説明

無線基地局及び移動通信システム

【課題】コンテンツ管理サーバ及びバックホールネットワークの負荷増大を抑制しつつ、地域コンテンツデータを無線端末に配信できる無線基地局を提供する。
【解決手段】無線基地局100は、無線端末200との通信を行う無線通信部110と、自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを記憶する記憶部130と、予め定められた配信条件が満たされると、記憶部130に記憶されている地域コンテンツデータを無線端末200に配信するよう無線通信部110を制御する制御部140と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末との無線通信を行う無線基地局及び移動通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線基地局を介して、インターネットにアクセス可能な無線端末が普及している。
【0003】
このような無線端末は、インターネット上のコンテンツ管理サーバにアクセスし、当該コンテンツ管理サーバから配信されるコンテンツデータを無線基地局を介して受信し、受信したコンテンツデータを再生できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−219631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地域に密着したコンテンツ配信サービスを実現できれば、無線端末のユーザにとって非常に有益である。この場合、コンテンツ管理サーバが、特定の地域で行われるイベントに関するコンテンツデータ等、地域に固有のコンテンツデータ(以下、地域コンテンツデータ)を無線端末に配信することが想定される。
【0006】
しかしながら、このような地域に密着したコンテンツ配信サービスを実現するためには、コンテンツ管理サーバは、多数の無線端末からのアクセスを受け付け、多数の無線端末のそれぞれが属する地域毎の地域コンテンツデータを配信する必要があるため、コンテンツ管理サーバの負荷を増大させると共に、通信事業者によって提供されるバックホールネットワークの負荷を増大させる問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、コンテンツ管理サーバ及びバックホールネットワークの負荷増大を抑制しつつ、地域コンテンツデータを無線端末に配信できる無線基地局及び移動通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る無線基地局の特徴は、無線端末(無線端末200)との通信を行う無線通信部(無線通信部110)と、自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを記憶する記憶部(記憶部130)と、予め定められた配信条件が満たされると、前記記憶部に記憶されている前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御する制御部(制御部140)と、を備えることを要旨とする。
【0009】
このように、上記特徴に係る無線基地局は、自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを予め記憶しており、予め定められた配信条件が満たされると当該地域コンテンツデータを無線端末に配信する。
【0010】
これにより、無線端末は、コンテンツ管理サーバにアクセスしなくても、地域コンテンツデータを無線基地局から受信できる。従って、上記特徴に係る無線基地局は、コンテンツ管理サーバ及びバックホールネットワークの負荷増大を抑制しつつ、地域コンテンツデータを無線端末に配信できる。
【0011】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記特徴に係る無線基地局において、バックホールネットワーク(バックホールネットワーク11)を介した通信を行うネットワーク通信部(ネットワーク通信部120)をさらに備え、前記制御部は、自局が設置された後、コンテンツ管理サーバ(コンテンツ管理サーバ300)にアクセスして前記地域コンテンツデータを取得するよう前記ネットワーク通信部を制御し、前記記憶部は、前記コンテンツ管理サーバから取得された前記地域コンテンツデータを記憶することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記特徴に係る無線基地局において、前記地域コンテンツデータは、自局が設置されている地域で行われているイベントに関するコンテンツデータであることを要旨とする。
【0013】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記特徴に係る無線基地局において、前記配信条件は、無線端末が自局に位置登録したことであり、前記制御部は、無線端末が自局に位置登録すると、当該無線端末に対して前記地域コンテンツデータを配信するよう前記無線通信部を制御することを要旨とする。
【0014】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記特徴に係る無線基地局において、前記配信条件は、所定の配信周期に応じた配信時刻になったことであり、前記制御部は、前記所定の配信周期に応じた配信時刻になると、前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御することを要旨とする。
【0015】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記特徴に係る無線基地局において、前記配信条件は、前記ネットワーク通信部が配信指示を受信したことであり、前記制御部は、前記ネットワーク通信部が配信指示を受信すると、前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御することを要旨とする。
【0016】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記特徴に係る無線基地局において、前記地域コンテンツデータは、自局が設置されている地域内の避難場所に関するコンテンツデータであることを要旨とする。
【0017】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記特徴に係る無線基地局において、前記配信条件は、前記ネットワーク通信部が緊急警報情報を受信したことであり、前記制御部は、前記ネットワーク通信部が緊急警報情報を受信すると、前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御することを要旨とする。
【0018】
本発明に係る移動通信システムの特徴は、無線端末(無線端末200)との無線通信を行う無線基地局(無線基地局100)と、地域コンテンツデータを管理する第1の管理装置(コンテンツ管理サーバ300)と、基地局設置地域の情報を管理する第2の管理装置(基地局管理サーバ400)と、を備え、前記無線基地局は、自局の識別情報を送信し、前記第2の管理装置は、前記無線基地局の識別情報を受信すると、前記無線基地局が設置されている地域或いは位置を示す地域情報を前記第1の管理装置に送信し、前記第1の管理装置は、前記第2の管理装置からの前記地域情報を受信すると、前記無線基地局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを前記無線基地局に送信し、前記無線基地局は、前記第1の管理装置からの前記地域コンテンツデータを記憶することを要旨とする。
【0019】
このような特徴によれば、無線基地局は、自局が設置されている地域或いは位置の情報を有していない場合でも、自局の識別情報を元に地域コンテンツデータを取得できる。
【0020】
本発明に係る移動通信システムの他の特徴は、上記特徴に係る移動通信システムにおいて、前記無線基地局は、無線端末(無線端末200)との通信を行う無線通信部(無線通信部110)と、自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを記憶する記憶部(記憶部130)と、予め定められた配信条件が満たされると、前記記憶部に記憶されている前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御する制御部(制御部140)と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンテンツ管理サーバ及びバックホールネットワークの負荷増大を抑制しつつ、地域コンテンツデータを無線端末に配信できる無線基地局及び移動通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコンテンツ取得動作を示す動作シーケンス図である。
【図5】本発明の実施形態に係るコンテンツ配信動作を示す動作シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0024】
以下の実施形態においては、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)規格に基づいて構成される移動通信システムを説明するが、他の規格に基づいて構成される移動通信システムに対して本発明を適用してもよい。
【0025】
以下、(1)全体概略構成、(2)無線基地局の構成、(3)無線端末の構成、(4)移動通信システムの動作、(5)実施形態の効果、(6)実施形態の変更例、(7)その他の実施形態の順に説明する。
【0026】
(1)全体概略構成
図1は、本実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成図である。
【0027】
図1に示すように、移動通信システム1は、複数の無線基地局100(100#1〜100#3)、複数の無線端末200(200#1〜200#3)、ゲートウェイ装置10、コンテンツ管理サーバ300、及び基地局管理サーバ400を有する。
【0028】
各無線基地局100は、マクロセル基地局と比較して小さな通信エリア(セル)を形成する小セル基地局、具体的には、ピコセル基地局又はマイクロセル基地局である。各無線基地局100は、通信事業者によって提供されるバックホールネットワーク11に接続される。各無線基地局100は、バックホールネットワーク11を介して、コンテンツ管理サーバ300との通信を行う。また、各無線基地局100は、バックホールネットワーク11を介して基地局間通信を行うこともできる。
【0029】
各無線端末200は、無線基地局100との無線通信を行う。具体的には、無線端末200#1は無線基地局100#1を、無線端末200#2は無線基地局100#2を、無線端末200#3は無線基地局100#3をそれぞれサービング基地局としている。1つの無線基地局100をサービング基地局とする無線端末が複数存在してもよい。
【0030】
ゲートウェイ装置10は、バックホールネットワーク11及びコアネットワーク12の間に設けられ、バックホールネットワーク11及びコアネットワーク12に接続される。コアネットワーク12は、IP(Internet Protocol)に基づいて構成される公衆ネットワークである。
【0031】
コンテンツ管理サーバ300は、バックホールネットワーク11に接続される。コンテンツ管理サーバ300は、地域コンテンツデータを管理する第1の管理装置に相当する。地域コンテンツデータとは、地域に固有のコンテンツデータである。コンテンツデータとは、画像(静止画又は動画)、音声、文字(テキスト)、プログラムのデータ(プログラムで処理されるデータやハイパーテキストなども含む)、或いはこれらの組み合わせである。
【0032】
本実施形態では、各無線基地局100が属する地域は異なるものとする。このため、コンテンツ管理サーバ300は、無線基地局100#1が属する地域に対応する地域コンテンツデータ、無線基地局100#2が属する地域に対応する地域コンテンツデータ、及び無線基地局100#3が属する地域に対応する地域コンテンツデータのそれぞれを個別に管理している。
【0033】
また、本実施形態では、地域コンテンツデータは、対応する地域で行われているイベントに関するコンテンツデータである。イベントとは、例えば、コンサートやショー、スポーツの試合等、比較的大勢の人が集まるイベントを意味している。なお、無線基地局100は、そのようなイベントの行われる会場(イベント会場)に一時的に設置される形態としてもよい。
【0034】
基地局管理サーバ400は、バックホールネットワーク11に接続される。基地局管理サーバ400は、無線基地局100を設置するオペレータによって運営される。基地局管理サーバ400は、基地局設置地域の情報を管理する第2の管理装置(基地局管理サーバ400)に相当する。基地局設置地域の情報とは、各無線基地局100が設置された地域を特定可能な情報であり、例えば、各無線基地局100が設置された経度及び緯度の情報や、市町村名、番地名である。無線基地局100が電柱に設置される場合には、電柱番号を基地局設置地域の情報としてもよい。
【0035】
(2)無線基地局の構成
図2は、本実施形態に係る無線基地局100の構成を示すブロック図である。
【0036】
図2に示すように、無線基地局100は、アンテナ101、無線通信部110、ネットワーク通信部120、記憶部130、及び制御部140を有する。アンテナ101は、無線通信部110に接続され、無線通信部110、ネットワーク通信部120、及び記憶部130は、制御部140に接続される。
【0037】
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。アンテナ101は、複数のアンテナ素子を用いて構成されてもよい。
【0038】
無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線通信を行うように構成される。送信については、無線通信部110は、制御部140から入力される送信信号の符号化及び変調を行った後、アップコンバート及び増幅を行ってアンテナ101に出力する。受信については、無線通信部110は、アンテナ101から入力される受信信号の増幅及びダウンコンバートを行った後、復調及び復号を行って制御部140に出力する。
【0039】
ネットワーク通信部120は、バックホールネットワーク11に接続され、バックホールネットワーク11を介して他のネットワーク装置(コンテンツ管理サーバ300等)との通信を行う。
【0040】
記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、無線基地局100の制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部140は、例えばCPUを用いて構成され、無線基地局100が備える各種の機能を制御する。
【0041】
記憶部130は、自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを記憶する。具体的には、制御部140は、自局が設置された後、コンテンツ管理サーバ300にアクセスして地域コンテンツデータを取得するようネットワーク通信部120を制御する。そして、記憶部130は、コンテンツ管理サーバ300から取得された地域コンテンツデータを記憶する。
【0042】
制御部140は、予め定められた配信条件が満たされると、記憶部130に記憶されている地域コンテンツデータを無線端末200に配信するよう無線通信部110を制御する。地域コンテンツデータの配信には、無線端末200に個別に割り当てられる下りデータチャネルを用いたユニキャスト配信を適用してもよく、複数の無線端末200に共通の報知チャネルを用いたブロードキャスト配信を適用してもよい。
【0043】
本実施形態において、配信条件とは、以下の配信条件1〜3の何れか1つ、又はこれらの組み合わせである。
【0044】
配信条件1は、無線端末200が自局に位置登録したことである。当該無線端末200が通信中(RRC Connected)状態である場合には、当該無線端末200が自局にハンドオーバした際に位置登録が行われる。また、当該無線端末200が待ち受け中(RRC Idle)状態である場合には、無線基地局100のセルに移行した際に位置登録エリア(トラッキングエリア)が変化すると位置登録が行われる。制御部140は、無線端末200が自局に位置登録すると、当該無線端末200に対して地域コンテンツデータを配信するよう無線通信部110を制御する。配信条件1を用いることによって、無線端末200は、無線基地局100が属する地域に移行した際に当該地域に対応する地域コンテンツデータを即座に受信できる。
【0045】
配信条件2は、所定の配信周期に応じた配信時刻になったことである。この場合、制御部140は、所定の配信周期を計時するタイマが満了する度に、地域コンテンツデータを無線端末200に配信するよう無線通信部110を制御する。配信条件2を用いることによって、地域コンテンツデータを無線基地局100から周期的に配信できるため、当該地域コンテンツデータを無線端末200が受信できる機会を増やすことができる。なお、制御部140は、自局に位置登録する無線端末200の数に応じて、配信周期を調整してもよい。具体的には、自局に位置登録する無線端末200が増大すると配信周期を長くし、自局に位置登録する無線端末200が減少すると配信周期を短くする。
【0046】
配信条件3は、ネットワーク通信部120が配信指示を受信したことである。ネットワーク通信部120は、例えばコンテンツ管理サーバ300から配信指示を受信する。制御部140は、ネットワーク通信部120が配信指示を受信すると、地域コンテンツデータを無線端末200に配信するよう無線通信部110を制御する。配信条件3を用いることによって、地域コンテンツデータを配信するタイミングをネットワーク側から制御可能になる。
【0047】
次に、制御部140の詳細について説明する。制御部140は、コンテンツ取得部141、配信条件判定部142、及び配信部143を有する。コンテンツ取得部141、配信条件判定部142、及び配信部143のそれぞれの機能は、例えば、制御部140としてのCPUが、記憶部130に記憶されている制御プログラムを実行することで実現される。
【0048】
コンテンツ取得部141は、自局が設置された後、コンテンツ管理サーバ300にアクセスして地域コンテンツデータを取得する。具体的には、コンテンツ取得部141は、自局が設置された後、自局の稼動を開始する際に、記憶部130に予め記憶されている基地局IDを通知するようネットワーク通信部120を制御する。その結果、自局が属する位置に対応する地域コンテンツデータがコンテンツ管理サーバ300から配信され、コンテンツ取得部141は、ネットワーク通信部120がコンテンツ管理サーバ300から受信した地域コンテンツデータを取得し、取得した地域コンテンツデータを記憶するよう記憶部130を制御する。
【0049】
配信条件判定部142は、地域コンテンツデータが取得された後、上述した配信条件1〜3の何れか1つ、又はこれらの組み合わせが満たされたか否かを判定する。配信条件1〜3の何れを用いるかをコンテンツ管理サーバ300から指定されてもよい。配信条件判定部142は、配信条件が満たされたと判定すると、その旨を配信部143に通知する。
【0050】
配信部143は、配信条件が満たされたことが通知されると、地域コンテンツデータを配信する。具体的には、配信部143は、記憶部130に記憶されている地域コンテンツデータを読み出し、読み出した地域コンテンツデータを無線通信部110に出力する。無線通信部110は、配信部143から入力された地域コンテンツデータを無線で送信する。なお、配信部143が地域コンテンツデータを記憶部130から読み出した後においても、記憶部130には当該地域コンテンツデータが削除されずに保持される。
【0051】
(3)無線端末の構成
図3は、本実施形態に係る無線端末200の構成を示すブロック図である。
【0052】
図3に示すように、無線端末200は、アンテナ201、無線通信部210、ユーザインターフェイス部220、バッテリ240、記憶部250、及び制御部260を有する。アンテナ201は、無線通信部210に接続され、無線通信部210、ユーザインターフェイス部220、及び記憶部250は、制御部140に接続される。
【0053】
アンテナ201は、無線信号の送受信に用いられる。アンテナ201は、複数のアンテナ素子を用いて構成されてもよい。
【0054】
無線通信部210は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ201を介して無線通信を行うように構成される。送信については、無線通信部210は、制御部260から入力される送信信号の符号化及び変調を行った後、アップコンバート及び増幅を行ってアンテナ201に出力する。受信については、無線通信部210は、アンテナ201から入力される受信信号の増幅及びダウンコンバートを行った後、復調及び復号を行って制御部260に出力する。
【0055】
ユーザインターフェイス部220は、ユーザとのインターフェイスとして機能するディスプレイやボタン、スピーカ、マイク等である。
【0056】
バッテリ240は、無線端末200の各ブロックに供給される電力を蓄えており、無線端末200の各ブロックに当該電力を供給する。
【0057】
記憶部250は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末200の制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部260は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末200が備える各種の機能を制御する。
【0058】
制御部260は、サービング基地局を切り替える際に、新たなサービング基地局に位置登録要求を送信するよう無線通信部210を制御する。当該切り替えは、通信中においてはハンドオーバと称され、待ち受け中においてはセル再選択と称される。
【0059】
制御部140は、無線通信部210が受信した地域コンテンツデータを再生してユーザインターフェイス部220に出力する。ユーザインターフェイス部220は、制御部260によって再生される地域コンテンツデータを提示(すなわち、表示及び/又は音声出力)する。
【0060】
次に、制御部260の詳細について説明する。制御部260は、コンテンツ再生部263を有する。コンテンツ再生部263の機能は、例えば、制御部260としてのCPUが、記憶部250に記憶されている制御プログラムを実行することで実現される。
【0061】
コンテンツ再生部263は、地域コンテンツデータを再生するためのアプリケーションであり、無線通信部210が受信した地域コンテンツデータを再生する。なお、無線通信部210が受信した地域コンテンツデータは、記憶部250に一旦記憶され、コンテンツ再生部263は、記憶部250に記憶された地域コンテンツデータを読み出して再生してもよい。コンテンツ再生部263は、再生した地域コンテンツデータをユーザインターフェイス部220に出力する。
【0062】
(4)移動通信システムの動作
次に、本実施形態に係る移動通信システム1の動作について、(4.1)コンテンツ取得動作、(4.2)コンテンツ配信動作の順に説明する。コンテンツ取得動作は、無線基地局100がコンテンツ管理サーバ300から地域コンテンツデータを取得する動作である。コンテンツ配信動作は、無線基地局100が地域コンテンツデータを配信する動作である。
【0063】
(4.1)コンテンツ取得動作
図4は、本実施形態に係るコンテンツ取得動作を示す動作シーケンス図である。
【0064】
図4に示すように、ステップS100において、無線基地局100が設置され、無線基地局100の稼動が開始する。その際に、手動又は自動で、無線基地局100の記憶部130にコンテンツ管理サーバ300のアドレスを記憶させておくものとする。
【0065】
ステップS101において、無線基地局100は、自局の基地局IDを含んだコンテンツ要求をコンテンツ管理サーバ300に宛てて送信する。コンテンツ管理サーバ300は、当該コンテンツ要求を受信する。
【0066】
ステップS102において、コンテンツ管理サーバ300は、無線基地局100が設置されている地域或いは位置を示す地域情報の探索を要求する探索要求を基地局管理サーバ400に送信する。コンテンツ管理サーバ300は、コンテンツ要求に含まれる基地局IDを探索要求に含めて送信する。基地局管理サーバ400は、探索要求を受信すると、当該探索要求に含まれる基地局IDに対応する地域情報を探索する。
【0067】
ステップS103において、基地局管理サーバ400は、探索要求に含まれる基地局IDに対応する地域情報をコンテンツ管理サーバ300に送信する。コンテンツ管理サーバ300は、地域情報を受信すると、当該地域情報に対応する地域コンテンツデータを探索する。
【0068】
ステップS104において、コンテンツ管理サーバ300は、当該地域情報に対応する地域コンテンツデータを無線基地局100に送信する。無線基地局100は、当該地域コンテンツデータを受信する。
【0069】
ステップS105において、無線基地局100は、受信した地域コンテンツデータを記憶する。
【0070】
本動作シーケンスによれば、無線基地局100は、自局が設置されている地域或いは位置の情報を有していない場合でも、自局の識別情報(基地局ID)を元に、地域コンテンツデータを取得できる。
【0071】
(4.2)コンテンツ配信動作
図5は、本実施形態に係るコンテンツ配信動作を示す動作シーケンス図である。
【0072】
図5に示すように、ステップS200において、無線基地局100は、配信条件が満たされたか否かを判定する。配信条件が満たされると、処理がステップS201に進む。
【0073】
ステップS201において、無線基地局100は、地域コンテンツデータを無線端末200に送信する。無線端末200は、当該地域コンテンツデータを受信する。
【0074】
ステップS202において、無線端末200は、受信した地域コンテンツデータを再生する。
【0075】
(5)実施形態の効果
以上説明したように、無線基地局100は、自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを記憶しており、予め定められた配信条件が満たされると当該地域コンテンツデータを無線端末200に配信する。これにより、無線端末200は、コンテンツ管理サーバ300にアクセスしなくても、地域コンテンツデータを無線基地局100から受信できる。従って、無線基地局100は、コンテンツ管理サーバ300及びバックホールネットワーク11の負荷増大を抑制しつつ、地域コンテンツデータを無線端末200に配信できる。特に、無線基地局100を小セル基地局とすることによって、狭い地域毎に地域コンテンツデータを配信可能になり、きめ細かなコンテンツ配信サービスを提供できる。
【0076】
本実施形態では、無線基地局100は、無線端末200に代わってコンテンツ管理サーバ300にアクセスし、コンテンツ管理サーバ300から取得した地域コンテンツデータを記憶する。これにより、無線基地局100は、コンテンツ管理サーバ300に一度アクセスすれば、それ以降はコンテンツ管理サーバ300及びバックホールネットワーク11に負荷を与えることなく地域コンテンツデータを無線端末200に配信できる。
【0077】
本実施形態では、無線基地局100は、自局が設置されている地域で行われているイベント(例えば、コンサートやショー)に関するコンテンツデータを地域コンテンツデータとして無線端末200に配信する。これにより、無線端末200のユーザは、有益な地域コンテンツデータを視聴できる。
【0078】
(6)実施形態の変更例
上述した実施形態では、無線基地局100が配信する地域コンテンツデータは、当該無線基地局100が設置されている地域で行われているイベントに関するコンテンツデータであった。
【0079】
本変更例では、無線基地局100が配信する地域コンテンツデータは、当該無線基地局100が設置されている地域内の避難場所に関するコンテンツデータである。避難場所に関するコンテンツデータとは、例えば、避難場所を地図上で表示した画像コンテンツデータである。
【0080】
避難場所に関するコンテンツデータを地域コンテンツデータとする場合、上述した実施形態で説明した構成及び動作において、次のような変更を行えばよい。具体的には、本変更例では、地域コンテンツデータを配信する配信条件は、ネットワーク通信部120が緊急警報情報を受信したことである。緊急警報情報とは、例えば、3GPPで仕様が策定されているETWS(Earthquake Tsunami Warning System)/PWS(Public Warning System)である。ETWS/PWSは、地震や津波等の天災の発生予告を通知するために用いられる。
【0081】
無線基地局100の制御部140は、ネットワーク通信部120が緊急警報情報を受信すると、地域コンテンツデータを無線端末200に配信するよう無線通信部110を制御する。
【0082】
以上説明したように、本変更例によれば、無線基地局100は、自局が設置されている地域内の避難場所に関するコンテンツデータを地域コンテンツデータとして無線端末200に配信する。これにより、無線端末200のユーザは、有益な地域コンテンツデータを視聴できる。
【0083】
また、本変更例では、無線基地局100は、ネットワーク通信部120が緊急警報情報を受信すると、地域コンテンツデータを無線端末200に配信する。これにより、無線基地局100は、災害が発生する可能性が高いケースにおいて、自局が設置されている地域内の避難場所に関するコンテンツデータを無線端末200に配信できる。
【0084】
さらに、本変更例では、天災の発生によってバックホールネットワーク11が通信不能状態になっても、無線基地局100から避難場所に関するコンテンツデータを配信できるというメリットがある。
【0085】
(7)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0086】
また、上述した実施形態においては、無線基地局100が1つの地域コンテンツデータを記憶している一例を説明したが、無線基地局100がセクタ分割されている場合には、地域コンテンツデータをセクタ毎に記憶してもよい。この場合、無線基地局100は、地域コンテンツデータをセクタ毎に配信する。これにより、よりきめ細かなコンテンツ配信サービスを提供できる。
【0087】
上述した実施形態では、GPSに基づく位置情報を使用していたが、無線端末200がGPS受信機を有していない場合には、複数の無線基地局からの受信状態の情報(RFフィンガープリント)を位置情報として使用してもよい。RFフィンガープリントから位置を推定する方法については、例えば3GPP TS 36.305: “Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Stage 2 functional specification of User Equipment (UE) positioning in E-UTRAN”を参照されたい。
【0088】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0089】
1…移動通信システム、10…ゲートウェイ装置、11…バックホールネットワーク、12…コアネットワーク、100…無線基地局、101…アンテナ、110…無線通信部、120…ネットワーク通信部、130…記憶部、140…制御部、141…コンテンツ取得部、142…配信条件判定部、143…配信部、200…無線端末、201…アンテナ、210…無線通信部、220…ユーザインターフェイス部、240…バッテリ、250…記憶部、260…制御部、263…コンテンツ再生部、300…コンテンツ管理サーバ、400…基地局管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末との通信を行う無線通信部と、
自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを記憶する記憶部と、
予め定められた配信条件が満たされると、前記記憶部に記憶されている前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御する制御部と、
を備える無線基地局。
【請求項2】
バックホールネットワークを介した通信を行うネットワーク通信部をさらに備え、
前記制御部は、自局が設置された後、コンテンツ管理サーバにアクセスして前記地域コンテンツデータを取得するよう前記ネットワーク通信部を制御し、
前記記憶部は、前記コンテンツ管理サーバから取得された前記地域コンテンツデータを記憶する、請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記地域コンテンツデータは、自局が設置されている地域で行われているイベントに関するコンテンツデータである、請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記配信条件は、無線端末が自局に位置登録したことであり、
前記制御部は、無線端末が自局に位置登録すると、当該無線端末に対して前記地域コンテンツデータを配信するよう前記無線通信部を制御する、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記配信条件は、所定の配信周期に応じた配信時刻になったことであり、
前記制御部は、前記所定の配信周期に応じた配信時刻になると、前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御する、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記配信条件は、前記ネットワーク通信部が配信指示を受信したことであり、
前記制御部は、前記ネットワーク通信部が配信指示を受信すると、前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御する、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項7】
前記地域コンテンツデータは、自局が設置されている地域内の避難場所に関するコンテンツデータである、請求項2に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記配信条件は、前記ネットワーク通信部が緊急警報情報を受信したことであり、
前記制御部は、前記ネットワーク通信部が緊急警報情報を受信すると、前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御する、請求項7に記載の無線基地局。
【請求項9】
無線端末との無線通信を行う無線基地局と、
地域コンテンツデータを管理する第1の管理装置と、
基地局設置地域の情報を管理する第2の管理装置と、
を備え、
前記無線基地局は、自局の識別情報を送信し、
前記第2の管理装置は、前記無線基地局の識別情報を受信すると、前記無線基地局が設置されている地域或いは位置を示す地域情報を前記第1の管理装置に送信し、
前記第1の管理装置は、前記第2の管理装置からの前記地域情報を受信すると、前記無線基地局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを前記無線基地局に送信し、
前記無線基地局は、前記第1の管理装置からの前記地域コンテンツデータを記憶する、移動通信システム。
【請求項10】
前記無線基地局は、
無線端末との通信を行う無線通信部と、
自局が設置されている地域に固有の地域コンテンツデータを記憶する記憶部と、
予め定められた配信条件が満たされると、前記記憶部に記憶されている前記地域コンテンツデータを無線端末に配信するよう前記無線通信部を制御する制御部と、
を備える請求項9に記載の移動通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−105161(P2012−105161A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253277(P2010−253277)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】