説明

無線タグ読取装置、フィルタリング制御プログラム

【課題】無線タグから読み取られた情報の送信量を低下させると共に、フィルタリングに要する処理負荷を軽減する。
【解決手段】RFIDミドルウェア20は、読み取りに使用するRFIDリーダーを指定する情報と不要な情報を取り除くためのフィルタリング条件とを含む読み取り設定情報を通信部30により受信すると、読み取り設定管理部31において管理する。読み取り設定監視部40により新しい読み取り設定情報が追加されたことが判別された場合に、フィルタリング条件作成部41は、この追加された読み取り設定情報により指定されたRFIDリーダーに対して設定済みのフィルタリング条件と、追加されたフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を作成する。フィルタリング条件設定部42は、新規のフィルタリングをRFIDリーダーに対して設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグから情報を読み取る無線タグ読取装置、同装置で実行されるフィルタリング制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品たとえば商品に付けられた無線タグの情報を無接触で読取り、その読取り情報を上位機器たとえばサーバに送るRFID(Radio Frequency Identification)システムがある。RFIDシステムは、複数の無線タグの情報を一括して読取ることができるなどの特徴があることから、商品の流通管理や生産管理などへの応用が急速に普及しつつある。
【0003】
無線タグに関しては、物流の国際化の進展を考慮すると、世界共通の規格が必要となるが、そのような規格として定められたものにEPCglobalがある。このEPCglobalでは、周波数帯、電波出力などといった無線タグの物理的な規格に留まらず、無線タグに記載されたID(EPC:Electronic Product Code)や、そのIDに紐付けられた情報(ID情報)をネットワークにおいてどのように流通させるかといった規格も定めている。
【0004】
RFIDシステムでは、複数のRFIDリーダーによって無線タグから読み取った情報を無線タグ読取装置(制御用PC)において、上位のサーバから受信された読み取り設定情報において指定されるフィルタリング条件に従ってフィルタリングを実行し、アプリケーションが必要としている情報のみを上位のサーバ等に送信する。
【0005】
例えば、特許文献1には、無線認証(RFID)が使用可能なシステムが記載されている。特許文献1のシステムでは、RFIDリーダーなどの自動データ収集(Automated Data Acquisition:ADA)装置から読み取られたタグ情報を、トラフィックマネージャによって複数のサーバに送ることにより負荷分散させ、サーバ毎に重複観察結果データをフィルタリングを行うことが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のRFIDシステムにおいては、管理者が読み取り設定情報毎にフィルタリング条件を指定することで、RFIDミドルウェアを実行するサーバ上で読み取り設定情報のフィルタリング条件を設定して、無線タグから読み取られた情報に対するフィルタリングを実行していた。すなわち、RFIDリーダーでは、読み取りが可能な全ての無線タグから情報を読み取り、その全ての読み取り結果をRFIDミドルウェアに送信していた。このため、RFIDリーダーとRFIDミドルウェアとの間で、アプリケーションが不要とする情報を含む大量の情報が送信されていた。
【0007】
また、RFIDミドルウェアは、各RFIDリーダーから受信した大量の情報に対して、読み取り設定毎のフィルタリング条件についてフィルタリングを実行する必要があるために多大な処理負荷がかかっていた。また、読み取り設定毎にフィルタリングを実行しているために、同じフィルタリング条件に基づくフィルタリング処理を重複して実行している可能性があった。
【0008】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、無線タグから読み取られた情報の送信量を低下させると共に、フィルタリングに要する処理負荷を軽減することが可能な無線タグ読取装置、フィルタリング制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、物品に付けられた無線タグの情報をリーダーを通じて読み取る無線タグ読取装置において、読み取りに使用するリーダーを指定する情報と不要な情報を取り除くためのフィルタリング条件とを含む読み取り設定情報を受信する通信手段と、前記読み取り設定情報を管理する読み取り設定管理手段と、前記読み取り設定管理手段により管理された前記読み取り設定情報に基づいて、前記リーダーに対してフィルタリング条件を設定して読み取りを実行させる制御手段と、前記読み取り設定管理手段により管理される読み取り設定情報が追加されたことを監視する読み取り設定監視手段と、前記読み取り設定監視手段の監視により前記読み取り設定情報が追加されたことが判別された場合に、この追加された前記読み取り設定情報により指定されたリーダーに対して設定済みのフィルタリング条件と、追加された前記読み取り設定情報のフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を作成するフィルタリング条件作成手段と、前記フィルタリング条件作成手段により作成された新規のフィルタリング条件を前記リーダーに対して設定するフィルタリング条件設定手段とを具備したことを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
かかる手段を講じた本発明によれば、無線タグから読み取られた情報の送信量を低下させると共に、フィルタリングに要する処理負荷を軽減することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態におけるRFIDシステムの構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態におけるホストPC10(アプリケーション部10a)から受信される読み取り設定情報に応じてフィルタリング条件を設定するフィルタリング条件設定処理のフローチャート。
【図3】第1実施形態におけるフィルタリング条件作成部41によるフィルタリング条件作成処理を示すフローチャート。
【図4】第1実施形態におけるフィルタリング条件作成部41による包括的フィルタリング条件をもとに新規のフィルタリング条件を作成する処理を示す図。
【図5】第1実施形態におけるフィルタリング条件作成部41による排他的フィルタリング条件をもとに新規のフィルタリング条件を作成する処理を示す図。
【図6】第2実施形態におけるRFIDシステムの構成を示すブロック図。
【図7】第3実施形態におけるRFIDシステムの構成を示すブロック図。
【図8】第2実施形態及び第3実施形態における読み取り設定監視部40a,40bの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるRFIDシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、RFIDシステムは、ホストPC(パーソナルコンピュータ)10、RFIDミドルウェアサーバ12、RFIDリーダー141,142,…が含まれている。本実施形態におけるRFIDシステムは、例えばEPCglobalに従って構成されるもので、物品等に付けられた無線タグ(RFIDタグ)の情報を読み取り、ホストPC10のデータベース(図示せず)に蓄積することができる。
【0013】
なお、RFIDシステムには、複数のRFIDミドルウェアサーバ12を設けて、ホストPC10により制御される構成とすることができる。複数のRFIDミドルウェアサーバ12には、それぞれ複数のRFIDリーダーが接続されるものとする。また、ホストPC10とは別にデータベースを有するサーバを設け、このサーバによってRFIDミドルウェアサーバ12を通じて無線タグから読み取った情報を蓄積する構成とすることができる。
【0014】
ホストPC10は、システムの利用者によって操作されるもので、RFIDミドルウェアサーバ12に対して、RFIDリーダー141,142に無線タグをどのように読み取るかの読み取り方法を指示するための読み取り設定を送信する。ホストPC10は、アプリケーション(プログラム)をプロセッサにより実行することによりアプリケーション部10aを実現する。アプリケーション部10aは、キーボード等の入力装置から入力された管理者からの指示に応じて、読み取り設定情報を作成してRFIDミドルウェアサーバ12に送信するための処理を実行する。読み取り設定情報には、例えば読み取りに使用するRFIDリーダーを示す情報(後述する論理リーダを示す情報など)、RFIDミドルウェアサーバ12からホストPC10に読み取り結果を送信する間隔を示す読み取り時間間隔、どのような情報が必要/不要かを示すフィルタリング条件の情報等が含まれている。
【0015】
なお、読み取り設定情報によって指定されるフィルタリング条件には、包括的(inclusive)フィルタリング条件、排他的(exclusive)フィルタリング条件があるものとする。包括的フィルタリング条件では、RFIDリーダーによって読み取られる情報(タグID)のうち、上位のアプリケーション(ホストPC10)が必要としている情報を判別するビットパターンが指定される。また、排他的フィルタリング条件では、RFIDリーダーによって読み取られる情報(タグID)のうち、上位のアプリケーション(ホストPC10)にとって不必要な情報を判別するビットパターンが指定される。
【0016】
RFIDミドルウェアサーバ12は、第1実施形態における無線タグ読取装置として構成されるもので、ホストPC10から受信した読み取り設定情報に従って、RFIDリーダー141,142,…を制御することで無線タグからタグIDを読み取り、ホストPC10に読み取り結果を送信する。RFIDミドルウェアサーバ12は、複数の読み取り設定を受信し、それぞれの読み取り設定に応じた読み取りを実行することができる。
【0017】
RFIDミドルウェアサーバ12は、RFIDミドルウェア(プログラム)20をプロセッサにより実行することで各部を実現する。RFIDミドルウェアサーバ12は、図1に示すように、通信部30、読み取り設定管理部31、RFIDリーダー制御部32、及びRFIDミドルウェア補助機能部33が設けられている。
【0018】
通信部30、読み取り設定管理部31、及びRFIDリーダー制御部32は、ホストPC10(アプリケーション部10a)からの読み取り命令に応じて、RFIDリーダー141を通じて無線タグから情報を読み取るための制御を行う。通信部30は、読み取りに使用するRFIDリーダー141を指定する情報と不要な情報を取り除くためのフィルタリング条件とを含む読み取り設定情報を受信する。読み取り設定管理部31は、通信部30により受信された読み取り情報を記録装置に記録して管理する。RFIDリーダー制御部32は、通信部30によって受信される読み取り開始命令に応じて、読み取り設定管理部31により管理された読み取り設定情報に基づいて、RFIDリーダー141,142,…を制御して読み取りを実行させる。本実施形態のRFIDミドルウェア20は、RFIDリーダー141,142,…のRFIDドライバ141a,142a,…にフィルタリング条件を設定し、RFIDドライバ141a,142a,…において無線タグから読み取った情報についてフィルタリングを実行させる。また、RFIDリーダー制御部32は、RFIDリーダー141,142,…によって読み取られた情報について、読み取り設定毎のフィルタリングを実行して最終的な読み取り結果としてホストPC10に送信する。
【0019】
第1実施形態のRFIDミドルウェア20は、ホストPC10から新規の読み取り設定情報が追加された場合に、この新規の読み取り設定情報により指定されるフィルタリング条件をもとに新規のフィルタリング条件を生成して、RFIDドライバ141a,142a,…に設定するためのRFIDミドルウェア補助機能部33を含んでいる。
【0020】
RFIDミドルウェア補助機能部33には、図1に示すように、読み取り設定監視部40、フィルタリング条件作成部41、及びRFIDリーダー制御部42が設けられる。
【0021】
読み取り設定監視部40は、読み取り設定管理部31により管理される読み取り設定情報が追加されたことを監視する。フィルタリング条件作成部41は、読み取り設定情報が追加されたことが判別された場合に、この追加された読み取り設定情報により指定されたRFIDリーダー(RFIDドライバ)に対して設定済みのフィルタリング条件と、追加された読み取り設定情報のフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を作成する。RFIDリーダー制御部42は、フィルタリング条件作成部41により作成された新規のフィルタリング条件を、新規の読み取り設定情報に対応するRFIDリーダーのドライバに設定する。
【0022】
RFIDリーダー141,142,…は、RFIDミドルウェアサーバ12(RFIDミドルウェア20)の制御により、物品(商品等)に付された無線タグに記録されているタグID(タグ情報)を非接触により読み取る。RFIDリーダー141,142,…は、それぞれRFIDドライバ141a,142a,…により動作が制御される。RFIDドライバ141a,142a,…は、最初の読み取り設定情報に応じてRFIDリーダー制御部32により設定されるフィルタリング条件、あるいは追加された読み取り設定情報に応じてフィルタリング条件設定部42により設定される新規のフィルタリング条件に応じたフィルタリングを実行して、ホストPC10(アプリケーション部10a)が必要とする情報のみをRFIDミドルウェアサーバ12に送信する。これにより、RFIDリーダーからRFIDミドルウェアサーバ12に送信情報量を削減すると共に、RFIDミドルウェア20におけるフィルタリング処理を軽減させることができる。
【0023】
なお、タグIDには、例えばコード体系を識別するためのヘッダの他、例えば企業コード、商品アイテムコード、商品の製造番号等を表すデータなどが含まれている。
【0024】
次に、第1実施形態におけるRFIDシステムの動作について説明する。
図2は、ホストPC10(アプリケーション部10a)から受信される読み取り設定情報に応じてフィルタリング条件を設定するフィルタリング条件設定処理のフローチャートである。
【0025】
ホストPC10のアプリケーション部10aは、管理者からの指示に応じてフィルタリング条件を含む読み取り設定情報を作成し、RFIDミドルウェアサーバ12に送信する。
【0026】
RFIDミドルウェアサーバ12は、通信部30を通じて読み取り設定情報を受信して読み取り設定管理部31に渡す。読み取り設定管理部31は、通信部30から受け取った読み取り設定情報を記録して管理する。
【0027】
一方、読み取り設定監視部40は、読み取り設定管理部31に読み取り設定が追加されたことを監視している。読み取り設定監視部40は、新しい読み取り設定情報が読み取り設定管理部31によって記録装置に記録されたことを検出すると(ステップA1、Yes)、新しい読み取り設定情報を解析し、読み取りに使用するRFIDリーダーを示す論理リーダーの情報とフィルタリング条件を読み取る(ステップA2)。読み取り設定監視部40は、新しい読み取り設定情報で指定された論理リーダーとフィルタリング条件の情報をフィルタリング条件作成部41に通知する(ステップA3)。
【0028】
フィルタリング条件作成部41は、読み取り設定監視部40から通知された新たな読み取り設定情報によるフィルタリング条件をもとにして新規のフィルタリング条件を作成する(ステップA4)。
【0029】
図3は、フィルタリング条件作成部41によるフィルタリング条件作成処理を示すフローチャートである。
フィルタリング条件作成部41は、読み取り設定監視部40から通知された新たな読み取り設定情報によるフィルタリング条件の中に、包括的フィルタリング条件または排他的フィルタリング条件のどちらか1つでも含まれているか確認する(ステップB1)。
【0030】
どちらも含まれていない場合、新たにフィルタリング条件を作成する必要はないので処理を終了する。この場合、フィルタリング条件設定部42は、新しくフィルタリング条件が設定されてないので(ステップA5、No)、RFIDリーダーに対するフィルタリング条件の設定を行わない。すなわち、RFIDリーダーでは、元のフィルタリング条件に基づくフィルタリングを実行させる。
【0031】
一方、包括的フィルタリング条件または排他的フィルタリング条件の何れかであった場合には(ステップB2、Yes)、フィルタリング条件作成部41は、新しい読み取り設定情報によって指定された論理リーダーから物理リーダーを割り出す(ステップB3)。なお、論理リーダーとは、RFIDミドルウェアサーバ12(RFIDミドルウェア20)が利用可能な複数の物理的なRFIDリーダー141,142,…の中から一部もしくは全部を選択して論理的なグループとすることで構成された仮想的なRFIDリーダーを表している。論理リーダーは、読み取り処理とは別に予め設定しておくことができる。
【0032】
例えば、フィルタリング条件作成部41は、RFIDミドルウェアサーバ12の記録装置に記録された、論理リーダーと物理リーダーとの対応関係を示すデータが設定されている設定ファイルを参照して、新しい読み取り設定情報が示す論理リーダーに該当する物理リーダーを判別する方法によって割り出すことができる。
【0033】
次に、フィルタリング条件作成部41は、割り出した物理リーダーに対して設定済みのフィルタリング条件を読み出す(ステップB4)。例えば、対象とする物理リーダーに対して、直接、問い合わせて読み出したり、RFIDリーダー141,142,…に対して設定されたフィルタリング条件を記録する設定ファイルがRFIDミドルウェアサーバ12の記録装置に記録されている場合には、この設定ファイルから読み出したりすることができる。
【0034】
次に、フィルタリング条件作成部41は、新しい読み取り設定に包括的フィルタリング条件が含まれている場合、この包括的フィルタリング条件を全て網羅するまで読み出し、この読み出したフィルタリング条件をビット反転して保管する(ステップB5,B6,B7)。すなわち、第1実施形態では、RFIDリーダー141,142,…(RFIDドライバ141a,142a,…)に対しては、排他的フィルタリング条件を設定して、不要な情報を判別するフィルタリング処理を実行して、RFIDミドルウェアサーバ12にホストPC10が不必要とする情報を送信しないようにする。従って、読み取り設定情報の包括的フィルタリング条件については、排他的フィルタリング条件を表すビットパターンを生成するためにビット反転して排他的フィルタリング条件とすることで対応する。
【0035】
次に、フィルタリング条件作成部41は、新しい読み取り設定情報に排他的フィルタリング条件が含まれている場合、この排他的フィルタリング条件を全て網羅するまで、フィルタリング条件を読み出して保管する(ステップB8,B9,B10)。
【0036】
最後に、フィルタリング条件作成部41は、保管したフィルタリング条件と物理リーダーから読み出した設定済みのフィルタリング条件とを比較して、物理リーダーに設定するための新しいフィルタリング条件を作成する(ステップB11)。すなわち、保管したフィルタリング条件と設定済みのフィルタリング条件とを比較した結果、重複するビットパターンがあれば、何れか一方のフィルタリング条件から該当するビットパターンを省き、それぞれのフィルタリング条件を併合することで新しいフィルタリング条件とする。また、重複するビットパターンがなければ、保管したフィルタリング条件と設定済みのフィルタリング条件とを併合して、保管したフィルタリング条件のビットパターンを設定済みのフィルタリング条件のビットパターンに追加する。
【0037】
フィルタリング条件作成部41は、保管した全てのフィルタリング条件を網羅するまで、それぞれに対する新規のフィルタリング条件を作成する(ステップB12,B13)。
【0038】
なお、フィルタリング条件とするビットパターンは、無線タグから読み取られるタグIDの全てのビットを対象とするものではなく、タグIDに含まれる、例えば企業コード、商品アイテムコード、商品の製造番号等を表すビットパターンの一部のみを対象とすることができる。すなわち、ホストPC10(アプリケーション部10a)が必要とする情報に応じた、フィルタリングに有効な範囲のビットを対象としてフィルタリング条件とすることができる。
【0039】
フィルタリング条件作成部41により新規のフィルタリング条件が作成されると(ステップA5、Yes)、フィルタリング条件設定部42は、該当する物理リーダー(RFIDリーダー)に対して新規に作成したフィルタリング条件を設定する(ステップA6)。
【0040】
図4は、フィルタリング条件作成部41による包括的フィルタリング条件をもとに新規のフィルタリング条件を作成する処理を示している。
【0041】
例えば、特定の企業の製品に付けられた無線タグの情報がホストPC10(アプリケーション部10a)における処理に必要とされる場合、対象とする企業の企業コードを表すビットパターンが包括的フィルタリング条件として指定される。ここで、包括的フィルタリング条件とする企業コードを表すビットパターンが”1010”であったものとする。
【0042】
フィルタリング条件作成部41は、包括的フィルタリング条件とするビットパターンをビット反転して排他的フィルタリング条件を表すビットパターン”0101”を生成する。すなわち、排他的フィルタリング条件とするビットパターン”0×××””×1×××””××0×””×××1”(×は任意)を生成する。
【0043】
フィルタリング条件作成部41は、新しい読み取り設定情報により指定された物理リーダーに対して設定済みの排他的フィルタリング条件(ビットパターン”1001”)と新たに生成した排他的フィルタリング条件とを比較し、その結果に応じて各ビットパターンを新規のフィルタリング条件のビットパターンとするかどうかを決定する。
【0044】
ここでは、ビットパターン”0×××””×1×××””××0×””×××1”と”1001”とを比較した結果、”1001”が生成した排他的フィルタリング条件のビットパターンに含まれるので、このビットパターン”1001”を省き、4つのビットパターンを新たな排他的フィルタリング条件を表すビットパターンとする。
【0045】
なお、生成した4つのビットパターンに、物理リーダーに対して設定済みの排他的フィルタリング条件のビットパターンが含まれない場合には、設定済みのビットパターンを5つ目のビットパターンとして追加する、あるいは再度ビットパターンを生成する。
【0046】
図5は、フィルタリング条件作成部41による排他的フィルタリング条件をもとに新規のフィルタリング条件を作成する処理を示している。
【0047】
例えば、特定の企業の製品に付けられた無線タグの情報がホストPC10(アプリケーション部10a)における処理に不要とされる場合、不要とする商品の商品コードを表すビットパターンが排他的フィルタリング条件として指定される。ここで、排他的フィルタリング条件とする商品コードを表すビットパターンが”1010”であったものとする。
【0048】
フィルタリング条件作成部41は、新しい読み取り設定情報により指定された物理リーダーに対して設定済みの排他的フィルタリング条件(ビットパターン”1001”)と新たに生成されたフィルタリング条件とを比較することで新規の排他的フィルタリング条件のビットパターンを生成して、フィルタリング条件設定部42により該当する物理リーダーに設定させる。
【0049】
ここでは、ビットパターンが”1010”と”1011”とを比較すると一致しないので、ビットパターン”1010”と”1011”とが新しい排他的フィルタリング条件のビットパターンとなる。
【0050】
このようにして、第1実施形態では、ホストPC10からの読み取り設定情報によって指定されたフィルタリング条件をRFIDリーダー141,142,…に設定し、RFIDリーダー141,142,…においてフィルタリング処理を実行することで、RFIDリーダー141,142,…からRFIDミドルウェアサーバ12に送信される情報量を削減することができる。従って、情報の送受信に要する処理負荷を軽減すると共に、RFIDミドルウェア20により実行されるフィルタリングについても処理対象とする情報量が少ないので負荷が軽減される。また、ホストPC10からの新しい読み取り設定情報によって指定されたフィルタリング条件と、RFIDリーダー141,142,…に設定済みのフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を生成して、読み取り処理に使用されるRFIDリーダーに対して設定されるので、重複するフィルタリング処理を回避することができる。
【0051】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態におけるRFIDシステムの構成を示すブロック図である。第1実施形態では、RFIDミドルウェア20をRFIDミドルウェアサーバ12で実行させることで無線タグ読取装置を実現しているが、第2実施形態では、RFIDミドルウェアサーバ12において、RFIDミドルウェア20aにより実現される無線タグから情報を読み取るための制御を実行する第1の機能の他に、第1の機能手段に対する補助機能を実行するRFIDミドルウェア補助サービス部22a(第2の機能)が設けられている。RFIDミドルウェア補助サービス部22aは、RFIDミドルウェアサーバ12において補助サービスプログラムを実行させることで実現され、RFIDミドルウェア20aと協働して無線タグ読取装置の一部機能として動作する。
【0052】
RFIDミドルウェア補助サービス部22aの読み取り設定監視部40aは、第1実施形態の読み取り設定監視部40のように、読み取り設定管理部31aを監視して新しい読み取り設定が保管されたことを監視するのではなく、ホストPC10とRFIDミドルウェア20aとの間のやりとり、具体的にはRFIDミドルウェア20aの通信部30aを監視することにより読み取り設定情報が追加されたことを検出する。
【0053】
例えば、読み取り設定監視部40aは、ホストPC10から通信部30aに対して出力される命令をキャプチャし、読み取り設定情報を送信する命令を判別することにより、新しい読み取り設定情報が追加されたことを検出する。読み取り設定監視部40aは、この命令と共にホストPC10から送信された新しい読み取り設定情報を取得する。なお、RFIDミドルウェア補助サービス部22aが動作している間、新しい読み取り設定情報が受信された場合に読み取り設定監視部40aに通知する機能を通信部30aに設けるようにしても良い。
【0054】
なお、他の機能部については、第1実施形態と同様に動作するものとして詳細な説明を省略する。
このようにして、第2実施形態では、RFIDミドルウェア20aとは別に設けられたRFIDミドルウェア補助サービス部22aを拡張機能として追加することにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態におけるRFIDシステムの構成を示すブロック図である。第2実施形態では、RFIDミドルウェアサーバ12においてRFIDミドルウェア20aとRFIDミドルウェア補助サービス部22aを動作されているが、第3実施形態では、無線タグ読取装置とRFIDミドルウェアサーバ12(第1の機器)とRFID設定ツール用PC(パーソナルコンピュータ)16(第2の機器)により構成されるものとし、RFIDミドルウェアサーバ12aにおいてRFIDミドルウェア20bを動作させ、RFID設定ツール用PC16においてRFIDミドルウェア補助サービス部22bを動作させる。RFIDミドルウェアサーバ12aとRFID設定ツール用PC16とは、ネットワークを介して接続されているものとする。RFIDミドルウェア補助サービス部22bは、RFID設定ツール用PC16において補助サービスプログラムを実行させることで実現され、RFIDミドルウェア20bと協働して無線タグ読取装置の一部機能として動作する。
【0056】
なお、RFIDミドルウェア補助サービス部22bの読み取り設定監視部40bは、第2実施形態の読み取り設定監視部40aと同様にして、読み取り設定管理部31bによって新しい読み取り設定が保管されたことを監視するものとする。また、他の機能部についても、第1実施形態と同様に動作するものとして詳細な説明を省略する。
このようにして、第3実施形態では、RFIDミドルウェアサーバ12aとは別に設けられたRFID設定ツール用PC16上で動作するRFIDミドルウェア補助サービス部22bを拡張機能として追加することにより、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
図8は、第2実施形態及び第3実施形態における読み取り設定監視部40a,40bの動作を示すフローチャートである。
ホストPC10のアプリケーション部10aは、管理者からの指示に応じてフィルタリング条件を含む読み取り設定情報を作成し、RFIDミドルウェアサーバ12に送信する。
【0058】
RFIDミドルウェアサーバ12,12aは、通信部30a,30bを通じて読み取り設定情報を受信して読み取り設定管理部31a,31bに渡す。読み取り設定管理部31a,31bは、通信部30a,30bから受け取った読み取り設定情報を記録して管理する。
【0059】
一方、読み取り設定監視部40a,40bは、通信部30a,30bが新しい読み取り設定情報を受信したか、すなわち新たな読み取り設定情報が追加されたかを監視している。読み取り設定監視部40a,40bは、新しい読み取り設定情報が通信部30a,30bに受信されたことを検出すると(ステップC1、Yes)、この検出と共にホストPC10から受信した新しい読み取り設定情報を解析し、読み取りに使用するRFIDリーダーを示す論理リーダーの情報とフィルタリング条件を読み取る(ステップC2)。
【0060】
なお、図8に示すステップC3〜C6の処理については、図2に示すA3〜A6と同様に実行されるものとして説明を省略する。
前述した説明では、RFIDリーダー141,142,…(RFIDドライバ141a,142a,…)に対して排他的フィルタリング条件を設定するものとして説明しているが、包括的フィルタリング条件を設定するようにしても良い。この場合、フィルタリング条件作成部41は、新しい読み取り設定情報により指定されたフィルタリング条件が排他的フィルタリング条件であった場合に、この排他的フィルタリング条件に該当しないビットパターンを新規のフィルタリング条件(アプリケーションが必要とする情報が含まれるようにフィルタリングするための条件)として生成するものとする。RFIDリーダー141,142,…は、それぞれに設定された包括的フィルタリング条件に従ってフィルタリングを実行して、読み取り結果とする情報をRFIDミドルウェアサーバ12に送信する。
【0061】
また、前述した説明では、RFIDリーダーの上位にあるRFIDミドルウェアサーバ12(第1実施形態、第2実施形態)、あるいはRFID設定ツール用PC16(第3実施形態)において、アプリケーション部10aからの新たな読み取り設定情報によって指定されたフィルタリング条件と、RFIDリーダーに既に設定されているフィルタリング条件とに基づいて、新たなフィルタリング条件を生成するものとしているが、各RFIDリーダーにおいてフィルタリング条件を生成して設定するようにしても良い。この場合、RFIDリーダーは、新しい読み取り設定情報で指定されたフィルタリング条件を、RFIDミドルウェアサーバ12あるいはRFID設定ツール用PC16から受信するものとする。
【0062】
さらに、前記実施形態では、RFIDミドルウェアサーバ12,12aあるいはRFID設定ツール用PC16の内部に発明を実施する機能であるRFIDミドルウェア(プログラム)20、RFIDミドルウェア補助サービス部22a、あるいはRFIDミドルウェア補助サービス部22bが予め記録されているものとして説明をしたが、これに限らず同様の機能をネットワークからダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0063】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…ホストPC、10a…アプリケーション部、12…RFIDミドルウェアサーバ、12a…RFIDミドルウェアサーバ、141,142…RFIDリーダー、141a,142a…RFIDドライバ、16…RFID設定ツール用PC、20…RFIDミドルウェア、22a,22b…RFIDミドルウェア補助サービス部、30,30b…通信部、31,31b…読み取り設定管理部、32,32a,32b…RFIDリーダー制御部、33…RFIDミドルウェア補助機能部、40,40a,40b…読み取り設定監視部、41,41a,41b…フィルタリング条件作成部、42,42a,42b…フィルタリング条件設定部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2008−263581号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付けられた無線タグの情報を、リーダーを通じて読み取る無線タグ読取装置において、
読み取りに使用するリーダーを指定する情報と不要な情報を取り除くためのフィルタリング条件とを含む読み取り設定情報を受信する通信手段と、
前記読み取り設定情報を管理する読み取り設定管理手段と、
前記読み取り設定管理手段により管理された前記読み取り設定情報に基づいて、前記リーダーに対してフィルタリング条件を設定して読み取りを実行させる制御手段と、
前記読み取り設定管理手段により管理される読み取り設定情報が追加されたことを監視する読み取り設定監視手段と、
前記読み取り設定監視手段の監視により前記読み取り設定情報が追加されたことが判別された場合に、この追加された前記読み取り設定情報により指定されたリーダーに対して設定済みのフィルタリング条件と、追加された前記読み取り設定情報のフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を作成するフィルタリング条件作成手段と、
前記フィルタリング条件作成手段により作成された新規のフィルタリング条件を前記リーダーに対して設定するフィルタリング条件設定手段とを具備したことを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記フィルタリング条件設定手段は、前記リーダーに対して排他的フィルタリング条件を設定するものであって、
前記フィルタリング条件作成手段は、追加された前記読み取り設定情報のフィルタリング条件が包括的フィルタリング条件であった場合に排他的フィルタリング条件に変換し、この変換により得られた排他的フィルタリング条件と前記リーダーに対して設定済みの排他的フィルタリング条件から新規のフィルタリング条件を作成することを特徴とする請求項1記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
物品に付けられた無線タグの情報を、リーダーを通じて読み取る無線タグ読取装置において、
前記無線タグから情報を読み取るための制御を実行する第1の機能手段と、前記第1の機能手段に対する補助機能を実行する第2の機能手段とを有し、
前記第1の機能手段は、
読み取りに使用するリーダーを指定する情報と不要な情報を取り除くためのフィルタリング条件とを含む読み取り設定情報を受信する通信手段と、
前記読み取り設定情報を管理する読み取り設定管理手段と、
前記読み取り設定管理手段により管理された前記読み取り設定情報に基づいて、前記リーダーに対してフィルタリング条件を設定して読み取りを実行させる制御手段とを含み、
前記第2の機能手段は、
前記読み取り設定管理手段により管理される読み取り設定情報が追加されたことを監視する読み取り設定監視手段と、
前記読み取り設定監視手段の監視により前記読み取り設定情報が追加されたことが判別された場合に、この追加された前記読み取り設定情報により指定されたリーダーに対して設定済みのフィルタリング条件と、追加された前記読み取り設定情報のフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を作成するフィルタリング条件作成手段と、
前記フィルタリング条件作成手段により作成された新規のフィルタリング条件を前記リーダーに対して設定するフィルタリング条件設定手段とを含むことを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項4】
物品に付けられた無線タグの情報を、リーダーを通じて読み取る無線タグ読取装置において、
第1の機器と第2の機器とから構成され、
前記第1の機器は、
読み取りに使用するリーダーを指定する情報と不要な情報を取り除くためのフィルタリング条件とを含む読み取り設定情報を受信する通信手段と、
前記読み取り設定情報を管理する読み取り設定管理手段と、
前記読み取り設定管理手段により管理された前記読み取り設定情報に基づいて、前記リーダーに対してフィルタリング条件を設定して読み取りを実行させる制御手段とを具備し、
前記第2の機器は、
前記読み取り設定管理手段により管理される読み取り設定情報が追加されたことを監視する読み取り設定監視手段と、
前記読み取り設定監視手段の監視により前記読み取り設定情報が追加されたことが判別された場合に、この追加された前記読み取り設定情報により指定されたリーダーに対して設定済みのフィルタリング条件と、追加された前記読み取り設定情報のフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を作成するフィルタリング条件作成手段と、
前記フィルタリング条件作成手段により作成された新規のフィルタリング条件を前記リーダーに対して設定するフィルタリング条件設定手段とを具備したことを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項5】
物品に付けられた無線タグの情報を、リーダーを通じて読み取るコンピュータを、
読み取りに使用するリーダーを指定する情報と不要な情報を取り除くためのフィルタリング条件とを含む読み取り設定情報を受信する通信手段と、
前記読み取り設定情報を管理する読み取り設定管理手段と、
前記読み取り設定管理手段により管理された前記読み取り設定情報に基づいて前記リーダーを制御して読み取りを実行させる制御手段と、
前記読み取り設定管理手段により管理される読み取り設定情報が追加されたことを監視する読み取り設定監視手段と、
前記読み取り設定監視手段の監視により前記読み取り設定情報が追加されたことが判別された場合に、この追加された前記読み取り設定情報により指定されたリーダーに対して前記フィルタリング条件設定手段により設定済みのフィルタリング条件と、追加された前記読み取り設定情報のフィルタリング条件とをもとに新規のフィルタリング条件を作成するフィルタリング条件作成手段と、
前記フィルタリング条件作成手段により作成された新規のフィルタリング条件を前記リーダーに対して設定するフィルタリング条件設定手段として機能させるためのフィルタリング制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate