説明

無人搬送車

【課題】1つの駆動ユニットを備えた無人搬送車でも、良好な後進走行性能を得る。
【解決手段】台車本体10の底部には、1台の駆動ユニット20が備えられており、台車の底部前側及び底部後側には、特殊自在キャスタ輪100が備えられている。特殊自在キャスタ輪100は、オムニホイール110と車輪本体の回転を拘束する電磁ブレーキ130を有している。後進走行時には、後側の特殊自在キャスタ輪100では、樽型ローラ113の回転により走行しホイール本体112の回転により操舵し、前側の特殊自在キャスタ輪100では、樽型ローラ113の回転により走行しホイール本体112の回転は電磁ブレーキ130により高速して操舵しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人搬送車に関するものである。
更に説明すると、本発明は、台車本体の底部に1つの駆動ユニットを備えた無人搬送車であっても、後進走行性能や前後左右方向(四方向)走行性能を、前進走行時と同等な良好な走行性能とすることができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
無人搬送車の一種として簡易型無人搬送車がある。この簡易型無人搬送車は、台車に、駆動ユニット及び制御ユニット等を備えて構成したものである。
【0003】
<1駆動ユニット型の従来技術>
ここで、前進走行時における側面図である図15、後進走行時における側面図である図16、背面図である図17を参照して、従来の簡易型無人搬送車を説明する。
図15〜図17に示すように、この簡易型無人搬送車1の台車10では、パイプフレームを組み付けて台車本体11と手押しハンドル12が構成されている。台車本体11の底部には、その前側に一対の自在キャスタ輪13が取り付けられており、その後側に一対の固定キャスタ輪14が取り付けられている。
台車本体11の前端縁には前側のバンパー15が配置され、台車本体11の後端縁には後側のバンパー16が配置されている。
【0004】
更に、台車本体11の底部には駆動ユニット20が配置されている。
手押しハンドル12には、制御ユニット30、バッテリ31、操作スイッチパネル32等が取り付けられている。
駆動ユニット20の前側には、前進用の走行センサ17が取り付けられ、台車本体11には、固定キャスタ輪14よりも後ろ側に後進用の走行センサ18が取り付けられている。
【0005】
次に、駆動ユニット20の構造を、側面図である図18、及び、背面図である図19を参照して説明する。
図18及び図19に示すように、駆動ユニット20の上フレーム21は、台車10の台車本体11の底部に固定されている。下フレーム22はパンタグラフ式連結機構23を介して、上下移動可能な状態で上フレーム21に連結されている。
上フレーム21と下フレーム22との間には、圧縮コイルばね24が介装されており、下フレーム22は圧縮コイルばね24によって下方に向かって付勢されている。
【0006】
駆動部25は、水平面内で回転自在(鉛直軸周りでステアリング回転自在)に、下フレーム22の下部に連結されている。駆動部25は一対の駆動輪26を有している。駆動部25には、2つの駆動モータ機構(図示省略)が内蔵されており、各駆動モータ機構から発生した駆動力が、スプロケット27,チェーン28及びスプロケット29を介して、一対の駆動輪26に個別に伝達されるようになっている。
このため右側の駆動輪26と左側の駆動輪26は、それぞれ別々の駆動モータ機構により回転駆動する。このように一対の駆動輪26が回転駆動することにより、簡易型無人搬送車1が走行する。また、右と左の駆動輪26の回転速度を変えることにより、操舵することができる。
【0007】
結局、台車本体11の底部に配置される駆動ユニット20は、独立に回転駆動する一対の駆動輪26を有すると共に下方に付勢されつつ鉛直軸周りでステアリング回転自在となっている駆動部25を備えている。
【0008】
ところで図15〜図17に示すような、駆動ユニット20を1つ備えたタイプの無人搬送車1では、前後左右方向(四方向)走行、つまり、前後方向に走行することなく左右方向(車幅方向)に向かって走行することができなかった。
また、後進走行性能は前進走行性能に比べて悪かった。つまり、後進走行時には走行センサ18により走行経路を検出し、走行経路と走行センサ18との位置ズレに応じて操舵をしているが、ある程度の距離だけ後進走行した後でないと、操舵量が適当であったかどうかが分らないため、応答が悪く蛇行が大きくなるという問題があった。
【0009】
<2駆動ユニット型の従来技術>
そこで、前後左右方向(四方向)走行が可能で、且つ、後進走行性能を向上させるため、2個の駆動ユニットを備えた簡易型無人搬送車が使用されている。
【0010】
図20は、2駆動ユニット型の簡易型無人搬送車1aであり、台車10の台車本体11の底部には、その前側に一対の自在キャスタ輪13aが取り付けられており、その後側に一対の自在キャスタ輪13bが取り付けられている。つまり、4輪とも自在キャスタ輪としている。
【0011】
また、台車本体11の底部に、駆動ユニット20aと駆動ユニット20bを前後方向にずらして配置している。駆動ユニット20a,20bは、図15〜図19に示す駆動ユニット20と同様な構成となっている。
駆動ユニット20aの前側には前進用の走行センサ17aが、後側には後進用の走行センサ17bが取り付けられ、駆動ユニット20bの前側には前進用の走行センサ18aが、後側には後進用の走行センサ18bが取り付けられている。
他の部分の構成は、図15〜図19に示す簡易型無人搬送車1と同様であり、同一機能を果たす部分には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
前進走行時には前進用の走行センサ17a,18aにより走行経路を検出して駆動ユニット20a,20bの駆動輪26が正転回転して操舵性良く前進走行することができる。
後進走行時には後進用の走行センサ17b,18bにより走行経路を検出して駆動ユニット20a,20bの駆動輪26が逆転回転して操舵性良く後進走行することができる。
【0013】
右進走行時には、駆動ユニット20a,20bの駆動部25の向きを、前進・後進走行時の駆動ユニット20a,20bの駆動部25の向きに対して、水平面内で右90度旋回させた後に、駆動ユニット20a,20bの駆動輪26が回転して操舵性良く右進走行することができる。
左進走行時には、駆動ユニット20a,20bの駆動部25の向きを、前進・後進走行時の駆動ユニット20a,20bの駆動部25の向きに対して、水平面内で左90度旋回させた後に、駆動ユニット20a,20bの駆動輪26が回転して操舵性良く左進走行することができる。
【0014】
かくして、図20に示す簡易型無人搬送車1aでは、後進走行性能や前後左右方向(四方向)走行性能を、前進走行時と同等な良好な走行性能とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−327236
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図20に示すように、4つの自在キャスタ輪13a,13bと、2台の駆動ユニット20a,20bを備えれば、良好な後進走行性能や前後左右方向(四方向)走行性能を得ることができる。
しかし、2台の駆動ユニット20a,20bが必要になるため、機台(台車)寸法が大きくなると共に、価格が高くなるという問題があった。
【0017】
本発明は、上記従来技術に鑑み、台車本体に備える駆動ユニットが1台であっても、後進走行性能や前後左右方向(四方向)走行性能を、前進走行時と同等な良好な走行性能とすることができる無人搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決する本発明の構成は、
台車本体の底部に1台の駆動ユニットが配置され、前記台車本体の底部の前側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられると共に前記台車本体の底部の後側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられており、
前記特殊自在キャスタ輪は、
シャフトに固定されたホイール本体と、前記ホイール本体の周面の周方向に沿う複数個所に配置した複数の樽型ローラを有するオムニホイールと、
前記シャフトを回転自在に支持する支持構造部と、
前記支持構造部に取り付けられており前記シャフトの回転を拘束することができるホイール本体回転固定機能部とでなり、
しかも、前記特殊自在キャスタ輪は、前記シャフトの軸心が前記台車本体の前後方向に伸びる状態で配置されていることを特徴とする。
【0019】
また本発明の構成は、
前記ホイール本体回転固定機能部を制御することにより、
前進走行時には、前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容すると共に後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を拘束し、
後進走行時には、後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容すると共に前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を拘束する制御部を有することを特徴とする。
【0020】
また本発明の構成は、
台車本体の底部に1台の駆動ユニットが配置され、前記台車本体の底部の前側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられると共に前記台車本体の底部の後側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられており、
前記特殊自在キャスタ輪は、
シャフトに取り付けられて前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動できるホイール本体と、前記ホイール本体の周面の周方向に沿う複数個所に配置した複数の樽型ローラを有するオムニホイールと、
前記シャフトを回転自在に支持する支持構造部と、
前記シャフトに固定された第1の回転固定クサビと、前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動でき且つ前記ホイール本体を間にして第1の回転固定クサビと反対側に配置された第2の回転固定クサビと、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビ側に押し込んでいくことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラに接触させて前記樽型ローラの回転を拘束させる押し込み部と、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビとは反対側に押し戻すことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラから離間させて前記樽型ローラの回転を許容させる押し戻し部とを有する樽型ローラ回転固定機能部とでなり、
しかも、前記特殊自在キャスタ輪は、前記シャフトの軸心が前記台車本体の車幅方向に伸びる状態で配置されていることを特徴とする。
【0021】
また本発明の構成は、
前記樽型ローラ回転固定機能部を制御することにより、
前進走行時には、前側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を許容すると共に後側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を拘束し、
後進走行時には、後側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を許容すると共に前側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を拘束する制御部を有することを特徴とする。
【0022】
また本発明の構成は、
台車本体の底部に1台の駆動ユニットが配置され、前記台車本体の底部の前側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられると共に前記台車本体の底部の後側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられており、
前記特殊自在キャスタ輪は、
シャフトに取りつけられて前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動できるホイール本体と、前記ホイール本体の周面の周方向に沿う複数個所に配置した複数の樽型ローラを有するオムニホイールと、
前記シャフトを回転自在に支持する支持構造部と、
前記支持構造部に取り付けられており前記シャフトの回転を拘束することができるホイール本体回転固定機能部と、
前記シャフトに固定された第1の回転固定クサビと、前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動でき且つ前記ホイール本体を間にして第1の回転固定クサビと反対側に配置された第2の回転固定クサビと、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビ側に押し込んでいくことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラに接触させて前記樽型ローラの回転を拘束させる押し込み部と、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビとは反対側に押し戻すことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラから離間させて前記樽型ローラの回転を許容させる押し戻し部とを有する樽型ローラ回転固定機能部とでなり、
しかも、前記特殊自在キャスタ輪は、前記シャフトの軸心が前記台車本体の車幅方向に伸びる状態で配置されていることを特徴とする。
【0023】
また本発明の構成は、
前記ホイール本体回転固定機能部及び前記樽型ローラ回転固定機能部を制御することにより、
前進走行時には、前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容しつつ樽型ローラの回転を拘束し、
後進走行時には、後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容しつつ樽型ローラの回転を拘束し、
右進走行時には、右側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に左側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を許容しつつシャフトの回転を拘束し、
右進走行時には、右側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に左側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラシャフトの回転を許容しつつシャフトの回転を拘束する制御部を有することを特徴とする。
【0024】
また本発明の構成は、
前記駆動ユニットは、独立に回転駆動する一対の駆動輪を有し且つ鉛直軸周りでステアリング旋回自在な駆動部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、台車本体の底部に1つの駆動ユニットを備えた無人搬送車であっても、後進走行性能や前後左右方向(四方向)走行性能を、前進走行時と同等な良好な走行性能とすることができる。
また、駆動ユニットが1台だけであるので、機器構成を簡略化できると共に製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の特殊自在キャスタ輪を示す構造図。
【図2】第1の特殊自在キャスタ輪を示す平面図。
【図3】実施例1の簡易型無人搬送車を示す側面図。
【図4】実施例1の簡易型無人搬送車を簡易的に示す平面図。
【図5】第2の特殊自在キャスタ輪を示す構造図。
【図6】第2の特殊自在キャスタ輪を示す構造図。
【図7】第2の特殊自在キャスタ輪を示す側面図。
【図8】第2の特殊自在キャスタ輪を示す平面図。
【図9】実施例2の簡易型無人搬送車を示す側面図。
【図10】実施例2の簡易型無人搬送車を簡易的に示す平面図。
【図11】第3の特殊自在キャスタ輪を示す構造図。
【図12】第3の特殊自在キャスタ輪を示す平面図。
【図13】実施例3の簡易型無人搬送車を示す側面図。
【図14】実施例3の簡易型無人搬送車を簡易的に示す平面図。
【図15】従来の簡易型無人搬送車を示す側面図。
【図16】従来の簡易型無人搬送車を示す側面図。
【図17】従来の簡易型無人搬送車を示す背面図。
【図18】駆動ユニットを示す側面図。
【図19】駆動ユニットを示す背面図。
【図20】従来の簡易型無人搬送車を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
実施例1は、後進走行性能を向上させた第1の例に係る簡易型無人搬送車である。
まず、実施例1の簡易型無人搬送車に用いる、特殊自在キャスタ輪について先に説明する。この特殊自在キャスタ輪は、オムニホイール(登録商標)にホイール本体回転固定機能部(電磁ブレーキ)を備えた構成となっている。
【0029】
図1は、実施例1の簡易型無人搬送車に用いる特殊自在キャスタ輪100を示す構造図であり、図1(a)は左側面図、図1(b)は正面側から見た断面図、図1(c)は右側面図である。また、図2は特殊自在キャスタ輪100を示す平面図である。
図1及び図2に示すように、特殊自在キャスタ輪100は、オムニホイール110と、支持構造部120と、ホイール本体回転固定機能部としての電磁ブレーキ130とで構成されている。
【0030】
オムニホイール110では、シャフト111にホイール本体112が固定されている。ホイール本体112の周面には、複数の樽型ローラ113が、ホイール本体112の周方向に沿う複数個所に配置されている。このとき、シャフト111及びホイール本体112の回転方向に対して、各樽型ローラ113の回転方向は直行している。
【0031】
支持構造部120の一対のブラケット121,122は、軸受部(ローラベアリング)123,124を介してシャフト111を回転自在に支持している。ブラケット121,122の上辺は、上フレーム125に固定されている。
【0032】
電磁ブレーキ130はブラケット122に固定されており、励磁されるとブレーキ動作をしてシャフト111の回転を拘束し、消磁されるとブレーキ動作を解除してシャフト111の回転を許容する。
【0033】
次に、上記の特殊自在キャスタ輪100を備えた実施例1の簡易型無人搬送車1−1を、側面図である図3と、特殊自在キャスタ輪100の取付状態を簡易的に示す平面図である図4を参照して説明する。
【0034】
図3及び図4に示すように、この簡易型無人搬送車1−1の台車10では、パイプフレームを組み付けて台車本体11と手押しハンドル12が構成されている。台車本体11の底部には、その前側に一対の特殊自在キャスタ輪100が取り付けられており、その後側に一対の特殊自在キャスタ輪100が取り付けられている。つまり、各特殊自在キャスタ輪100の上フレーム125が台車本体11の底部に固定されている。
しかも、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100及び後側の一対の特殊自在キャスタ輪100は、シャフト111の軸心Sが前後方向に伸びる状態で配置されている。
台車本体11の前端縁には前側のバンパー15が配置され、台車本体11の後端縁には後側のバンパー16が配置されている。
【0035】
更に、台車本体11の底部には駆動ユニット20が配置されている。この駆動ユニット20は、従来技術で説明したもの(図18、図19参照)と同構成であり、駆動ユニット20の駆動部25は独立に回転駆動する一対の駆動輪26を有し、駆動部25は下方に付勢されつつ鉛直軸周りでステアリング回転自在となっている。なお、駆動ユニット20の他の部分の構成・動作は、従来技術で説明したのと同じであり、詳細説明は省略する。
駆動ユニット20の前側には、前進用の走行センサ17が取り付けられ、駆動ユニット20の後側には、後進用の走行センサ18が取り付けられている。
【0036】
手押しハンドル12には、制御ユニット30、バッテリ31、操作スイッチパネル32等が取り付けられている。
制御ユニット30は、操作スイッチパネル32からの指令に応じて、駆動ユニット20の駆動輪26の回転制御をすると共に、各特殊自在キャスタ輪100の電磁ブレーキ130の励磁・消磁制御をする。
【0037】
前進走行するため、操作スイッチパネル32から前進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100の電磁ブレーキ130を消磁状態とし、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100の電磁ブレーキ130を励磁状態とする。
【0038】
これにより、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100ではシャフト111及びホイール本体112の回転が許容される一方で、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100ではシャフト111及びホイール本体112の回転が拘束される。
【0039】
この結果、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100では、樽型ローラ113が回転すると共にホイール本体112の回転が許容され、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ113が床面に接地しつつ回転して走行し、操舵に応じてホイール本体112が回転する。
【0040】
また、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100では、樽型ローラ113は回転するがホイール本体112の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ113が床面に接地しつつ回転して走行し、ホイール本体112は回転せず後側の一対の特殊自在キャスタ輪100の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0041】
このように、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により前進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で前進走行することができる。
【0042】
後進走行するため、操作スイッチパネル32から後進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100の電磁ブレーキ130を消磁状態とし、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100の電磁ブレーキ130を励磁状態とする。
【0043】
これにより、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100ではシャフト111及びホイール本体112の回転が許容される一方で、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100ではシャフト111及びホイール本体112の回転が拘束される。
【0044】
この結果、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100では、樽型ローラ113が回転すると共にホイール本体112の回転が許容され、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ113が床面に接地しつつ回転して走行し、操舵に応じてホイール本体112が回転する。
【0045】
また、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100では、樽型ローラ113は回転するがホイール本体112の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ113が床面に接地しつつ回転して走行し、ホイール本体112は回転せず前側の一対の特殊自在キャスタ輪100の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0046】
このように、後側の一対の特殊自在キャスタ輪100が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、前側の一対の特殊自在キャスタ輪100が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により後進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で後進走行することができる。
つまり、後進走行性能を前進走行性能と同じ良好な性能にすることができる。
【実施例2】
【0047】
実施例2は、後進走行性能を向上させた第2の例に係る簡易型無人搬送車である。
まず、実施例2の簡易型無人搬送車に用いる、特殊自在キャスタ輪について先に説明する。この特殊自在キャスタ輪は、オムニホイール(登録商標)に樽型ローラ回転固定機能部を備えた構成となっている。
【0048】
図5及び図6は、実施例2の簡易型無人搬送車に用いる特殊自在キャスタ輪200を示す構造図であり、図5は樽型ローラの回転が固定(拘束)されている状態を示し、図6は樽型ローラの回転がフリー(自由)になっている状態を示している。また、図7は特殊自在キャスタ輪200を示す右側面図であり、図8は平面図である。
【0049】
これらの図に示すように、特殊自在キャスタ輪200は、オムニホイール210と、支持構造部220と、樽型ローラ回転固定機能部230とで構成されている。
【0050】
オムニホイール210では、シャフト211にホイール本体212が取り付けられている。この場合、シャフト211は、その両端部では円柱状になっているが、両端部を除く他の部分では六角柱状になっており、ホイール本体212は、シャフト211の回転方向に関してはシャフト211と一体に回転するが、シャフト211の軸心方向に関してはスライド移動できるようになっている。
ホイール本体212の周面には、複数の樽型ローラ213が、ホイール本体212の周方向に沿う複数個所に配置されている。このとき、シャフト211及びホイール本体212の回転方向に対して、各樽型ローラ213の回転方向は直行している。
【0051】
支持構造部220の一対のブラケット221,222は、軸受部(ローラベアリング)223,224を介してシャフト211を回転自在に支持している。ブラケット221,222の上辺は、上フレーム225に固定されている。
【0052】
樽型ローラ回転固定機能部230は、電磁ソレノイド231、回転固定クサビ232,233等により構成されている。
【0053】
電磁ソレノイド(押し込み部)231は、取付板234を介してブラケット221に固定されている。
回転固定クサビ232,233は、ホイール本体212を間に挟んだ状態で、シャフト211に配置されている。
しかも、一方の回転固定クサビ232はシャフト211に固定されている。また、他方の回転固定クサビ233は、シャフト211の回転方向に関してはシャフト211と一体に回転するが、シャフト211の軸心方向に関してはスライド移動できるように、シャフト211に取り付けられている。
【0054】
そして、回転固定クサビ232とホイール本体212との間には、両者を離間させるようなばね力を発生する圧縮コイルばね(押し戻し部)235が配置されており、回転固定クサビ233とホイール本体212との間には、両者を離間させるようなばね力を発生する圧縮コイルばね(押し戻し部)236が配置されている。
【0055】
電磁ソレノイド231のスライド軸231aは、連結板237,連結軸238及び連結用回転軸受239を介して、回転固定クサビ233に連結されている。
【0056】
電磁ソレノイド231が励磁されると、スライド軸231aがシャフト211側に向かって引き込まれ、回転固定クサビ233及びホイール本体212が、回転固定クサビ232側に向かって押し込まれる。このため図5に示すように、回転固定クサビ232,233が樽型ローラ213に接触して樽型ローラ213の回転を拘束する。
【0057】
電磁ソレノイド231が消磁されると、圧縮コイルばね235,236のばね力により、回転固定クサビ233及びホイール本体212がスライド軸231a側に向かって押され、スライド軸231aは押し戻される。このため、図6に示すように、回転固定クサビ232,233と樽型ローラ213との間に隙間ができ、樽型ローラ213の回転が許容される。
【0058】
次に、上記の特殊自在キャスタ輪200を備えた実施例2の簡易型無人搬送車1−2を、側面図である図9と、特殊自在キャスタ輪200の取付状態を簡易的に示す平面図である図10を参照して説明する。
【0059】
図9及び図10に示すように、この簡易型無人搬送車1−2の台車10では、パイプフレームを組み付けて台車本体11と手押しハンドル12が構成されている。台車本体11の底部には、その前側に一対の特殊自在キャスタ輪200が取り付けられており、その後側に一対の特殊自在キャスタ輪200が取り付けられている。つまり、各特殊自在キャスタ輪200の上フレーム225が台車本体11の底部に固定されている。
しかも、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200及び後側の一対の特殊自在キャスタ輪200は、シャフト211の軸心Sが左右(車幅)方向に伸びる状態で配置されている。
台車本体11の前端縁には前側のバンパー15が配置され、台車本体11の後端縁には後側のバンパー16が配置されている。
【0060】
更に、台車本体11の底部には駆動ユニット20が配置されている。この駆動ユニット20は、従来技術で説明したもの(図18、図19参照)と同構成であり、駆動ユニット20の駆動部25は独立に回転駆動する一対の駆動輪26を有し、駆動部25は下方に付勢されつつ鉛直軸周りでステアリング回転自在となっている。なお、駆動ユニット20の他の部分の構成・動作は、従来技術で説明したのと同じであり、詳細説明は省略する。
駆動ユニット20の前側には、前進用の走行センサ17が取り付けられ、駆動ユニット20の後側には、後進用の走行センサ18が取り付けられている。
【0061】
手押しハンドル12には、制御ユニット30、バッテリ31、操作スイッチパネル32等が取り付けられている。
制御ユニット30は、操作スイッチパネル32からの指令に応じて、駆動ユニット20の駆動輪26の回転制御をすると共に、各特殊自在キャスタ輪200の電磁ソレノイド231の励磁・消磁制御をする。
【0062】
前進走行するため、操作スイッチパネル32から前進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200の電磁ソレノイド231を消磁状態とし、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200の電磁ソレノイド231を励磁状態とする。
【0063】
これにより、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200では樽型ローラ213の回転が許容される一方で、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200では樽型ローラ213の回転が拘束される。
【0064】
この結果、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200では、ホイール本体212が回転すると共に樽型ローラ213の回転が許容され、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、操舵に応じて樽型ローラ213が回転する。
【0065】
また、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200では、ホイール本体212は回転するが樽型ローラ213の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、樽型ローラ213は回転せず後側の一対の特殊自在キャスタ輪200の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0066】
このように、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により前進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で前進走行することができる。
【0067】
後進走行するため、操作スイッチパネル32から後進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200の電磁ソレノイド231を消磁状態とし、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200の電磁ソレノイド231を励磁状態とする。
【0068】
これにより、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200では樽型ローラ213の回転が許容される一方で、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200では樽型ローラ213の回転が拘束される。
【0069】
この結果、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200では、ホイール本体212が回転すると共に樽型ローラ213の回転が許容され、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、操舵に応じて樽型ローラ213が回転する。
【0070】
また、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200では、ホイール本体212は回転するが樽型ローラ213の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、樽型ローラ213は回転せず後側の一対の特殊自在キャスタ輪200の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0071】
このように、後側の一対の特殊自在キャスタ輪200が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、前側の一対の特殊自在キャスタ輪200が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により後進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で後進走行することができる。
つまり、後進走行性能を前進走行性能と同じ良好な性能にすることができる。しかも、走行時には、車輪径の大きなホイール本体212が回転するため、溝や段差があっても、走行性能は殆ど落ちることはない。
【実施例3】
【0072】
実施例3は、前後左右方向(四方向)走行性能を向上させた簡易型無人搬送車である。
まず、実施例3の簡易型無人搬送車に用いる、特殊自在キャスタ輪について先に説明する。この特殊自在キャスタ輪は、オムニホイール(登録商標)にホイール本体回転固定機能部と樽型ローラ回転固定機能部を備えた構成となっている。
【0073】
図11は、実施例3の簡易型無人搬送車に用いる特殊自在キャスタ輪300を示す構造図であり、図11(a)は左側面図、図11(b)は正面側から見た断面図、図11(c)は右側面図である。また、図12は平面図である。
【0074】
これらの図に示す特殊自在キャスタ輪300は、実施例2で用いた図5に示す特殊自在キャスタ輪200、即ち、オムニホイール(登録商標)210に樽型ローラ回転固定機能部230を備えたものに、更に、ホイール本体回転固定機能部としての電磁ブレーキ330を備えて構成されている。
【0075】
電磁ブレーキ330はブラケット222に固定されており、励磁されるとブレーキ動作をしてシャフト211の回転を拘束し、消磁されるとブレーキ動作を解除してシャフト211の回転を許容する。
【0076】
他の部分の構成は、図5,図6に示すものと同一であるため、同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0077】
次に、上記の特殊自在キャスタ輪300を備えた実施例3の簡易型無人搬送車1−3を、側面図である図13と、特殊自在キャスタ輪300の取付状態を簡易的に示す平面図である図14を参照して説明する。
【0078】
図13及び図14に示すように、この簡易型無人搬送車1−3の台車10では、パイプフレームを組み付けて台車本体11と手押しハンドル12が構成されている。台車本体11の底部には、その前側に一対の特殊自在キャスタ輪300が取り付けられており、その後側に一対の特殊自在キャスタ輪300が取り付けられている。つまり、各特殊自在キャスタ輪300の上フレーム225が台車本体11の底部に固定されている。
しかも、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300及び後側の一対の特殊自在キャスタ輪300は、シャフト211の軸心Sが左右(車幅)方向に伸びる状態で配置されている。
台車本体11の前端縁には前側のバンパー15が配置され、台車本体11の後端縁には後側のバンパー16が配置されている。
【0079】
更に、台車本体11の底部には駆動ユニット20が配置されている。この駆動ユニット20は、従来技術で説明したもの(図18、図19参照)と同構成であり、駆動ユニット20の駆動部25は独立に回転駆動する一対の駆動輪26を有し、駆動部25は下方に付勢されつつ鉛直軸周りでステアリング回転自在となっている。なお、駆動ユニット20の他の部分の構成・動作は、従来技術で説明したのと同じであり、詳細説明は省略する。
駆動ユニット20の前側には、前進用の走行センサ17が取り付けられ、駆動ユニット20の後側には、後進用の走行センサ18が取り付けられている。
【0080】
手押しハンドル12には、制御ユニット30、バッテリ31、操作スイッチパネル32等が取り付けられている。
制御ユニット30は、操作スイッチパネル32からの指令に応じて、駆動ユニット20の駆動輪26の回転制御をすると共に、各特殊自在キャスタ輪300の電磁ソレノイド231及び電磁ブレーキ330の励磁・消磁制御をする。
【0081】
前進走行するため、操作スイッチパネル32から前進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を消磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を消磁状態とし、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を励磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を消磁状態とする。
【0082】
これにより、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213及びホイール本体212の回転が許容される一方で、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213の回転が拘束されると共にホイール本体212の回転が許容される。
【0083】
この結果、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、ホイール本体212及び樽型ローラ213が回転するため、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、操舵に応じて樽型ローラ213が回転する。
【0084】
また、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、ホイール本体212は回転するが樽型ローラ213の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、樽型ローラ213は回転せず後側の一対の特殊自在キャスタ輪300の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0085】
このように、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により前進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で前進走行することができる。
【0086】
後進走行するため、操作スイッチパネル32から後進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を消磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を消磁状態とし、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を励磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を消磁状態とする。
【0087】
これにより、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213及びホイール本体212の回転が許容される一方で、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213の回転が拘束されると共にホイール本体212の回転が許容される。
【0088】
この結果、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、ホイール本体212及び樽型ローラ213が回転するため、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、操舵に応じて樽型ローラ213が回転する。
【0089】
また、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、ホイール本体212は回転するが樽型ローラ213の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、ホイール本体212が回転して走行し、樽型ローラ213は回転せず前側の一対の特殊自在キャスタ輪300の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0090】
このように、後側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、前側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により前進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で後進走行することができる。
【0091】
左進走行するため、操作スイッチパネル32から左進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を消磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を消磁状態とし、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を消磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を励磁状態とする。
【0092】
これにより、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213及びホイール本体212の回転が許容される一方で、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213の回転が許容されると共にホイール本体212の回転が拘束される。
【0093】
この結果、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、ホイール本体212及び樽型ローラ213が回転するため、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ213が回転して走行し、操舵に応じてホイール本体212が回転する。
【0094】
また、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、樽型ローラ213は回転するがホイール本体212の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ213が回転して走行し、ホイール本体212は回転せず右側の一対の特殊自在キャスタ輪300の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0095】
このように、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により左進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で左進走行することができる。
【0096】
右進走行するため、操作スイッチパネル32から右進指令を制御ユニット30に送ると、制御ユニット30は、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を消磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を消磁状態とし、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300については、電磁ソレノイド231を消磁状態とすると共に電磁ブレーキ330を励磁状態とする。
【0097】
これにより、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213及びホイール本体212の回転が許容される一方で、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300では樽型ローラ213の回転が許容されると共にホイール本体212の回転が拘束される。
【0098】
この結果、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、ホイール本体212及び樽型ローラ213が回転するため、通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ213が回転して走行し、操舵に応じてホイール本体212が回転する。
【0099】
また、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300では、樽型ローラ213は回転するがホイール本体212の回転は拘束され、通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たす。つまり、樽型ローラ213が回転して走行し、ホイール本体212は回転せず左側の一対の特殊自在キャスタ輪300の向きは信頼性高く確実に固定される。
【0100】
このように、右側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の自在キャスタ輪と同等な機能を果たし、左側の一対の特殊自在キャスタ輪300が通常の固定キャスタ輪と同等な機能を果たすため、制御部30により右進走行するように制御ユニット20の駆動輪26を回転駆動すると、良好な走行性能で左進走行することができる。
【0101】
このように、4つの特殊自在キャスタ輪300の電磁ソレノイド231及び電磁ブレーキ330の励磁・消磁を制御することにより、前後左右方向(四方向)走行性能を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、簡易型無人搬送車のみならず、簡易型ではない通常の無人搬送車にも利用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1,1a,1−1,1−2,1−3 簡易型無人搬送車
10 台車
11 台車本体
12 手押しハンドル
13,13a,13b 自在キャスタ輪
14 固定キャスタ輪
15,16 バンパー
17,17a,17b,18,18a,18b 走行センサ
20,20a,20b 駆動ユニット
25 駆動部
26 駆動輪
30 制御ユニット
31 バッテリ
32 操作スイッチパネル
100 特殊自在キャスタ輪
110 オムニホイール
111 シャフト
112 ホイール本体
113 樽型ローラ
120 支持構造部
121,122 ブラケット
123,124 軸受部
125 上フレーム
130,330 電磁ブレーキ(ホイール本体回転固定機能部)
200 特殊自在キャスタ輪
210 オムニホイール
211 シャフト
212 ホイール本体
213 樽型ローラ
220 支持構造部
221,222 ブラケット
223,224 軸受部
225 上フレーム
230 樽型ローラ回転固定機能部
231 電磁ソレノイド
231a スライド軸
232,233 回転固定クサビ
234 取付板
235,236 圧縮コイルばね
237 連結板
238 連結軸
239 連結用回転軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体の底部に1台の駆動ユニットが配置され、前記台車本体の底部の前側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられると共に前記台車本体の底部の後側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられており、
前記特殊自在キャスタ輪は、
シャフトに固定されたホイール本体と、前記ホイール本体の周面の周方向に沿う複数個所に配置した複数の樽型ローラを有するオムニホイールと、
前記シャフトを回転自在に支持する支持構造部と、
前記支持構造部に取り付けられており前記シャフトの回転を拘束することができるホイール本体回転固定機能部とでなり、
しかも、前記特殊自在キャスタ輪は、前記シャフトの軸心が前記台車本体の前後方向に伸びる状態で配置されていることを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
前記ホイール本体回転固定機能部を制御することにより、
前進走行時には、前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容すると共に後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を拘束し、
後進走行時には、後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容すると共に前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を拘束する制御部を有することを特徴とする請求項1の無人搬送車。
【請求項3】
台車本体の底部に1台の駆動ユニットが配置され、前記台車本体の底部の前側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられると共に前記台車本体の底部の後側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられており、
前記特殊自在キャスタ輪は、
シャフトに取り付けられて前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動できるホイール本体と、前記ホイール本体の周面の周方向に沿う複数個所に配置した複数の樽型ローラを有するオムニホイールと、
前記シャフトを回転自在に支持する支持構造部と、
前記シャフトに固定された第1の回転固定クサビと、前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動でき且つ前記ホイール本体を間にして第1の回転固定クサビと反対側に配置された第2の回転固定クサビと、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビ側に押し込んでいくことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラに接触させて前記樽型ローラの回転を拘束させる押し込み部と、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビとは反対側に押し戻すことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラから離間させて前記樽型ローラの回転を許容させる押し戻し部とを有する樽型ローラ回転固定機能部とでなり、
しかも、前記特殊自在キャスタ輪は、前記シャフトの軸心が前記台車本体の車幅方向に伸びる状態で配置されていることを特徴とする無人搬送車。
【請求項4】
前記樽型ローラ回転固定機能部を制御することにより、
前進走行時には、前側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を許容すると共に後側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を拘束し、
後進走行時には、後側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を許容すると共に前側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を拘束する制御部を有することを特徴とする請求項3の無人搬送車。
【請求項5】
台車本体の底部に1台の駆動ユニットが配置され、前記台車本体の底部の前側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられると共に前記台車本体の底部の後側に一対の特殊自在キャスタ輪が取りつけられており、
前記特殊自在キャスタ輪は、
シャフトに取りつけられて前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動できるホイール本体と、前記ホイール本体の周面の周方向に沿う複数個所に配置した複数の樽型ローラを有するオムニホイールと、
前記シャフトを回転自在に支持する支持構造部と、
前記支持構造部に取り付けられており前記シャフトの回転を拘束することができるホイール本体回転固定機能部と、
前記シャフトに固定された第1の回転固定クサビと、前記シャフトの回転方向に関して前記シャフトと一体に回転するが前記シャフトの軸方向に関してはスライド移動でき且つ前記ホイール本体を間にして第1の回転固定クサビと反対側に配置された第2の回転固定クサビと、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビ側に押し込んでいくことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラに接触させて前記樽型ローラの回転を拘束させる押し込み部と、第2の回転固定クサビ及び前記ホイール本体を第1の回転固定クサビとは反対側に押し戻すことにより第1及び第2の回転固定クサビを前記樽型ローラから離間させて前記樽型ローラの回転を許容させる押し戻し部とを有する樽型ローラ回転固定機能部とでなり、
しかも、前記特殊自在キャスタ輪は、前記シャフトの軸心が前記台車本体の車幅方向に伸びる状態で配置されていることを特徴とする無人搬送車。
【請求項6】
前記ホイール本体回転固定機能部及び前記樽型ローラ回転固定機能部を制御することにより、
前進走行時には、前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容しつつ樽型ローラの回転を拘束し、
後進走行時には、後側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に前側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフトの回転を許容しつつ樽型ローラの回転を拘束し、
右進走行時には、右側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に左側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラの回転を許容しつつシャフトの回転を拘束し、
右進走行時には、右側の一対の特殊自在キャスタ輪のシャフト及び樽型ローラの回転を許容すると共に左側の一対の特殊自在キャスタ輪の樽型ローラシャフトの回転を許容しつつシャフトの回転を拘束する制御部を有することを特徴とする請求項5の無人搬送車。
【請求項7】
前記駆動ユニットは、独立に回転駆動する一対の駆動輪を有し且つ鉛直軸周りでステアリング旋回自在な駆動部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項6の無人搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−1207(P2013−1207A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132922(P2011−132922)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)