説明

無線周波識別マーカリーダーの定常波を検出する方法及びシステム

RFID呼掛領域内の物品の有無を判断する方法及びシステム。少なくとも一つのRFIDリーダーが、呼掛信号を呼掛領域内に送信する。各RFIDリーダーは、順方向RFエネルギー量を有する呼掛信号を送信し、反射RFエネルギー量を有する応答信号を呼掛領域内の物品から受信する。検出回路が、少なくとも部分的に反射RFエネルギー量に基づいて呼掛領域内の物品の有無を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波識別(「RFID」)システムに関し、より詳細には、所定のRFID呼掛領域内の物品の有無を検出するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波識別(「RFID」)とは、電波を使用して物体又は人々を自動的に識別する技術を説明するために使用される用語である。RFIDシステムは、在庫管理、電子アクセス制御、セキュリティシステム、有料道路での車両の自動識別、及び商品監視(article surveillance)等の多くの用途に使用されている。RFIDの実施は幾つかの方法で達成される。最も一般的な方法は、物体又は人物を識別するシリアルナンバー及び恐らくは他の情報を、トランスポンダと通信するマイクロチップに記憶することを含む。この構成は一般に、RFIDマーカ又はRFIDタグと呼ばれる。RFIDシステムは、RFIDマーカが付けられた品物又は物品の場所及び/又は状態を追跡又は監視するために使用することができる。
【0003】
アンテナ(時にはトランシーバ及びデコーダと共にパッケージ化される)は、RFIDマーカから反射されて戻ってきた電波を受信し、処理のためにコンピュータへ渡すことができるデジタル情報に変換する機能を提供する。アンテナ、トランシーバ、及びデコーダは一括してRFIDリーダーと呼ばれることが多い。RFIDリーダーは、呼掛信号をRFIDマーカに送信して識別情報を得られるようにする。呼掛信号に基づいて、RFIDリーダーは、識別情報を有するマーカからの信号も受信する。RFIDリーダーがRFIDマーカの存在を検出することができる領域は、本明細書では「呼掛領域(interrogation zone)」と称する。
【0004】
RFIDリーダーによって受信される後方散乱変調の形態の信号は通常、解析されて、呼び掛けられたマーカからマーカ識別情報が得られる。これは、反射エネルギーの影響を受けやすい設計のリーダーに繋がるが、通常、マーカの識別に無関係の外部からの反射は、RFIDリーダーの受信器部分によって何等かの方法で除去又は軽減される。
【0005】
RFIDシステムによっては、監視対象の物品が、棚又は他のスペースの限られた場所において互いの近傍に積まれるか又は積み重ねられる。多くの場合、棚上の物品のうちの幾つか又は全てがいつ除去されたかを突き止める必要があり得る。例えば、CD店では、棚には多くのコンパクトディスクが含まれ得る。顧客がディスクを取り出し、購入のためにキャッシャーに持って行く場合、その供給量は少なくなり、購入されたディスクをその棚に補充することができるように、管理者はこのことを知らなければならない。又は、倉庫では、物品を収容した箱が棚に格納され得る。ここでも、こういった箱が棚から出される場合、新しい補充用物品を注文する必要があり得るため、このことに気付くことが重要である。
【0006】
棚等の接近した呼掛領域では、物品はRFIDリーダーンテナの近傍にあり得る。積み重ねられた全ての物品を通して送受信する際、例えば積み重ねの一番上にある物品を読み取るためには、通常よりも高いパワーを使用する必要があることがある。しかし、多くの場合、互いに近傍に配置された複数のRFID呼び掛けシステムがあるため、物品が監視領域から除去されたと判断される場合、その領域内のRFエネルギーはその時点で、その領域全体及び周囲領域に自由に伝搬できるようになり、他の近傍のRFID呼び掛けシステムに干渉を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、必要とされるのは、RFID呼掛領域内の物品が減少しているときを正確に突き止め、取り出された物品を補充し、且つ/又はRFIDリーダーのパワーを低減してコストを節減するとともに、他のRFIDリーダーに干渉する可能性を低減する処理を開始する等の是正措置をとるために使用できる方法及びシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、RFIDリーダー及びRFIDシステムに関する技術の欠点に対処する。RFIDシステムは、一つ以上のRFIDマーカと通信し、呼掛領域を生み出す一つ以上のRFIDリーダーを含む。各RFIDマーカは、対象の物品に付けることができる。各リーダーは呼掛信号をマーカに送信するアンテナを含み、マーカは、通常、呼び掛けられているマーカ又は物品に関連する情報を含む信号を返す。各RFIDリーダーンテナは、RFエネルギー(順方向RFエネルギー)を呼掛領域に送信し、RFエネルギー(反射RFエネルギー)を呼び掛けられたマーカ及び領域内の他の物品から受信する。検出回路をアンテナとRFIDリーダーとの間に挿入して、アンテナにおいて反射RFエネルギー及び順方向RFエネルギーを検出することができる。順方向RFエネルギーと反射RFエネルギーとの関係は、呼掛領域内にある物品に直接関連する。この関係を解析することにより、領域内の物品及び物品が領域から除去されているか否かに関連する情報を提供することができる。
【0009】
一態様によれば、本発明は、RFIDリーダーが呼掛信号を呼掛領域内に送信するRFID呼掛領域内の物品の有無を検出するシステムを提供する。RFIDリーダーは、順方向RFエネルギー量を有する呼掛信号を送信し、呼掛領域内の物品から反射RFエネルギー量を有する応答信号を受信する。検出回路は、少なくとも部分的に反射RFエネルギー量に基づいて、呼掛領域内の物品の有無を判断する。
【0010】
別の態様によれば、本発明は、RFID呼掛領域内の物品の有無を判断する方法を提供する。呼掛信号は呼掛領域内に送信され、呼掛信号は順方向RFエネルギーを有する。送信された呼掛信号に応答して、反射RFエネルギーを有する応答信号が受信される。反射RFエネルギーは解析されて、呼掛領域内の任意の物品が除去されたか否かが判断される。
【0011】
更に別の態様によれば、本発明は、RFID呼掛領域内の物品の有無を判断するリーダーを提供する。RFソースがRF信号を生成する。アンテナがRFソースに結合される。アンテナは、順方向RFエネルギーをRFID呼掛領域内に送信する。受信器が,RFID呼掛領域内の物品から反射RFエネルギーを受信する。検出回路が、アンテナにおいて反射RFエネルギー量と順方向RFエネルギー量とを比較して、定常波比を得る。定常波比は、物品が呼掛領域から除去されたか否かを判断するために使用することが可能である。
【0012】
本発明のさらなる態様は、以下の記載において部分的に示されるとともに、記載から部分的に明らかになるか、又は本発明の実施によって理解され得る。本発明の諸態様は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組み合わせによって実現され達成される。上述した概説及び以下の詳細な説明の両方が単に例示的かつ説明的なものであり、主張される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0013】
添付の図面は、本明細書に組み込まれてその一部をなし、本発明の実施形態を示すとともに、記載と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。本明細書に示される実施形態は現在好適な実施形態であるが、本発明が図示された正確な構成及び手段に制限されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の原理により構築されたRFIDシステムの図である。
【図2】本発明を組み込み、本発明の一用途を示すRFIDシステムの図である。
【図3】本発明を組み込み、本発明の別の用途を示すRFIDシステムの図である。
【図4】本発明の原理により構築されたRFIDリーダーの部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、有利なことに、RFID呼掛領域内の物品によって反射されるエネルギーを検出し、その反射エネルギーをRFIDリーダーのアンテナから伝搬されたエネルギーと比較することにより、領域内の物品の有無を判断するシステム及び方法を提供する。
【0016】
RFID呼び掛けシステムでは、識別情報を得るために、RFエネルギーがRFIDアンテナからマーカに送信される。RFIDマーカは、RFIDリーダーからの送信に応答して、応答信号をRFIDリーダーに送信する。棚等の特定の場合では、物品は、RFIDリーダー又はアンテナの近傍に互いに上下に積まれることが多い。通常、RFIDリーダーは、呼び掛けられたマーカの識別情報(identity)を運ぶ応答信号のみに関心を示し、他の信号を無視又はフィルタリングして除去する傾向を有する。本発明は、呼掛領域内の物品からRFIDアンテナに反射されたエネルギーを検出し、そのレベルをアンテナが放射した順方向エネルギーのレベルと比較する。
【0017】
RFIDアンテナの近傍に配置された物品が呼掛領域から除去されると、RFアンテナによって検出される反射RFエネルギーの蓄積量が変化する。通常、この状況では、反射エネルギーの順方向エネルギーに対する比が低下し、呼掛領域内の物品の除去を示す。その場合、物品を補充し、且つ/又はエネルギー節減及び/又は他の近傍のRFIDリーダーに干渉する確率の低減のためにRFIDアンテナの送信パワーを低減するという措置をとることができる。
【0018】
ここで、同様の参照符号が同様の要素を指す図面を参照すると、本発明の原理に従って構築され、全体的に符号10で示されるシステムが図1に示されている。システム10はRFID呼び掛けシステムであり、一つ以上のRFIDリーダー12、各種物品に固定された一つ以上のRFIDマーカ14、及びホストコンピュータ16を含む。このホストコンピュータ16は、システム10から離れた遠隔地に配置してもよいが、RFIDリーダー12と電気的に通信する。
【0019】
RFIDマーカ14は様々な形状及びサイズで提供される。マーカ14はアクティブ型であってもよく、又はパッシブ型であってもよい。アクティブ型マーカは内部電池によって給電され、こういった種類のマーカが受信するデータは変更又は上書きが可能である。アクティブ型マーカのメモリサイズは、用途の要件に従って様々である。パッシブ型マーカは外部電源なしで動作し、動作電力をリーダーから送信される信号から得る。それ故、パッシブ型マーカ14は通常、アクティブ型マーカよりもはるかに軽量かつ安価である。しかしながら、パッシブ型マーカは、アクティブ型マーカと比較すると、通常は、読み取り範囲がより狭く、その起動のために高出力リーダーを必要とする。
【0020】
RFIDリーダー12(更に詳細に後述する)は通常、トランシーバ、デコーダ、及びアンテナを含み、手持ち式装置又は固定取り付け装置であってよい。リーダー12は、アンテナを介して電波信号を一つ以上のマーカ14に送信することによって各マーカ14と通信する。信号は、特定のRFエネルギーレベル(「順方向エネルギー」)で呼掛領域全域を通して伝搬する。呼掛領域内のこのような信号を受信するマーカ14は、マーカ14が固定された物品についての識別情報を含む信号を返す。アンテナは、マーカ14に対する信号の送受信に使用される。アンテナはリーダー12の一部であってもよく、又は例えば、戸枠内、台内、若しくは物品が積まれた棚内に別個に取り付けられてもよい。呼び掛けられているマーカ14は、特定のRFエネルギーレベル(「反射エネルギー」)でRF信号をリーダーのアンテナに送信することによって識別情報をリーダー12に返す。受信された信号は、次に、リーダー12内のデジタル信号プロセッサ又はホストコンピュータ16を介して処理される。
【0021】
図2は、本願を適用することができる例示的な計画を示す。図2は、複数のRFIDアンテナ18が、複数に積載された箱を含む比較的閉じられたエリア内に固定される例示的な呼掛領域を示す。アンテナ18のみではなく、RFIDリーダー12を使用してもよいことに留意されたい。図2に示すエリアは閉じられたRF呼掛領域を画定し、例えば、2つの近傍に配置された対向する棚20及び22を含んでもよい。各棚20及び22はマーカ付き物品24(マーカ14が固定された物品)を含むが、特定の小売り品を含む幾つかのマーカなしの箱26を含んでもよい。箱24又は26内の物品がいつ格納エリアから移されたかを突き止めることが望ましいであろう。
【0022】
マーカなしの箱26の近傍にあるアンテナ18は、呼掛領域内でRF呼掛信号を送信し、呼び掛けられた各マーカからの通信信号の受信を待つ。呼掛領域、すなわち棚20と22との間にある箱26の存在は、送信アンテナ18に反射されるRFエネルギーの合計の大きさに寄与する。しかし、マーカ付き物品24又はマーカなしの箱26が呼掛領域から除去されると、アンテナ18において検出されるRFIDマーカからの反射エネルギーは変化する。反射信号を受信してその大きさを測定することにより、アンテナ18は、呼掛領域内の物品の除去を判断するために使用できる情報を受け取る。
【0023】
上述のように示した計画は、箱26内の物品等の特定の物品の在庫を判断する場合に有用である。特定の物品のストックが空になりつつある、又は空になったと判断された場合、さらなる措置をとることができる。例えば、特定の物品を更に注文する通知を出すことができる。在庫に補充用の物品がある場合、これら物品が除去された物品を補充し、それにより、格納エリア内でこの特定の物品を閾値量分、維持することができる。有利なことに、物品が格納棚に残っていない場合、箱のストックが空になり、少なくとも差し当たりは、その存在を監視する必要がもはやなくなるため、呼び掛けアンテナ18から送信されるRFパワーを一時的に低減又は更にはなくすことができる。差し当たりアンテナ18からのRFエネルギーを低減又はなくすことにより、近傍にあり得る他のRFIDリーダーへの干渉の問題がもはやなくなる。更に、パワーを節減し、箱が補充されて、呼掛領域内でその存在を監視する必要が再びでてきた場合に再び増大させることができる。
【0024】
図3は、本発明の更に別の例示的な実施態様を示す。ここで、地域の小売り店内の棚は、販売中の複数のコンパクトディスク又はDVD28を含む。各棚内に、1列になったディスク28及びアンテナ18がある。RFIDマーカ14は1枚以上のディスク28に固定することができる。本発明は、物品がRFIDマーカ14を含むか否かに関わらず、呼掛領域内の物品が存在しないとき又は存在するときを判断する。一つ以上のアンテナ18は、棚内の様々な場所に配置することができる。棚内の各アンテナ18は、棚内のRFIDマーカ14に呼掛信号を常時送信するように構成される。各アンテナ18又はRFIDリーダー12内の受信器は、各RFIDマーカ14から識別応答信号を受信することに加えて、特定の蓄積レベルの反射RFエネルギーも受信する。アンテナ18と呼掛領域内の物品とが近いため、アンテナ18は、所定の数の物品が領域から除去された場合、リターンRFエネルギー又は反射RFエネルギーの変化を検出することが可能である。
【0025】
本発明の例示的な実施形態では、各棚は、特定の音楽アーティストのCD28を含む。顧客がこれらディスクを棚から取り出すと、アンテナ18は、ディスク28がないことによる棚内の総反射エネルギーの低減を検出する。RFエネルギーの総量をアンテナ18によって送信される順方向RFエネルギーと比較して、送信エネルギーに対する反射エネルギーの比を得る。本発明は、この比を使用して、特定の呼び掛け領域内の物品の有無を判断する。したがって、特定のアーティストの全てのディスク28が棚から取り出された場合、反射RFエネルギーの大幅な低減がアンテナ18において検出され、そのアーティストの補充用ディスク28で棚を補充する措置をとることができる。
【0026】
図4は、本発明に関連して使用される例示的なRFIDリーダー12のフロントエンドを示す。図4に示されるリーダー12が、本発明の典型的なRFID呼び掛けシステムに使用される例示的なリーダー12であり、本明細書において開示される本発明は特定の設計又は種類のRFIDリーダー12に制限されないことに留意されたい。リーダー12は、電波信号を供給するRFソース30を含む。サーキュレータ32は当該技術分野において一般に知られている種類のものであり、RF信号をアンテナ18に対して送受させるように指向させることに役立つ。アンテナ18に到着した信号はミキサ34に送ることができ、必要であれば、入力RF信号の周波数が異なる周波数に変換される。アンテナ18は、電波信号を呼掛領域内の一つ以上のマーカ14に送信する。アンテナ18は、所定の時間間隔での送信機能から受信機能への切り替えの制御及び切り替えを提供する関連するコントローラを有するトランシーバアンテナとして構成することができる。アンテナ18内に別個の送信モジュール及び受信モジュールがあってもよいことを当業者は認識するであろう。
【0027】
アンテナ18は、呼掛領域全域を通して電磁無線周波呼掛信号を発して、電磁場を発生させる。アンテナ18によって発生する電磁場は、一つ以上のマーカ14が存在する場合に常に存在することができる。常時呼び掛けが必要ない場合、電磁場を断続的に活性化してもよい。アンテナ18によって確立される呼掛信号の電磁場は、呼び掛けられるマーカ14から応答を生じさせる。更に、アンテナ18によって発せられたRFエネルギーの部分は、反射してリーダー12内の受信モジュール又はアンテナ18のトランシーバモジュールに戻る。したがって、アンテナ18において、マーカ14から反射して戻ったRFエネルギーの蓄積された大きさを検出することができる。
【0028】
検出回路36が、アンテナ18とリーダー12のフロントエンド受信器部との間に位置決めされる。検出回路36は、アンテナ18によって送信される順方向RFエネルギー及びアンテナ18においてマーカ14から戻って受信される反射RFエネルギーの両方を検出する回路を含む。アンテナ18において順方向RFエネルギー及び反射RFエネルギーの両方を検出することにより、検出回路36は、アンテナ18での定常波比(「SWR」)を計算するために必要な情報を受信することが可能である。定常波比は、アンテナ18において知覚される反射波とアンテナ18での送信順方向波との比である。SWR値に対応する信号は、リーダー12の信号処理部、ホストコンピュータ16、又は他の何等かの信号処理モジュールに転送し、情報を使用して、呼掛領域内の物品の有無を判断することができる。検出回路36は定常波比の変化を常時監視し、定常波比の変化を表す信号をプロセッサに転送し、物品が呼掛領域から除去されたか否かを判断する。
【0029】
例えば、リーダー12は電源投入され、所定の呼掛領域内への呼掛信号の送信を開始する。アンテナ18での初期読み取りにより、送信中のRFエネルギーの総量を提供することができる。アンテナ18と領域内のマーカ付き物品及びマーカなし物品の両方とが近いため、呼掛領域内の全物品からのアンテナ18に反射して戻されるRFエネルギーの総量について記録することができる。したがって、初期SWRを判断することができる。アンテナ18と呼掛領域内のマーカ14との間にある物品が除去されると、SWRは増大し、SWRの計算に使用されているプロセッサは、所定のロジックを使用して、呼掛領域内の物品の在庫が既に尽きたか、或いは尽きつつあるか否かを判断することができる。特定の所定の閾値物品レベルに達した場合、制限されないが、在庫がなくなった物品の補充、別の事業体への物品の欠品が発生した、又は発生しつつあり、追加の物品を注文すべきである旨の通知の送信、又はリーダーの送信パワーの強度の低減を含むさらなる措置をとることができる。
【0030】
検出回路36は、双方向結合器又は順方向RFエネルギー及び反射RFエネルギーの両方を感知可能な他の種類の結合装置を含んでよい。本発明の検出回路36は特定のハードウェア構成に制限されず、アンテナ18がリーダー12の部分であるか否かに関わらず、アンテナ18において順方向RFエネルギー及び反射RFエネルギーの両方を検出できるようにする任意のハードウェア又はソフトウェアを組み込んでよいことに留意されたい。検出回路36は、アンテナ18とフロントエンドRFIDリーダー12との間のRFパスのどこに挿入してもよく、リーダー12の部分として組み込まれてもよく、又は別個のハードウェア構成要素として実装されてもよいことも意図される。
【0031】
検出回路36は、アンテナ18においてリアルタイムSWRを計算するために必要なハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでもよく、又はそれに代えて、現在の順方向RFエネルギーレベル及び反射RFエネルギーレベルを示すアナログ又はデジタルの出力SWR信号を提供してもよい。この信号は処理ユニットに転送され、処理ユニットはリーダー12内にあってもよく、又はコンピュータ16等の別個のユニット内にあってもよく、アンテナ18での現在のSWRを計算する。特定の閾値SWRに達した場合、信号をリーダー12に向けて返し、さらなる指示を受け取るまで、アンテナ18の送信パワーを低減又はなくすようにリーダー12に命令することができる。
【0032】
本発明の代替の実施形態では、ベースバンド信号の交流電流(「AC」)成分又は直流電流(「DC」)成分を、SWRの相対指標として調べることができる。例えば、検出回路36をアンテナ18とリーダー12との間に挿入することに代えて、ミキサ34に存在する信号を解析することができる。呼掛領域内のマーカ付き物品が移されない場合、ミキサ34における定常波信号はDC信号に類似する。このDC信号の大きさは、SWRと相関する傾向を有する。換言すれば、この時点(ミキサ後)のDC信号は、リーダー12の受信器部に反射して戻される信号パワーの相対指標を提供する。この情報を処理して、呼掛領域内の物品が除去されたか否かを判断することができる。
【0033】
本発明は、RFID呼び掛けシステムの基本構成要素、すなわちリーダー、送受信アンテナ、及び一つ以上のRFIDマーカを組み込んだ常時在庫システムを提供するが、本発明を利用するためにRFIDマーカが存在する必要はない。基本構成要素は、アンテナにおいて順方向RF信号及び反射RF信号の大きさを測定する検出回路と共に使用されてRFID呼掛領域内の物品が除去されたか否かが判断される。物品が除去されたか否かを判断することにより、補充用物品を注文することができ、且つ/又はRFIDリーダー及び/又はアンテナのパワーを低減して、電力を節減し、金銭を節約し、隣接するRFID呼掛システムに干渉する確率を低減することができる。本発明は、アンテナでの定常波比を突き止めることにより、又はRFベースバンド信号のAC成分又はDC成分を測定することによってリーダーに反射して戻されるパワーを解析することにより、呼掛領域内の物品の有無を判断する。
【0034】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現することができる。本発明の方法及びシステムの実施形態は、一つのコンピュータシステムに集中化された様式で実現することも可能であり、又は幾つかの相互接続された幾つかのコンピュータシステムに亘って様々な要素が分散した分散様式で実現することも可能である。任意の種類のコンピュータシステム、又は本明細書において述べた方法を実行するように適合された他の装置は、本明細書において述べた機能を実行するのに適する。
【0035】
現在の状況では、コンピュータプログラム又はアプリケーションは、情報処理機能を有するシステムに特定の機能を直接に或いは、又は以下のa)別の言語、コード、又は表記法への変換、b)異なる材料形態での再現のうちの一方又は両方の後に実行させることを目的とする命令セットの任意の言語、コード、又は表記法での任意の表現を意味する。更に、特に断らない限り、添付図面の全てが一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
【0036】
重要なことに、本発明は、その主旨又は本質的な属性から逸脱せずに他の特定の形態で具現することが可能であり、したがって、本発明の範囲を示すものとして、上記明細書ではなく以下の特許請求の範囲を参照する必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFID呼掛領域内の物品の有無を判断するシステムであって、
呼掛信号を呼掛領域内に送信する少なくとも一つのRFIDリーダーであって、各RFIDリーダーは、順方向RFエネルギー量を有する呼掛信号を送信し、反射RFエネルギー量を有する応答信号を前記呼掛領域内の前記物品から受信する、少なくとも一つのRFIDリーダーと、
少なくとも部分的に前記反射RFエネルギー量に基づいて前記呼掛領域内の物品の有無を判断する検出回路とを備えるシステム。
【請求項2】
各RFIDリーダーは、
RF信号を生成するRFソースと、
前記RFソースに結合されたアンテナであって、前記呼掛領域内に前記順方向RFエネルギーを送信するアンテナと、
前記反射RFエネルギーを受信する受信器と
を備え、
前記検出回路は、前記アンテナにおける前記反射RFエネルギーの量と前記順方向RFエネルギーの量とを比較する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出回路は、前記反射RFエネルギーの量と前記順方向RFエネルギーの量との比を表す出力信号を提供する請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記出力信号を前記検出回路から受信し、前記呼掛領域内の前記物品の有無を判断するために、前記信号を処理するプロセッサを更に備える請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは前記RFIDリーダー内に配置される請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記出力信号は、前記呼掛領域内の物品の有無を判断するために、外部コンピュータに転送される請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記呼掛領域内に物品がないと判断される場合、前記リーダーは前記送信呼掛信号の強度を低減する請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記呼掛領域内の物品の有無を判断する前記検出回路は、前記応答信号のDC成分を解析する請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記呼掛領域内の物品の有無を判断する前記検出回路は、前記応答信号のAC成分を解析する請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出回路は双方向結合器を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
一つ以上のRFIDマーカを更に備え、前記一つ以上のリーダーは、前記呼掛領域内の前記一つ以上のマーカに呼掛信号を送信する請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
RFID呼掛領域内の物品の有無を判断する方法であって、
順方向RFエネルギーを有する呼掛信号を前記呼掛領域内に送信することと、
前記送信された呼掛信号に応答して、反射RFエネルギーを有する応答信号を受信することと、
前記反射RFエネルギーを解析することであって、それにより、前記呼掛領域内の任意の物品が除去されたか否かを判断することと
を含む方法。
【請求項13】
前記RFエネルギーを解析することは、前記応答信号のDC成分を解析することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記RFエネルギーを解析することは、前記応答信号のAC成分を解析することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記反射RFエネルギーと前記順方向RFエネルギーとを比較することと、
前記反射RFエネルギーと前記順方向RFエネルギーとの比較に基づいて、前記呼掛領域内の物品が除去されたか否かを判断することとを更に含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記反射RFエネルギーと前記順方向RFエネルギーとの比を判断することと、前記反射RFエネルギーと前記順方向RFエネルギーとの比に基づいて、前記呼掛領域内の物品が除去されたか否かを判断することとを更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反射RFエネルギーと前記順方向RFエネルギーとの比を表す出力信号を提供することを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記呼掛領域内の前記物品の有無を判断するために、前記出力信号を処理することを更に含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
物品が前記呼掛領域内に存在しないと判断される場合、前記物品を補充する命令を提供することを更に含む請求項12に記載の方法。
【請求項20】
物品が前記呼掛領域内に存在しないと判断される場合、前記呼掛信号の送信パワーを低減する請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記反射RFエネルギーを前記順方向RFエネルギーと比較することは、RFIDリーダー内に配置される検出回路によって実行される請求項15に記載の方法。
【請求項22】
RFID呼掛領域内の物品の有無を判断するRFIDリーダーであって、
RF信号を生成するRFソースと、
前記RFソースに結合され、順方向RFエネルギーを前記RFID呼掛領域内に送信するアンテナと、
前記RFID呼掛領域内の物品から反射RFIDエネルギーを受信する受信器と、
前記アンテナにおける前記反射RFエネルギーの量と前記順方向RFエネルギーの量とを比較して、定常波比を得る検出回路であって、前記定常波比は、物品が前記呼掛領域から除去されたか否かを判断するために使用可能である検出回路とを備えるRFIDリーダー。
【請求項23】
プロセッサを更に備え、前記検出回路は、前記定常波比の変化を監視し、前記定常波比の前記変化を表す信号を前記プロセッサに転送し、前記プロセッサは、物品が前記呼掛領域から除去されたか否かを判断する請求項22に記載のRFIDリーダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−504598(P2010−504598A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530371(P2009−530371)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/020273
【国際公開番号】WO2008/039337
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(592192642)センサーマティック・エレクトロニクス・コーポレーション (92)
【氏名又は名称原語表記】SENSORMATIC ELECTORONICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6600 Congress Avenue,Boca Raton,Florida 33487,United State of America
【Fターム(参考)】