無線通信装置および応答信号拡散方法
【課題】コード多重される応答信号の分離特性の劣化を最小限に抑えること。
【解決手段】制御部(209)は、応答信号中に残留する干渉成分をZC系列の微少な循環シフト間隔によって吸収するように、拡散部(214)での一次拡散に用いるZC系列および拡散部(217)での二次拡散に用いるウォルシュ系列を制御し、拡散部(214)は、制御部(209)によって設定されたZC系列で応答信号を一次拡散し、拡散部(217)は、制御部(209)によって設定されたウォルシュ系列でCP付加後の応答信号を二次拡散する。
【解決手段】制御部(209)は、応答信号中に残留する干渉成分をZC系列の微少な循環シフト間隔によって吸収するように、拡散部(214)での一次拡散に用いるZC系列および拡散部(217)での二次拡散に用いるウォルシュ系列を制御し、拡散部(214)は、制御部(209)によって設定されたZC系列で応答信号を一次拡散し、拡散部(217)は、制御部(209)によって設定されたウォルシュ系列でCP付加後の応答信号を二次拡散する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および応答信号拡散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、無線通信基地局装置(以下、基地局と省略する)から無線通信移動局装置(以下、移動局と省略する)への下り回線データに対してARQ(Automatic Repeat Request)が適用される。つまり、移動局は下り回線データの誤り検出結果を示す応答信号を基地局へフィードバックする。移動局は下り回線データに対しCRC(Cyclic Redundancy Check)を行って、CRC=OK(誤り無し)であればACK(Acknowledgment)を、CRC=NG(誤り有り)であればNACK(Negative Acknowledgment)を応答信号として基地局へフィードバックする。この応答信号は例えばPUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上り回線制御チャネルを用いて基地局へ送信される。
【0003】
また、基地局は下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報を移動局へ送信する。この制御情報は例えばL1/L2CCH(L1/L2 Control Channel)等の下り回線制御チャネルを用いて移動局へ送信される。各L1/L2CCHは1つまたは複数のCCEを占有する。1つのL1/L2CCHが複数のCCE(Control Channel Element)を占有する場合、1つのL1/L2CCHは連続する複数のCCEを占有する。制御情報を通知するために必要なCCE数に従って、基地局は各移動局に対し複数のL1/L2CCHの中のいずれかのL1/L2CCHを割り当て、各L1/L2CCHが占有するCCE(Control Channel Element)に対応する物理リソースに制御情報をマッピングして送信する。
【0004】
また、下り回線の通信リソースを効率よく使用するために、CCEとPUCCHとを対応付けることが検討されている。各移動局は、この対応付けに従って、自局への制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEから、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定することができる。
【0005】
また、図1に示すように、複数の移動局からの複数の応答信号をZC(Zadoff-Chu)系列およびウォルシュ(Walsh)系列を用いて拡散することによりコード多重することが検討されている(非特許文献1参照)。図1において(W0,W1,W2,W3)は系列長4のウォルシュ系列を表わす。図1に示すように、移動局では、ACKまたはNACKの応答信号が、まず周波数軸上でZC系列(系列長12)によって1シンボル内に1次拡散される。次いで1次拡散後の応答信号がW0〜W3にそれぞれ対応させてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)される。周波数軸上で系列長12のZC系列によって拡散された応答信号は、このIFFTにより時間軸上の系列長12のZC系列に変換される。そして、IFFT後の信号がさらにウォルシュ系列(系列長4)を用いて2次拡散される。つまり、1つの応答信号は4つのシンボルS0〜S3にそれぞれ配置される。他の移動局でも同様に、ZC系列およびウォルシュ系列を用いて応答信号が拡散される。但し、異なる移動局間では、時間軸上での循環シフト(Cyclic Shift)量が互いに異なるZC系列、または、互いに異なるウォルシュ系列が用いられる。ここではZC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZC系列から生成される循環シフト量0〜11の12個のZC系列を用いることができる。また、ウォルシュ系列の系列長が4であるため、互いに異なる4つのウォルシュ系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大48(12×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【0006】
ここで、同一ZC系列から生成される循環シフト量が互いに異なるZC系列間での相互相関は0となる。よって、理想的な通信環境では、図2に示すように、循環シフト量が互いに異なるZC系列(循環シフト量0〜11)でそれぞれ拡散されコード多重された複数の応答信号は基地局での相関処理により時間軸上で符号間干渉なく分離することができる。
【0007】
しかしながら、移動局での送信タイミングずれ、マルチパスによる遅延波、周波数オフセット等の影響により、複数の移動局からの複数の応答信号は基地局に同時に到達するとは限らない。例えば、図3に示すように、循環シフト量0のZC系列で拡散された応答信号の送信タイミングが正しい送信タイミングより遅れた場合は、循環シフト量0のZC系列の相関ピークが循環シフト量1のZC系列の検出窓に現れてしまう。また、図4に示すように、循環シフト量0のZC系列で拡散された応答信号に遅延波がある場合には、その遅延波による干渉漏れが循環シフト量1のZC系列の検出窓に現れてしまう。つまり、これらの場合には、循環シフト量1のZC系列が循環シフト量0のZC系列からの干渉を受ける。よって、これらの場合には、循環シフト量0のZC系列で拡散された応答信号と循環シフト量1のZC系列で拡散された応答信号との分離特性が劣化する。つまり、互いに隣接する循環シフト量のZC系列を用いると、応答信号の分離特性が劣化する可能性がある。
【0008】
そこで、従来は、ZC系列の拡散により複数の応答信号をコード多重する場合には、ZC系列間での符号間干渉が発生しない程度の十分な循環シフト量の差(循環シフト間隔)をZC系列間に設けている。例えば、ZC系列間の循環シフト量の差を4として、循環シフト量0〜11の12個のZC系列のうち、循環シフト量0,4,8の3つのZC系列のみを応答信号の1次拡散に用いる。よって、系列長が4のウォルシュ系列を応答信号の2次拡散に用いる場合には、最大12(3×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Multiplexing capability of CQIs and ACK/NACKs form different UEs(ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072315.zip)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、2次拡散に系列長4のウォルシュ系列(W0,W1,W2,W3)を用いると、1つの応答信号は4つのシンボル(S0〜S3)にそれぞれ配置される。よって、移動局からの応答信号を受信する基地局では、応答信号を4シンボル時間に渡って逆拡散する必要がある。一方、移動局が高速で移動する場合には、上記4シンボル時間の間に移動局−基地局間の伝搬路状態が変化してしまう可能性が高い。よって、高速移動する移動局が存在する場合には、2次拡散に用いられるウォルシュ系列間での直交性が崩れてしまうことがある。つまり、高速移動する移動局が存在する場合には、ZC系列間での符号間干渉よりもウォルシュ系列間での符号間干渉が発生しやすく、その結果、応答信号の分離特性が劣化してしまう。
【0011】
なお、複数の移動局のうち一部の移動局が高速移動し、その他の移動局が静止状態にある場合は、高速移動する移動局とウォルシュ軸上で多重されている静止状態の移動局も符号間干渉の影響を受ける。
【0012】
本発明の目的は、コード多重される応答信号の分離特性の劣化を最小限に抑えることができる無線通信装置および応答信号拡散方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様の一つに係る無線通信装置は、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な複数の第1系列のいずれかを用いて応答信号を1次拡散する第1拡散手段と、1次拡散後の前記応答信号を複数の第2系列のいずれかを用いて2次拡散する第2拡散手段と、を具備し、互いに隣接する異なる第2系列とそれぞれ組み合わされる第1系列間の循環シフト量の差が、同一の第2系列と組み合わされる第1系列間の循環シフト量の差より小さい構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コード多重される応答信号の分離特性の劣化を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】応答信号の拡散方法を示す図(従来)
【図2】ZC系列で拡散された応答信号の相関処理を示す図(理想的な通信環境の場合)
【図3】ZC系列で拡散された応答信号の相関処理を示す図(送信タイミングのずれがある場合)
【図4】ZC系列で拡散された応答信号の相関処理を示す図(遅延波がある場合)
【図5】本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態1に係る移動局の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態1に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その1)
【図8】本発明の実施の形態1に係る第1系列と第2系列とPUCCHとの対応を示す図
【図9】本発明の実施の形態1に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その2)
【図10】本発明の実施の形態1に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その3)
【図11】本発明の実施の形態2に係るウォルシュ系列
【図12】本発明の実施の形態2に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図
【図13】本発明の実施の形態3に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その1)
【図14】本発明の実施の形態3に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その2)
【図15】参照信号の拡散方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る基地局100の構成を図5に示し、本実施の形態に係る移動局200の構成を図6に示す。
【0018】
なお、説明が煩雑になることを避けるために、図5では、本発明と密接に関連する下り回線データの送信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での受信に係わる構成部を示し、上り回線データの受信に係わる構成部の図示および説明を省略する。同様に、図6では、本発明と密接に関連する下り回線データの受信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での送信に係わる構成部を示し、上り回線データの送信に係わる構成部の図示および説明を省略する。
【0019】
また、以下の説明では、1次拡散にZC系列を用い、2次拡散にウォルシュ系列を用いる場合について説明する。しかし、1次拡散には、ZC系列以外の、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な系列を用いてもよい。同様に、2次拡散にはウォルシュ系列以外の直交系列を用いてもよい。
【0020】
また、以下の説明では、系列長12のZC系列および系列長4のウォルシュ系列(W0,W1,W2,W3)を用いる場合について説明する。しかし、本発明はこれらの系列長には限定されない。
【0021】
また、以下の説明では、循環シフト量0〜11の12個のZCをそれぞれZC#0〜ZC#11と表記し、系列番号0〜3の4つのウォルシュ系列をそれぞれW#0〜W#3と表記する。
【0022】
また、以下の説明では、L1/L2CCH#1がCCE#1、L1/L2CCH#2がCCE#2、L1/L2CCH#3がCCE#3、L1/L2CCH#4がCCE#4およびCCE#5、L1/L2CCH#5がCCE#6およびCCE#7、L1/L2CCH#6がCCE#8〜CCE#11…をそれぞれ占有するものとする。
【0023】
また、以下の説明では、CCE番号と、ZC系列の循環シフト量およびウォルシュ系列番号によって定義されるPUCCH番号とが1対1で対応付けられているものとする。つまり、CCE#1とPUCCH#1、CCE#2とPUCCH#2、CCE#3とPUCCH#3…がそれぞれ対応するものとする。
【0024】
図5に示す基地局100において、下り回線データのリソース割当結果が制御情報生成部101およびマッピング部104に入力される。
【0025】
制御情報生成部101は、リソース割当結果を通知するための制御情報を移動局毎に生成し符号化部102に出力する。移動局毎の制御情報には、どの移動局宛ての制御情報であるかを示す移動局ID情報が含まれる。例えば、制御情報の通知先の移動局のID番号でマスキングされたCRCが移動局ID情報として制御情報に含まれる。移動局毎の制御情報は符号化部102で符号化され、変調部103で変調されてマッピング部104に入力される。また、制御情報生成部101は、制御情報を通知するために必要なCCE数に従って、各移動局に対し複数のL1/L2CCHの中のいずれかのL1/L2CCHを割り当て、割り当てたL1/L2CCHに対応するCCE番号をマッピング部104に出力する。例えば、移動局#1への制御情報の通知に必要なCCE数が1であるため移動局#1にL1/L2CCH#1が割り当てられた場合には、制御情報生成部101は、CCE番号#1をマッピング部104に出力する。また、移動局#1への制御情報の通知に必要なCCE数が4であるため移動局#1にL1/L2CCH#6が割り当てられた場合には、制御情報生成部101は、CCE番号#8〜#11をマッピング部104に出力する。
【0026】
一方、符号化部105は、各移動局への送信データ(下り回線データ)を符号化して再送制御部106に出力する。
【0027】
再送制御部106は、初回送信時には、符号化後の送信データを移動局毎に保持するとともに変調部107に出力する。再送制御部106は、各移動局からのACKが判定部116から入力されるまで送信データを保持する。また、再送制御部106は、各移動局からのNACKが判定部116から入力された場合、すなわち、再送時には、そのNACKに対応する送信データを変調部107に出力する。
【0028】
変調部107は、再送制御部106から入力される符号化後の送信データを変調してマッピング部104に出力する。
【0029】
マッピング部104は、制御情報の送信時には、変調部103から入力される制御情報を制御情報生成部101から入力されるCCE番号に従って物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の制御情報を、OFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアにおいてCCE番号に対応するサブキャリアにマッピングする。
【0030】
一方、下り回線データの送信時には、マッピング部104は、リソース割当結果に従って各移動局への送信データを物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の送信データを、リソース割当結果に従ってOFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアのいずれかにマッピングする。
【0031】
IFFT部108は、制御情報または送信データがマッピングされた複数のサブキャリアに対してIFFTを行ってOFDMシンボルを生成し、CP(Cyclic Prefix)付加部109に出力する。
【0032】
CP付加部109は、OFDMシンボルの後尾部分と同じ信号をCPとしてOFDMシンボルの先頭に付加する。
【0033】
無線送信部110は、CP付加後のOFDMシンボルに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ111から移動局200(図6)へ送信する。
【0034】
一方、無線受信部112は、移動局200から送信された応答信号をアンテナ111を介して受信し、応答信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0035】
CP除去部113は、受信処理後の応答信号に付加されているCPを除去する。
【0036】
逆拡散部114は、移動局200において2次拡散に用いられたウォルシュ系列で応答信号を逆拡散し、逆拡散後の応答信号を相関処理部115に出力する。
【0037】
相関処理部115は、逆拡散部114から入力される応答信号、すなわち、ZC系列で拡散されている応答信号と、移動局200において1次拡散に用いられたZC系列との相関値を求め判定部116に出力する。
【0038】
判定部116は、時間軸上に移動局毎に設定された検出窓を用いて移動局毎に相関ピークを検出することにより、移動局毎の応答信号を検出する。例えば、判定部116は、移動局#1用の検出窓#1に相関ピークが検出された場合には、移動局#1からの応答信号を検出する。そして、判定部116は、検出された応答信号がACKまたはNACKのいずれであるかを判定し、移動局毎のACKまたはNACKを再送制御部106に出力する。
【0039】
一方、図6に示す移動局200において、無線受信部202は、基地局100から送信されたOFDMシンボルをアンテナ201を介して受信し、OFDMシンボルに対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0040】
CP除去部203は、受信処理後のOFDMシンボルに付加されているCPを除去する。
【0041】
FFT(Fast Fourier Transform)部204は、OFDMシンボルに対してFFTを行って複数のサブキャリアにマッピングされている制御情報または下り回線データを得て、それらを抽出部205に出力する。
【0042】
抽出部205は、制御情報の受信時には、複数のサブキャリアから制御情報を抽出して復調部206に出力する。この制御情報は、復調部206で復調され、復号部207で復号されて判定部208に入力される。
【0043】
一方、下り回線データの受信時には、抽出部205は、判定部208から入力されるリソース割当結果に従って、複数のサブキャリアから自局宛の下り回線データを抽出して復調部210に出力する。この下り回線データは、復調部210で復調され、復号部211で復号されてCRC部212に入力される。
【0044】
CRC部212は、復号後の下り回線データに対してCRCを用いた誤り検出を行って、CRC=OK(誤り無し)の場合はACKを、CRC=NG(誤り有り)の場合はNACKを応答信号として生成し、生成した応答信号を変調部213に出力する。また、CRC部212は、CRC=OK(誤り無し)の場合、復号後の下り回線データを受信データとして出力する。
【0045】
判定部208は、復号部207から入力された制御情報が自局宛の制御情報であるか否かをブラインド判定する。例えば、判定部208は、自局のID番号でデマスキングすることによりCRC=OK(誤り無し)となった制御情報を自局宛の制御情報であると判定する。そして、判定部208は、自局宛の制御情報、すなわち、自局に対する下り回線データのリソース割当結果を抽出部205に出力する。また、判定部208は、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCE番号から、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定し、判定結果(PUCCH番号)を制御部209に出力する。例えば、上記L1/L2CCH#1が割り当てられた移動局200の判定部208は、CCE#1に対応するサブキャリアに制御情報がマッピングされているため、CCE#1に対応するPUCCH#1を自局用のPUCCHと判定する。また、上記L1/L2CCH#6が割り当てられた移動局200の判定部208は、CCE#8〜CCE#11に対応するサブキャリアに制御情報がマッピングされているため、CCE#8〜CCE#11において最小番号のCCE#8に対応するPUCCH#8を自局用のPUCCHと判定する。
【0046】
制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。すなわち、制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応する循環シフト量のZC系列を拡散部214に設定し、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応するウォルシュ系列を拡散部217に設定する。制御部209での系列制御の詳細については後述する。
【0047】
変調部213は、CRC部212から入力される応答信号を変調して拡散部214に出力する。
【0048】
拡散部214は、図1に示すようにして、制御部209によって設定されたZC系列で応答信号を1次拡散し、1次拡散後の応答信号をIFFT部215に出力する。
【0049】
IFFT部215は、図1に示すようにして、1次拡散後の応答信号に対してIFFTを行い、IFFT後の応答信号をCP付加部216に出力する。
【0050】
CP付加部216は、IFFT後の応答信号の後尾部分と同じ信号をCPとしてその応答信号の先頭に付加する。
【0051】
拡散部217は、図1に示すようにして、制御部209によって設定されたウォルシュ系列でCP付加後の応答信号を2次拡散し、2次拡散後の応答信号を無線送信部218に出力する。
【0052】
無線送信部218は、2次拡散後の応答信号に対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ201から基地局100(図5)へ送信する。
【0053】
このように本実施の形態では、ZC系列を用いた1次拡散およびウォルシュ系列を用いた2次拡散により、応答信号を2次元拡散する。つまり、本実施の形態では、循環シフト軸上およびウォルシュ軸上の双方で応答信号を拡散する。
【0054】
次いで、制御部209(図6)での系列制御の詳細について説明する。
【0055】
応答信号の1次拡散にZC系列を用いる場合には、上記のように、ZC系列間での符号間干渉が発生しない程度の十分な循環シフト量の差、例えば、循環シフト量の差=4をZC系列間に設けている。よって、互いに異なる循環シフト量のZC系列を用いて1次拡散された互いに異なる応答信号間での直交性は崩れにくい。一方で、上記のように、高速移動する移動局が存在する場合には、2次拡散に用いられるウォルシュ系列間での直交性は崩れやすい。
【0056】
そこで、本実施の形態では、逆拡散部114(図5)での逆拡散後にも応答信号中に残留する干渉成分をZC系列の微少な循環シフト量の差によって吸収すべく、図7に示す対応付けに従って、ZC系列およびウォルシュ系列を制御する。つまり、制御部209は、図7に示す対応付けに従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。
【0057】
図7においては、PUCCH#1にZC#0およびW#0、PUCCH#2にZC#4およびW#0、PUCCH#3にZC#8およびW#0、PUCCH#4にZC#1およびW#1、PUCCH#5にZC#5およびW#1、PUCCH#6にZC#9およびW#1、PUCCH#7にZC#2およびW#2、PUCCH#8にZC#6およびW#2、PUCCH#9にZC#10およびW#2、PUCCH#10にZC#3およびW#3、PUCCH#11にZC#7およびW#3、PUCCH#12にZC#11およびW#3がそれぞれ対応付けられている。
【0058】
よって、制御部209は、例えば判定部208からPUCCH番号#1が入力された場合には、拡散部214にZC#0を設定するとともに、拡散部217にW#0を設定する。また、制御部209は、例えば判定部208からPUCCH番号#2が入力された場合には、拡散部214にZC#4を設定するとともに、拡散部217にW#0を設定する。また、制御部209は、例えば判定部208からPUCCH番号#4が入力された場合には、拡散部214にZC#1を設定するとともに、拡散部217にW#1を設定する。
【0059】
ここで、図7において、2次拡散にW#1が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#1,ZC#5,ZC#9は、2次拡散にW#0が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#0,ZC#4,ZC#8をそれぞれ1だけ循環シフトさせたものになっている。また、2次拡散にW#2が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#2,ZC#6,ZC#10は、2次拡散にW#1が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#1,ZC#5,ZC#9をそれぞれ1だけ循環シフトさせたものになっている。また、2次拡散にW#3が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#3,ZC#7,ZC#11は、2次拡散にW#2が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#2,ZC#6,ZC#10をそれぞれ1だけ循環シフトさせたものになっている。
【0060】
また、図7においては、互いに隣接する異なるウォルシュ系列とそれぞれ組み合わされたZC系列間の循環シフト量の差が、同一ウォルシュ系列と組み合わされたZC系列間の循環シフト量の差よりも小さい。例えば、W#0と組み合わされたZC#0とW#1と組み合わされたZC#1との循環シフト量の差が1であるのに対し、双方ともW#0と組み合わされたZC#0とZC#4との循環シフト量の差が4である。
【0061】
このように、図7では、ウォルシュ系列番号が1つ増加する毎に、ZC系列を1だけ循環シフトさせる。つまり、本実施の形態では、互いに隣接するウォルシュ系列間でのZC系列間の最小の循環シフト量の差は1になる。換言すれば、図7においては、互いに隣接するウォルシュ系列は互いに異なる循環シフト量のZC系列と組み合わされて応答信号の2次元拡散に使用される。よって、ウォルシュ系列間での直交性が崩れてしまうことによりウォルシュ系列間で符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をZC系列での拡散により抑えることができる。例えば、図7において、PUCCH#4を用いて送信される応答信号はZC#1およびW#1を用いて2次元拡散され、PUCCH#7を用いて送信される応答信号はZC#2およびW#2を用いて2次元拡散される。よって、W#1とW#2との間の直交性が崩れてW#1とW#2との間に符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をZC#1とZC#2との間の微少な循環シフト量の差によって抑えることができる。
【0062】
一方で、図7では、ZC#1とZC#2のように、互いに隣接する循環シフト量のZC系列、すなわち、循環シフト量の差が1であるZC系列が使用される。このため、ZC系列間での直交性が崩れてしまいZC系列間で符号間干渉が発生することがある。しかし、図7においては、循環シフト量の差が1であるZCの各々は、互いに異なるウォルシュ系列と組み合わされてと応答信号の2次元拡散に使用される。よって、ZC系列間での直交性が崩れてしまうことによりZC系列間で符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をウォルシュ系列での拡散により抑えることができる。例えば、図7において、PUCCH#4を用いて送信される応答信号はZC#1およびW#1を用いて2次元拡散され、PUCCH#7を用いて送信される応答信号はZC#2およびW#2を用いて2次元拡散される。よって、ZC#1とZC#2との間に符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をW#1とW#2との系列の相違によって抑えることができる。
【0063】
このように、本実施の形態では、ウォルシュ軸上での直交性の崩れ(つまり、ウォルシュ系列間での符号間干渉)を循環シフト軸上で吸収するとともに、循環シフト軸上での直交性の崩れ(つまり、ZC系列間での符号間干渉)をウォルシュ軸上で吸収する。換言すれば、本実施の形態では、ウォルシュ系列間の直交性の崩れによって生じるウォルシュ系列間での符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償するとともに、ZC系列間の直交性の崩れによって生じるZC系列間での符号間干渉をウォルシュ系列の拡散利得によって補償する。よって、本実施の形態によれば、コード多重される応答信号の分離特性の劣化を最小限に抑えることができる。
【0064】
図8は、図7に示す対応を一般化したものである。つまり、図8は、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な複数の第1系列と、互いに直交する複数の第2系列の双方を用いて信号を拡散する場合を示す。つまり、図8によれば、同一の第2系列と組み合わされた複数の第1系列間の循環シフト量の差をkとした場合に、互いに隣接する複数の第2系列と組み合わされた複数の第1系列間の循環シフト量の差がΔ(Δ<k)となる。すなわち、図8では、第2系列の番号が1つ増加する毎に、第1系列をΔずつシフトさせている。
【0065】
また、本実施の形態では、上記のように、ウォルシュ系列間での符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償するとともに、ZC系列間での符号間干渉をウォルシュ系列の拡散利得によって補償することができる。よって、同一ウォルシュ系列と組み合わされるZC系列間の循環シフト量の差を図7での「4」よりも小さくすることができる。この差を「2」とした場合を図9に示す。図7ではPUCCH#1〜PUCCH#12の12個のPUCCHが使用可能であったのに対し、図9ではPUCCH#1〜PUCCH#24の24個のPUCCHが使用可能となる。換言すれば、図7では48のコードリソースのうち12のコードリソースを使用していたのに対し、図9では48のコードリソースのうち24のコードリソースを使用する。つまり、本実施の形態によれば、限られたコードリソースの利用効率を高めてコードリソースの利用効率を最大化することができる。
【0066】
なお、図10に示す対応付けを用いても、図9に示す対応付けを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(実施の形態2)
図11に示すように、W#0が(1,1,1,1)、W#1が(1,−1,1,−1)である場合、W#0とW#1とは前半の2チップ同士で直交するとともに、後半の2チップ同士で直交する。同様に、W#2が(1,1,−1,−1)、W#3が(1,−1,−1,1)である場合、W#2とW#3とは前半の2チップ同士で直交するとともに、後半の2チップ同士で直交する。よって、2シンボル時間の間の伝搬路状態の変化が十分小さければ、W#0とW#1との間の符号間干渉、および、W#2とW#3との間の符号間干渉は発生しない。よって、W#0および#W1を用いた2次拡散によりコード多重された複数の応答信号を前半の2チップと後半の2チップとに分けて分離することができる。同様に、W#2および#W3を用いた2次拡散によりコード多重された複数の応答信号を前半の2チップと後半の2チップとに分けて分離することができる。
【0068】
そこで、本実施の形態では、制御部209は、図12に示す対応付けに従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。図12では、W#0に組み合わされるZC系列の循環シフト量とW#1に組み合わされるZC系列の循環シフト量とが0,2,4,6,10で同一であり、W#2に組み合わされるZC系列の循環シフト量とW#3に組み合わされるZC系列の循環シフト量とが1,3,5,7,9,11で同一である。
【0069】
ここで、例えば、W#0,W#1,W#2が2次拡散に同時に使用された場合にW#0で2次拡散された応答信号を分離するためには、図1におけるS0,S1,S2,S3の和を求める。これにより、受信信号からW#1,W#2でそれぞれ拡散された応答信号成分を除去することができる。しかし、W#1を使用する移動局およびW#2を使用する移動局が高速移動する場合、伝搬路変動による差分が符号間干渉として分離後の応答信号に残留する。
【0070】
すなわち、W#1に着目すると、S0の符号とS1の符号が異なるので、S0とS1の加算によりW#1で拡散された応答信号成分が除去される。しかし、伝搬路変動によるΔ#1の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。伝搬路変動が線形であると仮定すると、S2とS3との間でも同様にΔ#1の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。よって、合計で2×Δ#1の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。
【0071】
一方で、W#2に着目すると、S0の符号とS1の符号が同じなので、S2とS3との符号の違いにより、W#2で拡散された応答信号成分を除去する。この場合、合計で4×Δ#2の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。
【0072】
つまり、前半の2チップ同士で直交するとともに、後半の2チップ同士で直交する複数のウォルシュ系列を用いてコード多重された複数の応答信号間での符号間干渉は小さくなる。よって、本実施の形態では、互いの符号間干渉が小さい異なるウォルシュ系列(W#0,W#1)を同一循環シフト量のZC系列と組み合わせて使用するとともに、互いの符号間干渉が大きい異なるウォルシュ系列(W#0,W#2)を異なる循環シフト量のZC系列と組み合わせて使用する。
【0073】
このように、本実施の形態によれば、系列長よりも短い、系列の一部において互いに直交するウォルシュ系列を用いて応答信号を2次拡散するため、移動局の高速移動に対する耐性をさらに高めることができる。
【0074】
(実施の形態3)
ZC系列を用いた1次拡散によるコード多重、すなわち、循環シフト軸上でのコード多重では、上記のように、ZC系列間での符号間干渉が発生しない程度の十分な循環シフト量の差をZC系列間に設けている。よって、ZC系列間の直交性は崩れにくい。また、高速移動する移動局が存在する場合でもZC系列間の直交性が崩れることはない。一方、ウォルシュ系列を用いた2次拡散によるコード多重、すなわち、ウォルシュ軸上でのコード多重では、上記のように、高速移動する移動局が存在する場合にウォルシュ系列間の直交性が崩れやすい。よって、2次拡散により応答信号をコード多重する場合には、直交性が崩れにくい循環シフト軸上での平均多重度を増加させ、直交性が崩れやすいウォルシュ軸上での平均多重度を減少させることがよい。また、一部のZC系列で1次拡散された応答信号のみにおいてウォルシュ軸上での多重度が極端に大きくなることがないように、ZC系列間において、ウォルシュ軸上の多重度を均一に(一様に)させることがよい。つまり、応答信号を循環シフト軸上およびウォルシュ軸上の双方で2次元拡散する場合には、ウォルシュ軸上での平均多重度を減少させつつ、ウォルシュ軸上の多重度をZC系列間において均一に(一様に)させることがよい。
【0075】
そこで、本実施の形態では、図13に示す対応付けに従って、ZC系列およびウォルシュ系列を制御する。つまり、制御部209は、図13に示す対応付けに従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。
【0076】
ここで、図13に示すPUCCH#1〜PUCCH#12にそれぞれ対応するCCE#1〜CCE#12においては、CCE#1,CCE#2,…,CCE#11,CCE#12の順に、CCE番号に対応した応答信号用物理リソース(PUCCH用物理リソース)の使用確率PまたはCCEの優先度が低下するものとする。つまり、CCE番号が増加するほど、上記使用確率Pが単調減少する。そこで、本実施の形態では、PUCCHとZC系列およびウォルシュ系列とを図13に示すように対応付ける。
【0077】
すなわち、図13のウォルシュ軸の1行目(W#0)および2行目(W#1)に着目すると、PUCCH#1とPUCCH#6とが多重され、PUCCH#2とPUCCH#5とが多重される。よって、PUCCH#1およびPUCCH#6のPUCCH番号の和7と、PUCCH#2およびPUCCH#5のPUCCH番号の和7とが等しくなる。つまり、ウォルシュ軸上では、小さい番号のPUCCHと大きい番号のPUCCHとを組み合わせて配置する。PUCCH#3,PUCCH#4,PUCCH#7〜PUCCH#12においても同様である。また、ウォルシュ軸の3行目(W#2)および4行目(W#3)においても同様である。つまり、図13では、互いに隣接するZC系列間において、互いに隣接するウォルシュ系列のPUCCH番号の和(つまり、CCE番号の和)が等しい。よって、図13では、ウォルシュ軸上の平均多重度がほぼ均一(ほぼ一様)になる。
【0078】
なお、同一ウォルシュ系列と組み合わされるZC系列間の循環シフト量の差を「2」とする場合(図9)においてウォルシュ軸上の多重度をZC系列間において均一に(一様に)させるには、図14に示す対応付けに従ってZC系列およびウォルシュ系列を制御するとよい。
【0079】
図14に示すPUCCH#1〜PUCCH#24にそれぞれ対応するCCE#1〜CCE#24においては、CCE#1,CCE#2,…,CCE#23,CCE#24の順に、CCE番号に対応した応答信号用物理リソースの使用確率PまたはCCEの優先度が低下するものとする。つまり、上記同様、CCE番号が増加するほど、上記使用確率Pが単調減少する。
【0080】
図14のウォルシュ軸の1行目(W#0)および3行目(W#2)に着目すると、PUCCH#1とPUCCH#18とが多重され、PUCCH#2とPUCCH#17とが多重される。よって、PUCCH#1およびPUCCH#18のPUCCH番号の和19と、PUCCH#2およびPUCCH#17のPUCCH番号の和19とが等しくなる。また、図13のウォルシュ軸の2行目(W#1)および4行目(W#3)に着目すると、PUCCH#12とPUCCH#19とが多重され、PUCCH#11とPUCCH#20とが多重される。よって、PUCCH#12およびPUCCH#19のPUCCH番号の和31と、PUCCH#11およびPUCCH#20のPUCCH番号の和31とが等しくなる。つまり、ウォルシュ軸上では、図13同様、小さい番号のPUCCHと大きい番号のPUCCHとを組み合わせて配置する。PUCCH#3〜PUCCH#10,PUCCH#13〜PUCCH#16,PUCCH#21〜PUCCH#24においても同様である。つまり、図14では、図13同様、互いに隣接するZC系列間において、互いに隣接するウォルシュ系列のPUCCH番号の和(つまり、CCE番号の和)が等しい。よって、図14では、図13同様、ウォルシュ軸上の平均多重度がほぼ均一(ほぼ一様)になる。
【0081】
このように、本実施の形態では、CCE番号に対応した応答信号用物理リソースの使用確率PまたはCCEの優先度に応じて、各PUCCH(すなわち各CCE)と2次元拡散に使用される各系列とを対応付ける。これにより、ウォルシュ軸上の平均多重度、すなわち、ウォルシュ軸上でのPUCCH多重数の期待値がほぼ均一(ほぼ一様)になる。よって、本実施の形態によれば、一部のZC系列で1次拡散された応答信号のみにおいてウォルシュ軸上での多重度が極端に大きくなることがないため、ウォルシュ系列間の直交性が崩れた場合の影響を最小限に抑えることができる。よって、本実施の形態によれば、2次拡散によりコード多重される応答信号の分離特性の劣化をさらに抑えることができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0083】
なお、図7,図9,図10,図12,図13,図14には、ウォルシュ系列W#0〜W#3の4つのウォルシュ系列を用いる場合を示した。しかし、2つ、3つ、または、5つ以上のウォルシュ系列を用いる場合でも、上記同様にして本発明を実施することができる。
【0084】
また、上記実施の形態では、ウォルシュ系列間での符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償する構成を示した。しかし、本発明は、2次拡散にウォルシュ系列等の完全直交系列を用いる場合だけでなく、例えばPN系列等の非完全直交系列を2次拡散に用いる場合にも適用することができる。この場合は、PN系列の非完全直交性による符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償することになる。つまり、本発明は、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な系列を1次拡散に用い、系列の相違により互いに分離可能な系列を2次拡散に用いるすべての無線通信装置に適用することができる。
【0085】
また、上記実施の形態では、複数の移動局からの複数の応答信号がコード多重される場合について説明した。しかし、本発明は、複数の移動局からの複数の参照信号(パイロット信号)がコード多重される場合においても上記同様にして実施可能である。図15に示すように、ZC系列(系列長12)から3シンボルの参照信号R0,R1,R2を生成する場合、まずZC系列が系列長3の直交系列(F0,F1,F2)にそれぞれ対応させてIFFTされる。このIFFTにより時間軸上の系列長12のZC系列が得られる。そして、IFFT後の信号が直交系列(F0,F1,F2)を用いて拡散される。つまり、1つの参照信号(ZC系列)は3つのシンボルR0,R1,R2にそれぞれ配置される。他の移動局でも同様にして1つの参照信号(ZC系列)が3つのシンボルR0,R1,R2にそれぞれ配置される。但し、異なる移動局間では、時間軸上での循環シフト量が互いに異なるZC系列、または、互いに異なる直交系列が用いられる。ここではZC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZC系列から生成される循環シフト量0〜11の12個のZC系列を用いることができる。また、直交系列の系列長が3であるため、互いに異なる3つの直交系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大36(12×3)の移動局からの参照信号をコード多重することができる。
【0086】
また、上記実施の形態の説明で用いたPUCCHは、ACKまたはNACKをフィードバックするためのチャネルであるため、ACK/NACKチャネルと称されることもある。
【0087】
また、移動局はUE、基地局はNode B、サブキャリアはトーンと称されることもある。また、CPは、ガードインターバル(Guard Interval;GI)と称されることもある。
【0088】
また、誤り検出の方法はCRCに限られない。
【0089】
また、周波数領域と時間領域との間の変換を行う方法は、IFFT、FFTに限られない。
【0090】
また、上記実施の形態では、本発明を移動局に適用する場合について説明した。しかし、本発明は、固定された静止状態の無線通信端末装置や、基地局との間で移動局と同等の動作をする無線通信中継局装置に対しても適用することができる。つまり、本発明は、すべての無線通信装置に対して適用することができる。
【0091】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0092】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0093】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0094】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0095】
2007年6月15日出願の特願2007−159580および2007年6月19日出願の特願2007−161966の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、移動体通信システム等に適用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および応答信号拡散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、無線通信基地局装置(以下、基地局と省略する)から無線通信移動局装置(以下、移動局と省略する)への下り回線データに対してARQ(Automatic Repeat Request)が適用される。つまり、移動局は下り回線データの誤り検出結果を示す応答信号を基地局へフィードバックする。移動局は下り回線データに対しCRC(Cyclic Redundancy Check)を行って、CRC=OK(誤り無し)であればACK(Acknowledgment)を、CRC=NG(誤り有り)であればNACK(Negative Acknowledgment)を応答信号として基地局へフィードバックする。この応答信号は例えばPUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上り回線制御チャネルを用いて基地局へ送信される。
【0003】
また、基地局は下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報を移動局へ送信する。この制御情報は例えばL1/L2CCH(L1/L2 Control Channel)等の下り回線制御チャネルを用いて移動局へ送信される。各L1/L2CCHは1つまたは複数のCCEを占有する。1つのL1/L2CCHが複数のCCE(Control Channel Element)を占有する場合、1つのL1/L2CCHは連続する複数のCCEを占有する。制御情報を通知するために必要なCCE数に従って、基地局は各移動局に対し複数のL1/L2CCHの中のいずれかのL1/L2CCHを割り当て、各L1/L2CCHが占有するCCE(Control Channel Element)に対応する物理リソースに制御情報をマッピングして送信する。
【0004】
また、下り回線の通信リソースを効率よく使用するために、CCEとPUCCHとを対応付けることが検討されている。各移動局は、この対応付けに従って、自局への制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEから、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定することができる。
【0005】
また、図1に示すように、複数の移動局からの複数の応答信号をZC(Zadoff-Chu)系列およびウォルシュ(Walsh)系列を用いて拡散することによりコード多重することが検討されている(非特許文献1参照)。図1において(W0,W1,W2,W3)は系列長4のウォルシュ系列を表わす。図1に示すように、移動局では、ACKまたはNACKの応答信号が、まず周波数軸上でZC系列(系列長12)によって1シンボル内に1次拡散される。次いで1次拡散後の応答信号がW0〜W3にそれぞれ対応させてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)される。周波数軸上で系列長12のZC系列によって拡散された応答信号は、このIFFTにより時間軸上の系列長12のZC系列に変換される。そして、IFFT後の信号がさらにウォルシュ系列(系列長4)を用いて2次拡散される。つまり、1つの応答信号は4つのシンボルS0〜S3にそれぞれ配置される。他の移動局でも同様に、ZC系列およびウォルシュ系列を用いて応答信号が拡散される。但し、異なる移動局間では、時間軸上での循環シフト(Cyclic Shift)量が互いに異なるZC系列、または、互いに異なるウォルシュ系列が用いられる。ここではZC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZC系列から生成される循環シフト量0〜11の12個のZC系列を用いることができる。また、ウォルシュ系列の系列長が4であるため、互いに異なる4つのウォルシュ系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大48(12×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【0006】
ここで、同一ZC系列から生成される循環シフト量が互いに異なるZC系列間での相互相関は0となる。よって、理想的な通信環境では、図2に示すように、循環シフト量が互いに異なるZC系列(循環シフト量0〜11)でそれぞれ拡散されコード多重された複数の応答信号は基地局での相関処理により時間軸上で符号間干渉なく分離することができる。
【0007】
しかしながら、移動局での送信タイミングずれ、マルチパスによる遅延波、周波数オフセット等の影響により、複数の移動局からの複数の応答信号は基地局に同時に到達するとは限らない。例えば、図3に示すように、循環シフト量0のZC系列で拡散された応答信号の送信タイミングが正しい送信タイミングより遅れた場合は、循環シフト量0のZC系列の相関ピークが循環シフト量1のZC系列の検出窓に現れてしまう。また、図4に示すように、循環シフト量0のZC系列で拡散された応答信号に遅延波がある場合には、その遅延波による干渉漏れが循環シフト量1のZC系列の検出窓に現れてしまう。つまり、これらの場合には、循環シフト量1のZC系列が循環シフト量0のZC系列からの干渉を受ける。よって、これらの場合には、循環シフト量0のZC系列で拡散された応答信号と循環シフト量1のZC系列で拡散された応答信号との分離特性が劣化する。つまり、互いに隣接する循環シフト量のZC系列を用いると、応答信号の分離特性が劣化する可能性がある。
【0008】
そこで、従来は、ZC系列の拡散により複数の応答信号をコード多重する場合には、ZC系列間での符号間干渉が発生しない程度の十分な循環シフト量の差(循環シフト間隔)をZC系列間に設けている。例えば、ZC系列間の循環シフト量の差を4として、循環シフト量0〜11の12個のZC系列のうち、循環シフト量0,4,8の3つのZC系列のみを応答信号の1次拡散に用いる。よって、系列長が4のウォルシュ系列を応答信号の2次拡散に用いる場合には、最大12(3×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Multiplexing capability of CQIs and ACK/NACKs form different UEs(ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072315.zip)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、2次拡散に系列長4のウォルシュ系列(W0,W1,W2,W3)を用いると、1つの応答信号は4つのシンボル(S0〜S3)にそれぞれ配置される。よって、移動局からの応答信号を受信する基地局では、応答信号を4シンボル時間に渡って逆拡散する必要がある。一方、移動局が高速で移動する場合には、上記4シンボル時間の間に移動局−基地局間の伝搬路状態が変化してしまう可能性が高い。よって、高速移動する移動局が存在する場合には、2次拡散に用いられるウォルシュ系列間での直交性が崩れてしまうことがある。つまり、高速移動する移動局が存在する場合には、ZC系列間での符号間干渉よりもウォルシュ系列間での符号間干渉が発生しやすく、その結果、応答信号の分離特性が劣化してしまう。
【0011】
なお、複数の移動局のうち一部の移動局が高速移動し、その他の移動局が静止状態にある場合は、高速移動する移動局とウォルシュ軸上で多重されている静止状態の移動局も符号間干渉の影響を受ける。
【0012】
本発明の目的は、コード多重される応答信号の分離特性の劣化を最小限に抑えることができる無線通信装置および応答信号拡散方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様の一つに係る無線通信装置は、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な複数の第1系列のいずれかを用いて応答信号を1次拡散する第1拡散手段と、1次拡散後の前記応答信号を複数の第2系列のいずれかを用いて2次拡散する第2拡散手段と、を具備し、互いに隣接する異なる第2系列とそれぞれ組み合わされる第1系列間の循環シフト量の差が、同一の第2系列と組み合わされる第1系列間の循環シフト量の差より小さい構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コード多重される応答信号の分離特性の劣化を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】応答信号の拡散方法を示す図(従来)
【図2】ZC系列で拡散された応答信号の相関処理を示す図(理想的な通信環境の場合)
【図3】ZC系列で拡散された応答信号の相関処理を示す図(送信タイミングのずれがある場合)
【図4】ZC系列で拡散された応答信号の相関処理を示す図(遅延波がある場合)
【図5】本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態1に係る移動局の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態1に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その1)
【図8】本発明の実施の形態1に係る第1系列と第2系列とPUCCHとの対応を示す図
【図9】本発明の実施の形態1に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その2)
【図10】本発明の実施の形態1に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その3)
【図11】本発明の実施の形態2に係るウォルシュ系列
【図12】本発明の実施の形態2に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図
【図13】本発明の実施の形態3に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その1)
【図14】本発明の実施の形態3に係るZC系列とウォルシュ系列とPUCCHとの対応を示す図(その2)
【図15】参照信号の拡散方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る基地局100の構成を図5に示し、本実施の形態に係る移動局200の構成を図6に示す。
【0018】
なお、説明が煩雑になることを避けるために、図5では、本発明と密接に関連する下り回線データの送信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での受信に係わる構成部を示し、上り回線データの受信に係わる構成部の図示および説明を省略する。同様に、図6では、本発明と密接に関連する下り回線データの受信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での送信に係わる構成部を示し、上り回線データの送信に係わる構成部の図示および説明を省略する。
【0019】
また、以下の説明では、1次拡散にZC系列を用い、2次拡散にウォルシュ系列を用いる場合について説明する。しかし、1次拡散には、ZC系列以外の、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な系列を用いてもよい。同様に、2次拡散にはウォルシュ系列以外の直交系列を用いてもよい。
【0020】
また、以下の説明では、系列長12のZC系列および系列長4のウォルシュ系列(W0,W1,W2,W3)を用いる場合について説明する。しかし、本発明はこれらの系列長には限定されない。
【0021】
また、以下の説明では、循環シフト量0〜11の12個のZCをそれぞれZC#0〜ZC#11と表記し、系列番号0〜3の4つのウォルシュ系列をそれぞれW#0〜W#3と表記する。
【0022】
また、以下の説明では、L1/L2CCH#1がCCE#1、L1/L2CCH#2がCCE#2、L1/L2CCH#3がCCE#3、L1/L2CCH#4がCCE#4およびCCE#5、L1/L2CCH#5がCCE#6およびCCE#7、L1/L2CCH#6がCCE#8〜CCE#11…をそれぞれ占有するものとする。
【0023】
また、以下の説明では、CCE番号と、ZC系列の循環シフト量およびウォルシュ系列番号によって定義されるPUCCH番号とが1対1で対応付けられているものとする。つまり、CCE#1とPUCCH#1、CCE#2とPUCCH#2、CCE#3とPUCCH#3…がそれぞれ対応するものとする。
【0024】
図5に示す基地局100において、下り回線データのリソース割当結果が制御情報生成部101およびマッピング部104に入力される。
【0025】
制御情報生成部101は、リソース割当結果を通知するための制御情報を移動局毎に生成し符号化部102に出力する。移動局毎の制御情報には、どの移動局宛ての制御情報であるかを示す移動局ID情報が含まれる。例えば、制御情報の通知先の移動局のID番号でマスキングされたCRCが移動局ID情報として制御情報に含まれる。移動局毎の制御情報は符号化部102で符号化され、変調部103で変調されてマッピング部104に入力される。また、制御情報生成部101は、制御情報を通知するために必要なCCE数に従って、各移動局に対し複数のL1/L2CCHの中のいずれかのL1/L2CCHを割り当て、割り当てたL1/L2CCHに対応するCCE番号をマッピング部104に出力する。例えば、移動局#1への制御情報の通知に必要なCCE数が1であるため移動局#1にL1/L2CCH#1が割り当てられた場合には、制御情報生成部101は、CCE番号#1をマッピング部104に出力する。また、移動局#1への制御情報の通知に必要なCCE数が4であるため移動局#1にL1/L2CCH#6が割り当てられた場合には、制御情報生成部101は、CCE番号#8〜#11をマッピング部104に出力する。
【0026】
一方、符号化部105は、各移動局への送信データ(下り回線データ)を符号化して再送制御部106に出力する。
【0027】
再送制御部106は、初回送信時には、符号化後の送信データを移動局毎に保持するとともに変調部107に出力する。再送制御部106は、各移動局からのACKが判定部116から入力されるまで送信データを保持する。また、再送制御部106は、各移動局からのNACKが判定部116から入力された場合、すなわち、再送時には、そのNACKに対応する送信データを変調部107に出力する。
【0028】
変調部107は、再送制御部106から入力される符号化後の送信データを変調してマッピング部104に出力する。
【0029】
マッピング部104は、制御情報の送信時には、変調部103から入力される制御情報を制御情報生成部101から入力されるCCE番号に従って物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の制御情報を、OFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアにおいてCCE番号に対応するサブキャリアにマッピングする。
【0030】
一方、下り回線データの送信時には、マッピング部104は、リソース割当結果に従って各移動局への送信データを物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の送信データを、リソース割当結果に従ってOFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアのいずれかにマッピングする。
【0031】
IFFT部108は、制御情報または送信データがマッピングされた複数のサブキャリアに対してIFFTを行ってOFDMシンボルを生成し、CP(Cyclic Prefix)付加部109に出力する。
【0032】
CP付加部109は、OFDMシンボルの後尾部分と同じ信号をCPとしてOFDMシンボルの先頭に付加する。
【0033】
無線送信部110は、CP付加後のOFDMシンボルに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ111から移動局200(図6)へ送信する。
【0034】
一方、無線受信部112は、移動局200から送信された応答信号をアンテナ111を介して受信し、応答信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0035】
CP除去部113は、受信処理後の応答信号に付加されているCPを除去する。
【0036】
逆拡散部114は、移動局200において2次拡散に用いられたウォルシュ系列で応答信号を逆拡散し、逆拡散後の応答信号を相関処理部115に出力する。
【0037】
相関処理部115は、逆拡散部114から入力される応答信号、すなわち、ZC系列で拡散されている応答信号と、移動局200において1次拡散に用いられたZC系列との相関値を求め判定部116に出力する。
【0038】
判定部116は、時間軸上に移動局毎に設定された検出窓を用いて移動局毎に相関ピークを検出することにより、移動局毎の応答信号を検出する。例えば、判定部116は、移動局#1用の検出窓#1に相関ピークが検出された場合には、移動局#1からの応答信号を検出する。そして、判定部116は、検出された応答信号がACKまたはNACKのいずれであるかを判定し、移動局毎のACKまたはNACKを再送制御部106に出力する。
【0039】
一方、図6に示す移動局200において、無線受信部202は、基地局100から送信されたOFDMシンボルをアンテナ201を介して受信し、OFDMシンボルに対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0040】
CP除去部203は、受信処理後のOFDMシンボルに付加されているCPを除去する。
【0041】
FFT(Fast Fourier Transform)部204は、OFDMシンボルに対してFFTを行って複数のサブキャリアにマッピングされている制御情報または下り回線データを得て、それらを抽出部205に出力する。
【0042】
抽出部205は、制御情報の受信時には、複数のサブキャリアから制御情報を抽出して復調部206に出力する。この制御情報は、復調部206で復調され、復号部207で復号されて判定部208に入力される。
【0043】
一方、下り回線データの受信時には、抽出部205は、判定部208から入力されるリソース割当結果に従って、複数のサブキャリアから自局宛の下り回線データを抽出して復調部210に出力する。この下り回線データは、復調部210で復調され、復号部211で復号されてCRC部212に入力される。
【0044】
CRC部212は、復号後の下り回線データに対してCRCを用いた誤り検出を行って、CRC=OK(誤り無し)の場合はACKを、CRC=NG(誤り有り)の場合はNACKを応答信号として生成し、生成した応答信号を変調部213に出力する。また、CRC部212は、CRC=OK(誤り無し)の場合、復号後の下り回線データを受信データとして出力する。
【0045】
判定部208は、復号部207から入力された制御情報が自局宛の制御情報であるか否かをブラインド判定する。例えば、判定部208は、自局のID番号でデマスキングすることによりCRC=OK(誤り無し)となった制御情報を自局宛の制御情報であると判定する。そして、判定部208は、自局宛の制御情報、すなわち、自局に対する下り回線データのリソース割当結果を抽出部205に出力する。また、判定部208は、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCE番号から、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定し、判定結果(PUCCH番号)を制御部209に出力する。例えば、上記L1/L2CCH#1が割り当てられた移動局200の判定部208は、CCE#1に対応するサブキャリアに制御情報がマッピングされているため、CCE#1に対応するPUCCH#1を自局用のPUCCHと判定する。また、上記L1/L2CCH#6が割り当てられた移動局200の判定部208は、CCE#8〜CCE#11に対応するサブキャリアに制御情報がマッピングされているため、CCE#8〜CCE#11において最小番号のCCE#8に対応するPUCCH#8を自局用のPUCCHと判定する。
【0046】
制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。すなわち、制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応する循環シフト量のZC系列を拡散部214に設定し、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応するウォルシュ系列を拡散部217に設定する。制御部209での系列制御の詳細については後述する。
【0047】
変調部213は、CRC部212から入力される応答信号を変調して拡散部214に出力する。
【0048】
拡散部214は、図1に示すようにして、制御部209によって設定されたZC系列で応答信号を1次拡散し、1次拡散後の応答信号をIFFT部215に出力する。
【0049】
IFFT部215は、図1に示すようにして、1次拡散後の応答信号に対してIFFTを行い、IFFT後の応答信号をCP付加部216に出力する。
【0050】
CP付加部216は、IFFT後の応答信号の後尾部分と同じ信号をCPとしてその応答信号の先頭に付加する。
【0051】
拡散部217は、図1に示すようにして、制御部209によって設定されたウォルシュ系列でCP付加後の応答信号を2次拡散し、2次拡散後の応答信号を無線送信部218に出力する。
【0052】
無線送信部218は、2次拡散後の応答信号に対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ201から基地局100(図5)へ送信する。
【0053】
このように本実施の形態では、ZC系列を用いた1次拡散およびウォルシュ系列を用いた2次拡散により、応答信号を2次元拡散する。つまり、本実施の形態では、循環シフト軸上およびウォルシュ軸上の双方で応答信号を拡散する。
【0054】
次いで、制御部209(図6)での系列制御の詳細について説明する。
【0055】
応答信号の1次拡散にZC系列を用いる場合には、上記のように、ZC系列間での符号間干渉が発生しない程度の十分な循環シフト量の差、例えば、循環シフト量の差=4をZC系列間に設けている。よって、互いに異なる循環シフト量のZC系列を用いて1次拡散された互いに異なる応答信号間での直交性は崩れにくい。一方で、上記のように、高速移動する移動局が存在する場合には、2次拡散に用いられるウォルシュ系列間での直交性は崩れやすい。
【0056】
そこで、本実施の形態では、逆拡散部114(図5)での逆拡散後にも応答信号中に残留する干渉成分をZC系列の微少な循環シフト量の差によって吸収すべく、図7に示す対応付けに従って、ZC系列およびウォルシュ系列を制御する。つまり、制御部209は、図7に示す対応付けに従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。
【0057】
図7においては、PUCCH#1にZC#0およびW#0、PUCCH#2にZC#4およびW#0、PUCCH#3にZC#8およびW#0、PUCCH#4にZC#1およびW#1、PUCCH#5にZC#5およびW#1、PUCCH#6にZC#9およびW#1、PUCCH#7にZC#2およびW#2、PUCCH#8にZC#6およびW#2、PUCCH#9にZC#10およびW#2、PUCCH#10にZC#3およびW#3、PUCCH#11にZC#7およびW#3、PUCCH#12にZC#11およびW#3がそれぞれ対応付けられている。
【0058】
よって、制御部209は、例えば判定部208からPUCCH番号#1が入力された場合には、拡散部214にZC#0を設定するとともに、拡散部217にW#0を設定する。また、制御部209は、例えば判定部208からPUCCH番号#2が入力された場合には、拡散部214にZC#4を設定するとともに、拡散部217にW#0を設定する。また、制御部209は、例えば判定部208からPUCCH番号#4が入力された場合には、拡散部214にZC#1を設定するとともに、拡散部217にW#1を設定する。
【0059】
ここで、図7において、2次拡散にW#1が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#1,ZC#5,ZC#9は、2次拡散にW#0が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#0,ZC#4,ZC#8をそれぞれ1だけ循環シフトさせたものになっている。また、2次拡散にW#2が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#2,ZC#6,ZC#10は、2次拡散にW#1が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#1,ZC#5,ZC#9をそれぞれ1だけ循環シフトさせたものになっている。また、2次拡散にW#3が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#3,ZC#7,ZC#11は、2次拡散にW#2が用いられる場合の1次拡散用のZC系列:ZC#2,ZC#6,ZC#10をそれぞれ1だけ循環シフトさせたものになっている。
【0060】
また、図7においては、互いに隣接する異なるウォルシュ系列とそれぞれ組み合わされたZC系列間の循環シフト量の差が、同一ウォルシュ系列と組み合わされたZC系列間の循環シフト量の差よりも小さい。例えば、W#0と組み合わされたZC#0とW#1と組み合わされたZC#1との循環シフト量の差が1であるのに対し、双方ともW#0と組み合わされたZC#0とZC#4との循環シフト量の差が4である。
【0061】
このように、図7では、ウォルシュ系列番号が1つ増加する毎に、ZC系列を1だけ循環シフトさせる。つまり、本実施の形態では、互いに隣接するウォルシュ系列間でのZC系列間の最小の循環シフト量の差は1になる。換言すれば、図7においては、互いに隣接するウォルシュ系列は互いに異なる循環シフト量のZC系列と組み合わされて応答信号の2次元拡散に使用される。よって、ウォルシュ系列間での直交性が崩れてしまうことによりウォルシュ系列間で符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をZC系列での拡散により抑えることができる。例えば、図7において、PUCCH#4を用いて送信される応答信号はZC#1およびW#1を用いて2次元拡散され、PUCCH#7を用いて送信される応答信号はZC#2およびW#2を用いて2次元拡散される。よって、W#1とW#2との間の直交性が崩れてW#1とW#2との間に符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をZC#1とZC#2との間の微少な循環シフト量の差によって抑えることができる。
【0062】
一方で、図7では、ZC#1とZC#2のように、互いに隣接する循環シフト量のZC系列、すなわち、循環シフト量の差が1であるZC系列が使用される。このため、ZC系列間での直交性が崩れてしまいZC系列間で符号間干渉が発生することがある。しかし、図7においては、循環シフト量の差が1であるZCの各々は、互いに異なるウォルシュ系列と組み合わされてと応答信号の2次元拡散に使用される。よって、ZC系列間での直交性が崩れてしまうことによりZC系列間で符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をウォルシュ系列での拡散により抑えることができる。例えば、図7において、PUCCH#4を用いて送信される応答信号はZC#1およびW#1を用いて2次元拡散され、PUCCH#7を用いて送信される応答信号はZC#2およびW#2を用いて2次元拡散される。よって、ZC#1とZC#2との間に符号間干渉が発生する場合でも、その符号間干渉をW#1とW#2との系列の相違によって抑えることができる。
【0063】
このように、本実施の形態では、ウォルシュ軸上での直交性の崩れ(つまり、ウォルシュ系列間での符号間干渉)を循環シフト軸上で吸収するとともに、循環シフト軸上での直交性の崩れ(つまり、ZC系列間での符号間干渉)をウォルシュ軸上で吸収する。換言すれば、本実施の形態では、ウォルシュ系列間の直交性の崩れによって生じるウォルシュ系列間での符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償するとともに、ZC系列間の直交性の崩れによって生じるZC系列間での符号間干渉をウォルシュ系列の拡散利得によって補償する。よって、本実施の形態によれば、コード多重される応答信号の分離特性の劣化を最小限に抑えることができる。
【0064】
図8は、図7に示す対応を一般化したものである。つまり、図8は、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な複数の第1系列と、互いに直交する複数の第2系列の双方を用いて信号を拡散する場合を示す。つまり、図8によれば、同一の第2系列と組み合わされた複数の第1系列間の循環シフト量の差をkとした場合に、互いに隣接する複数の第2系列と組み合わされた複数の第1系列間の循環シフト量の差がΔ(Δ<k)となる。すなわち、図8では、第2系列の番号が1つ増加する毎に、第1系列をΔずつシフトさせている。
【0065】
また、本実施の形態では、上記のように、ウォルシュ系列間での符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償するとともに、ZC系列間での符号間干渉をウォルシュ系列の拡散利得によって補償することができる。よって、同一ウォルシュ系列と組み合わされるZC系列間の循環シフト量の差を図7での「4」よりも小さくすることができる。この差を「2」とした場合を図9に示す。図7ではPUCCH#1〜PUCCH#12の12個のPUCCHが使用可能であったのに対し、図9ではPUCCH#1〜PUCCH#24の24個のPUCCHが使用可能となる。換言すれば、図7では48のコードリソースのうち12のコードリソースを使用していたのに対し、図9では48のコードリソースのうち24のコードリソースを使用する。つまり、本実施の形態によれば、限られたコードリソースの利用効率を高めてコードリソースの利用効率を最大化することができる。
【0066】
なお、図10に示す対応付けを用いても、図9に示す対応付けを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(実施の形態2)
図11に示すように、W#0が(1,1,1,1)、W#1が(1,−1,1,−1)である場合、W#0とW#1とは前半の2チップ同士で直交するとともに、後半の2チップ同士で直交する。同様に、W#2が(1,1,−1,−1)、W#3が(1,−1,−1,1)である場合、W#2とW#3とは前半の2チップ同士で直交するとともに、後半の2チップ同士で直交する。よって、2シンボル時間の間の伝搬路状態の変化が十分小さければ、W#0とW#1との間の符号間干渉、および、W#2とW#3との間の符号間干渉は発生しない。よって、W#0および#W1を用いた2次拡散によりコード多重された複数の応答信号を前半の2チップと後半の2チップとに分けて分離することができる。同様に、W#2および#W3を用いた2次拡散によりコード多重された複数の応答信号を前半の2チップと後半の2チップとに分けて分離することができる。
【0068】
そこで、本実施の形態では、制御部209は、図12に示す対応付けに従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。図12では、W#0に組み合わされるZC系列の循環シフト量とW#1に組み合わされるZC系列の循環シフト量とが0,2,4,6,10で同一であり、W#2に組み合わされるZC系列の循環シフト量とW#3に組み合わされるZC系列の循環シフト量とが1,3,5,7,9,11で同一である。
【0069】
ここで、例えば、W#0,W#1,W#2が2次拡散に同時に使用された場合にW#0で2次拡散された応答信号を分離するためには、図1におけるS0,S1,S2,S3の和を求める。これにより、受信信号からW#1,W#2でそれぞれ拡散された応答信号成分を除去することができる。しかし、W#1を使用する移動局およびW#2を使用する移動局が高速移動する場合、伝搬路変動による差分が符号間干渉として分離後の応答信号に残留する。
【0070】
すなわち、W#1に着目すると、S0の符号とS1の符号が異なるので、S0とS1の加算によりW#1で拡散された応答信号成分が除去される。しかし、伝搬路変動によるΔ#1の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。伝搬路変動が線形であると仮定すると、S2とS3との間でも同様にΔ#1の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。よって、合計で2×Δ#1の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。
【0071】
一方で、W#2に着目すると、S0の符号とS1の符号が同じなので、S2とS3との符号の違いにより、W#2で拡散された応答信号成分を除去する。この場合、合計で4×Δ#2の符号間干渉が分離後の応答信号に残留する。
【0072】
つまり、前半の2チップ同士で直交するとともに、後半の2チップ同士で直交する複数のウォルシュ系列を用いてコード多重された複数の応答信号間での符号間干渉は小さくなる。よって、本実施の形態では、互いの符号間干渉が小さい異なるウォルシュ系列(W#0,W#1)を同一循環シフト量のZC系列と組み合わせて使用するとともに、互いの符号間干渉が大きい異なるウォルシュ系列(W#0,W#2)を異なる循環シフト量のZC系列と組み合わせて使用する。
【0073】
このように、本実施の形態によれば、系列長よりも短い、系列の一部において互いに直交するウォルシュ系列を用いて応答信号を2次拡散するため、移動局の高速移動に対する耐性をさらに高めることができる。
【0074】
(実施の形態3)
ZC系列を用いた1次拡散によるコード多重、すなわち、循環シフト軸上でのコード多重では、上記のように、ZC系列間での符号間干渉が発生しない程度の十分な循環シフト量の差をZC系列間に設けている。よって、ZC系列間の直交性は崩れにくい。また、高速移動する移動局が存在する場合でもZC系列間の直交性が崩れることはない。一方、ウォルシュ系列を用いた2次拡散によるコード多重、すなわち、ウォルシュ軸上でのコード多重では、上記のように、高速移動する移動局が存在する場合にウォルシュ系列間の直交性が崩れやすい。よって、2次拡散により応答信号をコード多重する場合には、直交性が崩れにくい循環シフト軸上での平均多重度を増加させ、直交性が崩れやすいウォルシュ軸上での平均多重度を減少させることがよい。また、一部のZC系列で1次拡散された応答信号のみにおいてウォルシュ軸上での多重度が極端に大きくなることがないように、ZC系列間において、ウォルシュ軸上の多重度を均一に(一様に)させることがよい。つまり、応答信号を循環シフト軸上およびウォルシュ軸上の双方で2次元拡散する場合には、ウォルシュ軸上での平均多重度を減少させつつ、ウォルシュ軸上の多重度をZC系列間において均一に(一様に)させることがよい。
【0075】
そこで、本実施の形態では、図13に示す対応付けに従って、ZC系列およびウォルシュ系列を制御する。つまり、制御部209は、図13に示す対応付けに従って、拡散部214での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量および拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。
【0076】
ここで、図13に示すPUCCH#1〜PUCCH#12にそれぞれ対応するCCE#1〜CCE#12においては、CCE#1,CCE#2,…,CCE#11,CCE#12の順に、CCE番号に対応した応答信号用物理リソース(PUCCH用物理リソース)の使用確率PまたはCCEの優先度が低下するものとする。つまり、CCE番号が増加するほど、上記使用確率Pが単調減少する。そこで、本実施の形態では、PUCCHとZC系列およびウォルシュ系列とを図13に示すように対応付ける。
【0077】
すなわち、図13のウォルシュ軸の1行目(W#0)および2行目(W#1)に着目すると、PUCCH#1とPUCCH#6とが多重され、PUCCH#2とPUCCH#5とが多重される。よって、PUCCH#1およびPUCCH#6のPUCCH番号の和7と、PUCCH#2およびPUCCH#5のPUCCH番号の和7とが等しくなる。つまり、ウォルシュ軸上では、小さい番号のPUCCHと大きい番号のPUCCHとを組み合わせて配置する。PUCCH#3,PUCCH#4,PUCCH#7〜PUCCH#12においても同様である。また、ウォルシュ軸の3行目(W#2)および4行目(W#3)においても同様である。つまり、図13では、互いに隣接するZC系列間において、互いに隣接するウォルシュ系列のPUCCH番号の和(つまり、CCE番号の和)が等しい。よって、図13では、ウォルシュ軸上の平均多重度がほぼ均一(ほぼ一様)になる。
【0078】
なお、同一ウォルシュ系列と組み合わされるZC系列間の循環シフト量の差を「2」とする場合(図9)においてウォルシュ軸上の多重度をZC系列間において均一に(一様に)させるには、図14に示す対応付けに従ってZC系列およびウォルシュ系列を制御するとよい。
【0079】
図14に示すPUCCH#1〜PUCCH#24にそれぞれ対応するCCE#1〜CCE#24においては、CCE#1,CCE#2,…,CCE#23,CCE#24の順に、CCE番号に対応した応答信号用物理リソースの使用確率PまたはCCEの優先度が低下するものとする。つまり、上記同様、CCE番号が増加するほど、上記使用確率Pが単調減少する。
【0080】
図14のウォルシュ軸の1行目(W#0)および3行目(W#2)に着目すると、PUCCH#1とPUCCH#18とが多重され、PUCCH#2とPUCCH#17とが多重される。よって、PUCCH#1およびPUCCH#18のPUCCH番号の和19と、PUCCH#2およびPUCCH#17のPUCCH番号の和19とが等しくなる。また、図13のウォルシュ軸の2行目(W#1)および4行目(W#3)に着目すると、PUCCH#12とPUCCH#19とが多重され、PUCCH#11とPUCCH#20とが多重される。よって、PUCCH#12およびPUCCH#19のPUCCH番号の和31と、PUCCH#11およびPUCCH#20のPUCCH番号の和31とが等しくなる。つまり、ウォルシュ軸上では、図13同様、小さい番号のPUCCHと大きい番号のPUCCHとを組み合わせて配置する。PUCCH#3〜PUCCH#10,PUCCH#13〜PUCCH#16,PUCCH#21〜PUCCH#24においても同様である。つまり、図14では、図13同様、互いに隣接するZC系列間において、互いに隣接するウォルシュ系列のPUCCH番号の和(つまり、CCE番号の和)が等しい。よって、図14では、図13同様、ウォルシュ軸上の平均多重度がほぼ均一(ほぼ一様)になる。
【0081】
このように、本実施の形態では、CCE番号に対応した応答信号用物理リソースの使用確率PまたはCCEの優先度に応じて、各PUCCH(すなわち各CCE)と2次元拡散に使用される各系列とを対応付ける。これにより、ウォルシュ軸上の平均多重度、すなわち、ウォルシュ軸上でのPUCCH多重数の期待値がほぼ均一(ほぼ一様)になる。よって、本実施の形態によれば、一部のZC系列で1次拡散された応答信号のみにおいてウォルシュ軸上での多重度が極端に大きくなることがないため、ウォルシュ系列間の直交性が崩れた場合の影響を最小限に抑えることができる。よって、本実施の形態によれば、2次拡散によりコード多重される応答信号の分離特性の劣化をさらに抑えることができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0083】
なお、図7,図9,図10,図12,図13,図14には、ウォルシュ系列W#0〜W#3の4つのウォルシュ系列を用いる場合を示した。しかし、2つ、3つ、または、5つ以上のウォルシュ系列を用いる場合でも、上記同様にして本発明を実施することができる。
【0084】
また、上記実施の形態では、ウォルシュ系列間での符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償する構成を示した。しかし、本発明は、2次拡散にウォルシュ系列等の完全直交系列を用いる場合だけでなく、例えばPN系列等の非完全直交系列を2次拡散に用いる場合にも適用することができる。この場合は、PN系列の非完全直交性による符号間干渉をZC系列の拡散利得によって補償することになる。つまり、本発明は、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な系列を1次拡散に用い、系列の相違により互いに分離可能な系列を2次拡散に用いるすべての無線通信装置に適用することができる。
【0085】
また、上記実施の形態では、複数の移動局からの複数の応答信号がコード多重される場合について説明した。しかし、本発明は、複数の移動局からの複数の参照信号(パイロット信号)がコード多重される場合においても上記同様にして実施可能である。図15に示すように、ZC系列(系列長12)から3シンボルの参照信号R0,R1,R2を生成する場合、まずZC系列が系列長3の直交系列(F0,F1,F2)にそれぞれ対応させてIFFTされる。このIFFTにより時間軸上の系列長12のZC系列が得られる。そして、IFFT後の信号が直交系列(F0,F1,F2)を用いて拡散される。つまり、1つの参照信号(ZC系列)は3つのシンボルR0,R1,R2にそれぞれ配置される。他の移動局でも同様にして1つの参照信号(ZC系列)が3つのシンボルR0,R1,R2にそれぞれ配置される。但し、異なる移動局間では、時間軸上での循環シフト量が互いに異なるZC系列、または、互いに異なる直交系列が用いられる。ここではZC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZC系列から生成される循環シフト量0〜11の12個のZC系列を用いることができる。また、直交系列の系列長が3であるため、互いに異なる3つの直交系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大36(12×3)の移動局からの参照信号をコード多重することができる。
【0086】
また、上記実施の形態の説明で用いたPUCCHは、ACKまたはNACKをフィードバックするためのチャネルであるため、ACK/NACKチャネルと称されることもある。
【0087】
また、移動局はUE、基地局はNode B、サブキャリアはトーンと称されることもある。また、CPは、ガードインターバル(Guard Interval;GI)と称されることもある。
【0088】
また、誤り検出の方法はCRCに限られない。
【0089】
また、周波数領域と時間領域との間の変換を行う方法は、IFFT、FFTに限られない。
【0090】
また、上記実施の形態では、本発明を移動局に適用する場合について説明した。しかし、本発明は、固定された静止状態の無線通信端末装置や、基地局との間で移動局と同等の動作をする無線通信中継局装置に対しても適用することができる。つまり、本発明は、すべての無線通信装置に対して適用することができる。
【0091】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0092】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0093】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0094】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0095】
2007年6月15日出願の特願2007−159580および2007年6月19日出願の特願2007−161966の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、移動体通信システム等に適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直交系列の内の1つの直交系列と、m個の循環シフト量の内の1つの循環シフト量であって、前記直交系列に関連付けられた循環シフト量で定義される系列とを用いて、ACK又はNACKを拡散する拡散部と、
前記ACK又は前記NACKを送信する送信部と、
を有し、
前記複数の直交系列のそれぞれに、互いに所定間隔を有する複数の循環シフト量が関連付けられ、
前記直交系列及び前記循環シフト量は、前記ACK又は前記NACKの送信に用いられるリソースの識別番号から特定され、
前記所定間隔の値によらず、m個の連続する前記識別番号からそれぞれ特定される前記循環シフト量が互いに異なる、
無線通信装置。
【請求項2】
前記複数の直交系列の内の2つの直交系列に、異なる循環シフト量が関連付けられている、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記複数の直交系列に、異なる循環シフト量が関連付けられている、
請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
隣接する循環シフト量が、異なる直交系列に関連付けられている、
請求項1から3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記m個の循環シフト量の最小差が、前記所定間隔よりも小さい、
請求項1から4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記複数の直交系列の内の2つの直交系列にそれぞれ関連付けられた循環シフト量の最小差が、前記所定間隔よりも小さい、
請求項1から5のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記所定間隔の値によらず、前記最小差は一定である、
請求項5又は6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記複数の直交系列は、それぞれが系列番号を有し、前記系列番号が1つ増える毎に、前記最小差ずつシフトした循環シフト量が、前記直交系列に関連付けられている、
請求項5から7のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記最小差をΔとし、前記m個の連続する識別番号からそれぞれ特定される前記循環シフト量が関連付けられた前記直交系列の数をnとし、前記所定間隔をΔ×nとする、
請求項5から8のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記最小差をΔとし、
前記複数の直交系列の数をNとし、前記所定間隔をΔ×Nとする、
請求項5から9のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記複数の直交系列の数は、3である、
請求項1から10のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項12】
循環シフト量で定義される前記系列の系列長は、mである、
請求項1から11のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項13】
m個の循環シフト量の内の1つの循環シフト量であって、直交系列に関連付けられた循環シフト量で定義される系列を用いて、ACK又はNACKを拡散し、
複数の直交系列の内の1つの直交系列を用いて、前記ACK又は前記NACKを拡散する、
応答信号拡散方法であって、
前記複数の直交系列のそれぞれに、互いに所定間隔を有する複数の循環シフト量が関連付けられ、
前記直交系列及び前記循環シフト量は、前記ACK又は前記NACKの送信に用いられるリソースの識別番号から特定され、
前記所定間隔の値によらず、m個の連続する前記識別番号からそれぞれ特定される前記循環シフト量が互いに異なる、
応答信号拡散方法。
【請求項1】
複数の直交系列の内の1つの直交系列と、m個の循環シフト量の内の1つの循環シフト量であって、前記直交系列に関連付けられた循環シフト量で定義される系列とを用いて、ACK又はNACKを拡散する拡散部と、
前記ACK又は前記NACKを送信する送信部と、
を有し、
前記複数の直交系列のそれぞれに、互いに所定間隔を有する複数の循環シフト量が関連付けられ、
前記直交系列及び前記循環シフト量は、前記ACK又は前記NACKの送信に用いられるリソースの識別番号から特定され、
前記所定間隔の値によらず、m個の連続する前記識別番号からそれぞれ特定される前記循環シフト量が互いに異なる、
無線通信装置。
【請求項2】
前記複数の直交系列の内の2つの直交系列に、異なる循環シフト量が関連付けられている、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記複数の直交系列に、異なる循環シフト量が関連付けられている、
請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
隣接する循環シフト量が、異なる直交系列に関連付けられている、
請求項1から3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記m個の循環シフト量の最小差が、前記所定間隔よりも小さい、
請求項1から4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記複数の直交系列の内の2つの直交系列にそれぞれ関連付けられた循環シフト量の最小差が、前記所定間隔よりも小さい、
請求項1から5のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記所定間隔の値によらず、前記最小差は一定である、
請求項5又は6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記複数の直交系列は、それぞれが系列番号を有し、前記系列番号が1つ増える毎に、前記最小差ずつシフトした循環シフト量が、前記直交系列に関連付けられている、
請求項5から7のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記最小差をΔとし、前記m個の連続する識別番号からそれぞれ特定される前記循環シフト量が関連付けられた前記直交系列の数をnとし、前記所定間隔をΔ×nとする、
請求項5から8のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記最小差をΔとし、
前記複数の直交系列の数をNとし、前記所定間隔をΔ×Nとする、
請求項5から9のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記複数の直交系列の数は、3である、
請求項1から10のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項12】
循環シフト量で定義される前記系列の系列長は、mである、
請求項1から11のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項13】
m個の循環シフト量の内の1つの循環シフト量であって、直交系列に関連付けられた循環シフト量で定義される系列を用いて、ACK又はNACKを拡散し、
複数の直交系列の内の1つの直交系列を用いて、前記ACK又は前記NACKを拡散する、
応答信号拡散方法であって、
前記複数の直交系列のそれぞれに、互いに所定間隔を有する複数の循環シフト量が関連付けられ、
前記直交系列及び前記循環シフト量は、前記ACK又は前記NACKの送信に用いられるリソースの識別番号から特定され、
前記所定間隔の値によらず、m個の連続する前記識別番号からそれぞれ特定される前記循環シフト量が互いに異なる、
応答信号拡散方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−151861(P2012−151861A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−39742(P2012−39742)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2011−133224(P2011−133224)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2011−133224(P2011−133224)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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