説明

無線電力送信装置

【課題】無線電力送信装置と無線電力受信装置との電力転送効率を増加させ、外部に漏出される磁場の量を減少させる。
【解決手段】無線電力受信装置と共振するよう構成されたコイル及びキャパシタを含む無線電力送信装置であって、上記コイルは複数のセルグループ及び上記複数のセルグループを連結するコアを含み、上記複数のセルグループの各々は複数のセルを含み、各セルグループの複数のセルは上記複数のセルに流れる電流により発生する磁場が同一な方向に形成されるように構成され、各セルグループは1つ以上の隣接したセルグループを有し、上記各セルグループ及び上記コアは1つの導線からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線電力送信装置に関し、より詳しくは、無線電力受信装置との電力転送効率を増加させ、外部に漏出される磁場の量を減少させることができる無線電力送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線で電気エネルギーを所望の機器に伝達する無線電力転送技術は、既に1800年代に電磁気誘導原理を用いた電気モータや変圧器が使われ始めて、その後にはラジオ波やレーザーのような電磁波を放射して電気エネルギーを転送する方法も試みられた。私達がしばしば使用する電動歯ブラシや一部無線カミソリも実際は電磁気誘導原理により充電される。現在まで無線方式によるエネルギー伝達方式は、磁気誘導、共振、及び短波長無線周波数を用いた遠距離送信技術などがある。
【0003】
最近にはこのような無線電力転送技術のうち、共振を用いたエネルギー伝達方式がたくさん使われている。
【0004】
共振を用いた無線電力転送システムは、無線電力送信装置と無線電力受信装置との間に形成された電気信号がコイルを通じて無線で伝えられるため、使用者は携帯用機器のような電子機器を難無く充電することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、共振を用いたエネルギー伝達方式は、送信側で発生する磁場が外部に漏出される現象が発生することがある。漏出された磁場は人体に露出されて健康に有害な影響を及ぼすことがある。
【0006】
本発明の目的は、共振による電力転送がなされる過程における無線電力送信装置と無線電力受信装置との間に発生する磁場の外部への漏出を最小化し、電力転送の効率性が極大化できる無線電力送信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に従う無線電力送信装置は、受信装置と共振するよう構成されたコイル及びキャパシタを含み、上記コイルは複数のセルグループ及び上記複数のセルグループを連結するコアを含み、上記複数のセルグループの各々は複数のセルを含み、各セルグループの複数のセルは上記複数のセルに流れる電流により発生する磁場が同一な方向に形成されるように構成され、各セルグループは1つ以上の隣接したセルグループを有し、上記各セルグループ及び上記コアは1つの導線からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、次のような効果がある。
【0009】
第1に、無線電力送信装置のコイル構造を改善して磁場の外部への漏出を最小化することができる。
【0010】
第2に、無線電力送信装置と無線電力受信装置との間の電力転送効率を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に従う無線電力転送システムを示す。
【図2】本発明の一実施形態に従う送信コイルの等価回路図である。
【図3】本発明の一実施形態に従う電力ソースと送信部の等価回路である。
【図4】本発明の一実施形態に従う受信用共振コイル、受信コイル、平滑回路、及び負荷の等価回路を示す。
【図5】本発明の一実施形態に従う無線電力送信装置の構成例である。
【図6】本発明の一実施形態に従う無線電力送信装置の構成例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的または辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最も最善の方法により説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に立脚して本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0013】
したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎないものであり、本実施形態の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点でこれらを代えることができる多様な均等物と変形例がありえることを理解すべきである。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に従う無線電力転送システムを示す。
【0015】
電力ソース10で生成された電力は送信部20に伝えられ、共振現象により送信部20と共振をなす、即ち、共振周波数値が同一な受信部30に伝えられる。受信部30に伝えられた電力は整流回路40を経て負荷50に伝えられる。負荷50は充電池またはその他の電力を必要とする任意の装置でありうる。
【0016】
より具体的に説明すると、電力ソース10は所定周波数の交流電力を提供する交流電力ソースである。
【0017】
送信部20は、送信コイル21と送信用共振コイル22とから構成される。送信コイル21は電力ソース10と連結され、交流電流が流れる。送信コイル21に交流電流が流れれば、電磁気誘導により物理的に離隔されている送信用共振コイル22にも交流電流が誘導される。送信用共振コイル22に伝えられた電力は共振により送信部20と共振回路をなす受信部30に伝えられる。
【0018】
インピーダンスがマッチングされた2つのLC回路の間は共振により電力が転送できる。このような共振による電力転送は電磁気誘導による電力転送より遠い距離までより高い効率で電力伝達可能にする。
【0019】
受信部30は、受信用共振コイル31と受信コイル32とから構成される。送信用共振コイル22により送信された電力は、受信用共振コイル31により受信されて受信用共振コイル31に交流電流が流れるようになる。受信用共振コイル31に伝えられた電力は電磁気誘導により受信コイル32に伝えられる。受信コイル32に伝えられた電力は整流回路40を通じて整流されて負荷50に伝えられる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に従う送信コイル21の等価回路図である。図2に示すように、送信コイル21はインダクターL1とキャパシタC1とから構成され、これらにより適切なインダクタンスとキャパシタンス値を有する回路を構成するようになる。キャパシタC1は可変キャパシタであることがあり、可変キャパシタを調節してインピーダンスマッチングを遂行することができる。送信用共振コイル22、受信用共振コイル31、受信コイル32の等価回路も図2に図示したものと同一である。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に従う電力ソース10と送信部20の等価回路である。図3に示すように、送信コイル21と送信用共振コイル22は、各々所定インダクタンス値とキャパシタンス値を有するインダクターL1、L2とキャパシタC1、C2とから構成される。
【0022】
図4は、本発明の一実施形態に従う受信用共振コイル31、受信コイル32、平滑回路40、及び負荷50の等価回路を示す。
【0023】
図4に示すように、受信用共振コイル31と受信コイル32は、各々所定インダクタンス値とキャパシタンス値を有するインダクターL3、L4とキャパシタC3、C4とから構成される。平滑回路40は、ダイオードD1と平滑キャパシタC5とから構成され、交流電力を直流電力に変換して出力する。負荷50は1.3Vの直流電源で表示されているが、直流電力を必要とする任意の充電池または装置でありうる。
【0024】
図5は、本発明の一実施形態に従う無線電力送信装置の構成例である。
【0025】
無線電力送信装置は、コイル100及びキャパシタ200を含む。
【0026】
一実施形態において、共振を用いて無線電力受信装置30に電力転送が遂行される場合、コイル100は図1で説明した送信用共振コイル22でありうる。
【0027】
一実施形態において、電磁気誘導を用いて無線電力受信装置30に電力転送が遂行される場合、コイル100は図1で説明した送信誘導コイル21でありうる。
【0028】
コイル100は、図4で説明した無線電力受信装置30の受信用共振コイル31と共振結合して共振を用いて電力を転送することができる。
【0029】
キャパシタ200は、無線電力受信装置30と共振周波数で動作するように可変キャパシタで構成される。
【0030】
コイル100は複数のセルグループ、即ち第1セルグループ110、第2セルグループ120、第3セルグループ130、第4セルグループ140、及びコア150を含む。図5において、コイル100はセルグループが4個を含むものと図示しているが、これに限定されず、4個以上のセルグループを含むことができる。
【0031】
第1セルグループ110、第2セルグループ120、第3セルグループ130、第4セルグループ140、及びコア150は全て1つの導線で具現できる。
【0032】
好ましくは、導線は銅でありうる。
【0033】
各セルグループの複数のセルが形成する平面は矩形または三角形のうち、いずれか1つの形状であるが、これに限定される必要はなく、多様な形態の平面で形成できる。
【0034】
第2セルグループ120は第1セルグループ110に隣接し、第3セルグループ130は第2セルグループ120に隣接し、第4セルグループ140は第3セルグループ130に隣接する。
【0035】
第1セルグループ110は、第1セル110a、第2セル110b、及び第3セル110cを含む。
【0036】
第1セル110aと第2セル110bとの間の間隔は、第2セル110bと第3セル110cとの間の間隔と同一である。
【0037】
第1セル110a、第2セル110b、及び第3セル110cが形成する平面は互いに平行である。
【0038】
第2セルグループ120は、第1セル120a、第2セル120b、及び第3セル120cを含む。
【0039】
第1セル120aと第2セル120bとの間の間隔は、第2セル120bと第3セル120cとの間の間隔と同一である。
【0040】
第1セル120a、第2セル120b、及び第3セル120cが形成する平面は互いに平行である。
【0041】
第1セルグループ110の第1セル110a、第2セル110b、第3セル110cと、第2セルグループ120の第1セル120a、第2セル120b、第3セル120cとはコア150により互いに垂直に連結される。
【0042】
即ち、コア150は各セルグループに含まれた各セルを連結させることができる。一実施形態におけるコア150は銅で構成される。
【0043】
第3セルグループ130は、第1セル130a、第2セル130b、及び第3セル130cを含む。
【0044】
第1セル130aと第2セル130bとの間の間隔は、第2セル130bと第3セル130cとの間の間隔と同一である。
【0045】
第1セル130a、第2セル130b、及び第3セル130cが形成する平面は互いに平行である。
【0046】
第4セルグループ140は、第1セル140a、第2セル140b、及び第3セル140cを含む。
【0047】
第1セル140aと第2セル140bとの間の間隔は、第2セル140bと第3セル140cとの間の間隔と同一である。
【0048】
第1セル140a、第2セル140b、及び第3セル140cが形成する平面は互いに平行である。
【0049】
第3セルグループ130の第1セル130a、第2セル130b、第3セル130cと、第4セルグループ140の第1セル140a、第2セル140b、第3セル140cとはコア150により互いに垂直に連結される。
【0050】
また、第1及び第2セルグループ110、120と第3及び第4セルグループ130、140もコア150により連結される。
【0051】
外部に連結されした電力ソースにより電流は第3セルグループ130の第1セル130aの上に図示したように、矢印方向、即ち時計方向に第1セル130aをまわって流れた後、コア150を通じて第4セルグループ140の第1セル140aに流れ込む。その後、電流は時計反回り方向に第1セル140aをまわって流れた後、コア150を通じて第2セル130bに流れ込む。
【0052】
このような過程を繰り返した後、第3セル140cをまわって出た電流は、コア150を通じて第2セルグループ120の第3セル120cに流れ込んで、上記のような過程を繰り返す。即ち、第2セルグループ120の第3セル140cに流れ込んだ電流は第3セル140cに沿って時計反回り方向に一回り回った後、コア150を通過し、第1セルグループ110の第3セル110cに流れ込む。第3セル110cで流れ込んだ電流は時計方向に第3セル110cを一回り回った後、コア150を通過して、また第2セルグループ120の第2セル120bに流れ込む。以後の過程は前述したものと同一に展開される。
【0053】
電流が各セルに流れるによって、磁場は第3セルグループ130の各セル130a、130b、130cの中央に入る方向に形成され、第4セルグループ140の各セル140a、140b、140cの中央から出る方向に形成される。なぜならば、電流の流れに従う磁場の形成方向はアンペールの右ねじの法則に従うためである。
【0054】
このように磁場が形成されれば、第3セルグループ130に流れる電流により形成される磁場と第4セルグループ140に流れる電流により形成される磁場は、第3セルグループ130の中央に集中的に形成され、各セルグループにより磁場の形成方向が変わることができる。
【0055】
磁場の形成方向が変更される原理は、次の通りである。
【0056】
第2セルグループ120の中央から上方に形成される磁場のうちの一部は、第2セルグループ120と隣接した第1セルグループ110の中央に入る磁場により影響を受けて第1セルグループ110の中央に入る。反対になる極性を用いて磁場が進む方向が変更される原理である。
【0057】
同様に、第2セルグループ120の中央から上方に形成される磁場のうちの一部は、第2セルグループ120と隣接した第3セルグループ130の中央に入る磁場により影響を受けて第3セルグループ110の中央に入る。
【0058】
第2セルグループ120に隣接した第1セルグループ110及び第3セルグループ130は、第2セルグループ120で形成された一部の磁場の方向を変更させて外部に漏出される磁場の量を最小化することができ、同時に各セルグループにより形成される磁場を特定の方向に集中させることができる。
【0059】
図5ではコイル100の上方に形成された磁束線のみを図示しているが、コイル100の下方に形成された磁束線も上記のような原理で図示される。
【0060】
結果的に、このような無線電力送信装置のコイル100構造は、上方または下方に形成される磁場の方向を変更させて外部に漏出される磁場の量を最小化させることができる。外部に漏出される磁場の量が最小化されれば、人体に悪影響を及ぼす状況が防止できる。
【0061】
同時に、上記コイル100構造は磁場を集中的に形成して電力転送効率を極大化させることができる。
【0062】
図6は、本発明の一実施形態に従う無線電力送信装置の構成例の平面図である。
【0063】
無線電力送信装置を上から見た場合、コイル100は図6に図示したように表すことができる。
【0064】
コイル100は複数のセルグループを含む。各セルグループは複数のセルを含み、各セルグループの複数のセルが形成する平面は互いに平行である。
【0065】
各セルグループは、1つ以上の隣接したセルグループを有する。
【0066】
図6に図示した矢印方向の通り各セルに電流が流れれば、磁場はアンペールの右ねじの法則に各セルには磁場が入るか出る方向に形成される。
【0067】
各セルグループは、複数のセルにより磁場が集中して入るか出る方向に形成することができ、コイル100の上方または下方は反対になる極性を用いて磁場が進む方向を変えることができる。
【0068】
このような無線電力送信装置のコイル100の構造は、磁場の出るか入る方向を変えて、上方または下方に漏出される磁場を最小化して、人体有害性を防止することに助けになることができ、同時に磁場を集中的に形成して電力転送効率を極大化させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力受信装置と共振するよう構成されたコイル及びキャパシタを含む無線電力送信装置であって、
前記コイルは複数のセルグループ及び前記複数のセルグループを連結するコアを含み、
前記複数のセルグループの各々は複数のセルを含み、
各セルグループの複数のセルは、前記複数のセルに流れる電流により発生する磁場が同一な方向に形成されるように構成され、
各セルグループは1つ以上の隣接したセルグループを有し、
前記各セルグループ及び前記コアは1つの導線からなることを特徴とする、無線電力送信装置。
【請求項2】
前記複数のセルグループのうち、前記コアにより連結されて隣接した第1セルグループ及び第2セルグループで形成される磁場の方向は互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項3】
前記第1セルグループで形成される磁場の方向は前記第1セルグループの内部に入る方向であり、前記第2セルグループで形成される磁場の方向は前記第2セルグループの内部から出る方向であることを特徴とする、請求項2に記載の無線電力送信装置。
【請求項4】
前記第1セルグループで発生する磁場は、前記第2セルグループで発生する磁場の方向を変更させることを特徴とする、請求項2に記載の無線電力送信装置。
【請求項5】
前記第1セルグループの複数のセルと前記第2セルグループの複数のセルは時計方向及び時計反回り方向に交互に巻かれることを特徴とする、請求項2に記載の無線電力送信装置。
【請求項6】
前記第1セルグループの複数のセルと前記第2セルグループの複数のセルは時計方向及び時計反回り方向に交互に巻かれて積層されることを特徴とする、請求項5に記載の無線電力送信装置。
【請求項7】
前記発生された磁場の方向はアンペールの右ねじの法則に従うことを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項8】
前記各セルグループの複数のセル間の間隔は同一であることを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項9】
前記各セルグループ及び隣接したセルグループの複数のセルは前記コアにより垂直に連結されたことを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項10】
前記各セルグループの複数のセルが形成する平面は互いに平行したことを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項11】
各セルグループの複数のセルが形成する平面は、矩形、三角形のうち、いずれか1つであることを特徴とする、請求項9に記載の無線電力送信装置。
【請求項12】
前記複数のセルグループは、印刷回路基板の上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項13】
前記複数のセルは1回以上巻かれた導線で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項14】
前記導線は銅であることを特徴とする、請求項1に記載の無線電力送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−90564(P2013−90564A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224755(P2012−224755)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】