説明

点火構造、クラッカー

【課題】運搬時等の火薬の不用意な暴発を防止し、安全性を向上させることができる点火構造、及び該点火構造を用いたクラッカーを提供する。
【解決手段】点火構造4は、火薬6と、該火薬6に点火すべく発火可能な点火具7と、点火具7を発火させる発火手段8とを備え、火薬6と点火具7とは離間して配置されており、発火手段8によって発火された点火具7の火炎を火薬6に導くための導部9を備える。導部9は、形状が断面略多角形状の中空角柱体や、断面略円形状の円柱体などの中空部を有する筒状体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火具を用いて火薬を爆発させる点火構造、及び該点火構造を用いたクラッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火薬を必要時に意図的に爆発させるために、火薬と、火薬を爆発させる点火具(例えば点火玉)と、点火具を発火させる発火手段(例えばリモコン等の操作盤)とを用いて、発火手段によって点火具を発火させて、点火具の発火によって火薬を必要時に意図的に爆発させる点火構造、及び該点火構造を用いたクラッカーが知られている。このような点火構造(あるいは、該点火構造を備えたクラッカー)としては、例えば、点火玉に火薬が直接取付けられており、前記点火玉に電流を流すことが可能な操作盤を操作することによって点火玉を発火させ、該点火玉の発火によって火薬を爆発させることができるように構成されたものが知られている。
【0003】
ここで、点火玉は、通常、通電可能な脚線と、前記脚線の一端に設けられ、電流を流すことで発熱する電橋と、前記電橋の発熱によって発火される点火薬とを備え、脚線を介して外部から電流が流されることによって、電橋に発熱が生じて点火薬が発火するように構成されている(例えば特許文献1)。そして、前記点火薬は、電流を点火玉に流した際に、確実に点火玉が発火するように、微弱の電流によって生じる電橋の発熱(微弱な発熱)であっても発火できるような感度となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−333031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の点火構造には、安全性の面で次のような問題があった。即ち、上記従来の点火構造は、点火玉に火薬が直接取り付けられているため、例えば運搬時等には、点火玉の点火薬と火薬との間の摩擦で点火薬が発火して火薬が不用意に爆発(暴発)する危険性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、運搬時等の火薬の不用意な暴発を防止して安全性を向上させることができる点火構造、及び該点火構造を用いたクラッカーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る点火構造は、上記課題を解決するためになされたもので、火薬と、該火薬に点火すべく発火可能な点火具と、前記点火具を発火させる発火手段とを備え、前記火薬と前記点火具とは離間して配置されており、前記発火手段によって発火された前記点火具の火炎を前記火薬に導くための導部を備えることを特徴とする。
【0008】
かかる点火構造にあっては、発火手段によって発火された前記点火具の火炎を前記火薬に導くための導部を備えているため、発火手段によって発火された点火具の火炎は、導部を介して確実に火薬に導かれ、該火薬に点火することができる。また、火薬と点火具とは離間して配置されるため、例えば運搬時等に、点火具と火薬とが擦れることがなく、従って火花が発生して火薬が不用意に爆発(暴発)することを防止して安全性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明に係る点火構造は、導部が、中空部を有する筒状体であり、該導部の中空部によって、前記発火手段によって発火された前記点火具の火炎が前記火薬に導かれるように構成されていることが好ましい。
【0010】
かかる点火構造にあっては、導部が中空部を有する筒状体であり、該中空部を介して、発火手段によって発火された点火具の火炎が火薬に向けて導かれる結果、確実に火薬に点火することができる。
【0011】
また、本発明に係る点火構造は、導部の材質が可燃性であることが好ましい。
【0012】
かかる点火構造にあっては、導部が可燃性の素材であるため、発火手段によって発火された点火具の火炎が導部を燃え伝わって確実に火薬に導かれる。よって、確実に火薬に点火することができる。
【0013】
また、本発明に係る点火構造は、導部が、中空部を有する可燃性の筒状体であり、前記火薬は、前記導部の中空部内に、該導部に対して一体的に取り付けられていることが好ましい。
【0014】
かかる点火構造にあっては、火薬が導部の中空部内に一体的に取付けられているので、中空部を介して、発火手段によって発火された点火具の火炎を確実に導いて火薬に点火することができる。
【0015】
また、本発明に係るクラッカーは、上記点火構造を備えることを特徴とする。
【0016】
かかるクラッカーにあっては、上記点火構造を採用しているため、発火手段によって発火された点火具の火炎は、導部を介して確実に火薬に導かれて該火薬が点火され、例えばクラッカー内に収納された被噴出物を噴出させることができる。また、かかるクラッカーでは、火薬と点火具とは離間して配置されるため、例えば運搬時等に、点火具と火薬とが擦れることがなく、従って火薬が不用意に爆発(暴発)することを防止して、安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係る点火構造、及び該点火構造を用いたクラッカーによれば、火薬の不用意な暴発を防止して安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る点火構造を用いたクラッカーの一実施形態を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は概略外形図を示す。
【図2】同点火構造を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は概略外形図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る点火構造、及び該点火構造を用いたクラッカーの一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
【0020】
本実施形態に係る点火構造を用いたクラッカーについて説明する。図1に、本実施形態に係るクラッカーが示されている。尚、図1(a)は、クラッカーの概略断面図であり、図1(b)はクラッカーの概略外形図である。また、図2(a)は、点火構造の概略断面図であり、図2(b)は点火構造の概略外形図である。
【0021】
本実施形態に係るクラッカーは、図1に示すように、円筒状、即ち、外径略一定の筒体1の内部に、先端側から順に、被噴出物2、受圧体3、点火構造4、台座5が収容されて構成されている。
【0022】
筒体1は、プラスチックや厚紙等で形成されるが、特に厚紙が製造容易のため好ましい。また、本実施形態では、筒体1の外周面に外装紙11が貼り付けられ、該外装紙11を内側に向けて折り込むことで筒体1の先端開口を開閉可能とする蓋12が構成されている。但し、蓋12は、外装紙11で構成する場合だけなく、筒体1の先端部をフラップ状に延設し、該フラップを折り込んで形成する場合であってもよい。
【0023】
被噴出物2は、小巻テープや紙吹雪等の噴出物からなり、筒体1の先端側に配置される。本実施形態では、被噴出物2は、小巻テープであって、筒体1内の受圧体3より先端側に充填されている。小巻テープの充填度合いはテープの材質、径等によって異なる。小巻テープとしては一般にメタルテープや紙テープ等がある。
【0024】
受圧体3は、筒体1の内部を、被噴出物2が収容(充填)される領域と、点火構造4が収容される領域とに仕切るものであって、点火構造4よりも先端側に所定距離離間して配置されている。本実施形態では、受圧体3は、円柱状の板体であって、筒体1の内径と略等しく形成されている。具体的には、受圧体3の外径は、筒体1と嵌合する寸法であり、筒体1の内径よりも僅かに小径、あるいは、僅かに大径とするが、好ましくは僅かに大径とする。該円板体の材質はプラスチックや厚紙等、種々のものを使用できる。
【0025】
点火構造4は、図2に示すように、火薬6と、該火薬6に点火すべく発火可能な点火具7と、前記点火具7を発火させる発火手段8とを備え、前記火薬6と前記点火具7とが離間して配置されており、前記発火手段8によって発火された前記点火具7の火炎を前記火薬6に導くための導部9と、前記点火具7を導部9に対して位置決めする支持体10とを備えてなる。
【0026】
火薬6は、例えば巻紙火薬等からなり、導部9の軸線a上に配置される。本実施形態では、火薬6は、巻紙火薬であり、導部9(筒状体)の中空部93における軸線方向の中央領域に配置されている。
【0027】
点火具7は、火薬6に点火すべく発火可能に構成されており、本実施形態では、点火具7は、図2に示すように、電流を流すことで発火を生じるように構成される点火玉であり、通電可能な脚線(電線)71と、前記脚線71の一端に設けられ、電流を流すことで発熱する電橋72と、前記電橋72の発熱によって発火する点火薬73とを備える。
【0028】
かかる点火具7は、導部9の軸線a上、導部9の基端部側に配置される。具体的には、点火具7は、筒状体である導部9の中空部93に臨むように支持体10の内部に取り付けられ、換言すると、点火具7は、その先端部(電橋72と点火薬73と脚線71の一部)が筒状体である支持体10に囲繞されて、導部9の基端部側である一端部側に位置決めされている。尚、点火具7の軸線bと導部9の軸線aとは一致している。
【0029】
また、かかる点火具7は、火薬6と離間して配置されている。火薬6と点火具7との離間距離は、例えば導部9の内径よりも大きい距離である。本実施形態では、火薬6と点火具7との離間距離は、約7ミリメートルである。
【0030】
発火手段8は、点火具7を発火させるためのものであり、本実施形態では、発火手段8は、点火具7に電流を流す操作が可能な装置であって、例えばプログラマブルロジックコントローラ(以下、PLC)を用いた操作盤である。かかる発火手段8は、筒体1の外部まで延びている脚線71の他端に配置され、例えば操作盤に設けられているボタンを操作することによって、点火具7の脚線71を介して電流を電橋72に送電できる。
【0031】
導部9は、発火手段8によって発火された点火具7の火炎を火薬6に導くためのものであり、形状が断面略多角形状の中空角柱体や、断面略円形状の円柱体などの中空部を有する筒状体である。本実施形態では、導部9は、材質が可燃性(例えば紙又は繊維等)であり、火薬6と該火薬6から離間して配置される点火具7との間に設けられる主部91と、前記主部91から延設されてなる延部92とを備え、前記主部91と延部92とによって一本の筒状に形成されてなる。具体的には、前記主部91は、紙製の筒状であって、火薬6と点火具7との間全域に亘って形成されている。前記延部92は、主部91に対して火薬6を位置決めすべく、主部91から軸線a方向に沿って連続的に延設されている。本実施形態では、前記主部91と延部92とからなる導部9は、巻紙火薬のように、裏面に火薬6が設けられた可燃性の紙を、前記裏面が内面となるように円筒状に巻いて構成される。より詳細には、導部9は、その中心軸線aが直線状で、内径が一定の中空部93が形成されるように、火薬が盛り付けられた矩形の紙を長手方向に沿って筒状に巻いて構成されている。尚、本実施形態では、前記火薬6は、前記紙の裏面側であって、前記長手方向(巻き方向)に直行する幅方向略中央の領域に、長手方向に沿って線状に盛り付けられる。
【0032】
かかる導部9に対して、前記火薬6は、中空部(内部)93において一体的に取り付けられ、前記点火具7は、導部9の一端面に対向するように配置されている。尚、導部9の他端面は開放されている。即ち、導部9の基端部側である一端部側に点火具7が配置され、それより先端部側の導部9の中空部93内に火薬6が配置され、更に、導部9の先端部である他端部は開口とされている。より詳細に説明すると、点火具7は、主部91の一端部側から該主部91の中空部93に臨むように支持体10の内部に取り付けられており、火薬6は、主部91の他端部側から該主部91の中空部93に臨むように延部92に取り付けられている。換言すると、点火具7は、支持体10によって主部91の一端部側に位置決めされ、火薬6は、延部92によって主部91の他端部側に位置決めされている。
【0033】
また、かかる導部9は、その基端部(一端部)が筒状の支持体10の先端部に嵌め込まれている。具体的には、導部9の外径は、筒状体である支持体10と嵌合する寸法であり、支持体10の内径よりも僅かに小径、あるいは、僅かに大径とするが、好ましくは僅かに大径とし、導部9の一端部が支持体10の先端部に嵌合している。
【0034】
支持体10は、点火具7を火薬6あるいは導部9に対して位置決めできるように構成されており、本実施形態では、支持体10は、内径が一定の中空部を有する筒状に形成され、この中空部に点火具7が収納され、該点火具7を火薬6あるいは導部9に対して位置決めするように構成されている。また、支持体10は、内径が導部9の外径と嵌合する寸法であり、導部9と嵌合することができる。具体的には、支持体10の中空部の軸線c方向途中部分に点火具7が配置され、また中空部の一端部側に導部9の一端部側が嵌合され、これにより、点火具7が導部9の一端面に対向して導部9あるいは火薬6に対して位置決めされている。また、支持体10に導部9が嵌合される箇所では、支持体10の一端部側と導部9の一端部側とがテープを螺旋状に巻いて固定されている。尚、支持体10と導部9と点火具7の各々の軸線a,b,cは一致している。
【0035】
台座5は、支持体10を支持するように構成されており、筒体1の一端部側(基端部側)に配置される。具体的には、台座5は、支持体10を載置する窪み(凹部)が先端に設けられるとともに、先端から基端にかけて、点火具7の脚線71が貫通する貫通孔が設けられてなり、台座5の外径は、筒体1の内径と嵌合する寸法である。かかる台座5は、支持体10の他端部が窪み(凹部)に載置された状態で、筒体1の基端部側に嵌合されて配置されている。
【0036】
本実施形態に係る点火構造4を用いたクラッカーは、以上の構成からなり、次に、当該クラッカーの動作について説明する。
【0037】
発火手段8が操作(例えば所定のボタンが押下)されると、発火手段8に接続された点火具7の脚線71を介して、電流が電橋72に送られる。電流が加えられた電橋72では、発熱が生じて、該発熱に反応して点火薬73が発火される。そして、発火された点火薬73の火炎は、導部9の中空部93を介して、あるいは、可燃性の導部9自体を燃やしながら、導部9の軸線a方向中央に取り付けられた火薬6に伝播されることによって、火薬6を爆発させる。該火薬6の爆発によって、受圧体3が筒体1の先端側に吹き飛ばされるとともに、受圧体3より筒体1の先端側に収納されていた小巻テープが筒体1の蓋を開放して噴出される。
【0038】
以上、本実施形態に係る点火構造4、及び該点火構造4を用いたクラッカーによれば、発火手段8によって発火された点火具7の火炎を火薬6に導くための導部9を備えているため、発火手段8によって発火された点火具7の火炎は、導部9を介して、即ち導部9内部に形成された中空部93又は可燃性の導部9自体によって、確実に火薬6に導かれ、該火薬6に点火することができる。また、火薬6と点火具7とは離間して配置されるため、例えば運搬時等に、点火具7と火薬6との間に摩擦が生じることがなく、従って火薬6が不用意に爆発(暴発)することがないので、安全性を向上させることができる。
【0039】
また、火薬6は、巻紙火薬であるため、黒色火薬と異なり、薬量を約100分の1グラム単位で調整することができ、その結果、火薬6による爆発圧力を調整できるため、被噴出物の内容(例えば小巻テープの数量や長さや幅、紙吹雪やメタル吹雪その他被噴出物)や用途が多様なクラッカーを製作することができる。
【0040】
また、導部9には、主部91から延設されてなる延部92が設けられているため、延部92の中空部を介して、火薬6の爆発による爆風を効果的に受圧体3にもたらすことができる。あるいは、延部92が火薬6の爆発に伴い、主部91から切断されて、延部92自体が受圧体3に衝突して、効果的に受圧体3に爆発圧力をもたらすことできる。
【0041】
また、支持体10に導部9が嵌合される箇所は、テープを螺旋状に巻いて固定されているため、例えば接着剤で固定する場合と比べて、導部9と支持体10との固定を強固にできる。
【0042】
尚、本発明に係る点火構造4、及び該点火構造4を用いたクラッカーは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、本実施形態に係る点火構造4は、クラッカーに限定されず、花火、ガス、エンジン、バーナ等にも適用可能である。
【0044】
また、本実施形態では、火薬6が導部9の軸方向の中央に配置される場合について説明したが、これに限らず、導部9の主部91あるいは延部92の軸方向の長さを調整することで、導部9の内部において、軸方向の基端部側である一端部側や、先端部側である他端部側に配置することも可能である。
【0045】
また、本実施形態では、点火具7が点火玉である場合について説明したが、これに限らず、点火具7は、例えば電気式点火具であって、電気導火線、あるいは、無線点火機等であってもよい。点火具7が無線点火機である場合、発火手段8の操作によって、無線点火をすることができ、点火具7と発火手段8とを接続する脚線71を要しないことによる利便性を向上できる。
【0046】
また、本実施形態では、導部9の形状が筒状体である場合について説明したが、これに限らず、導部9の形状は、長尺の樋状(軸線に沿って溝部が形成された形状)であってもよい。この場合、導部9の溝部を介して、発火手段8によって発火された点火具7の火炎が伝播するため、点火具7から離間して配置された火薬6にまで点火具7の火炎を確実に導くことができる。
【0047】
また、導部9の中心軸線aは、本実施形態のような直線状に限らず、曲線状、又は、折れ線状であってもよい。さらに、導部9の中空部93の径(筒状体の内径)は、本実施形態のような一定に限らず、先細り(点火具7から火薬6に向かって、径が小さくなる)、先太り(点火具7から火薬6に向かって、径が大きくなる)であってもよい。
【0048】
また、本実施形態では、導部9が可燃性である例えば紙又は繊維等である場合について説明したが、これに限らず、導部9は、不燃性である、例えばプラスチック等であってもよい。
【0049】
また、本実施形態では、支持体10に導部9が嵌合される箇所がテープを螺旋状に巻いて固定される場合について説明したが、これに限らず、接着剤で固定してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、支持体10が点火具7を位置決めし、延部92が火薬6を位置決めする場合について説明したが、これに限らず、支持体10が火薬6を位置決めし、延部92が点火具7を位置決めする場合であってもよい。この場合、点火具7は、延部92の内部に配置される。具体的には、主部91は、筒状であって、火薬6と点火具7との間全域に亘って形成され、延部92は、主部91に対して点火具7を位置決めすべく、主部91から軸線方向に沿って連続的に延設される。
【0051】
また、支持体10を用いず、一対の延部によって、点火具7と火薬6とを位置決めする場合であってもよい。この場合、点火具7と火薬6とは、第一延部及び第二延部の内部にそれぞれ配置される。具体的には、主部91は、筒状であって、火薬6と点火具7との間全域に亘って形成され、第一延部は、主部91の一端部から軸線方向に沿って連続的に延設され、第二延部は、主部91の他端部から軸線方向に沿って連続的に延設される。点火具7は、主部91の一端部側から該主部91の中空部93に臨むように第一延部に取り付けられ、火薬6は、主部91の他端部側から該主部91の中空部93に臨むように第二延部に取り付けられる。
【0052】
また、延部92を設けずに、一対の支持体によって、点火具7と火薬6とを位置決めする場合であってもよい。この場合、導部9は、延部92を備えず、主部91のみから構成され、点火具7と火薬6とは、支持体(第一、第二支持体)の内部に配置される。具体的には、導部9(主部91)は、筒状体であって、火薬6と点火具7との間全域に亘って形成され、点火具7は、前記導部9の一端部側から中空部93に臨むように、第一支持体に嵌め込まれて、前記導部9の一端面に一体的に取り付けられ、又は、前記導部9の一端面に対向するように配置され、火薬6は、前記導部9の他端部側から中空部93に臨むように、第二支持体に嵌め込まれて、前記導部9の他端面に一体的に取り付けられ、又は、前記導部9の他端面に対向するように配置される。
【0053】
また、導部9は、内部に中空部93が形成される筒状体でなくとも、可燃性の導火材であって、該導火材によって、発火手段8によって発火された点火具7の火炎を火薬6に導く構成にすることも可能である。この場合、例えば、導部9は、材質が可燃性であって、火薬6と点火具7との間に設けられていれば良く、導部9の形状に関しては、長尺の棒状(断面略多角形状の棒体や、断面略円形状の棒体)、紐状、円錐状、扁平な多角形状等が可能であり、特に何ら限定はない。このような導部9では、導部9を介して点火具7の火炎を火薬6に確実に導くことができる。
【符号の説明】
【0054】
1…筒体、2…被噴出物、3…受圧体、4…点火構造、5…台座、6…火薬、7…点火具、71…脚線、72…電橋、73…点火薬、8…発火手段、9…導部、91…主部、92…延部、93…中空部、10…支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火薬と、該火薬に点火すべく発火可能な点火具と、前記点火具を発火させる発火手段とを備え、前記火薬と前記点火具とは離間して配置されており、前記発火手段によって発火された前記点火具の火炎を前記火薬に導くための導部を備えることを特徴とする点火構造。
【請求項2】
前記導部は、中空部を有する筒状体であり、該導部の中空部によって、前記発火手段によって発火された前記点火具の火炎が前記火薬に導かれるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の点火構造。
【請求項3】
前記導部は、材質が可燃性であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の点火構造。
【請求項4】
前記導部は、中空部を有する可燃性の筒状体であり、前記火薬は、前記導部の中空部内に、該導部に対して一体的に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の点火構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の点火構造を備えることを特徴とするクラッカー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−102921(P2012−102921A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250573(P2010−250573)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000136365)株式会社フジカ (13)
【Fターム(参考)】