説明

無段変速機の変速制御装置

【目的】 変速アクチュエータの操作量に応じて変速制御油圧を作り出す油圧サーボ機構を有する無段変速機の変速制御装置において、目標値の急変時に目標値に対する実際値の収束応答性の向上を図ること。
【構成】 変速機入力トルクをパラメータに含む目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性に基づいてアクチュエータ操作量を算出するアクチュエータ操作量算出手段iを設け、算出されたアクチュエータ操作量により変速制御を行なう変速制御手段jを設けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変速アクチュエータの操作量に応じて変速制御油圧を作り出す油圧サーボ機構を有する無段変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無段変速機の変速制御装置としては、例えば、特開平2−292562号公報に記載のものが知られている。
【0003】この従来出典には、油圧サーボ機構からの変速制御油圧の油圧力によって伝達トルクの反力を受けながら無段階に変速比が制御されるVベルト型やトロイダル型の無段変速機の場合、エンジントルクの大小により変速比が変動するため、エンジントルクの大きさにより変速比目標値を修正すると共に、この修正目標値と検出による実際値との偏差に応じて変速アクチュエータをフィードバック制御する装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の無段変速機にあっては、目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性のうちエンジントルクによる特性変化以外の変化を全てフィードバック制御により吸収するようにしているため、例えば、踏み込みダウンシフト時等で目標値が急激に変化する場合、変速制御において目標値に対して実際値が突出するオーバシュートが出てしまうことがあるという問題が残る。
【0005】つまり、フィードフォワード特性は、アクチュエータ操作量と変速機入力トルクに依存し、変速機入力トルクは、エンジントルク,トルクコンバータ特性,変速特性に依存するので、例えば、走行時の変速特性の変更等によってスロットル開度〜目標機関回転の特性が変化すると、スロットル開度〜変速機入力トルクの特性が変化し、フィードフォワード特性が変化する。
【0006】本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、変速アクチュエータの操作量に応じて変速制御油圧を作り出す油圧サーボ機構を有する無段変速機の変速制御装置において、目標値の急変時に目標値に対する実際値の収束応答性の向上を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明の無段変速機の変速制御装置では、変速機入力トルクをパラメータに含む目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性に基づいてアクチュエータ操作量を算出して変速制御を行なう手段とした。
【0008】即ち、図1のクレーム対応図に示すように、外部からの指令により操作される変速アクチュエータaと、前記変速アクチュエータaの操作量に応じて変速制御油圧を作り出す油圧サーボ機構bと、前記油圧サーボ機構bからの変速制御油圧の油圧力によって伝達トルクの反力を受けながら無段階に変速比が制御される無段変速機cと、機関負荷を検出する機関負荷検出手段dと、車速を検出する車速検出手段eと、前記無段変速機cへの入力トルクを直接あるいは間接的に検出する変速機入力トルク検出手段fと、少なくとも機関負荷と車速により目標値を設定する目標値設定手段gと、設定された目標値に基づいて目標変速比を算出する目標変速比算出手段hと、変速機入力トルクをパラメータに含む目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性に基づいてアクチュエータ操作量を算出するアクチュエータ操作量算出手段iと、アクチュエータ操作量が得られる制御指令を前記変速アクチュエータaに出力する変速制御手段jと、を備えていることを特徴とする。
【0009】
【作用】車両走行時、目標値設定手段gにおいて、少なくとも機関負荷検出手段dからの機関負荷と車速検出手段eからの車速により目標値が設定され、目標変速比算出手段hにおいて、設定された目標値に基づいて目標変速比が算出され、アクチュエータ操作量算出手段iにおいて、変速機入力トルクをパラメータに含む目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性と算出された目標変速比及び変速機入力トルク検出手段fからの変速機入力トルクに基づいてアクチュエータ操作量が算出され、変速制御手段jにおいて、算出されたアクチュエータ操作量が得られる制御指令が変速アクチュエータaに出力される。
【0010】この変速アクチュエータaの操作量に応じて油圧サーボ機構bにより変速制御油圧が作り出され、無段変速機cでは、この変速制御油圧の油圧力によって伝達トルクの反力を受けながら無段階に変速比が制御される。
【0011】このように、変速機入力トルクをパラメータに含む目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性に基づいてアクチュエータ操作量が算出されることで、変速機入力トルクの変動によりフィードフォワード特性が変化した場合、特性変化によるアクチュエータ操作量の変化が予め予測された変速制御となる。
【0012】よって、フィードフォワード特性の変化に対し事後的にフィードバック制御で吸収する場合とは異なり、目標値が急変するような時にも目標値の急変に対し実際値が精度良く追従する変速制御となる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】(第1実施例)まず、構成を説明する。
【0015】図2及び図3は本発明第1実施例の変速制御装置が適用されたハーフトロイダル型無段変速機(無段変速機cに相当)を示す断面図である。
【0016】図2及び図3において、1は入力軸、2はローディングカム、3はカムローラ、4は入力ディスク、5はパワーローラ、6は出力ディスク、7は出力ギヤ、8,9は軸受け、10,11はトラニオン、12は制御弁、13はステッピングモータ(変速アクチュエータaに相当)、14はセンサーロッド、15はリンク、16はプリセスカム、17はスプール、18はスリーブ、19は第1シリンダ、20は第2シリンダ、21は第3シリンダ、22は第4シリンダである。
【0017】前記入力軸1からの入力トルクは、ローディングカム2→カムローラ3→入力ディスク4→パワーローラ5→出力ディスク6→出力ギヤ7へと伝えられる。
【0018】前記軸受け8はパワーローラ5のスラスト力を支持する。また、軸受け9は入出力ディスク4,6の軸方向の力を支持する。
【0019】前記トラニオン10,11に作用する駆動力の反力は4個の油圧シリンダ19,20,21での油圧力で受け止められる。
【0020】前記入出力ディスク4,6とパワーローラ5との間で動力伝達が行なわれ、かつ、全てのパワーローラ5の回転軸線と入出力ディスク4,6の回転軸線とが交点を持つ時、図3のy軸方向の力のバランスは、下記の式で表される。
【0021】2Ft =PHS−PLSここで、PH ;第1,第3シリンダ19,21の油圧、PL ;第2,第4シリンダ20,22の油圧、S;シリンダの受圧面積である。第1,第3シリンダ19,21と第2,第4シリンダ20,22はそれぞれ配管によって連通している。この油圧PH,PL は制御弁12によって制御される。つまり、制御弁12や各シリンダ19,20,21,22等は、油圧サーボ機構bに相当する。
【0022】図4は第1実施例の変速制御装置の電子制御系を示すブロック図である。
【0023】図4において、13はステッピングモータ、30はCVTコントロールユニット、31はスロットル開度センサ(機関負荷検出手段dに相当)、32は車速センサ(車速検出手段eに相当)、33はエンジン回転数センサ、34はタービン回転数センサ、35はセレクト位置スイッチ、36は他のセンサ・スイッチ類である。
【0024】このCVTコントロールユニット13は、マイクロコンピュータを中心とする電子制御回路で、各種の制御入力情報によりアクチュエータ操作量が演算され、このアクチュエータ操作量を得るべくステッピングモータ13へステップパルス指令を出力する。
【0025】前記スロットル開度センサ31は、スロットル開度TVOを検出する。
【0026】前記車速センサ32は、車速VSPを検出する。
【0027】前記エンジン回転数センサ33は、エンジン回転数Neを検出する。
【0028】前記タービン回転数センサ34は、図外のエンジン出力軸と無段変速機の入力軸1との間に設けられるトルクコンバータのタービン回転数Nt(入力軸回転数)を検出する。
【0029】前記セレクト位置スイッチ35は、図外のセレクトレバーにより選択されているレンジ位置(例えば、Pレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジ,Ds レンジ)をスイッチ信号により検出する。
【0030】次に、作用を説明する。
【0031】[変速動作]ハーフトロイダル型無段変速機での変速は、パワーローラ5の傾転角制御で行なわれる。パワーローラ5を傾転させる力はパワーローラ5の中心軸を図3のy軸方向に移動させることによって発生するサイドスリップを利用して得られる。今、図3に示すように、パワーローラ5の回転軸線と入出力ディスク4,6の回転軸線とが交わって力が釣り合って動力の伝達が行なわれている時、ステッピングモータ13で制御弁12のスリーブ18をx軸方向に移動させると、PH,PLの圧力が変化し、トラニオン10,11は、y軸方向(互いに反対向き)に移動し、パワーローラ5と入出力ディスク4,6との接点が変わる。これにより傾転力が発生し、トラニオン10,11は互いに対称な方向へ傾転する。
【0032】トラニオン10,11には、センサーロッド14が取り付けてあり、その先端には傾転量をリンク15を介して制御弁12のスプール17のx軸方向(スリーブ18と反対向き)の動きに変化するプリセスカム16が取り付けられている。
【0033】このプリセスカム16が最初のスリーブ18の変位を補正するようにスプール17を動かして圧力を変化させ、力の釣合が取れると傾転を停止する。
【0034】[変速制御作動]図5はCVTコントロールユニット30により行なわれる変速制御処理作動の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0035】ステップ50では、スロットル開度TVO,車速VSP,エンジン回転数Ne,タービン回転数Ntが入力される。
【0036】ステップ51では、車両運転状態を示すスロットル開度TVO及び車速VSPと、図6に示すDレンジ変速パターンf1により目標タービン回転数T.Ntが算出される(目標値設定手段gに相当)。
【0037】ステップ52では、ステップ51で算出された目標タービン回転数T.Nt(=入力軸回転数)と、車速VSP(=出力軸回転数)と、係数K1により下記の式により目標変速比T.RATIO が算出される。
【0038】T.RATIO =K1*(T.Nt/VSP)
ステップ53では、スロットル開度TVO及びタービン回転数Ntと、図7に示すタービントルク特性マップf2によりタービントルクTtが算出される(変速機入力トルク検出手段fに相当)。
【0039】ステップ54では、ステップ53で算出されたタービントルクTt及びステップ52で算出された目標変速比T.RATIO と、図8に示す変速比−操作量マップf3により、フィードフォワード操作量FFが算出される(アクチュエータ操作量算出手段iに相当)。
【0040】ステップ55では、タービン回転数Ntと目標タービン回転数T.Ntとの偏差eが算出される。
【0041】ステップ56では、ステッピングモータ操作量STEPが、フィードフォワード操作量FFとフィードバック操作量(Kp*e+ΣKi*e)の和により算出される。ここで、Kpは比例係数、Kiは積分係数である。
【0042】ステップ57では、ステップ56でのステッピングモータ操作量STEPによるステップパルス指令がステッピングモータ13に対し送出される(変速制御手段jに相当)。
【0043】これによりステッピングモータ操作量STEPに相当する角度だけステッピングモータ13のモータ軸が回転する。
【0044】[変速制御]第1実施例の変速制御では、ステップ53で図7に示すタービントルク特性マップf2に基づいてタービントルクTtが算出され、ステップ54で図8に示すタービントルクTtをパラメータとする変速比−操作量マップf3に基づいてフィードフォワード操作量FFが算出され、ステップ55でタービン回転数Ntと目標タービン回転数T.Ntとの偏差eが算出され、ステップ56でステッピングモータ操作量STEPが、フィードフォワード操作量FFとフィードバック操作量(Kp*e+ΣKi*e)の和により算出される。
【0045】このように、タービントルクTt(変速機入力トルク)をパラメータとする変速比−操作量マップf3に基づいてフィードフォワード操作量FFが算出されることで、タービントルクTtの変動によりフィードフォワード特性が変化した場合、特性変化によるステッピングモータ操作量STEPの変化が予め予測された変速制御となる。
【0046】よって、フィードフォワード特性の変化に対し事後的にフィードバック制御で吸収する場合とは異なり、目標タービン回転数T.Nt(目標入力回転数)が急変するような時にも目標タービン回転数T.Ntの急変に対し実際のタービン回転数Ntが精度良く追従する変速制御となる。
【0047】特に、トロイダル型無段変速機の場合にタービントルクTtの変速への影響を予め取り除いておく必要があるという理由は、サーボ油圧によってトルク反力を受けながら変速するシステムであるため、変速機入力トルクが変動した場合にもサーボ油圧が変動し、変速制御とは無関係に変速が生じるという現象を示す。しかも、この変速変動幅は、最大で全変速幅の約30%にも達することがあり、この変速機入力トルクの影響を見逃すわけにはゆかない。
【0048】次に、効果を説明する。
【0049】(1)ステッピングモータ13の操作量に応じて変速制御油圧PH,PL を作り出す油圧サーボ機構を有するハーフトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、変速機入力トルクであるタービントルクTtをパラメータとする変速比−操作量マップf3に基づいてフィードフォワード操作量FFを算出して変速制御を行なう装置としたため、目標タービン回転数T.Ntの急変時に目標タービン回転数T.Ntに対する実際のタービン回転数Ntの収束応答性の向上を図ることができる。
【0050】ちなみに、本発明者が行なった実験結果を図9に示す。
【0051】この実験は、アクセル踏み込みによるダウンシフトを、図5のフローチャートにしたがって行ない(本発明)、また、タービントルクTtを考慮することなく、変速機入力回転数(タービン回転数)を目標値とするフィードバック制御のみで行なった(従来例)。
【0052】この実験により、図9に示すように、従来例では、目標入力回転に対し入力回転がオーバシュートしてしまったのに対し、本発明では目標入力回転に対し入力回転がオーバシュートすることなく収束するという結果が得られた。
【0053】(2)タービントルクTt対応のフィードフォワード操作量FFを算出する変速制御を適用する無段変速機がタービントルクTtの変動影響が大きなハーフトロイダル型無段変速機であるため、変速制御での目標値に対する収束応答性の向上代を大きくとることができる。
【0054】(3)タービントルクTtを検出するにあたって、スロットル開度TVO及びタービン回転数Ntと、図7に示すタービントルク特性マップf2によりタービントルクTtを算出するようにしたため、トルクセンサを用いることなくコスト的に有利でありながらタービントルク情報を容易に得ることができる。
【0055】(第2実施例)この第2実施例は、スロットル開度TVOと車速VSPと目標タービン回転数T.Ntの関係を示す変速パターンf1と、スロットル開度TVOをパラメータとする目標変速比T.RATIO とフィードフォワード操作量FFとの関係を示す変速比−操作量マップf2を用いた例であり、変速比−操作量マップf2を設定するにあたってタービントルクTtによる3つの特性を用いることで、タービントルク情報を予め変速比−操作量マップf2に含めるようにした例である。
【0056】なお、システム構成的には第1実施例と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0057】次に、作用を説明する。
【0058】[変速制御作動]図10はCVTコントロールユニット30により行なわれる変速制御処理作動の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0059】ステップ100では、スロットル開度TVO,車速VSP,エンジン回転数Ne,タービン回転数Ntが入力される。
【0060】ステップ101では、車両運転状態を示すスロットル開度TVO及び車速VSPと、図11に示すDレンジ変速パターンf1により目標タービン回転数T.Ntが算出される(目標値設定手段gに相当)。
【0061】ステップ102では、ステップ51で算出された目標タービン回転数T.Nt(=入力軸回転数)と、車速VSP(=出力軸回転数)と、係数K1により下記の式により目標変速比T.RATIO が算出される。
【0062】T.RATIO =K1*(T.Nt/VSP)
ステップ103では、スロットル開度TVO及びステップ102で算出された目標変速比T.RATIO と、図11に示す変速比−操作量マップf2により、フィードフォワード操作量FFが算出される(変速機入力トルク検出手段f及びアクチュエータ操作量算出手段iに相当)。
【0063】ここで、変速比−操作量マップf2は、図1111に示すように、T.Nt〜TVO,VSPの関係であるDレンジ変速パターンf1と、Tt〜TVO,T.Ntの関係である第1タービントルク特性マップf(Tt1) によりTt〜TVO,VSPの関係である第2タービントルク特性マップf(Tt2) が作成され、さらに、第2タービントルク特性マップf(Tt2) と変速比〜STEP,Ttの関係である変速比−操作量マップf(Tt3) によりスロットル開度TVOをパラメータとする変速比−操作量マップf2が設定される。つまり、変速比−操作量マップf2は、その作成の過程でタービントルク情報が用いられ、タービントルクTtを間接的にパラメータとする特性である。
【0064】ステップ104では、タービン回転数Ntと目標タービン回転数T.Ntとの偏差eが算出される。
【0065】ステップ105では、ステッピングモータ操作量STEPが、フィードフォワード操作量FFとフィードバック操作量(Kp*e+ΣKi*e)の和により算出される。
【0066】ステップ106では、ステップ105でのステッピングモータ操作量STEPによるステップパルス指令がステッピングモータ13に対し送出される(変速制御手段jに相当)。
【0067】これによりステッピングモータ操作量STEPに相当する角度だけステッピングモータ13のモータ軸が回転する。
【0068】したがって、この第2実施例では、第1実施例の(1),(2)の効果に加え、下記の効果が得られる。
【0069】(4)変速比−操作量マップf2として、その作成の過程でタービントルク情報を用い、タービントルクTtを間接的にパラメータとする特性を設定して変速制御を行なう装置としたため、変速制御で演算処理ステップを従来並に少なくした簡単な処理によりフィードフォワード特性の変化を考慮した変速制御を行なうことができる。
【0070】以上、実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があっても本発明に含まれる。
【0071】例えば、実施例では、ハーフトロイダル型無段変速機への適用例を示したが、油圧サーボ機構を有するVベルト型無段変速機にも適用することができる。
【0072】実施例では、目標値を目標タービン回転数とする例を示したが、目標エンジン回転数とするものであっても良い。
【0073】実施例では、機関負荷検出手段として、スロットル開度センサを用いる例を示したが、スロットル開度と路面勾配等、走行負荷を考慮して機関負荷を検出するようにしても良い。
【0074】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明にあっては、変速アクチュエータの操作量に応じて変速制御油圧を作り出す油圧サーボ機構を有する無段変速機の変速制御装置において、変速機入力トルクをパラメータに含む目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性に基づいてアクチュエータ操作量を算出して変速制御を行なう手段としたため、目標値の急変時に目標値に対する実際値の収束応答性の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0075】特に、トロイダル型無段変速機の変速制御への適用において有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無段変速機の変速制御装置を示すクレーム対応図である。
【図2】第1実施例の変速制御装置が適用されたハーフトロイダル型無段変速機を示す断面図である。
【図3】第1実施例の変速制御装置が適用されたハーフトロイダル型無段変速機を示す図2のA−A線断面図である。
【図4】第1実施例の変速制御装置の電子制御系を示すブロック図である。
【図5】第1実施例装置のCVTコントロールユニットで行なわれる変速制御処理作動の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1実施例の無段変速機で変速制御に用いられる目標タービン回転数特性図である。
【図7】第1実施例装置で用いられるタービントルク特性図である。
【図8】第1実施例装置での変速比−STEPマップ図である。
【図9】第1実施例装置と従来装置での踏み込みダウンシフト時における目標入力回転と実際の入力回転との比較実験結果図である。
【図10】第1実施例装置のCVTコントロールユニットで行なわれる変速制御処理作動の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2実施例装置での変速制御で用いられる変速比−STEPマップ図を得るための処理を示す特性ブロック図である。
【符号の説明】
a 変速アクチュエータ
b 油圧サーボ機構
c 無段変速機
d 機関負荷検出手段
e 車速検出手段
f 変速機入力トルク検出手段
g 目標値設定手段
h 目標変速比算出手段
i アクチュエータ操作量算出手段
j 変速制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部からの指令により操作される変速アクチュエータと、前記変速アクチュエータの操作量に応じて変速制御油圧を作り出す油圧サーボ機構と、前記油圧サーボ機構からの変速制御油圧の油圧力によって伝達トルクの反力を受けながら無段階に変速比が制御される無段変速機と、機関負荷を検出する機関負荷検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、前記無段変速機への入力トルクを直接あるいは間接的に検出する変速機入力トルク検出手段と、少なくとも機関負荷と車速により目標値を設定する目標値設定手段と、設定された目標値に基づいて目標変速比を算出する目標変速比算出手段と、変速機入力トルクをパラメータに含む目標変速比とアクチュエータ操作量とのフィードフォワード特性に基づいてアクチュエータ操作量を算出するアクチュエータ操作量算出手段と、アクチュエータ操作量が得られる制御指令を前記変速アクチュエータに出力する変速制御手段と、を備えていることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。

【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図11】
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