説明

無機充填剤を含有する結晶性熱可塑性物質における相溶性の改善

無機充填剤およびエラストマー材料を含む三元ブレンドを用いて相溶性を改善するための、結晶性熱可塑性(ポリアセタールなど)組成物を形成するための組成物、ならびにそれから製造される物品。無機充填剤はコーティングしても、しなくてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、望ましい靱性を維持または向上させると同時に、改善された相溶性を示す結晶性熱可塑性組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、結晶性熱可塑性物質(ポリアセタールなど)と、無機充填剤と、エラストマー材料と、を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタールなどの結晶性熱可塑性物質は当技術分野でよく知られており、主にポリオキシメチレン(POM)ホモポリマーおよびコポリマーの形で広く工業的に使用されている。ポリオキシメチレンホモポリマーは一般に、ホルムアルデヒドまたはトリオキサン、ホルムアルデヒドの環状エーテル形を重合することによって形成される。コポリマーは一般に、ホルムアルデヒドまたはトリオキサンを酸化エチレンもしくは1,3−ジオキソランなどの種々の環状エーテルと組み合わせて、互いに直接的に隣接する2つ以上のメチレン基を有するいくつかの単位を有するポリマー鎖を形成することによって形成され、それによって、ホモポリマーと比較して熱安定性が高められる。例えば、米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2)を参照のこと。
【0003】
従来技術のポリマー−ポリマーブレンドは、向上した靱性を得るために、ポリアセタールと共に軟質材料またはエラストマー材料を含む場合が多い。時には、この向上した靱性は、ノッチ付衝撃に対する耐性の増加によって、時には伸び率または落錘衝撃の向上によって、時には破断することなく成形物品が曲げられる能力の向上によって表われる。軟質エラストマー材料によってポリマーマトリックスを強化にするためには、まず最初に、それをよく分散し、小さな粒子にしなければならない。その小さな粒子は、射出成形など、その後の溶融加工の間、小さなかつばらばらの粒子として維持しなければならない。最終的に、衝撃またはゆがみ事象からのエネルギーが、マトリックスから、成形品を強化するエラストマー粒子までの境界面を横切ることを可能にするために、固体状態で付着が十分なければならない。
【0004】
従来技術のポリマー−ポリマーブレンドで生じ得る他の問題は、表層剥離である。表層剥離は、粒子が大きいために、物品の高剪断領域において、整列し、次いで溶融してポリマーのミクロシートとなるマトリックスポリマーへの付着が少なすぎるために起こる。これらの剪断領域は通常、表面の真下および射出成形品の出口からすぐ下流に位置する。
【0005】
「相溶性」とは、ポリマーブレンド技術において、古くから、および広く使用されている用語である。相溶性の意味は、それが使用されるコンテクストによって定義される場合が多い。したがって、相溶性の意味は、肉眼で見える相溶性の意味から、ポリアセタールとPVCの場合のように、一方の成分が他方の成分を損なわないという点での化学的に相溶性、分子レベルで混和性であるという意味まで、様々である。本出願において、「より良いまたは改善された相溶性」という用語は、靱性の改善に、または表層剥離の低減および/またはエラストマーである第2相からの金型付着物がマトリックスから分離し、多くの成形ショット後に付着物の形で金型上に残るのを防ぐのに、いかにポリマーブレンドが役立つかを述べるために使用される。
【0006】
ポリアセタール組成物などの結晶性熱可塑性物質およびこれらの組成物から製造される物品の製造業者および顧客は、それに伴う低コストおよび/または改善された靱性に関心がある。したがって、経済的な極性オレフィンを用いて、または比較的高価な熱可塑性ポリウレタン(TPU)を少なく用いて、上述のように改善された相溶性を有する結晶性熱可塑性組成物(例えば、ポリマーブレンド)を提供することが望ましい。この改善された相溶性は、改善または維持された靱性、または塗布可能な場合には低減された表層剥離、および/または金型付着物の防止を含む。
【0007】
以下の開示内容は本発明の種々の態様に関連しており、以下のように簡潔に要約される。
【0008】
ウェインバーグ(Weinberg)らによる(特許文献3)には、剛性と耐衝撃性との望ましい組み合わせを示す成形品の組成物およびポリアセタール組成物を形成する方法が開示されている。その組成物は、ポリオキシメチレンマトリックス中に無機充填剤を含有するが、第2ポリマーまたはエラストマー相を含有しない。
【0009】
ウェインバーグ(Weinberg)らによる米国特許公報(特許文献4)には、剛性と耐衝撃性との望ましい組み合わせを示す成形品の組成物およびポリアミド組成物を形成する方法が開示されている。その組成物は、ナイロンマトリックス中に無機充填剤を含有するが、第2ポリマーまたはエラストマー相を含有しない。
【0010】
ハットリ(Hattori)らによる米国特許公報(特許文献5)には、熱安定性および表面加工性を有するポリアセタール樹脂組成物であって、(a)ポリアセタール樹脂約100重量部、(b)カーボネート、周期表II族に属する金属のリン酸塩または酢酸塩またはその混合物約2〜約35重量部、(c)不飽和ポリエステル、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸のアミド、シアヌル酸トリアリル、フタル酸ジアリル、酢酸ビニルおよびジビニルベンゼンからなる群から選択される化合物のポリマー、コポリマーまたはその混合物約0.01〜約20重量部、を含む、ポリアセタール樹脂組成物が開示されている。
【0011】
ディラップ(Deyrup)による米国特許公報(特許文献6)には、ポリエステルマトリックス樹脂60〜97重量%、エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレートなどのエチレンコポリマー3〜40重量%を含む、並外れた靱性を特徴とする強化熱可塑性ポリエステル成形組成物が開示されている。
【0012】
フォースカーム(Forschirm)による米国特許公報(特許文献7)には、熱可塑性ポリマー、超高分子量ポリエチレンを含有する潤滑系、ポリエステル、酸性金属塩、カルシウム塩、酸化防止剤および安定剤の溶融ブレンドとして特徴付けられる、自己潤滑性ポリマー組成物が開示されている。その組成物は、向上した耐表面摩耗性および摩擦係数を示す造形品に製造することができる。
【0013】
【特許文献1】米国特許第2,768,994号明細書
【特許文献2】米国特許第3,027,352号明細書
【特許文献3】国際公開第02/14429号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願第09/641149号明細書
【特許文献5】米国特許第4,521,488号明細書
【特許文献6】米国特許第4,753,980号明細書
【特許文献7】米国特許第5,641,824号明細書
【特許文献8】米国特許第4,804,716号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
簡潔に述べると、本発明の一態様に従って、(a)結晶性熱可塑性物質約45〜94.5重量%のマトリックス材料;(b)無機充填剤約0.5〜30重量%;および(c)エラストマー約5〜25重量%を含有する、相溶性を改善するための溶融ブレンドを含む組成物が提供される。
【0015】
本発明の他の態様に従って、無機充填剤約0.5〜30重量%と共にポリアセタールポリマーを含む組成物が提供され、その充填剤は、0.05から4マイクロメートル未満までの範囲の平均等価球径を有し、前記無機充填剤は、エラストマーに対して約10〜300%(例えば、重量で0.1倍〜3倍)の比で存在し、エラストマーは、マトリックス樹脂に対して5〜約25重量%の比である。
【0016】
本発明の他の態様に従って、先の2つのパラグラフのうちの1つに定義される組成物から製造される物品が提供される。
【0017】
本発明はその好ましい実施形態と関連して説明されるが、その実施形態に本発明を制限することを意図するものではないことは理解されよう。一方、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内に含まれるように、すべての代替形態、変更、および等価物を包含することが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(定義)
以下の定義は、それらがこの明細書のコンテクストおよび添付の特許請求の範囲においていかに使用されるかに従って、参照として示されている。
1.改善された相溶性:靱性の改善に、または表層剥離の低減および/またはエラストマーである第2相からの金型付着物がマトリックスから分離し、多くの成形ショット後に付着物の形で金型上に残るのを防ぐのに、いかにポリマーブレンド中の無機充填剤が役立つかを述べる。
2.エラストマー:特定の条件下にてPOMマトリックスを強化することができる軟質の第2相ポリマーとして定義される。
3.本出願の目的のために、本明細書に含まれる文章および実施例に使用される材料の説明と一致する大文字を示す以下の記号が提供される。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
本発明によって、無機充填剤と共に、結晶性熱可塑性物質(例えば、ポリオキシメチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、およびポリフェニレンスルフィド(PPS))中にエラストマーまたは極性オレフィンを組み込むことによって、従来技術のポリマーと比較して特性が改善される。本発明は、ポリマー−ポリマーブレンドの靱性の向上を含む相溶性の改善のために、結晶性熱可塑性物質の他に、エラストマーまたは極性オレフィンおよび無機充填剤を含む三元組成物を開示する。三元組成物の靱性の向上は、本発明の驚くべきかつ意外な結果である。無機充填剤と共に本発明のエラストマー材料は、本発明の靱性の望ましい向上をもたらすと考えられる。
【0022】
本発明の一実施形態において、CaCOなどの粒子状固体は、2つ以上のポリマーのブレンドの「相溶性」(上述の)を改善することができる。従来技術では、ウェインバーグらによる(特許文献3)および米国特許公報(特許文献4)に記載のように、無機充填剤と結晶性熱可塑性ポリマーのマトリックスとを含有する二元ブレンドによって、無機充填剤を用いて剛性および靱性のどちらも改善される。本発明は、ポリアセタールとエラストマーとの二元組成物と比較して、相溶性を改善し、靱性を向上させる。この向上した靱性は、CaCOが第1相により溶融液(melt)にカプセル化され(通常、より軟質のエラストマー)、有効容積のゴムを増加する働きをする結果であると考えられる。場合によっては、所望の靱性を得るために、ポリアセタール組成物のゴムレベルは、無機充填剤を使用して、ゴムの部分を置換することによって低減される(例えば、ゴム全容積は低減され、密度は増加する)。それと対照的に、一般的な二元エラストマー/マトリックスブレンドは通常、無機充填剤を添加すると、低下した靱性を示す。
【0023】
本発明の組成物は、安価な極性オレフィンを使用することによって、所望の特性(例えば、靱性)を失うことなく、コストも下げる。同じレベルの靱性を得ると同時に、使用されるTPUが少ないように、強化のためのさらに高価な熱可塑性ポリウレタン(TPU)の代わりに、またはTPUの少なくとも一部の代わりに、安価な極性オレフィンが使用される。したがって、組成物のコストが低くなる。本発明は、ポリエーテルポリエステル熱可塑性エラストマーなどの他の高価なエラストマーに適用可能であるが、経済的に好ましい本発明のエラストマーとしては、EVA、EMA、およびEBAGMAなどの軟質エチレンポリマーが挙げられる。これらの軟質エチレンポリマーは、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーであることが可能である。
【0024】
上記のように、本発明において「より良いまたは改善された相溶性」という用語は、靱性の改善に、または表層剥離の低減および/または金型付着物の防止に、いかにポリマーブレンドが役立つかを述べるために使用されている。改善された相溶性によって、大きなゴム粒子よりも組成物を良く強化することが知られている小さなゴム粒子を有する組成物を提供できることから、本発明において靱性が改善されると考えられる。場合によっては、例えばナイロン6または従来のHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)においては、ゴム(例えば、エラストマー)粒子は小さすぎる場合がある。粒子状固体は、溶融ポリマーブレンド中に分散されたゴム粒子と同様に、溶融ポリマーの溶融粘度も増加することができる。このように、充填剤粒子は、それらが主にゴム粒子中に位置する場合に(つまり、カプセル化されている場合)、大きなゴム粒子の原因として認識されている合体を防ぐのに役立つ。(本明細書に記述されている粒子のサイズは、Flexmanによる米国特許公報(特許文献8)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。具体的には、第5欄48行目から第7欄59行目および表49を参照されたい)。ある種類の靱性または延性は破断点伸びによって測定されるため、「改善された相溶性」は、数個の大きな粒子が応力ライザー(stress riser)として働き、伸びを劇的に低下させる場合が多いことから、衝撃靱性の改善のサブセットであり得る。これは、表4および9に示される改善されたアイゾッド値および伸び値によって分かる。さらに、ゴムのエキステンダーのように作用する点から、粒子状固体が系全体におけるエラストマーの有効容量を増加するため、本発明は、相溶性を改善すると考えられる。
【0025】
本発明において、熱力学的性により誘導される相分離を防ぐことによって、表層剥離もまた改善される。この1つのメカニズムは、分散相の溶融粘度を増加させることである。例えば、ポリマーブレンドの表層剥離は、大きすぎる分散粒子が不十分な付着性を有する結果である。(本明細書にその全体が組み込まれる、米国特許公報(特許文献8)を参照のこと。具体的には、表IVを参照されたい。)これは、裸眼で見える乏しい相溶性の巨視的な結果である。大部分の著しい表層剥離は、最も高いせん断の領域において、通常射出成形の出口から少し先の表面上に起こる場合が多い。この現象の初期の徴候は、成形品の表皮上に小さなブリスターの様相を呈す。この現象は、本出願において表1の実施例1において観察され(つまり、表層剥離が起こった)、CaCOが添加された、本発明の実施例2および3では、表層剥離は起こらなかった。
【0026】
さらに、本発明において、ポリマーブレンドの相分離のもう1つの結果である金型付着物も防止される。本発明の無機充填剤を含まないポリマーブレンドを使用する場合、第2相の分離した部分は、金型の冷たい壁に付着し、堆積し、表面の斑点、金型における部分的なスティッキング等が生じる。
【0027】
2つの樹脂が溶融温度215℃および金型温度50℃で実施される比較試験を行って、従来技術に対して本発明の金型付着物を比較した。2つの樹脂材料は:1)ポリオキシメチレンマトリックス(例えば、B)中の10%TPU(例えば、F);2)ポリオキシメチレンマトリックス(例えば、B)中の5%TPU(例えば、F)および5%CaCO(例えば、K)のブレンド;であった。最初の材料は従来技術の二元組成物であり、2番目の材料は本発明の三元組成物である。どちらの樹脂も乾燥させた。材料は、直径4インチ(10.16cm)および厚さ1/8インチ(0.38cm)を有する1つのキャビティディスクツールにおけるニッセイ(Nissei)製の機械(型番号FN4000−2)で実施した。厚さ1/8インチ(0.38cm)、直径直径4インチ(10.16cm)のディスク金型において溶融温度215℃で成形される10%TPUに対して5%TPU+5%CaCOのポリアセタールブレンドの比較から、10%TPUは200番目のショットで金型付着物が蓄積し始めることが示された。500ショットでは、10%TPU材料の金型付着物は、キャビティの30%をカバーした。対照的に、CaCO5%およびTPU5%を含有する第2材料(本発明の三元組成物)はより強靭であり、1000ショット後でさえ金型付着物を示さなかった。射出成形などの製造プロセスにおいて、メンテナンス(例えば、金型付着物のクリーニング)なしで、機械を長く運転できるほど、製造はより経済的かつ生産的となるだろう。したがって、本発明は、二元組成物の成形に通常存在する金型付着物を低減/除去するために金型付着物を低減し、したがって、より長い機械運転時間を提供する。それによって、生産性が向上し、製造コストが下がる。
【0028】
結晶性熱可塑性物質、例えばポリアセタールホモポリマー、および2つ以上のアルデヒドもしくは環状エーテルモノマーから形成されるコポリマーが、本発明の実施に適しており、核化、着色された材料、そうでなければ当技術分野で一般的な実施に従って改質された材料が含まれる。本発明のポリアセタールは、靱性または剛性に影響を及ぼし得る、少量の、通常5重量%未満の添加剤、例えば:安定剤、酸化防止剤、離型剤、潤滑剤、カーボンブラック、可塑剤、顔料、核剤、高レベルのガラス繊維、および当技術分野で通常用いられる他の公知の添加剤を含み得る。
【0029】
本発明の実施に好ましいポリアセタールとしては、ポリオキシメチレンホモポリマー、またはコポリマーが挙げられる。好ましいコポリマーとしては、当技術分野の教示に従って、炭素原子2〜12個を有する環状エーテル、好ましくは1,3−ジオキソランとホルムアルデヒドまたはトリオキサンを共重合することによって形成されるコポリマーが挙げられる。好ましくは前記アルキレンラジカル反復単位は、全ポリマーの5モル%以下、さらに好ましくは2モル%以下に相当する。好ましいポリオキシメチレンコポリマーは、ホルムアルデヒドとエチレンオキシドとのジポリマーであり、ポリマーに組み込まれるエチレンオキシドの量は約2重量%である。本発明の組成物に使用するのに好ましいポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーは、数平均分子量約20,000〜100,000、さらに好ましくは20,000〜80,000および最も好ましくは25,000〜70,000を有するポリマーである。好ましいホモポリマーは、米国特許公報(特許文献1)における教示にそれぞれ従って、その末端ヒドロキシル基が化学反応によりエンドキャップされ、エステル基または他の基、好ましくはアセテートまたはメトキシ基が形成されたホモポリマーである。
【0030】
本発明で使用するのに適した無機充填剤は、著しいオフガスを発生せず、またはそれ自体が分解せず、または射出成形の温度−時間の組み合わせなどの通常のポリアセタール処理条件でポリアセタールの分解を引き起こさない無機充填剤である。これらとしては、限定されないが:炭酸カルシウム;アルミナ、シリカおよび二酸化チタンなどの酸化物;硫酸バリウムなどの硫酸塩;チタン酸塩;カオリン粘土および他のケイ酸塩;水酸化マグネシウム、およびカーボンブラックが挙げられる。本発明において、アスペクト比(充填剤粒子の最大寸法に対する最少寸法の平均比)が約5未満の場合には、応力集中および成形品の異方性が避けられる。好ましい充填剤は、炭酸カルシウムおよび二酸化チタンである。これらの無機充填剤はコーティングすることもできるし、しなくてもよい。例えば、CaCOは表1における実施例2でコーティングされていないが、例えば表5〜7ではステアリン酸でコーティングされている。コーティングは、ゴム粒子内にキャビテーションを生じさせることによって、ゴムをより良く強化するのに役立つと考えられるが、本発明において三元組成物は、無機充填剤がコーティングされていようとそうでなかろうと、靱性を向上させる。
【0031】
上記の定義セクション番号3の下の記号で記載される充填剤粒子のサイズは、それらの等価球径である。等価球径は、充填剤粒子と同じ容積を有する球の直径であり、セディグラフ(Sedigraph)5100(ジョージア州ノルクロスのマイクロメトリックス・インスツルメント社(Micrometrics Instrument Corporation,Norcross,GA))を使用して決定することができる。セディグラフ(Sedigraph)5100では、既知の特性を有する液体における異なるサイズの粒子の重力誘導沈降速度を測定する沈降法によって粒径が決定される。粒子が液体中を落ちる速度がストークスの法則によって得られる。最も大きい粒子が最も速く落ち、最も小さい粒子は最も遅く落ちる。沈降速度は、試料セルから検出器まで通り抜ける、低エネルギーX線の精密に平行化されたビームを使用して測定される。セル中の様々なポイントでの粒子質量の分布は、検出器に達するX線パルスの数に影響を及ぼす。このX線パルスのカウントを用いて、所定の粒径での質量%として表される粒径分布が導かれる。粒子は均一な形をほとんど示さないため、各粒径は、同じ沈降速度を有する同じ材料の球の直径である、「等価球径」として報告される。
【0032】
本発明において、適切な粒子は、約0.05から約10マイクロメートル未満まで、好ましくは0.05から4マイクロメートル未満まで、さらに好ましくは約0.05から2マイクロメートルまでの範囲の等価球径を有する。充填剤粒子のサイズは、本発明の組成物の靱性および/または剛性に影響を及ぼし得る。大きすぎる、または小さすぎる粒子は、他の有害な影響を及ぼすことはないが、本発明の特典をもたらさない。適切な充填剤粒子のグレードは、比較的狭いサイズ分布を有し、平均粒径よりはるかに大きな粒子ができる限り少ないことに特に重点が置かれる。
【0033】
本発明の他の実施形態は、その平均粒径が上記の等価球径範囲内である、異なる粒子グレードの無機充填剤を合わせてブレンドすることである。
【0034】
本発明は、それに限定されることを意図しない、以下の具体的な実施形態によってさらに説明される。表は、本発明の種々の組成物の組み合わせについて得られたデータの例を示す。エラストマー、充填剤材料(例えば、炭酸カルシウム)およびポリアセタールの三成分の組み合わせによって、相溶性が改善され(例えば、靱性を増大することによって示され(例えば、アイゾットまたは伸び))、1)ポリアセタールおよび2)ゴムまたはエラストマー材料の二元ポリマーブレンドと比較して表層剥離が低減される。
【実施例】
【0035】
以下の表における結果を得るために、以下の実験手順を用いた。いくつかのニュートラル混練ブロックに続いて、逆エレメントで構成される、2つのハード作業セグメントを含むスクリューデザインを用いたワーナーフライダー社製(Werner & Pfleiderer)30mm共回転二軸スクリュー押出機において、組成物を配合した。バレル温度は200℃に設定され、200rpmが用いられた。30ポンド/時で樹脂を押出した。
【0036】
押出されたペレットを60℃で一晩乾燥させ、次いで、温水で温められた金型を備えた、6オンス(0.175kg)、150トンのヴァン・ドーン(Van Dorn)射出成形機において、ASTM D−638に従った引張り試験用のドッグボーン(dog−bone)形引張り試験片に射出成形した(Iタイプ試験片、ゲージ長2インチ(5.1cm);幅1/2インチ(1.3cm);厚さ1/8インチ(0.38cm))および曲げ試験片(長さ5インチ(12.7cm)、幅1/2インチ(1.3cm)、厚さ1/8インチ(0.38cm))。成形機のバレル温度は200℃に設定し、金型温度は60℃に設定した。アイゾットの結果は、ASTM D−256、方法Aに従って測定された。表におけるアイゾッド値は、フートポンド/インチで示され、括弧内はJ/m値である。(使用されるJ/mへの変換は、53.4J/M=1フートポンド/インチであった。)表における伸びは、ASTM D−638に記載の手順を用いて決定された。
【0037】
表1には、無機充填剤(CaCO)なしの対照、実施例1と比較して、靱性(例えば、アイゾットおよび伸び)を増大することによって相溶性を改善し、表層剥離を無くす2つのグレードのCaCOの能力(つまり、GおよびH)を示す。CaCOは、例えば表5〜7に示されているように、実施例2ではコーティングされておらず、実施例3ならびに他の例ではコーティングされている。コーティングは、ゴム粒子内にキャビテーションを生じさせることによって、ゴムをより良く強化するのに役立つと考えられるが、CaCOがコーティングされていようとそうでなかろうと、本発明によって靱性が向上する。
【0038】
表層剥離(「剥離(delam)」と印が付けられている欄を参照)の低減は、対照の実施例1の通常の成形および試験中に認められた。表層剥離の低減は、表層剥離が問題である、注目すべき単なる一例である。
【0039】
【表3】

【0040】
表2は、表1におけるCaCOと異なる他のグレードのCaCO(つまり、K)の靱性を改善する能力を示す。さらに、添加されたゴムのレベルは、成形中に表層剥離するほど十分に高くなかった(つまり、表層剥離は、POMとEVA(E)との間の溶融粘度の差によって引き起こされる)。
【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
表4は、二元ブレンド(実施例番号16および17)と比較して、3元ブレンドのマトリックスとしてのアセタールコポリマーでの靱性の向上を示す(本発明の実施例番号19および20参照)。実施例番号16および17は本発明の無機充填剤を含有しない。実施例番号19および20の伸び%もまた、二元の実施例番号16および17よりも高いことが示されている。
【0044】
【表6】

【0045】
表5および表6は、ゴムとしてのTPUでの靱性の向上を示す。これらの表において、どちらのセットのデータにおいても半分のゴムでより高いアイゾッドが得られたことに注目すべきである。これによって、本発明の組成物の望ましい費用対効果が実証されている。対照、実施例21と比較して、無機充填剤Kを添加した実施例番号23は向上する。実施例番号22は、対照、実施例番号21のゴム%の2倍を有する二元組成物であり、対照と比較してアイゾッドおよび伸び%の増大が示されている。しかしながら、比較して言えば、より高価なゴム要素を大量に使用する点からアイゾッドおよび伸び%の値がどれほど近いか比較される、実施例23の三元組成物によって提供されるコストの節約によって、本発明は顧客対してさらに魅力あるものになるだろう。
【0046】
【表7】

【0047】
以下の表では、二元組成物と比較して、アイゾッド靱性の増大を示す、ステアリン酸コーティング2重量%を有するCaCO(つまり、K)を示されている。表5と同様に、三元組成物から、伸び%および靱性についての二元の結果と近い結果が得られる。しかしながら、二元組成物では、本発明の三元組成物のゴムの2倍の量を使用し、したがって、本発明の三元組成物よりも費用がかかるが、本発明の三元組成物は少ない費用で靱性および伸びの匹敵する物理的性質を提供する。
【0048】
【表8】

【0049】
表7は、高分子量ホモポリマーおよびTPUをゴムとして用いた場合の、2つのグレードのCaCO(つまり、KおよびH)の靱性を改善する能力を示す。表7の三元組成物では、表5および6におけるマトリックスと異なるポリマーマトリックスを使用しており、表に示されているように、そのポリマーマトリックスは伸びおよび靱性を向上させると考えられる。表7のポリマーマトリックス材料(つまり、C)は、表5および6のマトリックス材料(つまり、B)よりも強靭な材料であり、かつ強化するのが容易である。
【0050】
【表9】

【0051】
表8では、4つの異なるグレードのCaCO(つまり、G、H、KおよびI)を、POMマトリックスとブレンドする前に、それぞれをゴムと1:1の比で予備配合(つまり、「プレコンパウンド(precomp)」)した場合に、アイゾッドが向上することが示されている。この予備配合は、押出機の後方でゴムにCaCOを添加し、側方供給装置を備えたバレルのずっと下にポリオキシメチレン(POM)を導入することに相当する。
【0052】
【表10】

【0053】
表9は、POMホモポリマー中のより高いレベルのTPUでの靱性の向上を示す。この表で使用されているゴムは、メチレンジイソシアネート/ブタンジオール/ポリブチレンジアジペート熱可塑性ポリウレタン(24/39/37)であり、0.1%DMF、30℃にてインヘレント粘度1.04を有する(つまり、F)。
【0054】
【表11】

【0055】
極性オレフィンは、単なる二元ブレンド中の強化ポリアセタールにおけるTPUよりも有効ではない。しかしながら、表10において、その結果から、それが示される他のゴムほど有効ではないとしても、高いレベルのこのゴムを用いて、本発明における無機充填剤の存在によって、ノッチ付衝撃靱性が向上することが示されている。さらに、表10は、このゴムのそのより高いレベル20%および30%での無機充填剤の存在によって、表層剥離もなくなることが示されている(表10の「剥離(delam)」参照)。表10の結果において、この対のポリマーの不相溶性が原因である表層剥離の可能性のある推進力が、これらの条件にてこの金型にあると考えられる。その不相溶性はゴム20%では十分に高く、そのため無機充填剤20%は表層剥離を防ぐのに不適切であると思われる(実施例番号46)。したがって、無機充填剤30%が必要であった(実施例番号47)。より高いレベルのゴム(30%)およびわずか20%の無機充填剤を有する実施例番号48は、転相が生じたために、表層剥離しなかった。
【0056】
【表12】

【0057】
表11では、同じレベルのゴムでの無機充填剤の存在によって、その靱性(伸びおよびアイゾッド)および見掛けの相溶性(伸び)がいかに増大するかが実証されている。無機充填剤が増加するに従って、E%が増加した。
【0058】
【表13】

【0059】
表12における実施例は、3つの異なるグループの例を表す。実施例52〜55は、同じグループで実施される実施例であり、実施例56〜59はもう1つのグループであり、実施例58〜60は第3のグループである。組成物に含有されるゴムおよび無機充填剤のパーセンテージの値に留意のこと。三元組成物は、それらの実施例が靱性および伸びにおいて二元組成物(例えば、無機充填剤なし)と匹敵することが引き続き示されている。無機充填剤を含有する表12における実施例の3つの異なるグループは、それぞれの対照例(52、56および58)に含まれるゴム含有量の半分を含有する。これは、ゴム含有量が対照と無機充填剤を含有するものとの間で同じ表11における実施例と対照的であるが、表12の靱性の向上は、表11よりも明白である。
【0060】
【表14】

【0061】
したがって、本発明に従って、上記の目的および利点を十分に満たす、無機充填剤およびエラストマーを含有する結晶性熱可塑性(ポリオキシメチレンなど)三元組成物およびそれから製造された物品が提供されることは明らかである。本発明はその具体的な実施形態と共に説明されているが、多くの代替形態、変更および変形形態が当業者には理解されるであろうことは明らかである。したがって、添付の特許請求の精神および広範な範囲内にある、かかるすべての代替形態、変更および変形形態を包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)結晶性熱可塑性物質約45〜94.5重量%のマトリックス材料;(b)無機充填剤約0.5〜30重量%;および(c)エラストマー約5〜25重量%を含有する、改善された相溶性を有する溶融ブレンドを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記溶融ブレンドが好ましくは、(a)結晶性熱可塑性物質約90〜85重量%、(b)無機充填剤約5〜10重量%、(c)エラストマー約5〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記結晶性熱可塑性物質が、ポリアセタールであることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエーテルポリエステル熱可塑性物質または軟質エチレンポリマーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記軟質エチレンポリマーが、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンブチルアクリレートグリシドールメタクリレート(EBAGMA)または他の軟質エチレンポリマーを含むことを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記軟質エチレンポリマーが、コポリマー、ターポリマーまたはテトラポリマーであることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記無機充填剤が、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化物、硫酸塩、チタン酸塩、カオリン粘土、ケイ酸塩、水酸化マグネシウム、カーボンブラックおよびその組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、および二酸化チタン(TiO)からなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記硫酸塩が、硫酸バリウムであることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記無機充填剤が、CaCOまたはTiOであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記無機充填剤が好ましくは、CaCOであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記マトリックス材料が、アセタールコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記マトリックス材料が、アセタールホモポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記無機充填剤がコーティングを含有し、前記コーティングが、非芳香族有機酸、塩、エステル、エーテル、エポキシ、またはその混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項15】
前記溶融ブレンドが好ましくは、(a)結晶性熱可塑性物質約90〜60重量%;(b)無機充填剤約5〜20重量%;および(c)エラストマー約5〜20重量%であり、前記結晶性熱可塑性物質がポリオキシメチレンを含み、前記無機充填剤がCaCOまたはTiOを含み、前記エラストマーが熱可塑性ポリウレタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記溶融ブレンドがさらに好ましくは、(a)結晶性熱可塑性物質約90〜75重量%;(b)無機充填剤約5〜15重量%;および(c)エラストマー約5〜10重量%であり、前記結晶性熱可塑性物質がポリオキシメチレンであり、前記無機充填剤がCaCOまたはTiOを含み、前記エラストマーが熱可塑性ポリウレタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記結晶性熱可塑性物質が、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはポリフェニレンスルフィド(PPS)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項18】
無機充填剤約0.5〜30重量%と共にポリアセタールポリマーを含む組成物であって、前記充填剤が、0.05から10マイクロメートル未満までの範囲の平均等価球径を有し、前記無機充填剤が、エラストマーに対して重量で約0.1倍〜3倍の比で存在し、前記エラストマーは、マトリックス樹脂に対して5〜約25重量%の比であることを特徴とする組成物。
【請求項19】
前記無機充填剤の前記平均球径が好ましくは、0.05から4マイクロメートル未満までの範囲であることを特徴する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記無機充填剤の前記平均球径が最も好ましくは、0.05〜2マイクロメートルの範囲であることを特徴する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記無機充填剤が、単一のグレードであることを特徴する、請求項18または19または20に記載の組成物。
【請求項22】
前記無機充填剤が、少なくとも2つのグレードのブレンドであることを特徴する、請求項18または19または20に記載の組成物。
【請求項23】
前記無機充填剤が、無機充填剤に対して少なくとも0.5重量%の濃度で、非芳香族有機酸、塩、エステル、エーテル、エポキシ、またはその混合物のコーティングを有することを特徴する、請求項21または22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物から製造される物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリアセタール約45〜94.5重量%のマトリックス材料;(b)約0.05から10マイクロメートル未満までの等価球径を有する無機充填剤約0.5〜30重量%;および(c)熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリエーテルポリエステル熱可塑性ポリマーを含むエラストマー約5〜25重量%を含有する溶融ブレンドを含む組成物であって、前記重量%が組成物の全重量を基準にしていることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記溶融ブレンドが、(a)ポリアセタール約90〜85重量%、(b)約0.05から10マイクロメートル未満までの等価球径を有する無機充填剤約5〜10重量%、および(c)熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリエーテルポリエステル熱可塑性ポリマーを含むエラストマー約5〜10重量%であり、前記重量%が組成物の全重量を基準にしていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記無機充填剤が、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化物、硫酸塩、チタン酸塩、カオリン粘土、ケイ酸塩、水酸化マグネシウム、カーボンブラックおよびその組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、および二酸化チタン(TiO)からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記硫酸塩が、硫酸バリウムであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記無機充填剤が、CaCOまたはTiOであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記無機充填剤が、CaCOであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記マトリックス材料が、アセタールコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記マトリックス材料が、アセタールホモポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記無機充填剤がコーティングを含有し、前記コーティングが、非芳香族有機酸、塩、エステル、エーテル、エポキシ、またはその混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項11】
前記溶融ブレンドが、(a)ポリアセタール約90〜60重量%;(b)無機充填剤約5〜20重量%;および(c)エラストマー約5〜20重量%であり、前記ポリアセタールがポリオキシメチレンを含み、前記無機充填剤がCaCOまたはTiOを含み、前記エラストマーが熱可塑性ポリウレタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記溶融ブレンドが、(a)ポリアセタール約90〜75重量%、(b)無機充填剤約5〜15重量%、および(c)エラストマー約5〜10重量%であり、前記ポリアセタールがポリオキシメチレンであり、前記無機充填剤がCaCOまたはTiOを含み、前記エラストマーが熱可塑性ポリウレタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
エラストマーとポリアセタールとの総量に対して、無機充填剤約0.5〜30重量%、およびエラストマー約5〜25重量%と共にポリアセタールポリマーを含む組成物であって、前記充填剤が、0.05から10マイクロメートル未満までの範囲の平均等価球径を有し、約0.05から10マイクロメートル未満までの等価球径を有する前記無機充填剤が、エラストマーに対して重量で約0.1倍〜3倍の比で存在し、かつ前記エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリエーテルポリエステル熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする組成物。
【請求項14】
前記無機充填剤の前記平均球径が、0.05から4マイクロメートル未満までの範囲であることを特徴する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記無機充填剤の前記平均球径が、0.05〜2マイクロメートルの範囲であることを特徴する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記無機充填剤が、単一のグレードであることを特徴する、請求項13または14または15に記載の組成物。
【請求項17】
前記無機充填剤が、少なくとも2つのグレードのブレンドであることを特徴する、請求項13または14または15に記載の組成物。
【請求項18】
前記無機充填剤が、無機充填剤に対して少なくとも0.5重量%の濃度で、非芳香族有機酸、塩、エステル、エーテル、エポキシ、またはその混合物のコーティングを有することを特徴する、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物から製造される物品。

【公表番号】特表2006−509894(P2006−509894A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563609(P2004−563609)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/040027
【国際公開番号】WO2004/058886
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】