説明

点検口

【課題】作業者が作業し易く且つ従来と異なる簡単な構造を有する点検口を提供する。
【解決手段】本発明による点検口(1)は、外枠(2)と、外枠(2)の内側を閉じる蓋体(4)を有する。外枠(2)は内周面(10c)を有し、蓋体(4)は、内周面(10c)と対向する外周面(12b)を有する。蓋体(4)に、解除位置とロック位置との間を蓋体(4)の周方向に摺動可能なスライド板(20)が取付けられ、スライド板(20)は、内周面(10c)に向かって突出する引掛け部(24)を有し、外枠(2)は、蓋体(4)に向かって突出する受け部(26)を有する。引掛け部(24)は、スライド部材(20)がロック位置にあるとき、蓋体(4)の開閉移動を阻止するように受け部(26)と整列して係合し、スライド部材(20)が解除位置にあるとき、蓋体(4)の開閉移動を許すように受け部(26)に対して周方向に偏位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検口に関し、更に詳細には、ロック可能な点検口に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されている点検口の代表例は、天井に取付けられる天井点検口である。天井点検口は、天井面に形成された点検口取付け孔に取付けられる外枠、即ち、点検口枠と、点検口枠の内側を閉じる閉位置とそれを開放する開位置との間を回動する蓋体と、蓋体を閉位置にロックするためのロック機構とを有している。ロック機構は、一般的には、円筒形の操作軸を有し、この操作軸の下端部が、ねじ回し等の工具によって回すことができるように天井面に露出している。かかるロック機構として、例えば、操作軸を工具によって回すことにより、蓋枠を横切る方向に延びるロッドが蓋枠と点検口枠の両方を貫通するように移動する構造や、操作軸を工具によって回すことにより、操作軸から半径方向に延びる引掛け部が点検口枠に引掛るように回転する構造が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
また、天井点検口の蓋体は、点検口枠の内側に嵌合する蓋枠と、蓋枠の内側に取付けられた蓋パネルとを有している。点検口枠及び蓋枠はそれぞれ、鋼材又はアルミニウム合金材等で作られた4本の押出成形枠材が矩形に突合わされ且つ枠材の突合せ部分が連結部材によって互いに固定された構造を有している(例えば、特許文献3及び4参照)。また、蓋体を開位置と閉位置との間で回動させるための回動軸が、連結部材と一体に設けられており、回動軸を受入れる受入れ部材が点検口枠に取付けられている(例えば、特許文献3及び4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平3−197768号公報(第1図)
【特許文献2】特開平11−159224号公報(図1)
【特許文献3】特開2002−349055号公報(段落0012及び図4)
【特許文献4】特開平10−317660号公報(段落0012、0013、図1及び図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した天井点検口では、作業者が作業しにくいことがある。例えば、内蓋を開閉するためにロック機構を解除する際、ロック機構の構造の複雑さに起因してロック機構の解除に必要なトルクを手で十分に操作軸に付与することができなかったり、工具が必要であるのに工具が手元になかったりすることがある。また、ロック機構を解除した際、内蓋の重量が急に腕にかかることがある。
【0006】
また、点検口枠や蓋枠を形成している鋼材又はアルミニウム合金材等の枠材が天井面に露出するので、かかる枠材を無塗装で使用した場合、取付け面の色と大きく異なることがある。例えば、取付け面となる天井面が白色系の色を有している場合、天井面との視覚的印象を近づけるためには塗装する必要があり、コストが増大する。
【0007】
従って、本発明の第1の目的は、作業者が作業し易く且つ従来と異なる簡単な構造を有する点検口を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、安価で、取付け面との間の視覚的印象の違いを見立たなくすることができる点検口を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的を達成するために、本発明による点検口は、ロック可能な点検口であって、点検口取付け孔に取付けられる外枠と、外枠の内側を閉じる閉位置とそれを開放する開位置との間を開放側及び閉鎖側に向かって移動可能な蓋体と、を有し、外枠は、内周面を有し、蓋体は、それが閉位置にあるときに外枠の内周面と対向する外周面を有し、更に、解除位置とロック位置との間を蓋体の周方向に摺動可能に蓋体に取付けられ且つ外部から操作可能なスライド部材を有し、スライド部材は、蓋体が閉位置にあるときに外枠の内周面に向かって突出する引掛け部を有し、外枠は、蓋体が閉位置にあるときに蓋体に向かって突出し且つ引掛け部の開放側に位置する受け部を有し、スライド部材の引掛け部は、スライド部材がロック位置にあるとき、蓋体が閉位置から開位置に移動することを阻止するように、受け部と整列して係合し、スライド部材が解除位置にあるとき、蓋体が閉位置から開位置に移動することができるように、受け部に対して周方向に偏位することを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明の点検口によれば、蓋体が閉位置にあるときに、スライド部材をロック位置にしておくことにより、スライド部材の引掛け部が外枠の受け部と整列して係合し、蓋体が閉位置から開位置に移動することが阻止される。スライド部材をロック位置から解除位置に蓋体の周方向に摺動させると、スライド部材の引掛け部が外枠の受け部に対して周方向に偏位し、蓋体を開位置から閉位置に移動させることができる。
【0011】
スライド部材をロック位置から解除位置に移動させるためには、スライド部材を蓋体の周方向に移動させればよいので、スライド部材に力をかけやすい。これは、従来技術の点検口において操作軸を回転させる操作とは全く異なる操作である。スライド部材を採用することにより、作業者による蓋体の開閉操作を容易にすることができ、構造も簡単にすることができる。
【0012】
上記点検口において、好ましくは、外枠は、その内周面から蓋体に向かって且つ外枠の周方向に延びる内側フランジを有し、内側フランジは、蓋体が閉位置にあるときに引掛け部の開放側に位置し、且つ、蓋体が閉位置から開位置に移動するときに引掛け部が通過可能な切欠きを有し、受け部は、切欠きと隣接した内側フランジの部分によって構成され、スライド部材の引掛け部は、スライド部材がロック位置にあるとき、内側フランジの部分と係合し、スライド部材が解除位置にあるとき、切欠き部と整列し、それにより、内側フランジを越えて開放側に移動可能である。
【0013】
上記点検口において、更に好ましくは、内蓋は、それが閉位置にあるときにその開放側の縁部から外枠の内周面に向かって延びる外側フランジを有し、外枠の内側フランジは、内蓋が閉位置にあるときに外側フランジが内側フランジに開放側から着座するように、外枠の開放側の縁部から間隔をおいて配置される。
【0014】
このように構成された点検口では、内蓋を閉位置に移動させるとき、内蓋の外側フランジが外枠の内側フランジに開放側から着座する。それにより、内蓋を開位置から閉位置に移動させて、スライド部材を摺動させるとき、内蓋が安定し、作業者による蓋体の開閉操作を更に容易にすることができる。
【0015】
また、上記点検口において、好ましくは、スライド部材は、蓋枠の外側フランジを貫いて下方に延びる操作部を有し、蓋枠の外側フランジは、操作部を受入れるように周方向に延びる長孔を有する。
【0016】
このように構成された点検口では、操作部が蓋枠の外側フランジを貫く構造を採用しているので、構造が簡単である。また、操作部を外側フランジに設けているので、操作部と外側フランジとを同色系の材料で作ることにより、操作部を目立たなくすることができ、それにより、点検口と取付け面との間の視覚的印象の違いを見立たなくすることができる。
【0017】
上記点検口において、好ましくは、蓋体は、閉位置と開位置との間を回動によって移動させるための回動軸を有し、この回動軸は、蓋体の外周面から外枠に向かって突出し、外枠は、外周壁を有し、この外周壁は、回動軸と対向する部分に回動軸を受入れる溝孔を有し、この溝孔は、外周壁の閉鎖側縁部において開放し且つそれから開放側に延び、回動軸とスライド部材とは互いに点検口の反対側に設けられる。
【0018】
このように構成された点検口では、蓋体の回動軸を外枠の外周壁から取外すことができるので、外枠の内側のスペースを人が通るスペースとして有効に利用することができる。従って、作業者が作業し易くすることができる。
【0019】
上記点検口において、好ましくは、前記蓋体は、蓋パネルと、この蓋パネルが取付けられる内枠を有し、前記外枠及び前記内枠はそれぞれ、樹脂で一体に成形される。
【0020】
本発明の点検口は、点検口枠と蓋枠をそれぞれ樹脂で一体に成形しているので、従来技術の点検口と比較して、軽量化が図れるとともに、部品点数を少なくすることができる。また、軽量化に伴って、点検口への蓋枠の取付け及び取外しが容易になり、作業者が作業し易くなる。更に、取付け面に露出する点検口枠及び蓋枠が樹脂で作られているので、取付け面の色に似た樹脂を選択することにより、点検口の視覚的印象を、従来技術の点検口よりも、取付け面になじませることができる。その結果、安価で、取付け面との間の視覚的印象の違いを見立たなくすることができる点検口を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明により、作業者が作業し易く且つ従来と異なる簡単な構造を有する点検口を提供することができる。
【0022】
また、本発明により、安価で、取付け面との間の視覚的印象の違いを見立たなくすることができる点検口を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明による点検口の実施形態である天井点検口を説明する。図1は、本発明の実施形態である天井点検口の閉じた状態における底面図であり、図2は、天井面に取付けた天井点検口の開いた状態における正面図である。また、図3は、図2に示した開いた状態の天井点検口の底面図であり、図4は、図1の線4−4における断面図であり、図5は、図2に示した開いた状態の天井点検口の右側面図である。更に、図6は、解除位置にあるスライド板を示す、図1の線6−6における断面図であり、図7は、ロック位置にあるスライド板を示す、図1の線6−6における断面図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、天井点検口1は、天井面Cの取付け孔に取付けられる外枠である点検口枠2と、点検口枠2の内側を閉じる閉位置4bとそれを開放する開位置4aとの間を開放側及び閉鎖側に向かって移動可能な蓋体4とを有している。また、蓋体4は、点検口枠2の内側に配置される内枠である蓋枠6と、蓋枠6の内側に取付けられる蓋パネル8とを有している。天井面Cは、具体的には、天井ボードによって形成されている。
なお、以下の説明において、開放側を下方と称し、閉鎖側を上方と称する。
【0025】
図3に示すように、点検口枠2は、樹脂で矩形に一体に成形され、後述する回動軸16が設けられる後部2aと、後部2aに対向する前部2bと、後部2aと前部2bとを連結する2つの側部2cとを有している。図4に示すように、点検口枠2は、その全周にわたって板状に延びる外周壁部分10aを有しており、外周壁部分10aは、外周面10bと内周面10cとを有している。また、点検口枠2は、更に、外周壁部分10aの下縁部10dから全周にわたって外方に延びる外側フランジ部分10eと、下縁部10dから上方に間隔をおいて内周面10cから蓋枠6に向かって延びる内側フランジ部分10fを有している。図3に示すように、内側フランジ部分10fは、前部2bと側部2cにおいて周方向に延び、内蓋2の回動を可能にするために、後部2a及びそれに隣接した側部2cの一部分には設けられていない。点検口枠2を天井面Cに取付けるとき、外側フランジ部分10eが天井面Cに当接する(図2参照)。点検口枠2を形成する樹脂は、例えば、ABS樹脂、塩化ビニルである。
【0026】
図2及び図5に示すように、点検口枠2の外周壁部分10aは、天井点検口2を天井面Cに取付けるための取付け金具Fが取付けられる取付け孔10gを有している。取付け孔10gは、後部2a、前部2b、各側部2cに2つずつ設けられている。また、図3に示すように、点検口枠2の各側部2cの前側には、内周面10cから突出する三角形断面の突出部10hを有している。突出部10hは、下方よりも上方が大きく突出し、突出部10hの上端部における間隔は、後述する蓋枠6の2つの側部6cにまたがる外寸よりもわずかに大きくなっている。
【0027】
図5に示すように、蓋枠6は、樹脂で矩形に一体に成形され、点検口枠2と同様、後部6aと、後部6aに対向する前部6bと、後部6aと前部6bとを連結する2つの側部6cとを有している。図4に示すように、蓋枠6は、その全周にわたって板状に延びる内周壁部分12aを有し、内周壁部分12aは、外周面12bと内周面12cとを有している。蓋体4が閉位置4bにあるとき、蓋枠6の後部6a、前部6b及び側部6cの外周面12bはそれぞれ、点検口枠2の後部2a、前部2b及び側部2cの内周面10cと対向している。また、蓋枠6は、更に、内周壁部分12aの下縁部12dから全周にわたって点検口枠2の内周面10cに向かって外方に延びる外側フランジ部分12eと、下縁部12dから全周にわたって内方に延びる内側フランジ部分12fとを有している。外側フランジ部分12eは、蓋体4が閉じたときに、点検口枠2の内周面10cに嵌合すると共に、点検口枠2の外側フランジ10eに下方から着座する。樹脂は、例えば、ABS樹脂、塩化ビニルである。
【0028】
図2及び図5に示すように、蓋枠6の内周面12cには、上下方向に延びる長孔12gが設けられ、この長孔12gには、内側フランジ部分12fとの間に蓋パネル8を挟むように固定するためのL字形ブラケット14が上下方向に位置調整可能に固定されている。
【0029】
また、蓋体4は、それを開位置4aと閉位置4bとの間を回動によって移動させるために、蓋枠6の外周面12bから点検口枠2に向かって突出して延びる回動軸16を有している。回動軸16は、蓋枠6の2つの側部6cにそれぞれ設けられ、互いに同軸に反対方向に延びている。この回動軸16は、天井点検口1の後端部1aに設けられている。回動軸16と蓋枠6の内周壁部分12aとの間に、板状の補強部分16aが設けられることが好ましい。
【0030】
図2に示すように、点検口枠2の外周壁部分10aのうちの回動軸16と対向する部分に、外周壁部分10aの上縁が開放し且つ下方に延びる溝孔18が形成されている。詳細には、溝孔18は、外周壁部分10aの上縁から下方に且つ後方に斜めに延びる斜め部分18aと、この斜め部分18aの終端から水平方向に延びる水平部分18bとを有している。斜め部分18aは、蓋枠6を点検口枠2に取付けるときの回動軸16の通路を構成し、水平部分18bは、蓋体4が開閉するときに回動軸16を回動可能に支持する。蓋体4が閉じているとき、回動軸16が溝孔18の水平部分18bの後端に当接すると共に、それと反対側に位置する蓋枠6の外側フランジ部分12eが点検口枠2の内周面10cに当接することが好ましい。
【0031】
図3に示すように、天井点検口1は、更に、解除位置20a(図6参照)とロック位置20b(図7参照)との間を蓋体4の周方向Pに摺動可能に蓋枠6の外周面12bに取付けられたスライド部材であるスライド板20を有している。スライド板20は、ABS樹脂等の樹脂で形成され、回動軸16が設けられている蓋枠6の後部6aの反対側である前部6bに配置されることが好ましい。スライド板20は、蓋枠6の前部6bの強度を上げるためにできるだけ長いことが好ましく、その両端部20cと中心部20dにおいて、蓋枠6の外周面12bに摺動可能に支持されている。詳細には、スライド板20は、その両端部20cと中心部20dに、周方向に延びる長孔20eを有している。蓋枠6の内周壁部分12aは、この長孔20eを通るピン部材22が固定され、ピン部材22は、スライド板20を外周面12bとの間に支持するために拡径した頭部22aを有している(図4参照)。ピン部材22は、ABS樹脂等の樹脂で作られていてもよいし、アルミニウム等の金属材料で作られていてもよい。
【0032】
スライド板20は、点検口枠2の内周面10cに向かって突出する引掛け部24を有している。引掛け部24は、スライド板20の両端部20cと中心部20dに設けられていることが好ましい。また、点検口枠2は、蓋体4が閉位置4bにあるときに蓋枠6に向かって突出し且つ引掛け部24の下方に位置する受け部26を有している。点検口枠2の内側フランジ部分10fは、蓋体4が閉位置4bにあるときに引掛け部24の下方に位置すると共に、蓋体4が閉位置4bから開位置4aに移動するときに引掛け部24が通過可能な切欠き28を有している。受け部26は、切欠き28と隣接した内側フランジ部分10fによって構成されることが好ましい。
【0033】
スライド板20の引掛け部24は、スライド部材20がロック位置20bにあるとき、蓋体4が閉位置4bから開位置4aに移動することを阻止するように、点検口枠2の受け部26即ち内側フランジ部分10fと整列して係合し、スライド板20が解除位置20aにあるとき、蓋体4が内側フランジ部分10fを越えて閉位置4bから開位置4aに移動することができるように、受け部26に対して周方向に偏位して、切欠き28と整列する。
【0034】
図4に示すようにスライド板20は、蓋枠6の外側フランジ部分12eを貫いて下方に延びる操作部20fを有している。また、蓋枠6の外側フランジ12eは、スライド板20の操作部20fを受入れるように周方向に延びる長孔30を有している。操作部20f及び長孔の幅は、目立たなくするために小さい方が好ましい。
【0035】
次に、本発明による点検口の実施形態である天井点検口の取付け及び動作を説明する。まず、天井点検口1を取付けて、蓋体4を閉じる動作を説明する。
【0036】
点検口枠2を天井面Cに予め設けられた矩形の孔に嵌込み、取付け孔10gに引掛けられた取付け金具Fによって天井面Cに取付ける。点検口枠2の外側フランジ部分10eは、天井面Cに当接する。
【0037】
蓋パネル8を、蓋枠6の内側フランジ部分12fとL字形ブラケット14との間に挟むように、ブラケット14を長孔12gに取付けて、蓋体4を形成する。
【0038】
蓋体4を閉じるために、蓋体4を点検口枠2に対して斜めにして下方から挿入し、回動軸16が外周壁部分10aよりも上に位置するまで持上げる。次いで、蓋体4を回して、回動軸16を外周壁部分10aの上縁に乗せる。蓋体4を後方に移動させると、回動軸16が溝孔18に入り、案内されて、水平部分18bまで移動する。回動軸16は、前後に移動可能に上下方向が規制される。
【0039】
スライド板20の操作部20fを移動させて、解除位置にしておいて、蓋体4を回動軸16を中心に回転させて、持上げる。蓋枠6の後部6aが点検口枠2の後部2aに当たると、回動軸16は、水平部分18bに沿って僅かに前方に移動する。図6に示すように、スライド板20の引掛け部24は、受け部26から偏位し、切欠き28と整列している。それにより、蓋体4を閉じることができる。回動軸16は後方に押され、水平部分18bの端部と回動軸16とが当接する。それと同時に、蓋枠6の外側フランジ部分12eと点検口枠2の内周面10cとが当接する。それにより、点検口枠2に対する蓋体4の前後方向の取付けが安定する。また、蓋体4が閉じるとき、点検口枠2の内周面10cから突出する三角形断面の突出部10hによって、左右方向に芯出しされると共に、左右方向の取付けが安定する。
【0040】
次いで、スライド板20の操作部20fを移動させて、図7に示すように、ロック位置にする。それにより、スライド板20の引掛け部24は、受け部26と整列し、切欠き28と偏位し、引掛け部24が受け部26の上に乗り、蓋体4が下方に下がって開くことが防止される。
【0041】
次に、蓋体4を開く動作を説明する。蓋体4を開く場合には、蓋体4を閉じる場合と逆の動作を行えばよい。
【0042】
上述したように、蓋体4を開いた後、蓋体4を点検口枠2から分離することができるので、点検口枠2の内側全体を作業者が通るスペースとして使用することができる。また、蓋枠6が樹脂でできているので、蓋体4が軽量になり、蓋体4の取付け及び取外しも容易に行える。例えば、蓋体4を頻繁に取外すことが必要な場合であっても、作業者に苦にならない。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
上記実施形態では、天井点検口が矩形であったが、その他の多角形であってもよいし、湾曲部を有していてもよいし、円形であってもよい。湾曲部分にスライド板を配置する場合には、スライド板も湾曲させる。
上記実施形態では、回動軸を用いて蓋体を回動させることによって、蓋体を開閉したけれども、回動軸をなくし、その代わりに蓋枠の後部にスライド板を追加して、蓋体を上下に移動させることにより、蓋体を開閉してもよい。この場合には、蓋体を水平姿勢にして持上げ、点検口枠の中に挿入した後、それぞれのスライド板をロック位置にする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態である天井点検口の閉じた状態における底面図である。
【図2】天井面に取付けた天井点検口の開いた状態における正面図である。
【図3】図2に示した開いた状態の天井点検口の底面図である。
【図4】図1の線4−4における断面図である。
【図5】図2に示した開いた状態の天井点検口の右側面図である。
【図6】解除位置にあるスライド板を示す、図1の線6−6における断面図である。
【図7】ロック位置にあるスライド板を示す、図1の線6−6における断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 天井点検口
2 点検口枠(外枠)
4 蓋体
6 蓋枠
8 蓋パネル
10c 点検口枠の内周面
10f 点検口枠の内側フランジ部分
12b 蓋枠の外周面
12e 蓋枠の外側フランジ部分
16 回動軸
18 溝孔
20 スライド板
20f 操作部
22 ピン部材
24 引掛け部
26 受け部
28 切欠き
30 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック可能な点検口であって、
点検口取付け孔に取付けられる外枠と、前記外枠の内側を閉じる閉位置とそれを開放する開位置との間を開放側及び閉鎖側に向かって移動可能な蓋体と、を有し、
前記外枠は、内周面を有し、前記蓋体は、それが閉位置にあるときに前記外枠の内周面と対向する外周面を有し、
更に、解除位置とロック位置との間を前記蓋体の周方向に摺動可能に前記蓋体に取付けられ且つ外部から操作可能なスライド部材を有し、
前記スライド部材は、前記蓋体が閉位置にあるときに前記外枠の内周面に向かって突出する引掛け部を有し、
前記外枠は、前記蓋体が閉位置にあるときに前記蓋体に向かって突出し且つ前記引掛け部の開放側に位置する受け部を有し、
前記スライド部材の引掛け部は、前記スライド部材がロック位置にあるとき、前記蓋体が閉位置から開位置に移動することを阻止するように、前記受け部と整列して係合し、前記スライド部材が解除位置にあるとき、前記蓋体が閉位置から開位置に移動することができるように、前記受け部に対して周方向に偏位することを特徴とする点検口。
【請求項2】
前記外枠は、その内周面から前記蓋体に向かって且つ前記外枠の周方向に延びる内側フランジを有し、前記内側フランジは、前記蓋体が閉位置にあるときに前記引掛け部の開放側に位置し、且つ、前記蓋体が閉位置から開位置に移動するときに前記引掛け部が通過可能な切欠きを有し、
前記受け部は、前記切欠きと隣接した前記内側フランジの部分によって構成され、
前記スライド部材の引掛け部は、前記スライド部材がロック位置にあるとき、前記内側フランジの部分と係合し、前記スライド部材が解除位置にあるとき、前記切欠き部と整列し、それにより、前記内側フランジを越えて開放側に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の点検口。
【請求項3】
前記内蓋は、それが閉位置にあるときにその開放側の縁部から前記外枠の内周面に向かって延びる外側フランジを有し、
前記外枠の内側フランジは、前記内蓋が閉位置にあるときに前記外側フランジが前記内側フランジに開放側から着座するように、前記外枠の開放側の縁部から間隔をおいて配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の点検口。
【請求項4】
前記スライド部材は、前記蓋枠の外側フランジを貫いて下方に延びる操作部を有し、
前記蓋枠の外側フランジは、前記操作部を受入れるように周方向に延びる長孔を有することを特徴とする請求項3に記載の点検口。
【請求項5】
前記蓋体は、閉位置と開位置との間を回動によって移動させるための回動軸を有し、この回動軸は、前記蓋体の外周面から前記外枠に向かって突出し、
前記外枠は、外周壁を有し、この外周壁は、前記回動軸と対向する部分に前記回動軸を受入れる溝孔を有し、この溝孔は、前記外周壁の閉鎖側縁部において開放し且つそれから開放側に延び、
前記回動軸と前記スライド部材とは互いに点検口の反対側に設けられることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の点検口。
【請求項6】
前記蓋体は、蓋パネルと、この蓋パネルが取付けられる内枠を有し、前記外枠及び前記内枠はそれぞれ、樹脂で一体に成形されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の点検口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−217950(P2007−217950A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39525(P2006−39525)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(598088723)株式会社カイダー・ベースボード工業 (4)