説明

点検口構造

【課題】押さえ手段の製作コストを抑えた点検口構造を提供する。
【解決手段】断面がほぼ逆T字状で平面形状が矩形の枠体2を備え、この枠体2には立ち上がり壁4の上端近傍及び張り出し部7の開口部3側に夫々長孔10と貫通孔11とを設け、支持部材12は張り出し部7に形成された貫通孔11に差し込まれる下向きの一端折り曲げ部13及びこの下向きの一端折り曲げ部13の先端に僅かに折り曲げられ立ち上がり壁4の上端近傍に形成された長孔10に引っ掛かる引っ掛かり部14及び、下向きの一端折り曲げ部13の上端に繋がり枠体2の下端外側張り出し部である板部6に下面が当接する天井仕上げ材18を下向きに押し付ける下向きの他端折り曲げ部16とを備えるように線状体により形成され、この支持部材12を回転させることにより他端折り曲げ部16の先端で天井仕上げ材18を枠体2の板部6に押し付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井や壁などに設けられる点検口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の天井などに設置される点検口構造が特許文献1に記載されている。特許文献1の点検口構造は、内枠の周囲側壁部から内枠の内側に張り出す板部上に載置される蓋体を備えている。該蓋体は内枠の少なくとも1組の対向側辺において押さえ手段によって内枠に押し付けられている。この押さえ手段は、内枠の周囲側壁に設置される板体と、この板体に支持され蓋体を内枠の板部側に押し付ける支持部材とを備える。板体は、内枠の上端外側のフランジ部に上端が係合した状態で内枠の周囲側壁外面に設置される。支持部材は、この板体に鉛直線に対して傾斜した状態で支持される一端折り曲げ部と、蓋体を内枠の板部側に押し付ける他端折り曲げ部とを備える。支持部材を一端折り曲げ部を中心として回動させると、円弧状に移動する他端折り曲げ部の先端が蓋体に当接して蓋体を内枠の板部側に押し付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−107551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の点検口構造では、押さえ手段が内枠の周囲側壁部の外面に当接する板部と、線状体からなる支持部材との2つの部品からなるので、押さえ手段の製作コストが嵩むという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、押さえ手段の製作コストを抑えた点検口構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明は、建物の天井に形成された開口部に設けられる点検口構造であって、前記開口部に取り付けられ、断面がほぼ逆T字状で、平面形状が矩形の枠体を備え、この枠体には立ち上がり壁の上端近傍及びこの立ち上がり壁の上端の開口部内側に僅かに突出する張り出し部に夫々互いに近接して支持部材取り付け用孔部を設け、前記支持部材は前記張り出し部に形成された支持部材取り付け用孔部に差し込まれる下向きの一端折り曲げ部及びこの下向きの一端折り曲げ部の先端に僅かに折り曲げられ前記立ち上がり壁の上端近傍に形成された支持部材取り付け用孔部に引っ掛かる引っ掛かり部及び、前記下向きの一端折り曲げ部の上端に繋がり前記枠体の下端外側張り出し部に下面が当接する天井仕上げ材を下向きに押し付ける下向きの他端折り曲げ部とを備えるように線状体により形成され、この支持部材を回転させることにより他端折り曲げ部の先端で前記天井仕上げ材を枠体の下端外側張り出し部に押し付けるようにしたものである。また本発明は、建物の壁に形成された開口部に設けられる点検口構造であって、前記開口部に取り付けられ、断面がほぼ横向きT字状で、正面形状がT字の上部板部で形成された矩形の枠体を備え、この枠体には前記板部の中央から立ち上がる立ち上がり壁の端部近傍及びこの立ち上がり壁の端部の開口部外側に僅かに突出する張り出し部に夫々互いに近接して支持部材取り付け用孔部を設け、前記支持部材は前記張り出し部に形成された支持部材取り付け用孔部に差し込まれる横向きの一端折り曲げ部及びこの横向きの一端折り曲げ部の一端部に僅かに折り曲げられ前記立ち上がり壁の上端近傍に形成された支持部材取り付け用孔部に引っ掛かる引っ掛かり部及び、前記横向きの一端折り曲げ部の他端部に繋がり前記枠体の前記板部内側張り出し部に表面が当接する枠ボード材を水平方向に押し付ける水平方向に向いた他端折り曲げ部とを備えるように線状体により形成され、この支持部材を回転させることにより他端折り曲げ部の先端で前記枠ボード材を枠体の前記板部内側張り出し部に押し付けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、支持部材を一端折り曲げ部と引っ掛かり部と他端折り曲げ部とを備えた線状体とすることができ支持部材の製作コストを抑えた点検口構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る天井点検口が設置された状態の断面図である。
【図2】支持部材が枠体に取り付けられた状態の拡大断面図である。
【図3】支持部材の正面図である。
【図4】支持部材の平面図である。
【図5】支持部材の取り付け状態を示す正面図である。
【図6】支持部材が枠体に係合した状態の拡大断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る壁点検口が設置された状態の断面図である。
【図8】支持部材が枠体に取り付けられた状態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施の形態について図1〜図6に基づいて説明する。天井点検口1は建物の天井に形成された開口部3に取り付けられ、枠体2と、枠体2に載置される枠ボード材9と、枠体2に係合し野縁受け15を押圧する支持部材12とを備える。枠体2はアルミの押し出し材で形成され、室内側から開口部3を見たときの形状が額縁状の正方形である。枠体2の横断面は、ほぼ逆T字状に形成されており、上下方向に形成される立ち上がり壁4の下端には、開口部3の内方および外方に張り出す板部5,6が設けられ、立ち上がり壁4の上端には、立ち上がり壁4の内方および外方に僅かに突出する張り出し部7が設けられる。
【0010】
枠ボード材9は、枠体2の下端内方に張り出す板部5の上面8側に載置される。立ち上がり壁4の上端近傍には、従来枠体2を開口部3の外側周縁部にビス止めするための長孔10が複数設けられている。長孔10は、水平方向である立ち上がり壁4の長手方向に沿って細長に形成される。さらに、長孔10の上方であって張り出し部7の内方に突出した部分には、支持部材12が挿通される貫通孔11が設けられる。貫通孔11は、たとえばパンチングで打ち抜かれ、立ち上がり壁4に沿った上下方向に形成される。
【0011】
支持部材12は線状の金属で形成され、上下方向に直線状に形成され貫通孔11に挿通される一端折り曲げ部13と、この一端折り曲げ部13の下端に略直角に向きを変えた状態で連設され、長孔10に係合する引っ掛かり部14と、一端折り曲げ部13の上端に繋がり野縁受け15を押圧する他端折り曲げ部16とを備える。引っ掛かり部14は、一端折り曲げ部13を中心に回動したとき、長孔10の周縁部に接触することなく長孔10に収容可能な長さとされる。他端折り曲げ部16は、接続部19を介して一端折り曲げ部13と繋がっており、略上下方向に向いた直線状である。
【0012】
図5は、支持部材12の回動に伴って他端折り曲げ部16の下端部17の高さが変化する様子を示す正面図である。一端折り曲げ部13が貫通孔11に挿通され、引っ掛かり部14が長孔10に係合した状態では、一端折り曲げ部13が上下方向から枠体2の長手方向に傾き角Aだけ傾いている。本実施の形態では、傾き角Aは略15°とされる。支持部材12が一端折り曲げ部13を中心に回動すると、他端折り曲げ部16の下端部17は水平面から枠体2の長手方向に略15°傾いた平面上で円弧状に移動する。野縁受け15の上面が25aに示すように高い位置にある場合には、支持部材は12aの位置で下端部17が野縁受け15の上面25aに当接し、野縁受け15の上面が25bのように低い位置にある場合には、支持部材は12bの位置で下端部17が上面25bに当接する。使用者は、このように支持部材12を野縁受け15の高さに応じた位置まで回動させて、下端部17を野縁受け15の上面25a,25bに当接させる。これによって枠体2の開口部3の外方に張り出す板部6を天井仕上げ材18に押し付けて、枠体2を開口部3に固定することができる。
【0013】
なお、傾き角Aは15°に限定するものではない。傾き角Aを小さくすると支持部材12の下端部17を野縁受け15の上面25a,25bに当接させる力を調整し易くなり、傾き角Aを大きくすると、野縁受け15の高さが異なる複数の天井点検口1に用いることができ、部品点数を削減することができる。
【0014】
図6は、支持部材12の一端折り曲げ部13と引っ掛かり部14とが各々貫通孔11と長孔10とに係合した状態の拡大断面図である。他端折り曲げ部16の下端部17が野縁受け15に当接している状態では、一端折り曲げ部13の外面20が貫通孔11の内面21に当接し、一端折り曲げ部13の外面22が長孔10の周縁部23に圧接している。さらに引っ掛かり部14が長孔10に係合している。これによって外部から支持部材12に力が加わった場合に、支持部材12が枠体2から脱落することを防止している。
【0015】
このように支持部材12を一端折り曲げ部13と引っ掛かり部14と他端折り曲げ部16とを備えた金属製の線状体とするとともに、枠体2に形成されている既存の長孔10を利用して支持部材12を取り付けることができるので天井点検口1の製作コストを削減することができる。
【0016】
ここで天井点検口1の取り付け手順について説明する。支持部材12を貫通孔11に挿通させて、支持部材12の引っ掛かり部14を長孔10に収容する。次に一端折り曲げ部13を中心として支持部材12を回動させて他端折り曲げ部16を下げて行き、他端折り曲げ部16の下端部17を野縁受け15の上面25に当接させる。下端部17が野縁受け15の上面25に当接した状態となると、枠体2の開口部3外方に張り出す板部6は天井仕上げ材18に押し付けられ、枠体2を開口部3に固定される。
【0017】
枠体2に取り付けた複数の支持部材12を順時固定して枠体2を開口部3に設置した後に、枠ボード材9を枠体2の下端内方に張り出す板部5上面8に載置する。このようにして天井点検口1が取り付けられる。
【0018】
次に本発明の第2の実施の形態について図7,図8に基づいて説明する。第1の実施形態の説明と重複する部分については説明を省略する。本実施の形態は、壁点検口31に係るものである。枠体32は、壁に形成され水平方向に臨んだ開口部33に取り付けられる。枠体32は、横断面が略横向きT字状であり、室内側から開口部33側を見たとき開口部33の内方および外方に張り出すT字の上部板部35,36で矩形の額縁が形成されており、開口部33の外方に張り出す板部36が開口部33の周縁部にビス止めされる。T字の縦方向の板部を形成する立ち上がり壁34の端部には、立ち上がり壁34の内方および外方に僅かに突出する張り出し部37が設けられる。立ち上がり壁34の端部近傍には長孔40が設けられ、長孔40の奥側であって張り出し部37の外方に突出した部分に貫通孔41が設けられる。貫通孔41は、立ち上がり壁34に沿って水平方向に形成される。
【0019】
枠体32に係合した支持部材12は、枠ボード材9の上面に当接して枠ボード材9を板部35の上面38に押し付けて固定する。このように支持部材12を用いて枠ボード材9を枠体32に固定する場合には、貫通孔41が張り出し部37の外方に突出した部分に設けられるが、第1の実施の形態で説明した枠体2の各辺を内外逆向きにして、板部5が外方に張り出し板部6が内方に張り出した状態で枠体32を形成することによって、同一の部材から天井点検口1の枠体2と壁点検口31の枠体32とを形成することができる。
【0020】
このように、建物の天井に形成された開口部3に設けられる点検口構造であって、開口部3に取り付けられ断面がほぼ逆T字状で、平面形状が矩形の枠体2を備え、この枠体2には立ち上がり壁4の上端近傍及びこの立ち上がり壁4の上端の開口部内側に僅かに突出する張り出し部7に夫々互いに近接して支持部材取り付け用孔部10,11を設け、支持部材12は張り出し部7に形成された支持部材取り付け用孔部である貫通孔11に差し込まれる下向きの一端折り曲げ部13及びこの下向きの一端折り曲げ部13の先端に僅かに折り曲げられ立ち上がり壁4の上端近傍に形成された支持部材取り付け用孔部である長孔10に引っ掛かる引っ掛かり部14及び、下向きの一端折り曲げ部13の上端に繋がり枠体2の下端外側張り出し部である板部6に下面が当接する天井仕上げ材18を下向きに押し付ける下向きの他端折り曲げ部16とを備えるように線状体により形成され、この支持部材12を回転させることにより他端折り曲げ部16の先端で天井仕上げ材18を枠体2の板部6に押し付けるようにしたので、支持部材12を一端折り曲げ部13と引っ掛かり部14と他端折り曲げ部16とを備えた線状体とすることができ支持部材12の製作コストを抑えた天井点検口構造とすることができる。
【0021】
さらに、建物の壁に形成された開口部33に設けられる点検口構造であって、開口部33に取り付けられ、断面がほぼ横向きT字状で、正面形状がT字の上部板部で形成された矩形の枠体32を備え、この枠体32には板部の中央から立ち上がる立ち上がり壁34の端部近傍及びこの立ち上がり壁34の端部の開口部外側に僅かに突出する張り出し部37に夫々互いに近接して支持部材取り付け用孔部40,41を設け、支持部材12は張り出し部37に形成された支持部材取り付け用孔部である貫通孔41に差し込まれる横向きの一端折り曲げ部13及びこの横向きの一端折り曲げ部13の一端部に僅かに折り曲げられ立ち上がり壁34の上端近傍に形成された支持部材取り付け用孔部である長孔40に引っ掛かる引っ掛かり部14及び、横向きの一端折り曲げ部13の他端部に繋がり枠体32の板部内側張り出し部である板部35に表面が当接する枠ボード材9を水平方向に押し付ける水平方向に向いた他端折り曲げ部16とを備えるように線状体により形成され、この支持部材12を回転させることにより他端折り曲げ部16の先端で枠ボード材9を枠体32の板部35に押し付けるようにしたので、支持部材12を一端折り曲げ部13と引っ掛かり部14と他端折り曲げ部16とを備えた線状体とすることができ支持部材12の製作コストを抑えた壁点検口構造とすることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 天井点検口
2,32 枠体
3,33 開口部
4,34 立ち上がり壁
5,6,35,36 板部
7,37 張り出し部
8,24,25,38 上面
9 枠ボード材
10,40 長孔
11,41 貫通孔
12 支持部材
13 一端折り曲げ部
14 引っ掛かり部
15 野縁受け
16 他端折り曲げ部
17 下端部
18 天井仕上げ材
19 接続部
20,22 外面
21 内面
23 周縁部
31 壁点検口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の天井に形成された開口部に設けられる点検口構造であって、
前記開口部に取り付けられ、断面がほぼ逆T字状で、平面形状が矩形の枠体を備え、この枠体には立ち上がり壁の上端近傍及びこの立ち上がり壁の上端の開口部内側に僅かに突出する張り出し部に夫々互いに近接して支持部材取り付け用孔部を設け、前記支持部材は前記張り出し部に形成された支持部材取り付け用孔部に差し込まれる下向きの一端折り曲げ部及びこの下向きの一端折り曲げ部の先端に僅かに折り曲げられ前記立ち上がり壁の上端近傍に形成された支持部材取り付け用孔部に引っ掛かる引っ掛かり部及び、前記下向きの一端折り曲げ部の上端に繋がり前記枠体の下端外側張り出し部に下面が当接する天井仕上げ材を下向きに押し付ける下向きの他端折り曲げ部とを備えるように線状体により形成され、この支持部材を回転させることにより他端折り曲げ部の先端で前記天井仕上げ材を枠体の下端外側張り出し部に押し付けるようにしたことを特徴とした点検口構造。
【請求項2】
建物の壁に形成された開口部に設けられる点検口構造であって、
前記開口部に取り付けられ、断面がほぼ横向きT字状で、正面形状がT字の上部板部で形成された矩形の枠体を備え、この枠体には前記板部の中央から立ち上がる立ち上がり壁の端部近傍及びこの立ち上がり壁の端部の開口部外側に僅かに突出する張り出し部に夫々互いに近接して支持部材取り付け用孔部を設け、前記支持部材は前記張り出し部に形成された支持部材取り付け用孔部に差し込まれる横向きの一端折り曲げ部及びこの横向きの一端折り曲げ部の一端部に僅かに折り曲げられ前記立ち上がり壁の上端近傍に形成された支持部材取り付け用孔部に引っ掛かる引っ掛かり部及び、前記横向きの一端折り曲げ部の他端部に繋がり前記枠体の前記板部内側張り出し部に表面が当接する枠ボード材を水平方向に押し付ける水平方向に向いた他端折り曲げ部とを備えるように線状体により形成され、この支持部材を回転させることにより他端折り曲げ部の先端で前記枠ボード材を枠体の前記板部内側張り出し部に押し付けるようにしたことを特徴とした点検口構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−144912(P2012−144912A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4433(P2011−4433)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000133319)株式会社ダイケン (53)