説明

無線タグ読取装置及びその読取方法

【課題】物流分野におけるRFIDシステムのコスト低減及びタグデータ読取作業の効率向上を図る。
【解決手段】無線タグを検知すると、その無線タグにおけるメモリのEPC領域からデータを読み取り、読み取ったデータをEPCのデータとして出力する。次いで、同無線タグにおけるメモリのユーザ領域からデータを読み取る。そして、読み取ったデータがEPCのデータとして整合性の取れているものか否かを判断する。整合性の取れているデータであると判断された場合は、読み取ったデータをEPCのデータとして出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流分野におけるRFID(Radio Frequency Identification)システムの無線タグ読取装置及びその読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物流分野においては、近年、無線タグを利用したRFIDシステムの導入が進められている。この分野の場合、取り扱うデータ量が膨大となる上、複数の国をまたぐことがあるため、SGTIN(Serialized Global Trade Item Number)やSSCC(Serial Shipping Container Code)といったグローバルで完全にユニークになる物品管理用のコード、いわゆるエレクトリック・プロダクト・コード(Electric Product Code:以下、EPCと略称する)が活用されている。
【0003】
因みに、SGTINコードは、国際標準の商品識別コードであるGTINにシリアル番号を付すことで商品を個別管理するためのコード体系であり、現在、96ビットを使用したSGTIN−96と198ビットとのSGTIN−198とがEPCグローバルで規定されている。SSCCコードは、ケース、段ボール、パレット等の輸送用の梱包体を個別管理するためのコード体系であり、現在、96ビットを使用したSSCC−96がEPCグローバルで規定されている。
【0004】
なお、本明細書では、これらSGTIN−96、SGTIN−198及びSSCC−96を総称してEPCデータと定義する。
【0005】
商品製造業者は、製造した各商品に対して1品毎に異なるEPCデータ(SGTIN−96またはSGTIN198)が書き込まれた無線タグを取り付ける。また、各商品をそれぞれ梱包した梱包体に対しても、1梱包体毎に異なるEPCデータ(SSCC−96)が書き込まれた無線タグを取り付ける。そして、各商品にそれぞれ取り付けられた無線タグのEPCデータに対して、それぞれその商品が梱包された梱包体に取り付けられた無線タグのEPCデータと、その商品の製造情報とが紐付けされたデータベースを作成する。
【0006】
一方、梱包された商品を入荷した物流センターや小売業者では、無線タグ読取装置を使用して、梱包体に付された無線タグとその梱包体内の商品に付された無線タグの各EPCデータをそれぞれ非接触で読取る。そして、各EPCデータで、ネットワークを介して接続されている商品製造業者のデータベースにアクセスする。こうすることにより、梱包体を開梱することなくその梱包体内の商品を確認することができる。
【0007】
従来、商品に取り付けた第1の無線タグと、その商品を梱包する梱包体に取り付けた第2の無線タグと、第1の無線タグ及び前記第2の無線タグのデータの読取りを行う無線タグ読取装置とを備え、商品管理の効率化を図ったRFIDシステムは、すでに知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−084781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、物流分野において、従来のRFIDシステムを導入する場合には、商品とその商品が梱包された梱包体との各々に無線タグからなる無線タグを取り付けなければならなかったので、コストがかかるという問題があった。
【0009】
また一般に、RFIDシステムには、無線タグ読取装置によって多数の無線タグのデータを一括して読取ることができるという特徴がある。しかし、物流分野の場合は、商品に取り付けられた無線タグと梱包体に取り付けられた無線タグとの関連付けが必要となる。例えば、梱包体Aと梱包体Bに対して同時にタグデータの読取作業を行った場合、梱包体Aの無線タグA1及びこの梱包体Aに梱包されている商品の無線タグA2と、梱包体Bの無線タグB1及びこの梱包体Bに梱包されている商品の無線タグB2との4つのタグデータが同時に読取られる。このため、各タグデータを受信した上位機では、例えば無線タグA2は、梱包体Aに収容されている商品のタグなのか梱包体Bに収容されている商品のタグなのかが判別できなくなる。したがって、複数の梱包体に対して同時にタグデータの読取り作業を行うことはできなかったので、作業効率が悪いという問題もあった。
【0010】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、物流分野におけるRFIDシステムのコスト低減及びタグデータ読取作業の効率向上を図り得る無線タグ読取装置及びその読取方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の無線タグ読取装置は、EPCの規格に準拠した無線タグのデータを読み取る装置であって、無線タグと無線通信を行うためのアンテナと、このアンテナの交信領域内に存在する無線タグを検知するタグ検知手段と、このタグ検知手段により無線タグを検知すると、その無線タグにおけるメモリのEPC領域からデータを読み取るとともに、同メモリのユーザ領域からデータを読み取り、前記ユーザ領域から読み取ったデータがEPCのデータとして整合性の取れているものかチェックし、整合性の取れているデータであるとき、前記ユーザ領域から読取ったデータを前記EPC領域から読取ったデータとともにEPCのデータとして出力する読取制御手段とを備えたものである。
【0012】
また、本発明の無線タグ読取方法は、無線タグ読取装置によりEPCの規格に準拠した無線タグのデータを読み取る方法であって、無線タグにおけるメモリのEPC領域からデータを読み取る第1の読取ステップと、この第1の読取ステップにより読み取ったデータをEPCのデータとして出力する第1の出力ステップと、無線タグにおけるメモリのユーザ領域からデータを読み取る第2の読取ステップと、この第2の読取ステップにより読み取ったデータがEPCのデータとして整合性の取れているものか否かを判断する判断ステップと、この判断ステップにより整合性の取れているデータであると判断された場合は、第2の読取ステップにより読み取ったデータをEPCのデータとして出力する第2の出力ステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
かかる手段を講じた本発明によれば、物流分野におけるRFIDシステムのコスト低減及びタグデータ読取作業の効率向上を図ることができる無線タグ読取装置及びその読取方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
この実施の形態は、梱包体に梱包された商品の確認作業を行う物流センタや小売店等に構築されるRFIDシステムの無線タグ読取装置に本発明を適用した場合である。
【0015】
図1は、本実施の形態におけるRFIDシステムの全体構成図である。本システムは、無線タグ読取装置1とクライアント端末2とを備えている。無線タグ読取装置1は、RFIDリーダ・ライタ11と平板状のアンテナユニット12とから構成されている。RFIDリーダ・ライタ11には、通信ケーブルを介してクライアント端末2が双方向通信自在に接続されている。
【0016】
クライアント端末2は、例えばパソコンであって、インターネット等のネットワーク3を介してシステム外部の商品管理サーバ4に接続されている。商品管理サーバ4は、このRFIDシステムで物流が管理される各商品5A,5BのSGTINコードにそれぞれ対応付けて、その商品5A,5Bがそれぞれ梱包された梱包体6A,6BのSSCCコードと、その商品5A,5Bの製造情報とを記憶保存してなるデータベース7を管理する。
【0017】
アンテナユニット12は、送信時に高周波信号を電波として放射し、受信時は電波を高周波信号に変換する働きをする。アンテナユニット12から放射される電波を無線タグ8が受信すると、その無線タグ8が活性化される。RFIDリーダ・ライタ11は、活性化された無線タグ8の内部メモリに無線通信を利用してアクセスし、情報の書込みや読取りを非接触で行う。RFIDリーダ・ライタ11の詳細については後述する。
【0018】
本実施の形態では、各商品5A,5Bを梱包する梱包体6A,6Bに対してそれぞれ1枚の無線タグ8A,8Bが取り付けられている。
【0019】
無線タグ8(8A,8B)は、RFID、RFタグ、電子タグ等とも称されるもので、その要部構成を図2のブロック図で示す。図示するように、無線タグ8は、アンテナ81とICチップ82とから構成されている。アンテナ81は、例えば矩形状に成形されたループアンテナである。
【0020】
ICチップ82は、アンテナ81で受信した無線タグ読取装置1からの変調波の整流と安定化を行うことによりICチップ82の各部に電源を供給する電源生成部83、上記変調波を復調して制御部86へ送出する復調部84、制御部86から送出されたデータを変調してアンテナ71に送出する変調部85、復調部84で復調されたデータをメモリ87に書き込んだり、メモリ87からデータを読み出して変調部75へ送出したりする制御部86、EEPROM等の不揮発性の書換え可能なメモリ87等で構成されている。
【0021】
さて、本実施の形態において使用される無線タグ8は、EPC(Electric Product Code)の規格に準拠している。このEPC規格に準拠した無線タグ8のメモリ87のエリア構成を図3に示す。
【0022】
メモリ87は、リザーブ(Reserve)領域871と、タグID(TID)領域872と、識別データ(EPC)領域873と、ユーザ(USER)領域874とに区分されている。タグID領域872には、当該無線タグ8の製造業者に対して割当てられ、製造段階で設定された固有のIDコードが予め記憶されている。識別データ領域873は、先頭の2バイトにその識別データの整合性チェックのためのデータ(CRC)が記憶され、それに続く2バイトに、EPCデータの長さを特定するためのプロトコル制御データ(PC)が記憶され、その後に、実際のEPCデータ(EPC1)が記憶される構成となっている。整合性チェックのためのデータは、実際のEPCデータから算出されたCRC値である。プロトコル制御データは、当該プロトコル制御データとEPCデータとの合計サイズを表す。EPCデータは、前述したように、96ビットを使用したSGTIN−96、198ビットとのSGTIN−198または96ビットを使用したSSCC−96のいずれかである。
【0023】
そして本実施の形態では、ユーザ領域874においても、識別データ領域873に記憶されるデータ(CRC+PC+EPC1)と同一構成のデータ(CRC+PC+EPC2)を記憶するものとする。因みに、ユーザ領域874における整合性チェックのためのデータ(CRC)は、実際のEPCデータ(EPC2)から算出されるCRC値である。また、ユーザ領域874におけるプロトコル制御データ(PC)は、当該プロトコル制御データとEPCデータ(EPC2)との合計サイズを表す。そして、識別データ領域873に記憶されるEPCデータ(EPC1)を、当該無線タグ8が付与される梱包体6に収容されている商品5のSGTINコード(SGTIN−96またはSGTIN−198)とし、ユーザ領域874に記憶されるEPCデータ(EPC2)を、当該無線タグ8が付与される梱包体6のSSCCコード(SSCC−96)とする。
【0024】
RFIDリーダ・ライタ11は、無線タグ8との交信制御にアンチコリジョンという方式を用いることにより、アンテナユニット12の交信領域内に複数の無線タグ8が存在してもデータを一括して読み取ることができるもので、その要部構成を図4のブロック図で示す。図示するように、RFIDリーダ・ライタ11は、インターフェイス部111、変調部112,送信アンプ113,サーキュレータ114,受信アンプ115,復調部116,メモリ117及び各部を制御する制御部118等で構成されている。
【0025】
インターフェイス部111は、通信ケーブルを介して接続されたクライアント端末2と制御部118との間で行われるデータ通信を中継する。変調部112は、制御部118から与えられる送信データを高周波信号に変調して送信アンプ113に出力する。送信アンプ113は、変調部112にて変調された高周波信号を増幅してサーキュレータ114に出力する。サーキュレータ114は、送信アンプ113にて増幅された変調波信号をアンテナユニット12側に出力する。また、アンテナユニット12で受信した高周波信号を受信アンプ115側に出力する。受信アンプ115は、サーキュレータ114側から入力された高周波信号を増幅して復調部116に出力する。復調部116は、受信アンプ115にて増幅された高周波信号を復調して受信データに変換し、制御部118に出力する。制御部118は、復調部116にて復調された受信データに基づき無線タグデータを読み取る。
【0026】
メモリ117には、少なくとも図5に示すように、5つのワーク領域E1,E2,M1,M2,Nが形成されている。
【0027】
しかして制御部118は、クライアント端末2からの起動コマンドをインターフェイス部111を介して受信すると、図6の流れ図に示す手順に従い無線タグのデータを読み取るように構成されている(読取制御手段)。
【0028】
先ず、制御部118は、ST(ステップ)1として無線タグの問合せ信号を変調部112に出力して、アンテナユニット12からのタグ問合せ電波の発信を制御する。そして、ST2として無線タグからの応答波を待機する(タグ検知手段)。
【0029】
アンテナユニット12を介して無線タグからの応答波を受信すると、制御部118は、ST3としてこの応答波発信元の無線タグと交信を行う。そして、当該無線タグの識別データ領域873に記憶されているデータ(CRC+PC+EPC1)を非接触で読み取る。そして、この読み取ったデータをメモリ117のワーク領域E1に格納する(第1の読取ステップ)。
【0030】
次に、制御部118は、ST4としてワーク領域E1に記憶した読取データをEPCデータとして、インターフェイス部111を介して上位のクライアント端末2に送信する(第1の出力ステップ)。
【0031】
次に、制御部118は、ST5として当該無線タグとさらに交信を行って、そのユーザ領域874に記憶されているデータのうち、先頭から4バイトのデータを読み取る。そして、前半の2バイトデータをメモリ117のワーク領域M1に格納し、後半の2バイトデータをメモリ117のワーク領域M2に格納する。さらに制御部118は、ST6としてワーク領域M2に記憶された2バイトデータの値をバイト数に換算し、このバイト数から2バイト減算した値をEPCデータサイズとする。そして、ST7として当該無線タグにおけるユーザ領域874の先頭より5バイト目から上記EPCデータサイズのデータを読み取る。そして、この読み取ったデータをメモリ117のワーク領域E2に格納する(第2の読取ステップ)。
【0032】
次に、制御部118は、ST8としてワーク領域E2に記憶した読取データから整合性チェックのためのデータ(CRC)値を算出する。そして、この算出したCRC値をメモリ117のワーク領域Nに格納する。しかる後、制御部118は、ST9としてワーク領域M1の値がワーク領域Nの値と一致するか否かを判断する(判断ステップ)。
【0033】
ここで、ワーク領域M1の値がワーク領域Nの値と一致しない場合には、当該無線タグのユーザ領域874に記憶されているデータは、整合性チェックのためのデータ(CRC)とプロトコル制御データ(PC)と実際のEPCデータとからなるデータではないので、他の処理を実行する。
【0034】
これに対し、ワーク領域M1の値がワーク領域Nの値と一致する場合には、当該無線タグのユーザ領域874に記憶されているデータは、整合性チェックのためのデータ(CRC)とプロトコル制御データ(PC)と実際のEPCデータとからなるデータであるので、ST10としてワーク領域E2に記憶した読取データをEPCデータとして、インターフェイス部111を介して上位のクライアント端末2に送信する(第2の出力ステップ)。
【0035】
その後、制御部118は、ST11として当該無線タグのユーザ領域874に対するデータの読取りが終了したか否かを判断する。終了していない場合には、制御部118は、ST12としてこのユーザ領域874から未読データのうちの先頭の4バイトを読取り、前半の2バイトデータをメモリ117のワーク領域M1に格納し、後半の2バイトデータをメモリ117のワーク領域M2に格納する。そして、前記ST6以降の処理を再度実行する。
【0036】
ST11にてユーザ領域874に対するデータの読取り終了を確認した場合には、制御部118は、当該無線タグに対するデータ読取り動作を終了する。
【0037】
このように構成された本実施の形態において、今、図1に示すように、商品5Aを梱包した梱包体6Aに設けられたEPC規格準拠の無線タグ8Aのデータと、商品5Bを梱包した梱包体6Bに設けられたEPC規格準拠の無線タグ8Bのデータとを同時に読み取る場合を想定する。この場合、一方の無線タグ8Aには、その識別データ領域873にEPC1データとして商品5AのSGTINコードが記憶され、ユーザ領域874にEPC2データとして梱包体6AのSSCCコードが記憶されている。他方の無線タグ8Bには、その識別データ領域873にEPC1データとして商品5BのSGTINコードが記憶され、ユーザ領域874にEPC2データとして梱包体6BのSSCCコードが記憶されている。
【0038】
クライアント端末2からRFIDリーダ・ライタ11に起動コマンドが出力されると、アンテナユニット12からタグ問合せ電波が発信される。この電波を受けて、例えば先に一方の梱包体6Aに付された無線タグ8Aが活性化され、続いて他方の梱包体6Bに付された無線タグ8Bが活性化されたとする。
【0039】
そうすると、RFIDリーダ・ライタ11においては、先ず、無線タグ8Aの識別データ領域873に記憶されているEPCデータ(商品5AのSGTINコード)が読み取られ、クライアント端末2に送信される。次いで、同無線タグ8Aのユーザ領域874から先頭4バイトのデータが読み取られ、前半の2バイトデータがワーク領域M1に格納され、後半の2バイトデータがワーク領域M2に格納される。さらに、ワーク領域M2に格納された2バイトデータの値がバイト数に換算され、その値から2バイトを減算した値がEPCデータサイズとして算出される。例えば、梱包体6AのSSCCコードが96ビットであるとすると、ワーク領域M2に格納された2バイトデータをバイト数に換算した値は14バイトとなり、EPCデータサイズは12バイトと換算される。
【0040】
しかる後、ユーザ領域874の先頭より5バイト目からEPCデータサイズ分のデータが読取られる。EPCデータサイズが12バイトと換算された場合には、先頭より5バイト目から12バイトのデータが読み取られる。そして、読み取られたデータのCRC値が算出され、ワーク領域M1内の2バイトデータと比較される。その結果、一致すると、読み取られたデータはEPCデータであると認識される。かくして、読み取られたEPCデータ、すなわち梱包体6AのSSCCコードがクライアント端末2に送信される。
【0041】
RFIDリーダ・ライタ11においては、次に、無線タグ8Bの識別データ領域873に記憶されているEPCデータ(商品5BのSGTINコード)が読み取られ、クライアント端末2に送信される。次いで、同無線タグ8Bのユーザ領域874から先頭4バイトのデータが読み取られ、前半の2バイトデータがワーク領域M1に格納され、後半の2バイトデータがワーク領域M2に格納される。さらに、ワーク領域M2に格納された2バイトデータの値がバイト数に換算され、その値から2バイトを減算した値がEPCデータサイズとして算出される。例えば、梱包体6BのSSCCコードが96ビットであるとすると、ワーク領域M2に格納された2バイトデータをバイト数に換算した値は14バイトとなり、EPCデータサイズは12バイトと換算される。
【0042】
しかる後、ユーザ領域874の先頭より5バイト目からEPCデータサイズ分のデータが読取られる。EPCデータサイズが12バイトと換算された場合には、先頭より5バイト目から12バイトのデータが読み取られる。そして、読み取られたデータのCRC値が算出され、ワーク領域M1内の2バイトデータと比較される。その結果、一致すると、読み取られたデータはEPCデータであると認識される。かくして、読み取られたEPCデータ、すなわち梱包体6BのSSCCコードがクライアント端末2に送信される。
【0043】
クライアント端末2においては、先ず、商品5AのSGTINコードが入力され、続いて梱包体6AのSSCCコードが入力される。したがって、ネットワーク3を介して接続された商品管理サーバ4のデータベース7にアクセスすることによって、梱包体6Aを開梱することなくその梱包体6A内の商品5Aを確認することができる。
【0044】
また次に、商品5BのSGTINコードが入力され、続いて梱包体6BのSSCCコードが入力される。したがって、上記と同様により、梱包体6Bを開梱することなくその梱包体6B内の商品5Bを確認することができる。
【0045】
このように本実施の形態によれば、1枚の無線タグ8で、EPC規格に準拠した商品用の無線タグと梱包体用の無線タグとを兼用することができるので、物流分野におけるRFIDシステムで必要な無線タグの枚数を削減することができる。その結果、コストを低減できる効果を奏する。
【0046】
また、一度に複数の梱包済商品に対してタグデータの読取り作業を実施することができるので、タグデータ読取り作業の効率向上を図ることができる。
【0047】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0048】
例えば、前記実施の形態では、EPC規格に準拠した無線タグ8から読取ったEPCデータの出力先を外部のクライアント端末2としている。しかし、出力先はクライアント端末2に限定されるものではない。また、データの出力方法も伝送出力だけに限定されるものではない。例えば記録媒体への書込み出力等であってもよい。
【0049】
また、前記実施の形態では、無線タグ8(8A,8B)を梱包体6(6A,6B)に設けた場合を示した。しかし、RFIDリーダ・ライタ11は、無線通信により非接触で無線タグ8のユーザ領域874にデータを書込むことができる。そこで、梱包体6に商品5を収容する前にその商品5(5A,5B)にEPC規格に準拠した無線タグ8に設け、商品5を梱包体6に梱包した後に、その商品5に設けられた無線タグ8のユーザ領域874に梱包体6のSSCCコードを書込むようにすれば、無線タグ8を商品5に設けることも可能である。
【0050】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施の形態であるRFIDシステムの全体図。
【図2】同実施の形態において使用される無線タグの要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態において使用される無線タグのメモリ領域構成を示す模式図。
【図4】同実施の形態において使用されるRFIDリーダ・ライタの要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態において使用されるRFIDリーダ・ライタのメモリに形成される主要なエリア構成を示す模式図。
【図6】同実施の形態において使用されるRFIDリーダ・ライタの制御部が実行する主要な制御手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0052】
1…無線タグ読取装置、2…クライアント端末、4…商品管理サーバ、5(5A,5B)…商品、6(6A,6B)…梱包体、7…データベース、8(8A,8B)…無線タグ、12…アンテナユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトリック・プロダクト・コードの規格に準拠した無線タグのデータを読み取る無線タグ読取装置において、
前記無線タグと無線通信を行うためのアンテナと、
このアンテナの交信領域内に存在する前記無線タグを検知するタグ検知手段と、
このタグ検知手段により前記無線タグを検知すると、その無線タグにおけるメモリのエレクトリック・プロダクト・コード領域からデータを読み取るとともに、同メモリのユーザ領域からデータを読み取り、前記ユーザ領域から読み取ったデータがエレクトリック・プロダクト・コードのデータとして整合性の取れているものかチェックし、整合性の取れているデータであるとき、前記ユーザ領域から読取ったデータを前記エレクトリック・プロダクト・コード領域から読取ったデータとともに前記エレクトリック・プロダクト・コードのデータとして出力する読取制御手段と、
を具備したことを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項2】
無線タグ読取装置によりエレクトリック・プロダクト・コードの規格に準拠した無線タグのデータを読み取る無線タグ読取方法であって、
前記無線タグにおけるメモリのエレクトリック・プロダクト・コード領域からデータを読み取る第1の読取ステップと、
この第1の読取ステップにより読み取ったデータをエレクトリック・プロダクト・コードのデータとして出力する第1の出力ステップと、
前記無線タグにおけるメモリのユーザ領域からデータを読み取る第2の読取ステップと、
この第2の読取ステップにより読み取ったデータが前記エレクトリック・プロダクト・コードのデータとして整合性の取れているものか否かを判断する判断ステップと、
この判断ステップにより整合性の取れているデータであると判断された場合は、前記第2の読取ステップにより読み取ったデータを前記エレクトリック・プロダクト・コードのデータとして出力する第2の出力ステップと、
を具備したことを特徴とする無線タグ読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−176633(P2008−176633A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10407(P2007−10407)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】