説明

無線周波数識別システムに対する用途

【課題】手持ち型RFID装置、およびそのような装置の用途を含むRFID装置を提供する。
【解決手段】本装置と用途はRFIDタグ、また任意に磁気セキュリティ素子、が関連付けられた品目と合わせて利用できる。本装置と用途については、特に本、定期刊行物、磁気的および光学的媒体等の図書館の資料に関して記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)システムの用途に関し、特に図書館におけるその種のシステムの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
(公知文献の引用)
本特許出願は、米国特許出願第09/134,686号(1998年8月14日に同一名称で出願)および米国特許出願第09/344,758号(1999年6月25日、同一名称で出願)より優先権を主張する。両出願の譲受人は本発明と同一であり、両出願の内容は本発明に引用されている。
【0003】
(発明の背景技術)
電子物品監視(「EAS」)システムは、関心のある物品の表面や内部に置かれたり、あるいは人が持ち運ぶ小型の電子装置の存在を検知し、小売店や図書館で窃盗その他の不正な物品持ち出しを検知するためによく利用されている。これらの装置は一般にタグまたはマーカとして知られ、従来は品目の存在に関する情報だけを含んでいた。この情報は、断続的または連続的にタグを電子的に調べることにより得られる。その調べ方に基づいて、磁気方式、磁気機械方式、無線周波数(RF)方式、およびマイクロ波方式の少なくとも4種類の異なるEASシステムが数年来発展してきた。これら4種類のうち、磁気方式システムが大多数のアプーションにおいて最も高いセキュリティレベルを与える。磁気タグは物品表面または内部に容易に隠すことができ、(遮蔽、折り曲げ、および圧力の影響を受けにくいため)発見されにくく、また停止や再起動が容易であるため、高レベルのセキュリティを提供し、またタグを付けられた物品の状態に関する何らかの情報を与える。
【0004】
EASシステムのユーザの多くは、単にタグを付けられた物品が存在しているか否かを知るだけでは満足しない。ユーザはまた、例えばタグを付けられた物品のどれが存在しているかをも知りたがる。製造日、在庫状態、所有者等、物品の特徴に関する詳細情報は、一般に光学式バーコードを介して、自動化された取り扱いおよび制御システムに伝送されてきた。光学式バーコードシステムは安価かつ効果的であるものの、一定の制約がある。バーコードは目に見えなくてはならず、そのためそれらが置かれる場所が限られ、偶然にせよ故意にせよバーコードは簡単に見えにくくされてしまう。検知装置がバーコードを検知できる範囲もまた比較的小さい。またバーコードを検知するためにはその配置が適切でなければならない。さらに、バーコードは検知されるべく露出していることが多いため、損傷を受けて検知が失敗しやすい。最後に、多数の品目を一度に1個づつ処理しなければならない。バーコードシステムのこれらの制約により、図書館媒体のマーキング等、ある種の用途には望ましくないか、あるいは非効率的である。
【0005】
さらに最近では、光学式バーコードの制約に対処すべく(無線周波数識別あるいはRFIDとしても知られる)電子識別技術が開発されてきた。RFIDシステムは物品の識別と追跡を行なうには成功しているが、大部分のRFIDシステムはタグが容易に非活性化される(〜1MHz以上の)周波数範囲で稼働するため、物品のセキュリティを保証するには不十分である。無線周波数タグに付随するセキュリティ欠陥が生じるのは、例えば手やアルミホイルでタグを覆ったり、あるいはタグを本に挟むことで“遮蔽”することができるためである。検知範囲が広く遮蔽がより難しい電池駆動の無線周波数タグでさえ、遮蔽される恐れがある。このように、RFIDタグによりタグを付けられた物品は、不注意または故意により検知されない可能性がある。これはセキュリティ装置としてその有効性を大きく損なうものである。RFIDマーカはまた、「スマートカード」と関係がある。接触型および無接触型スマートカードは商用用途に登場した。スマートカードは、タグを付けられた物品よりむしろ特定の人物に関連付けられる傾向がある。スマートカード(またはそれを携帯する人物の)のセキュリティと追跡に関する問題はRFIDマーカについて上で述べたものと類似している。
【0006】
RFIDマーカに付随するセキュリティ問題は、無線周波数およびマイクロ波ベースのEASタグの分野に精通する者によく知られている問題に類似している。無線周波数およびマイクロ波ベースのEASタグの短所を克服する試みに相当の努力がなされてきた。しかし、セキュリティタグとしての性能が十分に向上したものは未だにない。「非活性化コイルを備えた二重周波数EASタグ」と題された米国特許第5,517,195号(Narlow他)に、ダイオードと非活性化回路を有するアンテナ回路を含む二重周波数マイクロ波EASタグについて記述している。非活性化回路は、アンテナ回路のダイオードで電圧を誘導することにより低エネルギーの交流磁界に応答してダイオードとアンテナの機能を止めて、タグを無効にする。Narlow他により開示されたコンデンサ・ベースのタグはある種の用途には有用であるが、長期間を経て漏電が生じる恐れがあり、それによりタグが不意に作動する可能性がある。
【0007】
米国特許第4,745,401号(Montean他)で開示された種類の無線周波数EASタグは磁気方式の素子を含む。磁気方式の素子は、付属装置によりタグが適切に磁化された際にタグのチューニングを変更し、それによりタグの無線周波数応答をブロックする。これらのタグはある程度の有用性を有するが、依然としてセキュリティおよび識別能力を向上させるものではない。
【0008】
無線周波数識別技術は、多くの企業により開発されてきた。例えばMotorola/Indala社(米国特許第5,378,880および5,565,846を参照)、Texas Instruments社(米国特許第5,347,280および5,541,604を参照)Mikron/Philips Semiconductors社、Single Chip Systems社(米国特許第4,442,507号、第4,796,074号、第5,095,362号、第5,296,722号および第5,407,851を参照)、CSIR社(欧州文書番号第0494114A2号、第0585132A1号、第0598624A1号および0615285A2号を参照)IBM社、(米国特許第5,550,547号、第5,521,601号、第5,528,222号および第5,682,143号を参照)、およびSensormatic Electronincs社(米国特許第5,625,341を参照)等である。これらのタグはすべて電池を必要とせずに遠隔識別を行なわせるものである。これらは125kHzから2.45GHzの範囲の周波数で動作する。低周波数タグ(〜125kHz)は遮蔽に対して適度に耐性があるが、帯域幅制約のために無線周波数機能が限られてしまう。特に、これらのマーカに基づいたシステムは一般に、一度に1個のタグが監視領域にあるときにしか確実に動作しない。また、比較的大型であって製造コストがかかる傾向がある。より高い周波数(通常13.56MHz、915MHz、および2.45GHz)において、利用可能な帯域幅を追加したことにより、短時間で監視地帯内の多数のタグを確実に処理できるシステムの開発が可能になった。これは多品種用途にとり極めて望ましい。その上、ある種のタグ設計は比較的安価に製造でき、そのために顧客にとってより魅力的である。しかし、これらの高周波装置は程度の差こそあれ、先に論じた遮蔽を受けやすい点が共通している。従って、図書館等の特定の用途で要求される高レベルのセキュリティを提供することができない。
【0009】
上述の議論より、タグを付けられた品目の識別が重要であるさまざまな環境におけるRFIDタグ向けの用途が多数存在することは明らかであろう。例えば、Check Point Systems社が譲受人であるPCT公開番号WO99/05660号(1999年2月4日公開)は、RFIDタグが付けられた物品を用いた在庫システムを記述している。そこで記述された好適な実施の形態は図書館の物品へのRFIDタグの利用を考察し、次いで物品の属性を決定すべくRFIDタグを調べることにより、物品を自動的に貸し出すことができる。しかし第660号公開特許には、多くの重要な、または望ましい図書館やその他の物品管理機能は未だに記述も示唆もされていない。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、携帯RFID装置を含むRFID装置、およびこのような装置の用途に関する。これらの装置と用途はRFIDタグ、オプション的には磁気的セキュリティ素子、が付けられた品目と合わせて利用できる。これらの装置と用途について、特に本献、定期刊行物、また磁気的および光学的媒体等の図書館の資料を参照しつつ記述する。本発明向けの他の用途もまた想定している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を、添付図面を参照しながら詳細に記述する、複数の図にわたる同一番号は同種の構造を表わす。
【図1A】無線周波数識別タグの模式図である。
【図1B】無線周波数識別タグの模式図である。
【図2】無線周波数識別タグの第2の実施の形態の模式図である。
【図3】複合タグの模式的な平面図である。
【図4】RFIDタグと相互作用するRFID呼掛けシステムのブロック図である。
【図5】本発明による、複合タグの説明図である。
【図6】本発明による、複合タグの説明図である。
【図7】本発明による、複合タグの説明図である。
【図8】本発明による、複合タグの説明図である。
【図9】本発明の各種の実施の形態の説明図である。
【図10】本発明の各種の実施の形態の説明図である。
【図11】本発明の各種の実施の形態の説明図である。
【図12】本発明の各種の実施の形態の説明図である。
【図13】本発明の各種の実施の形態の説明図である。
【図14】本発明の各種の実施の形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここに述べた本発明の実施の形態は、RFIDタグ、好適にはRFID/磁方式を組み合わせたセキュリティタグを利用する。この種のタグは、本発明の譲受人が出願し、本出願が優先権を主張する米国出願に引用されている、「セキュリティが向上した識別タグ」と題された米国出願番号第09/093,120号(1998年6月8日出願)に開示されている。本発明の実施の形態と合わせて利用される、磁気方式、RFID、および複合タグの詳細な記述を以下のセクション1で述べ、次いで本発明の実施の形態をセクションIIで詳しく開示する。
【0013】
I.本発明の実施の形態において用いるタグと素子
以下にセクションIIで述べる本発明の実施の形態において用いるタグは、単一の装置で物品識別とセキュリティ効果の両方を実現することができる。好適には磁気的な呼掛け信号に応答する素子、および無線周波数呼掛け信号に応答する素子を含む。一実施の形態において、磁気応答素子はまた、無線周波数応答素子に対するアンテナを与える。本発明の文脈で「応答」という用語は、適切な呼掛け磁界に置かれた際に、解釈可能な情報を素子が提供することを意味する。最初に個々の素子を、続いて複合タグについて述べる。以下で明らかになるように、セクションIIで述べる本発明の実施の形態はRFID素子のみを含んでいても、あるいはRFID素子と磁気セキュリティ素子の組み合わせを含んでいてもよい。
【0014】
A.磁気応答素子
磁気応答素子は好適には、ミネソタ州セントポールのMinnesota Mining and Manufacturing(3M)社から「TATTLE−TAPE(登録商標)」ブランドの商品名で販売されているストリップに用いられている材料等の低保磁力、高透磁性強磁性材料で作られている。これらのストリップ、またはマーカアセンブリは3M社が譲受人であるいくつかの特許に述べられている。例えば米国特許第5,331,313(Koning)や3,747,086(Peterson)等であり、これらの内容は本明細書に引用されている。低保磁力、高透磁性強磁性材料の例として、パーマロイ(ニッケル/鉄合金)、およびニューヨーク州モリスタウンのAllied Signal社からMetglas2705MおよびMetglas2714Aの商品名で販売されている高性能のアモルフォス金属等がある。
磁気応答素子は、素子が関連付けられた物品の特性に依存して、一状態あるいは二状態のいずれであってもよい。例えば、図書館において特定の参考文献は図書館から持ち出しが禁止されていて、従ってこのような本が呼掛け領域の中を通過したか否かを一状態の(非活性化不可)マーカが常時表示している。普通の図書館の資料や商品等、他の物品は二状態マーカアセンブリを必要とする場合がある。その場合、物品が適切に処理されたならば呼掛け源により検知されないようにするためにマーカは適宜非活性化されてよい。以下に述べるように、またPeterson特許からの上述の引用のように、二状態機能は一般に、低保磁力磁気材料に近接して高保磁力磁気材料の部分を加えることにより提供される。
【0015】
特定の磁気応答素子は、低周波数の交番磁界(例えば50Hz〜100kHz)を通過した際に磁界の向きを急速に切り替え、検知装置の受信コイルにより検知される所定の特性応答を生成する能力を有する。マーカアセンブリの機能は、高保磁力素子または「キーパー素子」の磁化状態により制御される。これらのキーパー素子が磁化されると、呼掛け領域の交流磁界内で磁気的に向きを変えるマーカの能力が変化させられ、マーカは通常検知されない。キーパー素子が非磁化されると、マーカは再び切替機能を実施できるようになり、呼掛け源がマーカの存在を検知できるようになる。当分野で公知なように、異なる方法でキーパー素子を提供することができる。
【0016】
マーカアセンブリはまた、その片側または両側に接着剤を含んでマーカを本やその他の物品に接着させることができる。粘着性のレイヤ(群)を除去可能なライナーで覆うことにより、意図した面にマーカを貼り付ける前に誤った面に貼り付けるのを防ぐことができる。マーカアセンプリのこれらおよび他の特徴は米国特許第3,790,945(Fearon)、5,083,112(Piotrowski)および5,331,313(Koning)に述べられており、上述のとおりすべて引用されている。
【0017】
この種の低周波数磁気素子は検知されないよう遮蔽することが難しいため、セキュリティが重要な場合、さまざまな品目に効果的に利用できる。その上、他のEAS技術を使用するマーカに比べて非活性化と再起動がより便利に、完全に、かつ繰り返し行なえるため、この特徴が大いに期待されている(図書館等の)特定の用途での利用により適している。
【0018】
B.無線周波数応答素子
RFIDタグは能動的であっても、あるいは受動的であってもよい。能動的タグはタグ構成に、電池等の二次エネルギー源を組み込んでいる。このエネルギー源により能動的RFIDタグが呼掛け無線周波数場が弱い領域においても強い応答信号を生成して伝送できるため、能動的RFIDタグはより広い範囲で検知できる。しかし、電池の寿命が比較的短いため、タグの有効使用期間には制約がある。さらに、電池によりタグの大きさとコストが増える。受動的タグは、タグの給電に必要なエネルギーを呼掛け無線周波数から得て、アンテナが呼掛け磁界に示すインピーダンスを変調することによりそのエネルギーを用いて応答コードを伝送し、それによりリーダアンテナに返される反射信号を変調する。このように、その範囲は限定される。受動的タグは多くの用途にとって好適であるため、この種のタグに限定して議論を続けることにする。しかし、当業者にはこれら2種類のタグは多くの特徴を共有し、両方とも本発明と合わせて利用できることが理解されよう。
【0019】
図1に示すように、受動的無線周波数応答素子10は通常、集積回路12とアンテナ14の2個のコンポーネントを含む。集積回路は主要な識別機能を提供する。永久にタグ識別やその他の所望の情報を保存し、呼掛けハードウェアから受け取ったコマンドを解釈および処理して、呼掛け装置からの情報要求に応答し、多数のタグが同時に呼掛けに応答することに起因するコンフリクトをハードウェアが解決するのを支援するソフトウェアと回路を含む。集積回路はオプションとして、単に情報を読み出すだけ(読み出し専用)ではなくメモリ(読み出し/書き込み)に保存されている情報の更新も行なえる。RFIDマーカでの利用に適した集積回路として、Texas Instruments社(TIRISまたはTag−it製品群)、Philips社(I−Code、MifareおよびHitag製品群)、モトローラ/Indala社、およびSingle Chip Systems社から販売されているものがある。
【0020】
アンテナの形状と特性は、タグのRFID部の所望の動作周波数に依存する。例えば、2.45GHz(または類似の)RFIDタグは通常、図1Aに示す線形ダイポールアンテナ14、あるいは図1Bに示すように無線周波数応答素子10aに取り付けられた折り畳みダイポールアンテナ14a等のダイポールアンテナを含む。13.56MHz(または類似の)RFIDタグは、図2に示すように無線周波数応答素子に取り付けられたスパイラルまたはコイルアンテナ14bを用いる。いずれの場合も、アンテナ14は呼掛け源から放射された無線周波数エネルギーを傍受する。この信号エネルギーはタグに電力および命令の両方を提供する。アンテナによりRF(無線周波数)応答素子はICチップに電力を供給し、それにより検知させたい応答を返すのに十分なエネルギーを吸収することができる。このように、アンテナの特徴はそれが含まれるシステムに適合しなくてはならない。高い周波数(MHz〜GHz)範囲で動作するタグの場合、最も重要な特徴はアンテナの長さである。通常、ダイポールアンテナの有効な長さは、それが呼掛け信号の半波長あるいは半波長の倍数に近い値に選ばれる。サイズの制約のため半波長アンテナが非実用的である低位乃至中位の周波数範囲(例えば13.56MHz)で動作するタグの場合、重要な特徴はアンテナインダクタンスおよびアンテナコイルの巻き数である。両方のタイプのアンテナについて、高導電性が必要とされる。通常、銅あるいはアルミニウム等の金属が用いられるが、パーマロイ等の磁性金属を含む他の導体も利用可能であり、実際に本発明の目的に好適である。また、エネルギー伝送を最大にするために、選択されたICチップの入力インピーダンスがアンテナのインピーダンスと合致することも重要である。アンテナに関するその他の情報は、例えば、J.D.Kraus「アンテナ」(1988年、第2版。McGraw−Hill社、ニューヨーク)等の参考文献により当業者に公知である。
【0021】
図2に示すように、多くの場合マーカの性能を向上させるためにコンデンサ16が含まれる。コンデンサ16が存在する場合、タグの動作周波数を特定の値に調整する。これは、最大動作範囲を達成して、かつ規制条件の遵守を保証するために望ましい。コンデンサは別個のコンポーネントであっても、あるいは後述のようにアンテナ内部に一体化されていてもよい。ある種のタグ設計、特に2.45GHz等の非常に高い周波数で動作すべく設計されたタグは調整コンデンサを必要としない。コンデンサは、アンテナからのインダクタンスに接続されたとき、次式で与えられる複合構造の共振周波数がRFIDシステムの所望の動作周波数によく合致するように選択される。
【数1】

ここに、
C=静電容量(単位:ファラッド)
L=インダクタンス(単位:ヘンリー)である。
コンデンサはまた、3M社が譲受人である米国特許第4,598,276号(Tait他)および第4,578,654号(Tait他)に記述されるように、分散型コンデンサであってもよい。分散静電容量はタグのサイズ、特に厚さを減らして手作業での組み立てを最小限にするために望ましい。
【0022】
動作過程において、図4に示すように無線周波数応答タグ110は、通常タグを監視する位置の近くに設置されているEASセキュリティシステム100により呼掛けられる。呼掛け領域は、間隔を空けた複数の検知パネルを、タグが付けられた物品が置かれている部屋の出口を跨いで、監視対象品目を運ぶコンベヤ等の近くで向き合うように設置することにより設定される。手持ち式の検知装置を用いてもよい。(通常駆動発振器と増幅器を含む)呼掛け源102は(界磁コイルとも呼ばれる)アンテナ104に接続されて、呼掛け領域内で交流無線周波数場あるいは呼掛け信号を発信する。システム100はまた、信号を受信するアンテナ(アンテナ104として示され、受信コイルとも呼ばれる)および呼掛け領域内でタグが生成した信号を処理するための検知装置106を含む。
【0023】
呼掛け源102は呼掛け信号200を発信する。信号は、他の用途との干渉を起こさず、また適用される国の規制に従うべく特定の公知の周波数帯域内で選択されてよい。無線周波数応答素子が呼掛け信号を受信すると、自身の応答コード信号202を伝送し、それは次いでアンテナ104により受信されて検知装置106へ伝送される。検知装置は応答を解読して、(通常コンピュータやその他のメモリ装置108に保存された情報に基づく)タグを識別し、検知されたコード信号に基づいてアクションを起こす。例えば図示した単一のアンテナ104の代わりに呼掛け源102と検知装置106に別々のアンテナを用いる等、図示したシステムのさまざまな改良が当業者に公知である。
【0024】
最近のRFIDタグはまた、非常に多くのユーザアクセス可能なメモリを提供する。これらは読み出し専用メモリまたは追記型メモリである場合もあるが、ユーザが離れた場所から内容を書き直して繰り返しメモリを更新できる方がより好適である。提供されるメモリの量はさまざまであり、RFIDタグの集積回路部のサイズとコストに影響する。通常、128ビットから512ビットの間が安価に提供できるメモリ量の総計である。例えばテキサス州ダラスのTexas Instruments社から「Tag−it」の商品名で販売されているRFIDタグは、一意なタグシリアル番号、バージョンおよび製造情報等の項目用に予約された128ビットのメモリに加えて256ビットのユーザプログラマブルメモリを提供する。同様に、オランダのエイントホーフェンにあるPhilips Semiconductors社から「I−コード」の商品名で販売されているRFIDタグは上述の種類の情報用に予約された128ビットとともに384ビットのユーザメモリを提供する。
【0025】
このユーザアクセス可能なメモリは、例えば図書館環境に配置された品目識別システムの性能を向上させるために利用できる。現在、図書館では光学式バーコードを走査することにより品目を識別している。このバーコードに含まれる一意の識別子は、図書館オートメーションのベンダーから提供されるソフトウェア(LAVソフトウェア)を含む貸し出しデータベースにアクセスするために利用され、そのデータベースには品目に関するより多くの情報が永久に保存される。このシステムは高度に発達しており、多くの用途で非常にうまく機能するものの、2つの短所がある。第一に、情報にアクセスするには貸し出しデータベースへの接続を確立しなければならない。これは、データベースへ接続しにくい場所に品目がある場合、情報の入手を困難にする。第二に、特に利用が集中する期間における貸し出しデータベースからの情報検索は、時として我慢できないほど長い時間を要する。従って情報に含まれる特定の重要項目をRFIDタグに保存することにより、これら両方の制約を克服できる。
【0026】
情報をRFIDタグ自体に入れることにより、図書館識別システムの性能を改善することができる一例として、図書館識別番号が挙げられるであろう。すなわちデータベースにアクセスすることなく、RFIDラベルを走査するだけで品目の「本籍」図書館を手早く便利に確認することができる。RFIDタグ自体に情報を入れることが好適な別の例として、品目が本、ビデオテープ、オーディオテープ、CDやその他どの品目であるかを明示するコードがある。このコードは例えば、本発明の譲受人から販売されている3M標準交換プロトコルで指定された媒体タイプコードで構成されていてよい。媒体のタイプが即座にわかることにより、図書館の資料管理システムは、遠くにある貸し出しデータベースを調べる手間および時間をかけることなく、品目が適切に処理されていることを保証できる。RFIDラベルに組み込むのに適した情報の他の例は当業者には明らかであろう。
【0027】
RFIDシステムがバーコードベースのシステムよりも優れている別の分野として、多品目の識別がある。精巧なソフトウェアアルゴリズムを用いることにより、RFIDリーダとマーカは協動して、操作者の介在なしにリーダの呼掛け領域内にあるすべての品目がうまく識別されることを保証する。この能力により、バーコードベースの識別システムで実装するのが困難または不可能であった在庫管理、品目追跡および分類の分野における多くの有用な用途の開発が可能になる。
【0028】
C.複合タグ
図3および図5〜8を通じて示すように、複合タグ20は磁気応答素子とRF応答素子を組み合わせて、両方の利点を引き出す。このように、2種の素子を対象品目に同時に適用することによりコストが削減できる。複合タグに除去可能なライナーに覆われた感圧接着剤を塗布することにより、ライナーが除去された際に複合タグを物品の表面に接着させることができる。別の実施の形態において、タグは無線周波数応答素子用のアンテナとして磁気応答素子を用いる。磁気応答素子がアンテナとして用いられる場合、無線周波数応答素子に電気的に接続されており、無線周波数応答素子に物理的に接続していても、いなくてもよい。
【0029】
本発明に従って作られた複合タグは2通りの方法で呼掛けできる。第一に、RFID呼掛け源は無線周波数信号を利用して、集積回路にコードを要求してそれを受信する。この情報は例えば、タグが付けられて物品を識別し、またその物品が適切に処理されたか否かを示す。第二に、呼掛け磁界がタグを呼掛けてマーカアセンプリの磁性部がアクティブであるか否かを判定する。マーカアセンブリがアクティブであれば、呼掛け源は、マークが付いた物品が適切に処理されなかったとの通知等の応答を生成する。磁気による呼掛けは無線周波数による呼掛けに比べて遮蔽に対して耐性が大きいため、複合タグの磁性部はセキュリティを向上させよう。このように、磁気およびRFIDタグ両方の特徴が単一の複合タグ内で組み合わされる。
【0030】
好適な実施の形態において、複合タグは無線周波数応答素子の回路内でアンテナとしても機能する磁気応答素子を含む。両方の機能を発揮するために、アンテナ材料は低い保磁力と非常に高い透磁性を(効率的なセキュリティ素子として機能するために)、また中位乃至高位の導電性を(効率的なアンテナとして機能するために)備えている必要がある。さらに、アンテナの形状は両方の機能に適合したものでなければならない。この実施の形態においてアンテナは、例えばパーマロイ、すなわちニッケルと鉄の合金から作ることができる。
【0031】
一実施の形態において、3M社の「Tattle−Tape(登録商標)」ブランドのセキュリティストリップやその他の同種の磁気素子を、2.45GHzまたは同等の高周波数で動作する線形ダイポールアンテナとして用いてよい。このストリップの長さ、幅および厚さは、用いられたRFIDチップの特定の動作周波数やその他の特徴と合致するよう選ばれている。通常、本ストリップは(ペンシルベニア州リーディングのCarpenter Speciality Alloys社から「HyMu80」の商品名で販売されているものを含む多種類の)パーマロイ、あるいはニューヨーク州モリスタウンのAllied Signal社から2705Mの商品名で販売されているアモルフォス合金から作られ、その長さは6.35〜16.5センチメートル(2.5〜6.5インチ)の間である。集積回路の端子はセキュリティストリップの終端に物理的に接続されている。インピーダンスと電力ゲインの電気的測定の結果、このような磁気ストリップはこの種のチップに通常用いられる銅やアルミニウム製のダイポールアンテナと同等の基本電気特性を与えることが明らかにされ、したがって両方の機能をうまく発揮するものと期待される。
【0032】
磁気応答素子が無線周波数応答素子用のアンテナの少なくとも一部として用いられる場合、両者は互いに電気的に接続されている。(図5に示すように)多数の素子間の物理的接続により、あるいは物理的接続が無い場合は(図6、7、8に示すように)非接触電磁結合により電気結合が生じる場合がある。非接触結合は寄生結合、静電結合、あるいは誘導結合を含み、そのようなアンテナコンポーネントを寄生アンテナ素子、反射および導波アンテナ、八木/宇多アンテナ、あるいは他の適当なアンテナ構成に利用することができる。
【0033】
図3に示す複合タグは磁性材料で作られたコイル巻きを含む。本タグは例えば、タグの磁気的機能を改善するためにコーナーに磁束コレクタが備えられた14cのようなアンテナ構造を有する13.56MHzのタグであってよい。他の種類の磁束コレクタを備えていてもよい。
【0034】
図5に示す複合タグ20は、磁気応答材料で作られたアンテナ22と集積回路12の間の物理的な接続を含む。1個以上のキーパー素子または上述の種類のものもまた磁気応答材料に適用でき、それにより選択的に起動または停止されて二状態タグを実現することができる。しかし図6に示すアンテナ22aは、集積回路12またはダイポールアンテナ23に物理的に接続していないにもかかわらず、寄生ダイポール結合によりダイポールアンテナに電気結合して複合タグ20aを実現する。ダイポールアンテナ23は、磁気応答材料あるいは非磁気応答材料のどちらで構成されていてもよい。
【0035】
図7および8に示す実施の形態において、1個以上のアンテナ22が備えられていてアンテナ23bおよび23cにそれぞれ電気結合する。図7に示す複合タグ20bにおいて、集積回路12はアンテナ22bに寄生的に結合するダイポールアンテナ23bを含む。アンテナ22bは磁気応答材料で作られており、アンテナ(群)23bも磁気応答材料で作られていてよい。図8に示す複合タグ20cにおいて、図2に示す種類の無線周波数応答素子はアンテナ22cに寄生的に電気結合している。アンテナ22cは磁気応答材料で作られており、アンテナ(群)23cも磁気応答材料で作られていてよい。これら実施の形態のその他の改良型も容易に設計できる。
【0036】
複合タグの全体の厚さは、タグが物品の上または内部に目立たないように置けるように、できる限り薄い方がよい。例えば、タグは本のページの間に接着剤で貼り付けることができ、本の裏側を見て容易に発見されるのを妨ぐためにタグを十分薄くすべきである。従来のICは厚さが約0.5ミリメートル(0.02インチ)であり、タグの全体の厚さは0.635ミリメートル(0.025インチ)未満であるのが好適である。
【0037】
本発明の複合タグは、個々のタグを物品へ自動的かつ連続的に貼付できるようにロール形状で提供することができる。この一般的なシステムは、例えばPCT公開番号WO97/36270号(Devale他)に述べられている。個々の複合タグは、その1つ以上の表面が(感圧接着剤等の)接着剤で覆われていて、ロールから取り除かれて本の2ページの間の綴じ込み部分の近くに貼付することができる。複合タグの挿入を容易にするためにページスプレッダが備えられていてもよく、またシステムの各種のコンポーネントの位置を検知するセンサ等その他のオプションも提供されてもよい。
【0038】
複合タグは、特に図書館の資料処理での利用を想定されているが、これに限られるものではない。この種のRFIDタグを有する図書館の資料は、人間の介在なしに、持ち出し/返却の確認をより容易に行なうことができよう。すなわち、特定の利用者(自分の図書館カードに貼付されたRFIDタグを本人が持っている)が適当な検知領域を通過する際に、資料はその利用者に貸し出されたと自動的に確認され、利用者が資料を持って図書館に再入館した際に返却されたと確認される。本発明のタグはまた、図書館管理者が即座にかつ連続的に資料を追跡できるようにすることにより、在庫管理と分析を支援することができる。無論、本発明のこれらおよびその他の特徴は、店舗、倉庫等における物品の取り扱いのような他の用途にも適用することができる。
【0039】
別の実施の形態において、複合タグは二状態マーカ情報を提供することができ、その情報は(タグの磁気特性が起動中か停止中かを示す)磁気応答、および(適切なソフトウェアの利用を介して、品目が適切に処理されていたことをデータベースまたはRFIDチップ自体のメモリが示す)無線周波数応答の両方を介して提供される。
【0040】
以下の例はセクションIIで述べる本発明の実施の形態で用いられるタグについてより詳しい情報を提供する。
【0041】
実施例1
本発明に従って複合タグが作られた。ペンシルベニア州リーディングのCarpenter Technology社から「HyMu80」の商品名で販売されている合金で作られたパーマロイストリップを、カリフォルニア州サンディエゴのSingle Chip Systems(SCS)社が生産した試験設備に貼付した。ストリップの寸法は、幅が約1.6ミリメートル(0.625インチ)、厚さが0.0254ミリメートル(0.001インチ)、長さが10.16センチメートル(4インチ)である。試験設備はLEDダイオードに接続した標準SCS2.45GHzのアンテナで構成されている。本装置は、典型的なSCSRFIDタグに給電するのに十分な強さを有する2.45GHzの場に露出されるとLEDが発光して、装置の受電部が正常動作中であることが即座に視認できるように設計されている。標準SCSアンテナをパーマロイアンテナのプロトタイプで置き換えたところ、LEDはほぼ同じ場の強さで発光し、プロトタイプが正常に動作することが確認された。
【0042】
実施例2
図3に、13.56MHzのRFID設計で有用であると思われるアンテナの別の実施の形態を示す。この周波数において、コイルタイプのアンテナ形状パターンが好適である。コイルを構成するらせん状の巻きは、(物理的または化学的)エッチング、ダイカッティング、あるいはマスクを通した析出にのいずれかにより、パーマロイ等の磁性合金から形成される。コイルのまっすぐな「腕」部はまた、この設計で磁気応答素子としても機能する。しかし、これらの金属素子の長さはこの形状により縮められているため、装置の磁気セキュリティ部の有効性が制限される。図3に示す実施の形態において、コーナーに配置された磁束収集素子は、この制約を克服するためにアンテナコイルに加えられた。図3に示す構成は、アンテナの動作周波数を所定の呼掛け周波数に調整するために、上述のようにコンデンサを含むのが好適である。
【0043】
本例で述べたアンテナの特徴は、無線周波数集積回路用の公知のアンテナの特徴と比較された結果、それらの特徴が似通っていたため、本例のアンテナはこのような用途において十分に機能するものと思われる。
【0044】
以下に述べる本発明の実施の形態は、それぞれ上で述べたRFID素子のみを有するタグ、または複合タグのいずれかを用いてよい。
【0045】
II.本発明の実施の形態
A.磁気的機能を有するRFID装置
RFIDタグは図書館利用者により故意あるいは偶然に遮蔽される恐れがあるため、タグを付けられた図書館の資料にRFIDおよび磁気セキュリティ素子の両方を、なるべく同一タグ上に設置することが多くの場合重要である。磁気セキュリティ素子が二状態方式である場合、すなわち選択的に起動/停止できる場合、素子に磁界を印加することにより状態が典型的に変えられる。このような磁化動作は本や雑誌等の図書館の資料に対して何ら影響しないが、磁気的に記録された媒体に対しては有害な影響を及ぼす恐れがある。磁気的機能を有する本発明のRFID装置はこのような問題を解決するものであり、図書館職員が一切介在しない点が好適である。
【0046】
図9に示すように、利用者カード、本、その他の資料のような品目に付けられたRFIDタグからの情報を読むためのRFID装置が備えられている。好適には、RFIDタグから読み込まれた情報は、媒体の種類(例えば、磁気、印刷、または光)の表示を含み、それは以後の品目の処理が適切に行なわれることを保証するために用いられる。RFID装置にはまた、品目タグのセキュリティ素子部の起動および停止を可能にすべく設計されたコイル等の装置が備えられている。RFID装置がRFIDタグを読んだ後、装置は図書館オートメーションのベンダーすなわちLAVから提供されたソフトウェアを有するコンピュータに品目識別情報を伝送する。現在約50種類あるLAVソフトウェアシステムの中に、ユタ州プロボのAmeritech Library Services社から販売されている「Dynix」、コロラド州デンバーのCarl社から販売されている「CarlILS」、およびとミズーリ州セントルイスのDRA社から販売されている「DRA」がある。
【0047】
RFIDタグから得られた情報をLAVシステムへ伝送する多くの方法がある。ある方法は、3M標準交換プロトコル(SIP)で実装されたコマンドを利用する。別の方法は、「ウェッジ」として知られている電子装置を用いて、あたかも従来のバーコードスキャナから発信されたかのように情報を伝送する。これらおよびその他の技術は当業者に公知である。このようにして、従来は光学式バーコードスキャナにより実行されていた機能をRFID装置のRFIDコンポーネントが実行する。光学式バーコードスキャナは本装置で依然として使われても、あるいは使われなくてもよい。従って、図書館ではRFID技術が提供する付加的な機能と特徴を享受しつつ、既存のLAVソフトウェアシステムインタフェースおよび端末を使い続けることができる。RFID装置は、既存のLAVソフトウェアシステムディスプレイで協動して操作者にフィードバックを返すならば、ディスプレイを含んでいる必要はない。オプションとして、一体化パッケージとしてRFID装置内にディスプレイやその他のフィードバック機構が含まれていてもよい。
【0048】
RFおよび光学式バーコード読み取り機能の両方を備えた装置において、本装置はRFタグ、バーコードラベル、あるいはその両方が付けられた図書館の資料を扱えるはずである。動作の過程において、本装置はRFIDタグ、バーコード、あるいはその両方を走査し、これらのタグの1つまたは両方から品目識別コードおよび好適にはメディア種類を検索し、LAVソフトウェアシステムにこの情報を渡すことにより、品目の返却確認(チェックイン)処理を行なう。本装置がRFIDシステムと光学式バーコード走査システムの両方を含む場合、本装置はまたバーコード化されただけの媒体用のRFIDタグを生成するのにも利用できる。最初に、バーコードが走査され、続いて識別子(または、システム設計に依存するが、媒体の種類やその媒体についてLAVソフトウェアシステムから返されたその他の選択された情報等、他のデータとともにその識別子に付随するIDコード)がRFIDタグに書き込まれる(記録される)。RFIDタグはそれから品目に貼付することができる。
【0049】
本発明のRFID装置はまた、好適には図書館の資料に貼付された磁気セキュリティ素子の「知的な」再感磁化(resensitizing)および非感磁化(desensitizing)を行なう。本装置がRFIDタグを読んで、LAVソフトウェアへ識別情報を伝送する場合、LAVソフトウェアはRFIDタグが関連付けられた図書館資料の種類の表示を返すようにプログラムすることができる。LAVソフトウェアが、タグを付けられた資料に何らかの特別な磁化動作が必要である(典型的には磁気記録された媒体)旨を示す応答を返したならば、本装置はその動作を実行するシステムだけを起動させることができる。例えば、LAVソフトウェアが、普通の本にRFIDタグが貼付されていて、その本を求める利用者に貸し出してもよいことを示すならば、1個の磁化システムが起動されて、その本に貼付された磁気素子を無効にすることができる。しかし、LAVソフトウェアが、RFIDタグが例えばビデオテープに貼付されていることを示す場合、異なる磁化システムが起動されてそのビデオテープに貼付された磁気セキュリティ素子を無効にすることができる。こちらの異なる磁化システムは、例えば、利用されるセキュリティタグの詳細な特徴に応じて、より弱い磁界あるいはセキュリティ素子のすぐ近くの領域に限定された磁界を用いることにより、磁気媒体自体の損傷を防ぐことができる。装置の詳細な設計に依存するが、本手順は磁気媒体を損傷しないように自動起動をさせない場合がある。
【0050】
好適には、RFIDタグ自体のメモリに十分な情報が保存されていて呼掛け源がLAVソフトウェアにその情報を伝送する必要がなく、代わりに直接適切な磁化システムを起動することができる。この実施の形態により同じ結果を取得するのにより少ないステップで済むため、システム性能が改善されよう。RFIDタグは最小限度、メディア種類をRFID素子のメモリに保存するべきであるが、上術のように追加情報を含んでいてよい。RFID装置から分離したデータベースへ送り返さないこの種の処理を、ここでは「リアルタイム」と呼ぶ。
【0051】
上述のRFID装置の利点は、装置に対する品目の向きにさほど依存することなく、品目を受理して処理することができる点である。従って、光学式バーコードスキャナで図書館の資料を処理する場合にはバーコードラベルが適切な位置にあってスキャナにより判読可能でなければならないが、RFIDタグあるいは複合タグが貼付されている本は、表紙が表裏いずれの向きでも、またラベルをスキャナにきちんと合わせる必要なしに置くことができる。従来の光学式およびバーコードシステムに対するこのRFIDシステムの利点により利用者と図書館スタッフの時間がかなり節約できる。「読み取り範囲」は異機種のスキャナ、タグまたその他のコンポーネントごとに異なっていてもよいが、読み取り範囲は約15センチメートル(6インチ)が好ましいと考えられる。ただし、RFID走査の信頼性を上げるには、さまざまな品目について、RFIDタグを品目の縁から相対的に同じ固定位置に置くことが望ましいであろう。例えば、図書館の本に貼付されるRFIDタグはすべて本の下端から2インチ上に配置されてもよい。
【0052】
本発明のRFID装置の利点は多くしかも重要であり、図書館資料の識別、再感磁化、非感磁化を単一機構だけで行なえ、操作者が異なる磁化操作の訓練や実行をする必要をなくし、バーコードのみのシステムにあった向きの制約を減らすことで処理速度を向上させ、また繰り返し動作により操作者がストレスを感じる恐れを減少させることを含む。別の利点として、走査RFIDタグを操作する方がバーコードを読むのよりも速い。特にコードが品目のカバーやケースの内部にある場合、ユーザがバーコードを見つけて位置をそろえる必要がないために効果が大きい。最後に、RFIDリーダは高性能バーコードスキャナよりも費用が少なくて済むと期待されるため、本システムはまた低コストでもある。これらおよびその他の利益と利点は当業者には明白であろう。
【0053】
B.多品目へのRFID装置の利用
図10に示すように、RFID装置の別の利点は、一度に多数の品目が処理できる点である。光学式バーコードスキャナのみを備えた従来の装置ではバーコードスキャナに提示された品目を一度に一個ずつしか処理できないのに対し、RFID素子を備えた品目のグループを実質的に同時に処理することができる。これは、多数のRFID呼掛け源(リーダ)を装置上または内部に搭載するか、あるいは多品目の識別アルゴリズムを備えた単一の高速RFIDリーダを備えることにより、実現される。この機能により図書館スタッフが多数の品目を処理するのに必要な時間が大幅に削減される。
【0054】
1個以上の資料のグループの処理に際して本装置が不適当な磁化動作を行なうのを避けるために、本装置がユーザに対し、ある種の資料(例えば本や雑誌)をまとめて一緒に提示し、その後で別の種類の資料(例えばビデオやオーディオテープ)をまとめて提示するよう促すメッセージを送るように構成することができる。図12に示すように、RFIDリーダは個々のRFID素子より得られた情報からユーザが適切に資料の仕分けを行なったか否かを判定し、ユーザがそのようにしていなければ、ユーザに催促することができる。別の実施の形態において、本装置はある種類の媒体(例えば本や雑誌)を処理するための領域と、別の種類の媒体(例えばビデオやオーディオテープ)を処理するための離れた領域を含む。それにより適切な磁化動作がそれぞれの資料について確実に行われる。
【0055】
本装置はまた、本装置で処理するためにRFIDタグが貼付された品目が何個提示されているかを示すディスプレイを含んでいてよい。すなわち、RFIDリーダは、本装置に提示された各品目からの情報を得て、例えば5個の品目があることを示すようにディスプレイを更新するであろう。光学式またはその他の検知装置はまた、RFIDタグが付いていない品目が偶然または故意に他の資料の束に入っていた場合に利用者や図書館スタッフに警告するように、同じ個数の品目が本当に存在していたことを確かめるためにも利用できる。この種の光学式検知装置には、本発明の譲受人が出願した1998年4月10日出願の「単一プラットホーム上における多品目の光学式検知の装置と方法」と題された米国特許出願第09/058,585号(Belka他)に記述されたものが含まれ、その内容は本明細書で引用されている。他の検知装置として、重量(検知された品目の重量をRFIDリーダがRFIDタグあるいはLAVソフトウェアから決定し、それを実際に提出された資料の重量と比較する)、あるいは検知された磁気素子の個数(本明細書でその内容を引用した米国特許第5,260,690号(Mann他)に述べる)に基づくものを含んでいてよい。RFIDリーダにより検知された品目の個数と光学式その他の検知装置により検知された個数を比較することにより、RFIDタグが付けられていない品目が関連付けられた磁気セキュリティ素子は、その品目が特定の利用者に貸し出されない限り無効にされないことが保証できる。本装置は、所定の個数の品目が提示された(例えば5個の品目)後でも、または操作者が装置に品目を処理するよう指示した後でも、あるいは一切操作者の介在なしに自動的に品目を処理してもよい。適当な表示により動作状態について操作者に助言を与えることができる。
【0056】
図11に示すように、本発明による装置の別の実施の形態は、内部に多数の品目を含むパッケージやケースの内容を検証する機能である。例えば、一組のオーディオテープが1個のケース内に一緒に包装されているとする。これらのテープだけ、またこれらのテープすべてが一緒に処理されていることを保証するために、RFIDリーダはケースを識別し、ケース内のテープのそれぞれを識別し、さらに資料を利用者へ貸し出すことを許可する前に、識別子を突き合わせることができる。ケース上のRFIDタグがケースの中身に関する情報を含んでいても、あるいはその情報がLAVソフトウェアに保存されていて、RFIDタグから得られた識別情報を介してアクセスされてもよい。
【0057】
多数の資料を処理する能力を備えた装置はさらに、図書館への資料の返却/貸し出しの速度をさらに向上させる。本装置は1個の信号だけをLAVソフトウェアシステムに送信して多数の品目を処理し、そのソフトウェアからの応答で1個の信号だけを受信するように適合させることができる。
【0058】
C.持ち運び可能なRFID装置
多くの用途において、持ち運び可能な、好適には手持ち型のRFID装置を提供することが望ましい。手持ち型RFID装置は棚、大箱、積み重ねた山、および図書館カートの中を探すことができる。十分に品目の近くに置ける場所なら基本的にどこでも探すことができる。本装置の範囲内にある多数の品目を識別することができる。これらおよび他の特徴により、本発明の持ち運び可能RFID装置は貴重な図書館ツールになる。簡潔のため、持ち運び可能な装置を第一にそのコンポーネントと動作に基づき、第二にそのような装置を用いる各種の便利な機能または方法に基づいて説明する。ここで述べる機能や方法は、持ち運び可能でないRFID装置に同様に適用でき、また持ち運び可能でないRFID装置に言及して上で述べた機能や方法は持ち運び可能なRFID装置に同様に適用できることに注意されたい。異なる機能と方法は、その機能や方法を実行するためにより頻繁に用いられるRFID装置の種類を用いて単に分類された。
【0059】
1.構成要素および動作
本発明の手持ち型RFID装置は好適にはRFIDリーダ/ライタ、メモリ、電源、およびここで述べた各種の機能を使用可能にするソフトウェアを含む。RFIDリーダ/ライタは、テキサス州ダラスのTexas Instruments社が製造するCommander320 13.56MHzのRFIDリーダで構成することができる。好適にはコンピュータの形状であるメモリが、例えば、カリフォルニア州サンタクララの3Com社からPalm Pilotの商品名で販売されている「パームトップ」あるいはハンドヘルド・コンピュータにより提供されてもよい。持ち運び可能なコンピュータはオペレーティング・システム、タッチスクリーンディスプレイ、ユーザインタフェースを開発するための何個かのボタン、再充電機構、本装置と他のコンピュータ間でデータ転送を行なうドッキング機構、周辺機器を(RFIDリーダ等の)手持ち型装置に接続するための1個以上のポート、およびバッテリ電源を含んでいてよい。いくつかのユニットはまた、バーコードスキャナ等の組み込み周辺機器を含んでいてよい。また、光、音声およびディスプレイを含む各種のフィードバックシステムを含んでいてよい。
【0060】
上述のように、手持ち型装置と他の処理機構との間でデータを転送するための多くのオプションがある。図14に示すように、ドッキング機構へのアプローチを用いてデータをアップロードまたはダウンロードすることができる。この方法により、例えば、特定の品目を見つけようと探し始める前に、その品目の識別情報をアップロードすることができる。別の例として、図書館内で使われた品目を集めた後で、データのダウンロードすることが挙げられる。リンクの実装は、(図示のとおり)ドッキング機構、無線または有線によるダウンロードおよび/またはアップロード、または手持ち型装置と他のプロセッサとの間の無線または有線によるリアルタイムリンク、あるいはこのようなデータの転送に適した他のいかなる方法で実装されてもよい。そのような一例として、ニューヨーク州ホルツビルのSymbol Technologies社から販売されているSpectrum24無線LANシステムがある。Spectrum24のようなシステムによりモバイルユーザがモバイル装置とローカルエリア・ネットワークとの間で無線通信することが可能になる。この動作のために、モバイル装置は通常、Symbol社のLA2400無線LAN PCカード等の、無線通信を支援する通信コンポーネントを含む。
【0061】
本装置のユーザインタフェースは、探索の状態を通知することと、ユーザにデータを入力させることの両方を意図している。データの入力は、装置を各種の探索モードに切り替えたり、タスクに固有なデータ(例えば、品目を貸し出したり、あるいは品目を予約する)を入力することを含んでいてよい。ユーザへのフィードバックは、音声、光およびディスプレイの組み合わせを通して提供されるのが好適である。ディスプレイは、装置内に組み込まれるか、あるいは分離されていてもよい。分離されている場合、さまざまな方式で設計可能であり、ユーザが容易に見ることができる「ウェアラブル」ディスプレイも含まれる。
【0062】
特に有用な手持ち型RFID装置の実施の形態は以下の通りである。図13に示すように、手持ち型RFID装置は、RFIDリーダ、ユーザインタフェース、電源、アンテナ、プロセッサ、およびソフトウェアがすべて単一の統合されたユニットとして提供される。上述のPalm Pilot等の手持ち型コンピュータを用いることにより、RFID装置が別のコンピュータ、データベース、ソフトウェアシステム等と協動する必要があるシステムとは対照的に、以下に述べる種類の多くのリアルタイム機能が実現できる。本ソフトウェアはまた、ここで述べた種類の機能を支援するために、必要に応じて限定的なあるいは完全な機能を提供することができる。手持ち型RFID装置はまた、好適には一体型の電源を含むが、より大きな電源につないでユーザのウエストの周囲に巻きつけることもできる。一体型電源の場合、電源はプロセッサに電力を供給してもしなくてもよく、またドッキング機構に接続されているときに再充電される。手持ち型コンピュータを用いる場合、図14に示すように、それ自体の電源を含み、そして、情報をアップロードおよび/またはダウンロードするためにドッキング機構に接続された際に再充電することができる。
【0063】
手持ち型RFID装置は、品目の呼掛け範囲内で作動中であればいつでもRFIDタグが付けられた品目を呼掛けて識別することができる。例えば、装置に付随するトリガにより断続的に起動することができるため、RFID装置が電力を必要とする正味時間が最小限で済む。読み取り距離は多くの素子の関数であるが、現行技術とシステムが稼働すると思われる周波数の条件下で15〜45センチメートル(6〜18インチ)の間にあるものと予想される。いくつかの用途において、近距離にある品目に貼付されたRFIDタグだけを呼掛けるように本装置の動作範囲を限定することが望ましい場合がある。他のケースでは、動作する最も遠い範囲が望まれよう。他の用途では、バッテリパックでなるべく長時間連続動作を可能にするために出力電力(および結果としての読み取り距離)を制限することが好適であるかもしれない。読み取り範囲はまた、アンテナに対するRFIDタグの向きとともに、アンテナの設計により影響を受ける。読み取り範囲、バッテリの重量、およびバッテリの再充電や交換の間隔が互いに依存し合うことが多い点を認識されたい。装置の特定の用途に基づいて、各種のトレードオフが想定できる。
【0064】
動作過程において、特に手持ち型装置の有用な特徴は、本装置により走査された品目に関するリアルタイム情報が得られる点である。すなわち、手持ち型装置はRFIDタグから情報を得て、直ちにその情報を表示するか、あるいは手持ち型装置内に保存されている、タグを付けられた品目に関する情報を直ちに表示する。これは、その情報がユーザに表示するために事前に別のデータベースとドッキングしたり、さもなければ通信しなければならない装置と対照的である。このような特徴が望まれる場合、本発明の手持ち型装置はまた、別のデータベースとドッキングしたり、さもなければ通信することができる。
【0065】
2.機能、方法、および用途
本発明の手持ち型RFID装置は以下のものを含め、多くの機能、方法、および用途に利用することができる。
【0066】
本発明による手持ち型RFID装置は品目の探索に特に有用である。例えば、本装置は操作者が見つたい特定の品目を識別する特定の情報を用いてプログラムすることができる。それぞれの所望品目の一意な識別子は手持ち型コンピュータ内の予約されたメモリ位置に保存されるであろう。例えば、棚の上にある品目の識別子がRFリーダに読まれた際に、それぞれは当業者に公知の標準ソフトウェアルーチンを用いて、メモリに保存された品目のリストと比較されよう。整合が生じたならば、本装置は次いで品目の存在を示す視覚、聴覚、触覚、その他に訴える1個以上の信号を生成する。この機能の1つの応用に、紛失したと思われる品目の発見がある。図書館は通常、紛失品目、すなわち図書館にあるはずだが、見つからない品目のリストを管理している。手持ち型装置へこれらの紛失品目の識別子をダウンロードすることにより、操作者は品目を装置に渡して、紛失品目に遭遇したときにフィードバックを得ることができる。
【0067】
別の例では、数ヶ月間貸し出されていないか、または使われていない品目を探す。再び、これらの品目を探すために、その識別子を手持ち型装置にダウンロードすることができる。あるいは、貸し出し回数をRFIDタグのメモリ内に直接保守することができる。この場合、手持ち型装置は別のコンピュータシステムからデータをダウンロードする必要がない。手持ち型装置は定めれられた基準とRFIDメモリのデータを単に比較し、選択されたパラメータに基づいて操作者にフィードバックする。
【0068】
データを図書館データベースか手持ち型装置へダウンロードしたり、あるいはRFIDタグから直接取得することができる別の例として、返却されていない図書館の品目の探索がある。返却されていない品目のリストを得て、それから手持ち型装置にダウンロードしたり、あるいはRFIDタグが品目の返却状態を示すためにメモリ位置を管理することができる。RFIDタグメモリが返却状態を示す場合、手持ち型装置は探索を行なうために外部データベースからのデータを必要としない。直接RFIDタグから合致するデータを取得する自然な用途として、異なる図書館の建物や異なる図書館システムに属する品目の探索がある。この用途の場合、品目を所有している図書館がRFIDタグに符号化されるのが好適であり、異なる所有図書館コードを保存しているRFIDタグが検知されたら、手持ち型装置は操作者に警告する。上述のRFID装置と同様に、手持ち型RFID装置はまた、「テープに関する本」の場合のテープと同様に関連付けられた品目の組の全品目が一緒に存在するか否か判定するのにも利用できる。
【0069】
本発明のRFID装置はまた、棚に置かれた資料の並び順を検証するのにも利用できる。この方式において、本装置は品目の1個以上の並びに沿って走査する。本装置は各品目を読んで、操作者に対しどの品目が正しい順序で棚に並んでいないかを示す。入力として、本装置は走査している区画について図書館が用いる棚配列アルゴリズムにアクセスできる。可能なアルゴリズムとして、デューイ10進分類、国会図書館分類、および著者名字/タイトル分類等がある。それぞれの図書館で決定された、他の分類方法も可能である。
【0070】
棚情報を確定する別の方法は、各品目に場所を割り当てることである。棚の場所は図書館側の必要に応じて、専用的であっても一般的であってもよい。例えば、一般的な棚の場所がすべての「成人向けフィクション」を含んでいてよい。より専用的な棚の場所は、「成人向けフィクション、著者AA−BB」のようにしてもよい。好適な実施の形態において、品目用の棚の場所は、その品目用にRFIDタグメモリに直接符号化される。メモリを節約するためにインデックス付与システムを利用することにより、短いコード番号を用いて棚の場所を示すことができる。例えば、番号1は成人向けフィクションを表わし、番号2は未成年向けフィクションを表わすなどである。すべての棚の場所を保存するのに必要なメモリ量は図書館内の場所の数に依存する。別の実施の形態では図書館データベースから所望の棚の場所を得て、続いてデータの転送の一環としてそれらの場所を手持ち型装置へダウンロードする。
【0071】
上記のいずれかの方法で品目が棚の場所に関連付けられると、操作者は手持ち型装置を用いて、間違った場所に置かれた品目を見つけることができる。不適切な場所にある品目を捜すために、2種類の処理方法を用いてどちらの棚の場所が現在処理されているかを判定することができる。一実施の形態において、いくつかのRFIDタグを読んで、場所を推測するためにデータを発見的に処理することにより、正しい棚の場所が得られる。例えば、RFID装置が成人向けフィクション領域に索引付けられた特定個数のタグを読んだなら、未成年向けフィクション品目が検知された際にユーザに警告するよう本装置をプログラムすることができる。別の実施の形態では、図書館は探される棚やその他の場所に「場所タグ」を置く。これらの場所タグは最初に手持ち型装置により読まれ、続いて読まれる品目がその場所に属する筈であることが示され、ミスマッチが生じると警告が発せられる。
【0072】
別の実施の形態において、手持ち型RFID装置を用いて特定の品目に関するデータを装置内へ入力することができる。その情報は即座に、かつ直接LAVソフトウェアに送信されても、あるいは手持ち型装置がドッキング機構に再接続されてLAVソフトウェアに情報をダウンロードする際に、後で送信されてもよい。例えば、ユーザが図書館の資料をその場所から取る際に、物品の新しい状態を手持ち型RFID装置内へ入力することができる。この情報は最終的にはLAVソフトウェア内へ入力される必要があるため、LAVソフトウェアシステム端末にアクセス可能になるまで待つことなくこの状態を直接、かつ即座に表示できることにより、操作者の時間が節約できる。
【0073】
さらに別の実施の形態において、品目が得られて、そのRFIDタグがRFID装置により走査されたならば、手持ち型装置を用いては特定の品目に関する追加情報を提供することができる。例えば、図書館で使われた資料を図書館スタッフが集めて、その資料に関するより詳しい情報(誰に最後に貸し出したか、何回利用されたか等)を得るためにそれらの資料を走査したり、あるいは図書館資料の利用の統計的特徴を抽出するデータベースに情報を提供したり、あるいは両方を行なうことができる。操作者は、品目が利用された図書館におけるさまざまな場所から集められた状態のまま、品目のRFIDタグを読むだけである。操作者はまた、品目が集められる際に、場所のリストから選択したり、場所コードを入力したり、あるいはその場所に関連付けられていて好適にはその場所にまたは近くに添えられている「場所RFIDタグ」を読むことにより、どこから品目が集められたかを示すことができる。このようにして図書館スタッフは、図書館のどこでこのような資料が利用されたかに関する詳細情報を取得することができる。あるいは、図書館で利用された品目が最初に例えば図書カートに置かれた場合、手持ち型装置はカート内の品目を一回走査して記録することができる。この段落で述べた機能をここでは「スイーピング(SWEEPING)」と呼ぶ。
【0074】
手持ち型のRFID装置の利点は多く、品目1つ1つの登録番号やタイトルを読むのに比べてより速く正確に品目を探索でき、関心のある品目を見つけるために所望の品目にすばやく「接近」してより詳しく調べることができ、与えられた基準(紛失、未貸し出し、特定の貸し出し基準に合致する等)に合致する品目をすばやく識別でき、さらに間違って配列された品目を見つけて操作者に対し品目の正しい収納場所を教えることができる。これは、走査されているグループに属しない品目をも含む。別の利点として、品目の存在が確認された際にトランザクションを手持ち型装置内に直接入力できること、著者、タイトル、登録番号等、バーコードや品目に付けられたその他のマークを何ら走査することなく品目が識別できること、また与えられた品目が棚、図書館カート、大箱、テーブル上、あるいは積み重ねられた山の中に存在するか否かを判定できることが含まれる。これらと他の利点は当業者には明白であろう。
【0075】
ここに添付する請求項について、言及された品目は図書館の資料(本、定期刊行物、磁気的または光学的媒体、その他)であっても、あるいは小包、手紙、絵、電子機器、動物、自動車、自転車、その他あらゆる価値のある品目を含む、互いに関係を持たない完結した資料であってもよいことは通常の知識を有する者には理解できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化されたユニットとして、
(a)コンピュータと、
(b)RFIDタグとRFIDリーダとの間で命令を伝送するアンテナと、
(c)ほぼ同時に多数のRFID素子から識別情報を読み込んで前記RFID素子を個々に識別し、各RFID素子は1つの品目に付けられる、RFIDリーダと、
(d)ディスプレイと、を含む手持ち型RFID装置であって、
読まれたRFID素子から読み込まれた情報、または、手持ち型RFID装置内に保存されている情報であって前記RFID素子が付けられそれから情報が読まれた品目に関する情報、のいずれかをリアルタイムで表示するよう構成された手持ち型RFID装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−195013(P2012−195013A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157805(P2012−157805)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2011−123702(P2011−123702)の分割
【原出願日】平成11年8月5日(1999.8.5)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】