説明

無線通信装置、制御プログラム、および無線通信システム

【課題】 偽造されたRFIDタグの使用を未然に防止する。
【解決手段】 一実施形態における無線通信装置は無線通信手段、記憶手段、第1,第2制御手段、処理手段を備える。無線通信手段はコード情報を記憶した第1メモリ領域及びパスワード指定時に読み取り可能な第2メモリ領域を有する無線タグと無線通信する。記憶手段はパスワードを記憶する。第1制御手段は無線通信手段により無線タグの第1メモリ領域からタグコードを読取る。第2制御手段は無線通信手段によりパスワードを指定せずに無線タグの第2メモリ領域の読取りを試行し、読取れないなら記憶手段のパスワードを指定して同タグの第2メモリ領域の読取りを試行する。処理手段は第2制御手段によりパスワードを指定して第2メモリ領域が読取られたとき、第1制御手段により同タグから読取られたコード情報を用いて所定の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグと無線通信し、この無線通信により無線タグから得た情報を用いて各種の情報処理を行う無線通信装置、その制御プログラム、および上記無線通信装置を備える無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDタグの標準化団体であるEPC(Electronic Product Code)グローバルにより提唱された規定を満たすC1Gen2(Class 1 Generation 2)タイプの無線タグ(RFID(Radio Frequency Identification)タグとも称す)が普及しつつある。C1Gen2タイプのRFIDタグは、4つのバンク、すなわちユーザデータを記憶する「USER」領域,タグIDを記憶する「TID」領域,EPCを記憶する「EPC」領域,およびアクセスパスワードやキルパスワードを記憶する「RESERVED」領域を有している。
【0003】
上記EPC領域のデータは、各種分野の無線通信システムで重要な役割を担っている。例えばRFIDタグをIDカードに埋め込んで個人識別に使用するシステムにおいては、IDカードに埋め込まれたRFIDタグのEPC領域から読み取られるデータが建物等への入退管理や特定の装置の使用者管理に用いられている。
【0004】
また、小売店等にて商品にRFIDタグを取り付けて管理するシステムにおいては、商品に取り付けられたRFIDタグのEPC領域から読み取られるデータが売上登録に用いられている。さらに、RFIDタグが埋め込まれたクーポンを発行し、このクーポンに埋め込まれたRFIDタグのEPC領域から読み取られるデータを用いて売上登録された商品の代金を値割引きするとのシステムも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3075440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
C1Gen2タイプのRFIDタグは、リードロック機能およびライトロック機能を備えているが、EPC領域に対してはライトロックしかかけることができない。そのため、EPC領域のデータの書き換えは禁止できるが、RFIDリーダライタによりEPC領域から読み取ったデータを他のRFIDタグのEPC領域に書き込むことで、EPC領域のデータが同一のRFIDタグを簡単に複製できてしまう。
【0007】
このようにEPC領域のデータが同一のRFIDタグが複製されると、上記のようにRFIDタグを個人識別や商品の管理、およびクーポンに使用するシステムにおいて、種々の不正が行われる虞がある。また、このような問題は、C1Gen2タイプのRFIDタグに限らず、他のタイプのRDIDタグについても同様に生じ得る。
【0008】
以上のような事情から、RFIDタグを用いる各種の無線通信システムにおいて、偽造されたRFIDタグの使用を未然に防止するための手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、一実施形態における無線通信装置は、無線通信手段と、記憶手段と、第1制御手段と、第2制御手段と、処理手段とを備えている。
上記無線通信手段は、コード情報を記憶した第1メモリ領域、及び、予め設定されたアクセスパスワードが指定されたときに読み取り可能な第2メモリ領域を有する無線タグと無線通信する。上記記憶手段は、予め指定されたアクセスパスワードを記憶する。上記第1制御手段は、無線通信手段の無線通信により所定の無線タグの第1メモリ領域に記憶されたタグコードを読み取る。上記第2制御手段は、無線通信手段の無線通信により、アクセスパスワードを指定せずに所定の無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行し、読み取れないならば記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定して同無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行する。上記処理手段は、第2制御手段により記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定することで所定の無線タグの第2メモリ領域が読み取られたとき、第1制御手段により同無線タグから読み取られたコード情報を用いて所定の処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態におけるPOSシステムの構成を示す図。
【図2】同実施形態における値引タグの一例を示す模式図。
【図3】同実施形態における値引タグのメモリ構成を示す図。
【図4】同実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態におけるタグ発行装置の要部構成を示すブロック図。
【図6】同実施形態における発行処理のフローチャート。
【図7】同実施形態における会計処理のフローチャート。
【図8】同実施形態における値引処理のフローチャート。
【図9】第2の実施形態における割引タグの一例を示す模式図。
【図10】同実施形態におけるタグ認証テーブルの構成を示す模式図。
【図11】同実施形態における発行処理のフローチャート。
【図12】同実施形態における会計処理のフローチャート。
【図13】同実施形態における値割引処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、各実施形態では、RFIDタグを使用するシステムの一例として、スーパーマーケット等の小売店にて稼働するPOS(Point Of Sales)システムを例示し、このシステムで使用されるRFIDタグである値引タグや割引タグの偽造を防止するための好適な態様を示す。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、客の買い上げ商品の合計代金から所定額を値引く値引タグを用いる場合について説明する。
【0013】
[システム構成]
本実施形態におけるPOSシステムの構成を図1に示す。このシステムは、店舗の会計場に配置されたPOS端末1と、タグ発行装置2とを備え、これらを有線または無線で相互通信可能に接続して構成されている。但し、POS端末1およびタグ発行装置2の数は1台に限られず、複数のPOS端末1およびタグ発行装置2にて当該POSシステムを構築してもよい。
【0014】
POS端末1は、本実施形態における無線通信装置として機能するものであり、客が購入しようとする商品の会計に使用される。
タグ発行装置2は、本実施形態におけるタグ発行手段として機能するものであり、値引タグ3を発行する。このタグ発行装置2は、例えば店員が手持ちで操作するハンディターミナルであってもよいし、店舗内の所定位置に固定的に設置されるものであってもよい。
【0015】
図2は、値引タグ3の一例を示す模式図である。値引タグ3は、紙材や樹脂材料等で形成されたタグ基材30にIC31と、アンテナ32とで構成されるRFIDインレットを埋め込んで構成される。タグ基材30の表面は印刷面になっており、図示したように「50円引き」等の文字が印刷される。また、タグ基材30の裏面には粘着層が形成されており、この粘着層により値引タグ3は商品やその包装に貼付可能である。
【0016】
値引タグ3は、C1Gen2タイプのRFIDタグであり、IC31は図3に示すようにユーザ領域「USER」、タグID領域「TID」、EPC領域「EPC」、リザーブド領域「RESERVED」の4つのバンクからなるメモリを有している。ユーザ領域には任意のユーザデータが記憶される。タグID領域には他のRFIDタグと重複しないユニークな識別情報がタグの製造段階で記憶される。EPC領域には値引タグ3であることを示すコード情報としてEPC「urn:epc:tag:gid-96:0.X.Y」が記憶される。ここに、「X」は値引き/割引きの別を示す識別子であり、値引きを示す「0」か、割引きを示す「1」のいずれかが記述される。また、「Y」には値引額または割引率を示す数値が記述される。本実施形態では値引きを対象としているため、「X」が「0」となり、「Y」が値引額を示す。リザーブド領域には任意のアクセスパスワードが記憶される。各領域のうち、ユーザ領域およびリザーブド領域はリザーブド領域に記憶されたアクセスパスワードを用いてリードロック(読取制限)およびライトロック(書込制限)が可能であり、EPC領域は同アクセスパスワードを用いてライトロックが可能である。また、タグID領域はRFIDインレットの製造時にライトロックされている。EPC領域は本実施形態における第1メモリ領域として機能し、リザーブド領域は本実施形態における第2メモリ領域として機能し、ユーザ領域は本実施形態における第3メモリ領域として機能する。
【0017】
なお、当該店舗で販売される商品には、その商品の商品コードを含むEPCがEPC領域に記憶されたRFIDインレットを有するC1Gen2タイプの商品タグ4が取り付けられている。これら値引タグ3や商品タグ4に記憶された情報は、商品の会計時にPOS端末1によって読み取られ、代金の算出等に用いられる。
【0018】
[POS端末]
図4は、POS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ11、通信I/F(Interface)12、バーコードスキャナ13、操作部14、ディスプレイ15、レシートプリンタ16、およびRFIDリーダ17を備えたコンピュータタイプの情報処理装置である。メモリ11、通信I/F12、バーコードスキャナ13、操作部14、ディスプレイ15、レシートプリンタ16、およびRFIDリーダ17は、アドレスバスやデータバス等で構成されるバスライン18を介してCPU10に接続されている。
【0019】
メモリ11は、本実施形態における記憶手段として機能するものであり、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成され、CPU10が実行する各種動作の制御プログラムを記憶するとともに、処理場面に応じて各種の作業用メモリエリアを形成する。
通信I/F12は、タグ発行装置2とのデータ通信を制御する。
バーコードスキャナ13は、商品等に付されたバーコードを光学的に読み取ってデコードし、そのバーコードが示す商品コード等のコード情報を生成する。
操作部14は、各種操作キーを備えるキーボードや、ディスプレイ15の表示面上に設けられたタッチパネル等で構成される。
ディスプレイ15は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、POS端末1で処理される情報を選択的に表示する。
レシートプリンタ16は、POS端末1で販売処理された商品の名称や価格、合計代金、預かり金額、釣銭額等をレシート用紙に印刷して発行する。
【0020】
RFIDリーダ17は、本実施形態における無線通信手段として機能するものであり、値引タグ3や商品タグ4と電波を介して無線通信するアンテナと、このアンテナによる通信タイミングを制御する制御ユニットとを有する。上記アンテナは、例えば会計場のレジカウンタに設けられ、その通信範囲は、レジカウンタ上の所定位置に限定されるように調整されている。
【0021】
[タグ発行装置]
図5は、タグ発行装置2の要部構成を示すブロック図である。タグ発行装置2は、CPU20、メモリ21、通信I/F22、プリンタ23、操作部24、ディスプレイ25、およびRFIDリーダライタ26を備えたコンピュータタイプの情報処理装置である。メモリ21、通信I/F22、プリンタ23、操作部24、ディスプレイ25、およびRFIDリーダライタ26は、アドレスバスやデータバス等で構成されるバスライン27を介してCPU20に接続されている。
【0022】
メモリ21は、ROMやRAM等で構成され、CPU20が実行する各種動作の制御プログラムを記憶するとともに、処理場面に応じて各種の作業用メモリエリアを形成する。
通信I/F22は、POS端末1とのデータ通信を制御する。
操作部24は、各種操作キーを備えるキーボードや、ディスプレイ25の表示面上に設けられたタッチパネル等で構成される。
ディスプレイ25は、例えばLCDであり、タグ発行装置2で処理される情報を選択的に表示する。
タグ発行装置2内には、ユーザ領域、EPC領域、リザーブド領域に情報が書き込まれておらず、印刷面に文字等が印刷されていないC1Gen2タイプのRFIDタグが台紙上に複数枚並べて貼付された状態でセットされている。プリンタ23およびRFIDリーダライタ26は、このRFIDタグを値引タグ3として発行する手段として機能する。すなわち、RFIDリーダライタ26は、上記RFIDタグのユーザ領域,EPC領域,リザーブド領域に所定の情報を書き込み、プリンタ23は、RFIDリーダライタ26によって情報が書き込まれた後のRFIDタグの印刷面に値引額を印刷する。このように値引額が印刷された後のRFIDタグが、値引タグ3としてタグ発行装置2の発行口から発行される。
【0023】
[発行処理]
タグ発行装置2による値引タグ3の発行処理について詳細に説明する。賞味期限が近い惣菜のように代金を値引いて販売したい商品がある場合、店員は、タグ発行装置2の操作部24を操作して値引タグ3の発行を指示する。このときタグ発行装置2のCPU20は、メモリ21に記憶された発行処理用の制御プログラムを実行し、図6のフローチャートに沿って動作する。
【0024】
すなわち、先ずCPU20は、当該処理にて発行される値引タグ3が、本日最初に発行される値引タグ3であるか否かを判定する(ステップS101)。この判定は、例えばメモリ21に値引タグ3の発行時にオンされ、1日の業務終了時にオフされるフラグを設け、このフラグを参照することで行われる。
【0025】
本日最初に発行される値引タグ3である場合(ステップS101のYes)、CPU20は、乱数を用いるなどして任意のアクセスパスワードを生成する(ステップS102)。そして、この生成したアクセスパスワードを値引認証コードとしてPOS端末1に登録する(ステップS103)。具体的には、生成したアクセスパスワードとこのパスワードの登録を指示するコマンドとを通信I/F22を介してPOS端末1に送信する。POS端末1は、通信I/F12を介してタグ発行装置2からアクセスパスワードおよび上記コマンドを受信すると、当該受信したパスワードを本日の値引認証コードとしてメモリ11に記憶する。
【0026】
ステップS103の処理の後、あるいはステップS101の処理にて本日最初に発行される値引タグ3ではないと判定されたとき(ステップS101のNo)、CPU20は、値引額の入力を受け付ける(ステップS104)。この処理では、例えば操作部24により値引額の入力を受け付けてもよいし、POS端末1とのデータ通信により値引額の入力を受け付けてもよい。
【0027】
値引額が入力されると、CPU20は、当該入力された値引額を用いてEPCをエンコードする(ステップS105)。その結果、例えば値引額として50円が入力されているならば、「urn:epc:tag:gid-96:0.0.50」なるEPCが生成される。CPU20は、RFIDリーダライタ26を制御して、生成したEPCをタグ発行装置2内にセットされたRFIDタグのEPC領域に書き込み(ステップS106)、ステップS102の処理にて生成したアクセスパスワードを同RFIDタグのリザーブド領域に書き込む(ステップS107)。そして、EPC領域をライトロックし、リザーブド領域をリードライトロックする(ステップS108)。その後、CPU20は、プリンタ23を制御し、同RFIDタグの印刷面に値引額、例えば「50円引き」なる文字を印刷する(ステップS109)。
【0028】
かくしてEPCやアクセスパスワードが書き込まれ、値引額が印刷されたRFIDタグが、値引タグ3としてタグ発行装置2の発行口から発行され、一連の処理が終了する。店員は、タグ発行装置2から発行された値引タグ3を値引きの対象とする商品に貼付する。
なお、本実施形態においては、上記発行処理にて発行された値引タグ3は、その発行日に限り使用可能とする。
【0029】
[会計処理]
次に、POS端末1が実行する会計処理について説明する。客は、購入しようとする商品の代金を精算するにあたり、それら商品を持って会計場に移動し、レジカウンタ上にそれら商品を載置する。
【0030】
一方、店員は、POS端末1の操作部14を操作して会計処理の開始を宣言する。このとき、POS端末1のCPU10は、メモリ11に記憶された会計処理用の制御プログラムを実行し、図7のフローチャートに沿って動作する。
すなわち、先ずCPU20は、RFIDリーダ17を制御し、レジカウンタ上のRFIDタグ、すなわち商品タグ4や値引タグ3のEPC領域に記憶されたEPCおよびTID領域に記憶されたタグIDの読み取りを試行する(ステップS201,S202のNo:第1制御手段)。このとき、RFIDリーダ17がRFIDタグから応答されるEPCおよびタグIDを受信したならば(ステップS202のYes)、CPU10は、受信したタグIDに基づき、当該応答したRFIDタグが今回の会計処理にて読み取り済みであるか否かを判定する(ステップS203)。受信したタグIDと同一のタグIDを今回の会計処理にて既に受信している場合には、当該応答したRFIDタグは読み取り済みであると判定し(ステップS203のYes)、受信したEPCを破棄してステップS201の処理に戻る。
【0031】
一方、受信したタグIDと同一のタグIDを今回の会計処理にて受信していない場合には、当該応答したRFIDタグは読み取り済みでないと判定し(ステップS203のNo)、CPU10は、当該受信したEPCに基づき応答したRFIDタグの種別を判定する(ステップS204)。当該EPCが商品を示す場合、CPU10は、応答したRFIDタグが商品タグ4であると判定し(ステップS204の「商品タグ」)、商品登録処理を実行する(ステップS205)。具体的には、メモリ11に予め記憶された商品マスタを参照して当該EPC中の商品コードで示される商品の商品情報(商品名や価格等)を特定し、メモリ11に形成された当該会計処理用の登録エリアに登録する。なお、商品タグ4が取り付けられていない商品があるならば、その商品の商品情報をバーコードスキャナ13や操作部14により入力してもよい。
【0032】
一方、ステップS204の処理において、EPCが値引きを示す場合、CPU10は、応答したRFIDタグが値引タグ3であると判定し(ステップS204の「値引タグ」)、値引処理を実行する(ステップS206)。値引処理においては、当該値引タグ3が使用可能である場合に限り、値引額等を示す値引情報がメモリ11の上記登録エリアに登録される。値引処理の詳細については、図8の説明にて後述する。
【0033】
商品登録処理あるいは値引処理の後、CPU10は、RFIDタグの読み取り終了が指示されているか否かを判定する(ステップS207)。未だ読み取り終了が指示されていないならば(ステップS207のNo)、CPU10は、ステップS201の処理に戻り、再びRFIDタグの読み取りを試行する。やがてレジカウンタ上に在る全てのRFIDタグの読み取りが完了すると、店員は、操作部14を操作して読み取り終了を指示する。この指示がなされると(ステップS207のYes)、CPU10は、メモリ11の上記登録エリアに登録された商品情報および値引情報に基づいて各商品の合計代金を算出し、ディスプレイ25に表示させる(ステップS208)。さらに、現金、クレジットカード、あるいは電子マネー等による代金の支払を受け付け(ステップS209)、レシートプリンタ16を制御して当該会計のレシートを発行させる(ステップS210)。かくして一連の処理が終了する。
【0034】
[値引処理]
次に、上記値引処理について説明する。値引処理において、POS端末1のCPU10は、図8のフローチャートに沿って動作する。すなわち、先ずCPU10は、メモリ11に本日の値引認証コードが登録されているか否かを判定する(ステップS301)。登録されているならば(ステップS301のYes)、RFIDリーダ17を制御し、直前のステップS201の処理にてEPC等を読み取ったRFIDタグのリザーブド領域の読み取りを試行する(ステップS302)。このとき、アクセスパスワードは指定しない。
【0035】
その後、CPU10は、リザーブド領域の読み取り成否を判定する(ステップS303)。リザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れていない場合(ステップS303のNo)、CPU10は、RFIDリーダ17を制御し、メモリ11に登録された本日の値引認証コードをアクセスパスワードとして指定して、再度同じRFIDタグのリザーブド領域の読み取りを試行する(ステップS304)。ここに、ステップS302〜S304の処理は、本実施形態における第2制御手段を構成する。
【0036】
その後、CPU10は、リザーブド領域の読み取り成否を判定する(ステップS305)。リザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れている場合(ステップS305のYes)、当該RFIDタグは当日発行された値引タグ3であるため、CPU10は、直前のステップS201の処理にて当該値引タグ3から読み取ったEPCで示される値引額等の値引情報をメモリ11に形成された当該会計処理用の登録エリアに登録し(ステップS306:処理手段)、一連の処理を終了する。上記ステップS208の処理では、このようにしてメモリ11の上記登録エリアに登録された値引情報で示される値引額が、各商品情報で示される価格の合計から減算され、合計代金が算出される。
【0037】
ここで、ステップS301の処理においてメモリ11に本日の値引認証コードが登録されていない場合(ステップS301のYes)、少なくとも当該RFIDタグは本日発行された値引タグ3でないことになる。この場合、上記した値引タグ3使用の条件により、当該RFIDタグを値引きに使用することができない。したがって、CPU10は、ディスプレイ15に警告メッセージを表示するなどして当該RFIDタグは値引きに使用できない旨を報知する(ステップS307:報知手段)。その後、メモリ11の上記登録エリアに値引情報を登録することなく値引処理を終了し、ステップS207の処理に進む。
【0038】
また、ステップS302の処理においてリザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れた場合(ステップS303のYes)、当該RFIDタグのリザーブド領域がリードロックされていないことになる。すなわち、当該RFIDタグは、タグ発行装置2の発行処理にて発行された値引タグ3ではなく、偽造されたタグである蓋然性がある。したがって、CPU10は、ディスプレイ15に警告メッセージを表示するなどして当該RFIDタグは値引きに使用できない旨を報知する(ステップS307:報知手段)。その後、メモリ11の上記登録エリアに値引情報を登録することなく値引処理を終了し、ステップS207の処理に進む。
【0039】
また、ステップS304の処理においてリザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れない場合(ステップS305のNo)、当該リザーブド領域に記憶されたアクセスパスワードと本日の値引認証コードとが一致しないことになる。すなわち、当該RFIDタグは値引タグ3であっても本日発行されたものでないか、あるいは偽造タグである蓋然性がある。したがって、CPU10は、ディスプレイ15に警告メッセージを表示するなどして当該RFIDタグは値引きに使用できない旨を報知する(ステップS307:報知手段)。その後、メモリ11の上記登録エリアに値引情報を登録することなく値引処理を終了し、ステップS207の処理に進む。
【0040】
以上説明したように、本実施形態においては、RFIDタグによる値引きを行うにあたり、先ずアクセスパスワードを指定せずにRFIDタグのリザーブド領域の読み取りを試行し、アクセスパスワードが読み取れないならば値引認証コードをアクセスパスワードとして指定して同RFIDタグのリザーブド領域の読み取りを試行し、これによりリザーブド領域を読み取ることができたならば同RFIDタグが使用可能な値引タグ3であるとして、そのEPC領域から読み取ったEPCを用いて代金の値引を行う。このようにしたことにより、値引きを示すEPCを所定のRFIDタグのEPC領域に書き込んで値引タグ3が偽造された場合であっても、その偽造されたRFIDタグの使用を確実に未然防止できる。
【0041】
また、値引タグ3としては一般的なC1Gen2タイプのRFIDタグを用いることができるので、上記POSシステムの導入が容易となる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、値引タグ3に加えて代金を割り引く割引タグ5を導入し、しかも値引タグ3および割引タグ5による値割引きの対象を特定の商品に限定する点で、第1の実施形態と異なる。第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0043】
図9は、割引タグ5の一例を示す模式図である。この割引タグ5は、図2に示した値引タグ3と同じく紙材や樹脂材料等で形成されたタグ基材30にIC31と、アンテナ32とで構成されるRFIDインレットを埋め込んで構成される。タグ基材30の表面は印刷面になっており、図示したように「50%引き」等の文字が印刷される。この割引タグ5もタグ発行装置2から発行されるC1Gen2タイプのRFIDタグであり、IC31は図3に示す4つのバンクからなるメモリを有している。EPC領域にはEPCとして「urn:epc:tag:gid-96:0.X.Y」が記憶され、割引を対象とするため「X」が「1」となり、「Y」が割引率となる。
【0044】
本実施形態において、POS端末1のメモリ11には、図10に示すタグ認証テーブル110が記憶されている。タグ認証テーブル110には、タグ発行装置2により発行された値引タグ3および割引タグ5のEPC領域に書き込まれたEPCと、リザーブド領域に書き込まれたアクセスパスワードとを対応つけたレコードで構成されている。本実施形態においては、発行処理にて発行された値引タグ3および割引タグ5は、タグ認証テーブル110に情報が登録されている場合に限り使用可能とする。
【0045】
[発行処理]
本実施形態における発行処理において、タグ発行装置2のCPU20は、メモリ21に記憶された発行処理用の制御プログラムを実行し、図11のフローチャートに沿って動作する。
【0046】
すなわち、先ずCPU20は、割引きの対象とする商品の識別情報である商品コードの入力を受け付ける(ステップS401)。商品コードは、POS端末1のバーコードスキャナ13により商品に付されたバーコードを読み取ることで入力されてもよいし、POS端末1の操作部14の操作あるいはタグ発行装置2の操作部24の操作によって入力されてもよい。
【0047】
商品コードが入力されると、CPU20は、値引き/割引きの種別の指定を受け付ける(ステップS402)。店員が操作部24を操作して値引き/割引きの種別を指定すると、CPU20は、値引きが指定されているならば値引額の入力を受け付け、割引きが指定されているならば割引率の入力を受け付ける(ステップS403)。店員が操作部24を操作して値引額または割引率を入力すると、CPU20は、指定された値引き/割引きの種別と、入力された値引額または割引率とを用いてEPCをエンコードする(ステップS404)。その結果、例えば値引きが指定され、値引額として50円が入力されているならば、「urn:epc:tag:gid-96:0.0.50」なるEPCが生成され、割引が指定され、割引率として50%が入力されているならば、「urn:epc:tag:gid-96:0.1.50」なるEPCが生成される。
【0048】
EPCをエンコードした後、CPU20は、乱数を用いるなどして任意のアクセスパスワードを生成する(ステップS405)。その後、CPU20は、RFIDリーダライタ26を制御して、生成したEPCをタグ発行装置2内にセットされたRFIDタグのEPC領域に書き込み(ステップS406)、ステップS405の処理にて生成したアクセスパスワードを同RFIDタグのリザーブド領域に書き込み(ステップS407)、ステップS401の処理にて入力された商品コードを同RFIDタグのユーザ領域に書き込む(ステップS408)。さらに、EPC領域をライトロックし、リザーブド領域およびユーザ領域をリードライトロックする(ステップS409)。その後、CPU20は、プリンタ23を制御し、同RFIDタグの印刷面に値割引きの内容を示す情報、例えば「50円引き」や「50%引き」なる文字を印刷する(ステップS411)。
【0049】
かくしてEPCやアクセスパスワードが書き込まれ、値割引きの内容を示す情報が印刷されたRFIDタグが、値引タグ3あるいは割引タグ5としてタグ発行装置2の発行口から発行され、一連の処理が終了する。
【0050】
[会計処理]
次に、本実施形態における会計処理について説明する。POS端末1のCPU10は、メモリ11に記憶された会計処理用の制御プログラムを実行し、図12のフローチャートに沿って動作する。
すなわち、先ずCPU20は、RFIDリーダ17を制御し、レジカウンタ上のRFIDタグ、すなわち商品タグ4,値引タグ3および割引タグ5のEPC領域に記憶されたEPCおよびTID領域に記憶されたタグIDの読み取りを試行する(ステップS501,S502のNo:第1制御手段)。このとき、RFIDリーダ17がRFIDタグから応答されるEPCおよびタグIDを受信したならば(ステップS502のYes)、CPU10は、受信したタグIDに基づき、当該応答したRFIDタグが今回の会計処理にて読み取り済みであるか否かを判定する(ステップS503)。受信したタグIDと同一のタグIDを今回の会計処理にて既に受信している場合には、当該応答したRFIDタグは読み取り済みであると判定し(ステップS503のYes)、受信したEPCを破棄してステップS501の処理に戻る。
【0051】
一方、受信したタグIDと同一のタグIDを今回の会計処理にて受信していない場合には、当該応答したRFIDタグは読み取り済みでないと判定し(ステップS503のNo)、CPU10は、当該受信したEPCに基づき応答したRFIDタグの種別を判定する(ステップS504)。当該EPCが商品を示す場合、CPU10は、応答したRFIDタグが商品タグ4であると判定し(ステップS504の「商品タグ」)、商品登録処理を実行する(ステップS505)。具体的には、メモリ11に予め記憶された商品マスタを参照して当該EPC中の商品コードで示される商品の商品情報(商品名や価格等)を特定し、メモリ11に形成された当該会計処理用の登録エリアに登録する。なお、商品タグ4が取り付けられていない商品があるならば、その商品の商品情報をバーコードスキャナ13や操作部14により入力してもよい。
【0052】
一方、ステップS504の処理において、EPCが値引きまたは割引きを示す場合、CPU10は、応答したRFIDタグが値引タグ3または割引タグ5であると判定し(ステップS504の「値引タグ,割引タグ」)、値割引処理を実行する(ステップS506)。値割引処理においては、当該値引タグ3または割引タグ5が使用可能である場合に限り、値引額、割引率、対象商品等を示す値割引情報がメモリ11の上記登録エリアに記憶される。値割引処理の詳細については、図13の説明にて後述する。
【0053】
商品登録処理あるいは値割引処理の後、CPU10は、RFIDタグの読み取り終了が指示されているか否かを判定する(ステップS507)。未だ読み取り終了が指示されていないならば(ステップS507のNo)、CPU10は、ステップS501の処理に戻り、再びRFIDタグの読み取りを試行する。やがてレジカウンタ上に在る全てのRFIDタグの読み取りが完了すると、店員は、操作部14を操作して読み取り終了を指示する。この指示がなされると(ステップS507のYes)、CPU10は、メモリ11の上記登録エリアに値割引情報が登録されているか否かを判定する(ステップS508)。値割引情報が1つでも登録されているならば(ステップS508のYes)、CPU10は、各値割引情報で示される値割引きの対象商品の商品情報が上記登録エリアに記憶されているか否かを判定する(ステップS509)。対象商品の商品情報が記憶されていない値割引情報があるならば(ステップS509のNo)、上記登録エリアからその値割引情報を削除する(ステップS510)。
【0054】
上記登録エリアに値割引情報が1つでも記憶されていない場合(ステップS509のYes)、あるいはステップS510の処理の後、CPU10は、上記登録エリアに記憶された商品情報および値割引情報に基づいて各商品の合計代金を算出し、ディスプレイ25に表示させる(ステップS511)。さらに、現金、クレジットカード、あるいは電子マネー等による代金の支払を受け付け(ステップS512)、レシートプリンタ16を制御して当該会計のレシートを発行させる(ステップS513)。かくして一連の処理が終了する。
【0055】
[値割引処理]
次に、上記値割引処理について説明する。値割引処理において、POS端末1のCPU10は、図13のフローチャートに沿って動作する。すなわち、先ずCPU10は、直前のステップS501の処理にて読み取ったEPCがタグ認証テーブル110に登録されているか否かを判定する(ステップS601)。登録されているならば(ステップS601のYes)、CPU10は、RFIDリーダ17を制御し、直前のステップS501の処理にてEPC等を読み取ったRFIDタグのリザーブド領域の読み取りを試行する(ステップS602)。このとき、アクセスパスワードは指定しない。
【0056】
その後、CPU10は、リザーブド領域の読み取り成否を判定する(ステップS603)。リザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れていない場合(ステップS603のNo)、CPU10は、RFIDリーダ17を制御し、直前のステップS501の処理にて読み取ったEPCに対応付けてタグ認証テーブル110に登録されたアクセスパスワードを指定して、再度同じRFIDタグのリザーブド領域の読み取りを試行する(ステップS604)。ここに、ステップS602〜S604の処理は、本実施形態における第2制御手段を構成する。
【0057】
その後、CPU10は、リザーブド領域の読み取り成否を判定する(ステップS605)。リザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れている場合(ステップS605のYes)、CPU10は、RFIDリーダ17を制御し、直前のステップS501の処理にてEPC等を読み取ったRFIDタグのユーザ領域の読み取りを試行する(ステップS606)。このとき、アクセスパスワードは指定しない。
【0058】
その後、CPU10は、ユーザ領域の読み取り成否を判定する(ステップS607)。ユーザ領域から商品コードが読み取れていない場合(ステップS607のNo)、CPU10は、RFIDリーダ17を制御し、直前のステップS501の処理にて読み取ったEPCに対応付けてタグ認証テーブル110に登録されたアクセスパスワードを指定して、再度同じRFIDタグのユーザ領域の読み取りを試行する(ステップS608)。ここに、ステップS606〜S608の処理は、本実施形態における第3制御手段を構成する。
【0059】
その後、CPU10は、ユーザ領域の読み取り成否を判定する(ステップS609)。ユーザ領域から商品コードが読み取れた場合(ステップS609のYes)、当該RFIDタグはタグ発行装置2から発行された正規の値引タグ3または割引タグ5であるため、CPU10は、直前のステップS501の処理にて当該RFIDタグから読み取ったEPCで示される値引額または割引率、およびユーザ領域から読み取った商品コードを示す値引情報をメモリ11に形成された上記登録エリアに登録し(ステップS610:処理手段)、一連の処理を終了する。このようにしてメモリ11の上記登録エリアに記憶された値割引情報が値引きに係るものである場合、上記ステップS511の処理においては当該値割引情報で示される値引額が対象商品の代金から値引かれる。また、上記登録エリアに記憶された値割引情報が割引きに係るものである場合、上記ステップS511の処理においては当該値割引情報で示される割引率に応じて対象商品の代金が割引かれる。
【0060】
ここで、ステップS601の処理においてタグ認証テーブル110に直前のステップS501の処理にて読み取ったEPCが登録されていない場合(ステップS601のNo)、ステップS602の処理においてパスワードを指定せずにリザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れた場合(ステップS603のYes)、ステップS604の処理においてアクセスパスワードを指定したにも関わらずリザーブド領域からアクセスパスワードが読み取れない場合には(ステップS605のNo)、当該RFIDタグはタグ発行装置2から発行された値引タグ3でも割引タグ5でもないことになる。すなわち、当該タグは、偽造されたタグである蓋然性がある。したがって、CPU10は、ディスプレイ15に警告メッセージを表示するなどして当該RFIDタグは値割引きに使用できない旨を報知する(ステップS611:報知手段)。その後、メモリ11の上記登録エリアに値割引情報を記憶することなく値割引処理を終了し、ステップS507の処理に進む。
【0061】
同様に、ステップS606の処理においてパスワードを指定せずにユーザ領域から商品コードが読み取れた場合(ステップS607のYes)、ステップS608の処理においてアクセスパスワードを指定したにも関わらずユーザ領域から商品コードが読み取れない場合には(ステップS609のNo)、当該RFIDタグはタグ発行装置2から発行された値引タグ3でも割引タグ5でもないことになる。したがって、CPU10は、ディスプレイ15に警告メッセージを表示するなどして当該RFIDタグは値割引きに使用できない旨を報知する(ステップS611:報知手段)。その後、メモリ11の上記登録エリアに値割引情報を記憶することなく値割引処理を終了し、ステップS507の処理に進む。
【0062】
以上説明したように、本実施形態においては、値引タグ3および割引タグ5による値割引きの対象を、ユーザ領域に記憶された特定の商品に限定する。このような構成であれば、特定の商品に貼付された値引タグ3または割引タグ5を剥がして値割引きの対象でない商品に貼付し、会計を受けるなどの不正が防止される。
【0063】
また、リザーブド領域だけでなくユーザ領域に対しても、先ずアクセスパスワードを指定せずに読み取りを試行し、読み取れないならばアクセスパスワードを指定して読み取りを試行する。そして、パスワードを指定しなくてもデータが読み取れた場合や、パスワードを指定してもデータを読み取れない場合には、使用不可を報知して値割引きを行わない。このようにしたことにより、偽造タグの使用をより確実に防止することができる。
なお、第1の実施形態と同様の効果を奏することは勿論である。
【0064】
(変形例)
上記各実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0065】
(1)上記各実施形態では、値引タグ3や割引タグ5を用いて代金を値割引きするPOSシステムを例示した。しかしながら、偽造タグの使用防止に関する構成を他のシステム、例えばRFIDタグをIDカードに埋め込んで個人識別に使用するシステムに適用してもよい。この場合にあっては、IDカードを発行する装置がタグ発行手段となり、個人識別のためにIDカードを読み取る装置が無線通信装置となる。また、処理手段により実行される処理は個人識別に関する処理となる。
【0066】
(2)上記各実施形態では、C1Gen2タイプのRFIDタグを用いてシステムを構築する場合を例示した。しかしながら、C1Gen2以外のタイプのRFIDタグを用いてシステムを構築してもよい。C1Gen2以外のタイプのRFIDタグを用いる場合であっても、そのタグがコード情報を記憶した第1メモリ領域、及び、予め設定されたアクセスパスワードが指定されたときに読み取り可能な第2メモリ領域を有するならば、上記各実施形態と同様の構成を実現可能である。
【0067】
(3)第1の実施形態では、リザーブド領域を第2メモリ領域として用いて値引タグ3が偽造タグであるかどうかを判定する場合を例示した。しかしながら、ユーザ領域に適当なデータを書き込んでおき、リザーブド領域に代えてユーザ領域を第2メモリ領域として用いてもよい。この場合、図8に示した値引処理のステップS302の処理においてはパスワードを指定せずにユーザ領域の読み取りを試行し、ステップS304の処理においては認証コードをパスワードとして指定してユーザ領域の読み取りを試行する。なお、第1,第2の実施形態双方において、C1Gen2以外のタイプのタグを用いてシステムを構築する場合にあっては、そのタグが有するメモリ領域のうち、リードロック可能な任意の領域を第2メモリ領域として使用すればよい。
【0068】
(4)上記各実施形態では、リザーブド領域に記憶されるアクセスパスワードを用いて偽造タグであるかどうかを判定する場合を例示した。しかしながら、アクセスパスワードに代えて、同じくリザーブド領域に記憶されるキルパスワードを用いて同様の構成を実現してもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…POS端末、2…タグ発行装置、3…値引タグ、4…商品タグ、5…割引タグ、10,20…CPU、11,21…メモリ、17…RFIDリーダ、23…プリンタ、26…RFIDリーダライタ、110…タグ認証テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード情報を記憶した第1メモリ領域、及び、予め設定されたアクセスパスワードが指定されたときに読み取り可能な第2メモリ領域を有する無線タグと無線通信する無線通信手段と、
予め指定されたアクセスパスワードを記憶する記憶手段と、
前記無線通信手段の無線通信により所定の無線タグの第1メモリ領域に記憶されたタグコードを読み取る第1制御手段と、
前記無線通信手段の無線通信により、アクセスパスワードを指定せずに前記所定の無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行し、読み取れないならば前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定して同無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行する第2制御手段と、
この第2制御手段により前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定することで前記所定の無線タグの第2メモリ領域が読み取られたとき、前記第1制御手段により同無線タグから読み取られたコード情報を用いて所定の処理を実行する処理手段と、
を備えていることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第2制御手段により、アクセスパスワードを指定せずに前記所定の無線タグの第2メモリ領域を読み取れたとき、又は、前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定しても同無線タグの第2メモリ領域を読み取れないときに所定の情報を報知する報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記無線タグは、物品の識別情報が記憶される第3メモリ領域をさらに有し、
前記記憶手段は、予め指定されたコード情報及びアクセスパスワードを対応つけて記憶し、
前記無線通信手段の無線通信により前記所定の無線タグの第3メモリ領域に記憶された識別情報を読み取る第3制御手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記第2制御手段により前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定することで前記所定の無線タグの第2メモリ領域が読み取れたとき、前記第1制御手段により読み取られたコード情報を用いて、前記第3制御手段により読み取られた識別情報で示される物品を対象とし所定の処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
コード情報を記憶した第1メモリ領域、及び、予め設定されたアクセスパスワードが指定されたときに読み取り可能な第2メモリ領域を有する無線タグと無線通信する無線通信手段を備えたコンピュータの制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記無線通信手段の無線通信により所定の無線タグの第1メモリ領域に記憶されたタグコードを読み取る第1制御機能と、
前記無線通信手段の無線通信により、アクセスパスワードを指定せずに前記所定の無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行し、読み取れないならば所定の記憶手段に予め記憶されたアクセスパスワードを指定して同無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行する第2制御機能と、
この第2制御機能により前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定することで前記所定の無線タグの第2メモリ領域が読み取られたとき、前記第1制御機能により同無線タグから読み取られたコード情報を用いて所定の処理を実行する処理機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【請求項5】
コード情報が記憶される第1メモリ領域、及び、予め設定されたアクセスパスワードが指定されたときに読み取り可能な第2メモリ領域を有する無線タグを発行するタグ発行手段と、
無線タグと無線通信する無線通信手段と、
前記タグ発行手段により発行された無線タグのアクセスパスワードを記憶する記憶手段と、
前記無線通信手段の無線通信により所定の無線タグの第1メモリ領域に記憶されたコード情報を読み取る第1制御手段と、
前記無線通信手段の無線通信により、アクセスパスワードを指定せずに前記所定の無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行し、読み取れないならば前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定して同無線タグの第2メモリ領域の読み取りを試行する第2制御手段と、
この第2制御手段により前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定することで前記所定の無線タグの第2メモリ領域が読み取られたとき、前記第1制御手段により同無線タグから読み取られたコード情報を用いて所定の処理を実行する処理手段と、
を備えていることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
前記第2制御手段により、アクセスパスワードを指定せずに前記所定の無線タグの第2メモリ領域を読み取れたとき、又は、前記記憶手段に記憶されたアクセスパスワードを指定しても同無線タグの第2メモリ領域を読み取れないときに所定の情報を報知する報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−108603(P2012−108603A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255017(P2010−255017)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】