説明

無起爆薬電気雷管

【課題】起爆薬や点火薬を省略し、その上で構造が簡単でかつ二次爆薬である添装薬を直接点火できる電気雷管を提供すること。
【解決手段】一端が閉塞された筒状の管体と、閉塞された一端側の管体内に装薬された添装薬と、管体の開放された他端側から挿入され、他端側に収納された点火装置と、を含んでなり、該点火装置が、反応性金属層及び反応性絶縁物層からなるラミネート層と、電極パッドとを有する半導体電橋装置であり、該添装薬が、ペンタエリスリトールテトラナイトレート等であることを特徴とする雷管。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気雷管に関するものであり、より詳しくは起爆薬を使用しない無起爆薬電気雷管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の瞬発電気雷管は起爆薬(一次爆薬)、添装薬(二次爆薬)が装薬された金属管体、点火薬、電気点火装置、雷管を密閉する塞栓、導電線である脚線からなる。一次爆薬の例としてはアジ化鉛、ジアゾジニトロフェノール(DDNP)、トリニトロレゾルシン鉛(トリシネート)などが挙げられる。また二次爆薬の例としてはペンタエリスリトールテトラナイトレート(PETN)、シクロ-1,3,5−トリメチレン-2,4,6−トリニトラミン(RDX)、シクロ−1,3,5,7−テトラメチレン−2,4,6,8−テトラニトラミン(HMX)などが挙げられる。また点火薬には起爆薬と酸化剤の混合物などが使用される。
【0003】
瞬発電気雷管の作動フローとしては、脚線から通電された電流により電気点火装置の電橋線(白金線・ニクロム線等)が加熱し、点火薬を着火、点火薬の着火から起爆薬が着火・爆発し、添装薬を爆発させる。二次爆薬である添装薬は、一次爆薬である起爆薬による爆発のような大きなエネルギーがないと正常に爆発しない特性を持っている。しかし点火薬や起爆薬は二次爆薬や一般的な産業用爆薬と比較して熱、摩擦、衝撃の外的刺激に対して非常に敏感であり、製造時や使用時の取り扱いに留意する必要があった。このような問題の対策として、起爆薬を用いない電気雷管が開発されている。
【0004】
特許文献1には二次爆薬である添装薬に酸化剤を混合することにより、起爆薬を使用しない雷管が開示されている。具体的にはPETNに塩素酸カリウムを混合し、それを金属製の内管の中に入れ拘束することにより起爆薬を使用しなくても機能する雷管が開示されている。しかしながらこの添装薬を添加するための点火装置には感度の高い点火薬等を用いる必要があり、また内管を複数使用しなければならないなど構造が複雑になる。
同様に特許文献2にはフライングプレートを用いて添装薬に衝撃を与えて起爆する方法が開示されている。具体的には点火薬により点火された発射薬のガスによりフライングプレートが添装薬に向かって飛翔し衝突し、その衝突時のエネルギーにより添装薬が爆発する。この場合、フライングプレートを飛ばすための点火装置には点火薬等の感度の高い薬剤を使用しており、またプレートを飛翔させるための構造が必要となり、構造が複雑となる。また発破時の隣接孔の影響により変形するとフライングプレートが正確に添装薬に衝突できず、不発になる可能性がある。
【0005】
また、近年の電子材料技術の発展に伴い、半導体製造技術を点火装置に応用した半導体電橋装置が開発された。半導体電橋装置は従来の白金線やニクロム線の電橋と比較して高効率で電気的ノイズに対して安全性が高いことが知られている(特許文献3)。
半導体電橋装置は、高電圧を印加し、爆薬を爆発させる軍事用のものは知られているが、高電圧の印加は産業爆薬用雷管の点火装置としては不向きである。また、例えば特許文献3に記載の半導体電橋装置も、その起爆エネルギー小さいため産業爆薬用雷管の点火装置としては不向きである。
【0006】
【特許文献1】特開平6−221799公報
【特許文献2】特開平6−249594公報
【特許文献3】特表2004−513319公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、起爆薬を省略しようとすると構造が複雑になり、製造コストが上昇する。また感度の高い点火薬等を使用しているので製造時や使用時の取り扱いに留意する必要がある。本発明の目的は、起爆薬や点火薬を省略し、その上で構造が簡単でかつ二次爆薬である添装薬を直接点火できる電気雷管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、添装薬に二次爆薬であるPETNまたはそのPETNと所定の物質を混合した混合物を用い、点火装置として半導体電橋(SCB)装置を用いることにより、起爆薬を用いることなく、より簡単な構造で添装薬を直接点火できることを見出した。
すなわち本発明は、一端が閉塞された筒状の管体と、閉塞された一端側の管体内に装薬された添装薬と、管体の開放された他端側から挿入され、他端側に収納された点火装置と、を含んでなり、
該点火装置が、基板上にある2つのランドと、該2つのランド部分を電気的に接続する電橋部とを構成し、かつ交互に積み重ねられた反応性金属層及び反応性絶縁物層からなるラミネート層と、前記2つのランド部分を構成するそれぞれのラミネート層の少なくとも1つの反応性金属層に電気接続された電極パッドとを有し、前記電極パッドに印加された前記電橋部を流れる所定強度の電流が、プラズマを発生させる半導体電橋装置であり、
該添装薬が、ペンタエリスリトールテトラナイトレート、またはペンタエリスリトールテトラナイトレートと、金属、金属酸化物、金属過酸化物、金属硝酸塩、金属塩素酸塩、及び金属過塩素酸塩からなる群から選ばれる1種以上を含む添装薬であることを特徴とする雷管を提供する。このような構成、特に従来、産業爆薬用雷管の点火装置としては不向きであるとされる半導体電橋装置、を備えることによって、点火剤や起爆剤を使用しなくても添装薬に点火できることが見出された。
また本発明の雷管における点火装置において、前記反応性絶縁物の代わりに金属酸化物を使用することもできる。金属酸化物を使用したほうが、ラミネート層の製造が容易で、しかも低エネルギー(低電流)で点火可能となり電橋部の抵抗値を高くした場合でも、良好な性能を発揮でき、電源一つあたり結線できる雷管の数がより多くなる。
【0009】
反応性金属層と反応性絶縁物層または金属酸化物層は、交互に層をなしてラミネート層を形成し、反応性金属層に電気接続された金属パッドに電流が流れることにより、プラズマが発生するが、金属パッドが電気接続される反応性金属層は、ラミネート層の最上層にあるのが好ましい。このような構成を採用すると発火効率がよくなる。
特に反応性金属層がTi、W、ZrまたはNiである場合、製造が容易で発火効率に優れる。また、反応性絶縁物層がBである場合や、金属酸化物層がSiOまたはTiOである場合、安定したプラズマの供給ができ好ましい。
【0010】
添装薬としては、ペンタエリスリトールテトラナイトレートと金属を組み合わせて使用すると点火効率が向上し、好ましい。特に金属としては、Ni、W、TiまたはAlが取り扱いやすい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の雷管は半導体電橋装置を用いることにより、従来の無起爆薬雷管より簡単な構造で、しかも高感度な点火薬を使用することなく、添装薬であるPETNに直接点火、爆発させることができ、産業用爆薬である含水爆薬を起爆できる性能を有している。また本発明の雷管にPETN混合物を使用することにより、PETN単体よりも点火エネルギーを低減できることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の雷管は、一般の電気雷管において点火薬や起爆薬として使用される高感度の火薬類は使用しない。
本発明の雷管においては、添装薬としてPETNを使用する。PETNは、雷管用に一般的に使用されるグレードであれば、その純度等に特に制限はない。
PETNは単独で使用することも可能であるが、より低いエネルギーで点火可能とするため、添装薬の感度を向上させる物質を併用するのが好ましい。このような添加物としては金属、金属酸化物、金属過酸化物、金属硝酸塩、金属塩素酸塩、及び金属過塩素酸塩が挙げられる。具体的には、金属硝酸塩としては硝酸ナトリウム、硝酸カリウムまたは硝酸バリウム等が、金属酸化物としては酸化銅等が、金属過酸化物としては過酸化バリウム等が、また、金属塩素酸塩としては、塩素酸カリウム等が、また、金属過塩素酸塩としては過塩素酸カリウム等が、また、金属としてはチタン、タングステン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、銅、アルミニウム等がそれぞれ挙げられる。これらのうち、ニッケル、タングステン、チタン、アルミニウムが感度の面から好ましい。
【0013】
PETNと添加物の混合物(以下、PETN混合物という)を得るためには両者を溶媒中に入れてスラリー状態で十分混合し、乾燥する。乾燥は、溶媒を除去できる方法であれば特に制限はなく、例えば室温〜50℃で1日以上かけて行う。溶媒は水やメチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類を用いることができ、PETN混合物の合計重量に対して50〜200重量%程度使用すれば充分である。
【0014】
添加物は、爆薬であるPETNの威力を損なわない程度の量使用し、PETN100重量部に対し通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部程度の割合で使用する。使用されるPETNの粒度は、半導体電橋装置が発生するエネルギーにより点火し、さらに燃焼速度の急激で加速的な増加をもたらすためには平均粒径で50μm以下、好ましくは3〜20μmが好ましい。このような範囲の平均粒径のPETNを得るには、例えばCHEMISTRY AND TECHNOLOGY OF EXPLOSIVES VOLUME 4の310ページに示されるような再結晶法で再結晶する方法が採用できる。また添加物の粒度はPETNと混合した場合の点火感度、製造上の問題を考慮に入れると、平均粒径で通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmが良い。
【0015】
また必要に応じて結合剤(バインダー)を添加することによって、PETN混合物が取り扱い易くなり作業性が向上する。バインダーはフッ化ゴムなどのゴム、ニトロセルロース、エチルセルロースなどの繊維、ポリビニルアルコールなどのポリマーなどが挙げられる。これらをこれらが溶解可能な溶媒(アセトン、水等)に溶解して、PETN混合物と水やアルコール類などの前記溶媒を混合したスラリーに添加し、混合した後、乾燥する。バインダーの添加量は、一般的に少ないほうが好ましく、通常、PETN混合物の重量に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。なお、バインダーはPETNを単独で使用する場合にも、上記と同じ目的で使用することができる。この場合も、所定の溶媒にバインダーを溶解させたものをPETNと水やアルコール類などの前記溶媒を混合したスラリーに添加し、乾燥すればよい。なお、バインダー溶液、PETN及び溶媒の混合順に特に制限はなく、均一に混合できる限り同時に行ってもかまわない。この場合もバインダーの添加量は、一般的に少ないほうが好ましく、通常、PETNの重量に対して通常5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
【0016】
点火装置には半導体電橋装置が用いられる。本発明に使用される半導体電橋装置を図1に、そのA−A’断面図を図2(a)に、またラミネート層20の構造を図2(b)にそれぞれ示す。半導体電橋装置100は、基板10上にラミネート層20と電極パッド34を有する。ラミネート層20は、2つのランド30、32と、該2つのランド部分を接続する電橋部36とを構成し、かつ交互に積み重ねられた反応性金属層及び反応性絶縁物層、または反応性金属層及び金属酸化物層からなり、前記2つのランド部分を構成するそれぞれのラミネート層の少なくとも1つの反応性金属層に電気接続された電極パッド34を介して脚線と電気接続され、前記電極パッド34に印加された前記電橋部を流れる所定強度の電流がプラズマを発生させるもので、例えば特許文献3や特願2004−290993号に記載された装置を使用することができる。半導体電橋装置は、ワイヤーボンディング、導電性ペースト、はんだなどで電極パットと脚線を接続し使用する。なお、本発明において「プラズマ」とは電橋部を流れる電流により生じる火花状の熱媒体を指す。
【0017】
図2(b)における反応性金属層22−1〜22−6としては、例えば、Au、Al、Ag、Bi、C、Co、Cr、Cu、Fe、Ge、Hf、In、Ir、Mg、Mo、Nb、Ni、Pb、Pt、n型Si、p型Si、Sn、Ta、Ti、V、W、ZnまたはZr等が挙げられ、Ti、W、ZrまたはNiが好ましい。反応性絶縁物層24−1〜24−5は、金属と互いに化学的によく反応する組み合わせが選択され、金属よりも高い抵抗率と低い熱伝導性があるものを使用する。反応性絶縁物としては、B、Ca、MnまたはSi等が挙げられ、Bが好ましい。金属酸化物層24−1〜24−5としては、例えばSiO、TiOまたはAl等が挙げられ、SiOまたはTiOが好ましい。
【0018】
ラミネート層20における反応性金属22−1〜22−6は、そのうち少なくとも1層が電気パッド34と電気的接続されているが、図2(a)におけるように最上層にある反応性金属22−6が電気パッド34と電気接続している形態が好ましい。
【0019】
図3は本発明を示す例であり、この例において管体1は金属であり、電気雷管の管体として一般的に使用されている銅、アルミニウム、鉄の他、ステンレス鋼が使用できる。管体1の形状は特に制限はないが、一般的には円筒形である。またその内外径、厚み、長さは用途や爆薬量に応じて任意に設定できる。管体1の内部には二次爆薬である添装薬4が配される。添装薬はPETNまたはPETN混合物を用いる。添装薬の使用量は、管体の大きさや所望する装薬密度により異なり、一概には言えないが、通常5g以下である。
【0020】
装薬密度は一般的に大きい方が、威力が大きくなり、小さい方が、着火感度が高くなる傾向にある。しかしながら、半導体電橋装置を使用した場合、ある程度高い装薬密度のほうが着火しやすくなる。本発明の場合、添装薬の装薬密度は、通常1.0g/cm以上、好ましくは1.3g/cm以上である。なお、装薬密度を半導体電橋装置に近いところから、段階的に小さくしていくような装薬方法や、更に着火感度を考慮して、一旦小さくした装薬密度を、再び大きくするような装薬方法も選択できる。
【0021】
また添装薬4はPETNまたはPETN混合物を単独で使用できるほか、2層以上の層をなして充填することも可能である。例えばPETNを下の層に配置し、半導体電橋装置と接する上部の層にPETN混合物の層とすることもできる。
【0022】
管体1に半導体電橋装置2を付属させた塞栓3を挿入する。半導体電橋装置2は脚線5に電気接続されている。塞栓は爆発時の圧力に耐えうるものであれば材質に特に制限はなく、金属・樹脂などが使用できる。塞栓挿入後はさらに密閉強度を向上させるためにエポキシ樹脂や溶接等で封止してもよい。また管の上端を口締めしても良い。
【実施例】
【0023】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0024】
実施例1
一端を閉塞した銅製の外径8mm、厚さ0.8mm、長さ50mmの円筒状管体1の内部に添装薬2として再結晶したPETN2.0g(平均粒径約10μm;目視による)を装薬密度1.5g/cmとなるように装薬した。装薬した管体1に半導体電橋装置が付属した塞栓3をPETNと半導体電橋装置が密着するよう圧入した。さらに密閉性を高くするため、管体1の上部を外径9.5mm、厚さ0.5mmのステンレス製チューブ7で覆い、その内側をエポキシ樹脂6で封止し、本発明の雷管を得た(図4)。なお、半導体電橋装置は、図1において一辺が2×2mmの角のシリコン基板10上にTi(22−6(1.0μm)、22−5(0.25μm)、22−4(0.25μm)、22−3(0.25μm)、22−2(0.25μm)、22−1(0.05μm))とB(24−5(0.225μm)、24−4(0.225μm)、24−3(0.225μm)、24−2(0.225μm)、24−1(1.0μm))を積層したものを使用した。
【0025】
実施例2
再結晶したPETN(平均粒径約10μm;目視による)100重量部と、バインダーとしてのフフッ化ゴムの20重量%アセトン溶液2.5重量部及びエチルアルコール100重量部を混合し40℃で1日乾燥して添装薬を得た。得られた添装薬120mgを外径8mm、厚さ0.4mm、長さ6mmのステンレス製の管体1に装薬密度1.5g/cmとなるように装薬した。次いで、装薬された管体1に実施例1と同じ半導体電橋装置2が付属した塞栓3を添装薬4と電橋装置2が密着するよう圧入し、本発明の雷管を得た(図3)。
【0026】
実施例3
再結晶したPETN(平均粒径約10μm;目視による)95重量部、W5重量部、フッ化ゴムの20重量%アセトン溶液2.5重量部及びエチルアルコール100重量部を混合し、40℃で1日乾燥して添装薬を得た。得られた添装薬120mgを外径8mm、厚さ0.4mm、長さ6mmのステンレス製の管体1に装薬密度1.5g/cmとなるように装薬した。次いで、装薬された管体1に実施例1と同様の半導体電橋装置2が付属した塞栓3を添装薬4と電橋装置2が密着するよう圧入し、本発明の雷管を得た(図3)。
【0027】
実施例4
再結晶したPETN(平均粒径約10μm;目視による)95重量部、Al(東洋アルミニウム株式会社製P−100)5重量部、フッ化ゴムの20重量%アセトン溶液2.5重量部及びエチルアルコール100重量部を混合し、40℃で1日乾燥して添装薬を得た。得られた添装薬120mgを外径8mm、厚さ0.4mm、長さ6mmのステンレス製の管体1に装薬密度1.5g/cmとなるように装薬した。次いで、装薬された管体1に実施例1と同様の半導体電橋装置2が付属した塞栓3を添装薬4と電橋装置2が密着するよう圧入し、本発明の雷管を得た(図3)。
【0028】
試験例1
実施例1で得られた雷管を含水爆薬(日本化薬(株)製;商品名アルテックス)50gに挿入した。この雷管に3Jの電気エネルギーを供給したところ、含水爆薬は起爆し、爆発した。
試験例2
実施例2で得られた雷管を使用し、半導体電橋装置に供給する電気エネルギーを変化させて、試験例1と同様にして含水爆薬の爆発数を試験したところ表1の結果を得た。
【0029】
【表1】

【0030】
試験例3
実施例3及び実施例4で得られた雷管について半導体電橋装置に0.3Jのエネルギーを供給し、試験例1と同様にして含水爆薬の爆発試験をしたところ、両者ともに爆発した。
【0031】
試験例の結果から本発明の雷管は、半導体電橋装置を用いて二次爆薬である添装薬を直接点火でき、また産業用爆薬である含水爆薬を起爆できる性能を有していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】半導体電橋装置の平面図である。
【図2】半導体電橋装置のA−A’断面図である。
【図3】ラミネート層20の拡大図である。
【図4】実施例2〜4の無起爆薬雷管を示す断面図である。
【図5】実施例1の無起爆薬雷管を示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
100 半導体電橋装置
10 シリコン基板
20 ラミネート層
22−1、22−2、22−3、22−4、22−5 Ti層
24−1、24−2、24−3、24−4、24−5 B層
30、32 ランド部分
34 電極パッド
36 電橋部
1 管体
2 半導体電橋装置
3 塞栓
4 添装薬
5 脚線
6 エポキシ樹脂
7 ステンレス製チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉塞された筒状の管体と、閉塞された一端側の管体内に装薬された添装薬と、管体の開放された他端側から挿入され、他端側に収納された点火装置と、を含んでなり、
該点火装置が、基板上にある2つのランドと、該2つのランド部分を電気的に接続する電橋部とを構成し、かつ交互に積み重ねられた反応性金属層及び反応性絶縁物層からなるラミネート層と、前記2つのランド部分を構成するそれぞれのラミネート層の少なくとも1つの反応性金属層に電気接続された電極パッドとを有し、前記電極パッドに印加された前記電橋部を流れる所定強度の電流が、プラズマを発生させる半導体電橋装置であり、
該添装薬が、ペンタエリスリトールテトラナイトレート、またはペンタエリスリトールテトラナイトレートと、金属、金属酸化物、金属過酸化物、金属硝酸塩、金属塩素酸塩、及び金属過塩素酸塩からなる群から選ばれる1種以上を含む添装薬であることを特徴とする雷管。
【請求項2】
一端が閉塞された筒状の管体と、閉塞された一端側の管体内に装薬された添装薬と、管体の開放された他端側から挿入され、他端側に収納された点火装置と、を含んでなり、
該点火装置が、基板上にある2つのランドと、該2つのランド部分を電気的に接続する電橋部とを構成し、かつ交互に積み重ねられた反応性金属層及び金属酸化物層からなるラミネート層と、前記2つのランド部分を構成するそれぞれのラミネート層の少なくとも1つの反応性金属層に電気接続された電極パッドとを有し、前記電極パッドに印加された前記電橋部を流れる所定強度の電流が、プラズマを発生させる半導体電橋装置であり、
該添装薬が、ペンタエリスリトールテトラナイトレート、またはペンタエリスリトールテトラナイトレートと、金属、金属酸化物、金属過酸化物、金属硝酸塩、金属塩素酸塩、及び金属過塩素酸塩からなる群から選ばれる1種以上を含む添装薬であることを特徴とする雷管。
【請求項3】
電極パッドが電気接続された反応性金属層が、ラミネート層の最上層にある請求項1または2記載の雷管。
【請求項4】
反応性金属層がTi、W、ZrまたはNiである請求項1〜3のいずれか1項に記載の雷管。
【請求項5】
反応性絶縁物層がBである請求項1記載の雷管。
【請求項6】
金属酸化物層がSiOまたはTiOである請求項2記載の雷管。
【請求項7】
添装薬が、ペンタエリスリトールテトラナイトレートと、金属を含んでなる請求項1または2記載の雷管。
【請求項8】
金属がNi、W、TiまたはAlである請求項7記載の雷管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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