説明

無線通信装置

【課題】 無線ノードを設置するためには、電力を供給することができる設置場所を新たにもうけなくてはならず、非常に多くの費用がかかってしまうため、少ない設置費用で利用することができる無線ノードが望まれている。また、従来のような設置では、容易に設置および除去することができる無線ノードが望まれている。
【解決手段】 本発明は、照明器具本体に、メッシュネットワークを構築することができる無線通信ユニットを備えた無線通信装置であって、前記無線通信ユニットのための電力は、前記照明器具のための電源から供給される、無線通信装置を提供する。また、本発明は、上記照明器具が電球または照明管である、上記無線通信装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。より詳細には、本発明は、無線メッシュネットワークのための無線ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の通信ノードを接続するためのネットワークとして、メッシュネットワークがある。メッシュネットワークとは、各ノードが複数の隣接ノードと同時に接続され、ネットワーク全体が網目状に構成されるネットワークをいう。このメッシュネットワークは、近年開発されてきた無線ネットワークであり、メッシュネットワークにより、無線ネットワークを拡張することができる。
【0003】
無線メッシュネットワークにおけるアクセスポイント同士の接続は、無線通信路で接続がなされる。メッシュネットワークを構成するためには、多数の無線ノードを設置して無線通信路を形成しなければならない。一方、ネットワークを構成するための無線ノードを作動させるためには、電力が必要である。このため、この無線ノードを設置するためには、電力を供給することができる設置場所を新たにもうけなくてはならず、非常に多くの費用がかかってしまう。
【0004】
一方、街灯や誘導灯に無線ノードを設置する例が開示されている。たとえば、特許文献1には、無線通信装置によって照明輝度を適切に調節することができる無線通信照明システムが開示されている。また、特許文献2には、誘導灯に併設されたアクセスポイントが開示されている。しかし、これらの従来技術では、無線ノードが固定されてしまうため、無線ノードの設置および除去を容易に行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−017267号公報
【特許文献2】特開2006−340271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、無線ノードを設置するためには、電力を供給することができる設置場所を新たにもうけなくてはならず、非常に多くの費用がかかってしまうため、少ない設置費用で利用することができる無線ノードが望まれている。また、従来のような設置では、容易に設置および除去することができる無線ノードが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の状況に鑑み、本発明者は、電球などの照明器具は、街灯などのようにどこにでも設置されていること、設置されている数が多いこと、またソケットなどから電力を供給することが容易なことに着目し、本発明に相当するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、照明器具本体に、メッシュネットワークを構築することができる無線通信ユニットを備えた無線通信装置であって、前記無線通信ユニットのための電力は、前記照明器具のための電源から供給される、無線通信装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記無線通信ユニットが無線通信部、制御用プロセッサおよびメモリを含み、前記制御用プロセッサが前記無線通信部と他の無線通信装置の無線通信部との間の通信を制御する、上記無線通信装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記照明器具が電球または照明管である、上記無線通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無線通信装置によれば、容易に無線ノードを設置し、メッシュネットワークを構築することができる。また、本発明の無線通信装置によれば、少ない設置費用で無線ノードを設置し、メッシュネットワークを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の無線通信装置の一例を示す図。
【図2】本発明の無線通信装置の光源部分および無線通信ユニットの一例を示す図。
【図3】照明器具の一例を示す図。
【図4】本発明の無線通信装置の利用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の無線通信装置を説明する。本発明の無線通信装置は、照明器具本体に、メッシュネットワークを構築することができる無線通信ユニットを備える。
【0014】
本明細書において、照明器具は、光源と一体となった、照明のための構造を意味する。たとえば、本明細書において、照明器具は、白熱電球などの電球および蛍光管などの照明管などを意味する。したがって、電気スタンドおよび街灯などの場合、照明器具は、電球および照明管の部分を意味し、スタンドおよび柱などの光源以外の部分を含まない。ただし、本明細書において、照明器具は、上で適宜された照明器具から光源を除いた構成であってもよい。
【0015】
また、電球には、従来の白熱電球だけでなく、LED電球などの光源を備えた電球型の任意の照明器具を含む。また、照明管には、従来の蛍光灯だけでなく、LED照明管などの光源を備えた管状の任意の照明器具を含む。
【0016】
図1は、照明器具が発光ダイオード(LED)電球である本発明の無線通信装置の模式図を示す。LED電球は、光源としてLEDを使用した照明装置である。また、従来の白熱電球と同様に電球用のソケットに装着することができる形状を有し、ソケットを介して光源のための電力を供給することができる照明装置である。
【0017】
図1の無線通信装置は、基板1上に光源としてのLED2および無線通信ユニット3、並びに直流電源4を備える。そして、これらが電球形状の照明器具本体の内部に含まれている。図1では、光源としてLEDを使用した場合を示してあるが、当業者に公知の任意の光源を本発明の無線通信装置に使用することができる。また、本発明の無線通信装置は、光源を有していなくてもよい。
【0018】
無線通信ユニット3は、メッシュネットワークを構築するために必要とされる機能を有する。たとえば、無線通信ユニット3は、無線通信部としての無線通信用チップ、CPU(Central Processing Unit)等の制御用プロセッサ、データ一時保持用のRAM(Random Access Memory)、データ長期保存用の不揮発メモリおよび自身のプログラムを保存するROM(Read Only Memory)などで構成される。制御用プロセッサが、ROMに記録された制御プログラムにより無線通信ユニットを制御する。制御用プロセッサは、無線通信用チップから受信されたデータをデータ一時保持用のRAMおよびデータ長期保存用の不揮発メモリに保存し、無線通信用チップから別の無線ノードに対してデータを送信するように無線通信ユニットを制御する。当業者であれば、市販の材料を使用して、メッシュネットワークを構築するために必要とされる機能を有する無線通信ユニットを容易に構築することができるであろう。
【0019】
また、無線通信ユニット3は、任意の通信方式でメッシュネットワークを形成するように構成することができる。たとえば、IEEE 802.11nなどのWiFi接続が可能な公知の通信方式であることができる。
【0020】
図2は、基板1上のLED2および無線通信ユニット3の一例を示す図である。図2には、基板1の中央にLED2を配置し、無線通信ユニット3をLEDの周囲に配置した例を示してある。無線通信ユニット3は、図2に示したように別々に構成された構成要素をそれぞれ異なる場所に配置することもできるし、一体として構成することもできる。
【0021】
図1および図2では、LED2および無線通信ユニット3は、同じ基板1上に設置されている例を示してあるが、これらは、照明器具本体内の任意の場所に設置することができる。
【0022】
本発明の無線通信装置において、電力は、ソケットなどの照明器具本体を取り付けるための口金部分から供給される。ソケットなどから供給された電力は、直流電源4において直流に変換されて基板1の回路に供給される。図1では、照明器具が電球型であり、ソケットから電力が供給される例を示してあるが、図3に示すように、照明器具が照明管型であるときは、照明管を取り付ける口金から電力が供給される。
【0023】
本発明の無線通信装置では、電力は、無線通信ユニット3のための電力をソケットなどから供給することができる。したがって、本発明の無線通信装置をソケットなどに装着した瞬間から電力が供給され、無線ノードとして機能することができる。また、本発明の無線通信装置をソケットなどに装着した瞬間から無線通信ネットワークに参加して、メッシュネットワークを形成することができる。
【0024】
また、本発明の無線通信装置のさらなる態様として、照明器具内部にキャパシタまたはバッテリーを設置することもできる。たとえば、図1および2に示したように、基板1上に無線通信ユニット3と共に設置することができる。これにより、ソケットなどに対して電力供給が十分でないときに、その無線通信装置が保持しているデータを他の無線通信装置に渡すことができる。
【0025】
また、本発明の無線通信装置のさらなる態様として、通常の照明器具のために使用されるソーラーパネルおよびバッテリーと併用することもできる。これにより、コンセントなどから電力を供給することなく駆動させることができる。
【0026】
また、本発明の無線通信装置のさらなる態様として、無線通信装置の個体番号を通知する機能を備えていてもよい。これにより、無線通信装置の個体番号からアクティブ型のRFIDの検索ができるようになる。
【実施例】
【0027】
本発明の無線通信装置の使用例を図4に示してある。図4では、基地局7および無線通信装置8がメッシュネットワークを形成しており、無線通信装置8は、街灯の電球として設置されている例を示している。エンドデバイス9を使用するユーザーは、無線通信装置8によって形成されたメッシュネットワークを通じてインターネット等に接続することができ、さらに、インターネットを介してサーバーに接続することができる。
【0028】
本発明の無線通信装置を図4のように街灯の電球として設置した場合などは、その設置数を相当数確保することができる。したがって、メッシュネットワークにおいていくつもの電球と同時に通信することができる。これにより、通信速度を向上することができる。たとえば、3つの電球型の本発明の無線通信装置と同時通信した場合の通信速度を考えてみる。IEEE 802.11nは、最大300Mbpsである。したがって、最大で300Mbps×3=900Mbpsの通信速度が想定される。
【0029】
本発明の無線通信装置は、従来の蛍光灯および電球と互換性を持つ形状を有し、消費者が容易に取り付けることができる。したがって、本発明の無線通信装置によれば、メッシュネットワークを形成するために専用の装置を取り付けて、その装置に合わせた専用のソフトを開発するのではなく、街灯などの既存の設備を使用して、簡便にメッシュネットワークのための無線ノードを設置することができる。
【0030】
また、本発明の無線通信装置は、上記のように形成された無線メッシュネットワークを介して、PCなどの高度な情報機器だけでなく、小型センサーなどとも情報のやり取りをすることができる。また、本発明の無線通信装置は、無線メッシュネットワークにおいて、無線通信ユニットの処理能力が余っている無線通信装置がある場合に、当該無線通信装置に解析処理を行わせる機能をもたせることもできる。さらに、設置された本発明の無線通信装置は、互いに固定されており、通信時の電波が変動することが少ないので、通信時の電波を互いに調整する機能を備えることもできる。
【0031】
また、上記のように、本発明の無線通信装置を電球型にすることにより、家庭の電球および街灯の代わりに本発明の無線通信装置を使用して、外観を損ねることなく容易に無線ノードを設置することができる。
【符号の説明】
【0032】
1・・・基板
2・・・無線通信ユニット
3・・・LED
4・・・直流電源
5・・・LED
6・・・無線通信ユニット
7・・・基地局
8・・・無線通信装置
9・・・エンドデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具本体に、メッシュネットワークを構築することができる無線通信ユニットを備えた無線通信装置であって、
前記無線通信ユニットのための電力は、前記照明器具のための電源から供給される、無線通信装置。
【請求項2】
前記無線通信ユニットが無線通信部、制御用プロセッサおよびメモリを含み、前記制御用プロセッサが前記無線通信部と他の無線通信装置の無線通信部との間の通信を制御する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記照明器具が電球または照明管である、請求項1または2に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−128951(P2012−128951A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276594(P2010−276594)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(510328375)
【Fターム(参考)】