説明

無線移動式リアルタイム情報通信システム

【課題】複数の異なる現場からの映像や音声などの情報をリアルタイムで送受信できる情報通信システムを提供する。
【解決手段】ヘルメット2に着脱自在なカメラ部3と、前記カメラ部で撮影した映像を送信するデータ送受信部と、前記データ送受信部から送信された映像データを表示する映像データ受信表示手段5と、音声データを送受信する音声通信部6とを備え、カメラは片手で被撮影体に向けて接近操作ができる構成で且つ視線方向に向けて前記ヘルメットに取付可能な構成とし、前記映像データ受信表示手段により表示した複数の映像の中から監視者7が選択した作業現場の前記音声通信部と監視者の音声通信部とを通信状態に切替える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の現場からの映像を受信し、これらの映像を一括管理し、効率的に現場を監視・管理することができる無線移動式リアルタイム情報通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建設・土木業界ではコスト削減などの影響で熟練技術者が減少し、これによってそれぞれの作業現場全てに熟練技術者を行かせるといったことができない状況となってきている。このような状況のなかで、例えば、熟練技術者がいない作業現場で何らかの問題が生じた場合には、従来は、例えば、携帯電話やメールなどの通信手段を用いて、別の場所にいる熟練技術者に現場の状況を説明して問題の対応指示を受けているが、このような手段では現場の映像がないため状況を正確に伝えることができずに、熟練技術者も的確な指示を出すことができない場合がある。
【0003】
また、例えば、作業者がビデオカメラで現場の状況を撮影し、この撮影した映像を持ち帰って説明することで現場の状況を正確に伝えることができるが、一々映像を見せに行くという時間的なロスが生じてしまう。
【0004】
また、例えば、テレビ局の中継のように、ハンディカメラと音声マイクを用いて現場の状況を撮影しながら音声を送ることでリアルタイムな状況を送信することも可能ではあるが、このような方法では、中継車両や大型機材などを要し、非常にコストがかかってしまい現実的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上述のような問題を解決するために、複数の異なる現場からの映像や音声などの情報をリアルタイムで送受信でき、正確に現場の状況を把握できると共に現場に的確な指示を送ることができる実用性に優れた画期的な無線移動式リアルタイム情報通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
作業者1の頭部に装着する頭部装着部2に着脱自在に設けるカメラ部3と、作業者1が前記カメラ部3で撮影した映像をデータ化して送信するデータ送受信部4と、前記データ送受信部4から送信された映像データを受信しこの受信した映像データを視認できるように映像化して表示する映像データ受信表示手段5と、前記作業者1と該作業者1が撮影した映像を監視する監視者7とが会話する音声データを送受信する音声通信部6とを備え、前記カメラ部3を前記作業者1が片手で持って被撮影体に向けて接近させる操作ができる片手携帯接近撮影可能な構成で且つ前記作業者1の視線方向に向けて前記頭部装着部2に沿設状態に取り付け手段を介して取付ける着脱沿設取付可能な構成とし、前記データ送受信部4を前記作業者1が携帯できるように構成し、前記映像データ受信表示手段5は、複数の異なる前記データ送受信部4から送信された複数の映像データを同時に受信することができるデータ受信手段と、受信した複数の前記映像データを映像に変換する映像変換手段と、変換した複数の映像をひとつの画面上に同時に並設状態に表示し、且つ表示した複数の映像の中から前記監視者7が所望の映像を選択した際にこの選択した映像の表示状態が切替わる映像表示手段と、前記監視者7が所望の映像を選択した際にこの選択した映像を送信している選択された作業現場の前記作業者1の前記音声通信部6と前記監視者7の前記音声通信部6とを通信状態に切替える音声切替え手段とで構成して、複数の前記データ送受信部4から送信されている夫々の映像データを受信しこの受信した夫々の映像データを映像化してひとつの画面上に並設状態に表示している際に、この表示されている複数のリアルタイムな映像の中から前記監視者7が所望の映像を選択すると、この選択した映像の表示状態が切替わると共に、前記監視者7の音声通信相手がこの選択した映像を送信している選択された現場の前記作業者1に自動的に切替わって映像選択操作によって選択された前記作業者1と前記監視者7とが前記音声通信部6を介して会話できる状態に自動的に切替わる構成としたことを特徴とする無線移動式リアルタイム情報通信システムに係るものである。
【0008】
また、前記データ送受信部4は、前記カメラ部3で撮影した映像データ及び前記音声通信部6からの音声データを圧縮する映像音声圧縮部8と、前記圧縮した映像データを送信し前記音声データを送受信する無線送受信部9と、前記映像音声圧縮部8並びに前記無線送受信部9を起動する電源部と、これらを収納する収納ケース部10とから成り、前記映像音声圧縮部8及び前記無線送受信部9及び前記電源部を、防爆性を有する構成としたことを特徴とする請求項1記載の無線移動式リアルタイム情報通信システムに係るものである。
【0009】
また、前記データ送受信部4と前記映像データ受信表示手段5との間の映像データの送受信は、インターネット回線を用いることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の無線移動式リアルタイム情報通信システムに係るものである。
【0010】
また、前記作業者1に装着する音声通信部6は、音声を音声データに変換するマイク部11と、音声データを音声に変換するスピーカー部12とを一体に形成し頭部に着脱自在に装着できる構成とし、前記無線送受信部9で音声データの送受信を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線移動式リアルタイム情報通信システムに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、作業者の頭部に頭部装着部を装着して、この頭部装着部にカメラ部を作業者の視線方向に向けて取付けた状態で撮影するので、カメラ部が撮影する映像は、作業者が見ているものと略同じものが撮影されることとなるので、作業者は被撮影体が的確に撮影されているかどうかを一々モニタなどで確認しなくても良く、また、カメラ部を頭部に取付けることでハンズフリー状態で撮影することができるので、例えば、作業をしながら、或いは、車両や機械を操縦しながらでも視線を被撮影体に向けるだけで撮影することができる。更に、カメラ部を取り外して片手で持って被撮影体に向けて近づけたりすることで、例えば、被撮影体を詳細に撮影したい場合は、一々作業者が顔を近づけなくとも、カメラ部を片手で持って被撮影体に近づけて要所を的確に撮影することもできるので、詳細な状況(状態)を確認することができる。
【0012】
また、データ送受信部を作業者が携帯できるように構成したので、例えば、作業者はカメラ部とデータ送受信部とを接続するケーブル長で移動範囲を制限されることなく自由に移動しながら撮影することができる。
【0013】
また、一箇所にいながら複数の異なる作業現場をリアルタイムに監視することができるので、容易に異なる作業現場を一括管理することができ、常に夫々の現場の状況を把握することができ、更に、極めて容易な操作で所望の作業者と音声通信することができる実用性,操作性,経済性に優れ、業務効率を極めて向上させることができる画期的な無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。特に、本発明においては、映像の表示を複数並設状態で表示したり、所望の映像を拡大表示したり、所望の映像を選択しただけでその選択した映像の現場の作業者と音声通信できるなど機能性に優れた無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。
【0014】
また、請求項2,4記載の発明においては、作業者の身体に装着することで作業者がハンズフリー状態になることができ、作業性を低下させない実用性に優れた無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。また、特に請求項3記載の発明においては、防爆仕様を装備し安全性に優れた無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。
【0015】
また、請求項3記載の発明においては、既存のインターネット回線を利用することができるので遠隔地でも容易に通信可能となる実用性に優れた無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例を複数箇所に用いた場合を示す概要図である。
【図2】本実施例を複数の作業現場と複数の監視部で使用した場合の使用状態を示す説明図である。
【図3】本実施例の作業者に装着するカメラ部とデータ送受信部と音声通信部を示す説明図である。
【図4】本実施例の作業者がカメラ部を頭部に装着して撮影している状態を示す説明図である。
【図5】本実施例の作業者がカメラ部を片手で握持して撮影している状態を示す説明図である。
【図6】本実施例の映像表示状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
作業者1が頭部に、例えばヘルメットや帽子などの頭部装着部2を装着し、この頭部装着部2に棒状に形成したカメラ部3を作業者1の視線方向に向けて沿設状態に取付けることで、カメラ部3は、作業者1の視線の先にある被撮影体、即ち、作業者1が見ているそのものを撮影することとなる。従って、作業者1は被撮影体が的確に撮影されているかどうかを一々モニタなどで確認しなくても良く、また、カメラ部3を頭部に取付けることでハンズフリー状態で撮影することができるので、例えば、作業をしながら、或いは、車両や機械を操縦しながらでも視線を被撮影体に向けるだけで撮影することができる。また、作業者1が頭部装着部2に取付けられているカメラ部3を取り外して片手で持って被撮影体に向けて接近させて撮影することができるので、例えば、被撮影体にカメラ部3を近づけて詳細に撮影したい場合も、一々作業者1が顔を近づけなくとも、片手で持ったカメラ部3を被撮影体に近づけるだけで容易に近接状態の撮影をすることができる。
【0019】
また、作業者1が撮影した映像をデータ化して映像データ受信表示手段5に送信するデータ送受信部4を、作業者1が携帯(例えば、身体に装着したりバッグなどに収納して手で持って運搬)できるように構成したので、作業者1は、カメラ部3とデータ送受信部4の両方を備えていることとなり、従って、例えば、カメラ部3とデータ送受信部4とを接続するケーブル長で移動範囲を制限されることなく自由に移動しながら撮影することができる。
【0020】
また、作業者1が撮影した映像は、データ送受信部4でデータ化して送信され、この送信された映像データを映像データ受信表示手段5で受信し、この受信した映像データを監視者7が視認できるように映像化して表示するので、監視者7はリアルタイムで作業者1が撮影した映像を見ることができる。更に、この映像データ受信表示手段5は、複数のデータ送受信部4から送信された夫々の映像データを映像化してひとつの画面上に並設状態に表示できるので、複数の異なる作業現場からの映像を一括管理することができ、常に夫々の現場の状況を把握することができる。また例えば、同一の被撮影体を複数のカメラ部3で撮影したもの、例えば、頭部に装着したカメラ部3で全体の映像を撮影し片手で握持したカメラ部3で局所的な映像を撮影して送信することで、より詳細な情報を監視者7に伝えることができる。
【0021】
また更に、映像データ受信表示手段5で表示されている複数の映像の中から監視者7が所望の映像を選択すると、監視者7側の音声通信部6と選択した映像を送信している作業者1側の音声通信部6とが通信可能状態(双方向に会話可能な状態)に切り替わるので、極めて簡易な操作で監視者7と作業者1とが会話することができ、監視者7は、作業者1が送信しているリアルタイムな映像を見ながら作業者1から、例えば、現場の状況報告を聞くことができたり、或いは、監視者7が映像を見て指示を出したり質問したりでき、また、作業者1が熟練技術者に質問したり監視者7の質問に応答したりすることが容易にできる極めて実用性に優れた無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。
【実施例】
【0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、現場の映像を送信する作業者1側に備えるカメラ部3とデータ送受信部4,作業者1が送信した映像を監視する監視者7側の映像データ受信表示手段5及び作業者1と監視者7とが会話するための音声通信部6とから成る無線移動式リアルタイム情報通信システムである。
【0024】
具体的には、作業者1の頭部に装着する頭部装着部2に着脱自在に設けるカメラ部3と、作業者1が前記カメラ部3で撮影した映像をデータ化して送信するデータ送受信部4と、前記データ送受信部4から送信された映像データを受信しこの受信した映像データを視認できるように映像化して表示する映像データ受信表示手段5と、前記作業者1と該作業者1が撮影した映像を監視する監視者7との音声データを送受信する音声通信部6とを備え、前記カメラ部3を前記作業者1が片手で握持して被撮影体に向ける操作ができる片手握持可能で且つ前記作業者1の視線方向に向けて前記頭部装着部2に沿設状態に取付ける棒状に構成し、前記データ送受信部4を前記作業者1が携帯できるように構成し、前記映像データ受信表示手段5を、複数の前記データ送受信部4から送信された夫々の映像データを受信しこの受信した映像データを映像化してひとつの画面上に並設状態に表示するように構成し、この表示された複数のリアルタイムな映像を監視する前記監視者7がこれらの映像の中から所望の映像を選択することで、この選択した映像を送信した前記作業者1と前記監視者7とが前記音声通信部6を介して会話できるように構成しており、例えば、建設現場,土木工事現場などの遠隔地で作業を行っている作業者1と、社内にいて作業現場の状況を監視しながら指示を出したりする監視者7とをリアルタイムな映像と音声とで繋ぐことができる無線移動式リアルタイム情報通信システムである。
【0025】
各構成を更に具体的に説明すると、作業者1が頭部に装着する頭部装着部2はヘルメットであり、このヘルメットに着脱自在に設けるカメラ部3は、作業者1が片手で握持して被撮影体に向ける操作が容易にできる棒状に形成しており、より具体的には直径約2cm、長さ7cm〜8cm程度の丸棒状のCCDカメラを採用している。
【0026】
このようにカメラ部3を作業者1が握持し易い丸棒状に形成したので、ヘルメットの正面視左右いずれかの側部に沿設状態に取付けることができ、また更に、このヘルメットの側部に沿設状態に取付けたカメラ部3を作業者の視線方向に向けて撮影することで、作業者が見ているものと同じ状況(同じもの)を撮影することができ、また更に、このカメラ部3をヘルメットから取り外して作業者1が片手で握持した状態で撮影することもできるので、例えば、一々作業者が顔を近づけなくとも、カメラ部3を片手で握持して被撮影体に近づけて被撮影体の要部をズームアップしたり、作業者の視線では見えない場所を撮影することができるので、より詳細な状況(状態)を撮影することができ、また例えば、カメラ部3の先端側に照明器具を設けた構成とすれば、例えば、狭い装置内部や配管内など顔を入れて撮影することができない箇所でも、手を挿入できる状態若しくはカメラ部3の先端部が挿入できる状態であれば、片手で握持したカメラ部3を挿入して撮影することができ、より一層詳細な状況(状態)を撮影することができる。
【0027】
また、カメラ部3のヘルメットへの取付手段は、例えば、ヘルメットにカメラ部3の固定具を取付けようとした場合は、ヘルメットを加工する必要があり、特に固定具を螺子で固定する場合はヘルメットに孔を開けなければならず、ヘルメットの強度が安全基準を満たさなくなる可能性があるので、本実施例では、カメラ部3のヘルメットとの取付け手段に面ファスナを用いた構成することで、極めて容易にヘルメットにカメラ部3を着脱自在に設けることができ、更にヘルメットに取付けたカメラ部3が作業者1の視線、即ち、作業者1が見ているものと同様の映像を撮影できるように向きを調整する際も容易に調整でき、しかも、ヘルメットに孔などを開ける加工を施さないので安全基準を損なうこともない。
【0028】
また、データ送受信部4は、カメラ部3で撮影した映像データ及び音声通信部6から入力された音声データを圧縮して送信し易いデータ(容量の小さいデータ)に変換する映像音声圧縮部8と、圧縮した映像データや音声データを送信したり外部からの音声データを受信したりする無線送受信部9と、これらを起動するための電源部と、映像音声圧縮部8,無線送受信部9,電源部を収納するアルミ製の収納ケース部10とで構成としている。また、データ送受信部4は、収納ケース部10に収納した状態で作業者1が携帯できる大きさ(例えば、身体に装着したり、手で持った状態で移動可能な大きさ)に構成し、より具体的には、映像音声圧縮部8,無線送受信部9,電源部4を小型且つ軽量に構成し、これらを収納ケース部10に収納した状態で、例えばウェストポーチやウェストバッグなどに収納することで容易に作業者の身体(例えば、腰部)に装着できる構成としている。
【0029】
また、本実施例の映像音声圧縮部8,無線送受信部9,電源部は、防爆性を有する構成としている。即ち、例えば、トンネルやマンホールなどの掘削現場などでは、地下から可燃性ガスが知らないうちに噴出して周囲に充満することもあり、このような危険な場所での作業も想定し、万が一、データ送受信部4の機器がショートなどして火花が生じた場合でも、映像音声圧縮部8,無線送受信部9,電源部を防爆仕様にすることで収納ケース11内に収納している映像音声圧縮部8,無線送受信部9,電源部と可燃性ガスとが完全に遮断された状態とすることができるので、火花と可燃性ガスとが接触することもなく爆発する危険性も無く、安心して携帯することができる。
【0030】
また、音声通信部6は、音声をデータに変換するマイク部11と音声データを音声に変換するスピーカー部12とを一体に形成し頭部に着脱自在に装着できる構成としている。
【0031】
この音声通信部6は、データ送受信部4を介して音声の送受信を行っており、音声通信部6とデータ送受信部4とは夫々作業者1が装着するため、夫々の配置距離も短く無線通信接続(例えば、Bluetooth)を採用することができるので、接続ケーブルなどが無く、装着時の煩わしさを感じることもない。
【0032】
従って、作業者1は、カメラ部3を頭部に装着し、データ送受信部4を腰部に装着し、音声通信部6を頭部に装着することとなり、全て身体に装着する構成としているので、作業者1は常にフリーハンズ状態となるので、作業をしながらでも撮影することができ、また、本実施例は、カメラ部3,データ送受信部4及び音声通信部6を小型,軽量化し全て装着した状態でも1kgに満たない構成としたので、作業者1がこれらを装着した状態で作業したり移動しながら撮影したりしても作業者1の負荷とならない。
【0033】
尚、本実施例では、頭部装着部2をヘルメットとしているが、例えば、帽子やヘアバンドのような頭部に装着可能なものであれば適宜採用し得るものであり、また更に、本実施例では、頭部装着部2にカメラ部3を取付ける構成としているが、例えば、頭部に装着可能なヘアバンドなどの頭部装着部2をカメラ部3と一体に形成したものとしても良い。
【0034】
また、例えば、山間地などの作業現場では、インターネット回線が近くに無い場合もあり、このような場合でも容易にデータの送信ができるように、中継機材13(ルーター)を現場の事務所などに設置する構成としても良い。
【0035】
また、上述した作業者1側から送信された映像データを受信し表示する映像データ受信表示手段5は、前記映像音声圧縮部8で圧縮して送信された複数の映像データ及び音声データを同時に受信することができるデータ受信手段と、受信した複数の前記映像データを映像に変換する映像変換手段と、変換した複数の映像をひとつの画面上に同時に表示したり、表示された複数の映像の中から選択した映像を拡大表示したりする表示状態が切替え自在な映像表示手段と、前記監視者7が所望の映像を選択した際に、この選択した映像を送信した作業者1が装着している音声通信部6と前記監視者7が装着している音声通信部6とを通信状態に切替える音声切替え手段とで構成している。
【0036】
具体的には、管理室,会議室などに設置されインターネット回線と接続したコンピュータ14で、作業者1から送信された映像データ及び音声データを受信し、受信した映像データを映像に変換する映像変換処理を行いモニタ部15の画面上に表示している。即ち、この映像データ受信表示手段5は、データ受信手段で複数の映像データを同時に受信し、受信した複数の映像データを映像変換手段で映像変換処理(具体的には、圧縮された映像データを復号する処理)を施して映像化し、映像表示手段で映像表示処理を施してこの映像化した映像をモニタ部15の画面上に並設状態で表示している。
【0037】
この映像表示手段は、複数の映像をモニタ部15の画面上に並設状態で表示すると共に、この表示されている映像の中から監視者7を所望の映像を選択(具体的には、画面上の映像をマウスでクリックする)すると、選択した映像が画面上で拡大表示する処理(他の映像は一時的に消える若しくは縮小される)を施す表示状態が切替え自在に構成しているので、監視者7が、より詳細に映像を視認することができる。
【0038】
また、例えば、選択した映像の要部を詳細に見たい場合は、監視者7がモニタ部15の画面上で拡大したいところをクリックすることで更に拡大表示するような機能を持たせた構成としても良い。
【0039】
また更に、前述の監視者7が所望の映像を選択した際には、映像が画面上で拡大表示すると共に、音声切替え手段によって、監視者7が装着している音声通信部6とこの選択した映像を送信している作業者1が装着している音声通信部6とが通信可能な状態に自動で切り替わり双方で会話することができる。
【0040】
また、作業者1側から監視者7との音声通信を要求する場合は、例えば、作業者1がマイク部11に向って音声を発したり、また、作業者1側に専用スイッチ部を設けて、このスイッチ部を操作した際に、監視者7が監視している画面上の映像に音声通信を要求している表示が出るように構成したりしても良い。
【0041】
また、この映像データ受信表示手段5を構成する専用ソフトウェアをCD―ROM若しくはインターネットからのダウンロードで容易にインストールできる仕様とすることで、例えば、出張先や顧客先のコンピュータ14でも現場からの送信データをリアルタイムで確認することができるので、例えば、一々発注者などに現場に来てもらわなくても、容易にリアルタイムな映像を見てもらうことができるので、移動時間や移動経費を節約でき、高いコストパフォーマンスが期待できる画期的な無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。
【0042】
また、受信した映像や音声を記録する映像音声記録部を備えることで、例えば、見逃した映像もあとで確認することができたり、熟練技術者の作業状況を記録し若手技術者への技術伝承の資料として活用したりすることもできるなど、活用範囲をより広げることができ実用性を向上させる。
【0043】
以上のように、本実施例は上述のように構成したから、例えば、遠隔地の作業現場の作業状況を離れた社内の管理室や会議室でリアルタイムに映像を見ることで監視することができ、しかも、監視できる映像が一箇所からの映像だけではなく複数の現場から送信された映像を同時に監視することができるので、監視者は一箇所にいながら複数の現場を一括管理でき、また、一々監視したい現場に画面を切替えたり、接続を切替えたりすることなく複数の現場の状況を常にリアルタイムで表示しているので効率よく監視することができ、更に、作業者1側も複数の監視者7に夫々映像を送信することができるので、様々な異なる場所で監視することが可能となる。
【0044】
また、これらの映像を監視している監視者7がモニタ部15の画面上に表示されている複数の映像の中から所望の映像を選択してクリックするだけの極めて簡易な操作をするだけで、所望の映像を拡大表示させたり、更には映像を送信している作業者1と音声通信部6を解して会話することができるので、監視者7は映像を見ながら詳細な状況を聴くことができたり、また、的確な指示を出すことが容易にできる。従って、現場の作業者1は、リアルタイムに的確な指示を受けることでスムーズに効率よく作業を行うことができ、例えば、事故防止につながったり、工期の短縮が図れるなど多くの効果が期待できる実用性に優れた画期的な無線移動式リアルタイム情報通信システムとなる。
【0045】
また、建設現場や土木工事現場の作業者1と監視者7との通信以外にも本実施例を活用することができ、例えば、医療従事者が少ない地域などで専門医がいない場合も、患者の診察状況を送信して専門医から的確な指示をもらうことができたり、また、例えば、製造工場の装置トラブルの対応にも、装置メーカーのサービスマンに映像を送信しながら状況を説明することで素早い対応を行うことができ、稼働率の向上にもつながることとなる。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0047】
1 作業者
2 頭部装着部
3 カメラ部
4 データ送受信部
5 映像データ受信表示手段
6 音声通信部
7 監視者
8 映像音声圧縮部
9 無線送受信部
10 収納ケース部
11 マイク部
12 スピーカー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の頭部に装着する頭部装着部に着脱自在に設けるカメラ部と、作業者が前記カメラ部で撮影した映像をデータ化して送信するデータ送受信部と、前記データ送受信部から送信された映像データを受信しこの受信した映像データを視認できるように映像化して表示する映像データ受信表示手段と、前記作業者と該作業者が撮影した映像を監視する監視者とが会話する音声データを送受信する音声通信部とを備え、前記カメラ部を前記作業者が片手で持って被撮影体に向けて接近させる操作ができる片手携帯接近撮影可能な構成で且つ前記作業者の視線方向に向けて前記頭部装着部に沿設状態に取り付け手段を介して取付ける着脱沿設取付可能な構成とし、前記データ送受信部を前記作業者が携帯できるように構成し、前記映像データ受信表示手段は、複数の異なる前記データ送受信部から送信された複数の映像データを同時に受信することができるデータ受信手段と、受信した複数の前記映像データを映像に変換する映像変換手段と、変換した複数の映像をひとつの画面上に同時に並設状態に表示し、且つ表示した複数の映像の中から前記監視者が所望の映像を選択した際にこの選択した映像の表示状態が切替わる映像表示手段と、前記監視者が所望の映像を選択した際にこの選択した映像を送信している選択された作業現場の前記作業者の前記音声通信部と前記監視者の前記音声通信部とを通信状態に切替える音声切替え手段とで構成して、複数の前記データ送受信部から送信されている夫々の映像データを受信しこの受信した夫々の映像データを映像化してひとつの画面上に並設状態に表示している際に、この表示されている複数のリアルタイムな映像の中から前記監視者が所望の映像を選択すると、この選択した映像の表示状態が切替わると共に、前記監視者の音声通信相手がこの選択した映像を送信している選択された現場の前記作業者に自動的に切替わって映像選択操作によって選択された前記作業者と前記監視者とが前記音声通信部を介して会話できる状態に自動的に切替わる構成としたことを特徴とする無線移動式リアルタイム情報通信システム。
【請求項2】
前記データ送受信部は、前記カメラ部で撮影した映像データ及び前記音声通信部からの音声データを圧縮する映像音声圧縮部と、前記圧縮した映像データを送信し前記音声データを送受信する無線送受信部と、前記映像音声圧縮部並びに前記無線送受信部を起動する電源部と、これらを収納する収納ケース部とから成り、前記映像音声圧縮部及び前記無線送受信部及び前記電源部を、防爆性を有する構成としたことを特徴とする請求項1記載の無線移動式リアルタイム情報通信システム。
【請求項3】
前記データ送受信部と前記映像データ受信表示手段との間の映像データの送受信は、インターネット回線を用いることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の無線移動式リアルタイム情報通信システム。
【請求項4】
前記作業者に装着する音声通信部は、音声を音声データに変換するマイク部と、音声データを音声に変換するスピーカー部とを一体に形成し頭部に着脱自在に装着できる構成とし、前記無線送受信部で音声データの送受信を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線移動式リアルタイム情報通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160409(P2011−160409A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260083(P2010−260083)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【分割の表示】特願2010−20576(P2010−20576)の分割
【原出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2009年11月10日 日本経済新聞社発行の「日本経済新聞」に発表
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000208156)大陽開発株式会社 (2)
【Fターム(参考)】