点滴スタンド
【課題】使用者が支柱の近くで歩行しやすい点滴スタンドを提供する。
【解決手段】移動可能な脚ベース1に支柱2を支持させ、その支柱2に輸液パックPを掛けるための輸液フック3を設けてなるものであって、前記脚ベース1が、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な起立空間1s1、1s2、1s3が形成され、キャスタ11を支持する支持部材12の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されていることを特徴とする。
【解決手段】移動可能な脚ベース1に支柱2を支持させ、その支柱2に輸液パックPを掛けるための輸液フック3を設けてなるものであって、前記脚ベース1が、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な起立空間1s1、1s2、1s3が形成され、キャスタ11を支持する支持部材12の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液パックを掛けるための輸液フックを備えた移動可能な点滴スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の点滴スタンドとして、移動可能な脚ベースに支柱を支持させ、その支柱に輸液パックを掛けるための輸液パック保持部を設けてなるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この点滴スタンドASの脚ベースA1は、図12に模式的に示すように、支柱A2から外方に向かって放射状に伸びる位置に5つのキャスタA11を備えており、各キャスタA11は、同一のピッチで環状に配されている。
【0003】
使用者Uがこのような点滴スタンドASを使用者Uの進行方向へ移動させる際には、安定性を高めるためできるだけ支柱A2に近い位置で歩行したいという要望があるが、図12で図示した従来の点滴スタンドASにおける通常の歩行位置よりも支柱A2側へ近づこうとすると、使用者Uの脚のつま先が前記キャスタA11を支持する脚フレームA122、A123に当たってふらついたり、使用者Uの脚が点滴スタンドASの脚フレームA122、A123に当たらないように無理な歩幅で歩かなければならないという問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−230479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みて、使用者が支柱の近くで歩行しやすい点滴スタンドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係る点滴スタンドは、移動可能な脚ベースに支柱を支持させ、その支柱に輸液パックを掛けるための輸液パック保持部を設けてなるものであって、前記脚ベースが、隣接するキャスタ間に使用者が歩行可能な起立空間が形成され、キャスタを支持する支持部材の下に、前記起立空間に連通する蹴り込み空間が形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、「起立空間」とは、点滴スタンドを使用する使用者が静止姿勢または歩行姿勢で、脚の全部または一部を配置できる空間であればどのようなものであってもよい。
【0008】
「蹴り込み空間」とは、点滴スタンドを使用する使用者の脚のつま先の全部または一部を挿入できる空間であればどのようなものであってもよい。
【0009】
このようなものであれば、前記起立空間に使用者の脚の一部または全部を配置して従来よりも支柱に近づくことができるため点滴スタンドの安定性を損ねることなしに、前記蹴り込み空間が形成されていることによる安心感によってこの起立空間に脚を配した使用者が無理な歩幅で歩行することを抑制できる。そのため、この点滴スタンドを移動させる使用者が、従来に比べて歩きやすいものとすることができる。
【0010】
好適な態様としては、支持部材が、前記支柱を支持するための中心フレームと、この中心フレームから前方に延出する前側の2本の脚フレームと、前記中心フレームから後方に延出する後側の2本の脚フレームとを備えたものであり、前記脚ベースが、前側の2本の脚フレーム間に前の起立空間が形成され、前側の左の脚フレームと後側の左の脚フレームとの間に少なくとも左側方に開放された左の起立空間が形成され、前側の右の脚フレームと後側の右の脚フレームとの間に少なくとも右側方に開放された右の起立空間が形成されるように構成されたものが挙げられる。ここで、「中心フレーム」とは、支柱を支持し複数本の脚フレームの基端部が設けられるものであればどのようなものであってもよく、ブロック状のものや、長尺状のもの等種々含まれる。
【0011】
支持部材の具体的な一態様としては、前記中心フレーム及び前記前側の2本の脚フレームが略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレームが前記中心フレームから後方斜め下方に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレームの下に前記蹴り込み空間が形成されているものが挙げられる。
【0012】
前記脚ベースが、先端部にキャスタを有した4本の脚フレームを有し、前側のキャスタを支持する2本の脚フレーム及び後側のキャスタを支持する2本の脚フレームがそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレームの下に同一構造をなす他の点滴スタンドの後側の脚フレームを通過させることが可能な空間が形成されていれば、同一構造をなす複数の点滴スタンドを重ね合わせてネスティングさせておくことができる。
【0013】
前記支柱に、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドルが上下方向に取付位置を変更可能に設けられていれば、同一構造をなす複数の点滴スタンドを重ね合わせてネスティングさせた際にハンドル同士が干渉することを抑制できる。
【0014】
前記脚ベースの好適な他の一例としては、前側の左右に隣接する2つのキャスタ間の距離と、前側の左のキャスタに隣接する後側の左のキャスタと前側の右のキャスタに隣接する後側の右のキャスタとの距離とを略等しく設定したものが挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のような構成であるから、使用者が支柱の近くで歩行しやすい点滴スタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る点滴スタンドを示す全体斜視図。
【図2】同実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す正面図。
【図3】同実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す左側面図。
【図4】同実施形態に係る点滴スタンドを示す平面図。
【図5】図2におけるA−A断面図。
【図6】図2におけるB−B断面図。
【図7】図2における要部を破断して示す図。
【図8】同実施形態に係る輸液フックの取付態様を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態に係る点滴スタンドのネスティング態様を示す図。
【図10】同実施形態に係る点滴スタンドの脚ベースと使用者の脚との関係を模式的に示す図。
【図11】同実施形態に係る点滴スタンドの脚ベースと使用者の脚との関係を模式的に示す図。
【図12】従来例の点滴スタンドの脚ベースと使用者の脚との関係を模式的に示す図。
【図13】本発明の第二実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す正面図。
【図14】同実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す左側面図。
【図15】同実施形態に係る点滴スタンドのネスティング態様を示す図。
【図16】同実施形態に係る点滴スタンドのネスティング態様を示す図。
【図17】本発明の第三実施形態に係る点滴スタンドを示す全体斜視図。
【図18】同実施形態に係る点滴スタンドの図6に対応する断面図。
【図19】本発明の第四実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図20】本発明の第五実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図21】本発明の第六実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図22】本発明の第七実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図23】本発明の第八実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図24】本発明の第九実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図25】本発明の第十実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一実施形態(図1〜図11)>
以下本発明の一実施形態を、図1〜図11を参照して説明する。
【0018】
この点滴スタンドSは、図1〜図4に示すように、移動可能な脚ベース1に支柱2を支持させ、その支柱2に輸液パックPを掛けるための輸液パック保持部である輸液フック3及び左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドル4を設けてなる。
【0019】
脚ベース1は、図1〜図6に示すように、キャスタ11と、キャスタ11を支持する支持部材12とを具備してなる。支持部材12は、樹脂により一体に成形されたもので、前記支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えており、平面視略H字状をなしている。前記中心フレーム121の中央には、前記支柱2が立設されている。前記中心フレーム121及び前記前側の2本の脚フレーム122は、略同一平面上に配置されているとともに、前記後側の2本の脚フレーム123は前記中心フレーム121の下面121aから略水平に延びるように配置されている。この支持部材12の高さ寸法h1は、一般的な病室用ベッド下方の隙間に挿入可能な大きさに設定されている。また、この脚ベース1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタ11間の距離w1を前側の左のキャスタ11に隣接する後側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11に隣接する後側の右のキャスタ11との間の距離w2よりも大きく設定してある。さらに、この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11と後側の左のキャスタ11との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11と後側の右のキャスタ11との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。すなわち、脚フレーム122、123の先端部122a、123a以外の部分が、少なくとも前側の左のキャスタ11と後側の左のキャスタ11とを結ぶ直線、前側の右のキャスタ11と後側の右のキャスタ11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。また、前側の脚フレーム122の先端部122a以外の部分が、前側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。具体的には、前記脚ベース1は、先端にキャスタ11を有した4本の脚フレーム122、123を有し、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレーム122の下に同一構造をなす他の点滴スタンドSの後側の脚フレーム123を通過させることが可能な空間が形成されるように構成されている。この構成によって、後述するように複数の点滴スタンドSをネスティングすることができるようにしてある。前記前の起立空間1s1は、平面視において前方に開放されたもので、この点滴スタンドSの前側に起立した使用者Uが当該点滴スタンドSを後方に、すなわち使用者Uの進行方向に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記左の起立空間1s2は、平面視において左側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドSの左側に起立した使用者Uが当該点滴スタンドSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記右の起立空間1s3は、平面視において右側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドSの右側に起立した使用者Uが当該点滴スタンドSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。そして、前記支持部材12を構成する前側の2本の脚フレーム122の下に、前記前の起立空間1s1及び前記左右の起立空間1s2、1s3にそれぞれ連通する蹴り込み空間1s4が形成されている。この蹴り込み空間1s4は、正面視、側面視及び背面視において視認可能に開口したもので、その高さ寸法h2は、一般的な体格を有する成人のつま先が歩行中に進入可能な大きさに設定されている。一方、前記キャスタ11は、双輪タイプのもので、その幅寸法はエレベータと該エレベータの乗り口との間の隙間の幅寸法よりも大きい。具体的には、前記キャスタ11の幅寸法は30mm以上であることが望ましく、本実施形態では60mmに設定されている。
【0020】
前記支柱2は、伸縮可能なもので、図1〜図3及び図7に示すように、前記脚ベース1に立設された下部要素21と、この下部要素21に上下スライド可能に嵌め合わされ前記輸液フック3を支持する上部要素22とを備えたものである。前記下部要素21は、脚ベース1の前記中心フレーム121に立設された金属パイプ材製のものである。前記上部要素22は、前記下部要素21の内周にスライド可能に嵌合された金属パイプ材製のものである。この上部要素22を緊締機構23により前記下部要素21に対して上下位置変更可能に固定している。この緊締機構23は、前記輸液フック3よりも下方に位置する部位に設けられている。前記緊締機構23は、図7に示すように、前記支柱2に設けられた雌ねじ231aを有するフレーム231と、このフレーム231の雌ねじ231aに螺着された雄ねじ232aを有するグリップ232と、前記雄ねじ232aが外部に露出することを防止するカバー233とを具備する。換言すれば、前記緊締機構23は、前記支柱2の下部要素21の上端部に設けられた雌ねじ231aを有するフレーム231と、このフレーム231の雌ねじ231aに螺着されその先端で上部要素22の外周を押し付けることによりこの上部要素22を前記下部要素21に固定するための雄ねじ232aを有するグリップ232と、前記雄ねじ232aが外部に露出することを防止するカバー233とを具備する。前記フレーム231は、前記支柱2の下部要素21の上端部21aと、この上端部21aに外嵌させた合成樹脂製の外嵌部材231bとを備えてなるもので、前記下部要素21の上端部21a及び外嵌部材231bのいずれか一方に雌ねじ231aを有している。前記グリップ232は、前記雄ねじ232aを保持する軸部232bと、この軸部232bに回転力を付与するための把持部232cと、この把持部232cと前記軸部232bの外面とを滑らかに連続させる中間部232dとを備えたものである。すなわちこの中間部232dは、軸部232bから把持部232cに向かって漸次径が増大する曲面形状をなしている。前記カバー233は、前記フレーム231に設けられ前記グリップ232の軸部232bの外周に相対回転可能に外嵌する筒状のものである。具体的には、このカバー233は、前記フレーム231の外嵌部材231bと一体に形成された薄肉円筒体状のもので、このカバー233の外周面232aと前記グリップ232の中間部232dの外周面232d1とが大きな段差を伴うことなく略連続するように構成されている。そして、この支柱2の上端には、各輸液フック3に掛けられた輸液パックP同士が干渉しないように複数の前記輸液フック3が放射状に設けられている。この実施形態においては、4本の前記輸液フック3を着脱自在に取り付けることができるようになっているが、図面では2本の輸液フック3を装着した状態を示している。
【0021】
前記各輸液フック3は、図1及び図2に示すように、支柱2に設けたフック取付部材5から外方に延出する延出桿31と、この延出桿31の延出端部に設けられたフック本体32とを備えている。これら延出桿31と前記フック本体32とは、連続した細長い素材により作られたものであり、同一平面に沿って配置されている。前記フック本体32は、前記延出桿31の延出端に連続して設けられ上下方向に延びる上下延出部321と、この上下延出部321の延出端に連続して設けられ支柱2側に折り返す折り返し部322とを具備してなり、その折り返し部322の先端322xと前記延出桿31との間に形成される開口3sが、支柱2側から輸液パックPを挿脱し得る方向に開放されている。前記上下延出部321は、延出桿31の延出端から下方に垂下するもので、病室で一般的に用いられているカーテンの網目の寸法よりも大きな上下方向寸法h3を有している。前記折り返し部322は、上下延出部321の延出端に連続して設けられ前記輸液パックPを掛け止める略U字状をなす掛け止め部分322aと、この掛け止め部分322aから連続して上方に延びる上向き部分322bと、この上向き部分322bの上端に連続して設けられ支柱2に向かって延びる先端部分322cとを備えたものであり、この先端部分322cと前記延出桿31との間に輸液パックPを挿脱するための開口3sが形成されている。前記折り返し部322の先端322xは、支柱2に向けて延出している。すなわち、前記折り返し部322の先端部分322cは、前記延出桿31と平行である。前記延出桿31は、図8に示すように、その基端に下方に屈曲して垂下する垂下部311を備えている。前記フック取付部材5は、支柱2の上端部に装着されたもので、その上面に、中心ボルト挿通孔51と、この中心ボルト挿通孔51の近傍から放射状に形成された複数本の延出桿保持溝52と、これら各延出桿保持溝52の基端に連続させて設けられた縦穴53とが設けられている。前記延出桿31は、その垂下部311を前記縦穴53に挿入するとともに、その垂下部311に連続する基端部312を前記延出桿保持溝52に嵌め合わせることによりフック取付部材5に保持されるようになっている。なお、フック取付部材5の上面には、前記中心ボルト挿通孔51に対応する中心孔61と、前記延出桿保持溝52に対応する保持溝62とを有したキャップ6が装着されるようになっており、このキャップ6の中心孔61と前記フック取付部材5の中心ボルト挿通孔51に挿通させたボルト63を支柱2の内部に固設した図示しないナットに螺着することにより前記各延出桿31を前記フック取付部材5に固定するようにしてある。以上のような輸液フック3の下方に、手を掛けることができるハンドル4を設けている。
【0022】
前記ハンドル4は、図1〜図5に示すように、支柱2を囲う環状のハンドル本体41と、このハンドル本体41を支柱2に支持させるためのボス部42とを備えてなる。このハンドル4は、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能であり、このハンドル本体41の内周面41a側に全周に亘って連続した環状空間を形成している。本実施形態では、前記ハンドル本体41の内周面41a、上面41b及び外周面41cが全周に亘って途切れることなく連続している。前記ハンドル本体41は、環状をなす持ち手部411と、この持ち手部411の下面411aと前記ボス部42とを連結する連結部412とを備えており、その上面41bが略水平となるように前記支柱2に取り付けられている。前記持ち手部411は、平面視において長軸を左右方向に向けて支柱2に取り付けられた楕円形状をなし、その断面形状は手を掛けやすくすべく略円形状に設定されている。前記環状空間は、この持ち手部411の内周に沿って環状をなすように連続したものである。前記連結部412は、前記持ち手部411の左右両端の下面411aからそれぞれ前記ボス部42に向かい延びる帯状のもので、持ち手部411に手を掛けた際に手と干渉しにくい位置に配している。前記ボス部42は平面視において前記持ち手部411の中心に位置されている。このボス部42は、支柱2に対して上下方向に取付位置を変更可能に取り付けられており、このハンドル4のボス部42を緊締機構43により前記支柱2に対して上下位置変更可能に固定している。この緊締機構43は、前記ハンドル4の持ち手部411よりも下方に位置する部位に設けられている。前記緊締機構43は、前記ハンドル4のボス部42により構成される雌ねじを有するフレーム431と、このフレーム431の雌ねじに螺着された雄ねじを有するグリップ432と、前記雄ねじが外部に露出することを防止するカバー433とを具備する。この緊締機構43は、前述した支柱2の上部要素22を下部要素21に固定するための緊締機構23に準じた構成をなすものであるため、図示及び詳細な説明は省略する。
【0023】
そして、この点滴スタンドSは、図5及び図9を参照しつつ以下に述べるような手順によりネスティング可能である。まず、特定の点滴スタンドS(1)のハンドル4と、この特定の点滴スタンドS(1)と同一構造をなす他の点滴スタンドS(2)のハンドル4との上下方向相対位置を持ち手部411の上下方向寸法以上異ならせておく。次いで、特定の点滴スタンドS(1)の前方から、この点滴スタンドS(1)の中心フレーム121に他の点滴スタンドS(2)の中心フレーム121が平行となるように他の点滴スタンドS(2)を接近させる。このとき、特定の点滴スタンドS(1)の前側の脚フレーム122の下方に形成された蹴り込み空間1s4を他の点滴スタンドS(2)の後側の脚フレーム123が通過する。そして、特定の点滴スタンドS(1)の支柱2に他の点滴スタンドS(2)のハンドル4の持ち手部411が接近又は当接し、特定の点滴スタンドS(1)の前側に他の点滴スタンドS(2)をネスティングさせることができる。
【0024】
以上に述べたように、本実施形態にかかる点滴スタンドSは、移動可能な脚ベース1に支柱2を支持させ、その支柱2に輸液パックPを掛けるための輸液フック3を設けてなるものであって、前記脚ベース1が、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な起立空間1s1、1s2、1s3が形成され、キャスタ11を支持する支持部材12の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されているので、前記起立空間1s1、1s2、1s3に使用者Uの脚の一部または全部を配置して従来よりも支柱2に近づくことができるため点滴スタンドSの安定性を損ねることなしに、前記蹴り込み空間1s4が形成されていることによる安心感によってこの起立空間1s1、1s2、1s3に脚を配した使用者Uが無理な歩幅で歩行することを抑制できる。詳述すれば、前記支持部材12の下に使用者Uのつま先が入る上下寸法及び左右寸法を有した蹴り込み空間1s4が形成されているので、使用者Uが歩行しながらこの蹴り込み空間1s4内につま先を挿入することができる。そのため、つま先が支持部材12に当たってふらついたり転倒したりという不具合を解消できる。また、実際に、使用者Uが歩行しながらこの蹴り込み空間1s4内につま先を挿入しない場合であっても、使用者Uのつま先側に蹴り込み空間1s4が形成されていることによる安心感を得ることができ、不自然な歩行になることを抑制することができる。
【0025】
前記支持部材12が、前記支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものであり、前記脚ベース1が、前側の2本の脚フレーム122間に前の起立空間1s1が形成され、前側の左の脚フレーム122と後側の左の脚フレーム123との間に少なくとも左側方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右の脚フレーム122と後側の右の脚フレーム123との間に少なくとも右側方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものであるので、前の起立空間1s1を利用して使用者Uが前方から無理なく点滴スタンドSを移動させることができ、また、左の起立空間1s2または右の起立空間1s3を利用して使用者Uが左右側方から無理なく点適スタンドを移動させることができる。
【0026】
詳述すれば、本実施形態の脚ベース1は、図10に模式的に示すように、前後のキャスタ11と支柱2とを平面視で結ぶ仮想三角形の内部に、使用者Uが起立して静止または歩行できる左の起立空間1s2が形成される。なお、図10における左端の矢印は、使用者Uの進行方向を示している。脚ベース1がこのような構造であるため、使用者Uは、この左の起立空間1s2内に脚の一部を配置することができ、支柱2又はハンドル4に手を掛けて点滴スタンドSを移動させる動作を無理なく行うことができる。すなわち、使用者Uは、従来よりも支柱2側に近づくことができるため、比較的安定した姿勢で点滴スタンドSを移動させることができる。特に、この左の起立空間1s2が後方にも開放されたものであるので、左の起立空間1s2に起立して歩行する使用者Uが、後側の脚フレーム122、123にかかとを引っ掛けてしまう可能性を少なくすることができ、無理な歩幅で歩くことを抑制できる。なお、右側もこの左側で説明したものに準じた構造をなしており、同様の効果が得られる。
【0027】
さらに、前側についても、図11に模式的に示すように、前側の左右のキャスタ11と支柱2とを平面視で結ぶ仮想三角形の内部に、より具体的には、中心フレーム121と2本の前側の脚フレーム122とによって囲まれる平面視台形状の空間の内部に、前記前の起立空間1s1が形成される。なお、図11における左端の矢印は、使用者Uの進行方向を示している。脚ベース1がこのような構造であるため、使用者Uは、この前の起立空間1s1内に脚の一部を配置することができ、支柱2又はハンドル4に手を掛けて点滴スタンドSを移動させる動作を無理なく行うことができる。すなわち、使用者Uは、従来よりも支柱2側に近づくことができるため、比較的安定した姿勢で点滴スタンドSを移動させることができる。
【0028】
本実施形態においては、キャスタ11を支持する支持部材12のうち、前記前側の脚フレーム122の下のみならず中心フレーム121下にも前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されているので、前または左右のいずれの起立空間1s1、1s2、1s3においても歩行しやすいものとなっている。
【0029】
また、前記支持部材12が、前記中心フレーム121及び前記前側の2本の脚フレーム122が略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレーム123が前記中心フレーム121の下面121aから略水平に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレーム122の下に前記蹴り込み空間1s4が形成されているので、中心フレーム121及び前側の脚フレーム122が前記後側の脚フレーム123よりも高い位置に設定されることとなり、中心フレーム121及び前側の脚フレーム122の下に形成される蹴り込み空間1s4の上下寸法を前記後側の脚フレーム123の下に形成される空間の上下寸法よりも大きくすることができる。特に、前記中心フレーム121及び前記前側の2本の脚フレーム122が略同一平面上に配置されているので、蹴り込み空間1s4の上下寸法を左右方向にわたってほぼ一定にすることができ、各起立空間1s1、1s2、1s3内の支柱2寄りの位置またはキャスタ11寄りの位置いずれであっても歩きやすくすることができる。また、前記後側の2本の脚フレーム123が略水平に延びるように配置されているので、この後側の脚フレーム123の上面に使用者Uの足裏を載せて前記キャスタ11の動きを抑制することもできる。このようにすれば、ロックの付いていないキャスタ11を備えたものであっても、点滴スタンドSを一定位置に一時的に仮保持しておくことができる。
【0030】
特に、本実施形態では各脚フレーム122、123が、基端側から先端側まで略同一の幅寸法を有したものであるため、脚ベース1全体をすっきりとした印象にすることができ、使用者Uが起立空間1s1、1s2、1s3に立ちやすくすることができる。また、これらの脚フレーム122、123及び中心フレーム121は、樹脂の一体成形で作られているので、従来の金属製のものと異なり、使用者Uの脚が当たったときの感触を柔らかくできるとともに、点滴スタンドSの外観で優しい印象を与えることができる。各脚フレーム122、123の先端部には、衝突防止用のバンパーを付けた態様を図示しているが、このバンパーを備えていないものであってもよい。
【0031】
さらに、本実施形態の点滴スタンドSの脚ベース1は、先端部122a、123aにキャスタ11を有した4本の脚フレーム122、123を有し、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレーム122の下に同一構造をなす他の点滴スタンドSの後側の脚フレーム123を通過させることが可能な空間が形成されるように構成されているので、複数の点滴スタンドSを水平方向に重ねることができる。この空間は、前記左の起立空間1s2、右の起立空間1s3、または前の起立空間1s1に起立した使用者Uのつま先が入り込み得る前記蹴り込み空間1s4としての役割も担っている。
【0032】
また、支柱2に、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドル4が上下方向に取付位置を変更可能に設けられているので、複数の点滴スタンドSを水平方向に重ねる際には、隣接するハンドル4同士の高さ位置を相互に変更することによって、ハンドル4同士が干渉することなくネスティングさせることができる。したがって、より多くの点滴スタンドSをネスティングさせることができ、ネスティング効率を高めることができる。なお、本実施形態では、隣接する点滴スタンドS間のピッチを約120mmに設定している。
【0033】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0034】
<第二実施形態(図13〜図16)>
例えば、第二実施形態として、図13〜図16に示すような脚ベースX1を備えたものが考えられる。図13〜図16では、脚ベースX1以外の各部位には、上述した実施形態における符号の前にXを付加した符号を付している。また、図13〜図16においては、支柱X2を一部省略して示している。この脚ベースX1は、キャスタX11と、キャスタX11を支持する支持部材X12とを具備してなる。支持部材X12は、樹脂により一体に成形されたもので、前記支柱X2を支持するための左右方向に延びる中心フレームX121と、この中心フレームX121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレームX122と、前記中心フレームX121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレームX123とを備えており、平面視略H字状をなしている。前記中心フレームX121の中央には、前記支柱X2が立設されている。前記中心フレームX121及び前記前側の2本の脚フレームX122は、略同一平面上に配置されている。また、前記後側の2本の脚フレームX123は、前記中心フレームX121から後方斜め下方に延びるように配置されたものであり、その基端がこれら中心フレームX121及び前側の2本の脚フレームX122と略同一平面上に配置されているとともに、先端に向かって漸次下方に向かう傾斜が設けられている。換言すれば、前記後側の2本の脚フレームX123の先端部X123aの高さ位置は、前側の2本の脚フレームX122の先端部X122aの高さ位置よりも下方に設定されている。そして、この支持部材X12の高さ寸法Xh1は、一般的な病室用ベッド下方の隙間に挿入可能な大きさに設定されている。また、この脚ベースX1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタX11間の距離Xw1を前側の左のキャスタX11に隣接する後側の左のキャスタX11と前側の右のキャスタX11に隣接する後側の右のキャスタX11との間の距離Xw2よりも大きく設定してある。さらに、この脚ベースX1は、前側の左右のキャスタX11間に前方に開放された前の起立空間X1s1が形成され、前側の左のキャスタX11と後側の左のキャスタX11との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間X1s2が形成され、前側の右のキャスタX11と後側の右のキャスタX11との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間X1s3が形成されるように構成されたものである。すなわち、脚フレームX122、X123の先端部X122a、X123a以外の部分が、少なくとも前側の左のキャスタX11と後側の左のキャスタX11とを結ぶ直線、前側の右のキャスタX11と後側の右のキャスタX11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。また、前側の脚フレームX122の先端部X122a以外の部分が、前側の左のキャスタX11と前側の右のキャスタX11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。具体的には、前記脚ベースX1は、先端にキャスタX11を有した4本の脚フレームX122、X123を有する。前側のキャスタX11を支持する2本の脚フレームX122は平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。後側のキャスタX11を支持する2本の脚フレームX123は、平面視において先端側がそれぞれ中心フレームX121の延出方向に対して直交する方向に配されている。換言すれば、後側のキャスタX11を支持する2本の脚フレームX123は、互いに平行に配されている。前側の脚フレームX122の下に同一構造をなす他の点滴スタンドXSの後側の脚フレームX123を重ねることが可能な空間が形成されるように構成されている。換言すれば、前後に隣接する点滴スタンドXSの後側の脚フレームX123同士を上下方向に重ねることが可能に構成されている。この構成によって、図15及び図16に示すような態様で、本実施形態に係る特定の点滴スタンドXS(1)の前方に同一構造をなす他の点滴スタンドXS(2)をネスティングすることができる。前記前の起立空間X1s1は、平面視において前方に開放されたもので、この点滴スタンドXSの前側に起立した使用者が当該点滴スタンドXSを後方に、すなわち使用者の進行方向に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記左の起立空間X1s2は、平面視において左側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドXSの左側に起立した使用者が当該点滴スタンドXSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記右の起立空間X1s3は、平面視において右側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドXSの右側に起立した使用者が当該点滴スタンドXSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。そして、前記支持部材X12を構成する前側の2本の脚フレームX122の下に、前記前の起立空間X1s1及び前記左右の起立空間X1s2、X1s3にそれぞれ連通する蹴り込み空間X1s4が形成されている。この蹴り込み空間X1s4は、正面視、側面視及び背面視において視認可能に開口したもので、その高さ寸法Xh2は、一般的な体格を有する成人のつま先が歩行中に進入可能な大きさに設定されている。
【0035】
本実施形態に係る脚ベースX1を有する点滴スタンドXSの構成によっても、上述した第一実施形態に係る点滴スタンドSと同一又はこれに準じた効果を得ることができる。
【0036】
また、脚ベース1は、前記第一及び第二実施形態で示したものに限られず、例えば、図17ないし図25に示すようなものであってもよい。以下、第一実施形態の点滴スタンドSの構成と同一の部分には同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0037】
<第三実施形態(図17、図18)>
第三実施形態に係る点適スタンドは、同一構造をなす複数の点滴スタンドSを水平方向にネスティングさせない態様のものであり、この脚ベース1は、図17及び図18に示すように、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の左右両端から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部122a、123aにキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122が平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123が平面視において先端側が同方向に延出するように平行に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この脚ベース1は、前記前側の2本の脚フレーム122及び2本の後側の脚フレーム123が略同一平面上に配置されるとともに、これら脚フレーム122、123が前記中心フレーム121の下面から略水平に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に前記蹴り込み空間1s4が形成されている。
【0038】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0039】
<第四実施形態(図19)>
第四実施形態に係る点滴スタンドSは、図19に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の3本の脚フレーム123、124とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた5本の脚フレーム122、123、124を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、前記後側の脚フレーム123の間に後方に延出する第五の脚フレーム124が配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0040】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。なお、前記第五の脚フレーム124は、前記中心フレーム121と後側の脚フレーム123とで囲まれた空間に配されるものであれば、どのようなものであってもよく、模式的に示したような長尺なものには限られず、例えば、この空間を覆うようなものであってもよい。また、長尺なものである場合にも、第五の脚フレーム124の数は、1本に限られず、複数本であってもよい。
【0041】
<第五実施形態(図20)>
第五実施形態に係る点滴スタンドSは、図20に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122が平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123が平面視において先端側が幅狭となる逆ハの字状に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0042】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0043】
<第六実施形態(図21)>
第六実施形態に係る点滴スタンドSは、図21に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123と、これら後側の脚フレーム123の先端部間に配される第五の脚フレーム125とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122が平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123が平面視において先端側が幅狭となる逆ハの字状に配されている。第五の脚フレーム125は、前記中心フレーム121と平行に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0044】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0045】
<第七実施形態(図22)>
第七実施形態に係る点滴スタンドSは、図22に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための前後方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の前端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の後端から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0046】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。また、本実施形態のように前後方向に延びる中心フレーム121を備えたものであれば、前記左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3を大きく設定することができる。
【0047】
<第八実施形態(図23)>
第八実施形態に係る点滴スタンドSは、図23に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための矩形状をなす中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122、123の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0048】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。なお、前記中心フレーム121の形状は、模式的に図示したものに限られず、種々変更可能である。
【0049】
<第九実施形態(図24)>
第九実施形態に係る点滴スタンドSは、図24に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記支柱2から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。本実施形態の脚ベース1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタ11間の距離w1と、前側の左のキャスタ11に隣接する後側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11に隣接する後側の右のキャスタ11との距離w2とを略等しく設定したものである。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0050】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0051】
<第十実施形態(図25)>
第十実施形態に係る点滴スタンドSは、図25に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための前後方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の前端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の後端から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。本実施形態の脚ベース1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタ11間の距離w1と、前側の左のキャスタ11に隣接する後側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11に隣接する後側の右のキャスタ11との距離w2とを略等しく設定したものである。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0052】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。なお、前記中心フレーム121の形状は、模式的に図示したものに限られず、種々変更可能である。
【0053】
複数の点滴スタンドをネスティング可能にするために、第一実施形態では、脚ベースが、中心フレーム及び前側の2本の脚フレームが略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレームが前記中心フレームの下面から略水平に延びるように配置されるように構成していたが、これに限られず、例えば、各脚フレームが支柱側から先端部に向かって傾斜しているものであってもよい。
【0054】
また、本発明では、支柱は、上述したものに限られず、伸縮しないもの等も含まれる。さらに、輸液パック保持部についても、フック状のものに限られず種々変更可能である。
【0055】
なお、以上の実施形態において、前後左右の概念は説明の便宜上用いたものであり、使用者の使用方向を規定するものではない。
【0056】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0057】
S、XS…点滴スタンド
1、X1…脚ベース
11、X11…キャスタ
12、X12…支持部材
121、X121…中心フレーム
122、X122…前側の脚フレーム
123、X123…後側の脚フレーム
1s1、X1s1…前の起立空間
1s2、X1s2…左の起立空間
1s3、X1s3…右の起立空間
1s4、X1s4…蹴り込み空間
w1…前側の2つのキャスタ間の距離
w2…後側の2つのキャスタ間の距離
2、X2…支柱
3、X3…輸液フック
4、X4…ハンドル
P…輸液パック
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液パックを掛けるための輸液フックを備えた移動可能な点滴スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の点滴スタンドとして、移動可能な脚ベースに支柱を支持させ、その支柱に輸液パックを掛けるための輸液パック保持部を設けてなるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この点滴スタンドASの脚ベースA1は、図12に模式的に示すように、支柱A2から外方に向かって放射状に伸びる位置に5つのキャスタA11を備えており、各キャスタA11は、同一のピッチで環状に配されている。
【0003】
使用者Uがこのような点滴スタンドASを使用者Uの進行方向へ移動させる際には、安定性を高めるためできるだけ支柱A2に近い位置で歩行したいという要望があるが、図12で図示した従来の点滴スタンドASにおける通常の歩行位置よりも支柱A2側へ近づこうとすると、使用者Uの脚のつま先が前記キャスタA11を支持する脚フレームA122、A123に当たってふらついたり、使用者Uの脚が点滴スタンドASの脚フレームA122、A123に当たらないように無理な歩幅で歩かなければならないという問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−230479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みて、使用者が支柱の近くで歩行しやすい点滴スタンドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係る点滴スタンドは、移動可能な脚ベースに支柱を支持させ、その支柱に輸液パックを掛けるための輸液パック保持部を設けてなるものであって、前記脚ベースが、隣接するキャスタ間に使用者が歩行可能な起立空間が形成され、キャスタを支持する支持部材の下に、前記起立空間に連通する蹴り込み空間が形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、「起立空間」とは、点滴スタンドを使用する使用者が静止姿勢または歩行姿勢で、脚の全部または一部を配置できる空間であればどのようなものであってもよい。
【0008】
「蹴り込み空間」とは、点滴スタンドを使用する使用者の脚のつま先の全部または一部を挿入できる空間であればどのようなものであってもよい。
【0009】
このようなものであれば、前記起立空間に使用者の脚の一部または全部を配置して従来よりも支柱に近づくことができるため点滴スタンドの安定性を損ねることなしに、前記蹴り込み空間が形成されていることによる安心感によってこの起立空間に脚を配した使用者が無理な歩幅で歩行することを抑制できる。そのため、この点滴スタンドを移動させる使用者が、従来に比べて歩きやすいものとすることができる。
【0010】
好適な態様としては、支持部材が、前記支柱を支持するための中心フレームと、この中心フレームから前方に延出する前側の2本の脚フレームと、前記中心フレームから後方に延出する後側の2本の脚フレームとを備えたものであり、前記脚ベースが、前側の2本の脚フレーム間に前の起立空間が形成され、前側の左の脚フレームと後側の左の脚フレームとの間に少なくとも左側方に開放された左の起立空間が形成され、前側の右の脚フレームと後側の右の脚フレームとの間に少なくとも右側方に開放された右の起立空間が形成されるように構成されたものが挙げられる。ここで、「中心フレーム」とは、支柱を支持し複数本の脚フレームの基端部が設けられるものであればどのようなものであってもよく、ブロック状のものや、長尺状のもの等種々含まれる。
【0011】
支持部材の具体的な一態様としては、前記中心フレーム及び前記前側の2本の脚フレームが略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレームが前記中心フレームから後方斜め下方に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレームの下に前記蹴り込み空間が形成されているものが挙げられる。
【0012】
前記脚ベースが、先端部にキャスタを有した4本の脚フレームを有し、前側のキャスタを支持する2本の脚フレーム及び後側のキャスタを支持する2本の脚フレームがそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレームの下に同一構造をなす他の点滴スタンドの後側の脚フレームを通過させることが可能な空間が形成されていれば、同一構造をなす複数の点滴スタンドを重ね合わせてネスティングさせておくことができる。
【0013】
前記支柱に、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドルが上下方向に取付位置を変更可能に設けられていれば、同一構造をなす複数の点滴スタンドを重ね合わせてネスティングさせた際にハンドル同士が干渉することを抑制できる。
【0014】
前記脚ベースの好適な他の一例としては、前側の左右に隣接する2つのキャスタ間の距離と、前側の左のキャスタに隣接する後側の左のキャスタと前側の右のキャスタに隣接する後側の右のキャスタとの距離とを略等しく設定したものが挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のような構成であるから、使用者が支柱の近くで歩行しやすい点滴スタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る点滴スタンドを示す全体斜視図。
【図2】同実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す正面図。
【図3】同実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す左側面図。
【図4】同実施形態に係る点滴スタンドを示す平面図。
【図5】図2におけるA−A断面図。
【図6】図2におけるB−B断面図。
【図7】図2における要部を破断して示す図。
【図8】同実施形態に係る輸液フックの取付態様を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態に係る点滴スタンドのネスティング態様を示す図。
【図10】同実施形態に係る点滴スタンドの脚ベースと使用者の脚との関係を模式的に示す図。
【図11】同実施形態に係る点滴スタンドの脚ベースと使用者の脚との関係を模式的に示す図。
【図12】従来例の点滴スタンドの脚ベースと使用者の脚との関係を模式的に示す図。
【図13】本発明の第二実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す正面図。
【図14】同実施形態に係る点滴スタンドを一部省略して示す左側面図。
【図15】同実施形態に係る点滴スタンドのネスティング態様を示す図。
【図16】同実施形態に係る点滴スタンドのネスティング態様を示す図。
【図17】本発明の第三実施形態に係る点滴スタンドを示す全体斜視図。
【図18】同実施形態に係る点滴スタンドの図6に対応する断面図。
【図19】本発明の第四実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図20】本発明の第五実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図21】本発明の第六実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図22】本発明の第七実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図23】本発明の第八実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図24】本発明の第九実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【図25】本発明の第十実施形態に係る点滴スタンドの要部を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一実施形態(図1〜図11)>
以下本発明の一実施形態を、図1〜図11を参照して説明する。
【0018】
この点滴スタンドSは、図1〜図4に示すように、移動可能な脚ベース1に支柱2を支持させ、その支柱2に輸液パックPを掛けるための輸液パック保持部である輸液フック3及び左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドル4を設けてなる。
【0019】
脚ベース1は、図1〜図6に示すように、キャスタ11と、キャスタ11を支持する支持部材12とを具備してなる。支持部材12は、樹脂により一体に成形されたもので、前記支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えており、平面視略H字状をなしている。前記中心フレーム121の中央には、前記支柱2が立設されている。前記中心フレーム121及び前記前側の2本の脚フレーム122は、略同一平面上に配置されているとともに、前記後側の2本の脚フレーム123は前記中心フレーム121の下面121aから略水平に延びるように配置されている。この支持部材12の高さ寸法h1は、一般的な病室用ベッド下方の隙間に挿入可能な大きさに設定されている。また、この脚ベース1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタ11間の距離w1を前側の左のキャスタ11に隣接する後側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11に隣接する後側の右のキャスタ11との間の距離w2よりも大きく設定してある。さらに、この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11と後側の左のキャスタ11との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11と後側の右のキャスタ11との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。すなわち、脚フレーム122、123の先端部122a、123a以外の部分が、少なくとも前側の左のキャスタ11と後側の左のキャスタ11とを結ぶ直線、前側の右のキャスタ11と後側の右のキャスタ11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。また、前側の脚フレーム122の先端部122a以外の部分が、前側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。具体的には、前記脚ベース1は、先端にキャスタ11を有した4本の脚フレーム122、123を有し、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレーム122の下に同一構造をなす他の点滴スタンドSの後側の脚フレーム123を通過させることが可能な空間が形成されるように構成されている。この構成によって、後述するように複数の点滴スタンドSをネスティングすることができるようにしてある。前記前の起立空間1s1は、平面視において前方に開放されたもので、この点滴スタンドSの前側に起立した使用者Uが当該点滴スタンドSを後方に、すなわち使用者Uの進行方向に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記左の起立空間1s2は、平面視において左側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドSの左側に起立した使用者Uが当該点滴スタンドSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記右の起立空間1s3は、平面視において右側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドSの右側に起立した使用者Uが当該点滴スタンドSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。そして、前記支持部材12を構成する前側の2本の脚フレーム122の下に、前記前の起立空間1s1及び前記左右の起立空間1s2、1s3にそれぞれ連通する蹴り込み空間1s4が形成されている。この蹴り込み空間1s4は、正面視、側面視及び背面視において視認可能に開口したもので、その高さ寸法h2は、一般的な体格を有する成人のつま先が歩行中に進入可能な大きさに設定されている。一方、前記キャスタ11は、双輪タイプのもので、その幅寸法はエレベータと該エレベータの乗り口との間の隙間の幅寸法よりも大きい。具体的には、前記キャスタ11の幅寸法は30mm以上であることが望ましく、本実施形態では60mmに設定されている。
【0020】
前記支柱2は、伸縮可能なもので、図1〜図3及び図7に示すように、前記脚ベース1に立設された下部要素21と、この下部要素21に上下スライド可能に嵌め合わされ前記輸液フック3を支持する上部要素22とを備えたものである。前記下部要素21は、脚ベース1の前記中心フレーム121に立設された金属パイプ材製のものである。前記上部要素22は、前記下部要素21の内周にスライド可能に嵌合された金属パイプ材製のものである。この上部要素22を緊締機構23により前記下部要素21に対して上下位置変更可能に固定している。この緊締機構23は、前記輸液フック3よりも下方に位置する部位に設けられている。前記緊締機構23は、図7に示すように、前記支柱2に設けられた雌ねじ231aを有するフレーム231と、このフレーム231の雌ねじ231aに螺着された雄ねじ232aを有するグリップ232と、前記雄ねじ232aが外部に露出することを防止するカバー233とを具備する。換言すれば、前記緊締機構23は、前記支柱2の下部要素21の上端部に設けられた雌ねじ231aを有するフレーム231と、このフレーム231の雌ねじ231aに螺着されその先端で上部要素22の外周を押し付けることによりこの上部要素22を前記下部要素21に固定するための雄ねじ232aを有するグリップ232と、前記雄ねじ232aが外部に露出することを防止するカバー233とを具備する。前記フレーム231は、前記支柱2の下部要素21の上端部21aと、この上端部21aに外嵌させた合成樹脂製の外嵌部材231bとを備えてなるもので、前記下部要素21の上端部21a及び外嵌部材231bのいずれか一方に雌ねじ231aを有している。前記グリップ232は、前記雄ねじ232aを保持する軸部232bと、この軸部232bに回転力を付与するための把持部232cと、この把持部232cと前記軸部232bの外面とを滑らかに連続させる中間部232dとを備えたものである。すなわちこの中間部232dは、軸部232bから把持部232cに向かって漸次径が増大する曲面形状をなしている。前記カバー233は、前記フレーム231に設けられ前記グリップ232の軸部232bの外周に相対回転可能に外嵌する筒状のものである。具体的には、このカバー233は、前記フレーム231の外嵌部材231bと一体に形成された薄肉円筒体状のもので、このカバー233の外周面232aと前記グリップ232の中間部232dの外周面232d1とが大きな段差を伴うことなく略連続するように構成されている。そして、この支柱2の上端には、各輸液フック3に掛けられた輸液パックP同士が干渉しないように複数の前記輸液フック3が放射状に設けられている。この実施形態においては、4本の前記輸液フック3を着脱自在に取り付けることができるようになっているが、図面では2本の輸液フック3を装着した状態を示している。
【0021】
前記各輸液フック3は、図1及び図2に示すように、支柱2に設けたフック取付部材5から外方に延出する延出桿31と、この延出桿31の延出端部に設けられたフック本体32とを備えている。これら延出桿31と前記フック本体32とは、連続した細長い素材により作られたものであり、同一平面に沿って配置されている。前記フック本体32は、前記延出桿31の延出端に連続して設けられ上下方向に延びる上下延出部321と、この上下延出部321の延出端に連続して設けられ支柱2側に折り返す折り返し部322とを具備してなり、その折り返し部322の先端322xと前記延出桿31との間に形成される開口3sが、支柱2側から輸液パックPを挿脱し得る方向に開放されている。前記上下延出部321は、延出桿31の延出端から下方に垂下するもので、病室で一般的に用いられているカーテンの網目の寸法よりも大きな上下方向寸法h3を有している。前記折り返し部322は、上下延出部321の延出端に連続して設けられ前記輸液パックPを掛け止める略U字状をなす掛け止め部分322aと、この掛け止め部分322aから連続して上方に延びる上向き部分322bと、この上向き部分322bの上端に連続して設けられ支柱2に向かって延びる先端部分322cとを備えたものであり、この先端部分322cと前記延出桿31との間に輸液パックPを挿脱するための開口3sが形成されている。前記折り返し部322の先端322xは、支柱2に向けて延出している。すなわち、前記折り返し部322の先端部分322cは、前記延出桿31と平行である。前記延出桿31は、図8に示すように、その基端に下方に屈曲して垂下する垂下部311を備えている。前記フック取付部材5は、支柱2の上端部に装着されたもので、その上面に、中心ボルト挿通孔51と、この中心ボルト挿通孔51の近傍から放射状に形成された複数本の延出桿保持溝52と、これら各延出桿保持溝52の基端に連続させて設けられた縦穴53とが設けられている。前記延出桿31は、その垂下部311を前記縦穴53に挿入するとともに、その垂下部311に連続する基端部312を前記延出桿保持溝52に嵌め合わせることによりフック取付部材5に保持されるようになっている。なお、フック取付部材5の上面には、前記中心ボルト挿通孔51に対応する中心孔61と、前記延出桿保持溝52に対応する保持溝62とを有したキャップ6が装着されるようになっており、このキャップ6の中心孔61と前記フック取付部材5の中心ボルト挿通孔51に挿通させたボルト63を支柱2の内部に固設した図示しないナットに螺着することにより前記各延出桿31を前記フック取付部材5に固定するようにしてある。以上のような輸液フック3の下方に、手を掛けることができるハンドル4を設けている。
【0022】
前記ハンドル4は、図1〜図5に示すように、支柱2を囲う環状のハンドル本体41と、このハンドル本体41を支柱2に支持させるためのボス部42とを備えてなる。このハンドル4は、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能であり、このハンドル本体41の内周面41a側に全周に亘って連続した環状空間を形成している。本実施形態では、前記ハンドル本体41の内周面41a、上面41b及び外周面41cが全周に亘って途切れることなく連続している。前記ハンドル本体41は、環状をなす持ち手部411と、この持ち手部411の下面411aと前記ボス部42とを連結する連結部412とを備えており、その上面41bが略水平となるように前記支柱2に取り付けられている。前記持ち手部411は、平面視において長軸を左右方向に向けて支柱2に取り付けられた楕円形状をなし、その断面形状は手を掛けやすくすべく略円形状に設定されている。前記環状空間は、この持ち手部411の内周に沿って環状をなすように連続したものである。前記連結部412は、前記持ち手部411の左右両端の下面411aからそれぞれ前記ボス部42に向かい延びる帯状のもので、持ち手部411に手を掛けた際に手と干渉しにくい位置に配している。前記ボス部42は平面視において前記持ち手部411の中心に位置されている。このボス部42は、支柱2に対して上下方向に取付位置を変更可能に取り付けられており、このハンドル4のボス部42を緊締機構43により前記支柱2に対して上下位置変更可能に固定している。この緊締機構43は、前記ハンドル4の持ち手部411よりも下方に位置する部位に設けられている。前記緊締機構43は、前記ハンドル4のボス部42により構成される雌ねじを有するフレーム431と、このフレーム431の雌ねじに螺着された雄ねじを有するグリップ432と、前記雄ねじが外部に露出することを防止するカバー433とを具備する。この緊締機構43は、前述した支柱2の上部要素22を下部要素21に固定するための緊締機構23に準じた構成をなすものであるため、図示及び詳細な説明は省略する。
【0023】
そして、この点滴スタンドSは、図5及び図9を参照しつつ以下に述べるような手順によりネスティング可能である。まず、特定の点滴スタンドS(1)のハンドル4と、この特定の点滴スタンドS(1)と同一構造をなす他の点滴スタンドS(2)のハンドル4との上下方向相対位置を持ち手部411の上下方向寸法以上異ならせておく。次いで、特定の点滴スタンドS(1)の前方から、この点滴スタンドS(1)の中心フレーム121に他の点滴スタンドS(2)の中心フレーム121が平行となるように他の点滴スタンドS(2)を接近させる。このとき、特定の点滴スタンドS(1)の前側の脚フレーム122の下方に形成された蹴り込み空間1s4を他の点滴スタンドS(2)の後側の脚フレーム123が通過する。そして、特定の点滴スタンドS(1)の支柱2に他の点滴スタンドS(2)のハンドル4の持ち手部411が接近又は当接し、特定の点滴スタンドS(1)の前側に他の点滴スタンドS(2)をネスティングさせることができる。
【0024】
以上に述べたように、本実施形態にかかる点滴スタンドSは、移動可能な脚ベース1に支柱2を支持させ、その支柱2に輸液パックPを掛けるための輸液フック3を設けてなるものであって、前記脚ベース1が、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な起立空間1s1、1s2、1s3が形成され、キャスタ11を支持する支持部材12の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されているので、前記起立空間1s1、1s2、1s3に使用者Uの脚の一部または全部を配置して従来よりも支柱2に近づくことができるため点滴スタンドSの安定性を損ねることなしに、前記蹴り込み空間1s4が形成されていることによる安心感によってこの起立空間1s1、1s2、1s3に脚を配した使用者Uが無理な歩幅で歩行することを抑制できる。詳述すれば、前記支持部材12の下に使用者Uのつま先が入る上下寸法及び左右寸法を有した蹴り込み空間1s4が形成されているので、使用者Uが歩行しながらこの蹴り込み空間1s4内につま先を挿入することができる。そのため、つま先が支持部材12に当たってふらついたり転倒したりという不具合を解消できる。また、実際に、使用者Uが歩行しながらこの蹴り込み空間1s4内につま先を挿入しない場合であっても、使用者Uのつま先側に蹴り込み空間1s4が形成されていることによる安心感を得ることができ、不自然な歩行になることを抑制することができる。
【0025】
前記支持部材12が、前記支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものであり、前記脚ベース1が、前側の2本の脚フレーム122間に前の起立空間1s1が形成され、前側の左の脚フレーム122と後側の左の脚フレーム123との間に少なくとも左側方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右の脚フレーム122と後側の右の脚フレーム123との間に少なくとも右側方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものであるので、前の起立空間1s1を利用して使用者Uが前方から無理なく点滴スタンドSを移動させることができ、また、左の起立空間1s2または右の起立空間1s3を利用して使用者Uが左右側方から無理なく点適スタンドを移動させることができる。
【0026】
詳述すれば、本実施形態の脚ベース1は、図10に模式的に示すように、前後のキャスタ11と支柱2とを平面視で結ぶ仮想三角形の内部に、使用者Uが起立して静止または歩行できる左の起立空間1s2が形成される。なお、図10における左端の矢印は、使用者Uの進行方向を示している。脚ベース1がこのような構造であるため、使用者Uは、この左の起立空間1s2内に脚の一部を配置することができ、支柱2又はハンドル4に手を掛けて点滴スタンドSを移動させる動作を無理なく行うことができる。すなわち、使用者Uは、従来よりも支柱2側に近づくことができるため、比較的安定した姿勢で点滴スタンドSを移動させることができる。特に、この左の起立空間1s2が後方にも開放されたものであるので、左の起立空間1s2に起立して歩行する使用者Uが、後側の脚フレーム122、123にかかとを引っ掛けてしまう可能性を少なくすることができ、無理な歩幅で歩くことを抑制できる。なお、右側もこの左側で説明したものに準じた構造をなしており、同様の効果が得られる。
【0027】
さらに、前側についても、図11に模式的に示すように、前側の左右のキャスタ11と支柱2とを平面視で結ぶ仮想三角形の内部に、より具体的には、中心フレーム121と2本の前側の脚フレーム122とによって囲まれる平面視台形状の空間の内部に、前記前の起立空間1s1が形成される。なお、図11における左端の矢印は、使用者Uの進行方向を示している。脚ベース1がこのような構造であるため、使用者Uは、この前の起立空間1s1内に脚の一部を配置することができ、支柱2又はハンドル4に手を掛けて点滴スタンドSを移動させる動作を無理なく行うことができる。すなわち、使用者Uは、従来よりも支柱2側に近づくことができるため、比較的安定した姿勢で点滴スタンドSを移動させることができる。
【0028】
本実施形態においては、キャスタ11を支持する支持部材12のうち、前記前側の脚フレーム122の下のみならず中心フレーム121下にも前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されているので、前または左右のいずれの起立空間1s1、1s2、1s3においても歩行しやすいものとなっている。
【0029】
また、前記支持部材12が、前記中心フレーム121及び前記前側の2本の脚フレーム122が略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレーム123が前記中心フレーム121の下面121aから略水平に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレーム122の下に前記蹴り込み空間1s4が形成されているので、中心フレーム121及び前側の脚フレーム122が前記後側の脚フレーム123よりも高い位置に設定されることとなり、中心フレーム121及び前側の脚フレーム122の下に形成される蹴り込み空間1s4の上下寸法を前記後側の脚フレーム123の下に形成される空間の上下寸法よりも大きくすることができる。特に、前記中心フレーム121及び前記前側の2本の脚フレーム122が略同一平面上に配置されているので、蹴り込み空間1s4の上下寸法を左右方向にわたってほぼ一定にすることができ、各起立空間1s1、1s2、1s3内の支柱2寄りの位置またはキャスタ11寄りの位置いずれであっても歩きやすくすることができる。また、前記後側の2本の脚フレーム123が略水平に延びるように配置されているので、この後側の脚フレーム123の上面に使用者Uの足裏を載せて前記キャスタ11の動きを抑制することもできる。このようにすれば、ロックの付いていないキャスタ11を備えたものであっても、点滴スタンドSを一定位置に一時的に仮保持しておくことができる。
【0030】
特に、本実施形態では各脚フレーム122、123が、基端側から先端側まで略同一の幅寸法を有したものであるため、脚ベース1全体をすっきりとした印象にすることができ、使用者Uが起立空間1s1、1s2、1s3に立ちやすくすることができる。また、これらの脚フレーム122、123及び中心フレーム121は、樹脂の一体成形で作られているので、従来の金属製のものと異なり、使用者Uの脚が当たったときの感触を柔らかくできるとともに、点滴スタンドSの外観で優しい印象を与えることができる。各脚フレーム122、123の先端部には、衝突防止用のバンパーを付けた態様を図示しているが、このバンパーを備えていないものであってもよい。
【0031】
さらに、本実施形態の点滴スタンドSの脚ベース1は、先端部122a、123aにキャスタ11を有した4本の脚フレーム122、123を有し、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレーム122の下に同一構造をなす他の点滴スタンドSの後側の脚フレーム123を通過させることが可能な空間が形成されるように構成されているので、複数の点滴スタンドSを水平方向に重ねることができる。この空間は、前記左の起立空間1s2、右の起立空間1s3、または前の起立空間1s1に起立した使用者Uのつま先が入り込み得る前記蹴り込み空間1s4としての役割も担っている。
【0032】
また、支柱2に、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドル4が上下方向に取付位置を変更可能に設けられているので、複数の点滴スタンドSを水平方向に重ねる際には、隣接するハンドル4同士の高さ位置を相互に変更することによって、ハンドル4同士が干渉することなくネスティングさせることができる。したがって、より多くの点滴スタンドSをネスティングさせることができ、ネスティング効率を高めることができる。なお、本実施形態では、隣接する点滴スタンドS間のピッチを約120mmに設定している。
【0033】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0034】
<第二実施形態(図13〜図16)>
例えば、第二実施形態として、図13〜図16に示すような脚ベースX1を備えたものが考えられる。図13〜図16では、脚ベースX1以外の各部位には、上述した実施形態における符号の前にXを付加した符号を付している。また、図13〜図16においては、支柱X2を一部省略して示している。この脚ベースX1は、キャスタX11と、キャスタX11を支持する支持部材X12とを具備してなる。支持部材X12は、樹脂により一体に成形されたもので、前記支柱X2を支持するための左右方向に延びる中心フレームX121と、この中心フレームX121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレームX122と、前記中心フレームX121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレームX123とを備えており、平面視略H字状をなしている。前記中心フレームX121の中央には、前記支柱X2が立設されている。前記中心フレームX121及び前記前側の2本の脚フレームX122は、略同一平面上に配置されている。また、前記後側の2本の脚フレームX123は、前記中心フレームX121から後方斜め下方に延びるように配置されたものであり、その基端がこれら中心フレームX121及び前側の2本の脚フレームX122と略同一平面上に配置されているとともに、先端に向かって漸次下方に向かう傾斜が設けられている。換言すれば、前記後側の2本の脚フレームX123の先端部X123aの高さ位置は、前側の2本の脚フレームX122の先端部X122aの高さ位置よりも下方に設定されている。そして、この支持部材X12の高さ寸法Xh1は、一般的な病室用ベッド下方の隙間に挿入可能な大きさに設定されている。また、この脚ベースX1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタX11間の距離Xw1を前側の左のキャスタX11に隣接する後側の左のキャスタX11と前側の右のキャスタX11に隣接する後側の右のキャスタX11との間の距離Xw2よりも大きく設定してある。さらに、この脚ベースX1は、前側の左右のキャスタX11間に前方に開放された前の起立空間X1s1が形成され、前側の左のキャスタX11と後側の左のキャスタX11との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間X1s2が形成され、前側の右のキャスタX11と後側の右のキャスタX11との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間X1s3が形成されるように構成されたものである。すなわち、脚フレームX122、X123の先端部X122a、X123a以外の部分が、少なくとも前側の左のキャスタX11と後側の左のキャスタX11とを結ぶ直線、前側の右のキャスタX11と後側の右のキャスタX11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。また、前側の脚フレームX122の先端部X122a以外の部分が、前側の左のキャスタX11と前側の右のキャスタX11とを結ぶ直線よりも内側に位置している。具体的には、前記脚ベースX1は、先端にキャスタX11を有した4本の脚フレームX122、X123を有する。前側のキャスタX11を支持する2本の脚フレームX122は平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。後側のキャスタX11を支持する2本の脚フレームX123は、平面視において先端側がそれぞれ中心フレームX121の延出方向に対して直交する方向に配されている。換言すれば、後側のキャスタX11を支持する2本の脚フレームX123は、互いに平行に配されている。前側の脚フレームX122の下に同一構造をなす他の点滴スタンドXSの後側の脚フレームX123を重ねることが可能な空間が形成されるように構成されている。換言すれば、前後に隣接する点滴スタンドXSの後側の脚フレームX123同士を上下方向に重ねることが可能に構成されている。この構成によって、図15及び図16に示すような態様で、本実施形態に係る特定の点滴スタンドXS(1)の前方に同一構造をなす他の点滴スタンドXS(2)をネスティングすることができる。前記前の起立空間X1s1は、平面視において前方に開放されたもので、この点滴スタンドXSの前側に起立した使用者が当該点滴スタンドXSを後方に、すなわち使用者の進行方向に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記左の起立空間X1s2は、平面視において左側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドXSの左側に起立した使用者が当該点滴スタンドXSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。前記右の起立空間X1s3は、平面視において右側方及び後方に開放されたもので、この点滴スタンドXSの右側に起立した使用者が当該点滴スタンドXSを前方に押しながら歩行することが可能な大きさに設定されている。そして、前記支持部材X12を構成する前側の2本の脚フレームX122の下に、前記前の起立空間X1s1及び前記左右の起立空間X1s2、X1s3にそれぞれ連通する蹴り込み空間X1s4が形成されている。この蹴り込み空間X1s4は、正面視、側面視及び背面視において視認可能に開口したもので、その高さ寸法Xh2は、一般的な体格を有する成人のつま先が歩行中に進入可能な大きさに設定されている。
【0035】
本実施形態に係る脚ベースX1を有する点滴スタンドXSの構成によっても、上述した第一実施形態に係る点滴スタンドSと同一又はこれに準じた効果を得ることができる。
【0036】
また、脚ベース1は、前記第一及び第二実施形態で示したものに限られず、例えば、図17ないし図25に示すようなものであってもよい。以下、第一実施形態の点滴スタンドSの構成と同一の部分には同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0037】
<第三実施形態(図17、図18)>
第三実施形態に係る点適スタンドは、同一構造をなす複数の点滴スタンドSを水平方向にネスティングさせない態様のものであり、この脚ベース1は、図17及び図18に示すように、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の左右両端から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部122a、123aにキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122が平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123が平面視において先端側が同方向に延出するように平行に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この脚ベース1は、前記前側の2本の脚フレーム122及び2本の後側の脚フレーム123が略同一平面上に配置されるとともに、これら脚フレーム122、123が前記中心フレーム121の下面から略水平に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に前記蹴り込み空間1s4が形成されている。
【0038】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0039】
<第四実施形態(図19)>
第四実施形態に係る点滴スタンドSは、図19に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の3本の脚フレーム123、124とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた5本の脚フレーム122、123、124を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、前記後側の脚フレーム123の間に後方に延出する第五の脚フレーム124が配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0040】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。なお、前記第五の脚フレーム124は、前記中心フレーム121と後側の脚フレーム123とで囲まれた空間に配されるものであれば、どのようなものであってもよく、模式的に示したような長尺なものには限られず、例えば、この空間を覆うようなものであってもよい。また、長尺なものである場合にも、第五の脚フレーム124の数は、1本に限られず、複数本であってもよい。
【0041】
<第五実施形態(図20)>
第五実施形態に係る点滴スタンドSは、図20に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122が平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123が平面視において先端側が幅狭となる逆ハの字状に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0042】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0043】
<第六実施形態(図21)>
第六実施形態に係る点滴スタンドSは、図21に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための左右方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123と、これら後側の脚フレーム123の先端部間に配される第五の脚フレーム125とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122が平面視において先端側が拡開するハの字状に配されているとともに、後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123が平面視において先端側が幅狭となる逆ハの字状に配されている。第五の脚フレーム125は、前記中心フレーム121と平行に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下及び中心フレーム121の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0044】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0045】
<第七実施形態(図22)>
第七実施形態に係る点滴スタンドSは、図22に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための前後方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の前端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の後端から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0046】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。また、本実施形態のように前後方向に延びる中心フレーム121を備えたものであれば、前記左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3を大きく設定することができる。
【0047】
<第八実施形態(図23)>
第八実施形態に係る点滴スタンドSは、図23に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための矩形状をなす中心フレーム121と、この中心フレーム121の左右両端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の中間部から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方及び後方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方及び後方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122、123の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0048】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。なお、前記中心フレーム121の形状は、模式的に図示したものに限られず、種々変更可能である。
【0049】
<第九実施形態(図24)>
第九実施形態に係る点滴スタンドSは、図24に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記支柱2から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。本実施形態の脚ベース1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタ11間の距離w1と、前側の左のキャスタ11に隣接する後側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11に隣接する後側の右のキャスタ11との距離w2とを略等しく設定したものである。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0050】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0051】
<第十実施形態(図25)>
第十実施形態に係る点滴スタンドSは、図25に模式的に示すように、脚ベース1が、支柱2を支持するための前後方向に延びる中心フレーム121と、この中心フレーム121の前端から前方に延出する前側の2本の脚フレーム122と、前記中心フレーム121の後端から後方に延出する後側の2本の脚フレーム123とを備えたものである。この脚ベース1は、前側の左右のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122間に前方に開放された前の起立空間1s1が形成され、前側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の左のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に左側方に開放された左の起立空間1s2が形成され、前側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム122と後側の右のキャスタ11を支持する脚フレーム123との間に右側方に開放された右の起立空間1s3が形成されるように構成されたものである。詳述すれば、この脚ベース1は、先端部にキャスタ11を設けた4本の脚フレーム122、123を有し、前記脚ベース1が、前側のキャスタ11を支持する2本の脚フレーム122及び後側のキャスタ11を支持する左右両端の2本の脚フレーム123がそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されている。本実施形態の脚ベース1は、前側の左右に隣接する2つのキャスタ11間の距離w1と、前側の左のキャスタ11に隣接する後側の左のキャスタ11と前側の右のキャスタ11に隣接する後側の右のキャスタ11との距離w2とを略等しく設定したものである。この脚ベース1は、隣接するキャスタ11間に使用者Uが歩行可能な前記前の起立空間1s1、左の起立空間1s2及び右の起立空間1s3がそれぞれ形成され、キャスタ11を支持する脚フレーム122の下に、前記起立空間1s1、1s2、1s3に連通する蹴り込み空間1s4が形成されるように構成されている。この蹴り込み空間1s4は、第一実施形態ないし第三実施形態に準じたものとすればよい。
【0052】
このようなものであれば、上述した第一実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。なお、前記中心フレーム121の形状は、模式的に図示したものに限られず、種々変更可能である。
【0053】
複数の点滴スタンドをネスティング可能にするために、第一実施形態では、脚ベースが、中心フレーム及び前側の2本の脚フレームが略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレームが前記中心フレームの下面から略水平に延びるように配置されるように構成していたが、これに限られず、例えば、各脚フレームが支柱側から先端部に向かって傾斜しているものであってもよい。
【0054】
また、本発明では、支柱は、上述したものに限られず、伸縮しないもの等も含まれる。さらに、輸液パック保持部についても、フック状のものに限られず種々変更可能である。
【0055】
なお、以上の実施形態において、前後左右の概念は説明の便宜上用いたものであり、使用者の使用方向を規定するものではない。
【0056】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0057】
S、XS…点滴スタンド
1、X1…脚ベース
11、X11…キャスタ
12、X12…支持部材
121、X121…中心フレーム
122、X122…前側の脚フレーム
123、X123…後側の脚フレーム
1s1、X1s1…前の起立空間
1s2、X1s2…左の起立空間
1s3、X1s3…右の起立空間
1s4、X1s4…蹴り込み空間
w1…前側の2つのキャスタ間の距離
w2…後側の2つのキャスタ間の距離
2、X2…支柱
3、X3…輸液フック
4、X4…ハンドル
P…輸液パック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な脚ベースに支柱を支持させ、その支柱に輸液パックを掛けるための輸液パック保持部を設けてなる点滴スタンドであって、
前記脚ベースが、隣接するキャスタ間に使用者が歩行可能な起立空間が形成され、キャスタを支持する支持部材の下に、前記起立空間に連通する蹴り込み空間が形成されるように構成されていることを特徴とする点滴スタンド。
【請求項2】
前記支持部材が、前記支柱を支持するための中心フレームと、この中心フレームから前方に延出する前側の2本の脚フレームと、前記中心フレームから後方に延出する後側の2本の脚フレームとを備えたものであり、
前記脚ベースが、前側の2本の脚フレーム間に前の起立空間が形成され、前側の左の脚フレームと後側の左の脚フレームとの間に少なくとも左側方に開放された左の起立空間が形成され、前側の右の脚フレームと後側の右の脚フレームとの間に少なくとも右側方に開放された右の起立空間が形成されるように構成されたものである請求項1記載の点滴スタンド。
【請求項3】
前記支持部材が、前記中心フレーム及び前記前側の2本の脚フレームが略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレームが前記中心フレームから後方斜め下方に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレームの下に前記蹴り込み空間が形成されている請求項2記載の点滴スタンド。
【請求項4】
前記脚ベースが、先端部にキャスタを有した4本の脚フレームを有し、前側のキャスタを支持する2本の脚フレーム及び後側のキャスタを支持する2本の脚フレームがそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレームの下に同一構造をなす他の点滴スタンドの後側の脚フレームを通過させることが可能な空間が形成されるように構成されている請求項1、2又は3記載の点滴スタンド。
【請求項5】
前記支柱に、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドルが上下方向に取付位置を変更可能に設けられている請求項4記載の点滴スタンド。
【請求項6】
前記脚ベースが、前側の左右に隣接する2つのキャスタ間の距離と、前側の左のキャスタに隣接する後側の左のキャスタと前側の右のキャスタに隣接する後側の右のキャスタとの距離とを略等しく設定したものである請求項1、2又は3記載の点滴スタンド。
【請求項1】
移動可能な脚ベースに支柱を支持させ、その支柱に輸液パックを掛けるための輸液パック保持部を設けてなる点滴スタンドであって、
前記脚ベースが、隣接するキャスタ間に使用者が歩行可能な起立空間が形成され、キャスタを支持する支持部材の下に、前記起立空間に連通する蹴り込み空間が形成されるように構成されていることを特徴とする点滴スタンド。
【請求項2】
前記支持部材が、前記支柱を支持するための中心フレームと、この中心フレームから前方に延出する前側の2本の脚フレームと、前記中心フレームから後方に延出する後側の2本の脚フレームとを備えたものであり、
前記脚ベースが、前側の2本の脚フレーム間に前の起立空間が形成され、前側の左の脚フレームと後側の左の脚フレームとの間に少なくとも左側方に開放された左の起立空間が形成され、前側の右の脚フレームと後側の右の脚フレームとの間に少なくとも右側方に開放された右の起立空間が形成されるように構成されたものである請求項1記載の点滴スタンド。
【請求項3】
前記支持部材が、前記中心フレーム及び前記前側の2本の脚フレームが略同一平面上に配置されるとともに、前記後側の2本の脚フレームが前記中心フレームから後方斜め下方に延びるように配置されたものであり、前記前側の2本の脚フレームの下に前記蹴り込み空間が形成されている請求項2記載の点滴スタンド。
【請求項4】
前記脚ベースが、先端部にキャスタを有した4本の脚フレームを有し、前側のキャスタを支持する2本の脚フレーム及び後側のキャスタを支持する2本の脚フレームがそれぞれ平面視において先端側が拡開するハの字状に配されており、前側の脚フレームの下に同一構造をなす他の点滴スタンドの後側の脚フレームを通過させることが可能な空間が形成されるように構成されている請求項1、2又は3記載の点滴スタンド。
【請求項5】
前記支柱に、左右両側及び前側からそれぞれ把持可能なハンドルが上下方向に取付位置を変更可能に設けられている請求項4記載の点滴スタンド。
【請求項6】
前記脚ベースが、前側の左右に隣接する2つのキャスタ間の距離と、前側の左のキャスタに隣接する後側の左のキャスタと前側の右のキャスタに隣接する後側の右のキャスタとの距離とを略等しく設定したものである請求項1、2又は3記載の点滴スタンド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−17657(P2013−17657A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153378(P2011−153378)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]