説明

無線タグ通信装置

【課題】無線タグとの通信における通信成功率を増大させ、信頼性を向上する。
【解決手段】リーダ1は、リーダアンテナユニット3と、RSSI回路226とを有する。RSSI回路226により検出される受信信号強度に基づき、他のリーダにより使用されているチャンネルを検出する。その検出されたチャンネルのチャンネル番号Chと、当該チャンネルを使用している他のリーダのリーダ番号Rとを、所定の時間区分ごとに関連付けて集計した、他機使用チャンネルリストを作成する。その他機使用チャンネルリストを用いて、他のリーダの使用するチャンネルとの干渉が低減されるように、自機使用チャンネルリストを決定する。その決定された自機使用チャンネルリストの設定内容に沿い、リーダアンテナユニット3により無線タグTと情報送受信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグに対し無線通信を行う、無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグに対し無線通信を行う無線タグ通信装置として、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。この従来技術の無線タグ通信装置としての質問器は、制御部、記憶部、及びホッピングパターン設定部等を備えた本体と、アンテナ手段としてのアンテナとから構成されている。制御部は、起動時に、記憶部のホッピングパターンメモリに記憶された、周波数ホッピングパターンコードを読み出し、ホッピングパターン設定部に設定する動作を行う。これにより、設定された周波数ホッピングパターンコードに基づく周波数ホッピングパターンに従って、使用する周波数を順次切り替えながら、無線タグとしてのRadio Frequency IDentification(RFID)タグと無線通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4247271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、近接する質問器のホッピングパターンメモリに記憶させる周波数ホッピングパターンコードを、それぞれ異ならせている。これにより、近接する他の質問器が、同一の時間に同一の周波数を使用して通信を行った場合でも、周波数ホッピングにより、短時間のうちに互いに異なる周波数に切り替わるので、他の質問器との干渉を極力減らすことができる。
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、1つの無線タグ通信装置が他の無線タグ通信装置と同一の周波数を使用した状態となる時間幅の低減が図られているに過ぎない。すなわち、1つの無線タグ通信装置が他の無線タグ通信装置と同一の周波数を使用することによる、無線タグとの通信における通信成功率の低下を是正し、無線タグとの通信における通信エラーの低減化を図ることについては、特に考慮されていなかった。この結果、無線タグとの通信の信頼性を向上することは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、無線タグとの通信における通信成功率を増大させ、信頼性を向上することができる無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、無線タグに無線通信を行う無線タグ通信装置であって、複数のチャンネルを含む所定の周波数範囲内において、無線タグに対し無線通信を実行可能なアンテナ手段と、前記アンテナ手段により受信された電波の受信信号強度を検出する強度検出手段と、前記強度検出手段により検出される受信信号強度に基づき、前記複数のチャンネルのうち、他の無線タグ通信装置により使用されているチャンネルを検出するチャンネル検出手段と、前記チャンネル検出手段により検出されたチャンネルの、チャンネル識別情報と、当該チャンネルを使用している他の無線タグ通信装置の装置識別情報とを、所定の時間区分ごとに関連付けて集計した、他機使用チャンネルリストを作成する他機用リスト作成手段と、前記他機使用チャンネルリストを用いて、同一又は前記時間区分に対する所定の範囲内の前記時間区分において前記他の無線タグ通信装置の使用するチャンネルとの干渉が低減されるように、前記複数のチャンネルのうち使用するチャンネルのチャンネル識別情報が前記所定の時間区分ごとに順次設定された、自機使用チャンネルリストを決定する自機用リスト決定手段と、前記自機用リスト決定手段により決定された前記自機使用チャンネルリストの設定内容に沿い、前記アンテナ手段の使用するチャンネルを、前記所定の時間区分ごとに切り替えながら、当該アンテナ手段により無線タグと情報送受信を行う送受信制御手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明の無線タグ通信装置は、アンテナ手段と、送受信制御手段を有する。アンテナ手段は、所定の周波数範囲内の電波を用いて、無線タグと無線通信を行う。送受信制御手段の制御により、アンテナ手段は、所定の時間区分ごとに、使用するチャンネルを切り替える。すなわち、本願第1発明の無線タグ通信装置は、周波数ホッピングを実行しつつ、無線タグと無線通信を行う。
【0009】
送受信制御手段は、自機使用チャンネルリストに沿って、上記の使用チャンネルの切り替えを行う。自機使用チャンネルリストは、自機用リスト決定手段により決定される。自機用リスト決定手段は、他機使用チャンネルリストを参照して、自機使用チャンネルリストを決定する。他機使用チャンネルリストは、チャンネル検出手段による、他の無線タグ通信装置が使用しているチャンネルの検出結果に基づき、他機用リスト作成手段によって作成される。他機使用チャンネルリストでは、他の無線タグ通信装置の使用チャンネルのチャンネル識別情報と、他の無線タグ通信装置の装置識別情報とが、所定の時間区分ごとに関連付けて集計されている。自機用リスト決定手段は、このように集計された他機使用チャンネルリストを用いて、同一又は上記時間区分に対する所定の範囲内の時間区分において、使用するチャンネルが、他の無線タグ通信装置の使用するチャンネルとなるべく干渉しないように、自機使用チャンネルリストを決定する。
【0010】
以上のようにして、本願第1発明においては、チャンネル検出手段により検出された他の無線タグ通信装置の使用チャンネルに基づき、当該他の無線タグ通信装置の使用するチャンネルとなるべく干渉しないように、送受信制御手段による使用チャンネルの切り替えが行われる。これにより、複数の無線タグ通信装置どうしの間の通信干渉の発生を確実に低減できるので、無線タグとの通信における通信成功率を増大させ、信頼性を向上することができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1発明において、前記他機用リスト作成手段は、1つの前記他の無線タグ通信装置が使用しているチャンネルの前記チャンネル識別情報を、前記チャンネル検出手段により検出される順番で、当該他の無線タグ通信装置の前記装置識別情報に対して前記所定の時間区分ごとに順次関連付けていくとともに、既にチャンネル識別情報の関連付けが済んだチャンネルが前記チャンネル検出手段により検出されたら、当該他の無線タグ通信装置に係わる前記チャンネル識別情報の関連付けを終了することを特徴とする。
【0012】
一般に、周波数ホッピングを行う無線タグ通信装置は、予め設定された使用チャンネルの切替パターンを用いて、使用チャンネルの切り替えを行う。使用チャンネルの切り替えの際には、当該切替パターンにおいて設定されている最初のチャンネルから最後のチャンネルまで、順番にチャンネルが切り替えられていく。使用チャンネルは、切替パターンの最後のチャンネルまで一巡した後は、再び最初のチャンネルに戻り、同様の順番で切り替えられる。
【0013】
本願第2発明では、上記のような周波数切替パターンの特性に応じて、他機用リスト作成手段が他機使用チャンネルリストを作成する。すなわち、他機用リスト作成手段は、チャンネル検出手段が検出していく順番でチャンネル識別情報を順次リスト化していくとともに、一度リスト化が済んでいるチャンネルが再び検出されたら、リスト化を終了する。
【0014】
これにより、他機用リスト作成手段によるリスト化作業の実行を必要最小限にとどめ、不要なリスト化作業を継続する無駄を防止することができる。
【0015】
第3の発明は、上記第1又は第2発明において、前記強度検出手段により検出される受信信号強度に基づき、前記チャンネル検出手段により検出されたチャンネルを使用している、前記他の無線タグ通信装置を特定する装置特定手段をさらに有し、前記他機用リスト作成手段は、前記チャンネル検出手段により検出されたチャンネルの、チャンネル識別情報と、前記装置特定手段により特定された、当該チャンネルを使用している他の無線タグ通信装置の装置識別情報とを、前記所定の時間区分ごとに関連付けて集計し、前記他機使用チャンネルリストを作成することを特徴とする。
【0016】
他の無線タグ通信装置が複数存在する場合、それら複数の他の無線タグ通信装置それぞれまでの距離や他の無線タグ通信装置の送信出力、送信アンテナゲインに応じて、各装置からの電波がアンテナ手段により受信されるときの受信信号強度が異なる。本願第3発明においては、上記の挙動を利用し、装置特定手段が、強度検出手段の検出する受信信号強度に基づき、他の無線タグ通信装置を特定する。これにより、複数の他の無線タグ通信装置から送信する信号それぞれに当該装置の識別情報を含める等の複雑な制御を行うことなく、確実に他の無線タグ通信装置を特定することができる。
【0017】
第4の発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記自機用リスト決定手段は、前記複数のチャンネルのうち使用するチャンネルのチャンネル識別情報を、前記アンテナ手段による通信を予定する時間範囲内にわたり前記所定の時間区分ごとに順次設定し、前記自機使用チャンネルリストを作成することを特徴とする。
【0018】
自らが行おうとする通信に必要な時間範囲のみリスト化を行うことで、無駄なリスト化作業を防止し、迅速に通信を開始することができる。
【0019】
第5の発明は、上記第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記自機用リスト決定手段は、前記使用するチャンネルとして、前記複数のチャンネルのうち予め前記自機使用チャンネルリストの作成が許容されている複数の第1チャンネルを用いて、前記自機使用チャンネルリストを作成し、前記送受信制御手段は、前記複数の第1チャンネルを用いた前記自機使用チャンネルリストの設定内容に沿って、前記アンテナ手段の使用するチャンネルを前記所定の時間区分ごとに切り替えながら、前記情報送受信を行うとともに、前記複数のチャンネルのうち前記自機使用チャンネルリストの作成が許容されない複数の第2チャンネルについては、予め固定的に定められた固定チャンネルリストの設定内容に沿って、前記アンテナ手段の使用するチャンネルを、前記所定の時間区分ごとに切り替えながら、前記情報送受信を行うことを特徴とする。
【0020】
検出された他の無線タグ通信装置の使用チャンネルに基づき自機使用チャンネルリストを作成する、本願発明の無線タグ通信装置が複数台存在し、それぞれが無線タグと通信を行う場合が考えられる。この場合、一方の無線タグ通信装置は、他方の無線タグ通信装置の使用チャンネルに基づき自らが使用する自機使用チャンネルリストを変更する。すると、他方の無線タグ通信装置も、上記変更された使用チャンネルを検出し、自らが使用する自機使用チャンネルリストを同様に変更する。これらの結果、2つの無線タグ通信装置の間で、お互いの自機使用チャンネルリストの変更が繰り返されることとなり、両機ともに安定的な通信を行うことができなくなる。
【0021】
本願第5発明では、上記に対応し、所定の周波数範囲内の複数のチャンネルを、予め自機使用チャンネルリストの作成が許容された複数の第1チャンネルと、自機使用チャンネルリストの作成が許容されない複数の第2チャンネルとによって構成する。そして、自機用リスト作成手段は、複数の第1チャンネルのみを用いてリスト作成を行う。送受信制御手段は、複数の第1チャンネルについては自機使用チャンネルリストに沿ってチャンネルを切り替えるとともに、複数の第2チャンネルについては予め固定的に定められた固定チャンネルリストに沿ってチャンネルを切り替える。これにより、少なくとも、複数の第2チャンネルに関しては、各無線タグ通信装置におけるチャンネルの切替パターンが固定され、変更されることがない。したがって、当該複数の第2チャンネルについては、前述の通信の不安定化の弊害を回避し、安定的な通信を行うことができる。
【0022】
第6の発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、予め、複数の前記自機使用チャンネルリストを記憶した第1リスト記憶手段をさらに有し、前記自機用リスト決定手段は、前記他機用リスト作成手段により作成された前記他機使用チャンネルリストを参照し、前記第1リスト記憶手段に記憶された前記複数の前記自機使用チャンネルリストのうち、同一又は前記時間区分に対する前記所定の範囲内の前記時間区分において前記他の無線タグ通信装置の使用するチャンネルとの干渉が低減される自機使用チャンネルリストを、使用するリストとして決定することを特徴とする。
【0023】
本願第6発明においては、自機用リスト決定手段は、他機使用チャンネルリストを参照し、予め複数種類用意されたリストの中から、好適なリストを選択して自機使用チャンネルリストとする。これにより、自機使用チャンネルリストを作成する場合に比べ、より簡素な処理で、迅速に自機使用チャンネルリストを確定し、無線タグとの通信を開始することができる。
【0024】
第7の発明は、上記第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記送受信制御手段による制御に基づき前記無線タグとの情報送受信が実行されているときに、前記無線タグとの通信において通信エラーが生じたかどうかを判定する通信エラー判定手段をさらに有し、前記自機用リスト決定手段は、前記通信エラー判定手段により、前記無線タグとの通信において通信エラーが生じたと判定された場合は、前記自機使用チャンネルリストの決定を再度行うことを特徴とする。
【0025】
送受信制御手段による制御の下で通信を開始した後に、他の無線タグ通信装置との通信干渉が生じた場合には、使用している自機使用チャンネルリストが必ずしも適正とは言えない。そこで本願第7発明においては、通信エラー判定手段により無線タグとの通信において通信エラーが生じたと判定された場合には、他の無線タグ通信装置との通信干渉が生じたとみなし、自機用リスト決定手段が、再度自機使用チャンネルリストの決定を行う。これにより、自機使用チャンネルリストの決定後に、他の無線タグ通信装置の使用チャンネルに変化があったことにより、無線タグとの通信エラーが生じた場合等にも対応して、自機使用チャンネルリストの適正化を図り、確実に通信信頼性を向上することができる。
【0026】
第8の発明は、上記第1乃至第7発明のいずれかにおいて、前記自機用リスト決定手段により決定された自機使用チャンネルリストを、前記アンテナ手段を用いた無線通信により送信可能なリスト送信手段をさらに有することを特徴とする。
【0027】
これにより、自己の決定したチャンネルの切替パターンを、他の無線タグ通信装置が通信開始する前に、当該他の無線タグ通信装置に知らせることができる。この結果、他の無線タグ通信装置は、通信開始前に受信した切替パターンを加味した周波数ホッピングを実行可能となるので、さらに通信信頼性を向上することができる。
【0028】
第9の発明は、上記第1乃至第8発明のいずれかにおいて、前記チャンネル検出手段により行われる前記他の無線タグ通信装置が使用しているチャンネルの検出と前記他機用リスト作成手段により行われる前記他機使用チャンネルリストの作成とを省略した動作を指示する、簡易起動指令が入力されたかどうかを判定する簡易起動判定手段と、前記起動指令入力時のための1つの前記自機使用チャンネルリストを記憶した第2リスト記憶手段と、をさらに有し、前記自機用リスト決定手段は、前記簡易起動判定手段により前記簡易起動指令が入力されたと判定された場合には、前記第2リスト記憶手段に記憶された前記1つの自機使用チャンネルリストリストを、使用するリストとして決定することを特徴とする。
【0029】
これにより、通信信頼性の確実な向上よりも迅速な通信開始を優先したいユーザのニーズにも、対応することができる。この結果、ユーザにとっての利便性が向上する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、無線タグとの通信における通信成功率を増大させ、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態のリーダの使用態様の一例を表す説明図である。
【図2】リーダの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図3】リーダのRF通信制御部の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】作成された他機使用チャンネルリストの一例を表す説明図である。
【図5】他のリーダにより現在使用されているチャンネルの検出結果、及び、対応する検出順番保持データの一例を表す説明図である。
【図6】自機使用チャンネルリストを決定する手順の概要を説明する説明図である。
【図7】自機使用チャンネルリストの一例を表す説明図である。
【図8】CPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図9】ステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図10】ステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図11】ステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
【図12】ステップS300の詳細手順を表すフローチャートである。
【図13】ステップS400の詳細手順を表すフローチャートである。
【図14】ステップS500の詳細手順を表すフローチャートである。
【図15】起動後すぐに通信を行う変形例において、CPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図16】一部を固定チャンネルとする変形例において、第1チャンネル及び第2チャンネルについて説明する説明図である。
【図17】固定チャンネルリストの一例を表す説明図である。
【図18】作成当初の候補チャンネルリストから、自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない複数のチャンネルを消去した後の、候補チャンネルリストの一例を表す説明図である。
【図19】ステップS400の詳細手順を表すフローチャートである。
【図20】好適な自機使用チャンネルリストを選択決定する変形例において、ステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
【図21】ステップS600の詳細手順を表すフローチャートである。
【図22】ステップS600の詳細手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図1を用いて、本実施形態の無線タグ通信装置であるリーダの使用態様の一例を説明する。
【0034】
図1に示す例では、所定の会社に所属する複数の(図示の例では2人の)人物PAが存在している。各人物PAはそれぞれ、名札形状の無線タグTを所持している。また、各無線タグTにはそれぞれ、対応する人物名、所属部署名等の個人情報が記憶されている。
【0035】
本実施形態の無線タグ通信装置としてのリーダ1は、据置型の無線タグ通信装置である。このリーダ1は、本体制御部2、アンテナ手段としてのリーダアンテナユニット3、及びRF通信制御部9を有している。本体制御部2とRF通信制御部9とは、例えばUSBケーブル等の制御信号線11により接続されている。また、本体制御部2には、操作部7及び表示部8が設けられている。この例では、2台のリーダ1が、所定の近傍する範囲内で、人物PAにより所持される無線タグTの探索を行っている。リーダ1は、所定の時間区分ごとに使用するチャンネル(後述)を切り替えつつ、言い換えれば、周波数ホッピングを実行しつつ、リーダアンテナユニット3を介し通信領域20に存在する無線タグTに対し無線通信を行い、上記個人情報を取得する。
【0036】
図2を用いて、リーダ1の機能的構成を説明する。
【0037】
図2において、リーダ1は、本体制御部2と、RF通信制御部9と、リーダアンテナユニット3とを有している。
【0038】
リーダアンテナユニット3は、RF通信回路部9からの質問波を電波として放射するとともに、無線タグTからの応答波を受信してRF通信回路部9へ伝達する。
【0039】
また、無線タグTは、タグアンテナ151及びIC回路部150を備えた無線タグ回路部Toを有している。タグアンテナ151は、上記リーダ1から送信された質問波を受信してIC回路部150に伝達する。またこれとともに、リーダ1から送信される搬送波をIC回路部150からの応答信号に合わせて反射変調して応答波として返信する。IC回路部150は、情報を記憶する図示しないメモリ部を備えており、リーダ1からの質問波の内容に従ってメモリ部の情報を応答信号として出力する。
【0040】
RF通信制御部9は、上記リーダアンテナユニット3を介し、上記無線タグ回路部ToのIC回路部150に記憶された情報へアクセスする(詳細は後述)。また、このRF通信制御部9は、上記制御信号線11を介し、本体制御部2の外部インターフェース12(後述)と接続されている。
【0041】
本体制御部2は、不揮発性記憶装置5と、メモリ6と、操作部7と、表示部8と、外部インターフェース12と、乱数発生器10と、CPU4とを備えている。
【0042】
不揮発性記憶装置5は、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり、各種情報や各種プログラムを記憶する。また、この不揮発性記憶装置5には、CPU4により作成された、他機使用チャンネルリスト(後述)及び自機使用チャンネルリスト(後述)が記憶される。あるいは、予め、複数又は1つの自機使用チャンネルリストを記憶させておいてもよい(後述の(4)及び(5)の変形例を参照)。この不揮発性記憶装置5が、各請求項記載の第1リスト記憶手段として機能するとともに、第2リスト記憶手段としても機能する。
【0043】
メモリ6は、例えばRAMやROM等から構成される。操作部7は、ユーザからの指示や情報が入力される。表示部8は、各種情報やメッセージを表示する。
【0044】
外部インターフェース12は、例えばUniversal Serial Bus(USB)、Universal Asynchronous Receiver Transmitter(UART)等からなる。この外部インターフェース12は、CPU4とRF通信制御部9との間の通信を仲介する。また、この外部インターフェース12は、上記制御信号線11を介し、RF通信制御部9と接続されている。
【0045】
乱数発生器10は、0以上1未満の乱数を発生させる(詳細は後述)。
【0046】
CPU4は、上記メモリ6内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記不揮発性記憶装置5に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。これによって、CPU4は、リーダ1全体の各種制御を行う。また、CPU4は、無線タグ回路部ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出す。また、これとともに、無線タグ回路部ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンド等を生成する。
【0047】
図3を用いて、上記RF通信制御部9の詳細構成を説明する。
【0048】
図3において、RF通信制御部9は、送信部212と、受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0049】
送信部212は、リーダアンテナユニット3を介し無線タグ回路部ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。この送信部212は、CPU4の制御により、生成する上記質問波の周波数を切り替える。また、送信部212は、水晶振動子215Aと、Phase Locked Loop(PLL)215Bと、Voltage Controlled Oscillator(VCO)215Cと、送信乗算回路216と、ゲイン制御送信アンプ217とを備えている。
【0050】
水晶振動子215Aは、基準周波数を発生する。PLL215Bは、水晶振動子215Aにより発生された周波数を元に、VCO215Cの出力する搬送波の周波数が所定周波数となるように、CPU4の命令に基づきVCO215Cを制御する。VCO215Cは、PLL215Bによって発生される制御電圧に基づいて決められた周波数の搬送波を出力する。なお、発生される搬送波の周波数としては、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯の周波数が用いられる。
【0051】
送信乗算回路216は、CPU4から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調する。この例では、送信乗算回路216は、CPU4からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調を実行する。なお、このような振幅変調の場合、送信乗算回路216に代え、増幅率可変アンプ等を用いてもよい。
【0052】
ゲイン制御送信アンプ217は、上記送信乗算回路216により変調された変調波を増幅する。この例では、ゲイン制御送信アンプ217は、CPU4からの「TX_PWR」信号によって決定される増幅率により、増幅を行う。送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介し、リーダアンテナユニット3に伝達される。そして、質問波としてリーダアンテナユニット3から放射され、無線タグ回路部ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は、上記のように変調した信号、すなわち変調波に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0053】
受信部213は、リーダアンテナユニット3により受信された無線タグ回路部Toからの応答波を入力する。この受信部213は、I相受信乗算回路218と、I相バンドパスフィルタ219と、I相受信アンプ221と、I相リミッタ220と、移相器227と、Q相受信乗算回路222と、Q相バンドパスフィルタ223と、Q相受信アンプ225と、Q相リミッタ224と、強度検出手段としてのReceived Signal Strength Indicator回路226(以下、「RSSI回路226」と称する)とを備えている。
【0054】
I相受信乗算回路218は、リーダアンテナユニット3で受信され送受分離器214を介して入力された、無線タグ回路部Toからの応答波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する。
【0055】
I相バンドパスフィルタ219は、I相受信乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出す。I相受信アンプ221は、I相バンドパスフィルタ219の出力を増幅する。I相リミッタ220は、I相受信アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する。
【0056】
移相器227は、前述のようにして発生した搬送波の位相を90°遅らせる。Q相受信乗算回路222は、リーダアンテナユニット3で受信された無線タグ回路部Toからの応答波と、上記移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する。Q相バンドパスフィルタ223は、Q相受信乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出す。Q相受信アンプ225は、Q相バンドパスフィルタ223の出力を増幅する。Q相リミッタ224は、Q相受信アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する。
【0057】
I相リミッタ220から出力される信号「RXS−I」とQ相リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」とは、CPU4に入力されて処理される。また、I相受信アンプ221及びQ相受信アンプ225の出力は、RSSI回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU4に入力される。上記のようにして、リーダ1では、I−Q直交復調によって無線タグ回路部Toからの応答波の復調が行われる。
【0058】
また、上記ゲイン制御送信アンプ217を出力しない状態にすることにより、詳細には、上記「TX_PWR」信号により当該ゲイン制御送信アンプ217のゲインを最小にすることにより、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数と同一の周波数のチャンネルにおける他のリーダ(後述)から送信される電波を、上記受信部213により受信することができる。そして、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、所定の周波数範囲において使用可能なチャンネルの周波数に合致するように順次変更しつつ、上記RSSI回路226の出力を確認することにより、そのチャンネルが他のリーダにより使用されているかどうかを判断することができる。
【0059】
以上のような構成において、本実施形態の最大の特徴は、リーダ1のCPU4が、他機使用チャンネルリスト(後述)を作成すること、その他機使用チャンネルリストを用いて、他のリーダ1の使用するチャンネルとの干渉が低減されるように、自機使用チャンネルリスト(後述)を決定すること、及び、その決定された自機使用チャンネルリストの設定内容に沿い、無線タグTと情報送受信を行うこと、にある。
【0060】
リーダ1は、無線タグTに対し無線通信を行うにあたり、まず、近傍において自機以外の他のリーダが使用しているチャンネルをリスト化した、他機使用チャンネルリストの作成を行う。なお、上記他のリーダは、本発明に係る無線タグ通信装置、すなわち、リーダ1でもよいし、当該リーダ1と同様に周波数ホッピングを行う、従来の無線タグ通信装置でもよい。以下、上記他機使用チャンネルリストの作成手順の概要を説明する。
【0061】
本実施形態では、リーダ1及び他のリーダが使用可能な、所定の周波数範囲内に含まれる複数のチャンネルを、50チャンネルとする。そして、それら50チャンネルに対し、例えば周波数が低いチャンネルから順に、「1」、「2」、「3」、・・・、「48」、「49」、「50」で表されるチャンネル識別情報としてのチャンネル番号Ch(後述の図4参照)を割り当てている。
【0062】
リーダ1は、上記他機使用チャンネルリストを作成するときには、上記ゲイン制御送信アンプ217を出力しない状態にした上で、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、上記使用可能なチャンネルの周波数に合わせる。そして、リーダアンテナユニット3により受信された電波の受信信号強度Vs(後述の図4参照)を、RSSI回路226により検出する。これにより、上記他のリーダが使用しているチャンネルを検出するとともに、当該チャンネルを使用している他のリーダを特定する(詳細は後述)。このとき、リーダ1は、特定された他のリーダに対し、例えば特定された順に、「1」、「2」、「3」・・・で表される装置識別情報としてのリーダ番号R(後述の図4参照)を割り当てる。
【0063】
そして、上記検出されたチャンネルのチャンネル番号Chと、上記特定された他のリーダのリーダ番号Rとを、所定の時間区分ごとに関連付けて集計してリスト化する。詳細には、上記検出されたチャンネルのチャンネル番号Chを、検出される順番で、上記特定された他のリーダのリーダ番号Rに対して上記所定の時間区分ごとに順次関連付けリスト化する。そして、既にチャンネル番号Chの関連付けが済んだチャンネルが検出されたら、当該他のリーダに係わるチャンネル番号Chの関連付けを終了する。なお、他のリーダは、50チャンネルを使用可能となっているので、1つの他のリーダにおいて検出される最大のチャンネル数は50である。
【0064】
そして、上記のような手順を、所定の終了指示が入力されるまで行うことにより、他機使用チャンネルリストを作成する。なお、作成された他機使用チャンネルリストは、不揮発性記憶装置5に記憶される。
【0065】
図4に、作成された他機使用チャンネルリストの一例を示す。
【0066】
図4に示すように、他機使用チャンネルリストでは、上記検出されたチャンネルのチャンネル番号Chが、検出された順番(以下適宜、「検出順番S」と称する)ごとにリーダ番号Rに対して関連付けられて記録されている。なお、この例では、上記特定された他のリーダが3台であり、これら3台の他のリーダに対し、リーダ番号R=1,2,3がそれぞれ割り当てられている場合を示している。なお、この例では、上記特定された他のリーダのリーダ番号Rに対応した受信信号強度Vsも記録されている。
【0067】
このように、他機使用チャンネルリストは、リーダ1の近傍の他のリーダそれぞれについての、使用するチャンネルの切替パターンを表しているのである。例えば、リーダ番号R=1に対応した他のリーダの使用するチャンネルの切替パターンは、「42」→「21」→「43」→・・・→「7」→「15」→「31」である。
【0068】
そして、リーダ1は、上記他機使用チャンネルリストを作成すると、その他機使用チャンネルリストを用いて、自機が使用するチャンネルをリスト化した、自機使用チャンネルリストの作成を行う。以下、上記自機使用チャンネルリストの作成手順の概要を説明する。
【0069】
図5に、他のリーダにより現在使用されているチャンネルの検出結果、及び、対応する検出順番保持データの一例を示す。
【0070】
図5において、リーダ1は、上記自機使用チャンネルリストを作成するときには、まず、上記特定された他のリーダにより現在使用されているチャンネルを検出する。そして、上記作成された他機使用チャンネルリストを参照して、上記検出された、上記特定された他のリーダにより現在使用されているチャンネルに対応する検出順番Sを検出する。そして、上記特定された他のリーダごとに、その検出された検出順番Sのデータを保持する。なお、保持されたデータを、検出順番保持データS(R)とする。
【0071】
図5に示す例では、リーダ番号R=1に対応した他のリーダでは、現在使用されているチャンネルのチャンネル番号Chが「25」と検出されている。したがって、上記図4に示す他機使用チャンネルリストに基づき検出される検出順番Sは「6」となるので、リーダ番号R=1に対応した他のリーダに係る検出順番保持データS(R=1)は「6」となっている。
【0072】
また、リーダ番号R=2に対応した他のリーダでは、現在、チャンネルを不使用であると検出されている(図中では「−」と図示)。このように、現在、チャンネルを不使用であると検出された場合、すなわち、リーダ1の近傍で無線通信を行っていない場合には、後述のように、当該他のリーダを自機使用チャンネルリストの作成時に考慮する必要がないため、当該他のリーダに係る検出順番保持データS(R)を「0」とする。したがって、リーダ番号R=2に対応した他のリーダに係る検出順番保持データS(R=2)は「0」となっている。
【0073】
また、リーダ番号R=3に対応した他のリーダでは、現在使用されているチャンネルのチャンネル番号Chが「29」と検出されている。したがって、上記図4に示す他機使用チャンネルリストに基づき検出される検出順番Sは「15」となるので、リーダ番号R=3に対応した他のリーダに係る検出順番保持データS(R=3)は「15」となっている。
【0074】
このように、上記特定された他のリーダについて、現在使用中のチャンネルに対応した検出順番Sのデータを保持したら、リーダ1は、自機が所定の時間区分ごとに使用可能なチャンネルのチャンネル番号Chを列記した、候補チャンネルリストを作成する。この候補チャンネルリストに基づき、上記自機使用チャンネルリストを決定する。
【0075】
図6(a)、図6(b)、及び図6(c)を用いて、上記自機使用チャンネルリストを決定する手順の概要を説明する。
【0076】
図6(a)には、作成当初の候補チャンネルリストの一例を示している。図6(a)に示すように、作成当初の候補チャンネルリストには、各タイミングt1〜t50ごとに、リーダ1が使用可能なチャンネルのチャンネル番号Chとして、「1」〜「50」のすべてのチャンネル番号Chが列記されている。
【0077】
ここで、上記タイミングとは、リーダ1が1つのチャンネルを使用する時間区分、例えば0.4秒間である。例えばタイミングt1は、使用するチャンネルの切替パターンにおける1番目のチャンネルを使用する時間区分であり、例えばタイミングt50は、使用するチャンネルの切替パターンにおける50番目のチャンネルを使用する時間区分である。すなわち、リーダ1は、使用するチャンネルを、各タイミングt1〜t50ごとに切り替えながら、無線通信を実行するのである。なお、使用するチャンネルが、切替パターンの最後のチャンネル、すなわち、タイミングt50で使用するチャンネルまで一巡した後は、再び最初のチャンネル、すなわち、タイミングt1で使用するチャンネルに戻り、以降は、同様の順番で切り替えられる。
【0078】
本実施形態では、上記特定された他のリーダに係る検出順番保持データS(R)に対応する検出順番Sを、上記特定された他のリーダに係るタイミングt1とする。例えば、上記図5に示す例では、リーダ番号R=1に対応した他のリーダに係る検出順番保持データS(R=1)は「6」であったので、当該リーダ番号R=1に対応した他のリーダでは、上記図4に示す他機使用チャンネルリストの検出順番S=6がタイミングt1となる。そして、検出順番S=7がタイミングt2となり、検出順番S=8がタイミングt3となり、・・・、検出順番S=4がタイミングt49となり、検出順番S=5がタイミングt50となる。また、例えば、上記図5に示す例では、リーダ番号R=3に対応した他のリーダに係る検出順番保持データS(R=3)は「15」であったので、当該リーダ番号R=3に対応した他のリーダでは、上記図4に示す他機使用チャンネルリストの検出順番S=15がタイミングt1となる。そして、検出順番S=16がタイミングt2となり、検出順番S=17がタイミングt3となり、・・・、検出順番S=13がタイミングt49となり、検出順番S=14がタイミングt50となる。
【0079】
そして、リーダ1は、作成当初の候補チャンネルリストから、各タイミングt1〜t50において他のリーダ1の使用するチャンネルと干渉する可能性があるチャンネルのチャンネル番号Chを消去していく。本実施形態では、上記他のリーダの使用するチャンネルと干渉する可能性があるチャンネルを、上記時間区分に対する所定の範囲、この例では同一の時間区分から2つ後の時間区分内の時間区分、言い換えれば、同一のタイミング、次のタイミング、及び次の次のタイミングにおいて当該他のリーダの使用するチャンネルとする。このように、リーダ1における候補チャンネルリストから、他のリーダ1の使用するチャンネルと干渉する可能性があるチャンネルのチャンネル番号Chを消去することで、他のリーダ1の使用するチャンネルとの干渉を低減できる。
【0080】
例えば、作成当初の候補チャンネルリストにおけるタイミングt1では、当該タイミングt1、次のタイミングt2、及び次の次のタイミングt3において上記特定された他のリーダ1の使用するチャンネルが、上記他のリーダの使用するチャンネルと干渉する可能性があるチャンネルである。
【0081】
なお、上記他のリーダの使用するチャンネルと干渉する可能性があるチャンネルを、同一の時間区分、言い換えれば、同一のタイミングにおいて当該他のリーダの使用するチャンネルとしてもよい。
【0082】
図6(b)には、作成当初の候補チャンネルリストから、上記他のリーダの使用するチャンネルと干渉する可能性があるチャンネルを消去した後の、候補チャンネルリストの一例を示している。この図6(b)に示す例では、上記他のリーダの使用するチャンネルと干渉する可能性があるチャンネルとして消去されたチャンネルのチャンネル番号Chを「−」で表している。
【0083】
例えば、タイミングt1では、上記特定された他のリーダのうち、リーダ1の近傍で無線通信を行っている他のリーダ、すなわち、対応する上記検出順番保持データS(R)が「0」でないリーダ番号Rに対応した他のリーダが、タイミングt1、t2,t3で使用するチャンネルの識別番号Chが消去されている。この例では、例えばタイミングt1では、リーダ番号R=1に対応した他のリーダがタイミングt1,t2,t3、すなわち、検出順番S=6,7,8で使用するチャンネルのチャンネル番号Ch=25,38,13と、リーダ番号R=3に対応した他のリーダがタイミングt1,t2,t3、すなわち、検出順番S=15,16,17で使用するチャンネルのチャンネル番号Ch=29,47,18とが消去されている。
【0084】
次に、図6(c)に示すように、リーダ1は、前述した乱数発生器10により乱数を発生させ、当該乱数に基づき、タイミングt1から順に、使用するチャンネルを決定する(詳細は後述)。なお、図6(c)に示す例では、上記決定されたチャンネルのチャンネル番号Chを楕円で囲んで示している。そして、以降のタイミングから、使用するチャンネルとして決定されたチャンネルのチャンネル番号Chを消去していく(詳細は後述)。なお、図6(c)に示す例では、既に使用するチャンネルとして決定されたチャンネルのチャンネル番号Chに該当し、消去されたチャンネルのチャンネル番号Chを「+」で表している。すなわち、既に前のタイミングで使用するチャンネルとして決定されたチャンネルのチャンネル番号Chは、決定対象から除外していくのである。なお、このとき各タイミングにおいて使用するチャンネルとして順次決定されたチャンネルのチャンネル番号は、タイミングに関連付けられてリスト化され、不揮発性記憶装置5に記憶される。これにより、50チャンネルのうち使用するチャンネルのチャンネル番号Chが、各タイミングt1〜t50ごとに順次設定された、自機使用チャンネルリストを作成することができる。
【0085】
図7に、自機使用チャンネルリストの一例を示す。
【0086】
図7に示すように、自機使用チャンネルリストでは、リーダアンテナユニット3の使用するチャンネルのチャンネル番号Chが、各タイミングt1〜t50ごとに順次設定されている。すなわち、自機使用チャンネルリストは、リーダ1についての、使用するチャンネルの切替パターンを表しているのである。リーダ1は、この自機使用チャンネルリストの設定内容に沿って、リーダアンテナユニット3の使用するチャンネルを、各タイミングt1〜t50ごとに切り替えながら、無線タグTに対し無線通信を行うのである。
【0087】
図8を用いて、以上のような機能を実現するために、リーダ1のCPU4が実行する制御手順を説明する。
【0088】
図8において、例えばユーザにより、リーダ1の電源がオンにされることによって、図中「START」位置で表されるように、このフローが開始される。
【0089】
まずステップS10で、CPU4は、所定の終了操作、例えばリーダ1の電源オフが、行われたかどうかを判定する。終了操作が行われた場合には、判定が満たされて、このフローを終了する。終了操作が行われていない場合には、判定が満たされずステップS100に移る。
【0090】
ステップS100では、CPU4は、上記他機使用チャンネルリストの作成を行う、他機使用チャンネルリスト作成処理を実行する。このステップが、各請求項記載の他機用リスト作成手段として機能する。この詳細内容については、後述の図9及び図10で説明する。
【0091】
その後、ステップS20で、CPU4は、上記操作部7を介し無線タグ探索指令が入力されたかどうかを判定する。無線タグ探索指令とは、リーダ1に対し、所定時間、所望の無線タグTの有無を探索させるための指令である。なお、この無線タグ探索指令は、図示しないネットワークを介し、当該ネットワークに接続された装置より入力されるようにしてもよい。無線タグ探索指令が入力されていない場合には、判定が満たされず上記ステップS10に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、無線タグ探索指令が入力された場合には、判定が満たされてステップS200に移る。
【0092】
ステップS200では、CPU4は、上記他機使用チャンネルリストを用いて、同一又は上記時間区分に対する所定の範囲内の時間区分において上記他のリーダの使用するチャンネルとの干渉が低減されるように、上記自機使用チャンネルリストの決定を行う、自機使用チャンネルリスト決定処理を実行する。このステップが、各請求項記載の自機用リスト決定手段として機能する。この詳細内容については、後述の図11で説明する。
【0093】
そして、ステップS30に移り、CPU4は、上記タイミングに対応した変数TMを1に設定する。なお、TM=1はタイミングt1、TM=2はタイミングt2、・・・、TM=49はタイミングt49、TM=50はタイミングt50にそれぞれ対応している。
【0094】
その後、ステップS40で、CPU4は、上記外部インターフェース12及び制御信号線11を介しRF通信制御部9に制御信号を出力する。そして、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、上記ステップS200で決定された自機使用チャンネルリストにおける、この時点での変数TMに対応するタイミングにおけるチャンネルの周波数に設定する。
【0095】
そして、ステップS50に移り、CPU4は、上記ステップS40で設定された周波数のチャンネルを使用して、上記所定の時間区分以内の時間で、RF通信制御部9及びリーダアンテナユニット3を介し無線タグTと情報送受信を実行する。
【0096】
その後、ステップS60で、CPU4は、上記ステップS50における無線タグTとの通信が完了したかどうかを判定する。通信が完了した場合には、判定が満たされて上記ステップS10に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、通信が完了していない場合には、判定が満たされずステップS70に移る。
【0097】
ステップS70では、CPU4は、上記無線タグTとの通信において通信エラーが生じたかどうかを判定する。このステップが、各請求項記載の通信エラー判定手段として機能する。通信エラーが生じた場合には、判定が満たされて上記ステップS200に戻り、自機使用チャンネルリストの決定を再度行う。一方、通信エラーが生じなかった場合には、判定が満たされずステップS80に移る。
【0098】
なお、一般的に、無線タグTとの通信において生じる通信エラーには、他のリーダとの通信干渉によって生じる通信エラー、及び、複数の無線タグTが同時に応答することにより生じる通信エラーがある。本実施形態において通信エラーと言った場合には、他のリーダとの通信干渉によって生じる通信エラーを意味している。
【0099】
ステップS80では、CPU4は、この時点での変数TMが、上記変数TMの最大値TM_maxであるかどうかを判定する。なお、本実施形態では、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50である。TM=50でない場合には、判定が満たされずステップS90に移る。そして、変数TMに1を加え、上記ステップS40に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、TM=50である場合には、判定が満たされて上記ステップS30に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0100】
なお、上記において、ステップS40及びステップS50が、各請求項記載の送受信制御手段として機能する。
【0101】
図9及び図10を用いて、上記図8のステップS100の詳細手順を説明する。
【0102】
図9に示すように、まずステップS101で、CPU4は、リーダ番号Rを1に設定する。
【0103】
その後、ステップS102で、CPU4は、リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストを更新しているかどうかを判断するための変数(R)を0とする。なお、この変数(R)は、リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストを更新している間には0以外の値となり、更新していない場合には0となる。他機使用チャンネルリストの作成開始時点では、すべての他のリーダについて更新していないので、変数(R)を0としている。
【0104】
そして、ステップS103に移り、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rが、リストに記録されているリーダ番号Rの最大値R_maxであるかどうかを判定する。R=R_maxでない場合には、判定が満たされずステップS104に移る。そして、この時点で設定されているリーダ番号Rに1を加え設定し、上記ステップS102に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、R=R_maxである場合には、判定が満たされてステップS105に移る。
【0105】
ステップS105では、CPU4は、上記チャンネル番号Chを1に設定し、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、チャンネル番号Ch=1における周波数に設定する。
【0106】
その後、ステップS106で、CPU4は、上記他のリーダからの電波を、リーダアンテナユニット3及びRF通信制御部9を介し受信する。そして、当該受信された電波のうち、この時点で設定されているチャンネル番号Chに対応したチャンネルの電波の受信信号強度Vsを、RSSI回路226により検出させる。
【0107】
そして、ステップS109に移り、CPU4は、上記検出された受信信号強度Vsに基づき、上記ステップS106で他のリーダから送信された信号を受信できたかどうかを判定する。当該信号を受信できなかった場合には、判定が満たされず、後述のステップS151に移る。一方、当該信号を受信できた場合には、判定が満たされてステップS112に移る。
【0108】
ステップS112では、上記検出された受信信号強度Vsと、後述のステップS121でリーダ番号Rに対応付けて記録された受信信号強度Vsとを比較する。
【0109】
その後、ステップS115で、CPU4は、上記ステップS112での比較結果に基づき、上記検出された受信信号強度Vsに係る電波の送信元の他のリーダが、後述のステップS118で生成されたリストに記録されているリーダ番号Rに対応した他のリーダであるかどうかを判定する。リストに記録されているリーダ番号Rに対応した他のリーダでない場合には、判定が満たされずステップS118に移る。
【0110】
ステップS118では、CPU4は、新たなリスト、すなわち、上記図4に示す縦一列の段を生成する。そして、前回のステップS118で生成したリストに記録したリーダ番号Rに1を加えたリーダ番号Rを、今回新たに生成したリストに対応付けて記録する。例えば、前回のステップS118でリーダ番号R=1に係るリストを生成していた場合には、今回のステップS118では、リーダ番号R=2に係るリストが生成される。なお、リストがまだ生成されていなかった場合には、リーダ番号R=1に係るリストが生成される。
【0111】
その後、ステップS119で、CPU4は、上記ステップ118で新たに作成されたリストの全データを初期化する。そして、ステップS121に移り、CPU4は、上記ステップS118で新たに生成されたリストに、上記検出された受信信号強度Vsを対応付けて記録する。その後、後述のステップS145に移る。
【0112】
一方、上記ステップS115において、上記検出された受信信号強度Vsに係る電波の送信元の他のリーダが、上記ステップS118で既にリストに記録されているリーダ番号Rに対応した他のリーダであった場合には、ステップS115の判定が満たされる。そして、リーダ番号Rを、上記検出された受信信号強度Vsに係る電波の送信元の他のリーダのリーダ番号Rに設定し、ステップS124に移る。
【0113】
ステップS124では、CPU4は、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係るリストが完成しているかどうか、言い換えれば、縦一列の段すべてにチャンネル番号Chが記録されているかどうかを判定する。リストが完成している場合には、判定が満たされて、後述のステップS151に移る。一方、リストが完成していない場合には、判定が満たされずステップS127に移る。
【0114】
ステップS127では、CPU4は、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係る変数M(R)が0であるかどうかを判定する。変数M(R)が0である場合、すなわち、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を行っていない場合には、判定が満たされて、後述のステップS151に移る。一方、変数M(R)が0でない場合、すなわち、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を行っている場合には、判定が満たされずステップS130に移る。
【0115】
ステップS130では、CPU4は、この時点で設定されているチャンネル番号Chが、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係るリストに最後に記録されたチャンネル番号Chと同一であるかどうか、言い換えれば、前回記録したチャンネル番号Chと同一であるかどうかを判定する。前回記録したチャンネル番号Chと同一である場合には、判定が満たされてステップS133に移る。そして、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係る変数M(R)を1とし、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を行っており、当該リーダ番号Rに係る他のリーダから送信された信号の受信を行っていることを記録する。そして、後述のステップS151に移る。一方、前回記録したチャンネル番号Chと同一でなかった場合には、判定が満たされずステップS136に移る。
【0116】
ステップS136では、CPU4は、この時点で設定されているチャンネル番号Chが、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係るリストに最初に記録されたチャンネル番号Chと一致したかどうか、言い換えれば、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに対応した他のリーダの使用するチャンネルの切替パターンが一巡したかどうかを判定する。リストに最初に記録されたチャンネル番号Chと一致した場合、言い換えれば、切替パターンが一巡し当該リーダ番号Rに係るリストが完成している場合には、判定が満たされて、ステップS142に移る。
【0117】
ステップS142では、CPU4は、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係る変数M(R)を0とし、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を行う必要なくなったことを記録する。その後、後述のステップS151に移る。
【0118】
一方、上記ステップS136において、リストに最初に記録されたチャンネル番号Chと一致しなかった場合、言い換えれば、切替パターンがまだ一巡していない場合には、ステップS136の判定が満たされずステップS145に移る。
【0119】
ステップS145では、CPU4は、この時点で設定されているチャンネル番号Chを、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係るリストに記録する。なお、先に記録されるチャンネル番号Chほど、リストの上段に記録される。これにより、上記図4に示す検出順番Sどおりに記録することができる。
【0120】
その後、ステップS148で、CPU4は、上記ステップS115で設定されたリーダ番号Rに係る変数M(R)を1とし、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を行っており、当該リーダ番号Rに係る他のリーダから送信された信号の受信を行っていることを記録する。
【0121】
そして、ステップS151に移り、CPU4は、この時点で設定されているチャンネル番号Chが、チャンネル番号Chの最大値Ch_maxであるかどうかを判定する。なお、本実施形態では、上記チャンネル番号Chの最大値Ch_max=50である。Ch=50でない場合には、判定が満たされずステップS154に移る。そして、この時点で設定されているチャンネル番号Chに1を加え、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、次のチャンネル番号Chにおける周波数に設定する。そして、上記ステップS106に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、Ch=50である場合には、判定が満たされてステップS157に移る。
【0122】
ステップS157では、CPU4は、所定の終了指示が入力されたかどうかを判定する。まだ終了指示が入力されていない場合には、判定が満たされず、図10に示すステップS160に移る。
【0123】
図10に示すように、ステップS160で、CPU4は、リーダ番号Rを1に設定する。
【0124】
その後、ステップS163で、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る変数M(R)が0であるかどうかを判定する。変数M(R)が0である場合、すなわち、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を行っていない場合には、判定が満たされて、後述のステップS175に移る。一方、変数M(R)が0でない場合、すなわち、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を行っている場合には、判定が満たされずステップS166に移る。
【0125】
ステップS166では、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る変数M(R)が3であるかどうかを判定する。変数M(R)が3でない場合には、判定が満たされずステップS169に移る。そして、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る変数M(R)に1を加え、後述のステップS175に移る。一方、変数M(R)が3である場合、すなわち、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャネルリストの更新を行っているが、当該リーダ番号Rに係る他のリーダから送信された信号が全50チャンネルのスキャン2回分の間に受信できなかった場合には、判定が満たされてステップS172に移る。
【0126】
ステップS172では、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る変数M(R)を0とし、当該リーダ番号Rに係る他機使用チャンネルリストの更新を停止する。
【0127】
そして、ステップS175に移り、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rが、上記図9のステップS118で生成されたリストに記録されているリーダ番号Rの最大値R_maxであるかどうかを判定する。R=R_maxでない場合には、判定が満たされずステップS178に移る。そして、この時点で設定されているリーダ番号Rに1を加え設定し、上記ステップS163に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、R=R_maxである場合には、判定が満たされて、上記図9に示すステップS105に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0128】
図9に戻り、上記ステップS157において、例えば、このルーチンが開始されてから所定時間が経過した等により、終了指示が入力された場合には、ステップS157の判定が満たされて、このルーチンを終了する。
【0129】
なお、上記において、上記図9に示すステップS109が、各請求項記載のチャンネル検出手段として機能する。また、上記図9に示すステップS112及びステップS115が、装置特定手段として機能する。
【0130】
図11を用いて、上記図8のステップS200の詳細手順を説明する。
【0131】
図11において、まずステップS300で、CPU4は、上記ステップS100で作成された他機使用チャンネルリストに記録されたリーダ番号Rに対応した他のリーダにより、現在使用されているチャンネルを検出する、他機使用チャンネル検出処理を実行する。この詳細内容については、後述の図12で説明する。
【0132】
その後、ステップS400で、CPU4は、上記各タイミングt1〜t50におけるリーダ1の使用可能チャンネルを設定する、自機使用可能チャンネル設定処理を実行する。この詳細内容については、後述の図13で説明する。
【0133】
そして、ステップS500に移り、CPU4は、上記各タイミングt1〜t50におけるリーダ1の使用するチャンネルを決定する、切替パターン決定処理を実行する。この詳細内容については、後述の図14で説明する。その後、このルーチンを終了する。
【0134】
図12を用いて、上記図11のステップS300の詳細手順を説明する。
【0135】
図12において、まずステップS305で、CPU4は、リーダ番号Rを1に設定する。
【0136】
その後、ステップS310で、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る上記検出順序保持データS(R)を0に初期化する。
【0137】
そして、ステップS315に移り、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rが、上記リーダ番号Rの最大値R_maxであるかどうかを判定する。R=R_maxでない場合には、判定が満たされずステップS320に移る。そして、この時点で設定されているリーダ番号Rに1を加え設定し、上記ステップS310に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、R=R_maxである場合には、判定が満たされてステップS325に移る。
【0138】
ステップS325では、CPU4は、チャンネル番号Chを1に設定し、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、チャンネル番号Ch=1における周波数に設定する。
【0139】
その後、ステップS330で、CPU4は、上記他のリーダからの電波を、リーダアンテナユニット3及びRF通信制御部9を介し受信する。
【0140】
そして、ステップS335に移り、CPU4は、上記ステップS330で他のリーダから送信された信号を受信できたかどうかを判定する。当該信号を受信できなかった場合には、判定が満たされず、後述のステップS355に移る。一方、当該信号を受信できた場合には、判定が満たされてステップS340に移る。
【0141】
ステップS340では、CPU4は、上記ステップS330で受信された電波のうち、この時点で設定されているチャンネル番号Chに対応したチャンネルの電波の受信信号強度Vsを、RSSI回路226により検出させる。
【0142】
その後、ステップS345で、CPU4は、上記ステップS100で作成された他機使用チャンネルリストを参照し、上記ステップS340でRSSI回路226により検出された受信信号強度Vsに対応する他のリーダのリーダ番号Rを検出する。
【0143】
そして、ステップS350に移り、CPU4は、上記ステップS100で作成された他機使用チャンネルリストを参照し、この時点で設定されているチャンネル番号Chに対応する上記ステップS345で検出されたリーダ番号Rに係る検出順番Sを検出する。そして、検出した検出順番Sのデータを保持する。なお、保持されたデータを、検出順番保持データS(R)とする。
【0144】
その後、ステップS355で、CPU4は、この時点で設定されているチャンネル番号Chが、チャンネル番号Chの最大値Ch_maxであるかどうかを判定する。なお、本実施形態では、上記チャンネル番号Chの最大値Ch_max=50である。Ch=50でない場合には、判定が満たされずステップS360に移る。そして、この時点で設定されているチャンネル番号Chに1を加え、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、次のチャンネル番号Chにおける周波数に設定する。そして、上記ステップS330に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、Ch=50である場合には、判定が満たされて、このルーチンを終了する。
【0145】
図13を用いて、上記図11のステップS400の詳細手順を説明する。
【0146】
図13において、まずステップS405では、CPU4は、上記変数TMを1に設定する。
【0147】
その後、ステップS410で、CPU4は、上記候補チャンネルリスト(図6(a)参照)を作成する。この時点では、各タイミングについて使用可能なチャンンネルをすべてリストアップする。
【0148】
そして、ステップS415に移り、CPU4は、リーダ番号Rを1に設定する。
【0149】
その後、ステップS420で、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る上記検出順序保持データS(R)が0であるかどうかを判定する。S(R)=0である場合には、判定が満たされて、後述のステップS460に移る。一方、S(R)=0でない場合には、判定が満たされずステップS425に移る。
【0150】
ステップS425では、CPU4は、繰り返し回数をカウントするための変数Nを0に設定する。
【0151】
そして、ステップS430に移り、CPU4は、X=S(R)+N+TM、つまり、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る上記検出順序保持データS(R)と、この時点で設定されている変数Nと、この時点で設定されている変数TMとを加算したXを算出する。
【0152】
その後、ステップS435で、CPU4は、上記ステップS430で算出されたXが、上記ステップS100で作成された他機使用チャンネルリストにおける検出順番Sの最大値、すなわち、変数TMの最大値TM_maxよりも大きいかどうかを判定する。なお、本実施形態では、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50である。X≦50である場合には、判定が満たされず、後述のステップS445に移る。一方、X>50である場合には、判定が満たされてステップS440に移る。
【0153】
ステップS440では、CPU4は、X=X−TM_max、つまり、上記ステップS430で算出されたXから変数TMの最大値TM_maxを差し引いた値を、Xとする。なお、本実施形態では、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50であるので、ステップS440の処理は、X=X−50となる。
【0154】
そして、ステップS445に移り、CPU4は、上記ステップS100で作成された他機使用チャンネルリストを参照し、切替順番S=Xに対応付けられ記録された、この時点で設定されているリーダ番号Rに係るチャンネル番号Ch(R)(X)を検出する。そして、上記ステップS410で作成された候補チャンネルリストから、上記チャンネル番号Ch(R)(X)を消去する。上記図6(b)に示す例では、候補チャンネルリストから消去されたチャンネル番号Chを「−」で示している。
【0155】
その後、ステップS450で、CPU4は、上記変数Nが2であるかどうかを判定する。N=2でない場合には、判定が満たされずステップS455に移る。そして、上記変数Nに1を加え、上記ステップS430に移り、同様の手順を繰り返す。一方、N=2である場合には、判定が満たされてステップS460に移る。
【0156】
ステップS460では、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rが、上記リーダ番号Rの最大値R_maxであるかどうかを判定する。R=R_maxでない場合には、判定が満たされずステップS465に移る。そして、この時点で設定されているリーダ番号Rに1を加え設定し、上記ステップS420に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、R=R_maxである場合には、判定が満たされてステップS470に移る。
【0157】
ステップS470では、CPU4は、この時点での変数TMが、上記変数TMの最大値TM_maxであるかどうかを判定する。なお、本実施形態では、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50である。TM=50でない場合には、判定が満たされずステップS475に移る。そして、変数TMに1を加え、上記ステップS415に移る。一方、TM=50である場合には、判定が満たされて、この時点での候補チャンネルリストを保持し、このルーチンを終了する。これにより、上記図6(b)に示すような候補チャンネルリストとなる。
【0158】
図14を用いて、上記図11のステップS500の詳細手順を説明する。
【0159】
図14において、まずステップS505で、CPU4は、上記変数TMを1に設定する。
【0160】
その後、ステップS510で、CPU4は、上記ステップS400で作成された候補チャンネルリストのコピーを作成する。なお、このステップS510で作成されたコピーを「コピーリスト」と称する。
【0161】
そして、ステップS515に移り、CPU4は、上記ステップS510で作成されたコピーリストを参照して、この時点での変数TMに対応したタイミングにおいてリーダ1が使用可能なチャンネルの数をカウントする。そして、カウント値をN_Ch(TM)とする。例えば、上記図6(c)に示す例では、タイミングt1においてリーダ1が使用可能なチャンネルは、50チャンネルのうちチャンネル番号Ch=13,18,25,29,38,47を除く44チャンネルである。したがって、この場合には、N_Ch(TM=1)=44となる。
【0162】
その後、ステップS520で、CPU4は、上記乱数発生器10に制御信号を出力し、0以上1未満の乱数rand()を発生させる。そして、A=rounddown(rand()×N_Ch(TM))+1を実行する。なお、rounddown()は、「カッコ内の値の小数点以下の切り捨て」を意味する。つまり、上記発生させた乱数rand()と、上記ステップS515でのカウント値N_Ch(TM)との積の小数点以下の切り捨てた値、すなわち、rounddown(rand()×N_Ch(TM))に、1を加算したAを算出する。
【0163】
そして、ステップS525に移り、CPU4は、この時点での上記コピーリストを参照し、この時点での変数TMに対応したタイミングにおけるリーダ1の使用可能なチャンネルのチャンネル番号Chのうち、チャンネル番号ChがA番目に小さいチャンネル番号Chを選択する。そして、このとき選択されたチャンネル番号Chをn_Ch(TM)とする。例えば、上記図6(c)に示す例では、TM=1のときに上記ステップS520で算出されたAが8である場合に対応している。すなわち、TM=1に対応するタイミングt1における使用可能なチャンネルのチャンネル番号Ch、すなわち、「−」と表されていないチャンネル番号Chのうち、チャンネル番号ChがA=8番目に小さいチャンネル番号Ch=8が選択されている。したがって、この場合には、n_Ch(TM=1)=8となる。
【0164】
その後、ステップS530で、CPU4は、この時点での変数TMが、上記変数TMの最大値TM_maxであるかどうかを判定する。なお、本実施形態では、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50である。TM=50でない場合には、判定が満たされずステップS535に移る。
【0165】
ステップS535では、CPU4は、この時点での上記コピーリストにおいて、この時点での変数TMに1を加えたTM+1に対応するタイミング以降の使用可能なチャンネルから、上記ステップS525で選択されたチャンネル番号n_Ch(TM)を消去する。上記図6(c)に示す例では、候補チャンネルリストから消去されたチャンネル番号n_Ch(TM)を「+」で示している。
【0166】
そして、ステップS540に移り、CPU4は、この時点での上記コピーリストを参照し、上記タイミングt1〜t50において、使用可能なチャンネル数が0となったタイミング、すなわち、横一列の段がすべて「+」又は「−」となったタイミングが存在するかどうかを判定する。使用可能なチャンネル数が0となったタイミングが存在する場合には、判定が満たされて、ステップS545に移る。そして、上記コピーリストを消去し、上記ステップS505に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、使用可能なチャンネル数が0となったタイミングが存在しない場合には、判定が満たされずステップS550に移る。
【0167】
ステップS550では、CPU4は、上記ステップS525で選択されたチャンネル番号n_Ch(TM)を、この時点での変数TMに対応したタイミングにおける自機使用チャンネルとして、不揮発性記憶装置5に記憶する。
【0168】
その後、ステップS555で、CPU4は、変数TMに1を加え、上記ステップS515に移り、同様の手順を繰り返す。
【0169】
一方、上記ステップS530において、TM=TM_maxである場合には、ステップS530判定が満たされて、ステップS560に移る。
【0170】
ステップS560では、CPU4は、上記ステップS525で選択されたチャンネル番号n_Ch(TM)を、この時点での変数TMに対応したタイミングにおける自機使用チャンネルとして、不揮発性記憶装置5に記憶する。その後、このルーチンを終了する。これにより、50チャンネルのうち使用するチャンネルのチャンネル番号Chが各タイミングt1〜t50ごとに順次設定された、自機使用チャンネルリスト(図7参照)が作成される。
【0171】
以上説明したように、本実施形態のリーダ1は、50のチャンネルを含む所定の周波数範囲内の電波を用いて、リーダアンテナユニット3を介し無線タグTと無線通信を行う。このとき、リーダアンテナユニット3は、CPU4の制御により、所定の時間区分ごとに、言い換えれば、各タイミングt1〜t50ごとに、使用するチャンネルを切り替える。すなわち、リーダ1は、周波数ホッピングを実行しつつ、無線タグTと無線通信を行う。
【0172】
リーダ1は、他のリーダ1が使用しているチャンネルの検出結果に基づき、他機使用チャンネルリストを作成する(ステップS100を参照)。この他機使用チャンネルリストでは、上記他のリーダの使用チャンネルのチャンネル番号Chと、他のリーダのリーダ番号Rとが、所定の時間区分ごとに、言い換えれば、上記検出順番Sごとに、関連付けて集計されている(図4を参照)。そして、このように集計された他機使用チャンネルリストを用いて、同一又は上記時間区分に対する所定の範囲内の時間区分において、上記の例では、同一のタイミング、次のタイミング、及び次の次のタイミングにおいて使用するチャンネルが、他のリーダの使用するチャンネルとなるべく干渉しないように、自機使用チャンネルリストを決定する(ステップS200を参照)。そして、このように決定された自機使用チャンネルリストに沿って、上記の使用チャンネルの切り替えを行う。
【0173】
以上のようにして、本実施形態においては、検出された他のリーダの使用チャンネルに基づき、当該他のリーダの使用するチャンネルとなるべく干渉しないように、使用チャンネルの切り替えが行われる。これにより、リーダ1と他のリーダどうし間の通信干渉の発生を確実に低減できるので、無線タグTとの通信における通信成功率を増大させ、信頼性を向上することができる。
【0174】
ここで、一般に、周波数ホッピングを行うリーダは、予め設定された使用チャンネルの切替パターンを用いて、使用チャンネルの切り替えを行う。使用チャンネルの切り替えの際には、当該切替パターンにおいて設定されている最初のチャンネルから最後のチャンネルまで、順番にチャンネルが切り替えられていく。使用チャンネルは、切替パターンの最後のチャンネルまで一巡した後は、再び最初のチャンネルに戻り、同様の順番で切り替えられる。
【0175】
そこで、本実施形態では特に、上記のような周波数切替パターンの特性に応じて、他機使用チャンネルリストを作成する。すなわち、検出していく順番でチャンネル番号Chを順次リスト化していく。また、これとともに、一度リスト化が済んでいるチャンネルが再び検出されたら、上記の例では、図9に示すステップS136の判定が満たされたら、リスト化を終了する。これにより、リスト化作業の実行を必要最小限にとどめ、不要なリスト化作業を継続する無駄を防止することができる。
【0176】
ここで、他のリーダが複数存在する場合、それら複数の他のリーダそれぞれまでの距離や他のリーダの送信出力、送信アンテナゲインに応じて、各他のリーダからの電波がリーダアンテナユニット3により受信されるときの受信信号強度Vsが異なる。そこで、本実施形態では特に、上記の挙動を利用し、RSSI回路226の検出する受信信号強度Vsに基づき、他のリーダを特定する。これにより、複数の他のリーダから送信する信号それぞれに当該他のリーダの識別情報を含める等の複雑な制御を行うことなく、確実に他のリーダを特定することができる。
【0177】
ここで、CPU4による制御の下で通信を開始した後に、上記の例では、図8に示すステップS50を実行した後に、他のリーダとの通信干渉が生じた場合には、使用している自機使用チャンネルリストが必ずしも適正とは言えない。そこで、本実施形態では特に、図8に示すステップS70において、無線タグTとの通信において通信エラーが生じたと判定された場合には、他のリーダとの通信干渉が生じたとみなし、再度自機使用チャンネルリストの決定を行う。これにより、自機使用チャンネルリストの決定後に、他のリーダの使用チャンネルに変化があったことにより、無線タグTとの通信エラーが生じた場合等にも対応して、自機使用チャンネルリストの適正化を図り、確実に通信信頼性を向上することができる。
【0178】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0179】
(1)通信を予定する時間範囲内のみリスト化を行う場合
すなわち、通信を予定する時間範囲内に限定して、自機使用チャンネルリストを作成するようにしてもよい。
【0180】
本変形例においては、上記ステップS200で、CPU4は、リーダアンテナユニット3による通信を予定する時間範囲内にわたり、50チャンネルのうち、使用するチャンネルのチャンネル番号Chを、通信を予定する時間範囲内に対応した時間区分ごとに順次設定し、自機使用チャンネルリストを作成する。
【0181】
例えば、上記通信を予定する時間範囲を10秒間とし、上記時間区分、言い換えれば、1つのタイミングを0.4秒間とする。この場合には、10秒間分のタイミングt1〜t25において使用するチャンネルのチャンネル番号Chを順次設定し、自機使用チャンネルリストを作成すればよい。つまり、上記図13に示すステップS400、及び、上記図14に示すステップS500、の詳細手順における、上記変数TMの最大値TM_maxを25として処理を行えばよい。
【0182】
本変形例によれば、自らが行おうとする通信に必要な時間範囲、例えば10秒間のみリスト化を行うことで、無駄なリスト化作業を防止し、迅速に通信を開始することができる。
【0183】
(2)決定されたリストを他のリーダに送信する場合
すなわち、使用するリストとして決定された自機使用チャンネルリストを、無線通信により他のリーダ1に送信するようにしてもよい。
【0184】
本変形例においては、CPU4は、前述の図8に示すステップS200で自機使用チャンネルリストを決定したら、当該ステップS200で決定された自機使用チャンネルリストを、RF通信制御部9及びリーダアンテナユニット3を介し無線通信により、近傍に存在する他のリーダに対し送信する。この制御手順が、各請求項記載のリスト送信手段として機能する。これにより、上記近傍に存在する他のリーダは、リーダ1のチャンネルの切替パターンを取得することができる。これ以外の制御内容は、前述の図8と同様であるので、説明を省略する。
【0185】
本変形例によれば、前述のステップS200で決定された自機使用チャンネルリストを、リーダアンテナユニット3を用いた無線通信により送信する。これにより、自己の決定したチャンネルの切替パターンを、他のリーダが通信開始する前に、当該他のリーダに知らせることができる。この結果、他のリーダは、通信開始前に受信した切替パターンを加味した周波数ホッピングを実行可能となるので、さらに通信信頼性を向上することができる。
【0186】
(3)起動後すぐに通信を行う場合
すなわち、ユーザにより簡易起動を実行するための入力操作が行われた場合には、前回作成した自機使用チャンネルリストの設定内容に沿い、無線タグTと情報送受信を行うようにしてもよい。
【0187】
本変形例においては、CPU4に後述する簡易起動指令が入力されたときのための、1つの自機使用チャンネルリストとしての前回作成した自機使用チャンネルリストが、前述した不揮発性記憶装置5(図2参照)に記憶されている。なお、1つの自機使用チャンネルリストとして、予め固定的に定められた1つの自機使用チャンネルリストが、不揮発性記憶装置5に記憶されていてもよい。
【0188】
図15を用いて、本変形例において、リーダ1のCPU4が実行する制御手順を説明する。なお、この図15は、前述の図8に対応する図である。図8と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0189】
図15において、前述の図8と異なる点は、ステップS40に代えてステップS40′を設け、さらにステップS22、ステップS24、及びステップS75を新たに設けた点である。
【0190】
すなわち、ステップS10、ステップS100、及びステップS20は、前述の図8と同様であり、ステップS20で、無線タグ探索指令が入力されたかどうかを判定し、無線タグ探索指令が入力された場合には、ステップS20の判定が満たされて、新たに設けたステップS22に移る。
【0191】
ステップS22では、CPU4は、操作部7より簡易起動指令が入力されたかどうかを判定する。ここで、簡易起動指令とは、前述のステップS100における、他のリーダが使用しているチャンネルの検出、及び、他機使用チャンネルリストの作成等を省略した動作を指示する指令である。ユーザにより操作部7を用いて簡易起動を実行させるための入力操作が行われた場合には、操作部7よりCPU4に簡易起動指令が入力される。これにより、ステップS22の判定が満たされて、新たに設けたステップS24に移る。
【0192】
ステップS24では、CPU4は、上記不揮発性記憶装置5に記憶された、前回のステップS200で作成された自機使用チャンネルリストを、使用するリストとして決定する。このステップも、各請求項記載の自機用リスト決定手段として機能する。その後、ステップS30に移る。
【0193】
一方、上記ステップS22において、ユーザにより操作部7を用いて簡易起動を実行させるための入力操作が行われなかった場合には、操作部7よりCPU4に簡易起動指令が入力されない。これにより、ステップS22の判定が満たされず、ステップS200に移る。
【0194】
その後のステップS200及びステップS30は、前述の図8と同様であり、自機使用チャンネルリストを決定し、変数TMを1に設定したら、ステップS40に代えて設けたステップS40′に移る。
【0195】
ステップS40′では、CPU4は、上記外部インターフェース12及び制御信号線11を介しRF通信制御部9に制御信号を出力する。そして、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、上記ステップS200又は上記ステップS24で決定された自機使用チャンネルリストにおける、この時点での変数TMに対応するタイミングにおけるチャンネルの周波数に設定する。
【0196】
その後のステップS50、ステップS60、及びステップS70は、前述の図8とほぼ同様である。ステップS70で、上記通信エラーが生じたかどうかを判定し、通信エラーが生じなかった場合には、ステップS70の判定が満たされずステップS80に移り、通信エラーが生じた場合には、ステップS70の判定が満たされて、新たに設けたステップS75に移る。
【0197】
ステップS75では、CPU4は、上記ステップS22と同様に、簡易起動指令が入力されたかどうかを判定する。簡易起動指令が入力されなかった場合には、判定が満たされず、上記ステップS200に戻り、当該通信エラーを是正するため、自機使用チャンネルリストの決定を再度行う。一方、簡易起動指令が入力された場合には、判定が満たされてステップS80に移る。
【0198】
その後のステップS80以降は、前述の図8と同様であるので、説明を省略する。なお、本変形例においては、ステップS90の実行後は、ステップS40′に戻る。
【0199】
なお、上記において、ステップS22及びステップS75が、各請求項記載の簡易起動判定手段として機能する。また、ステップS40′及びステップS50が、送受信制御手段として機能する。
【0200】
本変形例においては、上記簡易起動指令入力時のための1つの自機使用チャンネルリスト、上記の例では前回作成された自機使用チャンネルリストが、不揮発性記憶装置5に記憶されている。そして、上記簡易起動指令が入力されたと判定された場合には、不揮発性記憶装置5に記憶された、上記前回作成された自機使用チャンネルリストを、使用するリストとして決定する。これにより、通信信頼性の確実な向上よりも迅速な通信開始を優先したいユーザのニーズにも、対応することができる。この結果、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0201】
(4)一部を固定チャンネルとする場合
以上においては、所定の周波数範囲に含まれる50チャンネルすべてを用いて、自機使用チャンネルリストの作成を行っていたが、これに限られない。すなわち、上記50チャンネルのうち一部のチャンネル、例えばチャンネル番号Ch=1〜25が割り当てられたチャンネルのみを用いて、自機使用チャンネルリストの作成を行うようにしてもよい。
【0202】
図16を用いて、第1チャンネル及び第2チャンネルについて説明する。
【0203】
図16において、本変形例では、上記50チャンネルのうち、予め、自機使用チャンネルリストの作成が許容されている複数のチャンネルと、自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない複数のチャンネルとが決められている。
【0204】
この例では、上段に示す25個のチャンネル番号Chに対応したチャンネルが、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されているチャンネルとして決定されている。この自機使用チャンネルリストの作成が許容されているチャンネルが、各請求項記載の第1チャンネルに相当する。また、下段に示す25個のチャンネル番号Chに対応したチャンネルが、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されていないチャンネルとして決定されている。この自機使用チャンネルリストの作成が許容されていないチャンネルが、各請求項記載の第2チャンネルに相当する。
【0205】
また、本変形例においては、予め固定的に定められた固定チャンネルリストが、前述した不揮発性記憶装置5(図2参照)に記憶されている。図17に、上記固定チャンネルリストの一例を示す。図17に示すように、固定チャンネルリストでは、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない複数のチャンネル、この例では、上記図16に示す表の下段の25個のチャンネルのチャンネル番号Chが、所定の時間区分ごとに順次設定されている。この例では、上記タイミングt1〜t50のうち、タイミングt26〜t50について使用するチャンネルの切替パターンが設定されている。したがって、上記タイミングt1〜t50のうち、残りのタイミングt1〜t25については、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されているチャンネルを用いて設定する。
【0206】
本変形例においては、前述した候補チャンネルリスト(図6(a)を参照)を作成すると、リーダ1は、その候補チャンネルリストから、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない複数のチャンネルのチャンネル番号Chを消去していく。図18に、作成当初の候補チャンネルリストから、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない複数のチャンネルを消去した後の、候補チャンネルリストの一例を示す。図18に示す例では、上記図16に示した自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない25個のチャンネルのチャンネル番号Chが、作成当初の候補チャンネルリスト(図6(a)を参照)から、消去されている。この図18に示す例では、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない25個のチャンネルとして消去されたチャンネルのチャンネル番号Chを「=」で表している。その後は、前述の実施形態と同様の方法により、自機使用チャンネルリストを作成する。
【0207】
ここで、本変形例においては、前述の図8のステップS200で、CPU4は、使用するチャンネルとして、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されている複数のチャンネルを用いて、自機使用チャンネルリストを作成する。また、本変形例におけるステップS200の詳細手順において、前述の図11と異なる点はステップS400である。その以外の手順は前述の図11とほぼ同様である。
【0208】
図19を用いて、本変形例におけるステップS400の詳細手順を説明する。なお、この図19は、前述の図13に対応する図である。図13と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0209】
図19において、前述の図13と異なる点は、ステップS410及びステップS415の間に、ステップS412を新たに設けた点である。
【0210】
すなわち、ステップS410において、候補チャンネルリスト(図6(a)参照)を作成したら、新たに設けたステップS412に移る。
【0211】
ステップS412では、CPU4は、上記ステップS410で作成された候補チャンネルリストから、上記固定チャンネルリスト内の上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない複数のチャンネルのチャンネル番号Chを消去する。
【0212】
その後のステップS415以降の手順は、前述の図13とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0213】
また、本変形例においては、前述の図8のステップS40で、CPU4は、上記VCO215Cが出力する搬送波の周波数を、本変形例におけるステップS200で決定された自機使用チャンネルリストにおける、この時点での変数TMに対応するタイミングにおけるチャンネルの周波数に設定する。そして、ステップS50で、本変形例におけるステップS40で設定された周波数のチャンネルを使用して、無線タグT情報送受信を行う。言い換えれば、CPU4は、本変形例におけるステップS200で作成された自機使用チャンネルリストの設定内容に沿って、リーダアンテナユニット3の使用するチャンネルを所定のタイミングごとに切り替えながら、無線タグT情報送受信を行う。また、これとともに、上記自機使用チャンネルリストの作成が許容されていない複数のチャンネルについては、不揮発性記憶装置5に記憶された上記固定チャンネルリストの設定内容に沿って、リーダアンテナユニット3の使用するチャンネルを所定のタイミングごとに切り替えながら、無線タグTと情報送受信を行う。
【0214】
ここで、検出された他のリーダの使用チャンネルに基づき自機使用チャンネルリストを作成する、本発明のリーダ1が複数台存在し、それぞれが無線タグTと通信を行う場合が考えられる。この場合、一方のリーダ1は、他方のリーダ1の使用チャンネルに基づき自らが使用する自機使用チャンネルリストを変更する。すると、他方のリーダ1も、上記変更された使用チャンネルを検出し、自らが使用する自機使用チャンネルリストを同様に変更する。これらの結果、2つのリーダ1の間で、お互いの自機使用チャンネルリストの変更が繰り返されることとなり、両機ともに安定的な通信を行うことができなくなる。
【0215】
そこで、本変形例においては、上記に対応し、上記所定の周波数範囲内の50のチャンネルを、予め自機使用チャンネルリストの作成が許容された複数のチャンネルと、自機使用チャンネルリストの作成が許容されない複数のチャンネルとによって構成する。そして、自機使用チャンネルリストの作成が許容された複数のチャンネルのみを用いてリスト作成を行う。そして、自機使用チャンネルリストの作成が許容された複数のチャンネルについては自機使用チャンネルリストに沿ってチャンネルを切り替える。また、これとともに、自機使用チャンネルリストの作成が許容されない複数のチャンネルについては上記固定チャンネルリスト(図17を参照)に沿ってチャンネルを切り替える。これにより、少なくとも、自機使用チャンネルリストの作成が許容されない複数のチャンネルに関しては、各リーダ1におけるチャンネルの切替パターンが固定され、変更されることがない。したがって、当該自機使用チャンネルリストの作成が許容されない複数のチャンネルについては、前述の通信の不安定化の弊害を回避し、安定的な通信を行うことができる。
【0216】
(5)好適な自機使用チャンネルリストを選択決定する場合
以上においては、他機使用チャンネルリストを用いて、自機使用チャンネルリストを作成し、使用するリストとして決定していたが、これに限られない。すなわち、他機使用チャンネルリストを参照して、予め、不揮発性記憶装置5に記憶された、複数の自機使用チャンネルリストのうち、好適な自機使用チャンネルリストを選択し、使用するリストとして決定するようにしてもよい。
【0217】
本変形例においては、複数の自機使用チャンネルリストが、予め、前述した不揮発性記憶装置5(図2参照)に記憶されている。
【0218】
ここで、本変形例において、リーダ1のCPU4が実行する制御手順において前述の図8と異なる点は、ステップS200であり、その他の手順は図8の各手順と同様である。すなわち、本変形例におけるステップS200では、CPU4は、前述のステップS100で作成された他機使用チャンネルリストを参照する。そして、上記不揮発性記憶装置5に記憶された、複数の自機使用チャンネルリストのうち、上記同一のタイミング、次のタイミング、及び次の次のタイミングにおいて他のリーダの使用するチャンネルとの干渉が低減される自機使用チャンネルリストを選択する。そして、当該選択した自機使用チャンネルリストを、使用するリストとして決定する。以下、図20を用いて、本変形例におけるステップS200の詳細手順を説明する。なお、この図20は、前述の図11に対応する図である。図11と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0219】
図20において、まず、前述の図11と同様のステップS300で、他のリーダにより、現在使用されているチャンネルを検出したら、ステップS600に移る。
【0220】
ステップS600では、CPU4は、不揮発性記憶装置5に記憶された複数の自機使用チャンネルリストのうち、好適な自機使用チャンネルリストを選択し、使用するリストとして決定する、自機使用チャンネルリスト選択決定処理を実行する。この詳細内容については、後述の図21及び図22で説明する。その後、このルーチンを終了する。
【0221】
図21及び図22を用いて、上記図20のステップS600の詳細手順を説明する。
【0222】
図21に示すように、まずステップS605で、CPU4は、最小値EP_minを、上記タイミングに対応した変数TMの最大値TM_maxとする。最小値EP_minは、他機使用チャンネルリストと、不揮発性記憶装置5に記憶された自機使用チャンネルリストとで使用するチャンネルが一致した数の最小値である。なお、本変形例においても、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50とする。
【0223】
その後、ステップS610で、CPU4は、上記不揮発性記憶装置5に記憶された複数の自機使用チャンネルリストに対応する変数P(以下、「リスト変数P」と称する)を1とする。
【0224】
そして、ステップS615に移り、CPU4は、この時点でのリスト変数Pに係る、後述するカウント値E(P)を0とする。
【0225】
その後、ステップS620で、CPU4は、上記変数TMを1とする。
【0226】
そして、ステップS625に移り、CPU4は、リーダ番号Rを1に設定する。
【0227】
その後、ステップS630で、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る上記検出順序保持データS(R)が0であるかどうかを判定する。S(R)=0である場合には、判定が満たされて、後述の図22に示すステップS665に移る。一方、S(R)=0でない場合には、判定が満たされずステップS635に移る。
【0228】
ステップS635では、CPU4は、繰り返し回数をカウントするための変数Nを0に設定する。
【0229】
そして、ステップS640に移り、CPU4は、X=S(R)+N+TM、つまり、この時点で設定されているリーダ番号Rに係る、上記検出順序保持データS(R)と、この時点で設定されている変数Nと、この時点で設定されている変数TMとを加算したXを算出する。
【0230】
その後、ステップS645で、CPU4は、上記ステップS640で算出されたXが、上記ステップS100で作成された他機使用チャンネルリストにおける検出順番Sの最大値、すなわち、変数TMの最大値TM_maxよりも大きいかどうかを判定する。なお、本変形例においても、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50であるので、X≦50である場合には、判定が満たされず、後述のステップS655に移る。一方、X>50である場合には、判定が満たされてステップS650に移る。
【0231】
ステップS650では、CPU4は、X=X−TM_max、つまり、上記ステップS640で算出されたXから変数TMの最大値TM_maxを差し引いた値を、Xとする。なお、本変形例においても、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50であるので、ステップS650の処理は、X=X−50となる。
【0232】
そして、ステップS655に移り、CPU4は、前述のステップS100で作成された他機使用チャンネルリストを参照し、切替順番S=Xに対応付けられ記録された、この時点で設定されているリーダ番号Rに係るチャンネル番号Ch(R)(X)を検出する。そして、この時点でのリスト変数Pに対応した自機使用チャンネルリストにおける、この時点での変数TMに対応したタイミングに対応付けられたチャンネル番号Ch(P)(TM)を検出する。そして、上記チャンネル番号Ch(R)(X)と、上記チャンネル番号Ch(P)(TM)とが一致するかどうかを判定する。この判定は、言い換えれば、この時点でのリスト変数Pに対応した自機使用チャンネルリストにおける、この時点での変数TMに対応したタイミングの使用チャンネルを、この時点で設定されているリーダ番号Rに対応した他のリーダが使用している可能性があるかどうかを判定している。Ch(R)(X)=Ch(P)(TM)である場合、言い換えれば、他のリーダが使用している可能性がある場合には、判定が満たされてステップS660に移る。そして、Ch(R)(X)=Ch(P)(TM)となった数をカウントしたカウント値E(P)に1を加え、図22に示すステップS665に移る。一方、Ch(R)(X)=Ch(P)(TM)でなかった場合、言い換えれば、他のリーダが使用している可能性がない場合には、判定が満たされず、直接、図22に示すステップS665に移る。
【0233】
図22に示すように、ステップS665では、CPU4は、この時点で設定されているリーダ番号Rが、上記リーダ番号Rの最大値R_maxであるかどうかを判定する。R=R_maxでない場合には、判定が満たされずステップS670に移る。そして、この時点で設定されているリーダ番号Rに1を加え設定し、上記図21に示すステップS630に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、R=R_maxである場合には、判定が満たされてステップS675に移る。
【0234】
ステップS675では、CPU4は、この時点での変数TMが、上記変数TMの最大値TM_maxであるかどうかを判定する。なお、本変形例においても、変数TMの最大値TM_maxは、上記タイミングt50に対応した50である。TM=50でない場合には、判定が満たされずステップS680に移る。そして、変数TMに1を加え、上記図21に示すステップS625に移る。一方、TM=50である場合には、判定が満たされて、ステップS685に移る。
【0235】
ステップS685では、CPU4は、上記最小値EP_minが、この時点での変数Pに係る、上記カウント値E(P)以上であるかどうかを判定する。EP_min<E(P)である場合には、判定が満たされずステップS690に移る。
【0236】
ステップS690では、CPU4は、上記最小値EP_minをこの時点での変数Pに係る、上記カウント値E(P)とする。
【0237】
その後、ステップS700で、CPU4は、この時点での変数Pに対応した自機使用チャンネルリストをP_selとして記録する。そして、後述のステップS705に移る。
【0238】
一方、上記ステップS685において、EP_min≧E(P)でなかった場合には、ステップS685の判定が満たされてステップS705に移る。
【0239】
ステップS705では、CPU4は、この時点での変数Pが、上記不揮発性記憶装置5に記憶された自機使用チャンネルリストの数に対応した、変数Pの最大値P_maxであるかどうかを判定する。P=P_maxでない場合には、判定が満たされずステップS710に移る。そして、変数Pに1を加え、上記図21に示すステップS615に移り、同様の手順を繰り返す。一方、P=P_maxである場合には、判定が満たされてステップS715に移る。
【0240】
ステップS715では、CPU4は、上記ステップS700でP_selとして記憶した自機使用チャンネルリストを、使用するリストとして決定する。その後、このルーチンを終了する。これにより、上記不揮発性記憶装置5に記憶された、複数の自機使用チャンネルリストのうち、上記同一のタイミング、次のタイミング、及び次の次のタイミングにおいて他のリーダの使用するチャンネルとの干渉が低減される自機使用チャンネルリストが選択される。
【0241】
本変形例によれば、作成した他機使用チャンネルリストを参照し、予め複数種類用意されたリストの中から、好適なリストを選択して自機使用チャンネルリストとする。これにより、自機使用チャンネルリストを作成する場合に比べ、より簡素な処理で、迅速に自機使用チャンネルリストを確定し、無線タグTとの通信を開始することができる。
【0242】
なお、以上において、図3中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0243】
また、図8、図9、図10等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0244】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0245】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0246】
1 リーダ(無線タグ通信装置)
3 リーダアンテナユニット(アンテナ手段)
4 CPU
5 不揮発性記憶装置(第1リスト記憶手段、第2リスト記憶手段)
226 RSSI回路(強度検出手段)
T 無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに無線通信を行う無線タグ通信装置であって、
複数のチャンネルを含む所定の周波数範囲内において、無線タグに対し無線通信を実行可能なアンテナ手段と、
前記アンテナ手段により受信された電波の受信信号強度を検出する強度検出手段と、
前記強度検出手段により検出される受信信号強度に基づき、前記複数のチャンネルのうち、他の無線タグ通信装置により使用されているチャンネルを検出するチャンネル検出手段と、
前記チャンネル検出手段により検出されたチャンネルの、チャンネル識別情報と、当該チャンネルを使用している他の無線タグ通信装置の装置識別情報とを、所定の時間区分ごとに関連付けて集計した、他機使用チャンネルリストを作成する他機用リスト作成手段と、
前記他機使用チャンネルリストを用いて、同一又は前記時間区分に対する所定の範囲内の前記時間区分において前記他の無線タグ通信装置の使用するチャンネルとの干渉が低減されるように、前記複数のチャンネルのうち使用するチャンネルのチャンネル識別情報が前記所定の時間区分ごとに順次設定された、自機使用チャンネルリストを決定する自機用リスト決定手段と、
前記自機用リスト決定手段により決定された前記自機使用チャンネルリストの設定内容に沿い、前記アンテナ手段の使用するチャンネルを、前記所定の時間区分ごとに切り替えながら、当該アンテナ手段により無線タグと情報送受信を行う送受信制御手段と、
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記他機用リスト作成手段は、
1つの前記他の無線タグ通信装置が使用しているチャンネルの前記チャンネル識別情報を、前記チャンネル検出手段により検出される順番で、当該他の無線タグ通信装置の前記装置識別情報に対して前記所定の時間区分ごとに順次関連付けていくとともに、既にチャンネル識別情報の関連付けが済んだチャンネルが前記チャンネル検出手段により検出されたら、当該他の無線タグ通信装置に係わる前記チャンネル識別情報の関連付けを終了する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記強度検出手段により検出される受信信号強度に基づき、前記チャンネル検出手段により検出されたチャンネルを使用している、前記他の無線タグ通信装置を特定する装置特定手段をさらに有し、
前記他機用リスト作成手段は、
前記チャンネル検出手段により検出されたチャンネルの、チャンネル識別情報と、前記装置特定手段により特定された、当該チャンネルを使用している他の無線タグ通信装置の装置識別情報とを、前記所定の時間区分ごとに関連付けて集計し、前記他機使用チャンネルリストを作成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記自機用リスト決定手段は、
前記複数のチャンネルのうち使用するチャンネルのチャンネル識別情報を、前記アンテナ手段による通信を予定する時間範囲内にわたり前記所定の時間区分ごとに順次設定し、前記自機使用チャンネルリストを作成する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記自機用リスト決定手段は、
前記使用するチャンネルとして、前記複数のチャンネルのうち予め前記自機使用チャンネルリストの作成が許容されている複数の第1チャンネルを用いて、前記自機使用チャンネルリストを作成し、
前記送受信制御手段は、
前記複数の第1チャンネルを用いた前記自機使用チャンネルリストの設定内容に沿って、前記アンテナ手段の使用するチャンネルを前記所定の時間区分ごとに切り替えながら、前記情報送受信を行うとともに、
前記複数のチャンネルのうち前記自機使用チャンネルリストの作成が許容されない複数の第2チャンネルについては、予め固定的に定められた固定チャンネルリストの設定内容に沿って、前記アンテナ手段の使用するチャンネルを、前記所定の時間区分ごとに切り替えながら、前記情報送受信を行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項6】
予め、複数の前記自機使用チャンネルリストを記憶した第1リスト記憶手段をさらに有し、
前記自機用リスト決定手段は、
前記他機用リスト作成手段により作成された前記他機使用チャンネルリストを参照し、前記第1リスト記憶手段に記憶された前記複数の前記自機使用チャンネルリストのうち、同一又は前記時間区分に対する前記所定の範囲内の前記時間区分において前記他の無線タグ通信装置の使用するチャンネルとの干渉が低減される自機使用チャンネルリストを、使用するリストとして決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項7】
前記送受信制御手段による制御に基づき前記無線タグとの情報送受信が実行されているときに、前記無線タグとの通信において通信エラーが生じたかどうかを判定する通信エラー判定手段をさらに有し、
前記自機用リスト決定手段は、
前記通信エラー判定手段により、前記無線タグとの通信において通信エラーが生じたと判定された場合は、前記自機使用チャンネルリストの決定を再度行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項8】
前記自機用リスト決定手段により決定された自機使用チャンネルリストを、前記アンテナ手段を用いた無線通信により送信可能なリスト送信手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項9】
前記チャンネル検出手段により行われる前記他の無線タグ通信装置が使用しているチャンネルの検出と前記他機用リスト作成手段により行われる前記他機使用チャンネルリストの作成とを省略した動作を指示する、簡易起動指令が入力されたかどうかを判定する簡易起動判定手段と、
前記起動指令入力時のための1つの前記自機使用チャンネルリストを記憶した第2リスト記憶手段と、をさらに有し、
前記自機用リスト決定手段は、
前記簡易起動判定手段により前記簡易起動指令が入力されたと判定された場合には、前記第2リスト記憶手段に記憶された前記1つの自機使用チャンネルリストリストを、使用するリストとして決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−142561(P2011−142561A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2931(P2010−2931)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】