを報知する報知手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の点字情報処理装置。
【請求項3】
前記文字情報および前記文字情報に基づいて生成される点字情報を含むファイルを記憶部に保存するファイル保存手段と、
前記記憶部に保存した前記ファイルを呼び出すファイル呼出手段と、を更に備え、
前記ファイル保存手段は、前記ファイルと共に当該ファイルが作成された時点の前記点字モードを個別点字モードとして、更に記憶することを特徴とする請求項2に記載の点字情報処理装置。
【請求項4】
前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードとが異なる場合、前記点字モードを前記個別点字モードに変更して設定する点字モード設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の点字情報処理装置。
【請求項5】
前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルを編集する編集手段を更に備え、
前記編集手段は、呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードにかかわらず、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードに基づいて当該ファイルを編集し、
前記ファイル保存手段は、前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードとが異なる場合、前記ファイルの前記個別点字モードを設定されている前記点字モードに変更して保存することを特徴とする請求項3に記載の点字情報処理装置。
【請求項6】
前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードとが異なる場合、前記個別点字モードと設定されている前記点字モードとが異なる旨および前記点字モードを変更する旨の少なくとも一方を報知することを特徴とする請求項4または5に記載の点字情報処理装置。
【請求項7】
入力された文字情報を点字パターンに変換する点字情報処理装置の制御方法であって、
入力環境を、1級点字表記処理規則を用いて前記点字パターンに変換する1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いて前記点字パターンに変換する2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定工程と、
前記入力環境が前記1級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、前記入力環境が前記2級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換する点字パターン変換工程と、を備えたことを特徴とする点字情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載の点字情報処理装置の制御方法における各工程を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出し可能に記憶することを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれかに記載の点字情報処理装置における各手段と、
前記点字パターン変換手段により変換された前記点字パターンに基づいて点字打刻する点字打刻手段と、を備えたことを特徴とする点字作成装置。
【請求項1】
入力された文字情報を、1級点字表記処理規則および2級点字表記処理規則のいずれかに基づいて点字パターンに変換する点字パターン変換手段と、
入力環境を、前記1級点字表記処理規則を用いる1級点字モード、および前記2級点字表記処理規則を用いる2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定手段と、を備え、
前記点字パターン変換手段は、前記入力環境が前記1級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、前記入力環境が前記2級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換することを特徴とする点字情報処理装置。
【請求項2】
前記入力環境設定手段により設定された点字モードを報知する報知手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の点字情報処理装置。
【請求項3】
前記文字情報および前記文字情報に基づいて生成される点字情報を含むファイルを記憶部に保存するファイル保存手段と、
前記記憶部に保存した前記ファイルを呼び出すファイル呼出手段と、を更に備え、
前記ファイル保存手段は、前記ファイルと共に当該ファイルが作成された時点の前記点字モードを個別点字モードとして、更に記憶することを特徴とする請求項2に記載の点字情報処理装置。
【請求項4】
前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードとが異なる場合、前記点字モードを前記個別点字モードに変更して設定する点字モード設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の点字情報処理装置。
【請求項5】
前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルを編集する編集手段を更に備え、
前記編集手段は、呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードにかかわらず、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードに基づいて当該ファイルを編集し、
前記ファイル保存手段は、前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードとが異なる場合、前記ファイルの前記個別点字モードを設定されている前記点字モードに変更して保存することを特徴とする請求項3に記載の点字情報処理装置。
【請求項6】
前記ファイル呼出手段によって呼び出された前記ファイルの前記個別点字モードと、当該ファイルの呼び出し前に設定されている前記点字モードとが異なる場合、前記個別点字モードと設定されている前記点字モードとが異なる旨および前記点字モードを変更する旨の少なくとも一方を報知することを特徴とする請求項4または5に記載の点字情報処理装置。
【請求項7】
入力された文字情報を点字パターンに変換する点字情報処理装置の制御方法であって、
入力環境を、1級点字表記処理規則を用いて前記点字パターンに変換する1級点字モード、および2級点字表記処理規則を用いて前記点字パターンに変換する2級点字モードのいずれかに設定する入力環境設定工程と、
前記入力環境が前記1級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記1級点字表記処理規則に基づいて1級点字パターンに変換し、前記入力環境が前記2級点字モードに設定されている場合、入力された前記文字情報を前記2級点字表記処理規則に基づいて2級点字パターンに変換する点字パターン変換工程と、を備えたことを特徴とする点字情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載の点字情報処理装置の制御方法における各工程を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出し可能に記憶することを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれかに記載の点字情報処理装置における各手段と、
前記点字パターン変換手段により変換された前記点字パターンに基づいて点字打刻する点字打刻手段と、を備えたことを特徴とする点字作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−149682(P2008−149682A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342831(P2006−342831)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]