説明

点検口装置

【課題】 蓋の開閉に手間がかからず、十分な断熱性能を発揮し、断熱性が低下しにくい点検口装置を提供する。
【解決手段】 点検口装置20は、点検口の内周縁部に取り付けられる外枠30と、外枠30の内側に収められて外枠30と着脱可能に係合する内枠40と、内枠40の内側に嵌め込まれる蓋板50と、蓋板50の裏面に取り付けられる断熱体60とを備える。断熱体60は、箱型のケース70と、ケース70の内部に収納される真空断熱材100と、真空断熱材100の収納後にケース70の内部に充填される硬質ウレタンフォーム110とを備える。ケース70は、外向きフランジ部83を有し、内枠40は、蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを上下から挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床に形成される点検口装置に関し、特に、断熱性に優れ、しかも、蓋の開閉がしやすい点検口装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の床下には、例えば、ガス管や水道管などが敷設されており、これらを点検できるように、建物の床には、点検口装置が設けられている。
また、近年、省エネルギー効果が高く、かつ、快適に生活できる、いわゆる高気密、高断熱住宅の開発、普及が求められている。
このため、気密性、断熱性に優れた点検口装置が種々提案されている(特許文献1ないし5参照)。
【特許文献1】特開平 8−105196号公報
【特許文献2】特開平10−245973号公報
【特許文献3】特開平11−131782号公報
【特許文献4】特開平10−169177号公報
【特許文献5】特開2000−73556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上蓋の下方に、上蓋とは別体として形成した、肉厚の比較的厚い断熱蓋を設ける場合にあっては、蓋が二重になることから、蓋の開閉に手間がかかってしまうという問題があった。
また、上蓋の裏面に断熱材を装着する場合にあっては、蓋の開閉のしやすさを考慮すると、断熱材の肉厚を比較的薄くする必要があるところ、断熱材が発泡スチロールやグラスウールでは、断熱性が十分に発揮されないという問題があった。
また、断熱蓋や断熱材を剥き出しの発泡スチロールで形成する場合にあっては、蓋の開閉時に損傷して、気密性や断熱性が低下してしまうという問題があった。
【0004】
(請求項1)
そこで、請求項1記載の発明は、箱型のケースの内部に、断熱性能が極めて高い真空断熱材を収納するとともに、断熱性能が比較的高い硬質ウレタンフォームを充填し、これを断熱体として蓋板の裏面に取り付けることにより、蓋板と断熱体とが一体になって蓋の開閉に手間がかからず、また、蓋の開閉のしやすさを考慮して断熱体の肉厚を比較的薄くしても十分な断熱性能を発揮し、また、真空断熱材や硬質ウレタンフォームがケースで保護されることから断熱体が損傷しにくく断熱性が低下しにくい点検口装置を提供することを目的とする。
【0005】
(請求項2)
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加えて、ケースをケース本体とケース蓋体とから構成し、ケース本体の開口部からその内部に真空断熱材を収納し、その後に、ケース本体の開口部をケース蓋体で塞ぎ、その後に、充填用孔からケースの内部に硬質ウレタンフォームを充填することにより、断熱性能が極めて高くかつ損傷しにくい断熱体が比較的容易に製造できる点検口装置を提供することを目的とする。
(請求項3)
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の目的に加えて、ケースの内部に補強桟を設け、この補強桟をケース蓋体の裏面、又はケース本体の内面に固定することにより、十分な強度を発揮する点検口装置を提供することを目的とする。
【0006】
(請求項4)
また、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3記載の発明の目的に加えて、外枠に外枠下フランジ部を設け、この外枠下フランジ部で内枠を支持するようにし、外枠と内枠との間に間隙を密閉するパッキンを設けることにより、十分な気密性を発揮する点検口装置を提供することを目的とする。
(請求項5)
また、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の発明の目的に加えて、蓋板の所定位置に取っ手用孔を設け、その下方に相当する断熱体の上面には取っ手用凹部を設け、取っ手用孔の内側には取っ手を取り付け、この取っ手が蓋板の上面よりも上方へ突出したり、取っ手用凹部の内部に納まったりするように形成することにより、蓋の開閉がしやすい点検口装置を提供することを目的とする。
【0007】
(請求項6)
また、請求項6記載の発明は、請求項1ないし5記載の発明の目的に加えて、ケースの外向きフランジ部と内枠との間に断熱部材を設けて、ケースと内枠とが直接接触しないようにするとともにケースと内枠との間の熱の移動を阻止することにより、ケース及び内枠を介しての室内外の熱の移動を阻止するようにして、断熱性能をより一層高めた点検口装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、点検口装置20に係るものであって、床に形成した点検口の内周縁部に取り付けられる外枠30と、外枠30の内側に収められて外枠30と着脱可能に係合する内枠40と、内枠40の内側に嵌め込まれる蓋板50と、蓋板50の裏面に取り付けられる断熱体60とを備え、断熱体60は、箱型のケース70と、ケース70の内部に収納される真空断熱材100と、真空断熱材100の収納後にケース70の内部に充填される硬質ウレタンフォーム110とを備え、ケース70は、その上端外周縁部から外方へ向けて突出する外向きフランジ部83を有し、内枠40は、蓋板50の外周縁部及びケース70の外向きフランジ部83に沿って設けられ、蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを上下から挟持するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、「点検口」とは、床に形成される開口部である。
また、「外枠30」とは、点検口の内周縁部に取り付けられる部材である。外枠30は、例えば、アルミニウムの押し出し成型によって形成することができる。
また、「内枠40」とは、外枠30の内側に収められて外枠30と着脱可能に係合する部材である。内枠40は、外枠30と同様に、例えば、アルミニウムの押し出し成型によって形成することができる。
また、「蓋板50」とは、内枠40の内側に嵌め込まれる部材である。蓋板50は、例えば、床に用いられるフローリング板を用いて形成することができる。また、蓋板50は、1枚の板から形成してもよく、また、複数枚の板を重ね合わせて形成してもよく、また、1枚又は複数枚の板の上にCFシートなどを貼付して形成してもよい。
【0010】
また、「断熱体60」は、蓋板50の裏面に取り付けられるものであって、箱型のケース70と、ケース70の内部に収納される真空断熱材100と、真空断熱材100の収納後にケース70の内部に充填される硬質ウレタンフォーム110とを備えるものである。
また、「ケース70」は、断熱体60を構成する部材の一つであって、箱型に形成されるものである。このケース70の内部に、断熱材としての真空断熱材100や硬質ウレタンフォーム110が収められる。また、ケース70は、断熱材としての真空断熱材100や硬質ウレタンフォーム110を収めるためのものであるとともに、これらを保護するためのものである。また、ケース70は、例えば、鋼板を用いて板金で形成してもよく、また、アルミニウムを用いて鍛造又は鋳造で形成してもよく、また、合成樹脂を用いて射出成型で形成してもよい。また、合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)を用いてもよく、また、ポリプロピレン(PP)を用いてもよく、また、ポリスチレン(PS)を用いてもよく、また、ABSを用いてもよい。
【0011】
また、「真空断熱材100」は、断熱体60を構成する部材の一つであって、ケース70の内部に収納されるものである。また、真空断熱材100は、例えば、グラスウールなどの芯材101を、金属箔ラミネートフィルムなどの梱包材102で梱包し、梱包材102の内部を真空にするとともに、梱包材102の外周縁部を密封することによって形成することができる。
また、「硬質ウレタンフォーム110」は、断熱体60を構成する部材の一つであって、ケース70の内部に真空断熱材100を収納した後に、ケース70の内部に充填されるものである。また、硬質ウレタンフォーム110は、硬質発泡ウレタンなどとも呼ばれるものである。ケース70の内部に真空断熱材100を収納すると、ケース70の内面と真空断熱材100の外面との間に間隙、空間ができる。そして、硬質ウレタンフォーム110は、この間隙、空間に充填される。つまり、硬質ウレタンフォーム110は、ケース70の内部における、真空断熱材100が占める部分以外の部分に充填される。また、硬質ウレタンフォーム110は、断熱材として機能するとともに、ケース70と真空断熱材100との接着剤としても機能する。また、例えば、ケース70がケース本体80とケース蓋体90とから構成される場合にあっては、硬質ウレタンフォーム110は、ケース本体80とケース蓋体90との接着剤としても機能する。
【0012】
また、「外向きフランジ部83」とは、ケース70の上端外周縁部から外方へ向けて突出するものである。また、外向きフランジ部83は、蓋板50の外周縁部の下方に位置し、蓋板50の外周縁部に沿って形成されるものである。
そして、本発明では、内枠40は、蓋板50の外周縁部及びケース70の外向きフランジ部83に沿って設けられ、蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを上下から挟持するように形成される。そして、内枠40が蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを上下から挟持することにより、蓋板50の裏面に断熱体60が固定され、蓋板50と断熱体60とが一体化される。また、内枠40は、例えば、断面「コ」字形に形成することができる。そして、蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを重ね合わせたところに、内枠40を外側から被せるようにして取り付ける。そうすると、内枠40で蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを上下から挟持するようにすることができる。
【0013】
このように、本発明では、箱型のケース70の内部に、断熱性能が極めて高い真空断熱材100を収納するとともに、断熱性能が比較的高い硬質ウレタンフォーム110を充填し、これを断熱体60としている。そして、この断熱体60を蓋板50の裏面に取り付けている。このため、蓋板50と断熱体60とが一体になって蓋の開閉に手間がかからない。また、蓋の開閉のしやすさを考慮して断熱体60の肉厚を比較的薄くしても、真空断熱材100を用いたことから十分な断熱性能を発揮する。また、真空断熱材100や硬質ウレタンフォーム110がケース70で保護されることからこれらが損傷しにくく、ひいては断熱性が低下しにくい。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明を限定したものであって、ケース70は、上面に開口部を有する箱型のケース本体80と、ケース本体80の開口部を塞ぐケース蓋体90とを備え、ケース本体80、ケース蓋体90、又はケース本体80及びケース蓋体90の所定位置には、ケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填するための充填用孔96が設けられ、断熱体60は、ケース本体80の上面の開口部からケース本体80の内部に真空断熱材100を収納し、その後に、ケース本体80の上面の開口部をケース蓋体90で塞ぎ、その後に、充填用孔96からケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填して形成されることを特徴とする。
【0014】
ここで、「ケース本体80」とは、ケース70を構成する部材の1つであって、上面に開口部を有する箱型に形成されるものである。また、ケース本体80には、その上端外周縁部から外方へ向けて突出するように、外向きフランジ部83を設けることができる。
また、「ケース蓋体90」とは、ケース70を構成する部材の1つであって、ケース本体80の開口部を塞ぐためのものである。また、ケース蓋体90は、例えば、下面に開口部を有する箱型に形成することができる。この場合、ケース蓋体90は、ケース本体80の内部にちょうど収納されるような形状、大きさに形成する。そして、ケース本体80の開口部とケース蓋体90の開口部とを互いにつき合わせるようにして、ケース本体80の内部にケース蓋体90を収納することにより、ケース本体80の開口部がケース蓋体90で塞がれるようにする。また、ケース蓋体90は、例えば、平板状に形成することができる。この場合、ケース蓋体90は、その外周縁部がケース本体80に設けた外向きフランジ部83に沿うような形状、大きさに形成する。そして、ケース本体80の上面にケース蓋体90を載置することにより、ケース本体80の開口部がケース蓋体90で塞がれるようにする。
【0015】
また、「充填用孔96」とは、ケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填するための孔であって、ケース70の内部と外部とを連通させるように形成されるものである。また、充填用孔96は、ケース70の内部と外部とを連通させるように形成されれば、例えば、ケース本体80にのみ設けてもよく、また、ケース蓋体90にのみ設けてもよく、また、ケース本体80とケース蓋体90との双方に設けてもよい。また、例えば、ケース本体80とケース蓋体90とが重なり合う部分を有する場合において、この重なり合う部分に充填用孔96を設けるときには、ケース本体80に設けた充填用孔96の位置とケース蓋体90に設けた充填用孔96の位置とが互いに一致するようにする。
【0016】
そして、本発明では、断熱体60は、ケース本体80の上面の開口部からケース本体80の内部に真空断熱材100を収納し、その後に、ケース本体80の上面の開口部をケース蓋体90で塞ぎ、その後に、充填用孔96からケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填して形成される。このため、断熱性能が極めて高くかつ損傷しにくい断熱体60が比較的容易に製造できる。
(請求項3)
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明を限定したものであって、ケース70の内部には、補強桟97が設けられ、補強桟97は、ケース蓋体90の裏面、又はケース本体80の内面に固定されていることを特徴とする。
【0017】
ここで、「補強桟97」は、点検口の蓋の強度を増すためのものであって、ケース70の内部に設けられ、ケース蓋体90の裏面、又はケース本体80の内面に固定されるものである。また、補強桟97は、ケース蓋体90の裏面に固定してもよく、また、ケース本体80の内面に固定してもよい。具体的には、補強桟97の上面をケース蓋体90の裏面に固定してもよく、また、補強桟97の両端をケース本体80の対向する本体側部82の内面にそれぞれ固定してもよく、また、補強桟97の下面をケース本体80の本体底部81の内面に固定してもよい。また、例えば、ケース蓋体90を箱型に形成してケース本体80の内部に収納する場合において、ケース本体80の内面に補強桟97を固定するときには、ケース蓋体90と補強桟97とが互いに干渉し合わないように、例えば、ケース蓋体90における補強桟97に対応する位置に切り欠きを設ける。また、補強桟97をケース蓋体90の裏面に固定する場合にも、補強桟97をケース本体80の内面に固定する場合にも、いずれの場合にも、ケース70の内部には真空断熱材100を収納するためのスペースを十分に確保し、補強桟97と真空断熱材100とが互いに干渉し合わないようにすることが好ましい。
【0018】
このように、本発明では、ケース70の内部に補強桟97を設け、この補強桟97をケース蓋体90の裏面、又はケース本体80の内面に固定している。このため、十分な強度を発揮する点検口装置20とすることができる。
(請求項4)
また、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3記載の発明を限定したものであって、外枠30は、その下端内周縁部から内方へ向けて突出する外枠下フランジ部32を有し、この外枠下フランジ部32の上面で内枠40の下面を支持するように形成され、外枠下フランジ部32の上面と内枠40の下面との間には、外枠30と内枠40との間の間隙を密閉するパッキン34が設けられていることを特徴とする。
【0019】
ここで、「外枠下フランジ部32」とは、外枠30の下端内周縁部から内方へ向けて突出するものである。そして、外枠30は、この外枠下フランジ部32の上面で、内枠40の下面を支持するように形成されている。この外枠下フランジ部32により、外枠30と内枠40とが着脱可能に係合する。
また、「パッキン34」は、外枠30の外枠下フランジ部32の上面と内枠40の下面との間に設けられ、外枠30と内枠40との間の間隙を密閉するものである。
このように、本発明では、外枠30に外枠下フランジ部32を設け、この外枠下フランジ部32で内枠40を支持するようにし、外枠30と内枠40との間に間隙を密閉するパッキン34を設けている。このため、十分な気密性を発揮する点検口装置20とすることができる。
【0020】
(請求項5)
また、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の発明を限定したものであって、蓋板50の所定位置には、取っ手122を取り付けるための取っ手用孔51が設けられ、断熱体60の上面であって取っ手用孔51の下方に相当する位置には、取っ手122を収納するための取っ手用凹部95が設けられ、取っ手用孔51の内側には、取っ手122が取り付けられ、取っ手122は、取っ手用孔51を介して、その一部を、蓋板50の上面よりも上方へ突出させ、又は取っ手用凹部95の内部へ収納するように変位可能に形成されていることを特徴とする。
ここで、「取っ手用孔51」とは、蓋板50の所定位置に設けられる孔であって、取っ手122を取り付けるためのものである。
【0021】
また、「取っ手用凹部95」とは、断熱体60の上面であって取っ手用孔51の下方に相当する位置に設けられる凹部であって、取っ手122を収納するためのものである。また、取っ手用凹部95は、次のようにして形成することができる。例えば、ケース蓋体90の所定位置に凹部用孔93を設け、この凹部用孔93を、ケース70の内方へ向けて突出する半円柱形状あるいは立方体形状の凹部形成部材94で塞ぐ。この状態でケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填し、その後に、凹部形成部材94を取り除く。そうすると、断熱体60の所定位置に取っ手用凹部95を形成することができる。また、例えば、ケース蓋体90の所定位置に凹部用窪みを設ける。そうすると、このケース蓋体90に設けた凹部用窪みを取っ手用凹部95とすることができる。
【0022】
また、「取っ手122」は、取っ手用孔51の内側に取り付けられる。また、取っ手122は、取っ手用孔51を介して、その一部を、蓋板50の上面よりも上方へ突出させ、又は取っ手用凹部95の内部へ収納するように変位可能に形成される。例えば、取っ手用孔51の内周面部に取っ手枠121を取り付け、また、取っ手枠121の内側には半円形状の取っ手122を設ける。そして、取っ手122の所定位置に取っ手軸123を設けて、この取っ手軸123を取っ手枠121の所定位置に設けた軸受部で受ける。つまり、取っ手122の所定位置を取っ手枠121に回転可能に軸支させる。そうすると、取っ手軸123を中心に取っ手122が回転することにより、取っ手122の一部が、取っ手用孔51を介して、蓋板50の上面よりも上方へ突出したり、取っ手用凹部95の内部に収納されたりする。
【0023】
このように、本発明では、蓋板50の所定位置に取っ手用孔51を設け、その下方に相当する断熱体60の上面には取っ手用凹部95を設け、取っ手用孔51の内側には取っ手122を取り付け、この取っ手122が蓋板50の上面よりも上方へ突出したり、取っ手用凹部95の内部に納まったりするようにしている。このため、蓋の開閉がしやすい点検口装置20とすることができる。
(請求項6)
また、請求項6記載の発明は、請求項1ないし5記載の発明を限定したものであって、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間には、ケース70と内枠40とが直接接触しないようにするとともにケース70と内枠40との間の熱の移動を阻止するための断熱部材45が設けられていることを特徴とする。
【0024】
ここで、「断熱部材45」は、ケース70と内枠40とが直接接触しないようにするとともにケース70と内枠40との間の熱の移動を阻止するためのものであって、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に設けられるものである。また、断熱部材45は、例えば、天然ゴムや合成樹脂や布や紙などのように熱容量が比較的大きくかつ熱伝導率が比較的低い材料を用いて形成され、ケース70と内枠40とが直接接触しないように、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に全周にわたって配置されるものである。特に、ケース70と内枠40とが双方とも鋼板やアルミニウムなどのように熱容量が比較的小さくかつ熱伝導率が比較的高い材料を用いて形成される場合には、ケース70と内枠40との間に断熱部材45を設けて、ケース70と内枠40とが直接接触しないようにし、ケース70と内枠40との間の熱の移動を阻止することが好ましい。
【0025】
このように、本発明では、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に断熱部材45を設けて、ケース70と内枠40とが直接接触しないようにするとともにケース70と内枠40との間の熱の移動を阻止して、ケース70及び内枠40を介しての室内外の熱の移動を阻止するようにしている。このため、断熱性能をより一層高めた点検口装置20とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
(請求項1)
請求項1記載の発明によれば、箱型のケースの内部に、断熱性能が極めて高い真空断熱材を収納するとともに、断熱性能が比較的高い硬質ウレタンフォームを充填し、これを断熱体として蓋板の裏面に取り付けたことから、蓋板と断熱体とが一体になって蓋の開閉に手間がかからず、また、蓋の開閉のしやすさを考慮して断熱体の肉厚を比較的薄くしても十分な断熱性能を発揮し、また、真空断熱材や硬質ウレタンフォームがケースで保護されることから断熱体が損傷しにくく断熱性が低下しにくい点検口装置を提供できる。
(請求項2)
また、請求項2記載の発明によれば、ケースをケース本体とケース蓋体とから構成し、ケース本体の開口部からその内部に真空断熱材を収納し、その後に、ケース本体の開口部をケース蓋体で塞ぎ、その後に、充填用孔からケースの内部に硬質ウレタンフォームを充填したことから、断熱性能が極めて高くかつ損傷しにくい断熱体が比較的容易に製造できる点検口装置を提供できる。
【0027】
(請求項3)
また、請求項3記載の発明によれば、ケースの内部に補強桟を設け、この補強桟をケース蓋体の裏面、又はケース本体の内面に固定したことから、十分な強度を発揮する点検口装置を提供できる。
(請求項4)
また、請求項4記載の発明によれば、外枠に外枠下フランジ部を設け、この外枠下フランジ部で内枠を支持するようにし、外枠と内枠との間に間隙を密閉するパッキンを設けたことから、十分な気密性を発揮する点検口装置を提供できる。
【0028】
(請求項5)
また、請求項5記載の発明によれば、蓋板の所定位置に取っ手用孔を設け、その下方に相当する断熱体の上面には取っ手用凹部を設け、取っ手用孔の内側には取っ手を取り付け、この取っ手が蓋板の上面よりも上方へ突出したり、取っ手用凹部の内部に納まったりするように形成したことから、蓋の開閉がしやすい点検口装置を提供できる。
(請求項6)
また、請求項6記載の発明によれば、ケースの外向きフランジ部と内枠との間に断熱部材を設けて、ケースと内枠とが直接接触しないようにするとともにケースと内枠との間の熱の移動を阻止したことから、ケース及び内枠を介しての室内外の熱の移動が阻止されるので、断熱性能をより一層高めた点検口装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1の実施の形態)
図1ないし図5は、本発明の実施の形態を示すものである。
図1は、第1の実施の形態に係る点検口装置20の断面図、図2は、第1の実施の形態に係る点検口装置20の蓋を開けた状態を示す斜視図、図3は、第1の実施の形態に係る点検口装置20の断面要部拡大図、図4は、第1の実施の形態に係る点検口装置20の分解斜視図、図5は、第1の実施の形態に係る点検口装置20の取っ手122の説明図である。
(点検口装置20)
図1及び図2に示すように、建物の床を構成する床板10(フローリング板)の所定位置には、四角形状の開口部が設けられており、この開口部が点検口とされている。また、床板10の下方には、木製の角材から構成される根太11が設けられている。また、根太11は、点検口とされる開口部の周囲に位置するように枠形に配置されており、その上面で床板10を受けて支持している。また、根太11の側面には、木製の角材から構成される受け材12が釘で固定されている。また、受け材12は、点検口とされる開口部に沿うように四角枠形に設けられている。そして、本実施の形態に係る点検口装置20は、床に形成した点検口の内周縁部に取り付けられる外枠30と、外枠30の内側に収められて外枠30と着脱可能に係合する内枠40と、内枠40の内側に嵌め込まれる蓋板50と、蓋板50の裏面に取り付けられる断熱体60とを備えている。
【0030】
(外枠30)
図1ないし図3に示すように、点検口の内周縁部には、四角枠形の外枠30が取り付けられている。また、外枠30は、4つの外枠30材を四角枠形に組み合わせることによって形成されている。また、外枠30材は、アルミニウムの押し出し成型によって形成されている。また、図3に示すように、外枠30材の断面は、ほぼクランク状に形成されている。また、図3に示すように、外枠30材は、鉛直方向に延びる外枠鉛直部31と、外枠鉛直部31の下端から水平方向へ向けて突出する外枠下フランジ部32と、外枠鉛直部31の上端から外枠下フランジ部32とは反対側の水平方向へ向けて突出する外枠上フランジ部33とを有している。そして、4つの外枠30材は、外枠下フランジ部32を内方へ向けるようにして、四角枠形に組み合わされる。これにより、外枠下フランジ部32は、外枠30の下端内周縁部から内方へ向けて突出するものとなる。また、図3に示すように、外枠30は、外枠下フランジ部32を受け材12の上面に載せ、かつ、外枠鉛直部31を点検口とされる開口部の内面に沿わせ、かつ、外枠上フランジ部33を床板10の上面に載せるようにして、点検口の内周縁部に取り付けられる。また、外枠下フランジ部32の所定位置には外枠下フランジ部32を上下に貫通するビス孔が設けられている。そして、このビス孔を通したビスを受け材12に締め付ける。そうすると、外枠30が点検口の内周縁部に固定される。
【0031】
また、外枠下フランジ部32の上面であって、外枠鉛直部31側の端部付近には、パッキン34用溝が設けられている。また、パッキン34用溝は、外枠30の全周にわたって形成されている。また、パッキン34用溝内には、パッキン34が設けられている。また、パッキン34は、外枠30の全周にわたって設けられている。
(内枠40)
図1ないし図3に示すように、外枠30の内側には、四角枠形の内枠40が収められている。内枠40の外径は、外枠30の内径よりもわずかに小さい。これにより、内枠40は、外枠30の内側に収まるようになっている。また、内枠40は、4つの内枠40材と、これら4つの内枠40材を四角枠形に結合するための4つの結合部材41とを備えている。また、内枠40材は、アルミニウムの押し出し成型によって形成されている。また、図1ないし図3に示すように、内枠40材は、断面がほぼ「コ」字形に形成されている。また、内枠40材は、鉛直方向に延びる内枠鉛直部と、内枠鉛直部の下端から水平方向へ向けて延びる内枠下フランジ部43と、内枠鉛直部の上端から内枠下フランジ部43と対向するように水平方向へ向けて延びる内枠上フランジ部44とを有している。また、4つの内枠40材は、内枠上フランジ部44及び内枠下フランジ部43を内方へ向けるようにして、四角枠形に組み合わされる。そして、内枠下フランジ部43と内枠上フランジ部44との間で、蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを上下から挟持するようになっている。また、4つの内枠40材は、4つの結合部材41で結合される。図4に示すように、結合部材41は、ほぼ「L」字形に形成されている。また、4つの結合部材41は、内枠40の内側に位置するようにして、4箇所ある内枠40材と内枠40材との結合部位、つまり内枠40の角部にそれぞれ配置される。そして、各内枠40材と各結合部材41とがそれぞれビスで固定される。
【0032】
また、内枠40を外枠30の内側に収めると、内枠下フランジ部43の下面が外枠下フランジ部32の上面で支持される。これにより、内枠40は、外枠30と着脱可能に係合する。また、内枠40を外枠30の内側に収めると、外枠下フランジ部32の上面に設けたパッキン34が内枠下フランジ部43の下面に当接する。これにより、外枠30と内枠40との間の間隙が密閉される。
(蓋板50)
図1ないし図4に示すように、内枠40の内側には、四角平板状の蓋板50が嵌め込まれている。蓋板50は、床板10と同じ材質の板材(フローリング板)を用いて構成されており、内枠40の内側にちょうど嵌る形状、大きさにカットされている。また、蓋板50の所定位置には、取っ手用孔51が設けられている。取っ手用孔51は、取っ手122を取り付けるためのものであって、四角形状に形成されており、蓋板50を上下に貫通している。
【0033】
(断熱体60)
図1ないし図3に示すように、蓋板50の裏面には、四角箱型の断熱体60が取り付けられている。また、図1ないし図4に示すように、断熱体60は、箱型のケース70と、ケース70の内部に収納される真空断熱材100と、真空断熱材100の収納後にケース70の内部に充填される硬質ウレタンフォーム110とを備えている。
(ケース70)
ケース70は、断熱体60を構成する部材の一つであって、図1、図2及び図4に示すように、四角箱型に形成されている。このケース70の内部に、断熱材としての真空断熱材100や硬質ウレタンフォーム110が収められる。また、ケース70は、断熱材としての真空断熱材100や硬質ウレタンフォーム110を収めるためのものであるとともに、これらを保護するためのものである。また、図1、図2及び図4に示すように、ケース70は、上面に開口部を有する四角箱型のケース本体80と、ケース本体80の開口部を塞ぐ四角箱型のケース蓋体90とを備えている。
【0034】
また、ケース本体80は、ケース70を構成する部材の一つであって、図1、図2及び図4に示すように、上面に開口部を有する四角箱型に形成されている。また、図1及び図4に示すように、ケース本体80は、四角平板状の本体底部81と、本体底部81の外周縁部から鉛直上方へ向けて立設されている本体側部82と、本体側部82の上端外周縁部から外方へ向けて突出する外向きフランジ部83とを有している。つまり、外向きフランジ部83は、ケース70の上端外周縁部から外方へ向けて突出するものである。また、本体底部81の外径は、蓋板50の外径よりもやや小さく形成されており、また、外向きフランジ部83の外径は、蓋板50の外径とほぼ等しくなるように形成されている。これにより、蓋板50の裏面に断熱体60を取り付けた際には、外向きフランジ部83は、蓋板50の外周縁部の下方に位置し、蓋板50の外周縁部に沿うようになっている。また、本体側部82の所定位置には、充填用孔96が設けられている。この充填用孔96は、ケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填するためのものであって、本体側部82を貫通しており、ケース本体80の内部と外部とを連通させている。また、本実施の形態では、ケース本体80は、鋼板を用いて板金で形成されている。
【0035】
また、ケース蓋体90は、ケース70を構成する部材の一つであって、ケース本体80の開口部を塞ぐためのものである。また、図1及び図4に示すように、ケース蓋体90は、下面に開口部を有する四角箱型に形成されている。また、図1及び図4に示すように、ケース蓋体90は、四角平板状の蓋体天板部91と、蓋体天板部91の外周縁部から鉛直下方へ向けて立設されている蓋体側部92とを有している。また、蓋体天板部91の外径は、本体底部81の外径よりもわずかに小さく形成されており、また、蓋体側部92の外径は、本体側部82の内径よりもわずかに小さく形成されている。これにより、ケース蓋体90は、ケース本体80の内部にすっぽりと収まるようになっている。そして、ケース本体80の開口部とケース蓋体90の開口部とを互いにつき合わせるようにして、ケース本体80の内部にケース蓋体90を収納すると、ケース本体80の開口部がケース蓋体90で塞がれて、箱型のケース70となる。また、蓋体側部92の所定位置には、充填用孔96が設けられている。この充填用孔96は、ケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填するためのものであって、蓋体側部92を貫通しており、ケース蓋体90の内部と外部とを連通させている。また、ケース蓋体90の充填用孔96の位置は、ケース本体80の充填用孔96の位置と一致するようにしてある。また、蓋体天板部91の所定位置には、凹部用孔93が設けられている。凹部用孔93は、四角形状に形成されており、蓋体天板部91を上下に貫通している。この凹部用孔93は、取っ手用凹部95を形成するためのものである。取っ手用凹部95については後で詳しく説明する。また、本実施の形態では、ケース蓋体90は、ケース本体80と同様に、鋼板を用いて板金で形成されている。
【0036】
(真空断熱材100)
真空断熱材100は、断熱体60を構成する部材の一つであって、図1及び図4に示すように、四角形の板状に形成されている。また、真空断熱材100は、グラスウールからなる芯材101を、金属箔ラミネートフィルムからなる梱包材102で梱包し、梱包材102の内部を真空にするとともに、梱包材102の外周縁部を密閉したものである。また、真空断熱材100は、ケース本体80の本体底部81よりもやや小さい四角形の板状に形成されており、ケース本体80の本体底部81のほぼ全面に敷き詰められるようにしてある。
(硬質ウレタンフォーム110)
硬質ウレタンフォーム110は、断熱体60を構成する部材の一つであって、ケース70の内部に充填されるものである。また、硬質ウレタンフォーム110は、硬質発泡ウレタンなどとも呼ばれるものである。ケース70の内部に真空断熱材100を収納すると、ケース70の内面と真空断熱材100の外面との間に間隙、空間ができる。そして、硬質ウレタンフォーム110は、この間隙、空間に充填される。つまり、硬質ウレタンフォーム110は、ケース70の内部における、真空断熱材100が占める部分以外の部分に充填される。また、硬質ウレタンフォーム110は、断熱材として機能するとともに、ケース70と真空断熱材100との接着剤としても機能する。また、硬質ウレタンフォーム110は、ケース本体80の内面及びケース蓋体90の内面の双方と接触するように充填されることから、ケース本体80とケース蓋体90との接着剤としても機能し、更には、断熱体60全体の強度を高める補強材としても機能する。また、硬質ウレタンフォーム110は、ケース本体80及びケース蓋体90に設けられた充填用孔96からケース70の内部に充填される。なお、ケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填した後には、充填用孔96は、図示しないキャップで塞がれる。
【0037】
(取っ手122)
上述したように、蓋板50の所定位置には、取っ手用孔51が設けられている。また、断熱体60の上面であって、取っ手用孔51の下方に相当する位置には、取っ手用凹部95が設けられている。取っ手用凹部95は、取っ手122を収納するためのものである。取っ手用凹部95は、次のようにして形成される。上述したように、ケース蓋体90の所定位置には、凹部用孔93が設けられている。凹部用孔93の位置は、蓋板50の裏面に断熱体60を取り付けた際に、蓋板50の取っ手用孔51と一致する位置である。この凹部用孔93を、ケース70の内方へ向けて突出する半円柱形状の凹部形成部材94で塞ぐ。そして、凹部用孔93を凹部形成部材94で塞いだ状態で、ケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填し、その後に、凹部形成部材94を取り除く。凹部形成部材94を取り除くと窪みができ、この窪みを取っ手用凹部95とする。
【0038】
また、取っ手用孔51の内側には、取っ手ユニット120が取り付けられている。取っ手122用ユニットは、取っ手用孔51の内周面部に取り付けられる四角枠形の取っ手枠121と、取っ手枠121の内側に設けられる半円形状の取っ手122とを備えている。また、取っ手122の所定位置には取っ手軸123が設けられており、この取っ手軸123は、取っ手枠121の所定位置に設けた軸受部で受けられている。これにより、取っ手122は、取っ手枠121に回転可能に軸支されている。そして、取っ手122は、取っ手軸123を中心に回転することにより、取っ手用孔51を介して、その一部を、蓋板50の上面よりも上方へ突出させたり、又は取っ手用凹部95の内部へ収納するように変位する。
【0039】
(製造方法・施工方法)
まず、断熱体60の製造方法について説明する。まず、ケース本体80の上面の開口部からケース本体80の内部に真空断熱材100を収納する。次に、ケース本体80の上面の開口部をケース蓋体90で塞ぐ。このとき、ケース蓋体90に設けた凹部用孔93は、凹部形成部材94で塞いでおく。そして、ケース本体80とケース蓋体90とを上下から押さえ込むようにして圧接させ、この状態で、充填用孔96からケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填する。硬質ウレタンフォーム110を充填した後に、充填用孔96をキャップで塞ぐ。そして、硬質ウレタンフォーム110が固まったら、凹部形成部材94を取り除く。このようにして断熱体60を製造することができる。
【0040】
次に、蓋板50と断熱体60との組み付けについて説明する。まず、蓋板50の裏面と断熱体60の上面とを合わせる。このとき、蓋板50に設けた取っ手用孔51の位置と断熱体60の上面に設けた取っ手用凹部95の位置とを一致させる。そうすると、蓋板50の外周縁部の下方にケース70の外向きフランジ部83が位置し、蓋板50の外周縁部にケース70の外向きフランジ部83が沿うようになる。そして、蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを重ね合わせたところに、内枠40材を外側から被せるようにして取り付ける。具体的には、内枠上フランジ部44と内枠下フランジ部43との間に蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とを挟み込むようにする。そうすると、蓋板50の外周縁部とケース70の外向きフランジ部83とが内枠40材で上下から挟持される。蓋板50の外周縁部及びケース70の外向きフランジ部83の4辺に4つの内枠40材をそれぞれ取り付ける。そして、4つの内枠40材を4つの結合部材41及びビスで結合する。このようにして断熱蓋を製造することができる。
【0041】
また、点検口の内周縁部への外枠30の取り付けは、上述した通りである。そして、外枠30の内側に内枠40を収めるようにして、点検口に断熱蓋をする。そうすると、内枠下フランジ部43の下面が外枠下フランジ部32の上面で支持される。これにより、内枠40は、外枠30と着脱可能に係合する。また、内枠40を外枠30の内側に収めると、外枠下フランジ部32の上面に設けたパッキン34が内枠下フランジ部43の下面に当接する。これにより、外枠30と内枠40との間の間隙が密閉される。
このように、本実施の形態では、箱型のケース70の内部に、断熱性能が極めて高い真空断熱材100を収納するとともに、断熱性能が比較的高い硬質ウレタンフォーム110を充填し、これを断熱体60としている。そして、この断熱体60を蓋板50の裏面に取り付けている。このため、蓋板50と断熱体60とが一体になって蓋の開閉に手間がかからない。また、蓋の開閉のしやすさを考慮して断熱体60の肉厚を比較的薄くしても、真空断熱材100を用いたことから十分な断熱性能を発揮する。また、真空断熱材100や硬質ウレタンフォーム110がケース70で保護されることからこれらが損傷しにくく、ひいては断熱性が低下しにくい。
【0042】
また、本実施の形態では、断熱体60は、ケース本体80の上面の開口部からケース本体80の内部に真空断熱材100を収納し、その後に、ケース本体80の上面の開口部をケース蓋体90で塞ぎ、その後に、充填用孔96からケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填して形成される。このため、断熱性能が極めて高くかつ損傷しにくい断熱体60が比較的容易に製造できる。
また、本実施の形態では、外枠30に外枠下フランジ部32を設け、この外枠下フランジ部32で内枠40を支持するようにし、外枠30と内枠40との間に間隙を密閉するパッキン34を設けている。このため、十分な気密性を発揮する。
【0043】
また、本実施の形態では、蓋板50の所定位置に取っ手用孔51を設け、その下方に相当する断熱体60の上面には取っ手用凹部95を設け、取っ手用孔51の内側には取っ手122を取り付け、この取っ手122が蓋板50の上面よりも上方へ突出したり、取っ手用凹部95の内部に納まったりするようにしている。このため、蓋の開閉がしやすい。
なお、断熱体60を備えていない点検口装置20の蓋板50の裏面に、上述した断熱体60を取り付けて、本実施の形態に係る点検口装置20とすることもできる。このとき、蓋板50の裏面への断熱体60の取り付けは、本実施の形態と同様に行うことができる。
また、本実施の形態では、ケース蓋体90は、下面に開口部を有する四角箱型に形成したが、これに限られるものではない。ケース蓋体90は、例えば、四角平板状に形成してもよい。この場合、ケース蓋体90は、例えば、その外周縁部がケース本体80に設けた外向きフランジ部83の上に載るような大きさに形成することができるし、また、ケース本体80の上面の開口部よりもわずかに小さい大きさに形成することもできる。また、ケース蓋体90をケース本体80の上面の開口部よりもわずかに小さい大きさに形成すると、ケース蓋体90は、ケース本体80の内部に収まるようになる。つまり、ケース蓋体90は、落し蓋のようになる。ただ、ケース蓋体90が落し蓋のようにケース本体80の内部に収まるとしても、ケース蓋体90がケース本体80の内部に収まった状態で、ケース70の内部に硬質ウレタンフォーム110を充填すれば、ケース蓋体90はケース本体80の開口部へ向けて次第に上昇していく。そして、ケース蓋体90が次第に上昇してケース本体80の開口部の高さにちょうど位置したところで、ケース本体80とケース蓋体90とを上下から押さえ込むようにすればよい。そうすれば、内部に真空断熱材100が収納されかつ硬質ウレタンフォーム110が充填された箱形のケース70とすることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、ケース本体80は、鋼板を用いて板金で形成したが、これに限られるものではない。ケース本体80は、例えば、アルミニウムを用いて鍛造又は鋳造で形成してもよく、また、合成樹脂を用いて射出成型で形成してもよい。また、合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)を用いてもよく、また、ポリプロピレン(PP)を用いてもよく、また、ポリスチレン(PS)を用いてもよく、また、ABSを用いてもよい。
また、本実施の形態では、ケース蓋体90は、ケース本体80と同様に、鋼板を用いて板金で形成したが、これに限られるものではない。ケース蓋体90は、例えば、アルミニウムを用いて鍛造又は鋳造で形成してもよく、また、合成樹脂を用いて射出成型で形成してもよい。また、合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)を用いてもよく、また、ポリプロピレン(PP)を用いてもよく、また、ポリスチレン(PS)を用いてもよく、また、ABSを用いてもよい。また、ケース蓋体90を四角平板状に形成する場合にあっては、ケース蓋体90は、例えば、ベニヤ板などの木材を用いて形成することができる。また、ケース蓋体90をベニヤ板などの木材を用いて形成すると、断熱性能をより一層高めることができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図6及び図7は、本発明の第2の実施の形態を示すものである。
図6は、第2の実施の形態に係る点検口装置20の断面図、図7は、第1の実施の形態に係る点検口装置20の分解斜視図である。
(点検口装置20)
図6及び図7に示すように、第2の実施の形態に係る点検口装置20は、ケース70の内部に補強桟97を設けたものである。また、第2の実施の形態に係る点検口装置20は、ケース70の内部に補強桟97を設けた点以外については、第1の実施の形態とほぼ同様である。したがって、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる点についてのみ説明する。
【0046】
(ケース70)
図6及び図7に示すように、ケース本体80は、第1の実施の形態と同様に、上面に開口部を有する四角箱型に形成されている。そして、ケース本体80の内部に、四角柱状の補強桟97が設けられている。また、補強桟97は、その両端を対向する本体側部82の内面にそれぞれ固定されている。また、補強桟97の下面と本体底部81の上面との間には、真空断熱材100の肉厚よりも大きい間隙が設けられている。これにより、ケース本体80の内部において、補強桟97と真空断熱材100とが互いに干渉し合わないようになっている。
また、図6及び図7に示すように、ケース蓋体90は、第1の実施の形態とは異なり、四角平板状に形成されている。また、ケース蓋体90は、その外周縁部がケース本体80に設けた外向きフランジ部83の上方に位置し、外向きフランジ部83に沿うような大きさに形成されている。そして、ケース蓋体90をケース本体80の上面に載置すると、ケース本体80の開口部がケース蓋体90で塞がれるようになっている。
【0047】
また、図6に示すように、内枠40は、蓋板50の外周縁部と、ケース蓋体90の外周縁部と、ケース本体80に設けた外向きフランジ部83とを上下から挟持するように形成されている。
このように、本実施の形態では、ケース70の内部に補強桟97を設け、この補強桟97をケース蓋体90の裏面、又はケース本体80の内面に固定している。このため、十分な強度を発揮する。
なお、補強桟97は、ケース蓋体90の裏面に固定してもよく、また、ケース本体80の本体底部81の内面に固定してもよい。また、ケース蓋体90を第1の実施の形態と同様に下面に開口部を有する四角箱型に形成してケース本体80の内部に収納する場合において、ケース本体80の内面に補強桟97を固定するときには、ケース蓋体90における補強桟97に対応する位置に切り欠きを設けて、ケース蓋体90と補強桟97とが互いに干渉し合わないようにする。
【0048】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態を示すものである。
図8は、第3の実施の形態に係る点検口装置20の断面要部拡大図である。
(点検口装置20)
図8に示すように、第3の実施の形態に係る点検口装置20は、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に、ケース70と内枠40とが直接接触しないようにするとともにケース70と内枠40との間の熱の移動を阻止するための断熱部材45を設けたものである。また、第3の実施の形態に係る点検口装置20は、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に断熱部材45を設けた点以外については、第1の実施の形態とほぼ同様である。したがって、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる点についてのみ説明する。
【0049】
(断熱部材45)
断熱部材45は、ケース70と内枠40とが直接接触しないようにするとともにケース70と内枠40との間の熱の移動を阻止するためのものであって、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に設けられるものである。また、断熱部材45は、天然ゴムを用いて形成され、ケース70と内枠40とが直接接触しないように、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に全周にわたって配置されている。また、ゴムは、熱容量が比較的大きくかつ熱伝導率が比較的低い材料であり、これにより、ケース70と内枠40との間の熱の移動がしにくくなっている。
【0050】
このように、本実施の形態では、ケース70の外向きフランジ部83と内枠40との間に断熱部材45を設けて、ケース70と内枠40とが直接接触しないようにするとともにケース70と内枠40との間の熱の移動を阻止して、ケース70及び内枠40を介しての室内外の熱の移動を阻止するようにしている。このため、断熱性能をより一層高いのである。特に、ケース70が鋼板やアルミニウムなどの金属によって形成され、かつ、内枠40もアルミニウムなどの金属によって形成されている場合に効果的である。
なお、断熱部材45としては、天然ゴムの他に、例えば、合成樹脂や布や紙などを用いることもできる。
【0051】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態を示すものである。
図9は、第4の実施の形態に係る点検口装置20の断面要部拡大図である。
(点検口装置20)
図9に示すように、第4の実施の形態に係る点検口装置20は、受け材12の代わりに設けた固定金具35で外枠30を点検口の内周縁部に固定したものである。また、第4の実施の形態に係る点検口装置20は、受け材12ではなく固定金具35で外枠30を点検口の内周縁部に固定した点以外については、第1の実施の形態とほぼ同様である。
【0052】
またここで、固定金具35は、例えば、特開2002−294999号公報に開示されているものと同様のものである。
このように、本実施の形態では、受け材12の代わりに設けた固定金具35で外枠30を点検口の内周縁部に固定しているが、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
(第5の実施の形態)
図10及び図11は、第5の実施の形態を示すものである。
図10は、第5の実施の形態に係る点検口装置20の断面図、図11は、第5の実施の形態に係る点検口装置20の断面要部拡大図である。
【0053】
(点検口装置20)
図10及び図11に示すように、第5の実施の形態に係る点検口装置20は、点検口内に収納容器130を設けたものである。つまり、第5の実施の形態に係る点検口装置20は、床下収納庫をも兼ねたものである。また、第5の実施の形態に係る点検口装置20は、点検口内に収納容器130を設けた点以外については、第1の実施の形態とほぼ同様である。したがって、第5の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる点についてのみ説明する。
(収納容器130)
図10及び図11に示すように、収納容器130は、上面に開口部を有する四角箱型に形成されており、四角形状の容器底部131と、容器底部131の外周縁部から上方へ向けて延びる容器側部132と、容器側部132の上端から外方へ向けて突出する容器フランジ部133とを有している。また、容器底部131及び容器側部132の外径は、点検口内にすっぽり収まる大きさとされており、また、容器フランジ部133の外径は、内枠40の外径とほぼ等しくしてある。これにより、容器フランジ部133が外枠下フランジ部32の上面で受けられて支持されるようになっている。
【0054】
また、図10及び図11に示すように、容器フランジ部133の上面と内枠下フランジ部43の下面との間には、シール部材140が設けられている。シール部材140は、容器フランジ部133と内枠40との間の間隙を密閉するためのものであって、容器フランジ部133の全周にわたって設けられており、容器フランジ部133の上面に固定されている。
また、図10及び図11に示すように、第5の実施の形態では、内枠下フランジ部43と外枠下フランジ部32との間に容器フランジ部133が入ることを考慮して、外枠鉛直部31の高さが容器フランジ部133の厚さの分だけ大きくなっている。
そして、外枠30の内側に先に収納容器130を収め、その後に内枠40を収めるようにして、点検口に断熱蓋をする。そうすると、図10及び図11に示すように、床下収納庫をも兼ねた点検口装置20とすることができる。
【0055】
このように、本実施の形態では、箱型のケース70の内部に、断熱性能が極めて高い真空断熱材100を収納するとともに、断熱性能が比較的高い硬質ウレタンフォーム110を充填し、これを断熱体60としていることから、断熱体60の断熱性能が高い。このため、断熱体60の肉厚を比較的薄くすることができ、これにより、収納容器130の容量を従来よりも大きく確保できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る点検口装置の断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る点検口装置の蓋を開けた状態を示す斜視図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る点検口装置の断面要部拡大図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る点検口装置の分解斜視図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る点検口装置の取っ手の説明図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る点検口装置の断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る点検口装置の分解斜視図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る点検口装置の断面要部拡大図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る点検口装置の断面要部拡大図。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る点検口装置の断面図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る点検口装置の断面要部拡大図。
【符号の説明】
【0057】
10 床板 11 根太
12 受け材 20 点検口装置
30 外枠 31 外枠鉛直部
32 外枠下フランジ部 33 外枠上フランジ部
34 パッキン 35 固定金具
40 内枠 41 結合部材
42 内枠鉛直部 43 内枠下フランジ部
44 内枠上フランジ部 45 断熱部材
50 蓋板 51 取っ手用孔
60 断熱体 70 ケース
80 ケース本体 81 本体底部
82 本体側部 83 外向きフランジ部
90 ケース蓋体 91 蓋体天板部
92 蓋体側部 93 凹部用孔
94 凹部形成部材 95 取っ手用凹部
96 充填用孔 97 補強桟
100 真空断熱材 101 芯材
102 梱包材 110 硬質ウレタンフォーム
120 取っ手ユニット 121 取っ手枠
122 取っ手 123 取っ手軸
130 収納容器 131 容器底部
132 容器側部 133 容器フランジ部
140 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に形成した点検口の内周縁部に取り付けられる外枠と、
外枠の内側に収められて外枠と着脱可能に係合する内枠と、
内枠の内側に嵌め込まれる蓋板と、
蓋板の裏面に取り付けられる断熱体とを備え、
断熱体は、
箱型のケースと、
ケースの内部に収納される真空断熱材と、
真空断熱材の収納後にケースの内部に充填される硬質ウレタンフォームとを備え、
ケースは、その上端外周縁部から外方へ向けて突出する外向きフランジ部を有し、
内枠は、蓋板の外周縁部及びケースの外向きフランジ部に沿って設けられ、蓋板の外周縁部とケースの外向きフランジ部とを上下から挟持するように形成されていることを特徴とする点検口装置。
【請求項2】
ケースは、上面に開口部を有する箱型のケース本体と、ケース本体の開口部を塞ぐケース蓋体とを備え、
ケース本体、ケース蓋体、又はケース本体及びケース蓋体の所定位置には、ケースの内部に硬質ウレタンフォームを充填するための充填用孔が設けられ、
断熱体は、ケース本体の上面の開口部からケース本体の内部に真空断熱材を収納し、その後に、ケース本体の上面の開口部をケース蓋体で塞ぎ、その後に、充填用孔からケースの内部に硬質ウレタンフォームを充填して形成されることを特徴とする請求項1記載の点検口装置。
【請求項3】
ケースの内部には、補強桟が設けられ、
補強桟は、ケース蓋体の裏面、又はケース本体の内面に固定されていることを特徴とする請求項2記載の点検口装置。
【請求項4】
外枠は、その下端内周縁部から内方へ向けて突出する外枠下フランジ部を有し、この外枠下フランジ部の上面で内枠の下面を支持するように形成され、
外枠下フランジ部の上面と内枠の下面との間には、外枠と内枠との間の間隙を密閉するパッキンが設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の点検口装置。
【請求項5】
蓋板の所定位置には、取っ手を取り付けるための取っ手用孔が設けられ、
断熱体の上面であって取っ手用孔の下方に相当する位置には、取っ手を収納するための取っ手用凹部が設けられ、
取っ手用孔の内側には、取っ手が取り付けられ、
取っ手は、取っ手用孔を介して、その一部を、蓋板の上面よりも上方へ突出させ、又は取っ手用凹部の内部へ収納するように変位可能に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の点検口装置。
【請求項6】
ケースの外向きフランジ部と内枠との間には、ケースと内枠とが直接接触しないようにするとともにケースと内枠との間の熱の移動を阻止するための断熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の点検口装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−9551(P2007−9551A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192153(P2005−192153)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000241485)豊田通商株式会社 (73)